芳佳「サーニャちゃん、何やってるの?」サーニャ「『大人民』よ」 (16)

芳佳「ダイジンミン?」

エイラ「お、宮藤も来たのカ」

芳佳「いえ、私はたまたま通りかかっただけで……」

ペリーヌ「ちょうどもう一人プレイヤーが欲しいと思ってたとこですの。参加なさらない?」

芳佳「でも私、その『ダイジンミン』ってゲーム知らないですよ」

サーニャ「心配ないわ。『大富豪』は知ってるよね?」

芳佳「うん」

サーニャ「なら大丈夫。それにいくつかローカルルールが加わった、オラーシャ風味の大富豪だから」

芳佳「へえ、ちょっと面白そう……じゃあ、私も入れて下さい!」

エイラ「細かいとこは実際にプレイしながら教えるからナ」

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エイラ「まずは普通にカードを配るんダ」

芳佳(……Aと2が二枚ずつ! おまけにジョーカーまで! ツイてるなぁ)

エイラ「ちゃんと行き渡ったナ。それじゃ順番ハ……私からでいいカ?」

ペリーヌ「どうぞ。ふふ……」

エイラ「……」

エイラ「よシ、これダ」パサッ

芳佳「え……」

『ハートのJ』

芳佳「いきなり大きな数字ですね……そんなにいい手札なんですか?」

エイラ「フフン、さあナ」

サーニャ「そうだ。イレブンバックはアリだからね、芳佳ちゃん」

芳佳「分かったよ。次はペリーヌさんですね」

ペリーヌ「そうですわね……これを」

『クラブの4』

芳佳(イレブンバック有りなら弱いカードも迂闊には使えないはず……それなのにこの切り……)

芳佳(エイラさんに強いカードが、ペリーヌさんに弱いカードが偏っている可能性が微粒子レベルで存在する……?)

エイラ「サーニャの番だゾ」

サーニャ「そうね……パスするわ。芳佳ちゃんは?」

芳佳「んーと、私もパスします」

芳佳(私の手札に3は無い……もしペリーヌさんが革命狙いだったら、ジョーカーは切れないよね)

エイラ「私だナ……どうするべきカ……」

ペリーヌ「あくしてくださらない?」

エイラ「……ペリーヌに先手を渡したくは無イ、けド……ええイ、パス!」

ペリーヌ「あら、宜しいんですの? ではこの場は流して……ふふふ……」

サーニャ「始まるわ」

芳佳「え?」

サーニャ「様子見は終わった……ここからが本当の『大人民』なの」

芳佳「どういうこと――」

ペリーヌ「これがお待ちかねの『革命』ですわ!」

芳佳「っ!」

芳佳(やっぱり仕掛けてきた! どうしよう……一応ジョーカーを使えば5と9は革命出来るけど……って、あれ?)

サーニャ「それじゃあ私は??」

芳佳「ま、待って下さい! ペリーヌさん、この『6』、3枚しかないですよ」

ペリーヌ「? ええ、そうですわ」

芳佳「……3枚じゃ革命は出来ませんよね?」

ペリーヌ「何を言って……ああ、まだルールを聞いていなかったのかしら」

芳佳「え……」

サーニャ「『大人民』では、最低3枚あれば革命出来るの。階段革命も3枚からよ」

芳佳「ええっ!?」

エイラ「ダメじゃないカ、サーニャ。そこがこのゲームのキモなんだからナ」

サーニャ「ごめんね、芳佳ちゃん」

芳佳「あ、う、うん」

ペリーヌ「さあ。気を取り直して、サーニャさんの番ですわ」

サーニャ「はい。J3枚で革命返しします」

ペリーヌ「むぅ……」

エイラ「ナイスサーニャ! 宮藤はどうするんダ?」

芳佳「え、っと……ぱ、パス……」

エイラ「何ィー? 全然手札が減ってないじゃないカー。そんなんじゃ甘いゾ」

芳佳「あはは……」

エイラ「私はパスするゾ。ペリーヌは勿論??」

ペリーヌ「勿論、革命返し返しですわ!!」

エイラ「ファッ!?」

サーニャ「ペリーヌさん……やっぱり『大人民』で私と渡り合えるのはあなただけです」

ペリーヌ「当然ですわ。私の身分が貴族といえど、ガリアの民に流れるプロレタリアートの熱き血潮を無視することは出来ませんから!」

芳佳「……」

エイラ「気持ちはわかるゾ、宮藤」

芳佳「エイラさん……このゲームは一体……」

エイラ「私も初めてサーニャに大人民を教わったときには面食らったもんダ。サーニャとペリーヌがグルになって叩きのめされたナ」

芳佳「そんなことが……」

エイラ「でモ」

芳佳「?」

エイラ「私はこのゲームの真髄に気付いタ。そしたら不思議なことニ、勝っても負けても楽しく遊べるようになったんダ」

芳佳「その真髄って言うのは」

ペリーヌ「さあ、ゲーム再開ですわ! サーニャさんが革命返し返し返しをしなければ、また私が親ですわよ」

サーニャ「……パス」

エイラ「ぐぬぬ」

ペリーヌ「どうやら今回も私の勝利は当確のようですわね!」パシッ

『ハートのQ』

サーニャ「それはどうかしら」

『ダイヤの10』

芳佳「じゃあこれを……」

エイラ「宮藤っ……!」

芳佳「な、なんですか?」

エイラ「宮藤……お前……」

エイラ「パスしロっ……!」

芳佳「な……」

ざわ・・・
   ざわ・・・

エイラ「お前が何を切ろうとしていたのか知らないガ……パスだっ……ここハ……!」

芳佳「何言ってるんですか……!」

芳佳「こっちはゲームが始まってから一枚もカードを切ってない……二連続パス……!」

芳佳「その上パスを重ねるとなれば……これはもう……敗北不可避……!」

芳佳「止めないで下さいっ……!」

エイラ「待テっ……!」

エイラ「宮藤……お前がパスさえすれバ……」

エイラ「勝たせてやル……! この勝負……」

芳佳「ああ……?」

とりあえずこれだけ

ペリーヌ「あくしてくださらない?」

ペリーヌはホモ(確信)

魔女はホモ

ホモかと思ったら唐突なザワザワで草不可避

はよ

>芳佳「ああ……?」

尖ってますね…間違いない(鼻が)

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