エレン「進撃の七竜?」(99)
???a「あの星では巨人という種族が、人間を喰らって生きているようだ」
???b「ワレが生命の種を蒔いてから幾年経ったか……憶えていないが、まだ発展途上ではなかったカ?」
???a「俺に聞くな。お前が創った星だろう?なんにせよ、あのまま放置すれば、あの星の人間は巨人に食い尽くされるだろうな」
???b「クァハハハ!ワレらの食事を横取りするとはな!巨人とやらは自身が食物連鎖の頂点に立ったつもりでいるのか?」
???a「いや、連中にはほとんど『意思』といったものがないようだな。例外はいるようだが」
???b「……フン、実に下らナイ。そのような生命、無価値。家畜に手を出す害獣でしかないではないか」
???b「……クチオシイ。ニンゲンの方は意思の強そうな……喰いがいのありそうな連中だというのに」
???a「あの星はもう駄目だろう。成熟する前に、腐り爛れる。腐りかけが好物のあいつが生きていれば、喜んで喰っただろうがな」
???b「一緒にするな。しかし、やはりモッタイナイ。狩る者、その意思を宿した家畜が何人いるのだが……」
???a「相変わらずお前の家畜への思い入れはわからん。俺に言わせれば、家畜よりも家畜が作った武器の方が数段旨いんだがな」
???b「……よし、あの星の家畜何人かを、今度収穫する星に移そう。それぐらいならすぐに済むし、少しはあの星の味を楽しめる……」
???a「……好きにしろ。俺はもう帰るからな。後はお前の好きなようにすればいいさ……」
――――――
教官「本日の訓練はここまで!全員、速やかに帰還せよ!」
エレン「今日で訓練生になって、もう一ヶ月か……」
アルミン「わかってはいたけど、かなりきついね……」
ミカサ「大丈夫、卒業までまだ時間は沢山ある。少しずつ慣れればいい」
サシャ「こひゅー……こひゅー……」
エレン「……途中から見ないと思ったら、また走らされてたのかサシャの奴」
ミカサ「でもそのおかげで、脚力や基礎体力はかなり向上している」
エレン「罰じゃなくて、自主的に走った方がいいんじゃないのか?」
アルミン「確かにね。ご飯も抜きにされちゃ、翌日の訓練に支障がでるし」
ジャン「ようミカサ!俺と――」
ミカサ「よく動き、よく食べたら、後はよく眠る。少し早いけどおやすみなさい、二人とも」ガタ
アルミン「え?あ、ああおやすみミカサ。……なんだか僕も眠くなってきたや」ガタ
エレン「おやすみ。……ふあぁ、俺ももう眠っとくかな。明日は特にきついらしいし」ガタ
ジャン「」
ライナー「ははは!そんな露骨に寂しげな表情するもんじゃないぞジャン!俺がベッドの中で慰めてやろうか?」
ベルトルト「そんな冗談ばかり言うから、あらぬ誤解を受けるんだよ……ふわ……僕もなんだか疲れたよ」
コニー「確かになー。なーんか妙に眠いと言うか、頭がクラクラするというか……俺も寝よ」
ライナー「それは教官の頭突きのせいじゃないか?まあ、俺もいい感じに眠いが」
マルコ「エレンも言ってたけど、みんな早めに寝た方がいいかもね。今日でこの疲労感じゃ、明日どうなるやら……」
ジャン「」
ベルトルト「ジャンは……あ、立ったまま気絶してる。このまま部屋に持って帰って眠らせた方がいいね」ズルズル
ユミル「ん?男連中がみんな揃って帰るなんて珍しいな」
クリスタ「うーん……やっぱりみんなも疲れたのかな?私、今日はいつも以上に眠いや……」
アニ「……私も眠い。そんなやわな身体じゃないと思ってたんだけどね」
ユミル「同じくだ。こっちも寝るとするかぁ(これだけの人数が揃ってきつい睡魔に襲われるってのも妙な話だな……)」
サシャ(パァン……食べたいですけど……なんでしょう、今は空腹以上に……眠気が……)パタリ
――――――
グー……
zzzz……
ゴォォ……
エレン「むにゃ……くちく……してやるぅ……」
???(クァハ……オモシロい。このニンゲンは特に意思が強い……)
???(このまま眠りこけたキサマらを喰らうのは容易いが、なかなか育たぬ極上の家畜よ)
???(ワレ好みの味付けをしてやろう――最高の舞台で、害獣どもの邪魔の入らぬ環境で――)
???(足掻け、ニンゲン。キサマらが怯えるべき相手は害獣どもではなく、我らなり)
???(そしてより美味となれ――ワレに相応しき、贄へと育つがイイ――)
――――――
――エレン!――
エレン「……ぅ?」
――エレン!――
エレン「……っ」
アルミン「よかった、エレン!僕がわかるかい?」
エレン「ん、ああ。アルミンだろ?なに言ってんだよ」
アルミン「うん。じゃあ……まわりを見てくれ」
エレン「ん?」
ワイワイ ガヤガヤ クエストウケテー
エレン「どこだよここ!?あれ、確か昨夜妙に眠くて……寮に戻ったよな?街の宿になんて泊まってないよな?」
アルミン「ああ、確かに僕らはそこで寝た。そしてここは、僕らの知る街でもない……」
エレン「確かに……煉瓦造りの家が多いけど……賑やかっていうか、住人が明るいっていうか……って壁が無い!?」
アルミン「そうさ。どう見ても、この街の周りに壁はないし、住人は巨人の恐怖に怯えている感じじゃない」
エレン「ああ……まるで超大型巨人が来る前の光景だ。一体ここは……」
おばちゃん「ここはカザンの街さ」
エレン「うおぅ!?びっくりした!?」
おばちゃん「あらあら、ごめんなさいねえ」
アルミン(カザン……そんな区名は聞いたことがない。やはりここは……)
おばちゃん「あんた達、変わった格好してるけど……やっぱりハントマンになりに来たのかい?」
エレン「(……なんでアルミンも俺も立体機動装置装備してんだ!?)あ、いや俺は……」
おばちゃん「いいわねぇ、若いって。つい最近もね、期待の新人ギルドが生まれたのよ。ムラクモ……だったかしらねえ」
おばちゃん「あんた達4人のギルド名はなんにするつもりだい?」
エレン「4人?」
おばちゃん「そこの樹にもたれかかって寝てる2人も、仲間なんだろう?揃って同じ服に同じ装備だし」
エレン「あ!?」
ひとまずここまで。
今更な注意書きですが、セブンスドラゴンと進撃の巨人のクロスオーバーです。
セブンスドラゴン無印版世界が舞台となっていますが、セブンスドラゴン2020や2020-2の設定も混ざってます。
エレン、アルミン+104期の誰か2人のギルドがメインになると思います
執筆速度は凄まじく遅いです。
たまにこのように安価も出してしまうかもしれません。↓
見知らぬ街の入り口に飛ばされたエレンとアルミン。あと二人は?
>>8
>>9
これは俺得
クリスタで
ミカサ
あえてジャン
ジャン哀れw
ともかく超期待
ミカサ「っ……エレンの声がする!」
クリスタ「うーん……」
エレン「ミカサにクリスタ!?」
アルミン「よかった……二人もエレンと同じように、なかなか目を覚まさなかったんだよ」
おばちゃん「あんた達、長旅で疲れてるのかい?六剣亭って宿屋がすぐそこにあるから、そこで休んだ方がいいよ」
アルミン「ありがとうございます。ほら、エレン行くよ」
エレン「お、おう?」
アルミン「ミカサもクリスタも、よく状況がわからないだろうけど、一緒に来て欲しい」
ミカ・クリ「??」
【宿屋の一室】
アルミン「やっぱり、二人もここがどこかわからないか……」
ミカサ「ごめんなさい。昨夜からの記憶がまるでないの」
クリスタ「アルミンがわからないんじゃ、お手上げだよね……」
エレン「俺たち全員夢遊病で、知らない間に出歩いたってことか?」
ミカサ「大丈夫。前にエレンの寝顔をずっと見つめていたけど、いつもぐっすりかわいい寝顔。夢遊病じゃない」
クリスタ「怖いよミカサ……」
エレン「それじゃ、夢の中の世界か?……四人が同じ夢を見るってのもおかしいけどさ」
アルミン「あながち、エレンの言ってることは間違ってないかもよ」
アルミン「起きたらいきなり見知らぬ場所にいた!なんて小説ではよく使われてるし……」
アルミン「どこを見ても壁が見当たらない。壁の外だとしても、ここの住人は巨人に対してあまりに無防備だ」
アルミン「……本当に夢か、本の中の世界に迷い込んだとでも思った方が、まだ納得できるよ」
エレン「……頬を抓っても痛いぞ。夢じゃないなら、本当になんなんだよ?やっぱり壁の外の世界なのか!?」
ミカサ「とりあえずわかっているのは、この街の名はカザン。とても平和で、賑わっている」
クリスタ「街のそばには『魔物』って呼ばれてる動物がいるらしいけど……」
アルミン「さっきの宿泊客の話か。でも、ちょっと大きなウサギや蝶ばかりでほぼ無害だってよ?」
エレン「なあ、もし本当に巨人がいなくて、その魔物ってのも無害なら……ちょっと外を探検してみないか?」
ミカサ「その外というのは、この街の外?」
アルミン「ふふ、君なら言うと思ったよ」ソワソワ
クリスタ「どうしたのアルミン?なんだか嬉しそうだよ?」
アルミン「実はね……エレン達が目覚める前に、少しだけ外の様子を見てみたんだ」
エレン「そ、それで!?」
アルミン「驚かないでよエレン……なんと『海』らしきものがあったんだよ!」
エレ・ミカ「「!?」」ガタタ
クリスタ「海?」
エレン「ああ、そうか。クリスタはアルミンの本まだ読んだことないもんな。いいか、海ってのはな?」
~外の世界説明中~
クリスタ「すごいや……!」キラキラ
エレン「だろ!?巨人を駆逐したら、いつかアルミン達と見に行こうと思ってたんだよ」ワクワク
ミカサ「本当に巨人がいないかどうかは怪しいけど……すぐそこにあるなら、大丈夫だと思う」ウズウズ
クリスタ「その……私も邪魔じゃなかったら、一緒に見に行ってもいいかな……?」ソワソワ
エレン「なに言ってんだよクリスタ、いいに決まってるだろ?」ワクワク
ミカサ「楽しいことはみんなで分かち合うべき。遠慮はいらない」ウズウズ
クリスタ「ありがとう!……でも、魔物は大丈夫かな?」ソワソワ
ミカサ「大丈夫、何故か今の私達は完全武装。ウサギならすぐに仕留めて、ウサギ鍋を夕飯にできる。……それも楽しみ」ウズウズ
エレン「やばい、楽しみ過ぎて身体震えてきた」ガタガタ
アルミン「あはは……落ち着いてエレン。って僕もだね」ガタガタ
ミカサ「ウサギ鍋の味付けはどうしよう?」ウズウズ
クリスタ「海には、沢山の塩が眠っているんだよね?せっかくだし、それを使おうよ!」ソワソワ
ミカサ「それは妙案。……アルミン、魔物は私が仕留めるから早く行こう」ウズウズ
アルミン「そうだね、軽く準備をしたら――ん?」
ワーワー
ミカサ「……外が騒がしい」
ハヤクニゲロ!ハヤク!
クリスタ「そ、それに……暗くなったの?」
ダメダ、ムラクモモモウタタカエナイ…!
エレン「っ!」
エレン(なんだ……この嫌な感じは……!?)
エレン(まるであの日……超大型巨人が現れた日のような……!)
アルミン「とりあえず、外に出てみよう!」
――ゴアアアアァァァァッ!――
クリスタ「ひっ!?」
ミカサ「あれは……なんなの……!?」
――晴天を覆う無数の翼、轟く咆哮、舞い散る花弁、日常の崩壊――
――その日、人類は思い知った――
――無慈悲なる捕食者の存在を。自分達が狩られる側の存在であることを――
――つい先日、噂で聞いたばかりの存在『ドラゴン』の力を――
アルミン「なんだ、あの生き物は……!蜥蜴じゃない!蜥蜴にはあんな爪も鱗も……ましてや翼なんて……!」
エレン「ごほっ……ごほっ!くそ、それにこの華もなんなんだよ!?さっきまで、こんなものなかったぞ……!?」
――巨人を知る者は、本能で悟った――
――壁のない街に舞い降りた異形の怪物が、巨人と同じ類であることを――
――彼らが撒き散らす、美しくも残酷な妖華の危険性を――
【カザン城下町】
赤帝竜「ガァアアアァァア!」ガブッ
兵士「ぐああああああ!」ブチブチ
エレン「あっ!」
クリスタ「ひどいっ……!」
大統領「メナス!ムラクモや逃げ遅れた人々を連れて、隣国のミロスへ行け!俺はこいつを抑える!」
眼鏡男「そんな!できません大統領!私にはあなたがいなくては……!」
エレン「あ、あのおじさん……あの赤いのと戦うつもりか!?た、助けないと……!」
ミカサ「待って!行っては駄目エレン!」
クリスタ「あんなの、倒せるわけがないよ……!」
アルミン「あいつらはどう見ても巨人じゃない!けど、危ない相手なのは間違いないよ!」
長身男「……む、その服装は、訓練兵か!?」
四人「「!?」」
アルミン「あなたは確か……リヴァイ兵長に次ぐ実力者の、ミケ分隊長!?」
ミケ「その通りだ。……その様子だと、そちらもこの状況が把握しきれていないようだな」
アルミン「教えてください!ここは、何処なんですか!?奴らは、なんなんですか!?」
ミケ「わからない。ただ、奴らが人類の敵であり、打ち倒さなければならない相手なのは確かだ。……あとは私達に任せろ」
エレン「ま、待ってください!俺も……!」
ミケ「駄目だ。新米訓練兵の身で、お前達のような子供にどうこうできる相手ではない」
大統領「ん、その子供達はミケ殿の知り合いか?誰か、その子供達を早く避難させてくれ!」
護送兵「はっ!」
エレン「うわっ、待てって!おじさん、俺にも戦わせてくれ!少しは役に立ってみせるから!」
大統領「はっはっは!あの姿を見てなお、挑もうというのか。大した子だな」
大統領「だがなに、心配はいらん。このドリス、あの程度の相手に遅れはとらんよ」
ドリス「それにミケ殿や彼の部下も手を貸してくれるというのだから、負ける道理がないだろう?」
エレン「うっ……でも……!」
ドリス「ふっ……いい目をしている。あのギルドと同じように、もしかしたらお前達も人類の反撃の狼煙になるかもな」
エレン「っ!!」
ドリス「俺の勘はよく当たる。だから、ここでその命を散らせるわけにはいかない。仲間と一緒に、逃げるんだ」
エレン「俺はまた……何もできないっていうのか……!」
ミケ「……退くことは恥ではない。我々調査兵団も、巨人を前に幾度と無く退却をしている」
ミケ「領地を奪われ、大量の犠牲者を出して、むざむざ後退したとしても、それはまだ負けているとは言えない」
ミケ「人は……戦うことをやめた時、初めて敗北する」
ドリス「その通り。戦う意思を持ち続ける限り、人類はドラゴンになど屈しはしない」
エレン「戦う……意思……」
ミケ「訓練兵、よく聞け。調査兵団は、無数の犠牲の果てに、巨人への対抗策を徐々にだが発見した」
ミケ「かつて人類が一方的に蹂躙されたのは、巨人を……相手を知らなかったからだ。相手を知れば、必ず勝機が訪れる……!」
――ゴアアアアァァァァッ!――
ドリス「どうやら、もう時間がないらしいな」
部下1「ミケ隊長!目標、カザン守備隊を蹴散らしこちらに接近!」
ミケ「……っ!立体機動に移れ!左右から挟み、目標の翼の破壊を優先!ドリス王と私の援護を頼む!」バシュ
部下2「了解!」バシュ
ドリス「さて、俺もいかねばな。俺の知らない君らの国や巨人、その立体機動装置とやらに興味があったんだが……」
エレン「……戦って、勝てば、生きるっ!そうしたら、後で俺がおじさんに教えるよ、全部……!」
ドリス「……はははっ!そうだな、その通りだ。ならば……ああすまない、名前はなんというんだ?」
エレン「エレン。エレン・イェーガーだ……!」
ドリス「ほう。名に狩人を持つとは、いい名だ。ならばエレン、後で俺に話を聞かせるためにも、お前はこの場を生き延びろ」ジャキン
ドリス「俺はドリス。ドリス・アゴートだ。後で会ったら、俺の今までの冒険譚を話してやろう!」ダダダ…
エレン「……その約束、忘れるなよ!」
護送兵「大統領、どうかご無事で……!ほら君で最後だ!早くここを離れるぞ!」
―――――
――――
―――
――
―
部 下 a 「」
部 下 b 「」
守 備 隊 「」
赤帝竜「……小賢しく飛び回りおって。次はお前達が相手か?」
ミケ「くっ……(まだだ、まだ奴の翼は健在……このまま避難先の街まで飛ばれたら……!)」
ドリス「これは驚いた。まさか喋れるとは……ならば俺の言葉も通じるな」
ドリス「未来への希望を守るため……お前にはもうしばらく俺の相手をしててもらおうか?」
赤帝竜「私に立ち向かってきたことは、褒めてやろう。それでこそ、我らの食事にふさわしい」
赤帝竜「抗いもしない生き物は……家畜以下だからな」
ミケ「なんなんだ……お前達は……」
赤帝竜「……翼持たぬ家畜が空を飛ぶとは、なかなか面白い。お前達が、主が用意したという余興か」
ドリス「その口ぶり……一体何を知っている?」
赤帝竜「これから私に食われるお前達には関係のないことだ……」
ミケ「……見たところ、巨人と違って再生能力は持っていないようだな。ならば、我々にも勝機はある……!」シャキン
赤帝竜「ほう……?」
ドリス「その翼を、全身を、切り刻む!」ジャキン
二人「「行くぞ!」」
赤帝竜「……面白い。来るがいい、ニンゲンよ!」
ミケ「人類の力を……!」
ドリス「思い知れっ……!」
―――――
――――
―――
――
―
【華に侵食された大地】
護送兵「とにかく走るんだ!いつ飛行種のドラゴンが来るかわからない!それから華にも近づくな!」
アルミン「エレン、何をやっていたのさ!?」
クリスタ「まさか本当に戦おうとしてたの!?無理だよ……あんな怖い生き物……!」
エレン「今は……確かに無理だ!俺はまだ無力で、あの日と同じようにまたこうして逃げている……!」
ミカサ「エレン……」
エレン「だけどまだ……負けていない!」
エレン「あいつらも、ドラゴンも巨人と同じなんだ!俺がもっと強くなれば、敵じゃないんだ!」
エレン「この世界の正体なんてどうでもいい!俺は、もっと、もっと強くなって……!」
エレン「駆逐してやる……っ!ドラゴンどもを、一匹残らず……っ!」
――その日、カザン共和国は陥落し……――
――人と竜の壮絶な戦いが、幕を開けた――
今日はここまで。
思ったより早く安価が埋まっていて驚きました。
前回書きそびれましたが、エレン達以外も何名かがエデン世界に飛ばされている設定です。
乙
楽しみにしてるぜ!
ゲームやったことないんだけど、これは本編が本当にこういうノリ?
それとも超大型巨人出現時に似せてるの?
今のドラゴンはシナリオ内での出来事で
これはナナドラの一番最初のやつかな?
各町に訓練兵が飛ばされてる感じか
>>27
オープニングは本当にこんな感じ。突然の竜の侵略に人類は滅びの危機。
三年後、世界の領土8割を奪われた状態で主人公達は竜を狩り尽くす旅に出る…て感じのゲームね。
手負いの竜王かー
氷に弱いな
【ミロス連邦国】
学士a「……であるからして、ドラゴンにも階級があり、その知能にも個体差がある」
学士a「騎士団の報告より、多数の部下を引き連れる『帝竜』の存在が確認され、固有の能力を……」
アルミン(カザンの人々が逃れたミロス連邦国は、鉄壁の騎士団と優秀な治療師を多く抱える、平等主義国家だった)
学士b「これが、冒険者が持ち帰っってくれた妖華『フロワロ』のサンプルだ。極めて強い毒性を持っている」
学士b「訓練された者ならある程度は耐えられるが、やがて生命力を奪われ衰弱、錯乱状態に陥り……」
アルミン(騎士団や冒険者の手でドラゴンの侵攻は防がれ、狭い範囲ではあるが猛毒の華の駆除にも成功した)
学士c「ドラゴンの生態は未だ謎が多いが、拠点に群れていることが多い」
学士c「群れから離れた瞬間、それも背後から襲いかかり迅速に駆除しなくては、奴らはすぐ集まってくるぞ」
アルミン(だが、それが限界だった。ドラゴンに奪われた領土を取り戻すことはできず、この国を維持するだけ)
アルミン(時の流れと共に、人類は考えを変えていき、この国の中だけの安寧に身を委ね始めた)
アルミン(まるで、巨人に怯えて壁の中の暮らしで満足している人々のようだ。この国には、目に見えない壁がある)
アルミン(その見えない壁も、実際の壁と同じようにいつ破られるかわからない。だからこそ僕らは……)
メナス「新人ハントマンの諸君!よくぞ集まってくれた!諸君らの勇気に敬意を表する!」
アルミン(――ハントマン――『狩る者』に志願した)
メナス「座学は本日まで!何か新たなことが判明すればまた開くが……君達にはこれから戦闘訓練をしてもらう!」
メナス「闇雲に戦おうとするな!己を見直し、自分に相応しい技術を学び、竜を狩ってくれ!」
アルミン(狩る者。その名のまま、竜を狩る者。あのドラゴンに挑む、命知らずの集団だ)
アルミン(致死率や危険性からして、巨人に挑む調査兵団に近い。エレンが真っ先に志願したのも頷ける)
エレン「メナス教官!はやくドラゴンを殺す戦術を教えてください!」
メナス「慌てるな、新人君。今から嫌でも話すさ」
アルミン(今この時間を、訓練兵だった僕らは知っている。やることは変わらないのだから、当然だけど)
アルミン(人類の敵を学び、人類の敵を殺す技術を身につけ、やがて人類の敵に挑む。訓練兵の時と同じだ)
メナス「では、ハントマンがつくべき『クラス』とその解説をしていこう」
メナス「古の書物より最近発見されたばかりのクラスもあるので、よく聞くように」
【サムライ】
身体能力sランク。
東洋の武器である刀を操る剣士。攻守に優れた能力を持ち、自身の傷を癒す術も持つ、オールラウンダー。
【ファイター】
攻撃能力sランク。
剣や斧といった重量級の武器を振り回す戦士。肉を食い、己を奮い立たせることでさらに強力な力を発揮する。
【ナイト】
防御能力sランク。
鎧と盾を用い、自身と仲間を守る騎士。その防御能力もさることながら、彼らの特殊な歩行法は妖華を蹴散らす際有用。
【ローグ】
狩猟能力sランク。
弓と短剣を操る闇の仕事人。敵の攻撃を妨害したり、不意討ちをしたりと、仲間の援護を得意としている。
【メイジ】
探究心sランク。
知識の探求家でもある魔術師。世界を覆う魔力を操り敵を蹴散らす強力な魔術の他、薬学などにも精通する。
【ヒーラー】
治療技術sランク。
傷を癒すことを専門とする医術師。身体能力は低いが、癒し手としての力はギルドの生命線であり、一部は鈍器も扱う。
【デストロイヤー】
運動能力sランク。
己の肉体を武器に戦う格闘家。その重い拳や脚の一撃もさることながら、頑丈な肉体を生かした仲間の盾にもなれる。
【トリックスター】
敏捷性sランク。
銃火器と短剣を使いこなす軍人。圧倒的な速度で戦場を駆け巡り敵を蹂躙する他、戦闘回避能力や危機察知も高い。
【アイドル】
カリスマ性sランク。
仲間を鼓舞し、戦いを有利に導く人気者。仲間の力を引き出すだけでなく、歌声や踊りで敵を倒すことも可能。
メナス「……以上だ。これらの中から、自分に合っているものを選び、それぞれの修練に移ってくれ」
エレン「メナス教官!結局どれが最もドラゴンを駆逐するのに向いているのでしょうか!?」
メナス「だから落ち着きたまえ新人君。どのクラスもそれぞれの利点があり、一概には決められない」
メナス「自分の得意分野のクラスを選び、弱点や至らぬ点は仲間に補って貰うといいだろう」
エレン「はっ!」
エレン(とは言ってもな……どうするか)
エレン(俺が得意なものって……ないんだよな、正直。どれを選んでも、死ぬ気で頑張る必要がある)
アルミン(……)
ミカサ(……)
クリスタ(……)
エレン(……あいつらは、どれを選ぶんだろう?)
短いですが、今日はここまで。
今回は安価でなく、四人の職業をまとめて募集します。
【例】
エレン→サムライ
アルミン→ファイター
ミカサ→ナイト
クリスタ→ローグ
このような感じで。各人一番人気があったクラスで決定しようかと。
ナナドラプレイヤーの方に一部補足すると、サイキック、ハッカー、プリンセスのクラスがないのは
生まれついての能力だったり、チート過ぎたり、特別な民の末裔などで、訓練で能力が身につくものではないと判断したためです。
乙
エレン→ファイター
アルミン→ローグ
ミカサ→サムライ
クリスタ→ヒーラー
乙
ちょうど三年で卒業&英雄ギルドが起きて人類の反撃開始か
エレン→デストロイヤー
アルミン→メイジ
ミカサ→アイドル
クリスタ→ヒーラー
ミカサアイドルは譲れない。あと関係ないけどサシャは絶対ファイターだと思う。
ミートイーター的な意味で
乙です
エレン→ナイト 特技はないからせめて仲間の盾になる
アルミン→メイジ 好奇心を抑えられない
ミカサ→サムライ 何でもできる
クリスタ→ヒーラー なんてったって天使
こんなイメージかな
でも性格だけで選ぶと
エレン・アルミン→メイジ ミカサ・クリスタ→ナイト とかなイメージ
外の世界への好奇心=探究心 庇護欲・死にたがり=自己犠牲 的な
エレン→ファイター
ミカサ→サムライ
アルミン→メイジ
クリスタ→アイドル
個人的にエレンはスキルの関係上ファイターが一番適任だと思う
エレン→デストロイヤー(対人格闘成績)
アルミン→メイジ(博識)
ミカサ→アイドル(巻末のあれ)
クリスタ→ヒーラー(白衣の天使)
ハッカーあればアルミンそれだったな
エレン→デストロイヤー
アルミン→メイジ
ミカサ→アイドル
クリスタ→ヒーラー
だな
筋肉アイドル ミカサ
みんなの天使ヒーラー クリスタ
駆逐してやるが口癖のデストロイヤー エレン
胃痛に悩まされるメイジ アルミン
だな
>>1様
ラブハンターはでますか?
期待待機
エレン(……やっぱり俺はデストロイヤーかな。対人格闘の成績はいい方だったし)
エレン(巨人相手じゃ意味がなくても、ここではしっかり竜を殺す手段として挙げられている……!)
エレン(俺のこの手で!あいつらを一匹残らず駆逐してやる……!)
――それから、新人ハントマン達は血の滲むような訓練を続けた――
――いつの日か、ドラゴンを打ち倒し、人類の尊厳を取り戻すことを夢見て――
――しかし、その願い空しく人類は何の成果も得られないまま、月日は流れ――
――海を含めて世界の8割以上が妖華に埋め尽くされ、ドラゴンの支配下となった――
――そして……――
教官達「本日、諸君らは晴れて一人前のハントマンとなった!3~4人の少数精鋭でギルドを立ち上げ、竜を狩るといい!」
エレン「あの日から、もう三年経つのか……」
クリスタ「本当だったら今頃、訓練兵を卒業して、調査兵団に入ってた頃なんだろうね」
エレン「ああ。だけど今は、目の前の敵を……ドラゴンを駆逐する。そのために、俺は強くなった……!」
クリスタ「エレンは凄いよね。一番危険な前衛職を迷いなく選ぶなんて……」
エレン「他に俺に合ってるものが少なかったってだけさ。それを言ったらクリスタこそ凄いじゃないか」
クリスタ「私が?」
エレン「医術師ならこの国で十分仕事にありつけるのに、わざわざハントマンになるなんて普通できないぞ?」
クリスタ「……違うの、エレンみたいに立派な理由じゃないよ」
クリスタ「私なんか……どうせ死ぬなら、せめてみんなの役に立って死にたいって――」
エレン「クリスタッ!」ガシッ
クリスタ「!?」ビクッ
エレン「そんなこと言うんじゃない!お前が死んだら、悲しむ奴だっているんだぞ!?」
クリスタ「エ、エレン……!?」
エレン「大丈夫だ。俺は、あいつらを駆逐するまでは絶対に死なない。俺が、お前(達)を守る!」
エレン「クリスタに何かあったら(回復無しで一人前衛でドラゴンの集中攻撃をあびて)俺は生きていけないしな……」
クリスタ「ふぇ!?エ、エレンそれって……その……」ドキドキ
エレン「ん?どうしたんだクリスタ、ちょっと顔が赤――」
アルミン「マナバレット」
ゴスン
エレン「いってぇ!?」
アルミン「はいそこのエレン、天使に誤解されかねない発言をしない!」
エレン「な、なに言ってんだよアルミン!?というより、なんで今俺攻撃されたんだよ!?」
クリスタ「今のが、メイジの人が使う攻撃魔法なんだ。初めてみたけど、痛そうだね……」
アルミン「ヒーラーのクリスタも講習で大気中のマナの仕組みとかは習ったでしょ?それの圧縮弾だよ」
エレン「くそ、相変わらずマナだの魔法だのはよくわからないけど、凄いなアルミン。まさか本当に魔法を使えるようになるなんて」
アルミン「僕も最初は信じてなかったんだけどね。勉強し始めたら、いつの間にかのめりこんでいたよ」
クリスタ「他にも火を起こしたり、物を凍らせる魔法もあるんだよね?」
アルミン「うん。でも僕は、こっちの魔法の方が気に入ったかな?シールドクラフト」キュイン
エレン「おお、アルミンの前に半透明の盾が!?」
アルミン「空気とマナを混ぜて圧縮生成した盾さ。これで非力な僕でも自分の身を自分で守れる」
アルミン「僕だけ足手まといなんて、死んでもごめんだからね……」
エレン「ははっ、なんだよアルミンもクリスタも。もう少し自分に自信を持てっての!」
エレン「俺は、俺たちはドラゴンを必ず一匹残らず駆逐するっ!……ほら、こんな感じで」
アルミン「あははは……エレンらしいや。でもそうだね、やるからには、それぐらいの気持ちでいかないと」
クリスタ「わ、私も、精一杯頑張るからね!」
エレン「おう、二人とも頼りにしてるからな!……ところで、ミカサの奴はまだ来ないのか?」
アルミン「あ、ミカサなら……」
【とある建物・特設会場】
ミカサ「獲物を屠るイェェェェェガアァァァァァァァァ!」
観衆「「イェェェェェガアァァァァァァァァ!」」
ファンa「みかりーーーーーん!」
ファンb「行かないでくれぇぇぇぇぇ!」
エレン「……なんだこれ!?」
アルミン「……『みかりん、アイドル一時休業お別れライブ会場』らしいよ」
クリスタ「すごい声援だね。流石、主席アイドルのミカサだよ……」
ミカサ「屠るぅぅ屠るぅぅ俺~たぁちぃぃぃ、流れる血潮もそのままにぃぃぃ!」バキャァ!
魔物「」ビチャア
アルミン「あぁ!天井から吊るされていた魔物が一瞬で爆散すると同時に会場にむせ返る様な血の臭いが……!?」ガクブル
クリスタ「うぅ……なんて過激なステージパフォーマンスなの……!?」ガクブル
エレン(二人とも涙目じゃないか……この混沌とした空間から早く出よう……)
――――
―――
――
―
ファン一同「いってらっしゃいみかりん!気をつけてね……!」
ミカサ「ありがとう。大丈夫、全ての竜を削いで嬲って屠って狩って駆逐してくるだけだから」
エレン「おい、ミカサ……」
ミカサ「あ、エレン!ありがとう、私のライブを見に来てくれて。……どうだった?」テレテレ
エレン「アルミンとクリスタが泣き出しそうだったから、すぐに退室したよ」
ミカサ「……くすん」
エレン「今更だけどさ、どうしてお前アイドルの道を選んだんだ?」
ミカサ「実は、子供の頃から密かに憧れていた。まさか3年で夢が叶うとは思わなかったけど……」
エレン(初めて聞いたぞおい。てか、お前の全身ってどうみてもデストロイヤー向きだろ!?)
ミカサ「我ながら、自分の才能が恐ろしい」
アルミン「そうだね。真っ白だったはずのこの部屋がいつの間にか赤黒く染まっているのは、恐怖そのものだよ」ガタガタ
クリスタ「あそこで痙攣してるファンの人たちは……?わ、私治療した方がいいのかな……?」ビクビク
転がる騎士「天使様……お構いなく、我らは今、臨死の恍惚を堪能しているだけです……まだ貴女の住む天の国へは……」ビクンッビクンッ
ミカサ「彼らはファンクラブ幹部で、騎士団の分隊。ステージから観客席へのドロップキックパフォーマンスは彼らが必ず受け止めるの」
エレン(こいつらある意味憲兵団よりひでぇ……)
ミカサ「それじゃあ、そろそろ行こう。今日でハントマン講習もおしまい。ギルドを立ち上げて、ドラゴンを駆逐しに行く」
エレン「わかってるよ!というか、ミカサ待ちだったんだからな?」
ミカサ「う……ファンサービスを欠かさないのが、一人前のアイドルだと習った。仕方が無いこと。それよりエレン?」
エレン「なんだよ」
ミカサ「……わ、私のことをみかりんと呼んでくれても――」
エレン「よーし登録所いくぞー」
アル・クリ「「はーい」」
ミカサ「……」シクシク
【新規ギルド登録所】
ワイワイガヤガヤ
エレン「うおっ、随分と人が多いな」
サシャ「おや、エレン達じゃないですか!」
アルミン「サシャじゃないか。それにコニーにフランツとハンナ……もしかして君達もギルドを?」
サシャ「ええ。この国の女王様には、ご恩がありますからね!」
サシャ「突然の見知らぬ地、途方にくれる私達に恵まれたおいしいご飯と寝床のご恩!忘れるわけにはいきませんよ!」
コニー「この三年間……結局、なんで俺達が壁の外に出ちまったのかはわからずじまいだが、戦う以外道が無いってことはわかるぜ」
エレン「そういやサシャもコニーも、ファイターとトリックスターの成績上位者だもんな」
フランツ「エレン達も上位じゃないか。まったく凄いよ、いきなり見知らぬ世界に出てもすぐに技術を吸収できるなんて……」
フランツ「だが、講習が全てじゃないさ。僕はこれからも腕を磨いて、ハンナのナイトであり続ける!」
ハンナ「ああ素敵よフランツ!私の治療術も蘇生術もフランツにしか使わないわ!私はフランツだけのものだもの!」
クリスタ「それヒーラー失格だよハンナ!?」
エレン「この馬鹿夫婦が……お前ら、クラス問わずいろんなハントマンから早く爆発しろって言われてんだぞ?意味はよくわかんないけど」
アルミン「訓練兵の頃から思ってたけど、本当に仲いいよね……」
ミカサ「私達も、負けてない」
エレン「まあな。しかし……ファイター、ナイト、トリックスター、ヒーラーか。意外にもバランスとれたギルドだな」
コニー「そりゃあなにしろ俺が考えたんだからな!元々全員知った顔だし、最強ギルドの結成だぜ!」
アルミン(……なぜだろう、頭に一瞬バカルテットという謎の言葉が浮かんだよ)
サシャ「見たところ、エレン達もその四人でギルドを立ち上げるみたいですね。あれ?でも……」
【前衛(よく攻撃される)】
エレン(デストロイヤー)
【後衛(前衛が健在な限りあまり攻撃されない)】
ミカサ(アイドル)アルミン(メイジ)クリスタ(ヒーラー)
コニー「エレン……ここにジャンの奴もいたら、間違いなく死に急ぎ野郎って言われただろうなぁ……」ポン
サシャ「言われたでしょうねぇ……」ポン
エレン「なんでそんな哀れんだ表情すんだよ!俺だって好きでこういう編成にしたわけじゃないんだよ!」
クリスタ「ご、ごめんねエレン……私がデストロイヤーの道を歩んでれば……頭突きだけは自信あったし!」
エレン「いや、クリスタは悪くないよ。むしろクリスタが癒してくれないと困る」
アルミン「そうさ、僕がもっと体力があればよかっただけの話なんだよ……」
エレン「何言ってんだアルミン。講習で習ったけど、魔法でしか倒せない魔物もいるんだし、アルミンの力は絶対に必要だ」
ミカサ「…………」ソワソワ
エレン「いや、文句言うとしたらお前だからなミカサ!?」
ミカサ「!?」ガーン
サシャ「確かに、その腹筋はどうみてもデストロイヤーのそれですよね……」
アルミン「うん、僕はてっきりサムライかと思ってた。東洋の武器を使うって説明されてたから……」
クリスタ「私はナイトだと思ってたよ。ほら、昔からエレンは私が守るとか言ってたから……」
ミカサ「だ、大丈夫。アイドルパワー♪でエレンを守ることは可能。この、メガホンがあれば!」キィィィン!
パリンパリンパリーン
オイ、オフィスノガラズガゼンブワレタゾ!?
一同「」
役員「おい誰だ!この忙しい時に窓ガラスを割った奴は!?なんか凄い音がしたし!」
ミカサ「そこの新人ハントマンが放屁した音です。その衝撃で窓は割れたのです」
サシャ「!?」
役員「ん、お前は……頼むから慎みをおぼえてくれ……」スタスタ
サシャ「!!?」
ミカサ「……少しやりすぎたけど、これで証明された。私はエレンを守ることができる」
サシャ「うわあああぁぁぁん!酷いですよミカサ!もういいです!ギルド『ポテトミートパン』出陣です!」プンプン
アルミン(なんて嫌なギルド名だろう)
サシャ「ドラゴンの肉はどんな味なんでしょう!?そのお肉を食べ尽くすまで私は止まりません!」ダダダ……
コニー「よっしゃ、行くぜー!じゃあなお前ら。お互い頑張ろうぜ!」ダダダ……
フランツ「待ってくれ!さあ、いくよハンナ!僕の腕の中が絶対安全防御領域さ!しっかりつかまってるんだよ!」
ハンナ「素敵すぎるわフランツ!素敵すぎて頭がフットーしちゃいそうだよぉ……!」
アルミン「」
クリスタ「あ、相変わらずサシャ達は元気だね……」
エレン「おお、コニーの奴やっぱ速いな。もう見えなくなっちまった」
ミカサ「フランツ達、随分と変わった防御態勢だった」
クリスタ「でも防御に優れているナイトが常時ヒーラーを抱きかかえていたら、確かに凄い安全かも」
エレン「あいつら、意外と色々作戦考えているんだな。でも負けてられるか!こっちにもアルミンがいるんだぜ!」
アルミン「……まともな作戦を考えておくよ(これが、ハントマン講習に一般教養がなかった弊害か……)」
出来立てギルド「「いざ、狩りにゆかん!」」ザッザッ
ギルド管理員「次の登録希望の方、どうぞー」
エレン「お、俺達の番だな」
―――
――
ギルド管理員「はい、これでギルドとメンバーの登録はだいたい完了よ」
ギルド管理員「でも驚いたわね。まさかあのアイドルのみかりんが……」
エレン(俺の家族がいつの間にかすごい知名度になってる……)
ギルド管理員「あとは最後に、ギルド名を書いてね」
エレン「やっべ、あいつら駆逐することばっか考えて、そこら辺考えてなかった」
アルミン「サシャでさえ考え付いたんだ。僕らも少し考えれば……」
上級騎士「思いつかないのですか?では、神の猟犬……フェイタルハウンドというのはどうでしょう」
エレン「やだよ。……ドラゴン駆逐し隊とかどうだ?」
クリスタ「あ、あんまり恥ずかしくない名前がいいな」
アルミン「これ、意外と重要なことだね。決めたら僕らは、ずっとそのギルド名で呼ばれるからね……」
ミカサ「~~♪」カキカキ
ギルド管理員「ふむふむ。『獲物を屠るイェーガー』か。あら、みかりんのデビュー曲名じゃない」
三人「「ミカサァ!?」」
ギルド管理員「これで登録完了。活躍に期待してるわよ『獲物を屠るイェーガー』」
三人「「」」
ミカサ「みかりんにお任せ。ミッションもこなしてみせる」
ギルド管理員「さすがにアイドルは情報網が凄いわね。もう伝わってるんだ」
エレン「ん、どういうことだミカサ?」
ミカサ「今朝、三年間昏睡状態だった狩竜ギルド『ムラクモ』が戦線復帰したらしい」
ギルド管理員「そうよ。彼らはようやく目を覚ました……それで士気が高まって、これだけ新規ギルドが生まれてるわけ」
ミカサ「自信のあるギルドはムラクモを援護し、『赤帝竜キングドラゴン』を討伐せよ……公になってないけど、これがミッション」
エレン「それって、まさか……」
ミカサ「……三年前の、あの超大型ドラゴン。あいつを討伐することができれば、カザンを取り戻せる」
ミカサ「人類の領土を、初めてドラゴンから奪い返せる」
ここまで。
前回は沢山の票を、ありがとうございます。
もしかしたら夜にまた来るかもしれません。
めちゃくちゃ面白い。微妙に違うけどたまたま世界樹やってたからパーティー編成とか鼻血モンだぜ
乙
手負いの竜王は前衛しか攻撃出来ないからぴったりだな!
乙!
フルパワーならともかく、手負いの竜王じゃみかりんに勝てる気がしない
メイジ+ヒーラー=サイキックと考えれば、エレンチームもいいバランスのはず!
エレン「デストロイヤー一人旅できるんですか!カウンター戦法でラスボスもソロで倒せるんですか!」
エレン「無印には遠距離攻撃オンリーのフレイムイーターいるじゃないですか!やだー!」
手負いの竜王って、後衛にも攻撃こなかった?
募り行く殺意でヒーラーワンパンされた記憶あるんだが
かなり間があいてしまいましたが、続きを投下します。
―――――
――――
―――
――
―
【カザンへの道・ロラッカ山洞】
ミカサ「……ミッションを受けたはいいけど、ここまでとは思わなかった」
エレン「俺も楽観視してたつもりはないが……想像以上に酷い有様だな……」
鳥竜「」
冒険者「」
クリスタ「駄目……この人も、蘇生術を受け付けないよ……」
アルミン「蘇生術、魔法なんていっても万能じゃないんだよ。ここまで遺体が損傷してちゃ……」
冒険者の山「」
ミカサ「……この人達、さっき登録所ですれ違ったばかり」
エレン「逃げようとして……後ろからやられたか、乱入されたか……」
ガサガサ
エレン「っ!?」
鳥竜「クェェェェェェ!」
アルミン「来た!ドラゴンだ!」
エレン「でやがったな!三人とも下がってろ!」
エレン(デストロイヤーの基本戦術は迎撃。敵の注意を俺にだけ引きつけて……)
鳥竜「クァァァァ!」ガブッ
エレン「ぐっ…!(受け止めて……)」
エレン「っのやろおおおおおぉぉぉぉ!(そこを殴り飛ばすっ!)」ドゴォ!
鳥竜「グェェェ……!?」ヨロヨロ
エレン「もう一発、くれてやる!」バギィ
鳥竜「」
エレン「やった!討伐数1……っう!」
クリスタ「エレン!はしゃいでないで、早く怪我の治療しないと!」
クリスタ「じっとしててね。ん……」キュアー
エレン「おお、傷がどんどん塞がっていく。これが回復魔法か」
アルミン「エレン、今回は上手くいったからいいけど、さすがに単騎突撃は危険過ぎる」
クリスタ「そうだよ。ただでさえ、戦法が怪我をする前提なんだから、心配だよ……」キュアー
エレン「わ、悪かったよ……!でも、これで実証された。俺達でも、ドラゴンは殺せる!」
アルミン「ドラゴンの恐ろしさの一つは、巨人と同じく数の力だ」
アルミン「鈍重な地上種ならともかく、今みたいな飛行種の群れに襲われたら……」
冒険者の山「」
アルミン「エレンも、僕らもすぐにああなるよ」
ミカサ「……大丈夫。もうエレンに怪我はさせない。次のドラゴンは、私が削ぐ」シャキン
アルミン(確かに、超硬質スチールブレードはドラゴンにも有効だろうけど……)
エレン(だったら、最初からサムライになってくれてもよかったんじゃね?)
お、続ききたか
sage進行じゃない方がいいかも
クリスタ「ふぅ……後は、包帯を巻いておけば大丈夫だね」
エレン「おう、ありがとなクリスタ」
ミカサ「……エレン、まだ頬に擦り傷が。私もエレンの怪我を治せる」ダラダラ
エレン「よだれじゃねえか!やめろよ、顔がべちゃついちゃうだろ!?」
アルミン「ミカサ、ふざけている場合じゃないよ。先に進もう」
アルミン「例の英雄ギルドがこの辺りのドラゴンをほぼ一掃しているみたいだけど、今みたいな仕留め損なった相手もいる」
エレン「くそ、一匹残らず駆逐してやりたいけど……確かに親玉倒す前に体力使っちゃ意味ないか……」
アルミン「そういうことさ。カザンへの道は多分、華が踏み砕かれている所を辿れば……」
――――
―――
――
―
【カザン近辺】
エレン「よし、もうすぐカザンの街だな」
クリスタ「油断は禁物だよエレン……」
アルミン「この辺りは……ごほっ、フロワロが密集している。講義通りなら、ドラゴンは華の匂いにつられてさらに群が――」
鎚竜1「」 鎚竜2「」
鎚竜3「」 鎚竜4「」
アルミン「うわあああ!?……って、もう死んでいるのか……?」
ミカサ「……かなり深くまで抉っている。やったのは、相当な剣の腕の持ち主」
エレン「これが、英雄ギルドの実力ってわけか……」
クリスタ「さっきの洞窟のドラゴンもほとんど倒されてたし……」
クリスタ「もしかしたら、思ってたより簡単にあの街を取り返せるのかも……?」
エレン「だから言ったろ?ドラゴンなんて、実際は大したことないんだ」
アルミン「このドラゴンの群れを倒したのは、エレンじゃないけどね」
エレン「う、うるさいな。見てろよ、俺だって……」
――ゴアアアアァァァァッ!――
エレン「っ!?」
ミカサ「この咆哮は……!」
手負いの竜王「キサマらは……そうダ、あの時ノ……」
紫色の瘴気が漂う中で、一際目をひく赤。
他のドラゴンとは明らかに違う、純血種。選ばれた存在。
城門に鎮座していたと思われるそれは、ゆっくりとだが前進した。
竜王「彼奴らに受けた傷ガ……未だに癒えぬ……っ!」
かつてカザンを急襲し、人々を絶望させた赤き竜王。
しかしその姿は、かつてのものとはかけ離れている。
竜王「忌々しい……あのドリスという人間も、ミケという人間も……!」
両翼はズタズタに刻まれ、皮膜はもうしわけ程度にしかついていない。
両腕には硬質のワイヤーが痛々しく巻きついたままで、鱗と共に剛爪も欠けている。
兵士を紙くずのように引き裂いた牙も本数が減り、顎は砕かれている。
生物を竦ませる金色の眼光も、今はひとつ。顔の右半分は削ぎ落とされ、折れた鋼の刃が突き刺さったまま。
強靭な肉体、その背中も大きく抉り取られ、今もなお突き立つ英雄王の剣が体内の臓器を貫通している状態だ。
アルミン「そんな、どうして……!?どうして僕らがこいつと出会う……!?」
満身創痍と言って差し支えの無い手負いの竜王。
それでいてこの威圧感はなんなのだろうか?
冷静さを欠いては駄目だとわかっていても、頭がろくにまわらない。
アルミンの身体は、いつの間にか震えていた。
ミカサ「……っ」
ミッションの内容はあくまで英雄ギルドの援護だったはずだ。
自分が強いという自信はある。野良ドラゴンなら、捌ける自信がある。
だがこれは。目の前の相手は、死に損ないだというのに。頭が警鐘を鳴らす。
それは、赤帝竜が竜達の長たる帝竜の中でも、最高位に位置する存在だと聞かされていたためだろうか?
ミカサの頬を、一筋の汗が伝う。
クリスタ「みんな……!」
医学を習ったものであれば、竜王の全身が致命傷を負っているとすぐにわかる。
それでいて何故倒れず、どころかこちらに向かってくるのかはわからない。
かつては望んでいた死への接近。しかし今は、接近してくる死が怖くて仕方が無い。
クリスタは無意識の内に、両腕で自分の身体を抱いていた。
エレン「……」
竜王が手負いであるということは、その傷を与えた存在がいるということ。そしてそれが誰であるかは知っている。
人類最強と呼ばれる男に次ぐ実力を持っていたミケ・ザカリアス。
この世界において英雄王と称されていたドリス・アゴート。
あの日以降、彼らの姿を見たものはいない。
眼前の竜王の身体に刺さった、見覚えのある剣。それを見れば、彼らの運命は嫌でもわかった。
だからこそ――
エレン「よお……三年ぶりだな……」
エレンは退くことなく、竜王に合わせるように足を踏み出した。
アルミン「エレン!?」
エレン「ギルド【獲物を屠るイェーガー】!総員戦闘準備!」
三人「「!!」」
エレン「目標目の前っ!赤帝竜キングドラゴン!これはチャンスだ、絶対に逃がすな!」
アルミン「チャ、チャンス……!?」
エレン「こいつがドラゴン達の親玉で、これだけの傷を負っているんだ!俺達が今やらないでどうする!」
竜王の身体に剣が刺さっている。それはつまり、最期の時まで彼らが諦めずに戦い抜いた証拠。
ここで逃げ、もし竜王の傷が癒えてしまっては、彼らの犠牲が無駄になる。
自分達には戦う力があり、もう……三年前の子供ではない。
エレン「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
竜王「私を相手ニ、素手で挑むとは狂ったか、ニンゲンッ!」
竜王「よかろう……この傷、まずはキサマらを喰う事で癒すとしよう……!」
エレン「アルミン、ミカサ、クリスタ!立体機動に移って援護を頼む!」
アルミン「わ、わかった!」
咆哮と共に、竜王の爪が振りおろされる。
戦いはもう、止められない。
エレン「ぐっ……ぅぅぅううううう!」ドゴォ!
竜王「がふっ!?……キサマァ!」
ミカサ「エレン!下手に反撃しようと考えないで、まずは身を守って!」
クリスタ「待っててエレン!すぐ治すからね……!」
アルミン「クリスタはエレンの治療に専念してくれ!僕は後方射撃をする!」
――――
―――
――
―
竜王「こ、ノ……またしてもちょこまかと……動きおってぇ……!」
どれだけの時間が経ったのだろうか。
手負いの竜王の動きが、徐々に徐々に鈍くなっていく。
ミカサ「エレン、前に出過ぎている!防御陣形を崩さないように注意して!」
エレン「うおっと!わ、悪いミカサ!」
空中から拡声器を通じて響くミカサの指示に慌ててエレンが飛び退き、竜王の牙を間一髪でかわす。
本来であれば、そこから刺し違え気味に拳を打ち込むのだが、今はそれをしない。
消極的ではあるが、手負いの竜王を相手にするにはこの作戦が一番……そう言ったのはアルミンであった。
アルミン(まずはキサマらを喰う事で……、あいつは、確かにそう言った)
アルミン(つまり、まだ英雄ギルドは負けていない。でもさっきの竜の屍から判断して、この付近にはいるはずなんだ……!)
徹底した守りの戦術――時間を稼ぎ、本命であるギルドの到着を待つ作戦。
手負いとはいえ、相手は最上位の帝竜。ろくに狩竜経験もない自分達には荷が重過ぎる相手だからだ。
幸いなことに、この戦場は妖華に埋もれていることを除けば市街地であり、辺りには家屋が立ち並んでいる。
煉瓦造りの建造物。アンカーも刺さりやすく、翼が機能しない竜王では屋根の上までは攻撃を届かせることができない。
難敵相手とはいえ、立体機動を駆使するにはこれ以上ない好条件であり、故に善戦は続いていた。
竜王「ナゼだ、何故倒れヌ……!」
エレン「うるせえ……お前が、さっさと、倒れやがれ……!」
最前線で、エレンはただ一人竜王の猛攻に晒され続け、ひたすらにそれを耐え続ける。
立体機動も行わず、地上で竜王を相手に一人で戦う……端から見れば、死に急ぎ野郎だろう。
しかし空中には、頼れる仲間がしっかりと三人いる。
ミカサ「隙ができた……!総員、攻撃!」
竜王「ぐっ……ォォォオ!」
空中から響き渡る声は、全員の耳によく届く。
基本は常に守りに適した布陣を、隙あれば仲間に刃を飛ばすように指示し、
竜王とのすれ違いざまには抉られている傷跡に自ら攻撃を仕掛ける、腹筋系アイドルが。
アルミン「こっちもきついけど、あいつだってそろそろ限界のはずだ……!」キィィン
クリスタ「だ、大丈夫。まだ、頑張れるよ……!」
猛攻を防ぐことで手一杯な前衛に代わり、圧縮弾の狙撃で援護を行う司令塔の魔術師が。
常にたった一人で傷を負い続ける前衛を献身的に癒し続ける、天使の如き治療師が。
四人の力は一つとなり、着実に竜王を追い詰めていた。
竜王「ガアアアアッ!チカラこそが、この世のゼッタイであると主は言っタ!」
竜王「私は強イ、小細工ナド必要としない、この牙と爪だけで帝竜の長までノボリつめた!我がチカラは絶対なり!」
竜王「アリエぬのだ、ワタシの前にいつまでもニンゲンが立ち続け、周りに羽虫の如くうろつかれ、それをオトせぬなど……!」
竜王「あっては――ナラヌ!」
アルミン「と、跳んだ!?」
――それは突然の出来事だった。
鮮血を撒き散らしながら、比較的傷の少ない後ろ足に力を込めて、跳躍。
己の絶対的な力を盲信するあまり、常に眼前の相手ばかりを狙い続けてきた竜王の、初めての奇行。
募りに募った、暴力的な、極限まで高められた殺意。三年前から現在に至るまでの怒りの矛先は――
クリスタ「っ!?」
獲物を仕留めきれない理由を作り出していた、治療師に向けられた。
振り下ろされる爪から、咄嗟に二本の刃を交差させて身を守ろうとするが……
竜王「家畜風情ガ空を駆けようナド、許されない――死ネ」
刃の耐久力も、腕力も、竜王の渾身の一撃の前にはあまりに無力。
エレン「まずい、クリスタァ!」
地面に叩きつけられそうになる彼女を、なんとか空中で受け止める。
エレン「うっ……!?」
ミカサ「エレンッ!?」
それでも、勢いは止まらない。
ミカサが叫ぶと同時に、嫌な音と共に大地に衝撃が奔る。
程なくして二人の人間が数回跳ね、地面に力なく横たわった。
エレン「がふっ………」
クリスタ「うっ………」
アルミン「エレン……!クリスタ……!そんな……!」
クリスタはエレンが緩衝材となったおかげで、そのエレンは頑丈な肉体のおかげで、かろうじて生きてはいた。
しかし虫の息、とてもではないが起き上がり、再び竜王と戦うことなどできないだろう。
竜王「次は――キサマらの番だ……」
アルミン「……!」
ミカサ「アルミン、エレン達を連れて早く逃げて!ここは私が……!」
竜王の言葉通り、次に狙われるのは残された者以外ありえない。
接近戦の鍛錬を積んできたエレンでさえ、正面から攻撃を受け止められるのは1、2回が限度だった。
とてもではないが、ひ弱な魔術師の身体など一撃で粉砕されてしまう。
アルミン「ミカサ、駄目だ!」
それはわかっているが、アルミンはミカサに出された指示を聞き入れることはできなかった。
彼女の戦闘能力は知っているし、今も見えている引き締まった肉体はエレンと同等かそれ以上だろう。
だがいくら強いとはいえ、人間と竜とでは根本的な肉体強度が違う。
治療師を欠いた今では、如何にミカサといえど竜王を一人で相手取るのは自殺行為だ。
見知らぬ街に迷い込んで。
僅かな間であったが外の世界を探検してみようと笑い合って。
直後にドラゴンの襲撃に遭い、人々の絶望する様子を見せつけられ。
三年経って、少しは希望が見えてきたかと思った矢先に……この仕打ち。
それでも――
ミカサ「私は諦めない……諦めてたまるか!私は、何が何でも……!」
竜王「フン……人数を欠いたキサマらガ、私に勝てル可能性は万が一にもなくなっタ」
竜王「おとなしく……我が血肉となるがイイ……!」
その意思を嗤うように。
再び、募らせた殺意の力を乗せ。
竜王の剛腕が無慈悲に振り下ろされた。
???1「――そうはさせない」ガギィン
竜王「ヌ!?」
ミカサ「――え?」
アルミン「あ、あれは!?」
しかし、竜王の爪がミカサの命を奪うことはなかった。
竜王とミカサの間に割って入った、白銀の装備に身を包んだ騎士のおかげで。
???2「人数を欠いて駄目なら……増えれば勝てるということだろう?……刻み込む!」
???3「……エグゾースト、コンセントレート、フリーズ」
竜王「ッ!??グガアアアアアアアァァァァ――!?」
騎士を追うように、さらに二つの影が飛び出す。
それと同時に、凄まじい風を纏った斬撃が竜王の体勢を崩し、腹部に巨大な氷塊が突き刺さった。
???4「とどめの追撃、いかせてもらおうか!」
竜王「オ、ノ、レ……ェ……!」
最後に飛び出してきた影は、仲間が生み出した氷を纏わせた大剣を振りかざす。
そして氷の剣は――
振るわれた爪を砕き、実にあっさりと――赤帝竜の脳天を貫いた。
――――
―――
――
―
エレン「―――はっ!?」
ミカサ「エレン!」
アルミン「エレン!」
エレン「お、俺は……確かキングドラゴンと戦って――」
クリスタ「エレンッ!」ダキッ
エレン「うおっと!?……そうだ、確かクリスタを庇おうとして……」
クリスタ「ごめんなさいエレン……私のせいで……」
エレン「いや、お前も俺もこうして生きているならそれでいいんだが、あいつは――」
アルミン「赤帝竜かい?僕らに代わって、例のギルド――ムラクモの皆さんが倒してくれたよ」
エレン「そ、それじゃあ……!」
アルミン「ああ、ここはカザンの病院。人類は……初めてドラゴンから領土を奪い返したんだ」
エレン「さすが……英雄達だな……」
???「ハハハ、私達はそんな大層なものじゃないよ」
エレン「うお、誰だ!?てか何処だ!?」
???「こっちこっち、君の右隣のベッドだよ」
エレン「こ、こっちか。……あんたが、英雄の一人?なんであんたまでベッドに?」
ミカサ「エレン、この人はグリオンさん。あの帝竜の攻撃から私を守ってくれたの」
グリオン「いやー、格好つけて飛び込んだはいいけど、私もあの一撃で腕の骨にヒビ入ってね。英雄なんて言われてもこんなもんさ」
エレン「そうだったのか。あの、ありがとうございます、ミカサを助けてくれて……」
グリオン「なになに、騎士として当然のことです。本当なら、君や治療師の子が重傷を負う前に助けたかったんだが……」
???「甘やかすなグリオン。相手の力量もわからずに、いきなり帝竜に突っ込んだそのギルドが悪い」
グリオン「シシマル……そんな言い方はないんじゃないか?」
シシマル「事実だ。今回のカザン奪還ミッション、俺達を援護するのが他のギルドの役目のだったはずだろう?」
シシマル「どうせ他のギルドと同じように、討伐報酬を横取りでもしたかったのだろうが――」
エレン「え、報酬?なんだよそれ」
シシマル「……」
シシマル「……おい、そこのお前」
アルミン「は、はい!?」
シシマル「こいつは……いや、お前達は馬鹿か!?報酬のことも知らず、ろくに経験を積みもせずに帝竜に挑んだのか!?」
ミカサ「……点々と竜の屍があって、それに沿って進んでいたら、出くわした」
シシマル「だろうな!俺達が通った跡だそれは!だからといって、そのまま街に入るか普通!?俺達はその頃脇道で鎚竜狩りの真っ最中だ!」
グリオン「あはは……彼は意外と慎重且つ二度手間が嫌いな男でね。一度踏み入れたエリアの竜は、一匹残らず狩る派なんだよ」
エレン「あれ?でも山洞でドラゴン残ってましたよ、鳥みたいな奴が。俺でも倒せたんで、結構自信持てたんですけど……」
シシマル「くそ、俺としたことが狩り損なうとは……というか、そこらのグリフィナスとキングドラゴンを同列に扱うな!」
エレン「す、すみませんでしたぁ!?」
シシマル「まったく……まあ、他の俗物ギルドよりは幾分マシなようだな。……受け取れ」
エレン「え?なんですか、これ?」
シシマル「赤帝竜討伐の報酬……カザン一等区の超高級住宅の権利書とそこの鍵だ。お前達にくれてやる」
エレン「え!?でも倒したのは……」
シシマル「ふん、あんな死に損ないに一撃を入れただけでそれを受け取れるか。俺もサムライの端くれ、潔くお前達の活躍を認める」
グリオン「このまま受け取っちゃ、それこそ私達が横取りを企むハイエナギルドになってしまうよ」
シシマル「リーダーにも話は通してある。遠慮なく受け取るといい。そしてのんびりその家でくつろいでいろ」
エレン「な、なんでですか?」
シシマル「なに、別にお前達に限った話ではない。俺は全ての竜を狩り尽くす。だからその日が訪れるのを待っていれば――」
エレン「お、俺だってこの世界のドラゴン一匹残らず駆逐してやりますよっ!」
シシマル「お、お前!まだ懲りていないのか!?それ以前に、駆逐など生温い!奴らは狩り尽くさねばならない!」
エレン「何がいけないんですか!ちゃんと一匹残らず駆逐するって言っているでしょう!?」
シシマル「駆逐は、追い払うだけだろうが!俺のは、狩る!竜は見つけ次第、その場で一方的に息の根を止める!根本的に意味が違う!」
エレン「」
シシマル「お、おい?どうした……?」
エレン「く、駆逐の方が響きがいいじゃないですか!狩るだとウサギとか小動物にも使えるじゃないですか!」
シシマル「はぁ!?」
エレン「お、俺は今一度宣言する!ドラゴンどもを、一匹残らず駆逐するっ!」
シシマル「なんだと!?ならば俺も今一度宣言しよう!全ての竜を、狩り尽くすっ!」
クチク! カル! クチク! カル! クチク! カル!
アルミン「……すみません、『駆逐』がエレンの口癖なんです」
グリオン「……うちの『狩る』も似たようなものだよ。すまないね」
ミカサ「……私は、『削ぐ』がいい」
クリスタ「な、なんで張り合うの!?」
???1「……病院内では、静かに」
???2「お、そっちのギルドリーダーさん起きたんだね。思ったより元気そうじゃないか」
エレ・アル・ミカ・クリ「「……え?」」
イクラクン「……私はイクラクン、魔術師よ。赤帝竜の討伐協力、感謝するわ」
ハルカラ「ボクはハルカラ。一応ギルドムラクモのリーダーやってる戦士だよー」
エレ・アル・ミカ・クリ「「獣の耳……!?」」
ハルカラ「およ?『ルシェ』を見るのは初めてなのかい?」
エレン「ルシェ?」
イクラクン「……私達、普通の人間とは違う種族のこと。誇り高き民よ」
ハルカラ「女の子はこういった獣耳、男の子は尖がった耳がルシェの証なのさ。グリオンもルシェだよ」
グリオン「いいですよねーリーダー達は。どうせ私達男は耳の特徴が薄いですよ……」
シシマル「くっ……俺だけただの人間で悪かったな……」
エレン(ルシェの耳……)
アルミン(これはたまらなく……)
クリスタ(かわいい……!)
ミカサ(欲しい……!)
ハルカラ「まあボク達のことは置いておくとして、まずはありがとうね、ギルド獲物を屠るイェーガー」
エレン「おいミカサ、やっぱこのギルド名駄目だろ」
ミカサ「」ガーン
ハルカラ「えー?ギルド名に『狩る者』を入れるなんて、かっこよくていいと思うんだけどなー」
ミカサ「あなたは話せる人」パァァ!
イクラクン「コホン……とにかく、赤帝竜は倒れ、カザンの奪還に成功した」
イクラクン「でも、まだ帝竜は確認ができているだけでもあと5体いる」
イクラクン「黒帝、炎帝、空帝、艦帝……そして虹帝」
シシマル「当たり前のことだが、そいつらの配下や、どこにも属さない野良の竜もいる」
グリオン「下級ドラゴンなら各国の軍隊やそこらの冒険者でも倒すことは可能ですが……」
ハルカラ「ちょっとでも手強いドラゴンには、ほとんどの軍隊は役に立たない。そしてそんなドラゴンは数百体存在する」
イクラクン「……そいつらは、フロワロがある限りほぼ無限にどこからともなく、群れを補充するように現れる」
シシマル「言わば倒した竜の『復活』ともとれるが、とにかく無駄に日数をかけていては人類に勝ち目はない」
グリオン「不幸中の幸いなことに、帝竜以外のドラゴンには知能といったものが存在しないようです」
ハルカラ「それが、ボクらが唯一ドラゴンに対して有利に動ける点だね。さて……敵勢力のことはわかったかな?」
エレ・アル・ミカ・クリ「「……」」
シシマル「……赤帝竜と実際にやりあったお前達だ。雑魚はともかく、帝竜の恐ろしさは理解できているだろう?」
メナス「そのうえで、君らの話を聞きたいところだな、ギルド・獲物を屠るイェーガーよ」
エレ・アル・ミカ・クリ「「!?」」
エレン「あ、あなたはメナス教官!?」
メナス「なるほど、あの時の新人君がリーダーだったか」
メナス「話は全てムラクモの面々から聞いたよ。まさか諸君らが赤帝竜と戦うとはね……」
メナス「諸君らとムラクモの活躍もあり、カザンは奪還され、急速に復興が進められている」
メナス「……私は、大統領の遺志を継ぎ、カザンを治める司令官としてここに宣言しよう」
今日、この場所より!
人類のドラゴンに対する反攻を開始する!
人類の反撃は、ここからだ!
エレン「……!」
メナス「次なる反撃の手として、ムラクモはこれより『黒帝竜デッドブラック』の討伐に向かう」
メナス「黒帝竜は赤帝竜と比較すれば、実に脆弱な存在。彼らの実力ならまず討ち取れるだろう」
メナス「さて……ギルド・獲物以下略、諸君はどうする?」
メナス「黒帝竜はともかく、他の帝竜の力は未知数。赤帝竜の力は、身を持って知ったはずだ」
クリスタ「……はい」
エレン「……」
メナス「本来であれば、危険なミッションを出すのはムラクモだけにするつもりだったが……」
メナス「帝竜討伐補佐……その実績は大きい。故に、諸君らにも場合によってはミッションを出そうと思っている」
メナス「……ギルド・獲物以下略リーダー、エレン・イェーガー及びその仲間達。君達の『選択』を聞こうか」
ここまでとなります。
色々ぐだったり、投下ペースも安定していませんが、再びアンケート的なものを。
今回は今後の展開について。
1:獲得したギルドハウスで時間を潰す(一気に物語終盤へ)
2:各地で竜の駆逐
3:クエストなどをこなして修練
4:その他
多かった番号のもので、進めていこうと思います。
2
3の途中に2が入る感じ
乙
そりゃいきなり帝竜に挑んだらきついわ
3で、すごい個人的な要望だがハノイを出してくれると嬉しい
乙です。
実力的にきついので3
3がいいと思います
3の途中に2を入れる
3でしょうなあ
けども少しだけまったり1展開しても……いいんだからねっ!///
しかしデッドブラックか。何も考えずに初見で宝石とかガラス玉使って
【真 デッドブラックが現れた!】 の文字に強くなってるじゃねーか!?
と叫んだのは俺だけじゃないはず。まぁ、実際には弱くなってたけどさ。
しまった、下げ忘れた。マジごめん。
このSSまとめへのコメント
3
3からの2がいいかなと個人的には思います