女「男くんを殺そうかと思う」 (11)
さほど広くもない部屋に椅子に縛り付けられた俺。
しかし実際は目隠しされてあるので、部屋の広さなど分かるはずもない。耳から入ってくるかすかな時計の音と、皮膚から伝わる冷たい空気がそう言っているような気がするだけだ。
動く。どうやら、普通の椅子に手錠で拘束されているようだ。
首輪まで付けられている辺り、女の曲がりくねった愛を感じることは簡単に出来る。
あぁ、どうしてこうなったんだっけ。
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そんなことを考える間もなく、女が入って来た。女なのか目で見て確認することはもちろん出来ないが、声を聞けばすぐ分かる。
「あら、もう起きたの。早かったわね。もう少しお寝坊さんしても良かったのに。男くん」
どうせ本当に寝坊したら電流を流すとか、金玉を思いっ切り握りしめて起こす癖に。
「どうしたの男くん。俯いて。格好いい顔が見えないじゃない。しゃんとしましょうよ」
どうせ殺られるんだ。いっそのこと抵抗してみようか。そんなことも考える。
無理だろうな。そう思った。
「さすが柔道部、いつ触ってもイイカラダしてるよねえ。このカラダで何人女の子を弄んだの?」
この女には全部バレてる。ずっと見られてる。それをしったクリスマスの日は戦慄したものだった。いつか殺される。確信した。
「・・・そう、何の反応もないのね。少しは命乞いくらいしてくれてもいいじゃない。」
俺の性格上、命乞いなんて絶対にしないとは思うのだが、この女にじわじわと拷問され殺されると思うと命乞いを絶対にしないとは言い切れない。
「そうだったわ、猿轡掛けてるから話せないのよね。ごめんなさい。最後に言いたいことがあるなら、どうぞ。」
猿轡が外される。俺はまた俯いた。
「・・・言いたいことは特にはないと。そういうことね。わかったわ。」
また猿轡をされる。こんなこと抵抗しても無駄なのだ。さらに恐ろしい事をされる決まってる。先伸ばしをしたところでこれもまた無駄だ。早く終わらせて欲しい。
「まずは何から始めましょうか」
緊張する。恐いものは恐い。男でも。柔道部でも、それは同じだ。
「あああああ!!!!!」
急に激痛。太股に何か刺さった。痛みの余り頭をぶんぶん振り回す。必死に暴れるが勿論提供にすらなっていない。
「あぁああぁぁああ!!!!!」
「うぐっ!おえぇ!!」
なぜか吐きそうになる。人はあまりに痛いと吐きそうになるのか。知らなかった。
えぐられる。刺さっているのは多分ナイフだろう。
「ああぁぁああぁあ!!!」
一気に引き抜かれた。俺はがっくりと椅子に持たれる。
「見せてあげましょうか」
目隠しが外された。涙が出ているのがバレてしまう。
「きゃあ!あの剛胆な男くんがナイフが刺さって泣いてるわ、うふふ」
ナイフは柄の近くまで赤く塗られている。何故か太股は痛くなくなった。不思議だ。
「目隠しは外しておいてあげるわ」
この女は狂っている。俺は確信した。
「この間包丁を新調したの。それを男くんで磨いでみたいの。いいでしょ?お願い」
「うぐッ!あああああ!!!!!」
女は指で包丁を磨いでいる。これなら目隠しして貰った方が何倍も良かった。
猿轡されてるのにこんなに大きな声が出るなんて。近所迷惑だろうな。俺。
「おえぇぇえ!ううう……」
人指し指の感覚がなくなった。
「もっと叫べよ!あぁ?」
髪を持たれて顔を上げさせられる。もう気絶しそうだ。止めて欲しい。
「人差し指食え」
口元に指がある。唇に生温かい指が触れる。思わず吐いてしまった。
「うおえぇええぇ!!!」
駄目だ。死ぬ。死んでしまう。
「……もう」
「…殺してください」
言ってしまった。
おしまい
ひぇ
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