男「お隣さんのばんぱいあ」(5)


 何の変哲もないこのアパートで一人暮らしをして四年。

 現在は絶賛留年中の大学三年生。

 最近、隣に越してきた母子とは夜、仕事の間娘さんを預かるくらいのご近所付き合いをしている。

 変な事件が多いこのご時世、娘を預けても良い位に信用されているのもありがたいことかもしれない。

 ただ――。

母血鬼「千春君、軒先にニンニク吊すの止めてぇ!」

男「いや、一応用心のためにも」

 どうやらお隣さんは吸血鬼らしい……


 夜もそろそろ耽る頃。

 お隣さんは、小さな娘さんを預けにやってくる。

 ご近所同士、持ちつ持たれつ。
 母の手一つの子育ては大変だろうし、快く引き受けてやるのが人情ってもんだろう。


母血鬼「それじゃあ頼んだわよ、娘血鬼、良い子にしてるのよ?」

 去り際に頭をなでる姿は微笑ましい。 この光景の為に睡眠時間が少し削れる位は何の問題もない。

娘血鬼「うー」

娘ちゃんは笑顔で答える。

男「大丈夫ですって、娘ちゃんは良い子ですから」

娘血鬼「娘血鬼いいこにしてるよ?」


母血鬼「ちょっと……」

玄関から出て行くときに手招きする母血鬼さん。

母血鬼「アリエに何かあったら、即席即神仏すっからな?」

男「……ハイ」



母血鬼「あ、でも家の娘が粗相したら叱ってくれて構わないわよ?」

 案外常識的だったりする。

男「いや、娘ちゃんは年の割に聞き分けも良いですし泣いたりもしな……」


母血鬼「泣かねぇからって何しても許されるわけじゃねぇぞ」
……怖っ

娘血鬼「ばいばぁい」



 生きた心地がしないね、どうも。


名前ミス


個人名は書き溜の際の名残なので気にせずお願いします。

期待待機

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