娘「ついにあの日の真実が」(3)

草原。
昔は周りは森に囲まれたと言われているが、今はただただ草がなびくだけである。風の向かう向きに草も向く。
その中、ただ一人少女は立っている。

娘「...やっと、見れるよ。お兄ちゃん」

かつて、森があった頃。少女が立っている所には屋敷があったという。だがある日、屋敷は燃え尽きた。そこにあつまっていたといわれるある家系は生き絶え、一部の屋敷の管理人が逃げ残り今生きているという事件である。

彼女は、その家系の記憶を持っている。正確には彼女は義娘であるので血はつながっていない。だが確かに愛情は受けていた。だから彼女は記憶を受け継いでいる。

彼女は一晩にして一人ぼっちになったのだ。

彼女は当時、気が触れていた。例えるならば、自分以外は人間ではない人間に似た何かだと思っていた。兄以外は。
彼女は兄だけは信用してたのだ。彼女が何度襲っても兄は何度でも振り払い彼女に構った。
彼女はそのうち懐いていった。

事件の日、家族の召使いが彼女の面倒を見た。
だが面倒をみて5、6、7。いよいよ彼女はおかしくなっていった。

兄が死んだと知らせが入った日、彼女の気の触れは直った。と同時に、死にたいと思い始めた。

そのような昔があるからこそ、家族が、兄が死んだ大地に立っている。
そして今日、かつての真実に向かうのであった。

彼女の時代になると時代は発展しており、高額にはなるが他人の記憶の中を探検できる装置が開発されていた。
彼女は真実を知りたいと思ってから様々な資料を漁って、話を聞いて寝る時間を惜しんで考えた。そして、とある一人の人物と一冊の本に行き着いた。
かつての屋敷の管理人であり、事件に居合わせていた管理人であった。彼は事件以降様々なインタビューなどに受け答えてきたが精神がおかしくなっていた。それ程までに事件が酷かった事がうかがえるが何を言っているのか分からない。彼女も話を聞いて見たが帰ってきた答えは一つ。

「タイムに間をあわせよ」

それ以上もそれ以下も言わなかった。

そしてもう一つの本。それは兄から届いた本であった。
名前は不明。内容はかつての事件を伺わせるような内容ばかりである。

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