巨漢「ガキ共と一緒に魔王を倒す旅に出ることになった」(17)

酒場

勇者「ここで仲間を集められるのか」

魔法使い「ああ、冒険者達の集会所だからな」

勇者「それじゃあ早速……」

巨漢「おいおい~僕ちゃんたち~?ここはガキの来るところじゃねぇぞ?」
  (訳 どうしました?ここには荒れている人が多いので用がないなら早く立ち去った方がいいですよ)

魔法使い「うわぁ…こんな典型的な奴って本当にいるんだ…」

勇者「…僕は勇者、魔王討伐の旅のため仲間を探してここに来た」

巨漢「ほぉ~?噂に聞く勇者様がこんなガキだとは思わなかったぜ」
  (訳 噂には聞いていましたが貴方のような若者にそんな残酷な試練が課せられるとは…)

勇者「…僕はあまり暴力は好きではない、しかしこれ以上馬鹿にすると言うのなら……」

巨漢「おおっと、おびえさせちまったかな?」
  (訳 言葉遣いが汚くてスミマセン…)

勇者「警告はしたからな!ハァッ!」ドゴッ

魔法使い(腹に一撃、漫画みたいだなぁ)

巨漢「おいおい?そんなんじゃアンタの拳を痛めるだけだぜ?」
  (訳 拳大丈夫ですか?怪我してませんか?)

魔法使い(なっ…!?勇者のパンチを受けてビクともしないだと!?)

勇者「……」ポカーン

巨漢「こんな雑魚に世界の命運が託されてるって言うんだから嘆きたくなるぜ…」
  (訳 まだまだ実力不足ですが才能は感じました、さすが勇者様)

魔法使い「…て、手加減したのか…?」

勇者「いや、全く」

巨漢「魔王ごとき俺様にかかれば一捻りよ、どうだ?俺様を雇わないか?」
  (訳 私は力には自信があります、もしよかったら勇者様のお手伝いをさせて頂けないでしょうか?)

魔法使い「た、たしかに近接戦をできる人は探してたけど……なぁ?」

勇者「……貴方、名前は?」

巨漢「俺様は巨漢、世界一どデカイ人間を目指している」
  (訳 私は巨漢、大樹のように大きな優しい心を目指している者です)

勇者「巨漢さんか…これからよろしくお願いします」

魔法使い「ちょっ…!お前本気か!?」

勇者「彼は強い、魔王を倒すために力がいる、形振り構ってる暇はないさ」

勇者「でも、悪事はしないで下さいよ?」

巨漢「ヘヘッ!承知でさぁ旦那ぁ」
  (訳 分かりました、勇者様)




僧侶「よ、よろしくお願いします」ビクビクッ

巨漢「よろしくな」ニタァ
  (訳 よろしくお願いします)ニコッ

魔法使い「おい…アイツ犯罪者みたいな顔してるけど……大丈夫か?」

勇者「と、とにかく回復役も揃ったし魔王を倒す旅の始まりだ!えい!えい!オー!」バッ

僧侶「おー……」ビクビクッ

巨漢「うおおおおぉおおおおおぉぉぉおおお!!!」ブンッ
  (訳 おー!)

魔法使い(獣みてぇだ)

草原

犬型魔物「グルルルゥ……」

勇者「! 敵か!」シャキンッ

魔法使い「俺たちの初陣か!やってやるぜ!」

僧侶「が、頑張ります!」

巨漢「へぇ~、可愛いワンちゃんじゃねぇか……」ニヤッ
  (訳 可愛らしい犬ですね)

犬型魔物「グルゥ…」

勇者「先手必勝だ!」バッ

巨漢「待ちやがれ!」ガシッ
  (訳 待って下さい!)

勇者「えっ!?何してるんですか巨漢さん!?というか剣を素手で握りしめて大丈夫なんですか!?」

巨漢「あの犬は本来森の奥に生息している大人しい連中だ」
  (訳 あの犬は本来森の奥に生息している魔物です、人間を襲うことはありません)

巨漢「森で何かあったんだろーよ…そいつを解決すんのが優先だ、こんな雑魚に構ってる暇はねぇ」
  (訳 きっと森で何か異変が起きたんでしょう、この犬を斬ることは正しい道ではありません)

勇者「でもコイツらは村を襲うかもしれませんよ?もしそうなったら取り返しがつかなくなってしまいますよ?」

巨漢「だったら躾れてやればいいじゃねぇか」
  (訳 魔物にだって心は有ります、心に語りかけるのです)

犬型魔物「グルルルゥ!!」ザッ

巨漢「お手」ヌッ
  (訳 ほら、お手して下さい)

犬型魔物「ガアアァッ!」ガブッ

巨漢「へへっ、いい子だなぁ」ニタァ ゴゴゴゴゴゴゴッ
  (訳 甘咬みですか?可愛いですねぇ)ニコッ

巨漢「どれ、軽ーく撫でてやるか」ヌッ ドドドドドッ
  (訳 いい子いい子してあげますね)

犬型魔物「」ガクガクッ

魔法使い「魔物を威嚇だけで沈めやがった……」

僧侶(今の威嚇だったのかな?)

巨漢「おっ?眠ちまったか?なら先を急ごうぜ」
  (訳 眠ってしまいましたか、疲れてたんでしょうね、それでは急いで森に行きましょう)



魔法使い「なんだか薄気味悪い森だな」

勇者「そういえば魔王軍がこの森で何かしているって噂を聞いたことがあったな」

魔法使い「それって結構ヤバい話なんじゃないの?」

僧侶「あっ、見てください、あんな所に洞窟がありますよ」

勇者「入り口から見えるアレは…骨?」

巨漢「いかにも大物の根城って感じだな」
  (訳 賢い生物ほどしっかりとした住処を作ります、気を付けてください)

魔法使い「とりあえず入ってみるか?それとも待ち伏せるか?」

ザグッ ザグッ ザグッ ザグッ

勇者「! どうやら選択の余地は無いみたいだぞ…!」ザッ

???「客人か?歓迎するぜ」ヌッ

僧侶「オーク…ですか…?」

魔法使い「体長が普通のオークの三倍はあるぞ、どうなってんだ一体?」

巨漢「なんだ、ただデカいだけの豚か」
  (訳 大き過ぎますが確かにオークのようですね)

勇者「お前は何者だ?ただの魔物には見えないが…」

改造オーク「俺は改造オーク、魔王様の力により強靱な肉体を与えられた魔王様の忠実なる僕だ」

魔法使い「その僕がなんでこんな辺鄙な所にいるんだ?」

改造オーク「改造されてからやたらと腹が減るようになってな、訓練中に美味しそうに見えた同僚を殺して食っちまってよ追放されたんだ」

改造オーク「この森は良い、茸、木の実、魚、雑草、魔物、人間……食事に飽きることがない」

巨漢「つまりテメーが異変の原因ってわけか」
  (訳 つまり貴方が森の生態系を壊していたんですね?)

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