男「星」 (17)
人には、何かしら自分の“星”がある。
野球少年だったら、プロ野球選手、サッカー選手だったら、同じようにプロサッカー選手だろう
僕の場合は、“君”だった
星に手が届くのは、ごくごく一部の人間だ
ある人は必死に“星”をつかもうとし、ある人は、星は眺めるものだと、早々にあきらめた
これは、“僕”と“星”の話
いや、僕だけの話かもね、、、
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僕が中学生になって、違う小学校からも色々な人がやってきた
僕は、新しい友達を作ろうと、色々な人に話かけた
男「なぁ、俺 男って言うんだ、お前の名前は?」
ほとんどの人が、新しい環境で心細かったんだろう、僕が話かけると嬉しそうに、会話をした
僕は、後ろの席の“君”にも、もちろん話かけた
男「なぁ、どっから来たの?」
君は、イヤホンを外しながらこう言った
女「あっち」
君はそうやって、大きな町の方を指さした
男「ぷっ、ははははは」
僕は、笑ったよ 普通は××から来たとか言うのに、君はとても面白い返しをしたからね
女「、、、」スッ
君は、何事もなかったかのようにイヤホンをつけ、また、音楽を聴き始めた
僕はびっくりしたよ、だって今まで会話をなかったかのようにされたのは、初めてだったから
男「ね、ねえ」
女「、、、なに?今音楽聴いてるんだけど」
心底ムスッとした様子でふりかえった君に、言葉を失ったよ
男「(なんだよ、あいつ せっかく俺が話かけてやったのに)」
今考えたら、ものすごく上から目線だったかもしれない
それから、僕は君が気になって、休憩時間とかは、いつも君を見てたよ、、、
女「、、、」
君は、頬杖をつきながら、いつもだるそうに音楽を聴いていた
周りの女子は、グループを作ってワイワイしていたのに、君だけはいつも一人だった
そんな君に当時の僕は興味を覚え、鼻であしらわれたのに、ことあるごとに話かけたっけ?
男「なあ、いっしょに帰らないか?」
女「、、、いいよ」
君といっしょに帰るために、バレー部もやめ、帰宅部になった
なぜ、そこまでやったのか、だって?
なんでだろうな、、、とにかく君には他の人にはない魅力があった
他人に媚びることもせず、自分の芯をまっすぐにしていた
そんな、クールで飄々としている君に多分僕は、その時には惚れていたのかも、、、
僕は気づいてはなかったけどね
男「なあ、数学何点だった?」
女「、、、100」
男「俺、95点だ、、、また負けたぜ」
君は美人で、頭もよく、スポーツ万能だった
僕は、自分が1番頭がいいと思ってたから、君にいつも負けるのはショックだったよ
自惚れだって?
そんな事ない、君を除いたら、僕はいつも、1番だったから
男「よう、女、今日一緒に飯食べないか?」
女「、、ああ いいよ」
毎日毎日話かける僕に少しずつ君は心を開いていった
そんなある日、お前ら付き合ってんのか?と友人に言われた
男「つきあっては、、、ないよ」
その時からかな?
君を意識し始めて
君の目をまっすぐ見れない、純情な奴になったのは
友人は、だったら、告ろうかなと言った
今まで知らなかったけど、君は男子から人気があって、ファンクラブもあったらしい
友人は、明日の放課後告るよ、と言い部活に行った
僕は、その日眠れなかったよ
だって、君が奪われるかもと思ったからね。
次の日の放課後まで、学校にいる間、多分僕は死にそうだったのかもしれない
だって、いつも誰に対しても厳しい担任の先生が大丈夫か?と心配してくれたんだから
君が友人に呼ばれ、屋上に行った
普通は誰でも気づくのに、君は告白されるってわかってなくて、屋上に来てって言われた時、不思議そうな顔をしていた
ハラハラしながら、教室をウロウロしてると、君が帰ってきた
女「告白されたよ、、、」
ちょっと誇らしげに、ちょっと面倒くさそうに僕に報告した
男「ど、どう返したの?」
女「いや、、、話した事もない人に、告白されてもねぇ、、、断ったよ」
男「そ、そうか」
心底ホッとした顔をしていたんだろう、“君”はどうして喜んでるの?と、聞いてきた
男「そ、それは、、、」
そこで、告白しとけば良かったのかもしれない、でも僕にはそんな勇気はなく、適当にごまかした
結構君といる時間が増え、よく遊ぶようになったときに、“君”が家に来ない?と言ってきた
男「い、行く! いや、行かせて下さい?」
女「なんで敬語なの?」
君は面白そうに聞いてきたっけ
でも、中学男子の僕にとって女子の家に行くっていうのはすごいイベントだったから、敬語になるのは必然的な事だった
そうして、君の家に行った
男「スー」
女「なんで、空気吸ってんの?」
男「いや、女子の家なんて、初めてだったからさ」キリッ
女「あぁ、そう、、、」
君はガチで引いていたね、でも女子の家ってのは何故かいい匂いがしたような
男「おや?これは?」ゴソゴソ
君の部屋に入って、何も触るなよと言い、トイレに行った君の注意も聞かず、部屋を探っていたら、クマのぬいぐるみがでてきた
男「あいつ、こんな可愛いもの持ってたのかwww」
笑っている僕の後ろのドアが開き、顔を真っ赤にした君が立っていた
女「そ、それは、、、妹のだから」
一人っ子だと知っていたので嘘だとすぐにわかったけど、目を潤ませながら、そう言う君の言葉を頭から否定する事はできなかった
男「そうか、、、なんていう名前なんだ?」
女「マリア」
そこだけはっきりと答えて、君ははっとしたけど、僕はスルーしてあげた
男「そうか、よしマリカしようぜ!?」
女「うん、、、」
僕に嘘だとばれた事が分かったんだろう、君は恥ずかしそうに頷いた
そうして、どんどん時は過ぎ、卒業式になった
泣くのが恥ずかしいと思っていた俺は必死で涙を堪えた
そんな僕の顔をみた、三年連続奇跡みたいに同じクラスになった君は
女「泣いてもいいんだよ、恥ずかしくなんかない」
はっきりそう言った
けど、君は泣いてなかったね
狡いと思ったけど、涙が止まらなくなった
友達の皆と離ればなれになるっていうのもあったけど、それよりも
君が、僕と違う高校に行くってのが悲しかった
君が全く泣いてなかったのも悲しかったよ
でも結局、僕は思いを君に伝えられなかった、、、
君は胸をはって堂々と卒業したね
僕は、、、とても堂々とはしてなかった
君は、今までありがとうと言い、去って行った
あの時、引き止めていたらな、、、、
高校、大学、社会人になって、君の事もほとんど忘れかけていたときに、君からの葉書がきた
結婚します
そうとだけ書かれている葉書の裏面を見て、怪訝に思った僕だったが、表の差し出し人の名前をみた時に、膝から崩れるってのを初めて体験したよ
だって、そこに書いてあったのは、名字が変わった君の名前だったからね
ショックだったよ、裏に書いてある結婚式場に行きたくなかった、でも、まだ希望があるかもと思い、準備をしたよ、馬鹿だったな、、、もう君は結婚するっていうのに
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結婚式場に着いたら、知らない人ばかりだった、多分、新郎の友人ばかりだったんだろうね
新郎、、、そうだ、そいつが“君”を奪ったんだ、、ドス黒い感情が僕の中で渦巻いた
でも、そんなのは、すぐに消えたよ
だって、少したってから新郎と入って来た“君”は、今までに見たことがないぐらい、幸せそうな顔をしていたからね
そんな“君”の幸せを壊すことなんて、、、出来なかった
突然溢れ出す涙を、周りの人に見られたくなくて、会場を出たよ、、涙は垂れ流しながら
そういえば、“君”が笑ったのも、初めて見たかもしれない、、、
僕でも、“君”を笑わせられなかったのに、新郎は“君”を笑わせてくれた、、、
自分でもキザだなと思いながら、
受付の子に、
男「これ、祝い金です、彼女達にあげてください」
そう言って、急いでコンビニのATMで引き出してきた、20万円を渡した
受付嬢「えっ、こんなに?!いいんですか?」
男「いいんだよ、、じゃっ」
受付嬢「あの、お名前を、、」
男「あー、おt、、、‘マリア’で、お願いします」
受付嬢「えっ、、、はい、分かりました」
本名を聞きたかったのだろうが、“君”なら、誰が渡したのか分かるだろう、、、、喜ぶかな?いや、君だったら直接渡せと言うんだろうな
最初に話したときと同じようにムスッとした顔で、、、、
そして、僕は会場を後にした
“星”には手が届かなかった
“君”はあの新郎を選んだんだ
いや、僕は選択肢にも入ってなかったのかな?
急に僕はおかしくなって笑った、周りの歩いていた人達が怪訝そうな顔をしたけど、構わなかった
“君”に会わなかったらこんな苦しい思いはしなかったのかもしれない、、、でも、“君”に出会わなかった中学校生活なんて考えられなかった
キラキラ光る“君”という“星”の光に当たった瞬間に、僕は君に惹かれたんだから
おわり
いやー、疲れたorz
これで、おわりです^_^
儚いのぅ…
巨人の星…
いい話なのにまさかの終わり
いや続けろって言ったら寝取り系になるからアカンけど
(´;ω;`)
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