真姫「女神のお告げ」 (231)


真姫「あ、あのね」


真姫「仲良くなりたい人がいるの」


真姫「でも、どうしたら良いのか分からなくて……」


真姫「え? 相手は誰かって? 誰でも良いでしょ、そんなの」


真姫「……はあ!?」


真姫「な、何でにこちゃんの名前が出てくんのよ!」


真姫「違……くはないけど!」


真姫「どうして真っ先ににこちゃんを思いつくのよ! 意味分かんない!」


真姫「もう! ニヤニヤしないで!」


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お告げ その1


 何と言ってもまずはきっかけ作りだよ!

 一緒に帰って、お喋りして、仲良くなろう!
 


放課後


真姫「にこちゃん!」


にこ「真姫ちゃん?」


真姫「き、今日はもう帰るの?」


にこ「うん」


にこ「今日は晩御飯作らないとだし、部屋のお掃除もやっておきたいのよねー」


真姫「そ、そう」


にこ「で、にこに何か用事?」


真姫「え、ええと……」















真姫「た、ただ見かけたから、声掛けただけよ」


にこ「なーんだ」
 


にこ「にこの姿を見て駆け寄って来るなんて」


にこ「真姫ちゃんにも後輩らしい可愛いとこがあったのね」


真姫「そ、そんなんじゃないわよ!」


にこ「はいはい」


真姫「なによその顔!」


にこ「可愛いにこ?」


真姫「か、かわいく、なんて……」ゴニョゴニョ


にこ「あ、もう行かなきゃ」


にこ「じゃあね真姫ちゃん。また明日」


真姫「あ……うん、また、明日……」


真姫「……」


真姫「何やってんのよ……」


真姫「私の……バカ……」
 


お告げ その2


 まぁ、何でもなく誘えれば苦労はないもんな

 一緒に帰るっていうのは、仲良くなるには良い方法やとウチも思うんよ

 今度は誘うんやなくて、待ち伏せてみるっていうのはどう?
 


放課後


真姫(正門の陰で待ち伏せ)


真姫(にこちゃんが出てきたら偶然を装って……)


真姫(練習が休みの今日なら、こういう出会い方をしてもおかしくないはず)


真姫「うん。これはいけそうな気がするわ!」








PM 04:00


真姫「……」ドキドキ


PM 04:30


真姫「……」ソワソワ







PM 05:00


真姫「……?」







PM 06:00


真姫「……」
 

よっしゃ、にこまきやんけ!

可愛い


PM 06:30


にこ「はぁ~……」


にこ「何でプリント1枚でこんなに残されなきゃなんないのよ、ったく……」


にこ「……ん?」


にこ「え、なんで、真姫ちゃん!?」


真姫「……」


にこ「真姫ちゃん! こんなとこで何してんの!?」


真姫「……」


にこ「今日は練習だってないし、どうして帰らないでこんな時間まで……」


真姫「……そい」ボソッ


にこ「え?」


真姫「遅いって言ったのよ!」


にこ「……え?」
 

可愛い


真姫「なんでもっと早く出てこないのよ!」


真姫「今まで何してたの!?」


にこ「数学の課題プリントを出さなかったらペナルティを喰らって……」


真姫「そんなのさっさと終わらせなさいよ!」


にこ「……」


真姫「私が何時から待ってると思って……」


にこ「あ、やっぱり」


真姫「何が!?」


にこ「にこのこと待っててくれたんだ」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「……べっ」


真姫「べべべべべべ別に待ってたわけじゃ……!」


にこ「いやいやいや……」
 


にこ「もう。待つなら待つで、一言言ってくれれば良いのに」


真姫「だ、だから、私はにこちゃんを待ってなんて……!」


にこ「なら何してたの?」


真姫「そ、それは……」


にこ「それは?」


真姫「っ……」


にこ「……まぁ、いいわ」


にこ「さ、真っ暗になる前に帰りましょ」


真姫「! そ、そうね」


にこ「あ、ちょっとその前に」


にこ「真姫ちゃん。ちょっとあっち向いて」


真姫「? こう?」クルッ
 


にこ「真姫ちゃん、あそこに寄りかかってたでしょ?」


にこ「背中が汚れてるから払ってあげる」


真姫「あ、ありがとう……」


にこ「アイドルたるもの、身だしなみは普通以上に気をつけてなきゃダメよ」パンパン


真姫「うん……」


にこ「……ありがと」ボソッ


真姫「にこちゃん、何か言った?」


にこ「んー? なんでもないにこー」


にこ「はい、でーきた」


にこ「じゃ、帰りましょうか」


真姫「ええ」


にこ「そう言えば聞いてよ真姫ちゃん! さっきの居残りでね……」
 

かわいい

かわいい


お告げ その3


 一緒に帰るだけで、満足してないかにゃ?

 帰り道の醍醐味は寄り道にゃ!

 え? どこに寄れば良いかって? そんなのどこでも良いの!

 お店でも公園でも遠回りの道でも!
 

女神ってそういうことか

期待

にこまき最近少ないから嬉しい


帰り道


にこ「そしたらさー」


真姫「……」


真姫(にこちゃんと一緒に帰ることが増えた)


真姫(でも、学校からお互いの家への分かれ道まで真っ直ぐ歩いて終わり)


真姫(寄り道は、一度もしたことない)


真姫(……してみたい。帰り道の醍醐味)


真姫(寄り道って、どうやって誘うの?)


真姫(『寄り道しよう』ってストレートに言うの? なんかそれ変じゃない?)


真姫(っていうか、もう住宅地に入っちゃってて寄れる場所なんて……)


真姫(……あっ)


真姫「公園……」


にこ「公園?」


真姫「!?」


真姫(しまった声に……!)
 


にこ「この時間じゃもう誰もいないわね」


真姫「そ、そうね」


にこ「……チャンスね」


にこ「真姫ちゃん、時間大丈夫? 今日はこの後に用事とかは?」


真姫「何も無いけど……」


にこ「じゃあ寄って行きましょ」


真姫「!」


にこ「公園」


にこ「高校生が人目を気にせず遊具で遊べるチャンスよ!」


真姫「……ふふっ」


真姫「なによそれ。そんなチャンス初めて聞いたわ」


にこ「そう? にこには結構あるけどね」


にこ「ほら、行きましょ」


真姫「うん」
 


公園


にこ「って言っても、この公園の遊具ってブランコしかないのよね」


真姫「結構広いのに、これじゃ寂しいわね」


にこ「前はね、あそこにジャングルジムがあって、そっちにシーソーがあって」


にこ「でもみーんな『子供が怪我をするといけないから』って理由で無くなっちゃった」


真姫「それでも、このブランコは残ったのね」


にこ「どんな基準で撤去してるのかしらね。ブランコだって危ないでしょうに」


にこ「よっ、と」


真姫「……」


にこ「あー、この感覚久しぶりー」ギーコー


真姫「……」フルフル


にこ「靴飛ばしとかやったなー」ギーコー


真姫「っ……」プルプル


にこ「……真姫ちゃん? どうかした?」


真姫「っ……にこちゃん……」


真姫「ブランコ……似合い過ぎてて……!」


にこ「はあぁ!?」
 

かわいい


にこ「どういう意味よ!」


真姫「見たままよ」


真姫「高3でそんなにブランコが似合う人なんてなかなかいないんじゃない?」


にこ「」カチンッ


にこ「真姫ちゃん、乗って」


真姫「え?」


にこ「ブランコ乗って」


真姫「な、何よ突然」


にこ「いいから」


真姫「わ、分かったわよ」


真姫「……はい。これで良い?」


にこ「……」ギシッ


真姫「ちょ、にこちゃん相乗りしないで!」


真姫「それに立ち乗りなんて危な……」


にこ「にっこにっこにー☆」


真姫「!?」
 


にこ「にこにーは高校3年生なのにブランコが似合っちゃうくらい可愛いって言われちゃうんだけどー」


真姫「に、にこちゃん?」


にこ「こーんな乗り方しても、まだそんなこと言えるニコ?」


真姫「こんな、って……」


真姫「……えっ、ちょっ!?」


にこ「……」ギィー!! コォー!!


真姫「にこちゃん揺らし過ぎ! ストップストップ!」


にこ「真姫ちゃん黙って。舌噛むから」


真姫「……!」


にこ「とりあえず180度ね」


真姫「……」


真姫「!?」


にこ「絶対に鎖から手を離しちゃダメよー?」


真姫「~~~~!?」
 






真姫「」グッタリ


にこ「楽しかったー」


真姫「楽しくないわよ!」


にこ「あんなにキャーキャー言ってたのに?」


真姫「あれは歓声じゃなくて悲鳴!」


真姫「止めてって何度も言ったのに……!」


にこ「いやー、真姫ちゃんのあんな声初めて聞いたから、つい嬉しくなっちゃって」


真姫「どんな理由よ!」


にこ「またやろっか」


にこ「今度は真姫ちゃんが立ち乗りで」


真姫「ブランコは2度と御免よ!」


にこ「えー」


にこ「帰り道の楽しみになると思ったのになー」


真姫「!」


真姫「……よ、寄り道するなら、もっと別の場所にしてよ」


にこ「それもそっか」


にこ「じゃあ真姫ちゃん、どこに行きたいか決めといてね」


真姫「えっ」


にこ「別のとこが良いんでしょ?」


にこ「大丈夫。文句なんて言わないから」


にこ「ね?」


真姫「……考えておくわ」


にこ「よろしくー」


真姫「……」


真姫(どうすんのよコレ)


真姫(凛と花陽に相談……でも独力で決めた方が……でもやっぱり……)


にこ「早速悩んでる」クスクス

にこわかってやってるな!


お告げ その4


 明日ね、放課後に教室に居残って課題をやるんですって

 夕暮れの教室に2人きり……ハラショー

 明日は私も生徒会の仕事があるから残るけど、絶対に邪魔しないようにするから安心して

 ……ふふっ、今更そんな照れ隠しはいらないわ

 何か進展すると良いわね
 

ことりちゃんかな

ことりちゃん...?

(・8・)チュン?

6話で絵里の真似してたから…(震え声)

(・8´・)b<ハラショー


放課後 3年生教室



にこ「……はぁ」


にこ「身体動かすよりこっちのがずっと疲れる……」


真姫「そんなはずないでしょ」


にこ「……真姫ちゃん?」


真姫「そんな調子で課題終わるの?」


真姫「って、全然進んでないじゃない……」


にこ「スラスラ出来るんなら居残りなんてしないわよ」


真姫「ま、それもそうね」


にこ「結構かかりそうだから、先に帰っちゃっても……」


真姫「どこが分からないの?」


にこ「……はい?」


真姫「私が教えてあげる」


にこ「……ここ、とか」


真姫「ええと、その問題は……」


真姫(エリーに課題を見せてもらって予習してきて正解だったわ)


真姫(理解には程遠い、一夜漬けの付け焼刃だけどね)


真姫「……はい。こう解くのよ」


にこ「あ、ありがと……」


真姫(一緒にいるなら、待ってるだけじゃなくて助けになってあげたいし)
 


真姫「その問いは、教科書のコレと同じ要領で解けるわ」


にこ「……」







真姫「それは問題集に例題があるから、そこを参考にして」


にこ「……」







真姫「その問題は、ここをこう置き換えると公式と同じ形になるでしょ」


にこ「……」







真姫「そこは……」


にこ「……」ガタッ


真姫「……にこちゃん?」


にこ「……」


真姫「ちょっと、どこ行くのよ」


にこ「生徒会室」


真姫「……は?」


にこ「絵里と希がまだ残ってるはずだから、教えてもらいに行ってくる」


真姫「なっ……」


真姫「なにそれ……意味分かんない……」


にこ「……」


真姫「私の教え方じゃ分かりにくかった?」


真姫「もしそうなら、もっと丁寧に説明するから……」


にこ「ううん。十分分かりやすかったわよ、真姫ちゃんの教え方」


真姫「だったら……!」


にこ「……」


真姫「何とか言いなさいよ!」


にこ「……」


真姫「……」


にこ「……待たないで先に帰ってていいからね」


真姫「!」


にこ「バイバイ、真姫ちゃん」







真姫「……」







真姫「なにが、いけなかったの……?」


真姫「私はただ、にこちゃんと一緒にいたくて……」


真姫「もっと、仲良く、なりたくて……」


真姫「にこちゃん……」グスッ

まぁ屈辱だよね

一夜漬けの付け焼刃でも人に教えられる真姫ちゃん頭良すぎじゃね?

凄い続きが気になる状態で中断するなんて・・・

続き超絶期待しています!wktk

 
生徒会室


絵里「……」ペラッ


希「……」カキカキ


絵里「希、そこのファイル取ってくれる?」


希「はい」


絵里「ありがとう」


希「どういたしまして」


絵里「……ねえ?」


希「んー?」カキカキ


絵里「あの子たち、今どうしてるかしら?」


希「気になる?」


絵里「うん……」
 


絵里「私のはアドバイスと言うよりも、シチュエーションの押し付けになっちゃったかなって」


絵里「そのせいで上手く行ってたのを拗らせちゃったりしたら……」


希「でも夢も浪漫もある王道シチュエーションやし」


希「寧ろこれで一気に燃え上がって、行くとこまで行ってしまったり」


絵里「それならそれで良いんだけど……」


 コンコン


希「ん? お客さん?」


絵里「誰かしら?」


希「にこっちやったりして」


絵里「まさか……」


 ガチャッ


にこ「失礼しまーす」


絵里「にこぉ!?」


にこ「!?」ビクッ

 
にこ「な、何よ、そんなに驚くこと?」


絵里「あ、ご、ごめんなさい、急に来たからびっくりしちゃって……」


にこ「……ノックしたわよね?」


絵里「あー……その……まぁいいじゃない!」


にこ「……?」


絵里「それより、何か用事があって来たんでしょ?」


にこ「あ、うん」


にこ「課題、分かんないとこがあってさ」


にこ「取り込み中じゃなければ、2人に教えてほしいんだけど」


絵里「大丈夫よ。ね?」


希「うん」
 

 
希「どこまで進んだ?」


にこ「このくらい」


希「ふんふん。半分ってとこやな」


にこ「こんだけやってまだ半分……」


希「本来は一日で終わらせるもんやないからね」


希「でもちゃんと出来てるやん。ここ苦手って言うてたのに」


にこ「……まぁね」


絵里「でも私たちのとこに来たってことは……ふふっ」


絵里「流石の真姫でも、3年の範囲は厳しかったみたいね」


にこ「えっ」


絵里「ん?」

 
にこ「なんで、にこが真姫ちゃんと一緒にいたの知ってるの?」


絵里「……ぁ」


希「なんや、にこっちホントに真姫ちゃんとおったの?」ズイッ


希「いやー、実はにこっちが来る前にちょっと話してたんよ」


希「最近2人は仲良いみたいやから今日も一緒にいたりしてー」


希「もしかしたら真姫ちゃんに逆に教えられたりなんかしてたりー」


希「とかな」


希「まさかホントに一緒におったとはねー」


にこ「っ……」プイッ


絵里(希ぃ……!)


希(貸しやで?)


にこ「……そうよ、その通り」


にこ「教室にいたら真姫ちゃんが来てくれて」


にこ「先に帰っても良いって言ったのに、そばに座って教えてくれたわ」


にこ「ここまで解けたのも、ほとんど真姫ちゃんのおかげ」


希(えっ、真姫ちゃん凄っ)


絵里(課題の範囲は教えてあげたけど、まさか一晩でここまで身につけるなんて……)


のぞえり((……あれ?))


絵里「真姫が教えられるなら、私たちのところに来る必要ないじゃない」


希「そうやね」


にこ「……」


絵里「にこ、どうしてなの?」


にこ「……」
 

 
にこ「……単純な話よ」


にこ「みっともないでしょ。3年生が1年生に教わるなんて」


にこ「それだけ」


絵里「にこ……」


にこ「真姫ちゃんは悪くないわ。にこの、年上としてのプライドの問題」


絵里「そ、そんなの……」


にこ「くだらないって思う?」


にこ「ま、普通はそう思うんでしょうね」


にこ「……でも、にこにとっては大問題なの」


にこ「情けなくて、みっともなくて、カッコ悪くて……」


にこ「そんな自分を真姫ちゃんに見せたくないのよ」


にこ「だから……」




「なによそれっ!!」バァン!!




のぞにこえり「「!?」」
 

お、来てた!待ってたよ

 
真姫「っ……!」


絵里「真姫!?」


希「ビックリしたぁ……!」


にこ「真姫ちゃん、どうしてここに……」


真姫「にこちゃんが出て行った後……私の何がいけなかったのか考えて……」


真姫「考えて……考えて考えて考えて!!」


にこ「……」


真姫「そしたら……」


真姫「私に悪いとこなんて一つもないじゃない!!」


にこ「……えっ」


真姫「感謝こそされても、あんな蔑ろにされる謂れは無いわ!!」


真姫「そう思ったら腹が立ってきて!!」


真姫「文句言わなきゃ気が済まないから追いかけてきたのよ!!」


真姫「そしたら話声が聞こえて……!!」


にこ「ま、真姫ちゃ……」


真姫「」クワッ!


にこ「!?」ビクッ
 

 
真姫「カッコ悪いとこを見せたくないなんて、今更なに言ってるのよ!!」


にこ「はあ!? 今更って何よ!?」


真姫「今更は今更よ!!」


真姫「私はにこちゃんのカッコ悪いとこも情けないとこも、いーっぱい知ってるんだから!!」


真姫「それが一つ増えるくらい何よ!!」


にこ「なっ……!?」


真姫「そもそも!!」


真姫「私がにこちゃんのカッコ悪いとこを見たら何なのよ!!」


真姫「情けないとこを知ったら何なのよ!!」


にこ「それは……」


真姫「バカにしないで!!」


真姫「私はこんなことでにこちゃんを見る目を変えたりなんかしない!!」


にこ「!」
 

 
真姫「はぁ……はぁ……」ゼェゼェ


にこ「真姫ちゃん……」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「……色々言ったけど」


真姫「カッコつけるのも、見栄を張るのも、全部にこちゃんの勝手よ」


真姫「ああは言われても、見せたくないことだってやっぱりあるだろうし」


真姫「でも、誤魔化したいなら最後までちゃんとやり切ってよ」


真姫「あんなの……2度と経験したくないから」


にこ「……!」







真姫『何とか言いなさいよ!』


にこ『……待たないで先に帰ってていいからね』


真姫『!』


にこ『バイバイ、真姫ちゃん』







真姫『にこちゃんが出て行った後……私の何がいけなかったのか考えて……』


真姫『考えて……考えて考えて考えて!!』







にこ「ぁ……」
 

 
真姫「騒いで悪かったわね、エリー、希」


絵里「う、ううん……」


真姫「今日はもう帰るわ。また明日」


希「うん、また明日……」


にこ「ま、待って真姫ちゃん!」


にこ「にこも一緒に帰る!」


真姫「……課題は?」


にこ「家でやる!」



 ガチャッ パタンッ



絵里「……」


希「……」


絵里「凄いものを見ちゃったわね……」


希「うん……」


絵里「燃え上がってたわね……」


希「うん……」
 

 
深夜 真姫の部屋


真姫「はぁ……」


真姫「今日は……疲れた……」


真姫「……」



真姫「っ……」ジワッ




真姫「ぐすっ……」ポロポロ





真姫「嫌われたんじゃくて……良かった……」
 

かわいい

かわいい

かわいい

(結婚しよ)

真姫ちゃん可愛い!
にこまきは正義!


お告げ その5


 昼休みを一緒に過ごす、っていうのはどうかな?

 今日はお天気も良いし、屋上とか中庭に行って
 ご飯を食べたり、お話したり、何もしないでのんびりしたり……

 え? 誘い方?

 ええと……凛ちゃんみたく、勢い、とか……?
 

 
昼休み



真姫(昨日の事を思うと顔を合わせづらい)


真姫(帰りも結局、何も話さないまま別れちゃったし)


真姫(でも、ちゃんと話はするべきよね)


真姫(問題は誘い方だけど……)





真姫「……」


真姫「……」


真姫「……」





真姫(ま、まぁ、急いては事を仕損じるって言葉もあるし?)


真姫(やっぱり、いつも通り放課後に……)


凛「真姫ちゃーん!」


真姫「!」


凛「お昼ご飯食べに行っくにゃー!」


真姫「そうね。そうしま……」


花陽「あ、凛ちゃん!」


花陽「真姫ちゃんね、今日は一緒に食べられないんだって」


真姫「えっ」


凛「え? そうなの?」


花陽「うん」


花陽「今日の昼休みは、すっっっごく大事な用があるんだって」


真姫「ちょっと、花陽……」


凛「大事な用……」


凛「……」


凛「!」


凛「あぁ~」ニヤッ


真姫「な、何よその顔」
 


凛「それじゃかよちん、今日は2人で食べよ」


花陽「うん」


真姫「2人とも待って……」


凛「真姫ちゃん」


凛「早く誘いに行かないと、にこちゃん食べ終わっちゃうよ?」


真姫「うっ……」


真姫「それは、そうなんだけど……」


真姫「……って、どうしてにこちゃんの名前が出てくるのよ!」


花陽「真姫ちゃん……」


凛「今更すぎないかにゃー」


真姫「くっ……」

ふぅ...

おい

まだかね

この真姫ちゃんホント可愛いな~


3年教室前



真姫(言われるがままに教室を追い出されて、ここまで来ちゃったけど)


真姫「……」


真姫(と、とりあえず、まずは中をそっと覗いてみて……)ソーット

 
3年教室



希「……あ」


絵里「どうしたの?」





真姫「……」ヒョコッ





絵里「……真姫、よね?」


希「うん」





真姫「……」キョロキョロ





絵里「誰かを捜してる?」


希「誰かって、一人しかおらんと思うけど」





真姫「!」





絵里「あ、目が合った」


希「ウチも」





真姫「っ~~~~!?」ヒュンッ





絵里「引っ込んだ」


希「可愛いなぁ」


絵里「教えてあげましょうか、にこの居所」


希「いやいや。ここで追いかけるのは酷やって」


絵里「……それもそうね」
 


真姫(もう最悪……)


真姫(にこちゃんはいないし、エリーと希にはあんなとこ見られるし……)


真姫「はぁ……」


真姫「……お腹空いた」


真姫(今教室に戻っても、凛と花陽に何か言われるだろうし)


真姫「屋上で食べて、時間潰してから戻りましょ」










屋上



真姫「……」





にこ「……」モグモグ





真姫「いた……」

 
真姫(これは……チャンス、よね?)


真姫(教室から誘い出す手間も省けたし、私とにこちゃん以外誰もいないし)


真姫(あとは、私が少し勇気を出すだけ……)


真姫「……!」グッ


真姫(……よし、行くわ!)
 

支援

 
にこ「……」モグモグ


真姫「こんな所で、1人でお昼?」


にこ「!」


にこ「もひひゃん?」ムグムグ


真姫「口の中の飲み込んでから返事しなさいよ……」


にこ「……」ゴックン


にこ「真姫ちゃんも屋上に食べに来たの?」


真姫「そ、そうよ」


真姫「こんなに良い天気なんだもの。教室の中にいたんじゃもったいないわ」


にこ「ふーん……」


にこ「……隣、座る?」


真姫「いいの?」


にこ「うん」


にこ「ちょっと待って。シート広げるから」ゴソゴソ


真姫(う、上手くいった……)ホッ


にこ「はい、どうぞ」


真姫「ありがと」
 

 
にこ「真姫ちゃんはサンドイッチ?」


真姫「うん」


真姫「にこちゃんはお弁当なのね」


真姫(……あ、プチトマト)


にこ「……」


にこ「……ぷふっ」


真姫「?」


にこ「真姫ちゃんってホントにトマト好きねー」


にこ「まさかにこのお弁当のプチトマトにまで目を付けるなんて」


真姫「!? つ、つけてなんてないわよ!」


にこ「あんなに熱い視線だったのにー?」


真姫「ちょっと見ただけでしょ!」


にこ「ほら見てたんじゃない」


真姫「うっ……」


にこ「まったくもう。しょーがないわねー」ヒョイッ


にこ「はい、あーん?」


真姫「!?」
 

続き来てた

 
にこ「優しいにこにーが、食べさせて、あ、げ、るっ☆」


真姫「え、あ……」


にこ「あーんして?」


真姫「その、えっと……」


真姫(ちょ、ちょっと、なに、なんなの!?)


にこ「真姫ちゃん?」


真姫(いきなりこんなのハードル高過ぎなんじゃない!?)


にこ「真姫ちゃーん?」


真姫(っていうか、何で手で持ってるのよ!)


にこ「聞いてるー?」


真姫(これじゃ上手く食べないと、にこちゃんの指まで……!?)


にこ「真姫ちゃん早くー」


真姫「せ、急かさないで!」
 

 
真姫「ふぅ……」


にこ「……」


真姫(……大丈夫。大丈夫よ)


真姫(変に意識しなければ、普通に食べられるはず)


真姫(普通に……普通に……)


真姫「……ぁ」


真姫「あー……」


にこ「時間切れニコっ」パクッ


真姫「」


にこ「ん~っ、甘くて美味ひー」ムグムグ


真姫「……」


真姫「帰る」


にこ「うぇっ!?」
 

 
にこ「ちょ、ちょっと! これくらいの悪戯で拗ねないでよ!」


真姫「拗ねてない」ムスッ


にこ「どっからどう見ても拗ねてるじゃない」


真姫「ふんっ」プイッ


にこ「悪かったわよ……」


にこ「……はい」スッ


真姫「……」チラッ


にこ「今度はちゃんと食べさせてあげるから」


真姫「……」


にこ「ね? あーん?」


真姫「……あー……んっ」パクッ


真姫「……」ムグムグ


にこ「ごめんね」


真姫「べ、別に……」
 

 
………
……



にこ「ねえ、真姫ちゃん」


真姫「なに?」


にこ「昨日のことなんだけど……」


真姫「……うん」


にこ「私の自分勝手のせいで、真姫ちゃんに嫌な思いさせちゃって……」


真姫「ううん。いいの」


真姫「私の方こそ、生意気なこと沢山言って……」


にこ「あのね、こんなこと言うとまた怒らせちゃうかもしれないけど」


にこ「あんな風に言ってもらえて、嬉しかったりもしたんだ……」


にこ「……ありがとう」


真姫「そ、そんな……」


真姫「私は思ったことをそのまま言っただけで、お礼を言われることなんて何も……」


にこ「ふ、ふーん……」


真姫「……ちょっと、何よそのニヤケ顔」


にこ「き、気にしないで。勝手になっちゃう、だけ、だから……」


真姫「……?」
 

 
にこ「それにしても」


にこ「真姫ちゃんってほんっとに頭良いのね」


真姫「……ああ、あれ?」


にこ「そうそう」


にこ「2学年も下の子に教えられてショックだったのは本当なのよ?」


真姫「あれはそんなんじゃないわよ」


にこ「そんなんじゃないって?」


真姫「昨日のは、同じ課題をエリーに見せてもらって予習しておいただけ」


真姫「解き方も解説も、全部一夜漬けの丸暗記。すぐに忘れちゃうわ」


にこ「それだって十分凄……ん?」


にこ「……ふーん」ニヤリッ


にこ「真姫ちゃ~ん?」ズイッ


真姫「な、何よ」


にこ「どーしてそんな事をしたのかって、聞いちゃうのは野暮?」


真姫「……」


真姫「!?」
 

 
にこ「……」ニヤニヤ


真姫「べ、別に! あれは私がやりたいからやっただけで!」


真姫「別に、にこちゃんの為とか……そういうんじゃないんだから!」


にこ「……」


真姫「……」プイッ


にこ「……ふっ、ふふふっ、あはははっ」


真姫「な、なんで笑うのよ!」


にこ「だって、真姫ちゃんってば予想通りの反応してくれるんだもん」ケラケラ


真姫「っ……!」


にこ「ふふふっ……」


真姫「……帰る」


にこ「あ、にこも一緒に行くからちょっと待って」


真姫「……」
 

かわいすぎんだろ…

 
にこ「真姫ちゃん」ゴソゴソ


真姫「なに?」


にこ「明日も一緒にお昼食べない?」イソイソ


真姫「……いいけど」


にこ「ほんと?」


真姫「うん」


真姫「……あっ」


にこ「?」


真姫「ねえ、にこちゃん、明日は……」



………
……




りんぱな「「え?」」


花陽「明日は?」


凛「凛たちも?」


りんぱな「「一緒に?」」


真姫「うん」
 

 
花陽「真姫ちゃん……」


凛「やっぱり今日は失敗して……」


真姫「違うわよ! ちゃんとにこちゃんと楽しく昼休みを過ごしたわ!」


真姫「っていうか、やっぱりって何よ!?」


凛「ご、ごめんなさい!」


真姫「もう……」


真姫「……一緒にっていうのはね、1人だと不安とか、心配だとかじゃなくて」


真姫「その……」


りんぱな「「?」」


真姫「2人との時間も、大事にしたいっていうか……」


真姫「だから……その……」モジモジ


花陽「真姫ちゃん……!」


真姫「と、とにかく! 明日は一緒に来ればいいの! 分かった!?」


花陽「うん!」


真姫「凛も良いわね?」


凛「……ぐすっ」


真姫「凛!?」


花陽「凛ちゃん!?」
 

 
凛「ご、ごめんね。イヤだとかそんなんじゃなくて」ゴシゴシ


凛「なんかね、真姫ちゃんの気持ちが、じわ~って胸に広がってね……」


凛「そしたら、なんか……」ポロポロ


真姫「大袈裟ね」


花陽「凛ちゃん。はい、ハンカチ」


凛「ぐすっ……ありがと……」フキフキ


凛「……ずびびびーっ!!」ハナカミ!


花陽「!?」


真姫「もう。泣き虫なんだから」


凛「こういう涙はいいの!」
 

 
凛「凛たち3人とにこちゃん……」


凛「1年生4人組みに思われそう!」


真姫「思われそうっていうか、思われるでしょうね」


花陽「そんなまさか……」










3年教室


にこ「くしゅんっ」


絵里「あら、可愛いクシャミ」


にこ「ふふんっ。今日もまた誰かがスーパーアイドルにこにーの噂を……」


希「風邪かな?」


絵里「引き始めが肝心よ?」


にこ「ちょっとは話に乗りなさいよ!」


にこ「ったく……あ、そうそう」


にこ「ね、ちょっと聞きたいんだけど」


にこ「4、5人くらいでつまむお弁当のおかずって、何があると嬉しい?」


絵里「そうね……」


希「それやったらウチは……」
 

ええ子らや…ええ子しかいないチカ…

あーついついニヤけちゃう・・世界観が凄く素敵(*>ω<*)
遂に1年生4人組くるーーー最高の組み合わせやで!

 
お告げ その6


 朝、迎えに行くというのはどうです?

 待ち合わせて一緒に登校するより、親しみを感じると思います

 ……はい?

 私が穂乃果を迎えに行くのも同じ理由か、ですか?

 ……。

 あ、そう言えば、新しい歌詞が出来たので見てもらえませんか?
 

 
朝 矢澤家


にこ「♪~」


こころ「わー。おべんと箱おっきいー」


ここあ「おっきいねー」


にこ「そうねー」


にこ「今日はみんなと食べるから、いつもよりいっぱい作ってるのよー」


こころ「えんそく?」


ここあ「にこにー、えんそく行くの?」


にこ「遠足は行かないけど、同じくらい楽しいかもね」


こころ「いいなー」


ここあ「いいなー」


にこ「2人のお弁当も今日は特別よー?」


にこ「こころとここあが好きな物い~っぱい入れてあげるから、楽しみにしててね」


こころあ「「やったー!」」


にこ「ふふっ」


にこ「さて、あとは盛りつけて……」



 ピンポーン



にこ「!」


にこ「誰かしらこんな朝早く……」


こころ「見てくるー」タタッ


にこ「あっ、チェーンは外しちゃダメだからねー!」
 

 
玄関


こころ「よいしょ……」カチャッ



こころ「どちら様ですかー?」ギィー



こころ「……あー!」

 

 
にこ「ここに詰めてー」


ここあ「つめてー」


にこ「並べてー」


ここあ「ならべてー」


にこ「あ、ちょっと余った」


にこ「……余ったのはー、はい、あーん?」


ここあ「あー……んっ!」パクッ


にこ「お味はどうですかー?」


ここあ「おいしいニコ!」


ここあ「にこにーも、はい、あーん?」


にこ「あーんっ」パクッ


ここあ「お味はどーですか?」


にこ「美味しいニコっ☆」


こころ「にこにー!」タタタッ


にこ「あ、誰だったー?」ムグムグ


こころ「真姫ちゃーん来たー!」


にこ「ぶっ!?」


こころあ「「うわぁ!?」」
 

 
こころ「にこにー、きたなーい!」


にこ「けほけほ……」


にこ「こころ、今なんて……?」


こころ「にこにーきたない」


にこ「そ、その前……」ケホケホ


こころ「真姫ちゃん来たー」


にこ「……」










玄関


にこ「……」


真姫「……」カミノケクルクル
 

にこっちとここあのやりとりが可愛過ぎてヤバイ

 
真姫「お、おはよう」


にこ「おはよう」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「ええと……」


真姫「に、にこちゃんが遅刻しないように、迎えに来てあげたわっ」


にこ「そう」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「っ……」ウツムキ


にこ「……はぁ」ヤレヤレ


にこ「真姫ちゃん?」


にこ「前にも言ったかもしれないけど、こういう時は一言言ってくれないと」


にこ「『明日迎えに行くから』とか『〇〇で待ってる』とか」


にこ「ね?」


真姫「……」コクリッ
 

 
にこ「来てくれるなら色々と支度しなくちゃならないし……」


にこ「真姫ちゃんも女の子なんだから、分かるでしょ?」


真姫「うん……」


真姫「……あ」


真姫「にこちゃん、髪……」


にこ「髪?」


にこ「……ああ、まだ結ってないわね」


真姫「そうやって下ろしてると、結構雰囲気変わるのね」


にこ「……変?」


真姫「ううん。そっちも似合っ……」


真姫「……ってないこともないんじゃないらしら」


にこ「はあ!? そこは素直に似合ってるって言いなさいよ!」


真姫「ふんっ」プイッ


にこ「今の今まであんなにしおらしかったくせに……!」
 

 
ここあ「にこにー?」ヒョコッ


こころ「お話おわった?」ヒョコッ


真姫「!」


にこ「うん。終わったわよ」


こころ「わーい!」タタッ


ここあ「真姫ちゃーん!」タタッ


真姫「わっ……!」


こころ「おはよー、真姫ちゃん!」ギュー


ここあ「おはよー!」ギュー


真姫「……おはよう。こころちゃん、ここあちゃん」


にこ「支度終わるまでもう少しかかるから、中でゆっくりして待ってて」


真姫「……良いの?」


にこ「何を今更。良いに決まってるでしょ」


真姫「……うん」


真姫「それじゃ、お邪魔します」
 

 
真姫「にこちゃんたちだけ?」


にこ「お母さんはゴミ出しに行ってるわ」


にこ「……この分だとご近所さんと話し込んでるわね」


にこ「ま、私たちが行く頃までには戻ってくるでしょ」


こころ「ねーねー真姫ちゃん」


真姫「ん? なーに?」


ここあ「このおっきなバッグなに?」


こころ「もしかして、おべんと箱?」


真姫「ふふんっ。そうよ?」


真姫「今日はみんなと一緒に食べるから、私も沢山……」


こころ「にこにーもいっぱい作ったんだよ!」


ここあ「ほら! 見て見て!」


真姫「!? お、大きい……!?」


真姫「……負けた」ガックリ


にこ「張り合う事じゃないでしょ……」
 

 
にこ「真姫ちゃんは何持ってきてくれたの?」


真姫「私はサラダと……」


にこ「トマトサラダ?」


真姫「……にこちゃん、私がトマトしか食べないと思ってない?」


にこ「じゃあ違うの?」


真姫「……そうだけど」


にこ「やっぱり」クスクス


真姫「い、いいでしょ別に!」


真姫「自分が好きな物は、他人にも好きになってもらいたいの!」


にこ「情熱的ねー」


ここあ「にこにー、白いごはんは?」


こころ「おかずしかないの?」


にこ「ご飯はね、お米をすっごく美味しく炊ける子に任せてるの」


真姫「私もそう思って、主食はあまり用意してないわ」










花陽「♪~」ワッシワッシ


凛「か、かよちん?」


凛「おにぎり、ちょっと作り過ぎじゃ……?」


花陽「そうかな?」


花陽「でも4人分だし、これくらいで丁度良いと思うけど」


凛「凄いにゃー……」
 

 
………
……



にこ「そろそろ行きましょうか」


真姫「そうね」


にこ「お母さーん! 行ってくるわねー!」


にこ「……聞こえてんのかしら。お母さーん!」ドタドタ


こころ「真姫ちゃん、また来てね」


真姫「ええ。またね」ナデナデ


ここあ「トマトのキャンディー、ありがとう」


真姫「気に入ってくれて良かったわ」ナデナデ


にこ「お待たせ。行きましょ」


真姫「うん」


真姫「お邪魔しました」


こころあ「「ばいばーい!」」


真姫「バイバイ」


にこ「ふふっ」


にこ「あの子たちに随分懐かれてるわね」


真姫「そ、そう?」


真姫「ま、まあ、子供には私の純粋な心がちゃんと伝わって……」


にこ「中身が同じくらい子供っぽいからかしら」


真姫「それどういう意味よ!」


にこ「そうやってすぐ反応するところよ!」タタッ


真姫「あ! 待ちなさいよ! にこちゃーん!」タタッ
 

トマトのキャンディー...

 
通学路



凛「……あ!」


凛「真姫ちゃーん! にこちゃーん!」ブンブン!


凛「おはよー!」


にこ「おはよ。朝から元気ねー」


真姫「花陽は一緒じゃないの?」


凛「いるよ?」


花陽「お、おはよう……」ヨロヨロ


真姫「おはよ……って」


にこ「な、何よその大荷物は!?」


凛「凛とかよちんで作ったおにぎりだよ」


にこまき「「おにぎり?」」


にこ「まさかその中身全部!?」


花陽「えへへへ……」


にこ「あ、あはははっ、想像を遥かに超えたわね……」


真姫「凛、一緒にいるなら手伝ってあげなさいよ」


凛「凛もそう言ってるんだけど……」


花陽「いいの!」


花陽「これは……このおにぎりは、このお米は、私の魂!」


花陽「それをみんなに届けるのは私の責任!」


花陽「だから大丈夫!」


凛「って、持たせてくれないんだにゃー」


真姫「魂って……」


にこ「食べて無くなっちゃうのに……」
 

 
凛「2人が持ってるそれ、もしかしてお弁当?」


にこ「そうよ」


凛「わぁー……今日はすっごい豪華なお昼ご飯になりそう!」


真姫「でも、結構な量になっちゃったわね」


にこ「そうね、食べ切れるかしら……」


にこまき((特にそのおにぎり))


花陽「よいしょ……」ヨロヨロ


凛「他のみんなも呼ぶ?」


にこ「……それが良いかもしれないわね」


真姫「そうね」


真姫「じゃあ、穂乃果たちに声掛けてみるわね」


にこ「絵里と希には私から言ってみるわ」


凛「お昼休みが楽しみにゃー!」
 

 
正門付近



花陽「つ、着いた……」


真姫「学校に来るだけでそんなに疲れちゃってどうするのよ」


花陽「疲れた分だけ……ご飯が美味しくなるよ!」


にこ「流石に魂運んできただけあるわね……」


凛「今日のかよちんは凄いにゃー」





「おーい!」


「凛ちゃん! 真姫ちゃん! 花陽ちゃーん!」





凛「あ!」


凛「穂乃果ちゃーん!」


穂乃果「おはよう!」


穂乃果「……あ、あれ? にこちゃん?」


にこ「? なによ?」


穂乃果「あははは……」


穂乃果「知らない1年生の子かと思った……」


にこ「」カチンッ


にこ「……」グイーッ!


穂乃果「痛い痛い痛い! ほのまげ取れちゃうよー!」


海未「おはようございます」


ことり「おはよう」


真姫「おはよう」
 

>>102
台湾で水飴トマト食べたけど、あれはあれで美味しいよ

量が多いけどね

トマトキャンディ美味しいよ!さっぱりした味わいですっきり美味しい
ただ完全にトマトの味なのでトマトが嫌いな人は駄目だろうけど

1年生4人組くるーーーと思ってたらまさかのオールスターくるーーー!?((o(´∀`)o))ワクワク

トマトのキャンディーってほんとにあるのか、ちょっと食べてみようかな

 
海未「今日は、随分と大荷物ですね?」


ことり「何かあるの?」


真姫「これは……」


穂乃果「ん?」


穂乃果「くんくんくん……」


真姫「……」


穂乃果「良い匂いがする! 美味しそうな匂い!」


真姫「……お弁当よ」


ことり「あ、あははは……」


海未「穂乃果! 犬ですかあなたは! はしたない!」


穂乃果「だ、だって……」


海未「だっても何もありません!」


海未「他人の荷物をにおいで嗅ぎ分けるなんて……」


穂乃果「海未ちゃんだってにおいで穂乃果のタオル当てるじゃん……」ボソッ


海未「なにか?」ギロッ


穂乃果「な、なんでもないです!」
 

 
絵里「朝から賑やかね」クスクス


希「おはよう、みんな」


穂乃果「あ! 絵里ちゃん希ちゃん助けて!」


絵里「え? ちょ、どうしたの?」


穂乃果「海未ちゃんが、穂乃果のこと犬みたいって怒るんだよ!」


絵里「穂乃果が?」


希「犬?」


のぞえり「「……」」


絵里「当たってるんじゃないかしら?」


希「そうやね」


穂乃果「えーっ!?」


海未「ほらみなさい」


穂乃果「……いいもん。だったら犬になっちゃうから!」


穂乃果「海未ちゃん遊んで遊んで遊んでー!」


ことり「!?」


海未「ちょ!? こんな所でじゃれつかないで下さい!」


にこ「……全員揃っちゃったわね」


真姫「手間が省けていいわ」
 

 
希「あ、にこっち?」


希「それ、昨日言ってたお弁当?」


にこ「そうよ」


希「ひょっとして、真姫ちゃんと、花陽ちゃんが抱えてるのも?」


真姫「ええ」


希「みんながみんなの為に作ってきたんやね」


絵里「でもそれ、合わせたら結構な量じゃない?」


真姫「そうね。単純に考えて12人分はあるから」


凛「かよちんと凛が作ったおにぎりは、4人分じゃないと思うにゃ」


花陽「ええと……何人分だろう?」


絵里「豪勢なランチになりそうね」


にこ「それはそうなんだけど」


にこ「見ての通り、この量は私たちだけじゃ食べ切れないでしょうから」


にこ「今日のお昼はみんなで食べない?」


穂乃果「え! いいの!?」


凛「もっちろんにゃー!」


凛「みんなで食べれば、きっともっと美味しいし!」


穂乃果「あ、それじゃあ参加させてもらうお礼に……」ゴソゴソ


穂乃果「じゃーん! うちのお饅頭をどうぞ!」


凛「お~!」


真姫「なんでそんなの持ち歩いてるのよ……」
 

 
真姫「ていうか、それじゃさらに量が増えちゃうじゃない」


穂乃果「大丈夫。甘い物だし!」


海未「ほ、穂乃果、そろそろ離れて……」


ことり「穂乃果ちゃん! つ、次はことりに……!」










にこ「……」


絵里「にこ、ほんとに良いの?」


にこ「なによ?」


にこ「あんまり遠慮されるとそっちの方が気分悪いんだけど」


絵里「そうじゃなくて……」


希「ウチらがにこっちと真姫ちゃんの間に入っても良いの?ってことや」


にこ「なによそれ」


にこ「元々4人で食べるつもりだったんだから、間も何もないでしょ」


希「でも、4人と9人とじゃ当然違うやん?」


にこ「いいのよ」


にこ「みんなでお昼っていうのが楽しみなのはホントだし」


にこ「それに……」
 

 
にこ「今日はもう、十分堪能したから」


希「もう?」


絵里「今朝何かあったの?」


にこ「……内緒ニコっ☆」


絵里「えー」


希「いけずやなー」


にこ「なんとでも言いなさい」


にこ「……さて。そろそろ教室行きましょうか」


にこ「ほら! あんたたち何時までじゃれ合ってんの!」


穂乃果「にこちゃんもやる?」


にこ「やんないわよ!」


絵里「……最近のにこ、ちょっと素直になったと思わない?」


希「そうやね」


希「あの子のおかげかな?」


絵里「きっとそうね」


希「絵里ちも少しは見習わんと」


絵里「うっ……」
 

 
翌朝 西木野家



真姫(今日もにこちゃんを迎えに行くわ)


真姫(今回はちゃんとメールを出して……)メルメル


真姫(……よし)


真姫(それじゃ……)ヴー! ヴー!


真姫「あ、もう返事が」





From:矢澤にこ

Sub:Re:

>迎えに行くから

だめ





真姫「……」
 

 
真姫「……」ションボリ


真姫「はぁ……」


真姫「……」ヴー! ヴー!


真姫「……?」





From:矢澤にこ

Sub:


今日はにこが行くから待ってて





真姫「!」


真姫「……もう」


真姫「1回で送りなさいよね」


真姫「……」


真姫「まだ時間あるし、鏡見てこようかな……」
 

これは相思相愛ですね...

ニヤニヤがとまらない(/o\)

にこっち、真姫ちゃんの扱いに手慣れて来てやがる…

にこちゃん真姫ちゃんかわわわわ(*>ω<*)

ションボリ真姫ちゃんかわいすぎる

 
お告げ その7


 お休みの日も一緒にいるのって、仲良しだなぁって思わない?

 今週の土曜日は練習もないし……

 2人で、どこかにお出かけしてみたりしたらどうかな?

 ……あ、でもね

 どこに行こうかって、あんまり悩んじゃダメだよ?

 一番大切なのは、どこへ行くかより、誰といるかだと思うから
 

保守!

まだかね

 




真姫(悩んじゃダメなんて言われても)


真姫(色々考えちゃうわよ……)


真姫(あれこれ考えてみても、どれもピンと来なくて)


真姫(どこにも決められない……)





にこ「あ、来た来た」


にこ「おはよ、真姫ちゃん」


真姫「おはよう」


にこ「今日はにこの方が早かったから、にこの勝ちね」フフンッ


真姫「何それ。別に競ってなんかないし」





真姫(土曜日に出掛けるなら、そろそろ誘わないと)


真姫(早く……早く決めなくちゃ……)
 

 
………
……




花陽「直接聞くのはダメなの?」


花陽「どこか行きたい所ある?って」


真姫「行きたい場所を聞いてそこへ行くのって、何か違くない?」


花陽「違うって?」


真姫「なんかそれって、親が子供を遊びに連れてくみたいだし」


花陽「そうかな?」


真姫「そうよ」


真姫「それに……」


真姫「遊びに行きましょ。どこに行きたい? 『スカイツリー!』 じゃあそこで」


真姫「……これじゃ意味ないでしょ」


花陽「それは真姫ちゃん次第なんじゃないかな……」


花陽「……でもやっぱり、直接聞くのも良いと思うよ?」


花陽「楽しみにしてくれると思うし」


真姫「……」
 

 
………
……




希「相談して決めたら?」


希「まだ時間はあるんやし。まずは誘って、それから2人で雑誌とかネット見て」


真姫「それは、ちょっと考えたけど……」


希「けど?」


真姫「……なんか恥ずかしい」


希「……」


真姫「なによ。言いたい事あるなら言ってよ」


希「いや、正直に言ったら怒られそうやから言わない」


真姫「もう……」


希「でも、そういう恥ずかしさも楽しみの1つやと思うけどなぁ」


真姫「……」
 

 
………
……




真姫「はぁ……」


ことり「真姫ちゃんっ」


真姫「ことり……」


ことり「悩んじゃってるみたいだね」


真姫「……」


ことり「そんなに難しく考えなくても良いと思うよ?」


ことり「もっと気軽に、ね?」


真姫「それは分かってるんだけどね……」


ことり「?」


真姫「自分から誘うんだもの。やっぱり、相手には楽しいって思って欲しいじゃない?」


真姫「そう思って色々考えるんだけど、良いイメージが出来なくて……」


ことり「……真姫ちゃんは優しいね」


ことり「でも、やっぱり考え過ぎだよ」クスクス
 

 
ことり「言ったでしょ?」


ことり「大切なのはどこへ行くかより、誰といるかだって」


真姫「でも……」


ことり「もっと自信持って良いと思うよ?」


ことり「こんなに真剣に考えてくれてるんだもん」


ことり「そんな人と一緒にいて、楽しくないはずないよ」


真姫「や、やめてよ、恥ずかしい……」


ことり「羨ましいなぁ、にこちゃん」


真姫「だ、だからやめてってば! もうっ!」


ことり「ふふっ」


真姫「……ことり」


ことり「ん? なぁに?」


真姫「……ありがとう。ちょっとスッキリした、かも」


ことり「どういたしましてっ」
 

 
放課後



真姫「……」


にこ「真姫ちゃん、お待たせっ」


真姫「そうね。ホントに待ったわ」


にこ「またそんなこと言っちゃってー」


にこ「先に帰って良いって言ったのに、健気に待ってた1年生は誰?」


真姫「さあ? 誰かしら?」


真姫「私が知ってるのは、溜息ついて寂しそうに校舎に引き返してった3年生だけよ」


にこ「……」


真姫「……」


にこ「帰りましょうか」


真姫「うん」
 

 
真姫「……ねえ、にこちゃん」


にこ「ん?」


真姫「今度の土曜日、何か予定ある?」


にこ「土曜日?」


にこ「練習……は、休みだったわね」


にこ「特にないけど?」


真姫「そ、そう……」


真姫「えと……私も、その日は予定がなくて……」


真姫「お休みをただ家で過ごすのはもったいない気がするじゃない?」


真姫「だから、その……」


真姫「……もしよかったら、遊びに行かない?」


にこ「!」


にこ「……へぇ~」ニヤニヤ


真姫「な、なによ」


にこ「ううん、べっつにぃー」ニヤニヤ
 

 
にこ「……」ニヤニヤ


真姫「……もう!」


真姫「変な顔してないでさっさと返事しなさいよ!」


にこ「行く」


真姫「!」


にこ「あんなに一生懸命なデートのお誘い、断るわけないでしょ」


真姫「デート!?」


にこ「いや~んっ☆ にこにー、真姫ちゃんにデートの誘われちゃった☆」


真姫「だ、だからぁ!」


にこ「にこにーは、みんなのアイドルだから本当はこういうのダメなんだけどー」


にこ「真姫ちゃんはにこにーの特別な人だから、みんな許してねっ☆」


真姫「とっ、とく、とくべ、つ……!?」


にこ「あ。真っ赤になっちゃった」


にこ「ま、茶化すのはこの辺にしておいて……」


にこ「土曜日。楽しみにしてるからね」


真姫「う、うん……」
 

 
にこ「それで、どこに行くの?」


真姫「それなんだけど……」


真姫「実は、まだ決めてなくて……」


にこ「そうなの?」


真姫「ごめん……」


にこ「謝んないでよ。当日までに決めれば良いんだし」


にこ「あえて決めずに、思いつくままにブラブラするのも良いんじゃない?」


真姫「……にこちゃん、どこか行きたい所とかないの?」


にこ「そうね……」


にこ「って、そういう真姫ちゃんは?」


真姫「私は特に……」


にこ「なによそれ! 楽しみじゃないの!?」


真姫「そ、そういう意味じゃなくて……」


真姫「私は、にこちゃんとならどこに行っても楽しいから……」


にこ「!?」


真姫「……って、しまった!?」


にこ「へ、へぇー……そ、そーなんだー……」ドキドキ


真姫「っ……!?」
 

 
真姫「な、なに本気で赤くなってんのよ!」


にこ「はぁ!? 真姫ちゃんに言われたくないわよ!」


真姫「なにそれ意味分かんない!」


真姫「私がいつ赤くなったっていうのよ!」


にこ「ついさっきでしょ!? 耳まで真っ赤になって俯いてたくせに!」


真姫「それは夕焼けが映ってただけよ!」


にこ「夕焼けなんてもんじゃないわよ! あれはトマトよ、トマト!」


にこ「トマト好き過ぎて、照れるとトマト色になるようになっちゃったんじゃないの!?」


真姫「そんなわけないでしょ! あとそこまでトマト好きじゃないし!」


にこ「うそ! にこが作ってあげたトマトスープ、あんなに美味しいって言って食べてたじゃない!」


真姫「美味しいと好きは別でしょ!」


にこ「一緒よ!」


真姫「違いますー!」


にこ「じゃあもう作ってあげない!」


真姫「ぇ……」


にこ「!?」


にこ「ちょ、ちょっと! なんでそこで泣きそうになるのよ!?」


真姫「っ……なってない!」ジワッ


にこ「涙溜まってる!?」










花陽「……」


希「……」


ことり「……」
 

 
花陽「心配だったから、こっそり様子を見に来たけど……」


希「問題なさそうやね」


ことり「うん」



ことのぞぱな「「……」」



花陽「帰る?」


希「そうやね」


ことり「そうしよっか」



ことのぞぱな((土曜日、誘ってみようかな……))










にこ「あ、もしもし? こころ?」


にこ「今日これから真姫ちゃん連れてくから、お皿1枚多く出しておいて?」


にこ「お母さんにも言っておいてね、それじゃ」Pi


にこ「真姫ちゃん、お夕飯食べに来……って涙溢れたぁ!?」
 

 

真姫(あの後、にこちゃんのお家で晩御飯をご馳走になって……)



真姫(それから、土曜日にどこに行こうか話し合った)



真姫(でもそれだけでは決まらなくて)



真姫(学校でエリーや穂乃果にお勧めのスポットを教えてもらったりした)



真姫(そして……当日)

 

 
土曜日 待ち合わせ場所



真姫「ちょっと早く来すぎちゃったかな」


真姫「まぁ、待ってる時間も……って言うし?」


真姫「はぁ……」


真姫「……」






 ザァー……


    ザァー……






真姫「……なんで雨なのよ」
 

続きは…続きはないんですか!
神よ!どうかこのスレに続きを!

 
真姫「ピクニックに行くわけじゃないから別に構わないんだけど」


真姫「雨よりは晴れてる方が良いわよね……」






 ザァー……


    ザァー……






真姫「……」


真姫(……不思議ね)


真姫(こんな雨降りなのに……)


真姫(濡れるし、歩きづらいし、景色だって……)


真姫(それなのに……)


真姫(嫌な気持ちが全然しない)


真姫(……ううん)


真姫(不思議でも、何でもないわね)
 

 
真姫(私、今日が楽しみで仕方がないの)


真姫(にこちゃんと2人で出掛けるのが楽しみで)


真姫(小さい子供みたいに浮かれちゃってる……)


真姫「……あっ」






にこ「!」


にこ「……!」タッタッタッ…






真姫「急がなくて良いのに……」


真姫「にこちゃーん! 転ばないでよねー!」


真姫「もう……」


真姫(“大切なのは、どこへ行くかよりも、誰といるか”)


真姫(本当にその通り……)
 

 
真姫(でも、それって)


真姫(思い返してみると、今日に限ったことじゃなくて)


真姫(一緒に帰るのも、昼休みを過ごすのも、迎えに行くのも、迎えに来てもらうのも……)


真姫(この気持ちって……)






にこ「真姫ちゃん来るの早過ぎ!」


真姫「そう?」


にこ「そうよ!」


にこ「にこが時間ギリで来るつもりだったら、どんだけ待つと思ってんの?」


真姫「……2時間くらい?」


にこ「……はぁ」


にこ「まさかと思って早く来て正解だったわね……」


真姫「?」
 

 
にこ「それで」


にこ「予定よりかなり早くなっちゃったけど、どうする?」


真姫「……あ、それなら」


真姫「ここから少し行った所に、入ってみたいなーって思ってたカフェがあるの」


真姫「良かったら、行ってみない?」


にこ「いいわね」


にこ「今日はこんな天気だし、ゆっくりのんびり過ごしましょうか」


真姫「そうね」


にこ「じゃあ真姫ちゃん。傘お願いね」


真姫「? お願いって?」


にこ「せっかくなんだから、相合傘して行きましょ」


真姫「!?」
 

 
真姫「あ、相合傘……?」


にこ「こういう時じゃないと出来ないし、良いでしょ?」


にこ「あ、もしかして西木野さんってば、照れていらっしゃる?」ニヤニヤ


真姫「そ、そんなはずないでしょ! 相合傘くらいなによ!」


真姫「……ほら、さっさと入れば?」


にこ「それじゃ、失礼するニコっ☆」ギュッ


真姫(……ん?)


にこ「んふふー。真姫ちゃんドキドキしちゃってるー?」


真姫「……」


にこ「……あ、あれ? 真姫ちゃん?」


真姫「……え?」


真姫「え、あ、そうね。ドキドキするわ」


にこ「……?」
 

 
真姫(変ね……)


真姫(ドキドキするけど、緊張とか恥ずかしさとは違う感じ)


真姫(それに……)


真姫「あったかい……」


にこ「へ?」


真姫「こうしてると、あったかくて気持ち良いなって」


にこ「!?」


にこ「……ま、まーね!」


にこ「にこは心がとーっても温かいから、きっとそのおかげね!」


真姫「はいはい」


にこ「流し方が雑っ!」


真姫「それじゃ、そろそろ行きましょ」


真姫「にこちゃん、もっとくっ付いてよ。それじゃ濡れちゃうでしょ?」


にこ「う、うん……」ギュッ


にこ「なんでこんなに余裕出てきてんのよ……真姫ちゃんのくせに……」ギュー
 

 

真姫(私の中のこの気持ち。これってきっと……)



真姫(……ううん。まだそうだと決めるのは早いわね)



真姫(今日が終わる頃には、ハッキリしてるのかな)



真姫(ねえ、にこちゃん……)

 

きてたー


ここから最終盤です

アニメ2期の最終回までには書き終えますので

あと少しだけ、お付き合い下さい
 


秘密のお告げ



 待っててあげる。私からはそれだけよ



 

 
放課後



真姫「にこちゃん。帰りましょ」


にこ「あ、ちょっと待ってて」


にこ「職員室に日誌提出してくるから」


真姫「うん」



 タッタッタッタッ…



真姫「……」


真姫「はぁ……」


真姫「……」


真姫「今日こそ……今日こそは……」


絵里「言えると良いわね」


真姫「……」


絵里「うっ……そ、そんなに睨まないで……?」


真姫「……」プイッ


希「真姫ちゃん、ごめんね」


希「絵里ちもからかってる訳やないから許してあげて?」


真姫「分かってるわよ……」


真姫「……ごめんなさい、エリー」
 

 
希「何かうちらに協力して欲しいことある?」


絵里「ここまで来たら、最後まで力になるわよ?」


真姫「……ありがとう、2人とも」


真姫「でも、今回は遠慮願うわ」


真姫「みんなにはもう十分助けてもらったし」


真姫「それに……」


真姫「自分の気持ちを伝えるんだもの。自分でなんとかしたいの」


のぞえり「「……」」


真姫「……」カミノケクルクル


絵里「真姫……」


希「真姫ちゃん……」


真姫「な、なによ」


絵里「立派になって……」ナデナデ


希「ほんまやね……」ナデナデ


真姫「ちょっ、なによ!? 撫でないで!」


絵里「最初は『一緒に帰ろう』すら言えなかったのに」


希「ねー」


真姫「い、いつの話してんのよ!」
 

 
真姫「とにかく!」


真姫「これは自分だけでやり遂げるんだから、黙って見ててよね!」


希「うん、そうする」



 タッタッタッタッ…



にこ「お待たせっ」


にこ「って、2人ともまだ残ってたの?」


絵里「ええ」


希「ちょっと用があって」


にこ「ふーん」


真姫「にこちゃん、早く帰りましょ」


真姫「もう暗くなっちゃう」


にこ「うん」


にこ「じゃあね、絵里、希」


真姫「また明日」


絵里「うん。また明日」


希「またなー」
 

 
絵里「……ねえ、希」


希「ん?」


絵里「さっきっみたいな状況って、普通は『2人も一緒に帰らない?』って誘ってくれるものじゃないの?」


希「うん、まぁ……」


絵里「……はぁ」


絵里「こうやって、大人になっていくのね……」


希(にこっち、もしかして……?)





………
……




にこ「そしたらさー」


真姫「……」


真姫(落ち着いて……落ち着くのよ……)


真姫(何も難しいことなんてないんだから……)
 

穂乃果「ん?どうしたの海未ちゃん?」

海未「なっ、なんでもありません!///」プイッ

穂乃果「?」

海未(ことり…グッジョブです!)

穂乃果「まあ、揃ったことだし…」

穂乃果「それじゃ、行こっか!どこ行く?」

海未「え?揃った…?」

穂乃果「うん。そうだよ?」

海未「あ、あの…ことりは…?」

穂乃果「あれ?海未ちゃん、ことりちゃんから連絡来てないの?」

海未「れ、連絡…?そんな…って、よく見たらメールが来ています…内容は…」

ことり『今日はがんばってね♪海未ちゃん♪ ps ことりがメールでサポートするよ!見てね♪』

海未「」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「ええ…私の方にも連絡が来ていましたよ…今確かめました…」

海未(こ、ことり~~~~~~~!!!)

海未(まんまとしてやられました…!)

誤爆です
ごめんなさい

乗っ取りかと思ったぜ

同時進行だったのか
今気付いた

びっくりした…

 
真姫(にこちゃん?って呼び止めて)


真姫(こっちを向いてくれたら、ちゃんと目を見つめて)


真姫(小さく深呼吸をして)


真姫(そこで……一言)


真姫(一言。たった一言でいいの)


真姫(カッコつけて飾った文句なんか、今はいらない)


真姫(シンプルに。ストレートに)


真姫(私の想いを乗せて……!)





にこ「あ、そう言えば。真姫ちゃん、明日は……」


真姫「にっ……」


真姫「にこちゃん!!」


にこ「は、はい!」ビクッ!


真姫「……」ドキドキ


にこ「真姫ちゃん……?」
 

 
真姫「っ……」ドキドキ


にこ「……」


真姫「……」ドキドキ


にこ「……」


真姫「……すっ」


真姫「す……す……」


にこ「……」


真姫「す……す……すぅ……!」


にこ「……」


真姫「……また明日」ダダダッ


にこ「えぇ!?」


にこ「ちょ!? 真姫ちゃーん!?」





にこ「……」ポツーン





にこ「はぁ~……」


にこ「……」


にこ「ま、今日はちゃんと1文字言えてたし、前進かな」
 

かわいい

 
真姫の部屋



真姫「」フラフラー


真姫「」ドサッ


真姫「……」


真姫「消えたい……」


真姫「……」



 ヴー! ヴー!



真姫「メール……?」モゾモゾ


真姫「……」Pi





From:矢澤にこ

Sub:


明日、迎えに行くからね





真姫「……」


真姫「……好き」
 

 
真姫「好き……好き……」


真姫「にこちゃんが……好き」


真姫「……1人なら、こんな簡単に言えるのに」


真姫「はぁ……」ガックリ


真姫「……」





真姫(言いたいのに、言えない)


真姫(どんなに意気込んでも、どんなに覚悟を決めても)


真姫(にこちゃんを前にすると、声にならない)


真姫(聞いて欲しいのに。伝えたいのに)


真姫(何かの病気なんじゃないかってくらい、言葉が出てこない)





真姫「……」


真姫「お風呂入ろ」スクッ


真姫「一旦リセットしなきゃダメね……」
 

浄化される

 
真姫「さっぱりしたわ」ホカホカ


真姫「……ん?」


真姫「メールが来てる」Pi





From:園田海未

Sub:連絡


明日の練習は開始を1時間遅らせます





真姫「分かった、っと」メルメル


真姫「1時間……」


真姫「音楽室で作曲の続きね」


真姫「最近調子良いのよね」


真姫「良いメロディが自然と溢れて来るっていうか……」


真姫「……」


真姫(にこちゃんへの気持ちも、こんな風に溢れて伝われば良いのに……)
 

 
真姫「って、それじゃダメよ!」


真姫「ちゃんと言葉で伝えないと」


真姫「好き、って……」


真姫「……」


真姫(……今日は、またダメだったけど)


真姫(明日は……明日こそは、言えますように……)





………
……




真姫「すぅ……すぅ……」Zzz…





スマホ『』パッ!

スマホ『ズッルイヨー ズッルイヨー ホンネヲカークシテルー♪』





真姫「ん~……でんわぁ……?」


真姫「ん……」モゾモゾ


真姫「……」Pi


真姫「……もしもし」


『にっこにっこにー!』


真姫「……」
 

 
にこ『真姫ちゃんに、にこにーからのモーニングコールを』


にこ『お届けニコっ☆』


真姫「……」


にこ『……あ、あれ? 真姫ちゃーん?』


真姫「……」


にこ『ちょっと早く掛け過ぎたかしら……』


にこ『真姫ちゃん起きてるー?』


真姫「おきてるわよー……」


にこ『よかった、って、だいぶ寝惚けてるわね……』


にこ『昨日、迎えに行くっていうメールに返事くれなかったでしょ?』


真姫「んー……」


にこ『まぁ単に忘れただけなんだろうけど、一応確認をね』


にこ『今日は迎えに行って大丈夫?』


真姫「んー……」


にこ『……ま、大丈夫か』


にこ『じゃあ、いつもの時間に迎えに行くからね』


真姫「んー……」


にこ『そのまま寝坊しちゃダメよ?』


真姫「んー……」


にこ『それじゃ……』


真姫「にこちゃん……」
 

 
にこ『ん?』


真姫「ありがと……」


にこ『はいはい、どういたしまし……』


真姫「だいすき……」チュッ


にこ『えっ』





 ブツッ ツーツーツー……





真姫「んー……」モゾモゾ


真姫「おきなきゃ……」ゴソゴソ


真姫「……」


真姫「……」


真姫「……」


真姫「!?」ガバッ!!
 

やったな真姫ちゃん!

やったぜ真姫ちゃん!

>>107
可愛い……

 
真姫「い、いま、私……」


真姫「最後になんて言った……?」


真姫「……」


真姫「……」


真姫「……」





真姫『だいすき……』チュッ





真姫「……」


真姫「……」


真姫「……」


真姫「どうすんのよコレっ!?」
 

 
真姫「言えれば良いってもんじゃないのよ!?」


真姫「寝惚けながらって……これじゃ寝言と変わらないじゃない!!」


真姫「はぁ……」


真姫「……」


真姫「……さっきのが夢っていう可能性は?」


真姫「……」


真姫「……通話履歴が残ってる」


真姫「おまけにキスタップの跡も」


真姫「もう最悪……」フキフキ


真姫「にこちゃんにどんな顔して会えばいいのよ……」


真姫「……」


真姫「……支度しよ」





………
……




真姫「そろそろ来る頃ね」


真姫(とりあえず様子を窺って、それから……)


にこ「真姫ちゃーん!」


真姫「!」
 

 
にこ「おはよ」


真姫「お、おはよう……」


にこ「うん。寝坊しなかったわね」


にこ「起こしてあげたにこに感謝しなさい?」


真姫「にこちゃんからの電話がなくても、自分でちゃんと起きたわよ」


にこ「寝坊する人はみんなそう言うのよねー」


真姫(にこちゃん、見た感じはいつも通りね……)


にこ「じゃ、学校行きましょう」


真姫「……」


にこ「……真姫ちゃん」


真姫「へ? あ、うん……」


にこ「もー。まだ頭の中は寝てんじゃないの?」


真姫「そ、そんなことないわよ!」


にこ「ボーっとして電柱にぶつかったりしないでよね」


真姫「しないわよ!」


真姫(いつも通り……)


真姫(っていうか、全く気にしてない感じすら……?)
 

 
にこ「……」


真姫「……」


真姫(にこちゃんの態度)


真姫(もしかして、アレは聞こえてなかった?)


真姫(それなら、反応が無いのも納得出来るけど……)


真姫(でも……)


真姫「……」チラッ


にこ「……」


真姫(聞こえてたのに、知らんぷりしてるって可能性も……)


真姫(……ああもう! どっちなのよ!?)


にこ「……真姫ちゃん?」


真姫「えっ、な、なに?」


にこ「どうしたの?」


にこ「今日の真姫ちゃん、何か変よ?」


真姫「っ……」


真姫「……ねえ、にこちゃん」


にこ「ん?」


真姫「その……今朝のことなんだけど……」
  

 
真姫「電話、してくれたじゃない?」


にこ「うん」


真姫「それで……その……」


真姫「最後に……」


にこ「最後?」


にこ「……あー」


真姫「!」


にこ「もしかして真姫ちゃん、まだ話してる途中だった?」


真姫「……え?」


にこ「あの電話ね、朝の支度しながら掛けてたから……」


にこ「『迎えに行くからね』って用件だけ伝えてすぐに切っちゃったのよ」


真姫「あ、そ、そうだったの……」


にこ「ごめんね、何か話したいこととか……」


真姫「う、ううん、いいの」


真姫(寝惚け告白は未遂で終わったのね)


真姫(よかった……)ホッ
 

 
真姫(……って)


真姫(これ、喜んで良いの?)


真姫(あんなみっともない告白が無かったことになったのは確かに助かったけど)


真姫(もしも伝わってたら……)


真姫(良くも悪くも、何かしらの進展はあったんじゃないの?)


真姫(何も出来てない今を、抜け出すきっかけに出来たんじゃないの?)


真姫(……こんなことだから、言えないのかな)


真姫(カッコつけてばっかりで……)


真姫(自分のことばっかりで……)


真姫(本当に伝えたいなら、今だってチャンスなのに)


真姫(なのに……私は……)


にこ「……」



 ギュッ



真姫「!?」


にこ「……」ギュー


真姫「に、にこちゃん?」


真姫「なんで、腕、組むの……?」


にこ「んー?」
 

 
にこ「別に」


にこ「ただ、真姫ちゃんの腕が寂しそうだなーって」


真姫「な、なにそれ」


真姫「意味分かんない……」


にこ「……」ギュー


真姫(……あったかい)


真姫(ドキドキしてるのに、落ち着く)


真姫(変なの……)












穂乃果「……」


海未「……」


ことり「……」


穂乃果「邪魔しないように、遠回りしよっか」


海未「そうですね」


ことり「うん」
 

可愛い(*^▽^*)

 
昼休み



真姫「……」ガタッ


花陽「真姫ちゃん、どこ行くの?」


真姫「にこちゃんに告白してくる」


花陽「そっか。頑張ってね」


真姫「うん」



 スタスタスタ…



花陽「……」


凛「かよちん、真姫ちゃん、ご飯食べよ!」


凛「あれ? 真姫ちゃんは?」


花陽「にこちゃんとお昼ご飯食べに行ったよ」


凛「へー」
 

 
3年教室



真姫「にこちゃんは?」


希「授業が終わったら、すぐにどっか行ってしまったんよ」


絵里「どこに行くとも言わずにね」


真姫「そう」


絵里「お昼、私たちと一緒に食べる?」


真姫「ううん」


真姫「にこちゃんを探しに行くわ」


真姫「誘ってくれてありがとう」



 スタスタスタ…



絵里「なんだか、いつもの真姫と雰囲気が違ったわね」


希「そうやね」


希「なんだか、燃えてる!って感じに見えたかな」
 

 
真姫(不思議)


真姫(こんなに迷いなく行動できるなんて)


真姫(“伝えなきゃ”っていう想いと“伝えたい”っていう想いが、上手く噛み合ってる感じ)


真姫(今なら出来る気がする……)


真姫(それにはまず、にこちゃんを探さないと)


真姫(屋上……は、雨が降りそうだから無しね)


真姫(同じ理由で中庭も無し)


真姫(他にお弁当が広げられそうな場所……)


真姫(って、あそこしかないわよね)
 

 
部室



 ガチャッ


にこ「!」


真姫「……やっぱりここよね」


真姫「ねえ、なんで何も言わずに部室行ったの?」


にこ「んー?」


にこ「言わなくても、真姫ちゃんならにこのこと見つけてくれるかなーって」


真姫「なっ……!?」


にこ「で、ホントに来てくれたし」


真姫「べ、別に……これくらい誰でも出来るわよ」


にこ「照れちゃって~」


真姫「照れてなんかないわよ!」


真姫「ほ、ほら! 隣空けてよ! 私が座れないでしょ!」


にこ「え? あ、うん……」
 

 
にこ「……」ゴソゴソ


真姫(にこちゃんを前にすると、やっぱり緊張するわね……)


真姫(でも、今までの中では一番落ち着いてるわ)


真姫(これなら……!)


にこ「はい、どーぞ」


真姫「ありがと」


にこ「真姫ちゃんって、意外と大胆かもね」


真姫「どうして?」


にこ「だって、こんなに空いてる席あるのに、わざわざ隣の席選ぶんだもの」


真姫「……」


真姫「!?」


真姫「え、ええと、それは、その……!」


真姫(あ、ダメ、いつもの感じに戻ってく……!)
 

 
………
……



真姫「ごちそうさま……」


にこ「ま、真姫ちゃん大丈夫?」


にこ「ご飯食べたのにやつれたような……」


真姫(ああ……結局いつも通り……)


真姫(あの覚悟はどこに……)


にこ「……」


にこ「……真姫ちゃん」


にこ「教室に戻る前に、ちょっといい?」


真姫「うん、いいけど……」


にこ「……あのね」


にこ「今朝の話……というか」


にこ「朝の、電話のことなんだけど」


真姫「!」


にこ「真姫ちゃん、やっぱり何か言いたいことあったんじゃないの?」


にこ「にこが切っちゃう前に、何か言ってたんじゃないの?」


真姫「っ……!」
 

 
にこ「……」


真姫(これ……チャンスよね……?)


真姫(『大好き』って言ったの、って)


真姫(伝える……チャンス……!)


にこ「……」


真姫「あ、えっと……」


にこ「……」


真姫「あ、あの時は……」


にこ「……」


真姫「……だっ」


真姫「だいす……」





 キーンコーンカーンコーン





真姫「!?」


真姫「ちゃ、チャイム……?」


にこ「……」
 

 
真姫(とうとう運にまで見放された……)


真姫(……ううん、違うわね)


真姫(自分で、手放したのよ……)


真姫「……」


にこ「……戻りましょ」


真姫「あ、うん……」


にこ「……」ゴソゴソ


真姫「……」ゴソゴソ


真姫(次は放課後か、帰り道で……)


真姫「にこちゃん、忘れ物とか……」





にこ「はぁ……」シュン…





真姫「!?」
 

 
にこ「じゃあね、真姫ちゃん」


にこ「また放課後に……」


真姫「待って!」


にこ「え……」


真姫「にこちゃん!」グイッ


にこ「え、あ、ちょ……!?」


真姫「私ね、あの時……!」


にこ「ちょ、ちょっと待って!」


にこ「教室、戻らないと……」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「……じゃあ放課後」


真姫「今日の練習、1時間遅れになるの知ってるでしょ?」


真姫「ホームルームが終わったら、音楽室に来て」


真姫「大事な……すっごく大事な話があるから」


にこ「……うん」
 

後回しを重ねる真姫ちゃん


 
真姫(あの時)



真姫(どうしてあんなことが出来たのか)



真姫(にこちゃんがほんの一瞬だけ見せた、あの寂しそうな表情)



真姫(あれが、私の何かに火をつけたんだと思う)



真姫(……って)



真姫(あんな表情させる前にやりなさいよ、って話よね)



真姫(ピンチになってからじゃないと発揮されないリスキーな力なんていらないわよ……)



真姫(しかも、結局は放課後に先延ばししてるし……)



真姫(……と、とにかく)



真姫(私はこれで前に進むしかなくなった)

 

 
音楽室



真姫「まだ来てないのね」


真姫「……」


真姫「……」ソワソワ


真姫「……」


真姫「……」ソワソワ


真姫「……」


真姫「落ち着かない」


真姫「ピアノ……」


真姫「……そうね」


真姫「ピアノ弾いて、気持ちを落ち着かせましょ」


真姫「何を弾こうかしら」ガタッ


真姫「……ま、適当に」



 ♪~



………
……




真姫「……ふぅ」


にこ「……」パチパチパチ


真姫「!?」ビクッ
 

 
真姫「にこちゃん!?」


真姫「来たなら来たって言ってよ!」


にこ「言おうと思ったんだけど、真姫ちゃん熱中してたから」


にこ「止めちゃ悪いかなーって」


真姫「もう……」


にこ「今弾いてたのって、新曲?」


真姫「ううん。思いつくままに弾いてただけよ」


にこ「思いつくままに弾いてあれって、凄いわね……」


真姫「いつもこんな上手くいってる訳じゃないのよ?」


真姫「最近は特別で、メロディーが溢れてくるっていうか……」


にこ「へー」


真姫「っ……」





真姫(さあ、言うのよ!)


真姫(きっかけさえ言えれば、後は……!)





真姫「……こ、これって」


真姫「にっ……にこちゃんのおかげ、だと思うの……」
 

くるー?

きたか!

頑張れまきちゃん!!

頑張れ…!

 
にこ「にこのおかげ?」


真姫「お、おかげって言ってもアレよ? 別に、にこちゃんに何かしてもらったからとか、そういうんじゃなくて」


真姫「あ、いや、してもらったと言えばしてもらったのかもしれないけど、そこには解釈の違いがあるというか」


真姫「つまり、にこちゃんには何でもない事でも、私にとってはそうじゃなくて」


真姫「その……う、嬉しかったり、楽しかったり……」


真姫「そういうのが、良いメロディが生まれる理由になってるんだと思うの」


にこ「なんか、照れくさいわね……」


にこ「……ありがとう」


真姫「そ、それでね?」


真姫「にこちゃんにしたい大事な話っていうのも、それと関係あることで……」


にこ「うん……」
 

 
真姫(言わなきゃ……)


真姫(嬉しいのは……楽しいのは、にこちゃんが好きだからって……)


真姫(にこちゃんが好きだから、その気持ちがメロディにも表れてるんだって……)


真姫「えっと……」


にこ「……」


真姫「言いたいのは、その……」


真姫「嬉しかったり、楽しかったりする理由は……」


真姫「わ、私が……」


にこ「……」
 

 
真姫「私は、その……」


にこ「……」


真姫「ええと……」





真姫(言葉が出ない……)


真姫(どうして……どうしてなの……!?)


真姫(この期に及んでまだ私は……!)


真姫(言うのよ……言わなきゃ……言わなきゃ……!)





真姫「っ……」


にこ「……」フゥ…


にこ「真姫ちゃん」ギュッ


真姫「!?」


真姫「にこ、ちゃん……?」


にこ「……」ギュー


真姫「ぁ……」
 

 







にこ「……落ち着いた?」


真姫「……うん」


にこ「……あのね」


にこ「言わなきゃ、とか。言わないと、とか」


にこ「そんな風に無理して言葉を出す必要なんてないのよ?」


真姫「でも……」


にこ「“言いたい”と“言わなきゃ”は違うでしょ?」


真姫「……」


にこ「“言わなきゃ”って自分を追い込んで出した言葉よりも」


にこ「にこは、真姫ちゃんの“言いたい”っていう気持ちが溢れて……」


にこ「そうやって生まれた素直で自然な言葉が聞きたいな」


真姫「……」


にこ「ね?」
 

 
真姫「そんなの……」


真姫「そんなの、私に出来るの?」


にこ「……」


真姫「今まで何回やっても言えなくて……」


真姫「無理矢理にでも言葉に出来なかったのに……」


真姫「そんな私が……」


にこ「今出来ないからって、この先も同じとは限らないでしょ?」


にこ「出来るか出来ないかはこれからの真姫ちゃん次第」


真姫(これから次第……そうよね、でも……)


真姫「いつになるのかしら……」ボソッ


にこ「……」


真姫(私が言えるのが先か、それとも……)





にこ「待っててあげる」


真姫「え……」
 

 
にこ「真姫ちゃんが言えるまで、待っててあげる」


真姫「……」


にこ「あ、だからって『言わなきゃずっと一緒に居られる』なんていうのは無しだから」


にこ「そんな関係、悲しいでしょ?」


にこ「それと、待つって言っても、流石にお婆ちゃんになるまでには何とかしてよね」


にこ「でも真姫ちゃんの場合、臨終の瞬間までっていうのも想像出来ちゃうのよねー」


真姫「……」


にこ「……私は待ってるから」


にこ「だから、焦っちゃダメよ?」


真姫「……」


真姫「……」ジワッ…


真姫「っ……!」ポロポロ


にこ「もー、どうして泣くのよー」ナデナデ


真姫「ぐすっ……にこちゃぁん……!」ギュー


にこ「しょうがないわねぇ……」
 

 
にこ「……」サスサス


真姫「……」


にこ「……本当に、本当に伝えたいことってね」


にこ「無意識だったり、言いたくて言いたくて堪らない時が来たりして」


にこ「案外すんなり出るものよ」


真姫「……」


にこ「それがいつかは分からないけど」


にこ「きっと来るはずだから……」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「……にこちゃん」


にこ「んー?」


真姫「……好き」


にこ「!」


にこ「……うん」
 

 
真姫「……大好き」


にこ「……うん」


真姫「にこちゃんが……好き……」


にこ「……私も」


にこ「私も、真姫ちゃんが好き」


真姫「っ……」


にこ(言えたね、真姫ちゃん)
 

 
………
……




真姫「……えっ」


真姫「気が付いてた?」


にこ「うん」


真姫「私の、気持ちに?」


にこ「うん」


真姫「……」


にこ「……」


真姫「隠してたのにどうして……」


にこ「隠せてるつもりだったんだ……」


真姫「……ん?」


真姫「じゃあ、私がにこちゃんのこと好きなのを知ってて」


真姫「その上で、告白できるのを待ってたってこと?」


にこ「そうね」
 

 
真姫「な、なによそれ!?」


真姫「だったら少しは助けてくれても……!」


にこ「これ以上ないくらいアシストしてあげたでしょ?」


にこ「2人きりになるように誘導したり」


真姫「……」


にこ「失敗したら知らんぷりしてあげて」


真姫「……」


にこ「失敗続きで落ち込んでたらそーっと励まして」


真姫「……」


にこ「心当たりは?」


真姫「沢山……ある……」


にこ「でっしょー?」
 

 
真姫「そっか……そうだったんだ……」


真姫「……ねえ?」


にこ「ん?」


真姫「あんなに情けない私を見て、嫌にならなかったの?」


真姫「今日なんて、単なる情緒不安定じゃない……」


にこ「今日のは流石に驚いたわね」


にこ「でも、嫌になんてならなかったわよ」


真姫「どうして?」


にこ「んー?」ニヤッ


にこ「にこはねー、真姫ちゃんの情けなくてカッコ悪いことろなんて、もういーっぱい知ってるからー」


にこ「今更一つや二つ増えたからって何?ってこと」


真姫「なっ……!?」


にこ「ふふんっ」ニヤニヤ


真姫「……もうっ」プイッ
 

 
にこ「……さて」


にこ「これでようやく、両片想いから両想いになれたんだけど」


真姫「!」


にこ「練習が始まるまで、あと30分くらい」


にこ「どうする?」


真姫「……別に、どうもしないわ」


真姫「着替えたり、準備運動だってしておかないといけないんだからそんなに余裕ないわよ」


にこ「えー」


真姫「でも……」


真姫「それを考慮しても、5分くらいは大丈夫そうだから……」


にこ「……」


真姫「ぎゅって、して……?」


にこ「……回りくどく言い訳した割には可愛いお願いね」


真姫「う、うるさいわね!」


真姫「してくれるの!? してくれないの!?」


にこ「するに決まってるでしょ」ギュッ


真姫「!」
 

 
にこ「真姫ちゃんあったかい……」


真姫「……」


にこ「あとすっごい心臓の音」


真姫「言わなくていいわよ!」


真姫「にこちゃんだって、外に聞こえるんじゃないかってくらいドキドキしてるくせに!」


にこ「当たり前じゃない」


にこ「大好きな人と抱き合ってるんだから……」ギュー


真姫「!?」


にこ「あ、また早くなった」


真姫「もう黙ってて!」



 ヴー! ヴー!



にこ「なによこんな時に……」Pi


にこ「……海未からメールね」
 

 
にこ「……」


真姫「何だって?」


にこ「『今日の練習は雨天中止。各自で自主練をお願いします』だってさ』


真姫「……」


にこ「どうする?」


真姫「……」ギュー


にこ「!」


にこ「着替えは? 準備運動は? 自主練は?」ニヤニヤ


真姫「今日は曲のイメージ作りに専念するわ」


にこ「そう」


にこ「じゃ、にこもそれに付き合ってあげる」ギュー








「……」コソコソ
 

 
音楽室の外



花陽「す、すごい……!」


ことり「ドキドキしちゃう……!」


穂乃果「真姫ちゃん、良かったね」


絵里「にこも嬉しそう……」


希「ほんまやなぁ」


凛「なんか、あの雨の中を想いっきり走りたい気分」


海未「奇遇ですね。私もです」


凛「えっ、海未ちゃんがやるなら、凛はやめとこうかにゃ……」


海未「さあ、行きますよ」グイッ


凛「え!? だ、だれかたすけてー!」ズルズルズル…


 

 
真姫「にこちゃん」


にこ「なに?」


真姫「今日、傘持ってきた?」


にこ「うん」


真姫「じゃあその傘、学校に置いていって」


にこ「え?」


真姫「私の傘で相合傘して帰りましょ」


真姫「にこちゃんの家まで送っていってあげるから」


にこ「急に積極的になったわね……」


真姫「気持ちが溢れるって、こういう精神状態を言うのね」


にこ「なら、もう躊躇いなく好きって言える?」


真姫「言えるわ」


にこ「じゃあ言って?」


真姫「好き」


にこ「おー」


真姫「大好き」


にこ「おー!」


真姫「……」


にこ「大好きの上は?」


真姫「それは……これからね」


にこ「なら、待っててあげる」
 

 
 
 
そして、月日は流れて……

 
 
 

我肉棒激硬勃起不可避

>>212
去勢せよ

>>213
死ぬかと思った

 
「にこちゃん、何見てるの?」


「ん? 高校のアルバム」


「急にどうして?」


「この時期になると、色々と思い出すのよ」


「ふーん」


「懐かしいなー。帰り際に、珍しく真姫ちゃんが声掛けてくれてさー」


「!」


「その翌日には、7時くらいまで正門で私のこと待ち伏せしてて……」


「い、いつの話よ!」


「思えば、あの辺りからなのよね。真姫ちゃんが積極的になったのって」


「……」


「何かあったの?」
 

 
「……そうね、あったわ」


「なになに?」


「女神に会ったのよ」


「女神?」


「その女神に『にこちゃんと仲良くなりたい』ってお願いをしたの」


「それで積極的になれたってわけ?」


「まぁ、そうね」


「へー」
 

 
「あ、真姫ちゃん、そろそろ出る時間じゃない?」


「ん、そうね」


「帰りは何時ごろになりそう?」


「んー……いつもくらいじゃないかしら」


「そう」


「にこちゃんは?」


「今日は都内ロケだから、そんなに遅くはない……はず」


「終わったら連絡頂戴ね」


「うん」


「じゃあ、いってきます」


「いってらっしゃい」
 

 
「……さて、と」


「私もそろそろ支度しないとね」


「あ、その前にアルバム片付けないと」


「……」


「……ありがとう、女神さま」





おしまい
 

おつ!

 
以上です
なかなか更新できず、長々とすみませんでした

次はもっとそれらしい、磁石な2人のにこまきを書けたらと思います

ありがとうございました
 

素晴らしいの一言

乙です!
とても心が安らぎました

素晴らしかった
ツンケンせず初々しいのも良いんですわー

乙ー
ずっと楽しませて貰ってました!
次回作も楽しみにしてます

見てて顔を隠したくなる(もちろんいい意味で)ようなにこまきは久しぶりだわ
次回作も期待してます

乙です、すごい面白かった

おつ

すんごいほっこりしたわなにこれ……。
超乙乙

素敵でした

完結乙

おつ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月02日 (月) 20:18:38   ID: 40Vs36q4

この全体的なほのぼの感
にやけちゃう感じの話

凄く!良い!
日々更新が待ち遠しい~~(*>ω<*)

2 :  SS好きの774さん   2014年06月10日 (火) 23:25:21   ID: w6XaxiOr

つづきはよー!

3 :  SS好きの774さん   2014年06月11日 (水) 08:42:55   ID: 42eOlv8P

この真姫ちゃん
余りにも可愛すぎて
ヨダレが出る

4 :  SS好きの774さん   2014年07月03日 (木) 23:03:55   ID: 3n-fO0Gb

やばい!神!

5 :  SS好きの774さん   2015年03月18日 (水) 17:36:30   ID: L57XlGxw

これは素晴らしいです

にこがお母さんって呼んでるのは最終回前だったからなんですね
アニメのキャラと非常にマッチしていて、違和感がなくてよかったです

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