勇者「勝ちフラグを立てなければ死ぬぞッ!!」 (70)

勇者(18歳、男、独身)。
魔導師(19歳、女、独身)。
賢者(21歳、女、既婚)。
戦士(28歳、女、独身)。
 王国から魔王討伐の勅命を授かった勇者とその一行は、その翌日、とある村の宿屋に宿泊していた。
魔導師「絶対ヤバいよ。僕のフラグ感知スキルがヤバい位反応してるもん」
 橙色のケープを羽織った魔導師は机に突っ伏して、足をバタバタ振り回しながら嘆いた。実際の年齢よりもかなり幼く見えるのはその丸々とした大きな青い瞳と、丸頭と称するのが一番適して思える青髪のせいだろう。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402929470

初建てです。
小説投稿の練習がしたくて、半分台本形式で進みたいです。
書き貯めは少な目ですが、書き溜め終わり次第徐々に分岐フラグ(安価)とかもしたいです。
こんな感じで進めてもいいですか?

どうぞ

勇者「落ち着け……そう、落ち着くんだ。僕達は確かに間違いを犯した……。危険を分かりながら村で泊まるか、それとも野宿するか……ッ」

 西洋風の軽鎧に身を包んだ青年、勇者は、頭を抱えて怯える魔導師の横で、同様の姿勢を取ってブツブツと呟く。

勇者「普通に考えるなら村に入る……だけど、だけどだ……最初の村……最初に勇者一行が訪れる村……僕は甘かったと言わざるをえない……ッ」

苦虫を噛み潰したような表情で、勇者は悶える。

賢者「勇者様はどうなされたのでしょうか」

戦士「知るか。異世界から召還された勇者だかなんだか知らんが……餓鬼と魔王討伐なんて端から断れば良かったぜ」

 純白のローブとそれに映える赤髪赤目をした賢者と、勇者に比べて重々しい甲冑姿のボーイッシュな紫の短髪をヘルムから覗かせる戦士は様々な対照的な態度で二人を見やる。

勇者「馬鹿野郎……賢者と戦士はフラグの怖さを理解していない……フラグは神が敷いた運命のレールよりも強固で確実なんだ」

魔導師「勇者ぁ……。足音が聞こえるよぉ……それも一人や二人じゃ……」

戦士「何言ってんだか。フラグフラグ、私達は魔王を倒す旅をしてるんだぞ。魔王より恐ろしい相手なんてこの世界に居るか」

 戦士は、付き合ってられねぇ。と、上の鎧を外し始める。

勇者「ちょっと待て戦士」

戦士「あ? なんだよ、もう夜だ。子供と戦士は寝る時間なんだよ」

勇者「残念ながら、まだ早いんだ。この村に踏み込んだ時点で……いや、最初の村に入るという行動自体で……」


 勇者は息を飲む。辛辣な表情で、何かを諦めた溜め息を吐いて、扉へ顔を向けた。


 正にそのタイミング。正に示し合わせたかのように、扉はノックもせずに荒々しく開かれた。

 現れたのは、麻で織られた服を着た集団。皆一様に切羽詰まった、後が無いような、鬼気迫る表情をしている。

村人「勇者一行の皆様!! どうか、どうかお話を聞いて下さいませ!! この村を救って下さいませ!!」

勇者「フラグ成立なんだ」

 勇者は悟ったように、さながら歴戦の営業マンのように減り張りのある落ち着いた態度で、

勇者「どうされましたか、村の方々」

 と、変な呻き声を上げる魔導師の丸頭を撫でながら聞いた。

とりあえず今日はこのくらいで。
少なくてすみません……。

社畜なので眠ります、更新スピードは遅いと思われます(標準を知らないのであらですが)

何かご意見やご感想などあればお願いします。

面白くない
単純に見にくい

改行を適所に入れてみます
面白さは……ないかもしれません

とりあえず投下してみます

 朝。とても早い朝。

 どこの世界も太陽は東から登り、西に沈むのだろうか。

 そんな事をぼんやりと考えながら、連なる山々から登る朝日に向かい、勇者はラジオ体操をしていた。

 ラジオが存在しないこと以外は完全無欠、理想的なシチュエーションである。

魔導師「勇者」

勇者「ん? あぁ、魔導師か、おはよう。」

 寝巻姿で体操をする勇者の元に現れたのは、同じく寝間着姿の魔導師だった。

魔導師「それ、最初から教えて」

勇者「それって、ラジオ体操のことか? 別に良いぞ。まずはこう、腕を大きく開いて」

魔導師「こう?」

勇者「そうそう、で、こうする。次は……」シュタッ、スッ

 勇者の後に倣って、魔導師はぎこちないながらもラジオ体操をこなしていく。

魔導師「勇者は、なんでフラグを知ってるの? 今まで、フラグは僕しか知らないものだった」ブンブン

勇者「ん? 一回言わなかったか? 僕は皆が言うところの異世界人だ」ブンブン

勇者「まぁ、僕からすると皆が異世界人なんだが、それは置いとこう」スッ、グッグッ

勇者「僕が居た世界ではフラグっていうのは最早概念といっても過言では無い程、周知のものなんだよ」スッ、グッグッ

魔導師「皆フラグを知ってる……? でもそれだと、世界がおかしくなる」スクッスクッ

魔導師「フラグは予言……全員が全員、正しい予言を受け取っていたら、世界からは死さえ消えかねない」スクッスクッ

魔導師「弱者が強者を倒すどころか、誰もが平和で、誰もが自堕落で……いや、全員がフラグを知ってるなら逆に猜疑心が人の心に……」スッ、フワッ

 魔導師は難しい顔をしながら独りで持論と真理の探究を始める。

勇者「んー、まぁ、そんな難しい話ではないよ」スッ、フワッ

魔導師「えっ?」シュッシュッ、ブンブン

勇者「僕の世界にはフラグという概念はあったけど、フラグが成立するという事を、魔導師みたいに正確に知る術は無いんだ」シュッシュッ、ブンブン

勇者「簡単に言うと勘だな。長年、アニメとかを見て培った直感だ」ピョンピョン

魔導師「アニメ?」ピョンピョン

勇者「雰囲気と心境と状況で導き出す、予言というか予想だね」ピョンピョン

魔導師「何だか難しいね」ピョンピョン

勇者「うん。だから俺がこの世界に飛ばされた時に、僕の頭の中には僕達の世界的な、とあるフラグが過ぎった」ピョンピョン

勇者「もしかしたらこの世界は平和ではなくて」ピョンピョン

勇者「もしかしたらこの世界には明確な敵が居て」ピョンピョン

魔導師「もしかしたらそれを自分が倒すのかもしれない、と?」ピョンピョン

勇者「そう。異世界に何の意味もなく飛ばされて農民をやるっていう可能性は限り無く低い。そう思った。それが僕達異世界人のフラグ思考だ」ピョンピョン

魔導師「ふむ……ふむ。なるほど。まぁ、僕は理解者を得れて良かった」ピョンピョン

勇者「逆に質問なんだけど、魔導師は何でフラグが分かるんだ? この世界で唯一」ピョンピョン

魔導師「簡単なこと」ピョンピョン

魔導師「大魔術は初級魔術を応用し、強大なものとする」ピョンピョン

魔導師「奇跡……癒やしの力は、信仰心に比例して威力を増す」ピョンピョン

魔導師「でも、私はそこで何故占いだけは不確定なんだろうと思った」ピョンピョン

勇者「あぁ、確かに、色々な物も極めたら凄い事になるけど、占いは占いの域を出ないな」ピョンピョン

魔導師「そこで私は王国騎士団魔法課に所属していることをいいことに」ピョンピョン

魔導師「国の援助を全て活用した」ピョンピョンピョンピョン……

魔導師「お風呂に何ヶ月も入らず」ピョンピョンピョンピョン……

勇者「」スクッフワッ

魔導師「逆に滝浴びを何ヶ月もし」スクッフワッ

魔導師「魔法課の必要単位……初級魔法のテストとかは腹痛を起こす魔法で難を逃れて」

魔導師「断食と暴食、不眠と冬眠を経て二年、私はフラグという境地に達した」

勇者「……なんか壮大だな」スーハー

 勇者は体操はこれで終わりという旨を告げて、最後に深呼吸を魔導師に促す。

魔導師「ただ、私生活で生じるフラグは微妙な出来事ばかりだった」スーハー

勇者「あー、朝夕のご飯のメニューを当てれても仕方ないだろうな」スーハー

魔導師「そう、勇者に拾われないと私は国民の血税を私利私欲に用いた重罪人として投獄される予定だった」スーハー

勇者「気軽に聞いたら凄い話になった」スーハー

 勇者は明らかに一歩引いた。

魔導師「ねぇ、僕も質問」スーハー

勇者「ん?」

魔導師「何で僕達を選んだの? 王国にはもう少し強い人も沢山居たよ」

魔導師「賢者さんは確かに最高位だけど。そして僕は現れたばかりの勇者に泣きついた訳だけど」

勇者「んー、なんていうかな……簡単に言うと、この三人なら多分いけるって思ったからかな」

魔導師「……それはフラグ?」

勇者「どうだろう。まぁ、間違い無いことはあるよ」

 魔導師は「?」と首を傾げる。

勇者「最高の仲間を得たと思ってる」

 すっかり山々から顔を出した太陽を、細目で見詰める勇者。

 魔導師は、その横顔に、殆ど自分にしか聞こえない声量で何かを言った。

勇者「ん? 何か言った?」

魔導師「……フラグ」

勇者「な、なに!? どんなフラグだ!! 誰か死ぬのか!? いや馬鹿な、僕達は不用意なフラグを立てないように詰まらない身の上話をした程度だし……」

魔導師「内緒」

勇者「えぇ……」

 勇者は肩を落とすが、最終的には気にしても仕方無いということで朝飯を食べる事にした。

 魔導師はその後ろをトコトコと歩く。

 田んぼの畦道を、二人仲良く歩く。

戦士「猫耳盗賊団か。この周辺では割と有名な盗賊集団だな」

戦士「私が王国軍に入団した頃から既に在った。王国も何度か討伐部隊を編成し、駆逐に乗り出しているんだが……」

 戦士はペッ、と地面に唾を吐き捨て、実に忌々しそうに言った。

戦士「空回り続きだ。一人も捕獲出来ていない」

 勇者はそれを聞き、頷く。

勇者「なるほど、じゃあ取りあえずは遭遇出来そうだな」

戦士「ハッ、何故そう思う? 盗賊共のアジトは周期的に転々としてるんだぞ」

戦士「昨日はこの世の終わりとばかりに怯えていた癖に、今日は偉く楽観的じゃあないか」


 戦士は小馬鹿にしたように笑う。

 その場には魔導師と賢者も居る。二人はそれぞれ服の皺などを延ばしてみたりと、どことなくその場に居辛そうだ。

勇者「どうしてって……もうフラグが立ってるからな……それも複数」

魔導師「」コクコクッ

戦士「またフラグか、いい加減にしたらどうだ。確かに魔導師には不思議な予言能力がある」

戦士「だがそれも万能ではないだろう。現に、我ら勇者パーティと魔王軍の勝敗は分からんと言っているじゃないか」

賢者「戦士さん、勇者さん、喧嘩は止しましょうよぉ。良いことはないですよぉ!」

 二人のやり取りを見かねた賢者が仲裁に入ろうとしたものの、それをジークは手で制した。大丈夫だ。と。

勇者「はぁ。分かってないのは戦士だよ。良いか、良く聞け」

 寄りかかっていた宿屋の壁から歩き、肌色と茶色の中間のような色をした砂利を踏み慣らしながら、勇者は話す。


勇者「一つ、勇者が盗賊団の話を持ち掛けられる」

勇者「二つ、討伐部隊では見付からない」

勇者「三つ、何年も前から居る。これを考えてみたら、すぐ分かる」

戦士「勿体ぶるな、早くしろ」

 戦士は苛立ちを隠せない様子だ。

 対して勇者は冷静に、戦士を諭すように話す。

勇者「何故勇者ってだけの名前も売れてない四人組みに頼む? そろそろ長年の周期的にこの村に来そうだから焦ったんじゃないのか? 功を奏せないとしても王国軍だ。駐屯するだけで効果はあるだろう。なのに僕達に頼んだ。村人達の長年の勘が警鐘を鳴らしてるんじゃないのか」

 勇者「そしてこれは戦士も分かるだろう。四人、少人数だ。四人なら相当近付かない限り見張りに猫耳盗賊団の見付からないだろうし、逆に先に見張りを見付けられるかもしれない。それに見付かったとしても、何十人もいる盗賊団だ。四人程度の為にアジトを動かすのは考えにくい」

  勇者「そして、何年もこの辺りを牛耳っているとしたら、その心には着きたくなくても贅肉が張り付く。慢心が取るべき正解を曇らせる」


 勇者は淡々とした考察に、戦士は二の足を踏む。が、それでも納得には届かない。

戦士「だ、だが、それは可能性の話だ。周期云々については裏を取れるだろうが、その他は想像だろう!」

勇者「あぁ、これは俺の世界的なフラグ思考だ。だけど戦士も知ってるだろう」

勇者「俺達には一度した予言は外さない魔導師様が居るんだぞ」

魔導師「……会える……もう、戦うフラグは立ってる……」

賢者「魔導師さんは凄いねぇ……!! 賢者さんは悟ってるのに先読み系はからっきしなのよぉ」

 魔導師は恐る恐るながら、だがしっかりと全員に届くように言った。

 その確たる自信と意志のあるした言葉を聞いて、戦士は少し面を食らった様だ。

 だが、すぐに笑い出した。心底可笑しいという様で、勇者と魔導師を見る。

 荒々しく、地面を具足の先で乱暴に穿つ。

戦士「結局、フラグか。フラグフラグ五月蝿い奴だ」

戦士「……良いだろう、見極めてやんよ。そのご自慢のフラグ。今日!」

賢者「あ、仲直りですね。良かったぁ、心配しましたよぉ」

 言い争いは、終わった二人を見て、賢者は微笑んだ。


 勇者一行が最初の村を出発して暫くのこと。

 時間は丁度昼真っ盛りであり、太陽は南の空高くに昇っている。

 村と街道を取り囲む山の一つ。村人から怪しいと聞いたそれの中腹辺り。

勇者「なぁ、戦士」

 先頭で足場を確かめながら歩く勇者が口を開いた。

戦士「……なんだ?」

勇者「一つ確認したいことがある」

戦士「早く言え。まさか、またフラグとやらか?」

勇者「そうだ」

 勇者は慎重に獣道を歩きながら言う。時折、泥濘や隆起があるので、それを指差しながら登る。

戦士「はん、なんだよ。まさか、やっぱり盗賊団は居なさそうです。とでも言いたいのか?」

勇者「違う。多分、ほぼほぼの確率でここには盗賊団か、それに繋がる可能性があると思う」

戦士「じゃあ、何だ」

 余程勇者を嫌っているらしい戦士は苛立たしげに問い詰め、舌打ちをする。


 魔導師と賢者は日頃さほど運動をしないせいもあり、息絶え絶えの様子で懸命に山を登っている。

 勇者は途中何度か休憩は必要かと訪ねたが、真意の程は明かされず、二人にやんわりと断られ続けた。

 まだ結成して二、三日の勇者一行。互いのことが十分に知り合えていないのだ。

 そこで勇者は、気晴らしとばかりに、問いかけた。

勇者「戦士って彼氏とかいるのか?」

戦士「」

魔導師「いたっ」ドンッ

賢者「あ、あれ、どうしたん、ですか? 戦士さん」

 今晩のおかずは何?

 まるでその程度の事を聞くように、さも当然のように、勇者はアラサー間際の戦士に質問した。

 戦士はまた面を食らったような呆気な顔で、立ち止まる。

 それに、ほぼ足元しか見ずに歩いていた魔導師がぶつかり、賢者が立ち止まった。

戦士「……は……な……?」

勇者「花? いや、彼氏いるのかと聞いたんだけど」

戦士「」プルプル

>>52

いる
いない

すみません
上の安価は>>26でお願いします

当然いない

test


戦士「……い」プルプル

勇者「い……?」

戦士「……ッ!! 居ないッ!! 私は剣に生き、並み居る敵勢を斧で凪ぎ、槍一本より尊く愚直に国の為に身を投じる戦士!! 愚弄するか勇者ぁッ!!」チャキッ

 戦士は背負っていた大剣を勇者に向け、恫喝した。

 必死に、顔を真っ赤に、憤慨した。

賢者「戦士さん!! ちょっと!!」チャッ

魔導師「ふむふむ」ウンウン

 賢者は今にも剣で勇者に切りかかりそうな戦士へ、どこからか召還した鎖鎌を向ける。

 魔導師は何やら満足そうに頷く。

勇者「すばらしい」

戦士「あ!?」

勇者「素晴らしいぞ戦士ッ!!」ダキッ

戦士「!!??!!!」///

 しかし当の勇者は、向けられた大剣など構い無しに戦士に抱きついた。

勇者「その立派な貞操概念と愛国心……!! まさに、まさに僕が求めていた戦士!! そうだよな、居ないよな!! だが、それが良い!! まさかここまでとは驚いた!!」

戦士「ちょ、あ……」ドサッ

 突然の出来事に、顔が真っ赤なまま戦士はしどろもどろに足をよたつかせる。

 そしてこけた。

魔導師「戦士さん、うってつけ」グッ

勇者「うむ!! 一番ヤバいフラグは立たなくて済みそうだ!! ひょっほおおい!! 勝てる!! 勝てるぞ!!」ジタバタ

戦士「あ……や、な、なんだ!! はなっ、はなれっ!!」ジタバタ

 その後、五分くらい包容は続いた。

賢者「良かった……主よ、まだ導きは必要なさそうです」スッ

 賢者は誰にも気付かれないように鎖鎌を消す。


勇者「……あれじゃないか?」

 勇者一行は山頂に近付き、なだらかな斜面になっている山の一角に居た。

戦士「そ、そうだね勇者。討伐隊の報告でも、奴らは殆どテント生活で移動してるけど何個か拠点を持っているみたいって報告があったわ……うん」

魔導師「多分、あれ」

 勇者一行の視線の先には、一軒の家が在った。

 かなり大きく、畳に換算すると100畳弱ほどの一階立て木造建築である。

賢者「煙突からも煙が……割合は分かりませんが、少なくとも人は居るようですね」

勇者「あぁ……」

戦士「ど、どうしたの? 勇者?」

魔導師「いや、どうした戦士さん」

勇者「いや……少しだけ気掛かりがあって……まぁ、多分杞憂だよ」

賢者「緊張しているのですか? 大丈夫ですよ、私達は仮にも魔王討伐に選出された身……」

賢者「盗賊の一〇や五〇に遅れは取らないでしょう」チャキッ

 賢者は巨大な鎌を手元に召還し、微笑む。

勇者「慢心はマジでヤバいからやめてくれ。魔導師、大丈夫そうか?」

魔導師「うん、立ちかけたけど、まだ大丈夫」

勇者「ふぅ……賢者、いや、戦士も。僕達は確かに選ばれし戦士かもしれない」

勇者「けど、一人の人間だ。一人の人間を複数の人間が倒せない訳はない。気を引き締めて掛かろう」

賢者「も、申し訳ありません。頑張りましょう」フォンフォンフォンッ

戦士「それも、フラグ? ま、まぁ、確かに盗賊団を日の昇っているうちに見付けられたし」

戦士「ひとまずは信じるわ。べ、べつにそういう約束だったから信じるだけだから!!」

魔導師「おや……フラグの様子が?」

勇者「ハハハ……よし」

勇者「作戦通りに行こう」

書き溜め消化しましたので、これからは本当に亀速になります。
読んで下さっている方がもしいらっしゃいましたら、気長に構えて頂けると幸いです。

では、本日は以上です。

乙、
ジークって何だ書き換え忘れか?w

おつ

色々あるだろうけど、楽しみにしてるから頑張って

書けたので投下します。


 猫耳盗賊団、拠点ハウス内。

 ハウス内は、玄関扉を抜けるとすぐに大部屋、リビングがある。その奥にはまた扉があり、小部屋が幾つかあるという間取りになっていた。

 リビングには丸机に椅子、少し古びたソファーに長机が数台ある。その上には酒類やツマミが並んでいた。

猫耳A「んでよぉ! 最後にあいつ等どうしたと思う!? 鍬持って殴りかかって来やがった!!」ギャハハハ

猫耳B「勿論、尻穴もう一つこさえてやったんだろ?」プププ

猫耳C「いんや、女房をよくもぉぉとか言ってたからよ、可哀想だったから」

 昼間から酒を煽り、下世話な話に花を咲かせる。

 リビングには少なくとも三〇人は居る。

猫耳C「親切な俺は体二つにしてやって、仲良くネンネさせてやったよ」

 その光景を思い浮かべて、ドッと笑いが起こる。

猫耳B「お前らだけずりー! 俺なんて普通に酒と食糧貰っただけだぜ!」

 十人十色、様々な話題がリビングを飛び交う。

猫耳Y「何か臭わないか?」クンクン

猫耳DD「ん……誰か魚でも焦がしやがったか? 焦げ臭ぇぞ!!」

 最初に一人。次第に次々と。周囲に漂う酒気の中に混ざる、何かが焦げた臭い。

 猫耳達の一部がどよめきだした頃合いに、

<火事ダーッ!! キッチンが燃えてるぞおおお!!

<皆さん逃げて下さあああい!!

猫耳A「火事だと!?」

猫耳B「本当だ!! 奥から煙が来てやがる!! 逃げろぉおお!!」ウワアアアア

 リビングから奥に繋がる廊下から黒々とした煙が立ち込めてくる。

 木々を食らう炎もだ。

 誰も、避難を促す声が外から聞こえたなんて、考えない。

 そして、猫耳Cが慌てて玄関扉へ。

猫耳C「おい、退けノロマが!! 早く逃げんだよ!!」ガチャッ

猫耳C「」ドスッ

 真っ先に扉を開いた猫耳Cの頭が、鮮血を撒き散らして辺りに四散した。


戦士「……」ギリリリリ……

 玄関扉の一〇数メートル先に半身を切って立つ戦士。

 手には大弓が握られている。矢は既に絞られている。

賢者「戦士さんは本当に武芸に秀でていらっしゃるのですねぇ」

戦士「まぁ、弓や薙刀などは戦士の嗜み程度にしか手を付けていないがな」

賢者「かなり様になっていらっしゃいますよ……あら」チラッ

 扉を注視し続ける戦士と違い、周囲を見渡していた賢者は、盗賊団ハウスの裏側から何度か、チカチカと光がちらついたのを確認した。

賢者「どうやら、勇者様達は上手くやったようですね」

戦士「ふ、ふん。当然だろう」

賢者「では、そろそろ」

 賢者が息を目一杯吸う。

 だが戦士はそんな必要なく、一呼吸置いて。

<火事ダーッ!! キッチンが燃えてるぞおおお!!

<皆さん逃げて下さあああい!!

 と、叫んだ。

 ハウス内がざわつき始める。続いて騒がしくなる。

 そして、荒々しく扉が開かれた。

戦士「……ヒュッ」ビンッ

 戦士の放った矢は、太った中年の猫耳男の頭蓋を貫き、玄関先に一輪の華を咲かせた。

猫耳A「お、おい! しーー」ビチッ

戦士「……ヒュッ」ビンッ

 作業のように、戦士は倒れた猫耳の後ろ、次はその後ろと続いて頭、少し逸れて胸辺りを射抜く。

賢者「お上手ですねぇ」パチパチ

 賢者が拍手しながら、何かを呟く。魔法を行使する呪文である。

 足元から淡く蒼に輝きを纏い、賢者の手元に現れたのは。

賢者「炎の魔法は苦手なんですけどねぇ……ぽぉいっ」ゴォォオ!!

 人一人程度なら丸焼きに出来そうな炎の塊。

 それを賢者はアンダースローするように、猫耳盗賊団ハウスの屋根に向けて放つ。

 個体のようにも思えた炎はすぐに形を無くし、屋根の上を瞬く間に燃え広がった。


猫耳VV「やべぇ!! 王国の奴らだ!! お頭に連絡だ!!」

猫耳W「おい、窓から出ろ!! 糞!! 見張り組は何やってんだ!? 急げ! 崩れるぞ!!」
 
 痩せ気味の猫耳の一声で、猫耳達は玄関を諦め、蜘蛛の子を散らすように窓へ。

 無理矢理に飛び込んで、ガラスを突き破って外へ逃れる。

 しかし、ガラスの破片で身を切り刻んだ猫耳達は阿鼻叫喚の体で地面を転がる。

勇者「上手くいってるみたいだね」ザシュッザシュッ!!

魔導師「勝利フラグは、まだだけど」

 戦士達から見て右側の窓を選んだ者は、奥から歩いてきた勇者の刀の餌食となる。

 転がっている者、負傷して武器をすぐに構えられない者、窓枠に足を掛けた者。

 ついでに、着地したばかりの者を、勇者は刀で斬りつける。

 大概の者は致命傷ではないものの、再起不能。立ち上がれずにうずくまるしかない。

戦士「勇者……!! 無事で何よりだ」ビンッ

賢者「魔導師ちゃんも、お疲れ様ぁ」

魔導師「ちゃん……?」

勇者「あぁ、作戦通りに動けると信じてたよ」ズバッ

 勇者、魔導師、戦士、賢者。四人が無傷の状態で盗賊団ハウス前に集まる。

 同時に、盗賊団ハウスは屋根が倒壊し、大きな音を立てて崩れた。

猫耳J「て、てめぇ等!! 良くも無茶苦茶してくれやがったな!!」チャキッ

猫耳K「ぶ、ぶっ[ピーーー]!!」チャキッ

 勇者が歩いてきた逆側から這いだしてきた猫耳達は、勇者達を見て激昂。

「ふざけやがって!!」「生きて帰れると思うなよ!!」「男は腑引きずり出して烏の餌にしてやるぁ!!」「女は達磨にして死ぬまで遊んでやっからなぁ」

 猫耳達は口々に勇者達を罵り、手に剣や斧、ボウガンなどを構える。

 数は、一〇と八。

 大多数が勇者達の策に落ちたが、まだ勇者達の劣勢は変わらない。

猫耳B「お頭はどこだ!? まだ奥は崩れていねぇ! 誰か呼んでこい!!」

勇者「あぁ、大丈夫だよ。呼ぶ必要は無い」

 猫耳Bの言葉に勇者は手をひらひらと振り、魔導師からカーテンか何かを千切って上から何かを包んだような物を受け取る。

勇者「ほら」ポイッ

 勇者はそれを左右に広がる猫耳達の、ちょうど真ん中あたりへ投げる。

 ーーごろん。

 >>39

 何がくるまれていた?

1、首2つ
2、首1つ
3、宝石類
4、太い木の枝

ジークは書き間違いです、すみません。
次回は多分土曜日に書きにきます。

1

フィルターかかってる

メール欄にsagaって入れよう

saga調べました、ありがとうございます。
少しですが投稿させて頂きます。



 千切られたカーテン。それに大事に大事に包装されていたのは、猫耳男の首が二つ。

 おにぎり頭の首と、太り気味で顔に傷が多々ある首。

 どちらも断面からまだ血が滴り落ちていた。

猫耳CC「見張りの奴と……お頭!?」

猫耳FF「ひ、ひいいいっ!! あ、あ、悪魔だぁぁぁあ!!」

 それを見た猫耳達の半分は狼狽え、半分は恐怖に顔を歪める。

勇者「おいおい、ご挨拶だなぁ。僕たちは王国から派遣された勇者パーティーだ」

戦士「……シッ」ビンッ

 勇者の言葉の最中に、ここぞとばかりに戦士は大弓で手にボウガンを装着しているものの頭を胸部を撃ち抜いた。その数、二。


勇者「ここ数年……もしくは数十年に渡り略奪を繰り返され、年頃の娘に満足に食べさせてやれなかった」

勇者「結婚を誓い合った妻を陵辱の果てに殺された」

勇者「又は、汗水流して自分達の為に育てた作物を根刮ぎ奪われた村人達の牙なのさ」

 勇者は多人数相手に怖じ気もせずに、そう語る。


猫耳B「こ、これが王国のやり方なのかあああああ!!」チャキッ

 猫耳Bが斧を片手に振り上げ、勇者に向かって走る。

勇者「だから、僕達は勇者パーティーだって言ってるでしょ」ギィンッ

猫耳B「グッ……動かねぇ……!?」

 猫耳の渾身の一撃を、両手で握った刀で受け止める。

勇者「勇者ってのは、差し詰め暗殺部隊、または侵略部隊だ」

勇者「魔王って奴の領土を少数で蝕み、最終的にその王を殺す者、それが勇者」

勇者「そんな奴が、盗賊団をわざわざ生け捕る訳ないでしょ」キンッ

猫耳B「カハッ……!!」ブシュッ!!

 勇者は斧の勢いを外へ逸らし、いとも簡単に弾く。

 そして、真っ二つに斬った。


フラグ【勇者パーティー勝利:殺劇】が成立。

魔導師「勇者、フラグ!」

勇者「よし! 賢者、戦士! 一気に行こう!!」

戦士「おう」

賢者「分かりましたぁ」

 勇者は刀の身を流れる血を地面に振り払い、駆け出す。

 戦士は不慣れらしい大弓を賢者に渡して、背中の大剣を構える。

 賢者は大弓を手品のようにパッとどこかにしまい、代わりに鎌を取り出した。


 猫耳達は勇者パーティーに比べ、数では未だに三倍程度残ってるいる。

 だが、及び腰で武器を持つ者も居れば、恐怖で立ち竦んでいる者もいる。

 勝敗は火を見るより明らかなものだった。


 勇者様ありがとうございました。

 勇者様ご一行に栄光あれ。

 無敵の勇者様がいらっしゃれば王国も安泰です。

 猫耳盗賊団を殲滅した勇者一行は、宿屋に戻ってきた。

 皆一様に、暗い顔を浮かべている。いや、賢者だけは、無表情という方が正しい。

勇者「ありがとうございました……か」

勇者「改めて、勇者って免罪符の大きさには驚嘆させられるな」ハハハ…

 勇者は乾いた笑いを漏らし、俯く。

 腰に差したままの刀を、冷めた目で見つめる。


魔導師「……でも、仕方なかったよ。僕達じゃ、奇襲は出来ても捕縛する程の余裕はないから」ギュッ

戦士「勇者……その、なんだ。フラグってのを立てる為だったんだろ?」

勇者「……うん。多分、今回負ける可能性はかなり低かったと思う」

勇者「それに、今回はかなり良い戦績のはずだ。誰も傷一つ負ってない」

勇者「戦士に彼氏は居ないし、見張りの盗賊と親玉を先手必勝で潰せた」

勇者「良いこと尽くめだったはずなんだ……」

戦士「あ……うん? そう、だな?」


勇者「なのに、何故かもっと良い結末もあったような気がするんだ」

 勇者は、既に血を拭い、水で清めた刀を見つめ続ける。

 ふと、そこに誰かの血だけがこびりついているような気がした。

 勇者には、それが誰の血かは分からなかった。


フラグ【勇者パーティー敗北:逃走】

フラグ【勇者パーティー敗北:戦士が戦死】

フラグ【勇者パーティー勝利:暗殺者加入】

フラグ【勇者パーティー勝利:共食い】

フラグ【勇者パーティー勝利:勇者負傷】

 計五つのフラグが消滅しました。

魔導師(……ふむ、ふむ)

魔導師(伝えない方が良いか……)

 魔導師は頬を掻きながら、宿主が煎れてくれたすっかりと冷めた紅茶を飲み干した。

本日はここまでとなります、ありがとうございます

また、次回の安価だけ残しておきますので、お願いします。

>>50

次の行き先は?

1、港町
2、深森
3、洞窟



また間違えました
上記安価は>>53に変更します

乙乙。過去に戻って回収しそこねたフラグとか消滅したフラグとかを再回収したり、消滅したフラグがもし成立してたらというif展開も見てみたくなるよね。

地の文がくさい。
>その数、10と8
どっかの文庫に投稿するなら、こういうのはやめたほうがいいよ

おはようございます
投稿します。


 勇者一行が盗賊被害に遭っていた村を出発してから、早三日。

 特段語るべきこともなく、ただただ魔王の所在を求めて旅を続けていた。

 昼過ぎの暑い日差しの中を、少し弧を描いて続いていく道を歩く。

勇者「ふと思ったんだけど、魔物とかってこの世界には居ないのか?」

戦士「魔物か? 居るぞ」

勇者「え、どこに? 僕達が王国から出て丸一週間が経った訳だけど」

勇者「盗賊団くらいしかまだ敵らしい敵に会ってないよね」


賢者「んー、そうですねぇ。勇者様は魔物というのはどういう物をご想像ですかぁ?」

勇者「どういう物……か。それはまぁ、木の棒で殴れば死にそうなプルプルした半個体のやつから」

勇者「ふっとい腕六本あって、それぞれの剣で滅多切りにしてくるやつとかかな」

魔導士「ふむ……ふむ」

賢者「うふふ。魔物というのはですね、大体が巨大な竜で、一部に巨大な人型の物や巨大な海洋生物とかもいます」

勇者「大概が巨大な竜ってなんだ!? エンカウントしたら終わりじゃん!! レベル上げとかも出来ないじゃん!!」

戦士「レベル上げ……? まぁ、この人数でこの鍛度のメンバーだったら、竜の種類によっては全滅も有り得るな」

勇者「え、なに? オワコンなの? フラグ云々とかじゃなく実力で死ぬの?」

賢者「大丈夫ですよぉ、勇者様。この辺りに魔物は生息していませんし、殆どが単体で行動しています」

賢者「頑張れば何とかなりますよぉ」


賢者「んー、そうですねぇ。勇者様は魔物というのはどういう物をご想像ですかぁ?」

勇者「どういう物……か。それはまぁ、木の棒で殴れば死にそうなプルプルした半個体のやつから」

勇者「ふっとい腕六本あって、それぞれの剣で滅多切りにしてくるやつとかかな」

魔導士「ふむ……ふむ」

賢者「うふふ。魔物というのはですね、大体が巨大な竜で、一部に巨大な人型の物や巨大な海洋生物とかもいます」

勇者「大概が巨大な竜ってなんだ!? エンカウントしたら終わりじゃん!! レベル上げとかも出来ないじゃん!!」

戦士「レベル上げ……? まぁ、この人数でこの鍛度のメンバーだったら、竜の種類によっては全滅も有り得るな」

勇者「え、なに? オワコンなの? フラグ云々とかじゃなく実力で死ぬの?」

賢者「大丈夫ですよぉ、勇者様。この辺りに魔物は生息していませんし、殆どが単体で行動しています」

賢者「頑張れば何とかなりますよぉ」


魔導士「勇者は……魔物がうじゃうじゃ居た方が良いの?」

勇者「いいえ」キッパリ

賢者「もし仮に弱くとも魔物が村の周りとかにうじゃうじゃ居たとしたら、かなり危険な世界ですね」ウフフ

勇者「」

 まるで夢見がちな子供を諭すような賢者の笑みに、勇者はすっかり気恥ずかしくなってしまう。

戦士「それに、目下私達の目的は魔王討伐だが、恐らく回数的には人間相手の方が多くなるだろうな」

賢者「今は不安定な世の中ですからねぇ。協会のシスターですら夜な夜な裸でポールを挟んでがって腰を振る時代ですし」

魔導士「……下品」

賢者「あらあら、すいません魔導士さん?」ギュウー

魔導士「……苦しい」ムグゥ

勇者「……ふーん。なんだか、思ってたような旅とは違いそうだなぁ。魔王の居る城とかにはそんな魔物がうじゃうじゃ居るのかな」

戦士「あまり想像に難しくは無いが、今は忘れた方が良いな」

戦士「ま、まぁ……危なくなったら守ってやるよ……私は戦士がらな……!」

勇者「あはは、頼りにしてるよ」


勇者「ん? ……何かあるな……洞窟……か?」

賢者「洞窟ですね」

戦士「洞窟だな」

魔導師「……洞窟」

勇者「いや、別に繰り返さなくていいから。んー、洞窟かぁ」

勇者「街道が途切れてる事から、多分あそこを通るのが正規ルートなんだろうなぁ」

勇者「崖登りってのもあれだし、迂回するのは遠そうだし……賢者って何か光る魔法とか覚えてる?」

賢者「光る魔法ですかぁ? そうですねぇ……」

 賢者は立ち止まり、思案顔で考える。

 自ずと、一行も立ち止まる。

賢者「炎の魔法は、威力調整が難しいですしねぇ。万が一酸欠になると困りますし……」

戦士「辺り一面、草原か崖。松明を作れそうな木は無いな。油と布も無い」

賢者「んー……ちょっと皆さん離れててくれますか?」

勇者「ん、分かった」

 賢者の言葉通り、皆が二、三歩離れる。

 それを確認した賢者は、静かに、炎の魔法を出す時よりもハッキリと呪文を口ずさんだ。


賢者「全ての始まりとなりし原始の断片よ、今ここに我が魔を喰らわせ現出させん。希望と混沌の末端よ、その力を示せ」パァァァ……

 賢者の足元から、自らの魔力が蒼く淡い光となって溢れ出す。

勇者「え、なんか期待してたのと違う」

賢者「ビッグバン」

勇者「え、ちょ」

戦士「ひ、ひかりが……!!」

 賢者を中心に、直視出来ないほどの眩い輝きが生まれ、膨張していく。

魔導師「古代魔法……!! そんな、使える人間が……!?」

勇者「えっ、ちょっと明かりを頼んだだけなんだけど!?」

 勇者達の影が消え、輪郭すらも朧気になる。

 勇者は悲鳴をあげ、どうやら尻餅をついたようだ。

勇者「うわあああああ!! あ……あ……ん……?」

 てっきり爆発すると思って身構えた勇者。

 しかし想像とは裏腹に、光は徐々に賢者の元へ収束……いや、圧縮されていく。

賢者「ふぅ……久しぶりでしたけど、出来るものですね」ピカピカ

勇者「なん、だそれ?」

 賢者はにこりと笑い、手元で少し浮いている、およそ野球ポール大になった光の玉を勇者に見せる。


戦士「小さいが、かなりの光だ。直視すると目が焼かれるな」

勇者「おぉ……何か過程はぶっ飛んでたけど、割とまともな……」

 勇者は光球を指でツツこうと手を近付ける。

賢者「あ、触ると多分爆発しますよ。勇者様の指が」

勇者「あ、あぶねぇ!!」スッ

賢者「炎魔法と光魔法の応用です。魔導師さんはご存知のようですね」

魔導師「……有名。だけど使える人は少ない」

賢者「簡単に言うと、太陽光を鏡状にコーティングされた魔力体の中に封じ込めて、内部で増幅させています」

賢者「ある程度になったら、倍化魔法の法則に則り増幅は止まりますが、その頃には然るべき解除をしないと」

賢者「大体半径十メートルが消失しますね」

勇者「……よくわからなかったけど、詰まり触らなかったらいいんだな」

賢者「その通りですぅ」

勇者「……よし」

 勇者は鎧臀部に付着した砂を手で叩き、咳払いをする。

勇者「とりあえず行くか」

戦士「あぁ、そうだな。賢者は悪いけど最後尾を頼む。眩しい」

賢者「了解しました?」

 勇者一行は洞窟へと入っていった。


 余りにも眩い光魔法。

 後続している賢者は結構離れているはずなのに、洞窟を数メートル先まで照らしている。

 賢者の目は大丈夫なのかと勇者が質問したところ、自分が放った魔法は自分に対してかなり軽減されたダメージになるとのことだった。

勇者「後ろが眩しいからか、光が届く限界を越えると全くもって闇だな」

賢者「薄気味悪いですねぇ。お化けとかが出そうですねぇ」ウフフ

魔導師「お化けなんて、いない。居るとしたら、魔物」

戦士「……」

勇者「どうかしたか戦士? さっきから殆ど喋らないじゃないか」

戦士「……いいや」

勇者「そうか? もしかしてお化けが怖いとかかぁ?」ニヤニヤ

戦士「お化けなぞ、所詮は元人間だろう。倒せない道理は無い……それよりもだ」

勇者「ん?」

戦士「魔物は居ないのだろうか」

勇者「ん? この辺りには生息していないんじゃないのか?」

戦士「いつの世もそうだが、常識というのは伝聞でしかない」

戦士「確かにこの辺りには魔物が生息していない、と言われている」

 勇者達は左右の分かれ道にぶつかるも、迷わず左に進んだ。

 決め事として、情報の無い分かれ道は、まず左に進むということにしているのだ。


戦士「だが、生息していないだけで移動してくる可能性はある」

戦士「そして、まぁ、あまり想像したくはないんだが……」

賢者「伝える者が死ねば、誰も発見しない。生息していないということになりますねぇ」

賢者「このご時世です。余程の被害が無ければ事故や野盗に襲われた事になります」

 勇者達はまだ左に進む。

勇者「なるほど……魔導師、何かフラグの気配はあるか?」

魔導師「……調べてみる」

 頼む、と勇者に言われた魔導師。

 魔導師は怖ず怖ずと目を閉じ、短く息を吐く。

魔導師「……フラグ、立ち掛けてる」

勇者「なんだって!?」

戦士「どういうものだ!?」

魔導師「まだ成立はしてないから少し曖昧……だけど、戦闘系のフラグであることは確か」

勇者「戦闘系……か。これは、一度引き返した方が良いか?」チラッ

魔導師「……進んで成立するのか、洞窟を迂回して成立するのかまでは分からない」

戦士「進退、どちらにせよという可能性もあるということか」

勇者「クッ……どうするか……」

賢者「それならば、進んではどうでしょうかぁ。どちらにせよ、向こう側には行かなきゃならないのですから」

勇者「ふむ……うーん……うん。……そうだな、進もう」

勇者「ただ、賢者以外はいつでも戦闘が始まっても良いように身構えよう」


戦士「確かに、漠然とした未来への不安よりは、有るか無いかは置いて、戦闘という確かな形で示されるとやりやすい」

戦士「意外に便利なモノだな、魔導師の能力は」

魔導師「……えっへん。専門過程の設立プリーズです」

戦士「この旅で有効性が証明されれば、無い未来ではないな」

勇者「その時は魔導師が先生か。ははっ、似合わないな」

 似合わないと言われ、魔導師がブーイング。

勇者「……どれくらい歩いただろう」

賢者「20分ほどですねぇ。昔拝見した世界地図の記憶を思い出す限り」

賢者「ようやく半分程度ということでしょうか」

勇者「結構広い洞窟なんだな……ん?」ピトッ

 勇者の頬に、何かがへばりついた。


勇者「水か?」フキフキ

 軽鎧の隙間にしまっていたハンカチでそれをぬぐい取る。

 べたぁ、と、嫌な滑り気が伴った。

魔導師「……んん?」

勇者「なんだこれ、くっせ……」

勇者「ん……?」

 勇者が上を見上げると、高い洞窟の天井から、大きななにかがガバッと開いた。

>>70

次の行動。

1、戦士が勇者と何かの間に割り込む。

2、賢者がビッグバンを投擲する。

3、魔導師「勇者それフラグ!! 避けて!!」と叫び、回避を促す。

4、勇者が剣を抜いて防御しようとする。

本日はここまでです。

皆様、乙ありがとうございます。頑張ります。

また、指摘や提案は大変ありがたいです。

もしかしたら、安価次第では夜に投下出来るかと思います。

では、宜しいくお願いします。

無難(?)に3

3

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