「まさか、女だったとはな…」
「相手が女性でも、私たちの使命は変わりません!」
「そうよ!こいつを倒す!そして…世界に平和を取り戻すの!」
勇者「ああ!油断するなよ!?戦士!僧侶!魔法使い!」
戦士「おう!言われなくても分かってるぜ!なあ!」
僧侶・魔法使い「「ええ!」」
淫魔「…」
勇者「覚悟しろ魔王!何十年も虐げられてきた人々の苦しみ、その身で償え!!」
淫魔「威勢がいいのね…」
僧侶「馬鹿にしてるんですか!?」
淫魔「ううん、単純に元気だなって…それと、一つ訂正」
魔法使い「何よ」
淫魔「長年人間を苦しめたの、私じゃないのよ」
勇者・戦士「「な、何!?」」
僧侶「そんなの嘘です!」
魔法使い「今更命乞いのつもり?」
淫魔「ううん、だって、私が魔王になったの、半年前だもの」
戦士「な!そんな話、一言も…!」
淫魔「ただでさえあなたたち人間は魔界についての情報が少ないもの、知らないのも無理ないわ」
僧侶「一体何が…」
勇者「…答えろ。どうしてそんな最近魔王が入れ替わったのか」
淫魔「何から話したものかしら…とりあえず、あなたたち、私は何だと思う?」
勇者「サキュバス」
戦士「淫魔」
僧侶「露出狂」
魔法使い「痴女」
淫魔「前半が正解よ」
淫魔「そのサキュバスについて、どう思…」
勇者「本来魔王になれるような強大な魔物ではないとして、どうこれからにつながる?」
淫魔「察しがいいのね…続けるわよ?魔界で王位を継承する方法は二つ…」
魔法使い「世襲、もしくは現魔王を倒す、そして」
戦士「てめえは後者を取った」
淫魔「そうよ、正解。先回りしてくれて、話すのが楽ね」
僧侶「そして、あなたが言いたいのは、前魔王をどう倒したか、では?」
淫魔「そうよ、結論から言うと、腹上死させちゃった」
勇者・戦士・僧侶・魔法使い「「は…!?」」
淫魔「イケメンや魔力の強い雄から吸い取って生きてきたの。で、その標的の中に魔王様がいた、それだけよ」
勇者「ば、馬鹿な!魔王まで標的だと!?」
淫魔「でもさすがは魔王様ね、あの時は私も正気を失ったわ。気付けば三日三晩吸い取り続けていたもの」
魔法使い「そんな…」
僧侶「不潔…」
戦士「何やかんや魔王も絶倫だったのな」
淫魔「さて、ここまで来ると、察しのいいあなたたちなら分かるんじゃないの?」
戦士「てめえの次の標的が…」
勇者「俺たち二人だってことか…」
淫魔「そうよ、大正解!」
僧侶「そんなこと!」
魔法使い「させると思う!?」
淫魔「悪いけど、同性に興味はないの。親衛隊長、頼むわよ」
親衛隊長「御意…」
勇者「な!」
戦士「ドラゴンだと!?」
淫魔「余所見をしてる余裕があるの…?」
勇者・戦士「「っく…!」」
魔法使い「あたしたちだけでやるしかないわね」
僧侶「烈風招来!」
親衛隊長「この程度、涼風に…」
魔法使い「八寒地獄!八方から来る氷の杭は防げないでしょ!」
僧侶「私たちの勝ち…!」
親衛隊長「馬鹿共が…ふん!」
僧侶「そんな!」
魔法使い「あたしの最大術が一瞬で…!それに、ドラゴンが魔法!?」
親衛隊長「先代魔王直伝、レーヴァテインだ…」
親衛隊長「あっけなかったな…」
魔法使い「何よ!すぐに戦士たちがあんたなんか…!」
親衛隊長「ほう、あれを見てまだそう言えるか…」
僧侶・魔法使い「「え…?」」
戦士「ぐあ…!」
魔法使い「戦士!」
淫魔「これで、右肩に続いて左肩も上がらなくなったわね…」
勇者「くそ!一体何をされてるんだ、俺たちは…!」
淫魔「ふふ、つぼを突いてるだけよ」
親衛隊長「奴は、勤勉な淫魔だった…快楽のつぼを学ぶうち、戦闘にも転用可能なことを知り、その戦い方を極めた…」
僧侶「で、でも!鎧の上からじゃ…」
親衛隊長「戦闘時につぼを突く正確性だ、継ぎ目を狙うくらいは容易い…」
魔法使い「そんな…」
勇者・戦士「「う…ぐあ…」」
淫魔「ふふふ、これで全員制圧完了ね…じゃあ早速…」
僧侶・魔法使い「「やめて!!」」
親衛隊長「貴様らは大人しく死んでろ…」
淫魔「待って…」
親衛隊長「陛下…?」
淫魔「世の中には、見られて興奮する男性もいるそうだし、彼女たちは生かして見届けさせましょ?」
勇者・戦士・僧侶・魔法使い「「な…!」」
親衛隊長「…御意…」
淫魔「さて、まずはあなたから」
勇者「俺か…」
僧侶「やめて!勇者様は、勇者様は!!私何でもしますから!勇者様だけは!!」
淫魔「あら、あなたたち、恋仲だったの?」
勇者「ち、違う!俺たちは別に…!」
淫魔「怯えなくてもいいわ、あなたたちが恋仲だからといって特別何かする訳じゃないから…」
淫魔「さて…魔王様は、三日目の朝までは確か息があったけど、あなたはどこまで持つかしらね…」
勇者「っくそ…!」
勇者「や、やめろ!俺に触れるな!!」
淫魔「残念だけど、その願いは聞き届けられないわ」
勇者「うっく…!俺はこんなことじゃ屈しないぞ!」
淫魔「意志が強いのは立派ね…でも、生理的な刺激には関係ないのよ、そんなものは…」
僧侶「勇者様にそれ以上触らないで下さい!」
淫魔「確かに触れずに進める方法もあるけど、あなたの言うことに従う気はないの」
僧侶「触らないで!!」
勇者「う…く、はあ…はあ…は、離れ、ろ…」
淫魔「そろそろかしら…」
僧侶「触るな!!」
淫魔「まずは口にもらいましょうか、あむ」
勇者「…うっ…!」
僧侶「勇者様あああぁぁ!!ゆ、許さない!絶対に…!!」
淫魔「んく…あなた、冒険者としては一流なのでしょうけど、雄としては並ね」
戦士「て、てんめえ!!」
魔法使い「何なの…?何この状況…夢よね?誰かそう言ってよ…!」
親衛隊長「夢ではない…紛れもなく現実だ…」
淫魔「そうよ。今彼から搾り取ったのも、これから命尽き果てるまで搾り取るのも全て…現実のことよ」
僧侶「もうやめて!!」
淫魔「さあ、続けましょうか」
勇者「み、見ないでくれ…僧侶…うっ…!」
僧侶「勇者様…勇者様…」
勇者「頼む、こんな姿、僧侶には…っく…」
淫魔「それはお勧めしないわ」
戦士「てめえこれ以上僧侶を苦しめるつもり…!!」
淫魔「いいえ。愛しい人の生きている姿も見納めなのだから、最期の一瞬まで目を反らさず、見届けた方がいいと思うの」
魔法使い「誰のせいだと…!」
勇者「僧侶…うう…見るな…」
僧侶「勇者様…勇者様…ああ……」
僧侶「…ああ…勇者様……勇者…さ、ま……お願い…ですから…目を…開けて……」
勇者「」
淫魔「半日か…思いの外早かったわね」
戦士「この野郎!!」
淫魔「単純に考えて、雄としての魅力は魔王様の6分の1しかないのね」
戦士「それ以上言ったらぶっ殺す!!あいつのことをこれ以上悪く…!!」
淫魔「そう興奮しなくても、今からあなたの番よ」
魔法使い「だめ!そんなの、あたしが絶対許さない!!」
親衛隊長「貴様の魔力は、この宝玉に封じられている…どうあっても座視する他あるまい…」
魔法使い「あああああああああ!!!」
戦士「…く、くそが…!いい加減に、しやがれ…!」
魔法使い「戦士!しっかりして!戦士!!」
淫魔「ふふ、あなた、兵力としては勇者より低く見られてるみたいだけど、多分何かの間違いよ」
僧侶「…勇者…ゆ…う……」
淫魔「彼が死んだ半日に至ってまだ、彼の最初と同じくらいの量と濃さなんだもの」
戦士「黙れ、下衆が…!覚えてろよ…?てめえには、100億倍返し…してやるからな…」
淫魔「無理よ…遠からずあなたも死ぬの。だから復讐なんて無理よ」
魔法使い「やめてよ!もう気は済んだでしょ!?戦士だけでもいいから解放してよ!!」
淫魔「…ん…っく……は…はあ……あなた、勇者よりもすごいのね…今何日目…?」
親衛隊長「3日目です…」
魔法使い「戦士!戦士いいぃぃぃ!!」
淫魔「ふふ…魔王様よりすごいかもね、あなた…」
戦士「…絶対殺す…八つ裂きに……血みどろに……塵も…」
淫魔「うわ言でもしゃべる気力があるなんて、魔王様なんてもう超えてるわ」
戦士「…故郷で……使いと…に……牧場……」
淫魔「…あは!…最期まで、楽しませてね…?」
魔法使い「いやああああああああああ!!!」
おしまい
ほら、腹上死って憧れてる人がいるよね
そんな願いが通じて、いま彼らは幸せなのかな
これは"たとえば"の話だけど
彼らが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン
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