勇者「お前が魔王か!!」淫魔「ええそうよ…」(26)

「まさか、女だったとはな…」

「相手が女性でも、私たちの使命は変わりません!」

「そうよ!こいつを倒す!そして…世界に平和を取り戻すの!」

勇者「ああ!油断するなよ!?戦士!僧侶!魔法使い!」

戦士「おう!言われなくても分かってるぜ!なあ!」

僧侶・魔法使い「「ええ!」」

淫魔「…」

勇者「覚悟しろ魔王!何十年も虐げられてきた人々の苦しみ、その身で償え!!」

淫魔「威勢がいいのね…」

僧侶「馬鹿にしてるんですか!?」

淫魔「ううん、単純に元気だなって…それと、一つ訂正」

魔法使い「何よ」

淫魔「長年人間を苦しめたの、私じゃないのよ」

勇者・戦士「「な、何!?」」

僧侶「そんなの嘘です!」

魔法使い「今更命乞いのつもり?」

淫魔「ううん、だって、私が魔王になったの、半年前だもの」

戦士「な!そんな話、一言も…!」

淫魔「ただでさえあなたたち人間は魔界についての情報が少ないもの、知らないのも無理ないわ」

僧侶「一体何が…」

勇者「…答えろ。どうしてそんな最近魔王が入れ替わったのか」

淫魔「何から話したものかしら…とりあえず、あなたたち、私は何だと思う?」

勇者「サキュバス」

戦士「淫魔」

僧侶「露出狂」

魔法使い「痴女」

淫魔「前半が正解よ」

淫魔「そのサキュバスについて、どう思…」

勇者「本来魔王になれるような強大な魔物ではないとして、どうこれからにつながる?」

淫魔「察しがいいのね…続けるわよ?魔界で王位を継承する方法は二つ…」

魔法使い「世襲、もしくは現魔王を倒す、そして」

戦士「てめえは後者を取った」

淫魔「そうよ、正解。先回りしてくれて、話すのが楽ね」

僧侶「そして、あなたが言いたいのは、前魔王をどう倒したか、では?」

淫魔「そうよ、結論から言うと、腹上死させちゃった」

勇者・戦士・僧侶・魔法使い「「は…!?」」

淫魔「イケメンや魔力の強い雄から吸い取って生きてきたの。で、その標的の中に魔王様がいた、それだけよ」

勇者「ば、馬鹿な!魔王まで標的だと!?」

淫魔「でもさすがは魔王様ね、あの時は私も正気を失ったわ。気付けば三日三晩吸い取り続けていたもの」

魔法使い「そんな…」

僧侶「不潔…」

戦士「何やかんや魔王も絶倫だったのな」

淫魔「さて、ここまで来ると、察しのいいあなたたちなら分かるんじゃないの?」

戦士「てめえの次の標的が…」

勇者「俺たち二人だってことか…」

淫魔「そうよ、大正解!」

僧侶「そんなこと!」

魔法使い「させると思う!?」

淫魔「悪いけど、同性に興味はないの。親衛隊長、頼むわよ」

親衛隊長「御意…」

勇者「な!」

戦士「ドラゴンだと!?」

淫魔「余所見をしてる余裕があるの…?」

勇者・戦士「「っく…!」」

魔法使い「あたしたちだけでやるしかないわね」

僧侶「烈風招来!」

親衛隊長「この程度、涼風に…」

魔法使い「八寒地獄!八方から来る氷の杭は防げないでしょ!」

僧侶「私たちの勝ち…!」

親衛隊長「馬鹿共が…ふん!」

僧侶「そんな!」

魔法使い「あたしの最大術が一瞬で…!それに、ドラゴンが魔法!?」

親衛隊長「先代魔王直伝、レーヴァテインだ…」

親衛隊長「あっけなかったな…」

魔法使い「何よ!すぐに戦士たちがあんたなんか…!」

親衛隊長「ほう、あれを見てまだそう言えるか…」

僧侶・魔法使い「「え…?」」

戦士「ぐあ…!」

魔法使い「戦士!」

淫魔「これで、右肩に続いて左肩も上がらなくなったわね…」

勇者「くそ!一体何をされてるんだ、俺たちは…!」

淫魔「ふふ、つぼを突いてるだけよ」

親衛隊長「奴は、勤勉な淫魔だった…快楽のつぼを学ぶうち、戦闘にも転用可能なことを知り、その戦い方を極めた…」

僧侶「で、でも!鎧の上からじゃ…」

親衛隊長「戦闘時につぼを突く正確性だ、継ぎ目を狙うくらいは容易い…」

魔法使い「そんな…」

勇者・戦士「「う…ぐあ…」」

淫魔「ふふふ、これで全員制圧完了ね…じゃあ早速…」

僧侶・魔法使い「「やめて!!」」

親衛隊長「貴様らは大人しく死んでろ…」

淫魔「待って…」

親衛隊長「陛下…?」

淫魔「世の中には、見られて興奮する男性もいるそうだし、彼女たちは生かして見届けさせましょ?」

勇者・戦士・僧侶・魔法使い「「な…!」」

親衛隊長「…御意…」

淫魔「さて、まずはあなたから」

勇者「俺か…」

僧侶「やめて!勇者様は、勇者様は!!私何でもしますから!勇者様だけは!!」

淫魔「あら、あなたたち、恋仲だったの?」

勇者「ち、違う!俺たちは別に…!」

淫魔「怯えなくてもいいわ、あなたたちが恋仲だからといって特別何かする訳じゃないから…」

淫魔「さて…魔王様は、三日目の朝までは確か息があったけど、あなたはどこまで持つかしらね…」

勇者「っくそ…!」

勇者「や、やめろ!俺に触れるな!!」

淫魔「残念だけど、その願いは聞き届けられないわ」

勇者「うっく…!俺はこんなことじゃ屈しないぞ!」

淫魔「意志が強いのは立派ね…でも、生理的な刺激には関係ないのよ、そんなものは…」

僧侶「勇者様にそれ以上触らないで下さい!」

淫魔「確かに触れずに進める方法もあるけど、あなたの言うことに従う気はないの」

僧侶「触らないで!!」

勇者「う…く、はあ…はあ…は、離れ、ろ…」

淫魔「そろそろかしら…」

僧侶「触るな!!」

淫魔「まずは口にもらいましょうか、あむ」

勇者「…うっ…!」

僧侶「勇者様あああぁぁ!!ゆ、許さない!絶対に…!!」

淫魔「んく…あなた、冒険者としては一流なのでしょうけど、雄としては並ね」

戦士「て、てんめえ!!」

魔法使い「何なの…?何この状況…夢よね?誰かそう言ってよ…!」

親衛隊長「夢ではない…紛れもなく現実だ…」

淫魔「そうよ。今彼から搾り取ったのも、これから命尽き果てるまで搾り取るのも全て…現実のことよ」

僧侶「もうやめて!!」

淫魔「さあ、続けましょうか」

勇者「み、見ないでくれ…僧侶…うっ…!」

僧侶「勇者様…勇者様…」

勇者「頼む、こんな姿、僧侶には…っく…」

淫魔「それはお勧めしないわ」

戦士「てめえこれ以上僧侶を苦しめるつもり…!!」

淫魔「いいえ。愛しい人の生きている姿も見納めなのだから、最期の一瞬まで目を反らさず、見届けた方がいいと思うの」

魔法使い「誰のせいだと…!」

勇者「僧侶…うう…見るな…」

僧侶「勇者様…勇者様…ああ……」

僧侶「…ああ…勇者様……勇者…さ、ま……お願い…ですから…目を…開けて……」

勇者「」

淫魔「半日か…思いの外早かったわね」

戦士「この野郎!!」

淫魔「単純に考えて、雄としての魅力は魔王様の6分の1しかないのね」

戦士「それ以上言ったらぶっ殺す!!あいつのことをこれ以上悪く…!!」

淫魔「そう興奮しなくても、今からあなたの番よ」

魔法使い「だめ!そんなの、あたしが絶対許さない!!」

親衛隊長「貴様の魔力は、この宝玉に封じられている…どうあっても座視する他あるまい…」

魔法使い「あああああああああ!!!」

戦士「…く、くそが…!いい加減に、しやがれ…!」

魔法使い「戦士!しっかりして!戦士!!」

淫魔「ふふ、あなた、兵力としては勇者より低く見られてるみたいだけど、多分何かの間違いよ」

僧侶「…勇者…ゆ…う……」

淫魔「彼が死んだ半日に至ってまだ、彼の最初と同じくらいの量と濃さなんだもの」

戦士「黙れ、下衆が…!覚えてろよ…?てめえには、100億倍返し…してやるからな…」

淫魔「無理よ…遠からずあなたも死ぬの。だから復讐なんて無理よ」

魔法使い「やめてよ!もう気は済んだでしょ!?戦士だけでもいいから解放してよ!!」

淫魔「…ん…っく……は…はあ……あなた、勇者よりもすごいのね…今何日目…?」

親衛隊長「3日目です…」

魔法使い「戦士!戦士いいぃぃぃ!!」

淫魔「ふふ…魔王様よりすごいかもね、あなた…」

戦士「…絶対殺す…八つ裂きに……血みどろに……塵も…」

淫魔「うわ言でもしゃべる気力があるなんて、魔王様なんてもう超えてるわ」

戦士「…故郷で……使いと…に……牧場……」

淫魔「…あは!…最期まで、楽しませてね…?」

魔法使い「いやああああああああああ!!!」

おしまい

ほら、腹上死って憧れてる人がいるよね

そんな願いが通じて、いま彼らは幸せなのかな

これは"たとえば"の話だけど

彼らが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン

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