ワールドカップ開催まで、残すところあと僅かとなった。
全世界のサポーターたちが、今や遅しとその日を待ちわびている事だろう。
そこで、今回は2つのチームを紹介させてもらいたい。
両チームともに知名度は低いものの、実力のある選手が揃っている。
もしこれを読んでいる貴方が試合を観戦する時、
これから紹介するチームが戦っているかもしれない。
その時はぜひ、心の中で彼らにエールを送って欲しい。
それでは、早速紹介を始めよう。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402145593
□□□■□□□□□ FW 勇者
□□□□□■□□□ FW 武闘家
□□□□□□□□□ FW
□□□□■□□□□ MF 賢者
□■□□□□□■□ MF 盗賊 商人
□□□■□■□□□ MF 魔物使い 魔法使い
□□□□□□□□□ DF
□■□□■□□■□ DF 遊び人 僧侶 踊り子
□□□□□□□□□ DF
□□□□■□□□□ GK 戦士
まず最初に紹介するのは「人族代表チーム」である。
かつて日本代表等で運用された3-5-2システムを採用している。
または3-4-1-2とも。
ストライカーの勇者は運動量と決定力が持ち味だ。
守備にも献身的に参加し、ピッチ上を所狭しと走り回る。
ゴールに対する嗅覚が鋭敏で、ここぞという時に決めてくれる頼もしい存在。
ただし、ボールを長く持ちすぎる傾向がある。
自陣ペナルティエリア内で奪ったボールをそのまま相手ゴール前までドリブルで持って行き、
そこでボールを失って逆にカウンターを喰らう場面もしばしば。
武闘家はスピードに優れた選手である。
ディフェンスラインの裏への飛び出しはお手の物。
好調時には鋭いシュートを連発し、サポーターには「かいしんのいちげき」としてすっかり定着した。
フィールドを見渡す視野はやや狭く、世界で最もオフサイドを取られる選手の一人だ。
本職はボランチだが、代表ではトップ下に入ったのが賢者である。
攻守のバランス感覚に優れた司令塔で、自らシュートを決めるシーンも見られる。
堅実に攻撃を組み立てるが、その分意図を読まれやすいとの声も。
FWからは「もっとスペースを使って欲しい」と注文を付けられており、
今後は発想力が課題となっている。
武闘家に比肩するスピードを誇るのが左サイドハーフの盗賊だ。
相手の一瞬の油断を突いて、何気ない動きでボールを掻っ攫う。
その姿は「盗賊はいつのまにかボールを盗んでいた!」のフレーズで実況スレを賑わせている。
ゲーム終盤で存在感が消える事が多く、スタミナ面に課題を残している。
右サイドハーフは抜け目のないポジショニングが得意の商人。
相手チームの意図を読み取って未然に自軍の危機の芽を摘み取ったり、
間隙を縫ってボールを受け取り攻撃の起点となるなど、
派手さはないが見えない部分で試合展開に大きく貢献している。
調子に乗ると勇者以上にボールを持ちたがり、独善的プレーに走ってしまう場面も。
魔物使いがダブルボランチの一枚目となった。
パスの精度が極めて高く、またキープ力もトップレベル。
ボール捌きの技術は、ボールの方が魔物使いに付いて来る、と評される高さを誇る。
また、魔物使いがボールを持つと、不思議とアクシデントが起きるケースが多い。
「スタジアムには魔物が棲むと言われるが、その魔物の主は奴だ」とのジョークは有名。
ダブルボランチのもう片方は、魔法使い。
ミドル~ロングレンジからのシュートが強力。
「ボールが消える」と恐れられるレムオルシュートを筆頭として、バリエーション豊なシュートを放つ。
5大会連続で代表に選出された大ベテランも、さすがに運動量が落ちてきた。
前大会までは右サイドハーフとして活躍したが、今大会ではボランチ。
なお先日、今大会を最後に代表を引退する意向を表明している。
本チーム最大の苦労人となる僧侶はセンターバック。
意外性こそ無いものの、基本に忠実で手堅いプレーで安定感は抜群。
守備陣に空いた穴を素早く丁寧に塞いでいく判断力も光る。
ある程度は体を張ったプレーにも対応する能力があるが、世界レベルではやや見劣りするか。
右サイドバックは踊り子が務める事になった。
世界一美しいと言われたトリックプレーで相手選手を翻弄する。
華奢な体格のためフィジカル面を不安視されたが、踊るようなプレーで一躍スターティングメンバーに名を連ねた。
滅多に見られないが、ゴールを決めた後のダンスは一見の価値がある。
ゴールキーパーは戦士である。
本チームにおいては、魔法使いに次ぐ4大会連続出場のベテランである。
その守備力はまさに鉄壁の名に相応しく、相手のシュートの前に立ちはだかる。
前へ飛び出す能力は超一級品だが、左右の反応に少々硬さを残す。
最後に本チーム、或いは本大会最大の問題児を紹介しよう。
左サイドバック、遊び人である。
僧侶が苦労を背負い込む最大の要因を生み出している。
ピッチに迷い込んだモンシロチョウを追いかける、試合中にパントマイムを始める、などというのは可愛い方。
気付いたらゴールネット裏でサポーターに混じって声援を飛ばしている、よく見たら相手チームに混じってこちらに攻めて来る、なんて事も。
その極めつけとも言えるのが、昨年の国際大会で記録した変則ダブルハットである。
6点の内容は、3点がまともなゴールで、残り3点はオウンゴールという体たらく。
いずれのオウンゴールもとても故意には見えない、というところが遊び人の凄味とも言える。
だがまともにハットトリックを決める能力がある事も確かなのである。
予想不可能の左サイドバックがブラジルの大地をどう駆け回るのか、楽しみにしたい。
□□□□□□□□□ FW
□□□□■□□□□ FW 魔王
□□□□□□□□□ FW
■□□□□□□□■ MF イフリート ドレイク
□□□□■□□□□ MF 側近
□□■□□□■□□ MF 吸血鬼 セイレーン
□□□□□□□□□ DF
□■□□□□□■□ DF ハーピー リザード
□□□■□■□□□ DF トロール ゴブリン
□□□□■□□□□ GK ゴーレム
次の紹介するのが「魔族代表チーム」である。
一見すると4-5-1と思える布陣だ。
しかしその実情は、4-3-3とも2-3-5とも言える超攻撃型システムなのだ。
また、個々の力が際立っており、これを如何にまとめるかが勝敗の要となる。
一応ワントップという扱いになっているのが、魔王だ。
極めて得点能力が高く、今大会屈指のエースストライカーとして名前が挙がっている。
一人でゴールに向かってしまう傾向が強く、周囲を使う意識は低い。
大会前には「パスは攻撃の組み立てではなく、シュート企図の頓挫」と豪語。
果たしてそのビッグマウスに恥じぬ働きを見せられるか。
左サイドハーフのイフリートは攻撃的選手である。
優れたドリブラーであり、突破口をこじ開けて放たれる強烈なシュートは脅威だ。
スタイルとしては魔王に近く、ピッチ上で二人が激しく意見を交換する場面もしばしば。
頭に血が上ると前線に出たまま帰って来なくなる事があり、守備面で不安を残す。
それとは対照的にクレバーなプレーに定評のあるドレイクは、右サイドハーフ。
攻めるべき時には攻め、守るべきときには守る、安定感はメンバー中随一だ。
早くもベストイレブン候補に挙げられているが、ピッチ上ではいまいち存在感がない。
埋没しがちなのは、このチームのメンバーがあまりにも個性に溢れて過ぎているせいだろう。
センターハーフには側近を配置している。
個性豊かなチームを必死にまとめる姿には、涙を禁じ得ない。
試合終了の度に真っ白になって燃え尽きているため、精神面の過負荷が危惧されている。
冷静な大局眼を持つ(持たないとやっていられない)が、魔王の事になると豹変する。
魔王に対してラフプレーを働かれると、その相手選手の顔面めがけてボールを放り込む事も。
ダブルボランチは人族代表と共通している。
まずは優雅なプレーで熱狂的なファンの多い吸血鬼。
抜群の平衡感覚がもたらすキープ力は、慌ただしい試合展開に一時の落ち着きを取り戻させる。
足元の技術には絶対の自信があり、対戦した選手からは「まるで霧になったかのように一瞬で交わされた」とのコメントも。
例によってデーゲームに弱いのはご愛嬌。
もう一人はセイレーンで、透き通った美声で指示を飛ばす司令塔だ。
戦術への理解が深く、状況に応じた作戦変更を判断できる数少ないプレーヤー。
側近の暴走時には、その代役となってチームの統率を取る。
オフの期間にはよく解説者として登場するため、お茶の間の皆さんにはお馴染みの顔だろう。
左サイドバックはハーピー。
90分間フィールド中を飛び回るタフネスが持ち味だ。
文字通り飛んでいるため、反則に近いのではないかとの批判を受けながらも、空中戦を主体に活躍。
セットプレーからのヘディングシュートは、このチームの得点源の一つだ。
右サイドバックにはリザードが入った。
無謀とも思える強攻からチャンスを作る事が多く、相手チームにとっては厄介な存在だ。
もっとも、それに失敗して大ピンチを作る事も多いのだが。
身体能力は高く評価されているものの、どうにも判断力が付いて来ない選手である。
感情をストレートに表現してしまう傾向が強く、イフリートと並んでカード枚数を稼いでいる。
センターバック二枚のうち、その一人がトロール。
恵まれた体格でエリアに立ちはだかる守備の要である。
下手に張り合おうとすれば、たちどころに吹き飛ばされてしまうだろう。
大方の予想通り、弱点は足の遅さ。
瞬発力のある選手に対しては、相性が悪い。
二枚目のセンターバックには、ゴブリンが抜擢された。
どこのポジションでもこなせるユーティリティプレーヤーである。
このチームではポジションの入れ替わりが激しいため、手薄なスペースをカバーする役割を与えられている。
事実上のリベロと言っても差し支えないだろう。
非常事態に際してはゴールキーパーの代役までこなすというから、驚きだ。
正ゴールキーパーはゴーレム。
「体は岩だが、守りは鋼鉄」のキャッチコピーでファインセーブを連発。
あまり注目されていないが、キック力もなかなか強烈だ。
軽く蹴っただけで、悠々とと相手ゴール前までボールを運んでしまうとか。
如何だっただろうか。
非常に面白い2チームではないだろうか。
ダークホース、或いはそれ以上の可能性を秘めているかもしれない。
普段はサッカーなんて見ない、国際試合しか見ていない。
そんな層も、少なくないだろう。
筆者なんて国際試合ですらロクに見ない。
おかげでポジションの名前や使い方も当てずっぽうである。
勝った負けたに一喜一憂するも良し。
試合の内容を闊達に論議するも良し。
もし読者の中に「このチームも面白い!」という話があるのなら、是非とも紹介して頂きたい。
サッカーには、ワールドカップには十人十色の楽しみ方がある。
開幕までの僅かな間、心を踊らせてその日を待とうではないか。
(文責・人魔共同新報)
さくっと以上までです!
SSと言えるかどうかも判らない代物になってしまいました!
ありがとうございました!
ブラジル行くと帰って来れない可能性が高いらしいな
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