妹「お兄ちゃんは勇者で私はお姫様」 (23)
妹「って設定でSS書こうと思うんだけど」
兄「またか……」
妹「そう、また」
兄「毎度いきなり俺の部屋にノックもなしに入って来て」
妹「それでね」
兄「待て待て」
妹「なに? お兄ちゃん」
兄「いや待ってくれ。なに? 勇者?」
妹「そう。勇者とか魔王とか流行ってるし」
兄「……まぁ最近の流行に乗ろうとしたのは分かる、確かに流行ってるしな」
妹「でしょ」
兄「だけど流行のビッグウェーブに乗りすぎじゃないか?」
妹「私は華麗にビッグウェーブを乗りこなしてみせる!!」
兄「なんか乗ってるというより、しがみついてるように見えるんだが」
妹「うっ……」
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兄「はぁ、まぁいいか。それで、それはどんな話なんだ?」
妹「それはね」
兄「といっても既に嫌な予感がするが」
妹「まぁまぁ、お兄ちゃん聞いてよ。まずは仲の良い兄妹がいるんです」
兄「毎回それから始まるな。今回は勇者と姫なんだろ?」
妹「まだそこまで話は進んでない!!」
兄「あぁ、分かった、分かったよ。ちゃんと聞く」
妹「それで、ある日の朝目覚めると世界には二人しかいなくなっていたのです」
兄「超展開だな。それで?」
妹「お父さんとお母さんがいないことを不思議に思いながらも二人は学校に登校します」
兄「えっ、学園モノなのか」
妹「二人は学校に着きました。学年が違うために愛する二人は一旦別れます」
兄「おい、なんか重大な設定バラさなかったか?」
妹「ふ、伏線です」
兄「…………」
妹「それからお兄ちゃんは教室に入りましたが誰もいません」
兄「ならその日は休校だな。助かった、帰りに遊んで帰ろう」
妹「その時、お兄ちゃんの幼馴染のクラスメイトが教室に入ってきました」
兄「アイツも物語に出されてるのか……」
妹「そこで突然、幼馴染がお兄ちゃんに襲ってきました!!」
兄「別にアイツに襲われても怖くはないが」
妹「ですが、その時、お兄ちゃんの右手に『光の剣』がぁぁーー!!」
兄「えぇーー……」
妹「なに、ダメ? お兄ちゃん」
兄「いや、うん、なにその『光の剣』って」
妹「勇者の剣だよ」
兄「いやいやいや誰のでもいいよ、勇者でも誰でも、なんでそこで?」
妹「お兄ちゃんが勇者の転生だから、ってこれは二章の設定なんだからまだダメ」
兄「あぁ、二章? そう、そうなんだ……。はぁ、続けて」
妹「お兄ちゃんは幼馴染をブッ倒すことが出来ました」
兄「アイツの出番は終わりか、羨ましいな」
妹「しかし安心するのも束の間、私の悲鳴が聞こえてきます!!」
兄「かなり大声だな。俺とお前の教室は結構離れてるぞ」
妹「お兄ちゃんは私が心配で走り出します!!」
兄「うん、まぁ」
妹「私の教室に飛び込むお兄ちゃん、そこには大勢のゾンビにやられそうな私が!?」
兄「え、敵ってゾンビ? ということは幼馴染もゾンビだったのか……」
妹「大勢のゾンビを光の剣で一閃するお兄ちゃん。二人は抱き合って無事を確認します」
兄「強いな俺。そのまま無双して物語はハッピーエンドでいいんじゃないか」
妹「ダメだよ。まだ他にもボスがいるんだから、生徒会四天王とか」
兄「うわーー……なんかまたヤバイ単語出たぞ今」
妹「それからお兄ちゃんと私は学校の探索を開始します」
兄「その時に雑魚敵を倒してレベルアップか。まぁ王道だな」
妹「そう、宝箱から色々道具も拾って装備も充実」
兄「いやいや、学校に宝箱はおかしくないか?」
妹「そ、それはボスの生徒会長が置いたんだよ!!」
兄「まだ出てない生徒会長か。優しいんだな……」
妹「そして、とうとう生徒会四天王を倒した私達は生徒会室に辿り着きます」
兄「あぁ、四天王は割とあっさりなんだ」
妹「大丈夫。本編では『ヤツは四天王最弱、生徒会の名を汚すとは』って台詞があるから」
兄「あるんだ、やっぱり。まぁここまで来たら逆にないと気持ち悪いか」
妹「『フッ……まさかここまでたどり着くとはな……』」
兄「え? なにそれ、急に、怖い」
妹「会長ぉぉ!! 会長の登場シーン!!」
兄「なんだ会長か。さすがに強そうだな」
妹「それはそうだよ。なんといってもラスボスだからね」
兄「ラスボス? 会長ラスボス?」
妹「そうだよ?」
兄「勇者の設定は二章まで待たせてラスボスは即バラしたよオイ」
妹「序盤から何度も戦ってるボスがラスボスってなんか燃えない?」
兄「あぁ、まぁ、それはあるかな」
妹「でしょ」
兄「それで、会長は何が目的なんだ?」
妹「そう、会長はなんと異世界から来た魔法使いで、魔法で私達の世界を変えてしまったのです」
兄「ま、魔法?」
妹「魔法。魔法ダメ?」
兄「いや、別にいいけど。リアル設定モノだったのに魔法いいのか?」
妹「でも私この戦いで魔法使いになるから、魔法で!!」
兄「お、おう……。お前魔法使いになるんだ……」
妹「私達は、世界を滅ぼそうとする会長に立ち向かいます」
兄「あぁ、会長は世界を滅ぼすつもりなんだ。宝箱を置いてくれる優しい会長はどこに」
妹「でも会長は強くてお兄ちゃんはやられそうに!!」
兄「まぁ俺は光の剣があっても剣道も何もしたことないからなぁ」
妹「ですが、その時、私の右手に『光の剣』がぁぁーー!!」
兄「えぇーー……」
妹「なに、ダメ? お兄ちゃん」
兄「いや、光の剣二本目なんですけど」
妹「お姫様の剣だよ」
兄「誰のでもいいわ」
妹「そうして、お兄ちゃんと私のラブラブ合体攻撃で会長は深手を負います」
兄「おぉ、ここで倒してエンドだな。二章なんてなかった」
妹「『くっ、まさかお前も転生体だったとは……』」
兄「出たな会長」
妹「『だが私は倒されない。異世界で傷を癒して、また戻って来るぞ!! ハハハハ!!』」
兄「やばいやばい、これやばいパターンだぞ」
妹「『待て会長!! お前の好きにはさせないぞ!!』」
兄「あぁ、それ俺?」
妹「『私達も異世界に行って、会長と決着をつけてやるわ!!』」
兄「それ、お前?」
妹「第一章、完!!」
兄「いや、完って……」
妹「お兄ちゃんどう!? 今回は面白いでしょ!?」
兄「まぁ、今までの空から妹が降ってきたり転校生が妹だったりするのよりは良かったかな」
妹「やったぁぁーー!!」
兄「それで、本当に第二章は考えてるのか?」
妹「考えてるよ!! 第二章はね、まず」
兄「待て、ちょっと待て。大まかな物語の筋だけでいい」
妹「えーー、ちゃんと設定とか考えたのに~~」
兄「今までの例によって全部聞いてたら何時間もかかるからな……」
妹「第二章は、異世界に行った私達は記憶をなくしてて」
兄「それは不味いな」
妹「ある平和な村で幸せに暮らすんだけど、会長にバレて襲われて」
兄「あぁ、これ村が全滅のパターンだ」
妹「私達は記憶を取り戻して、なんとか会長を撃退して」
兄「会長倒せたんだ。やるなぁ俺達」
妹「それからは会長を完全に倒す方法を探しながら異世界を冒険するんだよ~~!!」
兄「第二章は冒険モノか」
妹「そこで勇者と姫の謎とか、光の剣をくれた光の精霊とか、もう凄いイベントが盛り沢山」
兄「なるほどな。ダンジョンは洞窟とか森とか城?」
妹「そうそう。それで色んなボスを倒してレベルアップ!!」
兄「それなら会長も倒せそうだな」
兄「会長はどうなるんだ?」
妹「会長は、最終章で私達の世界に戻って」
兄「戻れるのか。でも会長は倒せてないんだろ?」
妹「倒せてないよ。だから私達の世界は、魔界に変えられてしまうの」
兄「マジか。会長のせいで俺達の世界がヤバイ」
妹「それを元に戻しながら、暗黒生徒会四天王を倒して」
兄「暗黒!? というか生徒会四天王まだ出番あった!?」
妹「それで最終的には生徒会室から宇宙に行って会長とラストバトル!!」
兄「生徒会室から宇宙行けるんだ。宇宙空間で俺たち大丈夫か?」
妹「そ、それは光の精霊の加護で」
兄「あぁ、便利な設定出たぞおい」
妹「最後は私達の三ゲージ使う超ラブラブ合体攻撃で会長を倒してハッピーエンド!!」
兄「……ゲージって、なに?」
妹「どうかな、お兄ちゃん。あまりにも超大作で感動したよね!?」
兄「いや、それで、俺達はどうなったんだ」
妹「それはもちろん、二人仲良く末永く暮らしましたとさ、だよ」
兄「あぁそう。まぁハッピーエンドか」
妹「そうそう、ハッピーエンドでしょ?」
兄「なんか忘れてる気もするんだが……」
妹「あ、幼馴染なら暗黒幼馴染として裏ボスで出るよ」
兄「うわぁ、強そう」
妹「今回はかなりの自信作なんだよね~~」
兄「……そろそろ、つっこむか」
妹「えっ」
兄「今回はどのゲームから設定をパクったんだ」
妹「え、えぇ? い、いや、そんなこと……」
兄「話の途中でゲームっぽい設定がどんどん出てきてたぞ」
妹「そ、そうかなぁ?」
兄「というか、ちょっと前にお前がリビングでやってたゲームに話がそっくりだ」
妹「あ……お、お兄ちゃん見てたの?」
兄「たまにな」
妹「うぅ、見てたんなら言ってよ!!」
兄「それにしても、何がしたかったんだ?」
妹「もう知らない」
兄「おいおい……」
妹「……お兄ちゃんと遊びたかっただけだよ……」
兄「え? なんだって?」
妹「な、なんでもないっっ」
兄「変なヤツだな……」
妹「あ、そういえば……。お兄ちゃん、物語で回収してない伏線あるんだけど」
兄「そんなのあったか?」
妹「もう、早く気付いてよね」
おわり
>>1
乙
前作ってあるのかな?
あるのならぜひ見てみたい
おつ
会長も幼馴染も男が好きなんだろうなー
ここまで読んでくれた人へ、ありがとうございます
それではHTML化依頼だしてきます
>>17
すみません兄妹モノの前作はありません
ちょっと前に、青年「勇者が村を出ない」ってスレなら建てたことあります
>>19
ありがとう
読んでみます
おつかれさま!
>>20
こちらこそありがとうございます!
このSSとは関係ないですけど読んでもらえると嬉しいです
俺も前作があるのかと期待したじゃねーか
おつ
お前だったのか。
乙
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