ことり「今ならひざを貸してあげます」 (17)
海未「全員休み、ですか?」
ことり「うん、そうみたい」
海未「しかしまた、いったいどうしてですか?」
ことり「えっとね、3年生のみんなは受験関係のことで、1年生のみんなは英語の試験……だったかなぁ」
海未「なるほど。では穂乃果はどうしたんです?」
ことり「穂乃果ちゃんなら、店番しなくちゃいけないの忘れてたーって、走って帰っちゃった」
海未「はあ。事情は分かりました」
ことり「うん」
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やったことうみだ!
「ラブライブ!」二次創作
※海未ちゃん誕生日おめでとう!
※でもスケジュールの関係で1日遅れ……
※ほんのりことうみ色のSSです
※5000字くらいですぐに終わります
※ぶるーべりぃとれいんがWonder zoneにWonderful Rushする展開はありません
※よろしければ少しの間お付き合いください
海未「とすると、ことりを待たせてしまったようですね。すいません」
ことり「ううん。屋上気持ちいいし、ぜんぜん気にならなかったよ」
海未「そうですか。なら良かったです。……が、今日の練習、どうしましょうか?」
ことり「2人で練習……はちょっとさみしいね」ウーン
海未「そうですね。今はダンスの練習が中心ですし、2人で体力トレーニングというのもモチベーションが続きませんし」ムム
ことり「あはは、海未ちゃんがやるなら、ことりは付き合うよ?」
海未「ふふ、それもいいですね。最初は3人で走りこみでしたし。……ですが、皆が休んでいるんです。今日くらいは休みの日ということにしておきましょう」
ことり「は~い」
海未「それでは私は弓道部の方に行こうと思います。ことりはどうしますか?」
ことり「えぇ~、海未ちゃん行っちゃうの~?」
海未「え、その……こちらの練習がないなら、当然あちらに顔を出すべきですが」
ことり「海未ちゃん、さっき今日はお休みの日だって言ったよ~?」
海未「いえ、全体としてはそれでいいと思うのですが」
ことり「休むことも大事だって思うな」
海未「それはまあ、そうですが」
ことり「ここに座ってると、お日様の光があったかいよ?」
海未「はあ」
ことり「ほら海未ちゃん、隣にどーぞ?」ポン ポン
海未「………」
ことり「海未ちゃ~ん……?」ウワメ
海未「……もう、本当に仕方がないですね、ことりは」
ことり「えへへ」
海未「風が気持ちいいですね」
ことり「うん」
海未「そう長居はしませんよ?」
ことり「そうなの?」
海未「無為に過ごすわけにはいけませんから」
ことり「私と一緒にいる時間なのに?」
海未「あー、いえ……その、言葉の綾と言いますか……」
ことり「あはは、ごめんね。いじわるなこと言っちゃった」
海未「もう、ことりは……」
ことり「でも海未ちゃん、そんなにあれもしなきゃー、これもしなきゃー、ってしなくてもいいと思うよ?」
海未「そういう訳にはいきません」
ことり「がんばりすぎだったりしない?」
海未「いえいえ、一度しか無い、その……若い時期と言いますか、高校生の時間というのは貴重だそうですから。可能な限り色々なことに打ち込むべきです」
ことり「それはそうだけど……」
海未「ことりはどうなんです? 色々とやりたいことがあって、頑張っているのではないのですか?」
ことり「う~ん……確かにμ’sの活動以外にも、服飾の勉強もちゃんとしておきたいし、アルバイトもけっこう楽しいかな」
海未「そうでしょう。だから時間は貴重なんです。熱意が続いて、身体に無理をかけない限りは、何かをしていないと」
ことり「そうだねぇ……」ウーン
海未「はい」
海未「じゃあ、そろそろ失礼します」
ことり「あ、うぅ~……ちょ、ちょっと待って、海未ちゃん!」
海未「もう、なんですか、ことり?」ジトッ
ことり「ひざまくら! ひざまくらしてあげるよ!」
海未「はい?」
ことり「えっとね、海未ちゃん、身体を休めることも大事なんだよね?」
海未「そうですね」
ことり「だったら、1人でじっと休むよりも、も~っと休めることがあったとしたら、とってもいいことだよね?」
海未「はい、それは確かに」
ことり「今ならひざを貸してあげます」
海未「はぁ」
ことり「ふつうにお休みするより、海未ちゃんはばっちり身体を休められて、とっても効率的です」
海未「………」
ことり「だからお願い、もう少しことりとおしゃべりしていよ?」
海未「……ことり」
ことり「ね、海未ちゃ~ん……?」クビカシゲ
海未「……時々、ことりは確信犯だと思ってしまいますよ」
ことり「えへへ」
海未「まあ、大したことではないので構いませんけれど」
海未「痛くないですか、ことり?」
ことり「ううん、大丈夫だよ」
海未「ならよかったです」
ことり「正座でしてあげてもいいんだよ?」
海未「いえ、それでは痛くするでしょう。シートもそんなに分厚くありませんし。……これで十分ですよ」
ことり「海未ちゃんこそ、どっか窮屈だったりしない?」
海未「ふむ、床が草地でないのが惜しいところですね。それと膝枕といっても、ものすごく感動するわけでもないようです」ハテ
ことり「えぇ~、それはなんか悔しいなぁ」
海未「しかし柔らかいとかそういう話ではなく、なんというか落ち着きます。……いい気分です。殿方の気持ちが、少し分かった気がします」フム
ことり「なんか海未ちゃん、変態さんみたいだよ?」
海未「失敬な。ありのままの感想を述べただけですよ」
ことり「そっかぁ」
海未「はい」
海未「ところでことり?」
ことり「な~に?」
海未「何か私に相談があるのではないですか?」
ことり「ふぇ? 相談?」
海未「いえ、わざわざあの手この手で引き止めたのです。何か話があるのだと思ったのですが……違うのですか?」
ことり「あ、うぅ……そう思ってくれたんだ。ごめんね、海未ちゃん」シュン…
海未「構いませんが……つまり、特に相談はないと?」
ことり「うん。お話したいことがな~んにもないわけじゃないけど、ものすごく困ってることはないよ」
海未「そうですか、それを聞いて安心しました」
ことり「ごめんね~」
海未「いいですよ」
海未「しかし、それならどうして引き止めたんです?」
ことり「う~ん、特に理由は……ないわけじゃないけど」
海未「はい」
ことり「やっぱりただ話したかっただけ、かな。スクールアイドルを初めてから、すっごく忙しくなって、休みの日もμ’sのみんなでってことが多くなって。それはそれでとっても楽しいけど、海未ちゃんと2人でゆっくり話す時間も欲しいなぁー……って」
海未「なるほど、そういうことでしたか」
ことり「ごめんなさい……」
海未「もう、謝りすぎですよ。先程も言ったように、少し引き止められたくらい、大したことではありませんから」
ことり「うん」
海未「それに……むしろ私も謝って、感謝をしなければなりませんね」
ことり「??」
海未「ことりに少しでも寂しい思いをさせてしまったことに謝罪を。そして私もことりとゆっくり話したいと思っていましたから、引き止めてくれたことに感謝を」
ことり「……もう、海未ちゃんは」
海未「どうかしましたか?」キョトン
ことり「なんでもありません!///」
海未「さて、では何について話しますか?……っと、その前に」モゾモゾ
ことり「どうしたの?」
海未「いえ、少し頭の位置を……あ、このあたりはいいですね。とても柔らかいです」
ことり「ちょっとぉ……///」
海未「ふふ、今なら貸してくれると言ったのはことりですよ? 我慢して下さい」
ことり「もう……///」
海未「……えっと、痛くはないですか?」
ことり「うん、まだまだ大丈夫」
海未「それはよかったです。さて」
ことり「あ、海未ちゃん。だったら質問いいかな?」
海未「ええ、なんでも構いませんよ」
ことり「質問、っていうよりちょっと気になっただけなんだけど……さっきの若いんだからいろいろやらなきゃー、って話、もう少ししたいかな」
海未「いいですよ。ただ、どうしてその話を?」
ことり「んっとね、余計なお世話って思われちゃうかもしれないけど……」
海未「気にしないで何でも言ってください」
ことり「うん、ありがと。でね、やっぱりことりから見ると、海未ちゃんってがんばりすぎかもー……って時々思うんだ」
海未「そうでしょうか?」
ことり「そうだよ~。スクールアイドルと弓道しながら、勉強もきちんとしてるし、あと日舞に箏に長唄に、それと書道も。それなのに、空いた時間にゆっくりしているとこあんまり見ないし、むずかしそうな本読んでたりするし……」
海未「そう聞くと節操がありませんね」
ことり「そういうことじゃなくて……わたし心配なんだよ? 海未ちゃん、ちゃんと休めてるかなって。知らないところで体調くずしてたりしないかなって」
海未「μ’sの中では体調管理に気を使っている方とは思いますが」
ことり「ねぇ海未ちゃん。確かに海未ちゃんはぜんぜん風邪も引かないし、身体が強いんだなって、ことり憧れることもあるよ。でもね、疲れるのは身体だけじゃないから……」
海未「……」
ことり「ごちゃごちゃ言っちゃった。とにかくちょっと心配なの。ここ半年くらいの海未ちゃんが」
海未「なるほど……」
ことり「………」ジッ
海未「………」
ことり「………」
海未「……はあ。今から話すことは、できれば覚えていて欲しくはないのですが」
ことり「内容を聞いてから考えるね」
海未「手厳しいですね。……大した理由、というより感情じゃないんですよ」
ことり「うん」
海未「ことりから見て私は、どういう人物に見えますか?」
ことり「ふぇ? えっと……自分をきちんとコントロールしていて、しっかりした人かな」
海未「そうなのでしょうか? 少なくない人が同じようなことを言ってくれますが……ことり、私自身はそうとは思ってないんですよ」
ことり「えぇ~?! それは謙遜だよ~」
海未「いえ。……私はですね、ただ不安なんですよ」
ことり「不安?」
海未「ええ、不安です。いろいろとやるべきことややりたいことがあって、その中でどのように行動すればいいのか、よく分かってないんです。だからあれもこれも取り組もうとするんです」
ことり「そうなんだ……」
海未「自分に何ができるのか、何がしたいのか、何をするべきなのか……。わからなくて不安で、とてもじっとしてられなくて、バタバタもがいているだけなんですよ、私は」
ことり「そう、かなぁ……」
海未「ことりはそういうことを考えたりはしませんか?」
ことり「私は……あんまりないかなぁ。海未ちゃんみたいにちゃんと考えられてないから、目の前のやりたいことをただやっているだけ、なのかも」
海未「それでいいのですよ。それで色々なことが良い方向に動いているのですから、きっと何が大事で何が大事でないのか、考えずとも分かっているんです」
ことり「う~ん……」
海未「……正直、留学の話を最終的に引き止めて……少なくとも引き止める方向に動いてしまったことは、今でも正しかったのか考えてしまいますが」
ことり「それは……ううん、ことりが今やりたいことを決めただけだから、気にしないで」
海未「やっぱりことりは私とは違いますね。そういうところ、尊敬していますよ」
ことり「考え過ぎだよ~。ことりはそんな……う~ん」
海未「ふふ、よく分からないことを言っていますね」
ことり「もしかして、ちょっぴりごまかされたのかな?」
海未「ええそうです。だって恥ずかしい話なのですから、真っ向話したりしませんよ」
ことり「もう……」
海未「ふぅ……しかし本当に今日は日差しが心地よいですね」
ことり「うん」
海未「いけませんね。ことりの膝から離れがたくなります」
ことり「……海未ちゃんは、さ」
海未「はい」
ことり「海未ちゃんは、心配しなくともちゃんとできてるよ」
海未「そうでしょうか?」
ことり「うん、ことりが保証してあげる、ぜったい」
海未「それは心強いですね……」
ことり「ぜったいだからね」
海未「はい……」
ことり「うん」
海未「………」
ことり「海未ちゃん?」
海未「ふぁ……はい、何ですか……?」
ことり「もしかして寝ちゃいそう?」
海未「そうですね。ちょっと待って下さい、すぐに起きますから……」
ことり「寝てもいいんだよ、海未ちゃん?」
海未「そんなわけには……参りませんよ。ことりに無為な時間を過ごさせてしまいますから」
ことり「……それだったら、大丈夫」
海未「どうしてですか……?」
ことり「だって、海未ちゃんが寝ちゃうことが、私にとっては大事なことだから」
海未「何ですか、それは……? ふふ、おかしなことを言うことりですね……」
ことり「………」
海未「もう……起きますから……」
ことり「………」
海未「………」
ことり「………」
海未「………」スゥ…スウ…
ことり「……やっぱり疲れてるんだね、海未ちゃん」
ことり「(海未ちゃんが寝ちゃった)」
「(海未ちゃんにとっては、ここで寝ちゃうことは無為な時間なんだよね)」
「(でもね、ことりにとってはそうじゃないんだよ?)」
ことり「(この人ががんばり過ぎないように、ことりは何ができるかな?)」
「(何もしなくたって、ことりとゆっくりしていることが目的と思ってくれたら……)」
「(……それは望みすぎかな)」
ことり「でもね」
「いつもがんばりすぎな大好きなあなたが、少しでも休めるように」
「膝ぐらいだったらいつでも貸してあげるからね、海未ちゃん」
はい、たったこれだけです;
海未ちゃんのプロフィールを初めて読んだ時に思ったことは、
「ちょっ、やってること多すぎwww」
でした。
なので頑張り過ぎたりしてないかとか、そんな心配(妄想)していたら、ことりちゃんが海未ちゃんに膝枕するSSが……。
読んでくださった方、ありがとうございました。
乙
優しい感じがいいな
おつ
いいことうみだった
おつ
よかった
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