京太郎「俺のサクセスストーリー」(651)


以下に該当する方は、即座にブラウザバックしこのスレの存在を忘れることをお勧めします。
・京太郎SS、特に京太郎×女キャラのカップリングSSが苦手な方
・魔王咲さん、チームiPSなどの要素を期待している方
・京太郎の潜在能力4はアレ正直嘘だろと思っている方

ちなみに非安価SSです。話の流れやカップリングは既にだいたい決まってるのでご了承を。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358161445

インターハイが終わった。
我らが清澄高校麻雀部は団体戦で優勝。個人戦でも咲と和が好成績を収めた。
それまで俺達に見せていた姿からは想像もつかないほど嬉し涙を流していた部長も引退し、
清澄高校麻雀部は新たに5人で活動を再開することとなる。

……ま、それで俺がどうこうなるわけじゃないだろうけどさ。

拗ねたようにそう呟いてみた。
その考えが大間違いであることを俺こと須賀京太郎が知るのは、わりとすぐ先のことである。


そんなある日の昼休み。
俺は携帯電話のアプリでコンピュータ相手に麻雀を打っている。
咲たちにはなんだか気恥ずかしくて言っていないが、それが麻雀部に入部して以来の俺の日課だ。
コンピュータ相手にメンタンピンを上がって小さくガッツポーズを取ったのを見計らったように、友人が話しかけてきた。

「よう、須賀」

おう。どうした?

「いやな、ここんとこよく、麻雀部について嫌な噂ばっか聞くもんでさ」

……は? ウチに?

「ああ。『男子部員は麻雀をする気なんてなくて、女子にセクハラしてる』とか」

んなっ!? 有り得ねえよ!

「わかってら。あと、逆に『女子部員が唯一の男子部員を奴隷扱いしてこき使ってる』とかな」

奴隷扱いって……ものは言いようってやつか?

「お前に限ってそんなことないとは思うけど、全国レベルの部活で女子5人に男子1人となればそういう噂とかも出てきて当然だろ」

そっか。そうだよな。気を付けないとな。
咲たちが変わらないもんだから深く考えたことはなかったけど、全国優勝した部に男子が1人だけ混じってるって結構スキャンダラスだよな。
……俺、今のまま麻雀部にいていいのかな?
芽生えた疑問に答えを出してくれる人などいるわけもなく、午後の授業の予鈴が鳴った。

放課後。
大会が終わったばかりということでしばらくは部活も自由参加ということになるらしい。
だからといって今も部内最弱の名を欲しいままにしている俺が部活に参加しなくていい道理はないんだけど、
部長が引退してなお女子部員は4名、つまり麻雀を打つのに十分な人数が揃っている。
俺が行ってもあぶれるだけだし、欠員が出てたとしても俺じゃ弱すぎて練習相手にもならないだろう。

そんなわけでここのところ、部活には顔を出していない。
今日も一人寂しく帰ろうかと思ったが、咲につかまった。

「ねえ、京ちゃん」

どうした、咲……俺もう帰ろうと思ってたんだけど。

「京ちゃん、最近部活に来ないじゃない。一緒に行こうよ」

あー……分かったよ、うん。
咲も和も優希もあんまり噂の類に明るいとは思えないし、そういう噂が流れてるってことは伝えとくべきだよな。


「はあ? なんですかその根も葉もない噂は……馬鹿馬鹿しい」

そりゃ、俺だってそう思うけどな。有名税みたいなもんだろ。

「言いたい奴には言わせとけばいいんだじぇ」

そうもいかないだろ……俺だけならともかく、お前らまで悪者扱いされてるんだぞ。

「うむ。そういう噂が流れておるのは知っとったが、そこまで尾ひれがついとったとはな」

流石に、何かしらの対策を取らなきゃいけないと思うんですよ。新部長。

「新部長はやめいと言っておるじゃろう」

すいません、染谷先輩。
ともあれ、このまま放置してはおけないのも事実でしょう。
かといって下手に弁明しても却って逆効果な気もするし……どうすればいいんだろうな。

「……言いにくいのですが、一番手っ取り早いのは須賀君が麻雀部をやめることでしょうね」

「の、和ちゃん!」

「流石にそれは酷いじぇ!」

「分かってます。須賀君だって麻雀部の大切な一員なんです……最悪の場合、と考えてください」

大切……か。和にそう言ってもらえると嬉しいぜ。でも実際、どうするんだよ。

「シカトしておけばええんじゃ。根も葉もない噂なんかすぐに飽きられるじゃろ」

そういうもんなんですかねえ。

しかし、染谷先輩の考えは甘すぎたと言わざるを得ないようだ。
全国大会が終わってから一ヶ月、俺たち麻雀部に対する風当たりは最悪と言っていいレベルに達していた。
どう考えてもそれは有り得ないだろうというような噂が飛び交っていて、俺や染谷先輩は時折嫌がらせを受ける羽目になっている。
こないだ下駄箱を開けたら、まあ、およそ「咲に近づくな」というような内容の手紙がごっそりと入っていた。
染谷先輩にも、だいたい同じようなことが起きているらしい。

咲たち1年生組はそういった悪意ある噂に対して無視を貫き通しているが、みんな最近元気がなくなってきたように感じる。
嫌がらせを受けている染谷先輩もなんだか疲れが溜まっているみたいだし、本当にどうにかしないと……。
そう思っていた矢先の、出来事だった。
俺が友人とともに学食へ向かおうとしていたときのこと。

「――そういえば、ウチの麻雀部さぁ」

「あー、聞いてる聞いてる。確か……」

……まただ。
はいはい、噂噂。気にしちゃいけない。

「片岡さんが……宮永さんとか……」

「染谷さんが……で、あー、あと部長の竹井さんは……」

「……あ、原村さんが実はレズで、邪魔な男子部員を虐めてるなんて話も――」

俺が我慢できたのはそこまでだった。
もはや何を考えることも出来ずにその女子生徒に殴りかかり、友人に制止され、騒ぎを聞きつけた先生が駆け寄ってきて――
その後のことは、よく覚えていない。

「てめぇら好き勝手言ってんじゃねぇぞ! 和が、咲が、皆がどれだけ真剣に麻雀に取り組んでるかもわかってねぇくせに!」

「放せ、放せよっ! くそっ、てめぇら……ふざけんなよっ! 俺は……俺はなぁ!!」

ただ、玩具を奪われた幼児のように、ずっと喚き散らしていたような気がする。



……結果として、俺は一週間の謹慎ということになった。
それなりに体格のいい俺が女子生徒を殴り倒したにしては処分が軽い気もするが、
麻雀部に関するよくない噂が流れている現状は先生側も憂いていたようで、情状酌量の余地あり、ということになったらしい。

そういえば県名表示もなくなったことだし酉は付けとくべきかねってことでとりあえず付けといた。

今日はここまでっす。
話の流れやカップリングは決まってるというだけで書き溜めは半端な量しか溜まってない模様。
中~終盤の展開が全く思いついてないという致命的見切り発車なので突然更新が滞ることがあるかもしれない
なので、感想とか雑談とか、なんなら展開予想も大歓迎です。それで何か新しい展開とか思いつくかもしれないし

魔王様出ないのはありがたいが死人なんかも出ないよね?

原作尊重した上で京太郎SSを書こうって感じかな
とりあえず期待

あと、もう少し空白行あったほうが読みやすいと思う(改行したらもう一つ改行する感じ)

京ちゃんが謹慎終えたらその女子生徒によってさらに悪評広まってる気ががががが

期待したいがスレタイに反して鬱要素がチラ見してるのが恐ろしい

>>サクセス
パ、パワポケみたいな展開にはなりませんよね?(震え声)

京ちゃんの状態はここが底です。あとは上がっていくのみです。
鬱とか死人とか期待されてるみたいだけど、俺ハッピーエンドしか書けないからね。仕方ないね

須賀君が謹慎処分を受けた、らしい。
なんでも麻雀部の噂をしていた女子に、逆上して殴りかかったとか。
私達のために怒ってくれたその気持ちは素直に嬉しいですけれど、それで謹慎になっていては世話がない、と思います。

……だいいち、須賀君は私達のことを気にする前に、もっと麻雀の勉強をするべきでしょう。
部活のときだって私の、その、胸にばかり視線が来ているような気がしますし……。

「あ、和ちゃん!」

あら、咲さん。どうかしましたか?

「えっと、京ちゃんしばらく学校来れないから……ノートとか届けてあげようと思ったんだけど、用が出来ちゃって」

それくらいなら私が届けておきますよ。

「ごめんね、和ちゃん。今度一緒に喫茶店にでも行こうね!」

楽しみにしておきますね。
……さて、それでは行きますか……って、私、須賀君の家知らないですね。
待ってください、咲さーん。


さて、咲さんに須賀君の家の住所は聞きましたし、気を取り直して出発です。
授業のノートや配布されたプリントを届けるとのことですが、そういえば須賀君って成績のほうはどうなんでしょう。

というか、よく考えてみると私、須賀君のこと全く知りませんね。
まあ、構いませんけれど。

よしなしごとに思いを馳せながら歩を進め、咲さんに聞いた通りの住所を目指す。
着いた先はごく普通の一軒家。呼び鈴を鳴らすと、目的の須賀君が姿を現した。

「あれっ、和? どうしたんだ?」

こんにちは、須賀君。咲さんが授業のノートを取ってくれていたそうですよ。
咲さんは都合が悪かったそうなので、私が届けに来ました。

「お、そうなのか。また咲には礼を言っとかないとな」

そうですね。それでは、失礼します。

「いやいや、女の子が物届けてくれたのをただで返したら母さんに怒鳴られちまう。茶菓子とかあったはずだから、寄ってってくれよ」

はあ。まあ、構いませんが……。

欝あるかないかで退避するかどうか様子見てただけやで~
これが底なら安心して見れるわ

そんなわけで、須賀君の家にお邪魔することになったわけですが。
正直、よく話をする関係だとかそういうわけでもないし、なんというか、気まずいですね。

手持無沙汰に須賀君の家のリビングのソファに腰かけていると、少し遠くからピロリンと電子音。
須賀君? 何か鳴ってますけど、大丈夫なんですか?

「ん? あ、ネト麻やってたんだ! しまった、放っといたから……」

ネト麻、ですか。丁度いいですし、よかったらアドバイスしましょうか?

「マジで? なんか悪いな……」

いえ。こちらこそ、春から夏にかけては麻雀初心者の部員に対して不親切だったかな、と思いまして。

「そうかな? そんなことないと思うけど……」

お気になさらず。
……そう、実際、不親切だったのでしょう。

高校生の部活なのだから、そこは初心者が麻雀を好きになれるような環境であるべきなのに、
須賀君はほとんど雑用としてしか麻雀部にいられなかった。そのことは素直に申し訳なく思っていますし、
真面目に麻雀を強くなりたいと思っている人には、私だって相応の態度で臨みたいですからね。


「っと、じゃあここは……これを捨てりゃいいわけか」

そうですね。そのほうが、有効牌が多くなりますから。

「お、そう言ってたら本当に来たぜ! リーチだ!」

……あれれ。
部では全く麻雀の練習をする暇もないようでしたからもっと基礎から教えることになるのかと思っていましたが、
案外、そこそこ出来ているじゃありませんか。今までずっと、我流で頑張ってきたんでしょうか?

よく見ると本棚に麻雀の教本がありますし……むう、なんだか本当に今までのことが申し訳なくなってきました。

「……ん? どこか間違っちまってたか?」

いえ、大丈夫ですよ。思ったよりもよく出来てると思います。
この調子なら、来年はいい所まで勝ち上がれるんじゃないですか?

「へへ、そうだったら嬉しいな。いやでも、和に教えてもらったらなんかすげー調子いいや。これなら毎日教えてもらいたいくらいだ」

ふむ……それなら、ネト麻で出来ますよ。牌譜の確認もネト麻のほうが楽ですし、今晩から始めましょうか?

「いいのか? なんかホント悪いなぁ」

構いませんよ。人に教えるには自分がそれ以上に理解している必要がありますから……復習は、大事ですからね。
どんな基本だって、学んで学びすぎるということはないんです。

「ほー。そんなもんなんだなー」

と、まあそんなわけでネト麻で須賀君への麻雀指導を始めたわけですが。
いやいや本当に、飲み込みが早くて驚きです。これなら、ちゃんと教えてあげていればインターハイでもいい成績を残せたでしょうに。

『そうかな? 褒めてもらえるのは嬉しいけど』

というより、こちらの想定ラインが低すぎたのかもしれません。
雑用ばかりさせられていたから、もっと出来ていないものだと思っていたのですが。

『龍門渕のとこの執事さんにちょこちょこ教えてもらってたからなー。あの人すげーよ』

はあ。まあ、謹慎明けを楽しみにしていますよ。

『おー、ありがとな!』


チャットが切れたのを確認し、パソコンの電源を落とす。
……和が、こんな親身になって麻雀を教えてくれるなんてな。

案外、謹慎も悪くないのかもしれないぜ。なんて言ったら和に怒られるかな?
ともあれやっぱり、麻雀は楽しい。上達の具合が自分で感じられれば、尚更だ。

……ほんと、来年は勝ちてえな。

そう、俺が強ければ。
俺が、周りに揶揄されるほど弱くなければ。
麻雀部の皆が疎まれることもなかったはずなんだ。

雑用をさせられていたことなんて言い訳になるはずがない。
ハギヨシさんに指導は受けていた。
ネト麻でも、携帯のアプリでも、自分なりに経験は積んでいた。

それで負けたんだから、それは俺の責任なんだ。
つまり、麻雀部の皆が受けている僻みや妬みは、俺のせいということだ。

……あー、もう、嫌になる。絶対見返してやるからな。

何を見返すんだという話だが、うん。
ぜってー強くなってやる! とりあえず、せめて、優希の奴から直撃取れるくらいにはな!

とりあえずここまで。
毎日投下はしたいけど書き溜めがそんなに溜まってないからガンガン出し惜しみしていくスタイル。

おつおつ


次も楽しみにしてる

乙ー
鬱がないって言ってくれると安心して読める

おつ

乙なのよー
もう鬱ないんですか!やったー!

乙だよー

えっこのスレでは鬱見なくていいのか!

遠慮するな今までのぶんこのスレでは普通のSSを見ろ…

そんなわけで、謹慎期間終了。
原因が原因ということで友人たちの反応が随分アレだったがめげない。
めげないもん。

「京ちゃん、久しぶりー」

おー、咲か。謹慎の間、ノートありがとな。

「届けてくれたのは和ちゃんだけどね。ちゃんと和ちゃんにもお礼言った?」

おうよ。しかもなんか麻雀まで教えてくれることになってな。
いやぁラッキーラッキー。せっかくだから久しぶりに部活にも顔出そうかな。

「む。まあ部活に出てくれるのは嬉しいけどさ」

ははは、まあとりあえず昼飯食いに行こうぜ。
学食に新メニュー入ったって聞いたんだけどマジ?

「あーうん、またレディースランチだね」

おー。咲さんまた今回もお願いします!

「分かってるよ、もう」

うおお、ほんと美味いじゃんこの新メニュー! いやあ、咲様々ですな。

「もう、調子いいんだから……」

ふー。食った食った、午後の授業も頑張りますかー。

「全く京ちゃんったら。ふふっ」


美味いものを食ったおかげで午後の授業もそこそこ快調。
人の噂もなんとやらということで友人との仲もそれなりに回復したところで部室へ。

「おう、久しぶりじゃのう京太郎」

ういっす、この度はご迷惑おかけしましたっす。

「全くじゃ。お前さんの謹慎が決まったときは、それはもう酷いものじゃったからなあ」

うっ……。

「ま、お前さんがあれだけ怒るからには、結局噂は噂でしかなかったんじゃろうということになったらしいが」

そ、そうですか……まあ、怪我の功名ってことで……。

「良くないじぇ! お前、まかり間違って退学にでもなってたらどうするつもりだったんだじぇ!」

それを聞かないでくれ優希。そもそもそんなこと考える余裕があったら女子に殴りかかったりしない。
もう俺のことはいいだろ、いいってことにしてください。お願いだから。そんなことより麻雀やろうぜ。

「……ま、いいじゃろ。和と特訓したそうじゃな、成果を見せてみろ」

うっす!

というわけで俺は席に着く。
……あれ、俺がこうして部室で対局に混じるのっていつぶりだっけ……?
ええい、気にするな気にするな。気にしたら負けだ。

相手は上家に和、対面に咲、下家に優希。成果を見るということで染谷先輩は俺の後ろに。
さあて、頑張るか!


「……ふむ。リーチ」

う、和に先行されたか……おっ、でも俺もこのツモで聴牌だな。
幸い、不要牌も現物で待ちもいい。となれば……とおらばリーチッ!


「カン、もいっこ――」

待ったっ、ロン! それ槍槓だ!


「むむ……東場が終わっちゃったから力が出ないじぇ……」

優希、それロンだっ!


……とまあ、格好良かったところだけ抜き出してみたけど。結果はいつも通り最下位でしたとさ。
だけど、三位の優希と1500点差と、今までにない程詰め寄れたのも確かだ。

「ふむ。なかなか頑張ったみたいじゃけど……まだまだじゃな、京太郎」

ぐぬぅ。分かってますよ、染谷先輩……。

「でも、確かに進歩はしちょる。こりゃ来年が楽しみじゃのう?」

お、マジっすか。和も褒めてくれましたし、こりゃやる気が出るってもんだなあ。
よーしもう半荘打つぞー! 相手頼むぜ!

「かかってくるじぇ!」

「頑張りましょう」

「今度も負けないよ!」

とまあ、相手を変えつつ時には見る側に回りつつ、何度か打ってはみたものの。
結局、めぼしい結果といえばたまたま裏が乗った跳満を優希にぶち当てて三位になったのが一回だけだった。
まだまだ、全国で活躍する皆には程遠いということだろうな。悔しい。

「よし、今日はそろそろ終わりにするけえ、帰る準備始めんさい」

だーっ、悔しいなあ。いっぺんくらい一位になってみたいもんだぜ。

「十分進歩はしてますよ。次の大会は頑張ってくださいね」

お、和。ほんとありがとな、色々教えてくれてさ。
そーだ、謹慎で迷惑もかけたことだし、お礼も兼ねてなんか食いにいかないか?

「タコスがいいじぇ!」

お前には言ってない。いや、別に咲たちもってんなら構わないけど、タコスは却下。

「いいの?」

迷惑かけたのは事実だからなー。
日頃のお礼も兼ねてってことで。

「礼を言うべきは、雑用を押しつけとったこっちなんじゃがのう」

気にしない気にしない。
ラーメンでいいっすよね?
んじゃ、行きますかー。


「んー、たまにはタコス以外もいいじぇ~」

そーだろそーだろ。今度俺が麻雀で勝ったら奢れ。

「ふん、一回順位で上に立ったからって調子に乗るんじゃないじぇ!」

手厳しいこった。
咲はどうだ、美味いか?

「うん。こうして皆で食べるもの楽しいね」

そだなー。今度は部長、じゃなかった竹井先輩も都合のいい日に皆で出かけるか。
にしてもどうよ、俺ちょっとはマシになってたろ、麻雀。

「うん、びっくりしたよ。でもなんだか違和感があった、かな?」

違和感? なんか間違ってたか?

「うむ、それはわしも感じたな。なんちゅうか、既に持っとる力を使い切れちょらんような……」

なんだそりゃ。俺にもオカルト的なアレがあるとでも言うのかよ。
だとしたらまあラッキーってなもんだけどさ。

「オカルトなんて有り得ません。せっかく順調に伸びてるんですから、須賀君はそんなこと気にせず勉強してればいいんです」

はい、和先生。

今日はここまで。
感想とかあると>>1は泣いて喜ぶ模様

最近唐突に欝要素入るスレ多いから安心して見れるスレはありがたい
連日投下はいいがただこの量なら貯めてから放出のが手間少ないんじゃないか?

乙なのよー
数あるSSの中で、イッチの文章は個性的で好きよ
鬱なしも非常にありがたいな

個人的にはちょくちょく少なめに投下ある方が嬉しいな
気軽に読めるし

乙ー
京太郎がここからどういう開花をするのかな

こないだ古本屋でラブじゃん見つけたから買ったった、確かに京太郎の潜在力は☆4つあるね
内容自体も初心者には有り難いから買って良かった
でも多面待ちはさっぱりだー

似たスレあるけど、どっちも個性的でいいねー

毎日投下を目標にスレたてした矢先に落ちるとか考慮しとらんよ。

SSとは関係あるような無いような話だけど、実のところ原作→アニメで一番変わったのって京ちゃんじゃね?
見た目とか

そんなこんなで色々問題を起こした俺もどうにかこうにか麻雀部に復帰し、
ようやくのこと心機一転、清澄高校麻雀部は再始動した。

幸いと言うかなんと言うか近いうちに大きな大会はないため(というよりそもそも、ウチは部員不足だ)、
部活動では俺の指導にそれなりの時間が割かれることになる。

とは言っても咲や優希が人に麻雀を教えられるわけもなく、染谷先輩は現部長かつ雀荘バイトということで色々忙しいらしく、
結局俺に麻雀を教えてくれるのは和であることが多い。

「須賀君、そこはこちらを選んだほうが……」

「須賀君、この場合は対面から仕掛けが入っているので……」

「須賀君……」

まあそりゃ超高校生級のデジタル雀士である和の指導は厳しくて軽くめげそうになるわけだが、
デジタルであるがゆえに指導の根拠は理解しやすく、自分でも成長を感じやすいのは嬉しい。
ハギヨシさんに教えてもらった時よりも伸びはよく、ネト麻での成績も目に見えて上がっている。

そして――だからこそ、咲たちを今までより遠くに感じてしまう。
麻雀を知ったからこそ。それなりに見れる実力を身につけたからこそ。

……咲たちには到底追いつけないと、思っちまうんだよなー。

「ふむ。でも須賀君、弱かったころは追いつけると思っていたんですか?」

うん? いや……全然。和にこうして教えてもらい始めるまでは追いつける追いつけないの話じゃなくて、
俺と皆の間にどんだけ差があるかも分からなずにただ憧れてたような気がするよ。

「だったらそれも成長なんです。彼我の実力差を知ることは、大事ですから」

んー……理屈としては、分かるけどさ。

「追いつけないわけがないんです。卓上に存在する情報を見切れば、最善手は確実に存在するんですから」

「それに……こうして真剣に努力を積んでいる須賀君が今後もずっと弱いままだなんて、そんなの絶対有り得ません」

そう言って和が優しく微笑んでくれたから、なんだか俺は救われたような気がして。
ガラにもなく心臓がバクバク鳴り止まず、顔は真っ赤になってしまった。

「……須賀君?」

……なんでもないっ。頑張って頑張って頑張りまくって、いつか和にだって追いついてやるって決心してただけだよっ。

「ふふ、頑張ってくださいね」

ああ、もう……どうしてそんなに、俺に期待してくれるかなあ。
泣きそうになる。叫びそうになる。体が震える。――和とこうして一緒に麻雀を出来るというだけで、俺はいくらでも喜べてしまう。

「さて、今日はこれで切り上げましょうか」

うぃっす。
あ、そうだ和。帰り、ちょっと付き合ってくんね?

心臓をバクバク言わせながらやっとの思いで和を誘って街に繰り出す。
こうして二人で並んで歩いてるだけでえも言われぬ幸せを感じてしまうあたり、俺ももう駄目かも分からんね。

「須賀君、どこに向かってるんですか?」

ん? いやぁ、ここんとこ和には世話になりっぱなしだからな。
俺なりの日頃のお礼ってヤツ、かな?

「わぁ、エトペン……!」

和に何か少しでもお返しがしたくて、暇なときに街を練り歩いていて見つけた街の片隅のファンシーショップ。
そこには和が大好きなエトペンのキーホルダーやストラップが所狭しと並べられていた。

プレゼントとして和にこの中から一つ買ってあげて、んで自分も同じのを買ってプチお揃いにしよう、
なんて思春期のオトコノコらしい痩せた考えをしてる次第です、はい。

財布事情があるから何個もとは言えねーけど、好きなの一個選んでくれよ。
さっきも言ったけど、日頃のお礼ってことでさ。

「わあ、わあ……! あ、ありがとうございます須賀君……!」

……なんだよもう! この和、超可愛いんですけど!
よ、よーしじゃあ俺も同じの買うぞー。

「同じのですか?」

お、おー。和のエトペンパワーにあやかりたいってなもんさ。
ほら、和って試合にエトペン持ってくだろ?

「ふふっ、試合にキーホルダー持っていくんですか?」

ポケットの中にでも忍ばせておくさ。
……よし! 怪しまれずに買えたぞ、お揃いのエトペン!
我ながら女々しいことをやってる気がするけど……思春期のオトコノコは難しいんだよ。

そんなこんなで、和に麻雀を教わっては時たま勇気を振り絞って色々遊びに誘ってみる日々が続く。

こないだは一緒にファーストフードを食べたな。ハンバーガーの剥き方が分からない和が可愛かった。
その前はゲーセンに連れてってみた。エトペンのぬいぐるみをクレーンゲームで取ってあげたときの喜びっぷりが可愛かった。

そんなことを繰り返してるうちに――気付けば、俺は。
俺は――

「もうすぐ私達も進級ですねえ」

……はっ。そ、そうだな。
遂に俺にも後輩が出来るのかー。どうせなら、男子も団体戦に出られる人数を揃えたいな。

「そうですね。そうなったら、須賀君が大将になるんでしょうか」

どうだろうな。俺が大将なんてお飾りもいいところになりそうだけど。
それでも大将・須賀京太郎って響きには憧れるなー。

「お飾りなんて、そんなことありませんよ。ちゃんと須賀君は成長してます」

成長はしてるんだろうけどなー。
練習の相手が全国区のエースどもだからいまいち成果も出ないし、実感が湧かないなぁ。
でも、だからこそ、次のインターハイ予選は楽しみだよ。

「そうですね。私達も、頑張らないと」

ああ、頑張ろうぜ。

「あ、そういえば、須賀君」

ん、どーかしたか?

「はいこれ、誕生日プレゼントです」

お……おう。ありがとう。

「須賀君ったら、いつもシャツで汗や手を拭いたりしてるから……ちゃんとハンカチ使ってください、ね?」

うん、絶対大切に使う……。
……うわぁ、やばい、幸せ。和が俺にプレゼントとか……何これこんな幸せあっていいのか?
夢だったりしないよな? 現実なんだよな?

「ふふっ。それでは、二年生になってもよろしくお願いします」

おう、こちらこそな。
そんな喜びと共に決意を新たに、俺が麻雀を知って遂に一年。
俺達は、二年生になった。

ここまでー。
国麻とか考慮しとらんよ。

おう 読んどるで。お疲れさん
続き楽しみにしとるわ

乙ー

いつもの事だけど落ちるのはどうしようもないし気にするな

乙なのよー
孕村さんばっか見とったから癒されるな

天鳳やると大体理不尽に襲われるよね
投下ー

――お。咲も和も優希も同じクラスじゃねえか。
こんな偶然あるものなんだな。これから一年よろしくな、三人とも。

「ええ、よろしくお願いします」

「今日はどうせ午前あがりだから、早く部室に行くじぇ!」

「一年生、何人入ってくれるかなぁ?」

どうだろうなあ。俺が久しぶりに雑用根性発揮して学校中に宣伝チラシ貼り付けてきたから、
それなりの人数は来てくれると思うんだけど……あ、染谷先輩。新入部員、来てましたか?

「おう、丁度ええところにおったわ……すまん、今から外せん用が出来てな。一年生の相手を頼めるか?」

「女子は六人、男子は四人。期待以上の人数が来たからの。逃がすなよ?」


まあ、そんなわけで期待に胸を膨らませつつ俺達は部室に向かった――のだが。

「新入部員の皆、おはようさん。部長は用があって学生議会のほうに顔を出してるそうなので、俺が仕切らせてもらうよ」

……なんで俺が仕切ることになってるんだよ。
いや、分かるけど。咲と優希に仕切りなんて出来るわけないし、和がやるとちょっと堅過ぎて新入りはビビるだろうけどさ。
でも緊張するだろ、そりゃ。

「知ってのとおりウチの女子は去年、団体戦で日本一になりました。しかし男子は俺だけ、女子部員も数が少ない」

「勿論女子部員は連覇を目指していますが、決して君達に厳しい居残り練習や朝練なんかを強要するつもりはありません」

「あくまで麻雀を楽しみ、そのうえで勝利を目指す。それがウチの目標です。あと個人的に男子が四人入ってくれて嬉しいです」

「それでは長話もアレなので、実際に打ってみましょう」

……はー。緊張した。
よし、男子部員集まってくれ。悪いけど自動卓は一つしかないんで、男子はとりあえず手積みな。

「なんか須賀先輩って威厳ないっつーか、アレっすね」

「現時点で既に尻に敷かれてそうな感じしますね」

「こら、先輩に失礼だろっ。すみません先輩」

あー。いいよいいよ、俺が麻雀部の中で一番弱いのは事実だしね。
まあ入部祝いってことで、俺に勝てたら学食の新メニュー奢ってやるよ。

「うっひょー、先輩太っ腹!」

おうおう敬え敬え。
意地でも負けてやんねーけどな。

それポン。――お、ツモだな。ラッキー。
「ぐぬっ・・・…」

「須賀先輩、これで先輩方の中では一番弱いんすか……? リーチ」

まあな。他が化け物すぎるだけとも言えるが。
通らばリーチ。……あ、それロンだ。一発ついたな。

「うえっ! 先輩マジで普通に強いじゃないすか……話が違いますよ」

まあそりゃ、しっかり基礎を覚えてそれに徹すればこれくらいは出来るもんだろ。お前らも和に教えてもらえばいいさ。
……なんて、軽く言っちまったけどそれはそれでなんか妬けるから嫌だな、なんて考える俺がいて。

「あー、そういえば先輩、俺らが入るまで男子一人だったんすよね? 羨ましいなー」

もうそーゆーからかいには慣れたぜ。
んでもってお前らも薄々感づいてるだろーけど、そーゆー羨ましいイベントは一切なかったよ。
あ、それロンな。

「ぐぬぬ……いやでも、あの四人の中で誰が好きとかはあるんじゃないっすか?」

あるよ。あるけどぜってー言わん。
つか言うわけないだろ。

「おもんねー」

「だから先輩に失礼だろがっ。すみませんほんと……」

いやいや、気にすんなって。
あ、それロンな。

「ぐぬぬ」

……と、まあこんな調子でつい新入部員をいびり倒す嫌な先輩になってしまった(学食の新メニューは奢ってやったけど)。
ちょっとは反省するとして、とりあえず一年生は早めに帰宅させて二・三年生だけで再び練習を再開する。

というのも、今日は部長……じゃなくて、竹井先輩が久々に練習に顔を出してくれるというからだ。
流石に今日来たばかりの一年生をOGと会わせて練習もさせてでは可哀相だしね。

「ひっさしぶり~。聞いてるわよ須賀君、最近和とラブラブなんですって?」

ぶはっ!? どうしてそうなった!? 和も固まってるし、あぁもう何言ってるんですか部長!
……じゃなくて、竹井先輩。お久しぶりです。
俺も少しは麻雀部員らしくなれたかなって思ってるんで、せっかくですし対局しません?

「それもいいけど、まずは新入部員ねー。どうだったの? 期待できそうな子はいる?」

「うむ。流石に名の知れとるのは風越やらに流れたようじゃが……ま、今後に期待ってとこかの」

しばらく女子の談義が続く。
その最中、采配の話には入れない咲が話しかけてきた。

「京ちゃん、男子のほうの一年生はどうだった?」

ん? あーまぁ、中学では無名公立校(大会では一回戦負け)のレギュラーでした程度の奴らばっかりかな。
やる気は十分あるみたいだし、初期値でも成長率でも、俺よりもよっぽど上だと思う。

流石に俺じゃ荷が重いから、和と染谷先輩に指導を頼むつもりだよ。
ま、それはそうとして、今年も女子の活躍には期待してるぞ。

そこまで言ったところで、話を終えた竹井先輩と染谷先輩が顔を出してきた。

「今年こそはお前さんにも頑張ってほしいんじゃがのう? 京太郎よ」

「まあまあ、小難しい話はもういいでしょ。須賀君、対局よ!」

うわっ、この先輩いきなり髪結んでおさげにしてやがる。大人げないですよ……。
でもまあ、勿論。和にあれだけ鍛えてもらって一回戦負けじゃ、申し訳なくて部室に入れませんよ。
今年こそは勝ち抜いてみせます!

「ふふ、期待してますからね、須賀君」

おうよ。そいじゃ今日もよろしくお願いします!
今日こそ一位取ってやるから覚悟しとけよっ。

ここまでー。
最近の京ちゃんはあれもう女子個人戦に出場しても通じると思う

乙ー
最近の京ちゃんはシロと姉弟って言われても違和感ない感じだよね

乙ー

乙なのよー
女装京太郎いいよね!

おつー
これはいい麻雀部ですなぁ

今の京太郎可愛くなりすぎててもう性別が分からん

乙ー
某アナスイみたく一切の説明なしに女体化してたりして京ちゃん
いやむしろ女体化こそが能力

せっかくの休日だしちと早いけど投下しますかねー。

そういえばふたばの京太郎スレでこのスレの話題が出て('-^)bクソワロタです。
ぬぼーっとしながらログ追ってたら唐突に

「京太郎が女子殴って停学になった間のどっちに麻雀教えてもらうSS」

とか言われてファッ!? ってなったよ。
全くその通りなんだけど、こう書くと京ちゃんとんでもねえな。

今日こそ一位取ってやる! からの数十分後。
……やっぱり皆には勝てなかったよ……。

いやぁ、惜しいところまで行ったと思うんだけどなー。
流石に和と先輩二人相手じゃどうにもならねーな。

「むしろよく飛ばなかったもんだじぇ」

「うん。よく粘ってたと思うよ?」

慰めてくれてありがとな、二人とも。うん。
だーっ、でも悔しいなぁ。結局未だに一回も一位になったことねーもんなぁ。

「うーん。須賀君、南場まで集中力が続いてないみたいね」

うん? そんな優希みたいなことがあるわけ……いや、あるのかも。
集中っていうか、対局終わったとき異様に疲れてる気がするし。

「普通に考えて、ド初心者だった須賀君が和の麻雀を半荘ずっと実行し続けられるわけがないわよね」

ぬう。場全体を確認し続けるのは確かにしんどいとは思ってましたけど。
でも、せっかく教えてもらったのにそれを実行できないってのは悔しいっす。

「んー。そうね、須賀君。何かスイッチになるものはない?」

スイッチィ? どーゆー意味っすか?

「要するに気分を切り替えるための何かしら、ね。私が髪を結ぶこととか」

あー、和のエトペンやら染谷先輩の眼鏡やらみたいなもんですか。
咲の靴下とか優希のタコスもそうなのかな?

「そうそう、そんな感じ。ここぞって時に集中力を一段引き上げるための何かがあることは、決してマイナスにはならないわ」

ふむ……。
あ、和とお揃いのエトペンとかいいな。恥ずかしくてとても口には出せねーけど。
よし、もう半荘お願いします。今度こそ勝ってみせます!


――南二局、親は竹井先輩。
今のところ京ちゃんは染谷先輩とほぼ並んで三位。
ここまではさっきとそんなに変わらないけど……。

「……これ、かな?」

「ロン。裏は……乗らず、3900ですね」

ああ、やっぱり。
言われるまで気付かなかったけど、注意深く見ると東場と比べて集中力が落ちてるのが分かる。
打牌にかける時間が全体的に短くなってるし、今の放銃だって、壁が効いてるから準安牌と言える牌が別にあったもん。

「……ふーっ」

点棒を払った後、京ちゃんは一度伸びをして、その後制服の胸のあたりに触れた。
……あれが京ちゃんのスイッチ、なんだろうか。

 
 
 
――制服の内ポケットに、あの時買った和とお揃いのエトペンキーホルダーが入れてある。

――和。和。和。
――ありがとう。
――俺に麻雀を教えてくれて、本当にありがとう。

――俺は馬鹿だから、それしか言う言葉が見つからないけど。
――俺も、皆と肩を並べて堂々と麻雀部員を名乗れるようになりたいから。
――ここで、勝ってみせる……!

――きゅ、と軽く制服の上からキーホルダーを握り締める。

――集中力がなにかの一線を越えたのが、自分で理解できた。

 
 
 

『……っ』

見て分かるほどに京ちゃんの雰囲気が変わった。
それによってどんな変化が起こるのかは分からないけど……。
とにかく、凄まじく集中していることは伝わってくる。

「すーっ……ふーっ……」

皆の息遣いが聞こえる程静かに、対局は進んでいく。
今のところ京ちゃんに動きはないけど、集中力は東場の時よりも増しているように見える。

「……リーチ」

早い。上達してからも手作りが早いほうではなかった京ちゃんにしては、凄く。
しかもなんだか既視感があるような……。

「……竹井先輩。それロンです」


瞬間。
私は、悪魔のような装束を着て巨大な突撃槍を構えた京ちゃんの姿を見た。
文学少女らしく、それっぽい言葉にするなら……まさに、地獄の番犬。
彼が投げ放った突撃槍は部長の頬を掠め――大地へと突き刺さる。


「リーピン一発三色……裏は乗らず。満貫です」

「……ひゅぅ」

竹井先輩が口笛を吹く。
部室に来たのも久しぶりだから、京ちゃんの上達ぶりに驚いているんだろう。
そしてたぶん、それ以上に、嬉しいんだ。京ちゃんが自分を唸らせるほどの雀士になったことが。

「……続けましょう」

「もっちろん。もう直撃なんて取らせないわよ」


「……流局か。聴牌です」

「同じく、聴牌よ……あーもう、まさか須賀君に完敗しちゃうとはねー」

むしろ久よ、お前さんがやたらと調子を崩しとったように感じたがのう。
京太郎がスイッチ入れてからだいぶ連荘されちょったし、久が一番直撃食らっとったぞ。

「んー、あそこからいつもの悪待ちが全く当たらなくなってねー」

ま、そういうこともあるじゃろ。いつもいつも悪待ちで和了られちゃあたまらんわい。
……で、京太郎? 大丈夫か、死にかけとるが。

「だっはぁああ――……疲れた……」

一気に強うなったのは事実じゃが、そのザマじゃあ試合では使えそうにないのう。
ま、こっちは要練習と。インターハイまでひたすら場数を踏んでもらうからそのつもりで居れよ。

「……うぃす……」

……まあ流石に今日のところは休んでいいぞ。ネト麻するなりわしらの対局を見学するなりしときんさい。
和もとりあえず抜けて、咲と優希が入れ。お前さんらは未だに基礎が出来とらんからのう。

「ええっ!? のどちゃんはともかく今明らかに犬と比べても出来てないって意味を感じたじぇ!?」

「どういうことですかっ!?」

……流石に京太郎が可哀相だとは思わんのか、お前さんらは。
簡単な話じゃ、優希は南場入った途端振り込み過ぎ。現状だと半荘合計すると京太郎に負けとることが多いぞ。
咲は……まあ優希と違って状況に左右されんとはいえ、カンに頼り過ぎじゃ。カンをするために手が遅れとることさえある。

反対に京太郎はここ数ヶ月ほど、基礎一本に絞って練習を積んできとるからのう。和には遠く及ばんとは言え、
今の京太郎はそこらの無名校のレギュラーとは比べものにはならん程度には強いデジタル雀士だと言えるじゃろうな。
たぶん二人とも、ネト麻だと京太郎に負けるぞ。

『ぐぬぬ』

ほれ、練習再開じゃ。

ここまでー。
我ながら京ちゃんを強くし過ぎたような気がしないでもないけど、多分名だたる安価スレの色んな京ちゃん達よりはマシだと思う。
安価スレを貶めるつもりはないというかむしろ私も全力で楽しんでる側なんだけどね

清澄面子ならのどっち麻雀が一番身に付けやすいだろうし、一応潜在能力4を考えれば問題ないんでね?
真面目に取り組むならのどっちは誰にでも真摯に教えてくれるだろうし

安価スレで京太郎が強くなったのは、ペルソナ3のキタローが完璧超人になりがちなのと同じ理屈かと
勿論、全てがそうではないだろうけど…とりあえず乙ですー


教えてもらえる面子が優秀だしな
普通に練習すればこれぐらいでもおかしくはないでしょ多分

乙なのよー
ふたば行った事ないけど京ちゃんゲスすぎやろ、草生えた

そら、現実のプロでもやっていける人に教えてもらってるもんな……

ふたばの京カプスレからは結構インスピレーションをもらってるような気がする。
仕組みがよく分からないから書き込んだことは一度もないけど。

皆が練習を再開する。
いやぁ、格好良く宣言してはみたが、本当に一位を取れるとは……。
やばい嬉しい。超嬉しい。物凄く脳が疲れてる実感があるけどそれを補って余りある嬉しさだ。
どうしたってにやけちまうぜ。

「ふふっ、頑張りましたね須賀君」

おー。ようやっとスタートラインに立てたような気分だよ。
ものっそいしんどいけど、でもそれ以上に達成感とか充実感とかそういうのが凄い。

「そうですね。その場限りの運ではなく、自分の知恵を絞って得た勝利にはそれだけの価値がありますから」

うん、今ならよく分かるよそれ。
……ぃよっし、休憩終わりっ! ネト麻やるかー。

「じゃあ、私はそれを見ていましょう」

お、頼むぜ和先生!
よーし和が後ろで見てるとなったら情けない対局は出来ないなー。
もういっちょ頑張ってみるか。


……ふー、なんとか一位か。でも流石に調子が上がんねーな。
もうしばらく休憩していようかな……。

「そうですね。まあ、今後はさっきの打ち筋をいつでも実現できるように頑張ってくださいね」

うぃっす。結局集中力の問題なのかなぁ。
流石に集中するだけでここまで疲労困憊するとは思えないんだけど……。
だからといって俺がオカルトとかそんな摩訶不思議を持ってるとは思えないし。

うーん。

うーん。

「どうしたんじゃ、久よ」

いやね、さっきの須賀君。
凄かったのは凄かったんだけど、なーんか違和感があってねー。

「……ほう。何がじゃ?」

いや、須賀君が集中モード入ってから、私だけダダ崩れだったじゃない?
あれだけ須賀君の打ち筋が急変したのに、三人のうち私だけが崩れるってなんでだろうなー、と。

「そりゃ、あんたの戦法が悪待ちで相手に依存しとるからじゃろ。わしも和も、結局は自分がいい手を打つってだけじゃし」

あー、そうかもねー。確かに一回目の対局では須賀君、私に振り込みまくってたし。
だとすると、大明槓からの嶺上とかやらかしちゃう咲も、須賀君とは相性悪かったりするのかしら?

「どうじゃろな。暗槓からでも嶺上はできるけえ、久ほどは影響が出んと思うぞ」

なんか納得がいかないわ。でもこれは私達の予想にすぎないし……。
よし、これは一度打って試すしかないわね!
須賀君、もう一回打つ気なーい?

「……あんた、実は打ちたいだけじゃろ?」

「マジっすか……まあ、東風戦くらいなら」

「東風戦なら私の出番だじぇ!」

あと、須賀君の能力を確かめたいから咲も入って頂戴。
これで面子は私・咲・優希・須賀君ね。東風戦だから順当に行けば須賀君はラスか、いいとこ三位ってとこだろうけど。
もし、私の読みが正しければ――


……おかしい。
嶺上牌が……カン材が、見えない……!?
いや、見えないわけじゃないけど……霞んでて、とても判別出来ない……!

「うー……おかしいじぇ、東場なのに……」

優希ちゃんもなんだか様子がおかしいし。
一体どうなってるの、もう……!

「――ツモだ。2000オールは2200オール」

うぅ、また京ちゃんに和了られちゃった。
おかしいよ、京ちゃんが上手くなってからもここまで極端に京ちゃんの一人浮きはなかったし、
まともにカンが出来ないなんてこともなかったのに。
染谷先輩の言ってた通り、カンに頼らない打ち方もちゃんと出来なきゃ駄目なのかも……。

「咲、それロンだ。3900は4800」

はうっ……うぅ、今回は散々だよ。

だぁぁああああぁぁぁぁああぁぁぁぁ-。
もう駄目。頭働かねえ。うぇっぷヤバい気分悪っ、死にそう……。

「……須賀君、大丈夫ですか?」

無理。アレだ、こりゃ用法容量を守ってご使用ください的なアレだな。マジでしんどい。
ごめん、ちょっと休む……ベッド使わせてもらうぞ……。


「うっはぁ、まさかここまでとはね」

先程の対局の結果は須賀君が5万点近くを稼いで断トツの一位。
竹井先輩は比較的粘ったもののいつもの悪待ちは見せず、咲さんとゆーきはなんと焼き鳥。

……二人とも、オカルトじみたことばかり言っているからこうなるんですっ。
でも竹井先輩の言うように、まさか須賀君がここまで成長しているとは思いませんでした。

「でもこれではっきりしたわね、須賀君の能力……いや、いっそのこと、オカルトって言ってもいいかしら」

……だーかーらー。
オカルトなんてありえません。
せっかく須賀君は真面目に麻雀をしているんですから、変なことを吹き込まないでくださいよ?
ここまで基礎をみっちり教えて来て、最近やっと私も納得できる打ち筋を見せてくれるようになってきたのに……。

「ふむふむ、つまり和は須賀君を自分色に染め上げたいと」

なっ、ななななっ、何をっ、何を言ってるんですかもうっ!
や、やめてください! 真面目な話をしてるんですよ!

「安心なさい、和。須賀君の能力は恐らく――」




「――オカルト能力の遮断よ」

 

ここまでー。
京ちゃんの能力? そげぶ的なアレなんじゃね? 知らんけど。
……いや、本当にそげぶのつもりで作ったわけじゃないんですよ、本当に。

まだ咲が本気出したら破られそうな感じだが良いね
ばて方的に怜と仲良く病院送りになりそうだが

乙なのよー
これはあれか、和に教わった影響か

乙やで 読みやすくてちょー楽しいよー
ふたばは分らんけどカプは麻雀の方にあんのかな

ふたばの二次裏に定期的に建つね
外部との差別化とかもろもろの理由で独自の文章ルールとか定型があるから
書き込むのはほんとに半年ROMるくらいじゃ無いと難しいね

乙ー

乙だよー


簡単に云うと塞さんの能力の全包囲型って感じかな
ただモノクル無しでだから集中力で調整しなきゃ駄目だね
やり過ぎると病院行きだからもっとも、扱い難いよね

京ちゃんが限界まで能力使って病院送りになる姿が脳裏をよぎったんだけど・・・

完全実力麻雀になるのか……オカルト持ちってそれ頼みの打ち方するタイプが多そうだし、メタい能力だよね

そして、テニヌのプロの試合考察思い出した

京ちゃんの妨害能力は完全無効化するというよりは使用するに堪えないレベルまで薄めるというかなんというかそんな感じ
咲ちゃんの場合だと「嶺上牌が萬子か索子か筒子か字牌かはなんとなく分かるけど断定できないしカン材も集まらない」的な

正直なところを言うと効果とかリスクとかぶっちゃけそんな深く考えてないですすみません

オカルト能力の、遮断?
……この際オカルトなんて無いとかそういう話は抜きにするにしても、どういうことですか?

「そのままの意味よ。須賀君が集中状態に入ったとき、咲は嶺上開花どころかカンすらまともにできていなかった」

「優希も、東風戦にも関わらず焼き鳥。デジタル打ちの和や自分の記憶を当てにしてるまこに影響が出てないのもそれを裏付けるわね」

……はぁ。オカルトは認めがたいですが……。
ま、まあそういうことなら須賀君自身の打ち筋がオカルトどうこうで乱れることはないし、気にしなくて大丈夫そうですね。

「そーゆーことね。そういえば、和の集中モードはのどっちだから……須賀君の集中モードは京ちゃんになるのかしら?」

……竹井先輩、それこそどうでもいいです。

「京ちゃんモードかぁ。集中してるときはびっくりするくらい冷静になってるのに名前は可愛いんだね」

咲さんも!

「のどちゃんとお揃いとは、京太郎のくせに生意気だじぇ」

ゆーきまでー!!

「和が発熱してるみたいに真っ赤になるのとは逆で京太郎は凄まじく冷静になるがの」

うう、染谷先輩まで……。
もういいです、須賀君なんて知らないです。
練習しましょう、練習!

「それもそうじゃな。よし、現役組、卓につけー」

……ふ、ぁああぁぁ……。
ん、頭楽になった……。
あー、でもマジでしんどい。こりゃ実戦で使うにはまだまだ時間がかかりそうだな。

打ってる間は頭冴えるどころの話じゃないから、すっげえ気分いいんだけど。
自分が自分じゃなくなるというかなんというか……自分でも怖いくらい、冷静に打ち回せる。

ほんの半年前までは何も出来なかった、俺ごときが。

どうしてもテンション上がっちまうし、咲や優希を相手に俺が完全に勝ったなんて今でも信じられない。

これなら。これなら、もしかしたら、俺だってインターハイで活躍できるんじゃないか。

皆と一緒に、俺も晴れ舞台に立てるんじゃないか。皆にも褒めてもらえるんじゃないか。

もう皆の足を引っ張ることなんて無いんじゃないか――そんな、期待をしてしまう。

「あ、須賀君。目が覚めました?」

ん、和か。うん、ばっちりだよ。部活もそろそろ終わりか?

――その期待を実現させるために、明日からも頑張ろう。
そう思いながら俺は和の声に応え、皆に合流するのであった。

「……お、もうこんな時間か。そろそろ帰らんとな」

ん? 本当だ、もうすぐ下校時間じゃねえか。
せっかく竹井先輩もいるんだから、今日も皆で帰りましょうか。

「ああ、須賀君。ちょっと話があるわ」

竹井先輩? どうかしましたか?

「ええ、あなたの打ち筋の話」

はあ。
まあ自分でもよく分かってないんで、色々話は聞きたいですけど。

「ええ、単刀直入に言うわよ――」


はぁ……オカルト能力の遮断、ねえ。
実感が湧かないっつーかよく分からんっつーか、そもそもオカルト能力ってなんなの、って話なんですが。
皆と違って俺はそういう能力持った奴との対局経験が多いわけでもないし……。

「咲のカンを完全に封殺したんだから、相手の打ち筋を妨害するような能力なのは確定でしょ」

あー、まあ確かにそりゃそうなんですけど……。
正直そんなオカルト信じられませんって感じですね。

「SOAならぬSOSだじぇ」

「ゆーき……もうっ」

でもまあ、それなら俺がヘンに打ち筋を変えたりする必要はない……ってことですよね?
咲の槓とか優希の東場とかそういう特別な打ち方が掻き消せるんなら、後には普通の麻雀しか残らないですし。

「いーや、むしろ逆なのよね。そういうオカルトな打ち手は、須賀君が集中モードに入るだけで調子を崩すでしょうけど」

「……和のような格上のデジタル雀士に対して、今の須賀君は無力。それが唯一にして、致命的な弱点よ」

……確かに、それは否定できない。
今日は和も抑えて一位を取れたけど、それは竹井先輩への満貫直撃が大きかったし。

「つまり、デジタル雀士を相手にしたときに須賀君の武器になる『+α』を見つけること……それが今後の課題ね」

+α、ねえ。
全く、デジタルな打ち方を覚えるだけでも頭が痛くなるってのに……どう考えてもそれを見つけるのはしんどいって分かるのに……
あー、なんでこんなに楽しみなんでしょうねえ。分かります?
そう聞くと、竹井先輩は満面の笑みを浮かべながらこう答えてくれた。


「そりゃもう、須賀君が雀士として一人前になった証拠よ」
 

ここまでー。
何時も通り感想や展開予想は大歓迎です。質問とかもあったら答えますよ。
多分「そんなに深く考えてない」が頻発すると思うけど



後輩の名前とか考えてるの~?

乙ー

乙なのよー
能力進化するのか、基礎を猛練習するのか……

冷やし京ちゃん、はじめました

>>84
名前は考えてない。女子の新入部員に至っては特徴すら考えてない
男子はこんな感じ↓

真面目君…実力は四人の中で一番。責任感もある。
地味男君…地味地味アンド地味。大崩れはしない。
双子兄  …お調子者。調子がいいととことん強いが一度崩れると脆い。
双子弟  …お調子者の鳴き型雀士。ちなみに兄は面前派。

「須賀先輩に失礼だろ!」とか言ってるのが真面目くんで、色恋沙汰の話振ったりしてるのが双子。
たぶんこんな設定知らなくてもこのSSは読める(確信)

部長(元)の悪待ちがオカルト扱いみたいな描写があったけどどうなん?

あれはテクニックとかジンクスの部類だと思うんだけど

勘とか流れ論寄りだと思うが

>>90そのとおりなんだけど、ちょっと言葉が見つからなくてジンクスって書いた

あとムロはいたりするの?原作で中三だったよね?

悪待ちはそりゃ能力でもないのにあんなクソ待ちでぽんぽん和了られちゃたまらんし…(震え声)

ムロはいるんじゃないですかね。多分。登場の機会は恐らくありませんけれど

「さて一年生、集合。悪いけど、一年生には買い出しなんかの雑用もやってもらうことになる。勿論全投げするつもりはないけどな」

一年生の正式入部からしばらく経った。
技術的な指導は私と染谷先輩が、そして雑用の面での指示は須賀君に一任されている。

まあ、去年は夏までずっと一人で雑用をこなしていたのだから、その引継ぎが彼にしか出来ないのは仕方のない事でしょう。
……手際も良くて、ちょっと格好いいな……なんて、思ったりして。

……はっ!? な、何を考えているんですか私! 練習です、練習!
下級生に雑用をさせておいて上級生がこの様では……!

「咲ちゃん咲ちゃん、のどちゃんが見てて面白いじぇ」

「うん、そうだね」


「よっし。買い出しはお得意さんとか安いとことかも教えたいから、今日はとりあえず男子と女子一人ずつ、俺についてきてくれ」

「了解っす京太郎さん」

「わかりました、須賀先輩」

「そいじゃ行ってくる。染谷先輩、和、後よろしくなー」

あ、はい。わかりました。
では染谷先輩、こちらも練習を始めましょうか。
……咲さんもゆーきも、ブーたれてないで。二人が仕切るのに向いてないのは事実でしょう?

「先輩がたは皆仲がいいんですね」

「見てて飽きないっす」

「こら、先輩に失礼だろ!」

……ああもう、恥ずかしい。
先輩やるのも楽じゃないんですね。

「そういえば一年前って、男子の部員は須賀先輩しかいなかったんですよね」

「やっぱり、この中の誰かは京太郎さんのこと好きだったりするんすか?」

対局後、おかしかった点の指摘や指導を一通り終え休憩していると、後輩たちが声をかけてきた。
……やっぱり、そういうのって気になるものなんでしょうか。

「私はほら、幼馴染だから今更そういうのは無いかなー」

咲さんも、律儀に答えなくても……。

「そ、そりゃ私は――って、あれ、答えなくていい感じだじぇ?」

いや、それはそうでしょう。
実際のところがどうであるにせよプライベートのことですし。

「ははっ、そんなに秘密主義だとかえって怪しいぞ、和」

そっ、染谷先輩!? 何言ってるんですか、もう……。
ほらそこ、咲さんもゆーきもニヤニヤしない! 一年生も!

「だって、須賀先輩に麻雀教えたのって原村先輩なんですよね?」

「そりゃフラグ的な何かを期待しますって!」

全くもう……彼が真剣に麻雀を上手くなりたがっているからこちらも真剣に教えているだけで、
彼はあくまで部活仲間でクラスメイト、恋愛的な意味での感情は持ってません! これでいいですか?

「顔真っ赤にしてそれを言われても説得力がないのう」


「……いやー、京太郎さん。入り辛いですね」

あははは……いやぁ、全然事実だし期待してたわけでもないけど、改めて聞くと凹むなあこれ。
ま、買ってきたものまとめなきゃいけないし、勿論練習だってしなきゃいけないからとっとと入ろうぜ。

(……須賀先輩、今の言い方だと原村先輩のこと好きって言ってるようなものだけどいいのかな……?)

買い出し終わりましたー。
後輩ズは今日買い出しに行った二人から、どの店で何を買えばいいか聞いておくようにー。
んでもって男子集合! とりあえず俺が打ちたいから卓に入ってくれー。

「あ、自動卓使っていいですよ須賀君。こっちはしばらく牌譜見たりしてるので」

了解。+αがどうこうもあるけど、兎にも角にも俺は集中モードを長時間使えるようにならなきゃいけないからな。
……本気で行かせてもらうぜ、後輩ども。

「うわっ、京太郎さん大人げねえ!」

「勘弁してくださいよ、こっちの練習にならないじゃないですか!」

安心しろ、なるなる。集中モードの俺は基本的に最善手を打ってるはずだから、
オリるべきところでオリ、押すところで判断を間違えなければそうそう振り込むことはないはずだからな。勝ち目は十分あるさ。
知識面は和と染谷先輩にお願いするとして、お前らはとりあえず俺を相手に実戦経験を積んでもらうぜ。

「ぐぬぬ」

――ツモ。裏乗って満貫。
――ロン。4800は5100。
――ロン。3900は4500。
――ツモ。2600オールは2900オール。
――ロン。11600は12800。
……だああぁぁぁぁあああああー……終わりか。ありがとうございましたー。

「京太郎さんマジで大人げねえ!」

「イジメだ! これはれっきとしたイジメだ!」

「ツモはどうしようもないし、お前らは結構振り込まなくていいところで振り込んでるだろ」

「ファッキュー真面目君。何気にお前一度も振り込んでないじゃねえか」

こいつは俺の言った通り、きっちりオリてたからな。うん、上出来だぞ。
……それに俺のほうも、打った後の疲労感はこの前よりマシになってる気がするな。
よし、もう半荘打つか。

「うわっ、京太郎さんいい笑顔!」

「むしろゲス顔!」

……お前ら、飛ばす。
――ツモ、1600、3200。

「うわーっ!」


須賀君、絶好調でしたね。
……代償にというかなんというか、また死にそうになってますけど。
大丈夫ですか?

「おう、和……いやまあ全然大丈夫ではないんだけど、だいぶ長く続けられるようになったぞ」

そうですね。これなら個人戦でも十分戦えるんじゃないでしょうか。
あとは男子の一年生ですけど……流石にインターハイまでに皆が皆強くなる、というのは難しいでしょうね。

「だなー。俺としては出たいけど、団体戦には出ないのも一つの手かもしれない」

去年の須賀君みたいに、自信を失うだけで終わってしまうかもしれませんからね。
難しい事ですが……あ、そうだ。須賀君は聞いてます? 今年も合宿やるらしいですよ。

「お、やるのかー。今年はデカい部屋に一人なんて孤独を味わわずに済むと思うと感慨深いなぁ」

「……ま、男子団体に出るかどうかは合宿での成果次第ってのが妥当なところなのかな?」

それがいいんじゃないでしょうか。
男子の主将は須賀君なんですから、頑張って皆を引っ張ってあげてくださいね。

「うげ、やっぱそうなるか……そうなるよなぁ。頑張るよ、うん」

ここまでー。
全くどうでもいい話だけど、このスレでは麻雀の強さにおいて、
集中京ちゃん>咲さん>のどっち>集中京ちゃんという3すくみが成り立ってます。

ちなみに集中モードじゃない京ちゃんはこの3すくみよりもうちょっと下に来る感じです。

何時も通り感想・質問や展開予想は大歓迎です。
あと、こんな話が見たいとか書いてくれたら番外として書くかもしれないし本編に採用するかもしれない(適当)

おつー
咲ちゃんが京太郎を気になってないのも珍しいね

乙ー
淫ピじゃない和は可愛い

乙なのよー
毎日更新してくれるから嬉しいわ
無理はしてへんよな?

全く京太郎と関係なくなるけど、部長世代の現状が気になるな
部長とかキャップとか宮守とか愛宕ネキとか……
……姫子と離れた哩とか

>>97
原作でも淡々と否定してたしあり得なくは無いんだよね、ただ心中を隠してるだけかもしれんが

あと幼馴染設定ってことは照とも知り合いなんかな?

乙なのよー
実際後輩できたらこんな感じになりそうよね京太郎

>>99
部長はこないだの登場以降、ちょくちょく顔出してるんじゃないですかね。
ネキは多分プロじゃね? てるてるの競合回避とかでめっちゃ指名される感じじゃね?
哩は…うん…

>>100
仮にそうだとしてもこのSSにはなんら関係ないという悲しい事実

「今日から二泊三日の麻雀合宿じゃ。皆、インハイ予選に向けてここでみっちり鍛えていきんさい」

染谷先輩が手短に話を済ませ、俺達は早速練習に入る。
後輩たちには負担をかけることになるが、俺はやっぱり団体戦に出たい。

去年の咲達とはまるで訳が違う……俺は竹井先輩みたいにあいつらを率いることは出来ない。
あいつらも、咲や優希みたいなオカルト的な超能力は持ってないごく普通の打ち手でしかない。
条件は限りなく悪いけれど、それでも――

「大会出ないとか、そりゃないっすよ京太郎さん!」

「俺達、足引っ張らないように頑張りますから!」

――こうして、愛すべき後輩どもはついてきてくれるから。
まあ、俺達は俺たちなりに精いっぱい、全力で頑張ってみようと思う。
ぃよっし、頑張るぞ! 麻雀部男子、ファイトーッ!!

「……えっ、そういうノリっすか」

そこはノれよッ!! ノってくれよぉ!!


とりあえずノリの悪い後輩どもを京ちゃんモード(命名:竹井先輩。咲の強い推しにより採用)で蹴散らし、
次に後輩同士が打つのを見て回る。四人が四人、それぞれ特徴はあるもののオカルト的な能力はないあくまでごく普通の高校生雀士。
けれど、俺がオーダーを決めるんだから四人の特徴はちゃんと把握しておかないとな。

「……リーチ!」

真面目なこいつは、多分四人の中では一番上手いだろう。責任感も相当強い。
けれど、他三人に比べると若干気負い過ぎなところがあるのが少し不安だ。
出来れば先鋒や大将には置きたくないな。

「流局か……聴牌です」

こいつは地味ながらも安定した実力を持っていて、振り込みの数が他三人に比べて少ないのが長所。
逆に言うと打ち筋が消極的なところがあり、あまり点数を稼げるタイプではないのが短所といえば短所。
……まあ、強いて言うなら大将は避けたほうがいいかな。

「うげっ、ノーテン……」

「俺もだー。二鳴きでノーテンは辛いわー」

双子のお調子者は、兄が面前型で弟が鳴き型。二人とも調子がいい時はとことんいいのだが、
調子が悪い時はとことん駄目で、しかも一度振り込んだりすると大崩れしてしまうことが多い。
……この二人は、先鋒に置くには心もとないか。となると――

「っつーわけで、ちょっと気が早いっすけど団体戦のオーダー決めました。出来れば練習試合とか組んでほしいっす」

お、京太郎。気合入っとるのう……どれどれ。
ふんふん、まあ無難というかなんというか、問題があるようには思わんが。
強いて言うなら、どうしてお前さんが先鋒なんか、かの?

「そこは消去法っすね。あいつらにいきなり先鋒やらすのは酷かなぁと」

まあ、今のお前さんならどこに置いても問題はないじゃろうな。
和もそうじゃがデジタル打ちが大崩れすることはそうそうないし、後輩にリードで渡してやるほうが良かろうて。

「そういうことっす」

そういえば京太郎よ、久の言っとった+αはどうにかなりそうか?
力になれんのは残念じゃが、こればっかりはお前さん自身が見つけるしかないからのう。

「いやぁ、それがまだ全然……そもそもデジタル打ちを実践するので精一杯で」

……ま、一朝一夕で武器を身につけられても困るからのう。
応援はいくらでもしちゃるけえ、地道に頑張りんさい。

「うぃっす、そいじゃ打ってきますね。……さーて後輩どもー。もう一回俺と打つかー」

「うわぁ、魔王が来た!」

「大松「魔王は咲だろ」」

「ファッキューマッツ」

「ちょっと京ちゃん、それどういう――」

……なんちゅうか、ウチも騒がしくなったもんじゃのう。
ま、勿論……悪い気はせんけどな。


さて。俺にとっての最善の打ち方って、結局なんなんだろう。

去年の夏までは軽くハギヨシさんからレクチャーを受けてたくらいでほとんど我流。今の俺にとってはまるでアテにはならない。
秋からこっち、今もずっと和にレクチャーを受けてるのがデジタル打ち。おかげで実力はついたが、それでは足りない。
今年の春。竹井先輩のアドバイスでオカルトっぽい能力に目覚めたはいいけど。

流石に、『格上のデジタル雀士』じゃあ弱点の範囲として広すぎる。
俺より上手いデジタル派の雀士なんてごまんといるだろうからな。

「んー……ポンで」

「うげ、そんなとこ鳴くのかよ」

……鳴き、か。
案外、着眼点としてはいいのかもしれない。
相手のツモ順をズラしたり、妨害というかなんというか、そういう打ち方。確か龍門渕にそんな人がいた気がする。

例えば和は俺より上手いけど、それでも一切ツモらずに勝つのは無理だもんな。
一度試してみるか。相手……特に上家、対面の妨害を考えよう。

チーならともかくポンなら符も付く。無論デジタル的に有り得ない手は打たないよう気を付けて……。
……っし、それポン。さてどう出るか……。

「須賀先輩、それロンです」

……ぐぬぬ、難しいな。
鳴くってことは当然手牌の選択肢が少なくなるわけで……。
ま、一回打っただけで上手く行くわけがないよな。気長に行くか。

幸いにも、時間はたっぷりあるんだ。数打ちゃ当たるじゃないけれど、みっちり数をこなすしかない。
……よし、それポンだ!

短いけどここまでー
話の流れからレス数を逆算しておかない>>1は書き手の屑

乙やでー

おつなのよー

(おっ、Jか?)

乙なのよー
1レスがめっちゃ濃いから満足感は充分よ

乙ー

乙ですー

最近安価ばっかりだったからこういうスレは新鮮でいいね
文も他とは違う感じだし

ただもうのどっち無双状態なんかね?

カップリングは大体決まってるって>>1に書いてあるからそうなんじゃね?

>>112
サンキュー

まあここののどっち可愛いからいいか

毎日投下を目標にスレを立てたにも関わらず…今日は投下が出来そうにない…!
猛省…! 圧倒的猛省…!
そこで…お詫び代わりとして…いわゆる「番外編小ネタ」に手を出そうと思う……!
あくまで「このSSの世界線上における」という制限つきだが……
全くネタに制限のない小ネタでは……恐らく>>1のキャパを超えてしまうので……
何卒ご了承頂きたい……!

ってわけで小ネタ安価>>116>>118

kskst

あー……
愛宕ネキ改め、愛宕プロの話

つまり清澄限定ってこと?

まこと京ちゃんがロッカーに閉じ込められる

OB竹井が清澄麻雀部を襲撃

>>117
えっ?マジで?
この世界線ならええんやないのか?
イッチすまん……

小ネタは無理が出ないようにがいいかな
本編気になるし

息抜きで書きたいとか>>1の為になるなら良いけど
こっちに気をつかってとかなら個人的には無理せんでもいいかな

どうせ来月もここ落ちて投下出来なくなるだろうし気にしなくていいのに

まさかほんとにネキが来るとは思ってなかったけど別に問題はないでー

『愛宕洋榎、関西大阪ライガーズに入団!』

ウィークリー麻雀TODAYの表紙を飾ったそんな記事。
たまたま本屋で見かけたから手に取ってみたけれど、えっと、誰だっけ?

愛宕さん、愛宕さんといえば……ああ、確かインハイで竹井先輩をボコった人だっけか。
まあ一応読んでみようか。

『宮永照の指名が競合するのを回避しようと愛宕に接触するチームが多い中、ライガーズは最初から愛宕を指名するつもりでいた』

『愛宕もその想いに応えたのか、関西のチーム以外の指名なら受けないと表明。結果的にライガーズが一本釣りする形になった』

『愛宕は野球の巨人阪神のように、麻雀でも東京大阪戦を名物試合にしたいと語った。彼女の今後の活躍が期待される』

……ほー。かっけぇなー。なんというか、うん、男らしい。
こういう選手になりたいもんだ。

「あれ、須賀君何読んでるの?」

あ、竹井先輩。いやね、姫松の中堅だったあの人がウィークリー麻雀TODAYに載ってたんですよ。
先輩も見ます? ほら、これ。

「……へぇ、洋榎がねぇ。今度試合を観てあげなくちゃ」

その後京ちゃんは上埜さんとネキについてしばらく語り明かしましたとさ。
話が短すぎる? あ、あくまでこれは小ネタやから(震え声)

本編も後で投下するですよー

よっしゃ!ありがとうな!
迷惑かけたみたいで、すまん

小ネタだし、このぐらいが丁度いいと思う

>>125
全然かまわんよー

投下するよー

とまあ、そんな調子で初日の練習は終了。
鳴きメインの打ち回しはまだまだ要練習だが、方向性としては間違っていない……と思いたい。

ひとまず麻雀のことは忘れて、後輩どもと一緒に温泉へ向かう。練習は勿論、身体を休めることも大事なのである。
京ちゃんモードとかいうクッソ燃費悪い打ち方をする俺にとっては、尚更のこと。

「京太郎さん、結局部の4人の中で誰が好きなんすか-」

しつけぇなおい、そんなに知りたいかよ。
なんかもう呆れを通り越して感心するぞ。

「いやぁ、いつの時代もコイバナからのエロい話は鉄板かなぁと」

「だから! お前らはいつも先輩に対して礼がなってないぞ!」

「いや、わりと真面目な話。見ててバレバレなのに、なんで告白もしねーのかなぁと」

……バレバレ? はっは、俺に話させたいからってカマかけようったってそうはいかないぞ。
1年間皆にも隠し通してきたんだ、まだ会って3ヶ月も経ってないお前らに看過されててたまるか。

「多分それ、先輩がたにもバレてるんじゃないですかね?」

「気付いてないとしたらそれこそ本人だけっすよ。気付かれてたら何かアクションあるでしょーし」

い、いいいいいやそれはあくまでお前らの予想だろ。
きき気付かれてるわけないじゃないか、そんな、なあ?

「なあじゃねーっすよ。なんなら今から女湯に聞こえる音量で京太郎さんの好きな人の名前を叫んでもいいわけですが」

や、やれるもんならやってみ……おい、マジでやろうとする奴があるか。
息思いっきり吸ってんじゃねえよ、ガチじゃねえかおい、馬鹿、やめろ! やめろください!

「じゃあとっとと吐けください。きっかけとか馴れ初めとかそーゆーやつを」

「全くお前らは……でも、俺も興味はありますねー」

ぐぬぬ。遂に真面目君まで裏切りやがった。
いやまぁ、隠すようなことでもないんだけどさ……。
そうだな。ま、出血大サービスだ。明日の練習では覚悟しとけよ。

「うげっ、地雷踏んだ!」

ははっ、もう遅い。


……うん。一目惚れだった。
入学式の後探検か何かのつもりで校内をうろついてて、いつの間にか旧校舎まで来ててさ。
そしたら、見つけちまったんだよ。麻雀部の扉を開けて、中に入っていくあいつを。

でもそれを追っかける度胸なんてなくて、探検なんてその場でやめて全速力で家に帰って、
真っ先に携帯に無料の麻雀アプリをダウンロードしたよ。麻雀部に入る動機が欲しかったんだろうな。

「うはー……京太郎さん、熱いっすねー」

はっはっは、こんな不純な動機で麻雀始めた奴もそうそういないだろーなぁ。
でも実際始めてみたらこれがまた楽しくて楽しくて、全然勝てないくせにいつまでも携帯とにらめっこして、
次の日寝坊しそうになってさ。必死で眠気と戦って、放課後すぐに麻雀部に走った。

そんなザマだから役すらまともに覚えてなくてな……ほんと、よく麻雀部入ったもんだよ。
実は去年の夏くらいまで、カンしたら好きな牌をツモってくると思ってたくらいだ。

「あー、宮永先輩の影響ですか」

そうそう、マジであいつ反則だよな。あんなもん止めようがねーっつの。
今では京ちゃんモードで完封だけど、それ以外じゃどうしようもねーからなぁ。

……ま、それはいいとして。そんな程度の気持ちで始めたもんだから全然上達もしねーし、
雑用ばっかりやってるもんだからクラスの奴にも馬鹿にされたりして、そのせいで皆に迷惑かけたりして、
おかげでちょっと嫌になりかけてた時に麻雀教えてもらえることになって。
教えてくれるお礼だとか言ってデートに誘ってみたりして。

……あー、もう。話せばキリがねーや。
好きなもんは好きだ、じゃ駄目なのか?

「いや、いいですけど。結局それが誰なのかには言及してないですよね」

うわあゲス顔。
お前ら予想はついてんだろ? だったらもういいだろ……あー、もう、分かった、分かったって。
俺が好きなのは――

「ねーねー、先輩がたの恋愛事情ってどーなってるんですかー?」

「やっぱ全国優勝とかしちゃったらモテるんじゃないですか?」

「ははっ、少なくともわしにはそんな機会はなかったのう」

「私もだよー」

今時の高校生は、隙あらば恋愛の話をするものなのでしょうか……まあ、皆楽しそうなのでいいですけど。
ええ、私に話が向いてこないならいくらでもしていただいて結構なんですけれど。

「原村先輩はどうなんですか? いつも須賀先輩と一緒にいますけど」

「麻雀教えてるだけっていうけど、その割にいつも一緒にいる気がするじぇ」

……この前も言ったでしょう。須賀君にはただ麻雀を教えているだけだし、
放課後彼と行動することが多いのは彼がそのお礼に何か奢らせてくれ、と言うからです。
流石にそれを断るのは憚られますし、断る理由もありませんので。

「ここまで来ると潔いというかなんというか……本当に何もないんですかぁ?」

ないですって。
そりゃあ、去年は雑用ばかりさせてしまって申し訳なかったなあとは思っていますが、だからこそ麻雀を教えているわけですし。
お礼と言って色々連れ回されるのも、まあ、楽しいですけれど……父には小言を言われてしまいますし。

でも、まあ……真剣に頑張っている彼には素直に好感が持てますし、いい友人、だとは思います。

「……堅い。堅過ぎるじぇのどちゃん……」

「あはは……和ちゃんらしいと言えばらしいんだけどね」

ふふ。でもまあ、さっきも言いましたが頑張って強くなろうとしているのはいいことだと思いますし、
真剣に打っているときの彼はとても格好いいと思いますよ。

「おぉー、のどちゃんがデレた」

「でも、集中してる時の須賀先輩って本当に格好いいよねー」

「あ、それわかる。普段の軽い感じがなくなって、イケメン度三割増しって感じだよね」

……む。
……むう。

「そういえば原村先輩。ある人のことを好きなのかどうか判断する方法、教えてあげましょーか」

「え、何それ気になるー」

別にいいです。……ああ、分かりました。聞きます、聞きますから。
皆してそんな顔しないでください、もう。

「ふっふーん、そう来なくっちゃ! あのですね、原村先輩!」

「……気になる男の人の、下の名前。本人の前でも何でもいいですけど口に出してみるんです」

「そうすれば、ちゃーんと自分の気持ちが分かる。人間ってそーゆー風に出来てるんですって。こないだ雑誌で見ました!」

……はぁ。要領を得ないというかなんというか……。
ああ、分かりました分かりました。参考にさせてもらいます。

私がそう言うと、みんな満足げにそれぞれ談笑を再開した。
現金というかなんというか、遊ばれた気がします。

……名前で呼ぶ、か。せっかくだから試してみましょうか。
幸いもうみんな私のことは気にしていない風ですし、気付かれることもないでしょう。

……いえ、気になるとかではなく、せっかく教えてもらったのだから一度くらい試すのが礼儀というかなんというか、
ああもうっ、とにかく、万が一にもみんなが気付くことのないよう、ごくごく小さな声で――

 

――原村和、さ。

――京太郎、君……。
 

ここまでだよー。
いつもどおり、感想とかくれるとちょー嬉しいよー。

おつ
これはすばらだわー

乙ー
きれいな和はやっぱりいいものですね


青春すなー


ニヤニヤしてまう

乙なのよー
これは良い京和。チームiPSでめげてた心が洗われますわ


なんか和がまともにヒロインやってるスレって珍しいよね


きれいな和最高


甘酸っぱい青春すばらです

ここの京ちゃんは照のように先鋒で相手を飛ばすのか…

遅ればせながら乙
いつもニヤニヤしながら読んでるわ

最近キレイなのどっちが増えて純粋に嬉しい
しかもヒロインとか感涙ものですわ

感想ちょー嬉しいよー。
勢いのままに>>118の小ネタいくよー

いつも通り俺達が練習に励んでいると、急に部室の扉が開いた。

「はぁ~い♪ 皆、久しぶりねー」

『…うげっ』

一年生の男子部員の声がハモる。おいお前ら、万が一聞かれてたら酷い目に遭うぞ。
地元の大学に進んだ竹井先輩は、講義の時間が空いているときにこうしてよく部室に来てくれるのだ。
しかしまあ、こう、一言で言い表すなら「魔性の女」というのがぴったりな彼女に、俺達は毎度してやられている。

「須賀君、今失礼なこと考えたでしょ」

うげっ。

「京太郎さんざまぁ」

「身から出た錆……」

いや、竹井先輩はいつも「結果的には」俺達のためになることをしてくれてるんだけどね?
その過程で多分に彼女の趣味嗜好によるあれやこれやが挟み込まれるのが問題なだけであって。

「よーし決めたわ、今日のイケニエは須賀君ね」

へーへー、分かりましたよぅ。
今日は一体、何をするんです?

その後京ちゃんは久さんの買い物に付き合わされたりして、その道中で麻雀についても色々教えてもらったりして、
疲労困憊で部室に戻ってきたらのどっちの機嫌がほんの少しだけ悪くなってたりするんじゃないですかね?

夜には本編を投下しにくるつもりだよー。

把握したのよー
なんと言う大正義ヒロイン
のどっちヤバい

投下するよー

そんなこんなで合宿中後輩をボコりつつ鳴きメインの打ち筋というものを研究してみたが、これがまた難しい。
和がわりと面前派であることもあるけど、今の俺にはまるで鳴きのノウハウというものがないからな。

勿論最低限、役牌や鳴いて聴牌取れる牌で鳴くことはするけど……逆に言えばそれだけだ。
龍門渕の井上さんあたりの牌譜を参考にネト麻でも部活でも数をこなしてはみるが、
付け焼刃の鳴きで手を短くしてしまい、普段なら相手にならない後輩にまで振り込む始末。
本当に、難しい。

「調子はどうですか、須賀君」

お、和かー。あまりいいとは言えねえなぁ。
勿論普通にやってれば普通の結果が出るんだけど、+αとか考え出すとてんで駄目だ。
正直、インハイ予選に間に合うかと言われると相当厳しいと思う。

「まあ、現時点でも須賀君を上回るデジタル雀士はそうそういるものではないと思いますが……」

そうかな? だとしても、上に行くためには必要なことだからな。二度とあんな思いはごめんだ。
麻雀部の男子部員が女子の足を引っ張るようなことが、二度とあっちゃいけねえ。
そうじゃない、男子だって立派な麻雀部員なんだと、そう示すためには――勝つしかないんだから。

「……私が言っていいことなのかどうか分かりませんが、須賀君。あまり思い詰め過ぎないでくださいね?」

……あ、あぁ、そうだな。
俺がいらいらしてちゃ後輩だって萎縮しちまうよな。
先輩は辛いぜ。

「それもですが、咲さんもゆーきも須賀君が無茶をすれば絶対に心配しますよ」

あー、それもそうだなー。
咲はこうして友達もいっぱい出来たのに未だに危なっかしいというかなんというか見てられない感じだし、
優希の奴だって、自分で言うのもなんだけど俺はもう立派に麻雀部の戦力なのにタコス作らせるのやめないし……。

「……そういう意味ではないんですが。勿論私だって心配です」

……ん、ありがとな。
でも頑張らねーとなぁ……。
ま、体調崩さない程度に気張ってみるさ。

「是非とも、そうしてください」

そうは言ったものの、どうしても俺は鳴きメインの打ち方をマスターできず……正確に言えば、
鳴きを使った『何か』を自分の売りだと言えるレベル、つまり固有の打ち筋にまで昇華することは出来ないまま……
インハイ予選の日を迎えてしまった。

早朝。日が昇るより早くに眼が覚めてしまったため、とりあえずシャワーを浴びることにする。
熱めの湯で寝惚けた身体を無理矢理叩き起こす。身体を拭いて、整髪料を持って鏡の前へ。
知らない内にすっかり伸びていた髪を後ろへかき上げ、前髪は軽く横に払う。最後に制服に着替えて身支度終わり。

流石に母さんもまだ起きていないようなので適当にあるものを口の中へ放り込み、俺は早々と家を出ることにした。
集合場所に着いたが、まだ誰もいない。仕方なく携帯の麻雀アプリを起動して時間を潰していると、
10分ほど経って俺がトップ終了を決めたところで人影が現れた。

「あら、須賀君。おはようございます……早いんですね」

……おはよう、和。
いやなに、目が覚めちまってな。

「どうですか、自信のほどは」

正直、ヤバい。動悸が激しいどころの話じゃねえんだけど。
とりあえず最初の相手は皆先鋒にオカルト打ちのエースを揃えて来てるっぽいから、
なんとか俺が稼ぎきらないといけないなってところかな。

……まあ、それだけ考えれば楽な話っちゃあ楽な話なんだけどね。

「オカルト……むう」

ま、俺がしっかり稼いで後輩どもに繋いでやるだけのことさ。
日程では確か男子のほうが先なんだっけ?

「そうですね。皆で応援しますよ」

ありがてえ。

「京太郎さーん、おはざーす」

「早いですね、須賀先輩」

お、話をすれば何とやらだ。
お前ら調子はどうだ。緊張して打てないとか言わねえだろうな?

「ぜ、ぜぜ全然大丈夫っすよ」

「……正直、ヤバいです……」

ま、俺がなんとか稼いでくるから安心しろ。
先輩が格好いいところ見せてやるからな。

今日はここまでだよー。
短くてごめんなさいなんだよー。

乙なのよー

乙なのよー
合宿で覚醒イベントはなかったか……
今の京ちゃんってオカルト無しやとどんなもんやろ?和とかより劣るのは分かるが

乙ー

一様 アニメの合宿の特打ちの成績で

1位 まこ 2位 京太郎 3位 咲 4位 ゆうき

の半荘があるから オカルト無しでもそこそこ戦えるようにはなってるんじゃない

>>152
イメージとしては南場の優希くらいなら圧倒できるけどまこや部長にはまだ及ばない感じですかね。
あるいは県レベルなら相当のもんだけど全国レベルにはまだ及ばない。
ゆみちんくらいが比較対象として丁度いい感じだと思います

>>154を見てウソだろオイと思って確認したら二位の京ちゃんもマイナスでまこの超一人浮きで草生えた

さて、出陣だ。
後輩や染谷先輩がぞろぞろと集まる中堂々と遅刻寸前で駆け込んできた咲と優希に呆れつつ、俺達は会場へ向かった。
今日は団体戦の1、2回戦……勿論、1回戦を勝てなければ今日はそこで終わりだけれど。

「男子団体の一回戦。本日は解説として藤田プロにお越しいただいております」

「まあ、よろしく頼む」

「さて、清澄男子は初出場ということですが、今大会のダークホースとなるでしょうか!」

「有り得ないことはないだろうけど……やはり女子よりも競技人口が多く、地力の高い選手が多い男子戦。勝ち抜くのは難しいだろうな」

おうおう、言ってくれやがる。さて後輩ども、俺達の強さを見せてやろうぜ!
五人で円陣を組み声を張り上げ、俺は控室を出た。

ここに来るのは一年振りだ。あの時の、何も出来ずに蹂躙されるしかなかった俺とは違う。
十分な練習を積み、十分な力を得てきた――しかし、それでも恐怖は消し切れない。

けれど、咲たちや後輩どもの期待に応えなきゃいけないからな。
軽く頬をはたいて、俺は席に着いた。

『よろしくお願いします』

ネットやら公式戦の牌譜やらのあらゆる手段で調べ上げたが、先鋒で俺と当たる3人は揃いも揃ってオカルト打ち。
……ぶっちゃけた話、今の俺にとってはカモだ。

篠ノ井西の先鋒は――三色手を揃える能力。順子・刻子は問わない。
北天神の先鋒は――オタ風を鳴くことで、その後三局の間、役牌・自風牌を呼び寄せる能力。
寿台の先鋒は――配牌時点で最も少ない種類の牌を集める能力。

皆格好いいというかなんというか、便利な能力を持っててホント尊敬するけど。
俺はそういう都合のいい能力なんて持ってないからさ――

「ま、せっかくだし……『平等に』楽しもうぜ」

「……?」

俺の発言に首を傾げる対戦相手を尻目に、制服の内ポケットにしまってあるエトペンを握り締める。

……さあ、勝負だ。

(お、おかしい……こんなことがあるもんか! 普段なら最低でも面子一つに搭子二つくらいは配牌で揃ってるんだぞ)

(……西、北と鳴いても全く来ない、か……こりゃ清澄が何かしてるのかね)

(篠ノ井西と北天神の様子がおかしいが……問題はそっちじゃない!)

(清澄の須賀……速い! そしてあまりに正確……これじゃ止めようがない!)

前半戦の東一局。相手の三校は京ちゃんモードによるオカルト封じを前に完全に身動きを封じられる。
それを尻目に京太郎は面前で悠々と手を進めるが、精彩を欠いた三校とも、スピードで京太郎に敵わない。
結果……京太郎はあっさりと多面張の手を作り、和了ってみせた。

「――ツモ……満貫で2000・4000」


「そ、それチーだ!」

(……こりゃオリだな)

(クソッ、しっかり安牌抱えてやがるのかよ……! 清澄に当てたいのに!)

それに対抗して鳴きで強引に手を進め聴牌しても、完璧なオリで逃げられてしまい誰も京太郎を捉えられない。
風牌を抱えたがる北天神から篠ノ井西がなんとか作り上げた安手で和了ったものの、打点は微々たるもの。
そしてこの和了りによって親が回り……遂に京太郎の親番となった。

(さあ……稼ぐぞ)

「……ロン。5800」

「ツモ。3900オールは4000オール」

「……ツモ。2600オールは2800オール」

正に圧倒。しかしこれはあくまでオカルト封じにより他校が調子を崩しているからであり、
相手が冷静さを取り戻して普通の打ち回しをして来ればここまでの快進撃は不可能。
つまり、相手が普段の打ち方を捨てる覚悟を決めるまで――それが京太郎にとっての残り時間。

(頼むからオカルト捨てて普通に打つとかやめてくれよ……自慢のオカルトを信じていてくれよ?)

「……ロン。4800は5700」

(まずい、とにかく流さないと……!)

清澄を除いた三校は、遂に無言のまま協力体制に入ろうとしていた。
勿論、京太郎を止めるためだ。

自分たちの力が機能していないことは分かっても、それがどういう能力によって行われているかが分からないのだ。
ゆえに今できることは、逆転手を待つことでもなく、京太郎を狙い撃つことでもなく、せめて前半戦を早々に切り上げることである。
卓に着いている全員が、それを理解していた。

(なら――こっちはこっちで、ひたすら早和了りに徹させてもらう)

「ツモ。1000オールは1400オール」

それは勿論京太郎も例外ではない。だからこそ相手に止められないように、安手に切り替えた。
しかし京太郎は元々手作りが早いほうではなく、鳴きも得意ではない――よって、遂に。

「来たっ、ツモだ! 1000・2000は1500・2500!」

この状況を切り開いたのは――篠ノ井西。三色を集めるとはいえ実際のところは三色同順で和了ることのほうが多く、
自然と両面待ちなどの和了り易い手が多いがゆえに、なんとか京太郎の妨害にも短時間で対応できたのだろう。
運よくドラを雀頭に出来たため打点もそこそことなり、篠ノ井西にとっては理想的な親流しとなった。

(皆に先鋒任されてんだ! 稼ぎ勝てなくとも……このまま清澄の一人浮きになんてさせねえ!)

(篠ノ井西か……ま、現状最下位だったんだから妥当なとこか。こっちもそろそろ和了らないと……)

「ツモ。300・500」

続いて北天神。能力は発動しないもののどうにか役牌の發を鳴き、そのまま和了りきった。
逆転には程遠い安手であるものの、これでようやく東場が終了。
前半戦が終わるまで……あと4局。


「――ロン。2600」

「ほい来た、ツモ! 500・1000だ!」

「ロン。5200」

「……ようやく、ようやく焼き鳥脱出だ……ツモ。2600オール!」

しかし、あっけなく南場は終わりを告げた。
京太郎を警戒する三校は完全に早和了り狙いで、京太郎もそれに対抗するため早和了りを狙わざるを得なくなったからだ。
結果として全員が速攻で一度ずつ和了って、前半戦が終わったのだった。

ここまでー。
ちなみにこのうえなくどうでもいーこと言うと、>>58で京ちゃんが装備してる突撃槍はサンライトハート。
まあのどっちやゆみちんだって槍持ってるし、多少はね…?
今後も京ちゃんが覚醒するたびに中の人ネタの装備が増えていくのかもしれません。
別にそんなことはないのかもしれません。

乙なのよー
今回の中の人ネタが分かんねぇけど、期待
マジックハンドとか太陽王とかしか知らない無知でスマンな



中の人ネタならロレンス希望

中の人ネタかぁ、いぬかみやホライゾンで全裸……ただの変態だな

忘れてた 乙なのよー


中の人ならぬらりひょんやレンタルマギカとかでもいいな

>>160
あ、今回は中の人ネタないです
別に覚醒も何もしてないので


あと実はあまりアニメ見ないのでそんなに多彩なネタは詰め込めないし、
そもそもここの京ちゃんは普通に凡人だからそう何度も覚醒しないよ!?

>>165
スマン書き方が凄まじく悪かった
>>58の話なんや

おつおつ

予選一回戦から半荘二回かな?

2回戦まであるなら 半荘 20回になりますよ
男子は徹マコースか!!

>>162
あれ全裸のイメージ強いけど、二人とも強いのよ?一応

>>162
その二人の全裸は多少なりとも理由あるけど、京太郎の全裸はただの変態だわ

裸になって何が悪い!

>>170
京太郎は生まれたときから全裸だったんだから 全裸が不自然なはずない

>>172
その理論で行くと女の子たちも生まれた時から全裸なんだから女の子たちが全裸でも不自然じゃないな!

出しきれ

お前らのせいで京ちゃんがストリーキングで捕まりそうになった、訴訟。

>>167>>168
そういえば決勝までは半荘一回だったよ! すっかり忘れてたよ!
だ、男子は女子以上の人外魔境だからより強いものを振り分けるために試行回数を増やしてるんです(震え声)

……ふうっ。
警戒されてからは流石にキツかったけど、十分だろ。親番でかなり連荘出来たのが大きいな。
ま、一旦控室戻るか。長続きするようになったとはいえ、しんどい。水分補給くらいはさせてもらおう。

「せっ、先輩っ!」

「すげーっす、マジすげーっすよ!」

褒めるのはまだ早いさ。あと半分なんとか稼ぎきってくるから、緊張ほぐして待っとけよな。


「これは大波乱! 清澄高校、なんと前半戦のみで4万点を稼ぎましたーっ!」

「ほう……一見ただのデジタル打ちのようだが、須賀選手が何かやったようだな」

「後半戦が楽しみですね。藤田プロ、清澄以外の三校はどう出るべきでしょうか」

「んー。前半戦を見る限り、普通に打ったら清澄の一人浮きは避けられない。なりふり構わず場を流すべきだろうな」

「逆に清澄は、今活躍している須賀選手以外は全員一年生。ここは須賀選手がなんとしてでも稼ぎ切りたいところだろう」

「そう考えると、実は須賀選手が一番追い込まれているとも言える。一点でも多く稼ぎたいが、例え安手でも和了らざるを得ないからな」

「ジレンマってやつですね……後の選手まで考えるとそうなりますか。さて、後半戦はどうなるのでしょう!」


「くそっ! 俺、藤田プロのファンだけど、ここまで言われるとムカつく!」

落ち着け。悔しいけど、事実だ。
相手は三校とも二年生以上でオーダーを組んで、先鋒にエースを置いてる。

そうなると須賀先輩が先鋒で出るしかないし、俺達は何の変哲もないただの一年生。
……経験豊富な二年・三年を相手にプラス収支で半荘二回戦い抜くのは難しいだろ。

「そんなこと言ってもよぅ!」

だから、落ち着けって! ……俺だって納得はできないけど……勝つには、それしかない。
須賀先輩は既に十分すぎる程点を稼いでくれてる。
あとは俺達が、如何に落ち着いて失点を抑えられるかだ。そうだろ?

「ぐぅ……で、でも、やっぱり緊張する……よな」

……ああ。で、出来れば言わないでほしかった……。
うぅ、トイレ行ってくる。

「……ごめん」


さて、今頃後輩どもは緊張で吐きそうになってるだろうから、なんとしてでもこの後半戦でリードを広げたい。
けどまあ実際のところ、こうまでマークされてるとそれは厳しいだろうなぁ。

染谷先輩の進言で練習試合の類は組まないでおいて本当に良かった。
そんなことして俺の手の内がバレてたら本気でどうしようもなかっただろうしね。

……正直、この俺が他校にマークされてるという状況に軽く興奮を覚えてたりするのは内緒だ。
だって俺だぜ、一年前の個人戦では見るも無残に飛ばされて終わった俺がだぜ?

嫌が応にも燃えてしまうところだけど、それでも気分を落ち着けて、頭を冷やして打ち回す。
それが俺の取り柄だからな。

そして後半戦が開始された。

「――ツモだ。2000・4000」

「――ロン。3900」

京太郎があっさりと二度和了り、早くも自分に親番を回すことに成功する。

しかし他の三校もただそれを見ているだけではない。意地でも連荘はさせまいと徹底的に京太郎をマークし、
役牌を鳴くことすら許さず、京太郎が手をこまねいている隙に篠ノ井西が自風のみの安手ながらツモ。

この先鋒戦を早々に流し、以降の一年生を潰すという策を隠そうともせず場を流しにかかってきた。

(させるかよ……これ以上差を広げられてたまるか!)

(まさか次鋒以降の一年生も不可思議な力を持ってるってことはないでしょ……)

(可哀相だけど、そっちを潰せば結果としてはこっちの勝ちだからな)

「ツモ。裏が……2。2000・4000」

しかし。
それでも普段の打ち筋を封じられて精神的にも揺れている状態では最善の打ち回しなど出来るはずもなく、
続く東4局は京太郎が圧倒的なスピードで和了り、雀頭に裏ドラが乗るラッキーもあり満貫。

「いいのか? そんな安手で場を流してたら……取り返しのつかない点差がつくかもしれないぜ?」

『――ッ』

勿論そんなことは有り得ない。
初出場の部の、インターミドルで活躍したわけでもない何の変哲もない一年生に、
一年、あるいは二年間練習を積んできた自分達の仲間が稼ぎ負けるはずがない。

しかし5人中3人が一年生でありながら昨年の女子団体戦で頂点に立った清澄のネームバリューと、
今実際に自分たちを圧倒している京太郎の存在が彼らの思考を鈍らせた。

(そうだ……こんなとこで逃げる麻雀を打ったことなんて一度もねえ!)

(……篠ノ井西、挑発に乗りやがった。まーアレは清澄の対面だしまだマシか)

(でも、実際そうだ……皆が先鋒を任せてくれたのに、既に6万点も稼がれてる。これじゃ皆に顔向けできない)


(流すんじゃない……ここから一点でも差を詰める!)

「ロン! 7700!」

京太郎以外の三人も、とにかく自分がよりよい手で和了ろうとし始めた。
オカルトをかなぐり捨てて。早和了りで場を流すのではなく、今からでも京太郎に追いつこうという気概で。

「……ロン。8000」

集中状態の京太郎は和から教わった知識や技術の全てを最適化して打ち回しに適用することが出来る。ゆえに振り込むことはそうそうない。
そうすると三人が挑発に乗ったことは間違いであるように思われるが、実はそうとも言い切れない。

「ツモだ! 1300・2600!」

京太郎の集中状態はあくまで「自分の打ち回しの最適化」と「オカルト封じ」、この二つの効果しか持っていない。
今この場のようにオカルトを排して打ち合った場合、集中状態を続ける利点は振り込む確率の低下のみ。

「ツモ。2000・3900」

オカルトのように場の流れを決めてしまう何かがない以上、勝負を決するのはツモ運だ。
その天運に……京太郎は、あまり恵まれているとは言えない。

(けど……このまま早和了りで流されて終わるよりは――)

「……っし! ツモ。リーチ一発タンピンツモ赤2……3000・6000だ……!」

そう。大きな手を和了るチャンスは増える。
小さな手の積み重ねではあったが、最後に跳満を上がって京太郎は先鋒戦を終えた。

結果として京太郎の挑発は大成功。安心できる点差で後輩たちに繋いだ。
これで清澄の勝利は堅いだろう。いきなりの番狂わせが起きた。

……少なくとも、会場にいてこの先鋒戦を見ていた者のほとんどが、そう思った。

ここまでー。

でもよく考えたら満貫以上が平気で飛び交う人外魔境長野なら、半荘二回くらいけっこう早く終わるんじゃないかと思った(小並感)

乙、敗退濃厚じゃないですか…

乙ー
フラグはやめたげて下さい…

おつー、次も楽しみ

乙ー

乙なのよー。ネームバリューって偉大
……なんでわざわざフラグ立てるんですか!

高遠原団体での和ってこんな感じだったのかな

ホライゾンの主人公はそこまで強くないんじゃない?

能力だって仲間にいわゆるMPを明け渡すだけだし(アニメだけしか見てないから違ってたらすまん)



冷静に考えて2年一人と残り1年で勝ち残れるほうがよっぽどオカルトだからなぁ…
いやまだ決まったわけじゃないけどね

>>186
確かに単体じゃ強くないけど、一緒に戦う仲間はほぼMP無限状態になるから大規模戦では最強

GN電池さんか

書き溜めがどんどん減っていく恐怖とスリル感、ナイスだね(白目)
投下するよー

 
先鋒戦が終わって、四校の得点は以下のようになった。

篠ノ井西 66400点
北天神 78400点
清澄 175000点
寿台 80300点

一見清澄が圧倒的な優位に立ったかに見えるが、それは違う。
清澄はここから実戦経験の少ない一年生だけで戦い抜かなければならないのだ。

しかも――京太郎がこうして大量得点したことによって、他三校にきつくマークされた状態で。
長野の県大会では少ないながらも一回戦から観客が来る。勿論その客も京太郎の大活躍に注目した。

一年生たちも自分の実力を完全に出し切ることが出来ればまた結果は変わったかもしれない。
内からの重圧。相手からの重圧。外からの重圧。会場中に広がる異様な空気。

それらを相手に普段通りに打ち続けることは、彼らにはあまりにも荷が重すぎた。
その結果。

「試合終了ーっ! この試合は特によく点数が動きましたね」

「三校での叩き合いになったが、篠ノ井西が上手く潜り抜けた。これは今後も期待できるかな」


……まあ、しょうがないか。
とりあえず、後輩どもを慰めてやらねーとな。
よしお前ら、撤収だー。個人戦もあるんだからしょげてんじゃねーぞ。

「……すみません、須賀先輩……」

だー、もう。お前ら一年、俺二年。これで引退ってわけじゃねーんだから、な?
お前らがここでどれだけ悔しがってもしゃーないの。ほれ撤収。


長野県大会男子団体予選。
最終的なスコアは以下のようになった。

篠ノ井西 110200点
北天神 108000点
清澄 74500点
寿台 107300点

清澄高校麻雀部男子、初の公式戦は――見るも無残な敗北で終わりを告げた。

団体戦は一回戦負け……か。ま、仕方ないよな。
後輩どもには悪いけど最初っから勝てるとは思ってなかったし。

思ったより俺が稼げたぶん、思ったよりあいつらは緊張しちまってたらしい。
俺がもっと竹井先輩や染谷先輩みたいに、後輩にいい影響を与えられればよかったんだけどなぁ。

「残念でしたね、須賀君」

ん、和。そりゃ残念っちゃあ残念だけど……ま、後輩たちがこれで奮起してくれれば安いもんだろ。
去年は半日で大会終わりだった俺が言うのもなんだけど、こういう経験って大事だと思うし。

あとは個人戦だなー。それまでにちょっとくらい元気になっておいてほしいもんだ。
あいつらガチ凹みしてるから、このままだと個人戦もボロボロだぞ……。

「須賀君はどうですか? 自信のほどは」

俺は逆に、さっきの団体戦で自信ついたな。あれだけ稼げるとは思ってなかったよ。
でもデジタル打ちの強い奴に勝ったわけじゃないし、個人戦でも勝てるかというと、うーん。
なんか不安になってきたぞ。

「ふふ、そうですねー。じゃあ今まで頑張ってきた須賀君には、私がご褒美をあげましょう」

ほう。和らしからぬというかなんというか。
でもご褒美か、嬉しいなぁ。何してくれるの?

「須賀君が個人戦も頑張ったら、下の名前で呼んであげます」

オーケー、絶対勝ってくる。

今日はここまでー。
ここで勝たせるかどうかは2秒ほど悩んだけど、いや実際無理だろってことでこの結果。
個人戦の結果や如何に。

乙ー

>>191
細かいけど100多くない?

乙ー

やっぱり負けたか残当

全国は女子と同じで枠3人なん?

おつー
これが青春ってヤツか…

>>195
あれ、マジだ。
なんでや! 点の移動全部書きだしてたはずやろ!
多分連荘とかでどっかの計算がずれたと思われ。すまんな。

乙なのよー……ですよねー
盛大に注目を集めた後の1年ってメンタル的にも酷だったのね

大将で大量点差をひっくり返すか先鋒で頭から稼ぐか…難しいところだな

乙です

個人戦は勝てるといいね



注目されてプレッシャーもあるし全員一年じゃキツいわなそりゃ
全員麻雀経験者とかオカルト持ちとかならともかく

(遅くなって)すまんな
色々あって帰宅が遅れたのよー

よっしゃ!

和の名前呼びという餌に釣られて息巻いたはいいものの。翌日の個人戦。
団体戦であれだけ稼いでしまったおかげで、俺は完全にマークされてしまっていた。

おかげで目立つ活躍も出来ないまま個人戦は実にあっさりと終了。
それでも半年近くの練習の成果は出たと言えるのか、結果は総合六位。

……ちなみに、女子より出場者数の多い男子個人の全国出場枠は五人。漫画かと疑うような見事な落ちっぷりである。
ちくしょう! せっかく和が名前で呼んでくれるところだったのに!

「犬、うるさいじぇ」

おぉう、優希か。どうだったよ、そっちは。

「あーもう、駄目駄目。今年も咲ちゃんは行けそうな感じだけど、私は多分いいとこ五、六位ってとこだじぇ」

ほー。そりゃまたご愁傷様で。

「団体戦も結局負けちゃうし……散々だじぇー」

あー、まぁ龍門渕の天江さんは仕方ねーわ。あんなもん、俺でも止められる気がしねえよ。
それに龍門渕は去年のメンバーが全員残ってるわけだしな。

「しかも今年は個人戦にまで天江衣が出てくるし! もう嫌になるじょ」

そりゃ確かに手がつけられねーな。
……それより、どうだ? 染谷先輩の様子は。

「……今は、そっとしといてあげるほうがいいと思うじぇ」

そっか。ん、分かった。


……そう、分かっとった。
わしには久のようなカリスマ性はないし、咲たちのような圧倒的な力もない。

じゃから、部長の座に就いた時から、わしの役目は咲たちにこの部をいい状態で引き継ぐことだと決めとったのに。
他ならぬ自分で、そう決めとったはずなのに。

……なーんで、こんなに悔しいんかのう。

個人戦も、全力を出し切ってはみたが結果は出なかった。結局の、わしの器ではそんなところということじゃろうな。

団体戦にしたって優希は先鋒としての仕事を十二分に果たしてくれたし、和はしっかり相手を抑えてくれた。
一年生だって頑張ってくれた。咲でなければ、天江衣を相手にあそこまで競ることは出来んかったじゃろう。

それでも負けた。なら……しょうがないじゃないか。だから――

「ごめんなさい染谷先輩……ぐすっ」

――あー、人がセンチになっとるときくらい泣き止まんか!
オーダーを決めたのはわしなんじゃ、お前さんが気にすることはなんもないんじゃから、な?

全くもう、一年生がこの調子じゃ咲たちも苦労するじゃろうなあ。
……ま、頑張ってくれよな。場所くらいならいつでも貸しちゃるけえ。

結局、清澄高校は咲が個人戦で全国大会出場を決めたのみに終わった。
これによって実質の二代目部長である染谷先輩の引退が決まってしまう。
そして……新たな部長の座には、俺こと須賀京太郎が就くことになった。

……いや、おかしくね? なんで女子部員のほうも俺が仕切ることになってんの?

「まあ、竹井先輩や染谷先輩と違って一年生は四人いるんですから、誰が部長だろうと変わりはないでしょうし」

「だったらいっそ黒一点の京ちゃんでいいかなと」

要するに面倒臭いポジションの押しつけですね、分かりました。
ちくしょうめ。

「ま、精々頑張るんだじぇ」

……いまいちしまらないが、麻雀部員はみんな元気だ。
今のところその元気の八割くらいは空元気だけど、それでも。
みんな「来年こそ見てろ」と強がるだけの余力は残ってるみたいだ。

「頑張ってくださいね、京太郎君」

……和っ!?

「結果は出ませんでしたけど。京太郎君が頑張ったのは私が一番知ってますから」

和マジ天使。
分かった、分かりました。不肖ながらこの須賀京太郎、部長職に就かせていただきますよ。
……こら、咲と優希。そんな目で俺を見るんじゃない。

今日はここまで。

まあ、実際問題、モンブチに勝てる気せーへんし。
清澄が三年間無双する話なんて面白くもねーし。

それでも>>1は清澄一のぐう聖ことまこ先輩が大好きなのでそこのところは勘違いしないでくださいね

乙です
惜しかったな…

乙ー

まあモンブチはフルメンバーがそのままになってるわけだしねえ

乙なのよー
パワプロとかパワポケみたいに段々強くなる話の方が面白いしな!

後、和マジ天使



まこ先輩の安定した頼れる保護者ポジションはガチだと思っている

乙-
畜生タイプばっかだから気遣いができるまこさんはぐう聖に見える

しかしエイスリンちゃんを泣かせたワカメは許さない
絶対にだ

>>214
ここは岩手じゃねェんだよキーウィ

>>214
岩帰

マジレスするとあそこで負けて泣く姿が無かったらエイスリンなんてただ可愛いだけのネタ外人になってただろ! いい加減にしろ!



しかし個人戦で和出れなかったのか、ころたんとーかかな出たのは

文堂さんという可能性が万に一つ

>>218
写輪眼に開眼したか……

池田という逸材が全国の舞台を経験せずに去るのは惜しい

>>220
正直池田って魔物二人には及ばなかったとはいえバケモンレベルで強いよね
あの卓で複数回役満聴牌とか、完全にきがくるっとる
長野が人外魔境すぎるだけで、普通に全国レベルの実力持ってると思う

そんなわけで女子個人戦突破者は
一位ころたん
二位咲さん
三位池田ァッ!
なんじゃないかな(適当)
んで、四位のどっち五位まこさん六位とーか七位タコスとかまあそんな感じ

……で、今年も合同合宿、ですか。龍門渕、風越、鶴賀と。
はあ、まあ、いってらっしゃいとしか言えないんですけど。
女子の一年生はどうするんです? 合宿中は男子と一緒に俺が面倒見たほうがいいんでしょうか。

「いや、今回は京太郎。お前さんにも指名がかかっとるぞ」

……はぁ!? 俺がっすか!?
いやいやそれは駄目でしょう。こんなんでも俺一応男っすよ。

「相性的な問題で、お前さんくらいしか天江衣の特訓相手にはならんからのう。直々の指名じゃ、喜びんさい」

無理っすよ! 大勢の女子の中に放り込まれるうえ魔物の相手をしろってどんな拷問ですか!

「今年は、龍門渕と鶴賀も男子部員を連れてくるそうじゃぞ?」

ぐぅ。でもなんで俺が天江衣の相手なんか……。

「全国クラスの男子には天江衣を上回るような打ち手もおるじゃろうなあ」

うっ。

「天江衣との対局なんて望んでもそうそう体験できるもんじゃないじゃろうなあ」

ぐぬぬ。

分かった、分かりましたよ。
俺の力でどこまであの人の支配を抑えられるもんか分かりませんけど。

「一年も参加させる予定じゃから、あんまり格好悪いとこ見せるなよ?」

……まあ、あのレベルの対局を間近で見るのは確かにあいつらにとってもプラスでしょうからね。
いいでしょう、分かりました。やれるだけやってみますよ。

というわけで、断り切れずに結局来ちゃいました。合同合宿。

「きょうたろー、と言うそうだなっ」

「衣ともども、お相手よろしくお願いいたしますわ」

はい。女子はともかく、清澄の男子は未だ実績らしい実績もないですから、
強豪の胸を借りるつもりで全力でお相手させていただきますよ。

――さ、始めますか。

勿論、しょっぱなから集中モード全開で行く。
でなければこの二人は決して抑えられないだろう。
俺の様子の変化に二人は一瞬だけ驚いたが、すぐににやりと笑った。

……俺の全力など、彼女らにとっては一笑に付されるようなもの、ということかもしれない。
ま、いい。何度も言ってるけど、やれるだけやってみるさ。
後ろで見てる後輩どもに、あんまり情けない姿は見せられないしね。

俺から見て上家に天江さん、対面に龍門渕さん、下家には和が入って対局が始まった。


(……衣の支配が正しく機能しない。やはり、聞いていた通りのチカラを持っているようだな……きょうたろー!)

(……はっ。なんか意識が飛んでたような……うぅ、調子が出ませんわ)

(流石に消耗が早い。オカルト封じも長くは続きそうにねーな……)

(……三人ともあまり手が進んでいないようですね。チャンスでしょうか)

東一局。いきなり一向聴地獄を発動させて支配を仕掛けてきた衣をどうにか京太郎が抑える。
更に魔物・衣、そしてライバルである和と同じ卓に入ったことによって透華が「冷え」そうになるがこれも同じく京太郎が阻止。
結果、最初に和了ったのは和だった。

(……こんだけドギツい思いして和了れねーのか。こりゃしんどいぞ)

続く東二局は、衣が跳満手を聴牌するも京太郎がそれを察して役牌のみの安手で場を流した。
既にこの時点で、京太郎は疲労困憊。どうやら集中状態による疲労度は相手のオカルトの強度に依存するらしい。

(あー……くそ、やってらんねぇ!)

東三局。遂に衣が地力を見せつけて満貫で和了。
その流れに乗るように東四局では透華が和了って東場が終了した。

……ぐっはぁ。
もう駄目……南場もあるとか考えたくない……。

「だ、大丈夫かきょうたろー?」

大丈夫じゃな……あ、はい大丈夫です、大丈夫ですから。そんな顔しないでください。
後ろの後輩ども、お前ら笑い堪えてんじゃねーぞ。人が死ぬ思いで打ってるんだからしっかり見とけよ。
さて南一局――行きますか。


と、自分を奮い立たせてなんとか集中モードを続けては見たけど、結果はさっぱり。
そもそも天江さんも龍門渕さんもオカルトに頼らない地力が十分あるわけで、そこに俺が入っても意味がねーだろっていうね。

「そんなことはないぞ! 支配を抜け出されるのではなく逆に支配されるというのは中々ない体験だった」

「ええ、全国に向けた練習としてはこれ以上ないと思いますわ」

あ、ありがとうございます。でもそんな褒めても何も出ないっすよ?
ちょうど半荘終わったところだし、俺はハギヨシさんと飯や風呂の準備に行かせてもらおうかなーなんて……。

「え? もっかい打たないのか?」

ぐうっ。

「無理はなさらないでいただきたいですが、よろしければ是非もう半荘お願いしますわ」

ぐぐうっ。

これ絶対あと半荘じゃ終わらないやつ……あ、はい分かりました。やりますやります。
元々そのために来てるわけですし。体力がもつ限りはいくらでもお相手しますよ。

……その後三時間以上に渡って、俺は天江さんの蹂躙をなんとか食い止め続けたのであった。

ここまでー。

この京ちゃんのオカルト封じってどの程度の能力まで防げるんだろう。
よくわからん。

乙ー

満月衣は無理そうかな?常時発動型だから・・・

吐血まで頑張ればなんでも防げるできるとかでいいんじゃね

展開次第という非常に便利な設定がございます

乙なのよー

けど……まだ覚醒するんやろ……?
てえか、成長せんと全国行かれへん

ヒャッハー京ちゃんの誕生日だー!

ってことで小ネタ書く。
内容はラブじゃん風能力表でも過去話でも未来ifでも一方その頃○○は、でもどんとこい。
ただしこのSSの世界線上の出来事に限る。
(>>のコンマ一桁)個、ぞろ目ならプラス1、77ならラッキーセブンってことで更に+1個書くよー。

ヒャッハー京ちゃんの誕生日だー!

ってことで小ネタ書く。
内容はラブじゃん風能力表でも過去話でも未来ifでも一方その頃○○は、でもどんとこい。
ただしこのSSの世界線上の出来事に限る。
(>>232のコンマ一桁)個、ぞろ目ならプラス1、77ならラッキーセブンってことで更に+1個書くよー。

77

>>232
やるじゃん

その頃のてるー

華麗に安価ミスったときは肝が冷えたよ。

8個ってことで、ここから下1~8まで書くよー

はやりん29歳

のどっちの父親
娘に男ができたのではないかと悶々
素行調査する

京太郎と和の誕生日デートして

>>144のイケニエの内容を詳しく

アラフォーとデート

久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する

なお京太郎にバレる模様

京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス

和と新婚生活

京太郎が和に教わってる時にπタッチ

>>238
してってなんだ!そこはスルーで頼んます

休日だし時間早いけど投下するかー。
ただしおまけ小ネタのみ。

書き溜めがだんだんと減って、横のスクロールバーからもそれが察せられるスリルを味わうのもいいけど、
それで本当に書き溜め尽きたら洒落にならないからね。仕方ないね

●はやりん29歳

『……それではっ、はやりんから重大発表がありますっ☆』

たまの休日。和をデートに誘う勇気もなく俺は自宅で寝そべりながらぼーっとテレビを見ていた。
17歳男子としてこれはどうなんだと思わなくもないが、麻雀番組見てるから、まあ、部活動の一環ってことで。

普段は終始明るい雰囲気で初心者向けの麻雀講座をやっている瑞原プロの番組だが、
今日はなんだか雰囲気が違うようだ。……というより、そりゃ流石に変わらなきゃおかしいよな。

いくらおもち最強と俺の脳内で名高い瑞原プロとはいえ、
流石に(29)にもなってこの路線は「うわキツ」と言わざるを得ない。
とかなんとか思ってたら。

『……最近、私のことをアイドル路線で売ってるだけの色物プロと勘違いしてるボクたちが多いみたいなので~』

テレビの画面越しですら冷や汗をかいたほどのプレッシャー。
これが……トッププロのオーラ。

『今年一年、はやりんはプロ雀士としての活動に専念したいと思いますっ☆』

『高校出たての新人プロちゃんも、色々実績のある先輩プロさんも、まとめてかかってきやがれーってことで、よろしくっ☆』

……今年のプロリーグは、ひと波乱ありそうだ。
なんだったら、和を観戦に誘ってもいいかもしれない。

どうせそんな勇気は出せないだろうなという情けない自覚と共に、
俺の休日は至極平和に過ぎていくのであった。

……プロリーグの試合って、テレビだとどのチャンネルでやってるんだろ?

流石に本編でさえまともにキャラが立ってないはやりんをニワカの俺が料理するのは無理があった。
まさに「うわキツ」だった。
はやりんは年相応の格好さえすれば超絶美人だと思うのです。

●のどっちの父親

  娘に男ができたのではないかと悶々
  素行調査する

……最近、娘の様子がおかしい。
まさか本当に全国優勝するとは思っていなかったが、まあ、それはいいとしよう。娘の人生は娘の人生だ。
私個人が麻雀のことを好意的に見ることは今後もないだろうが、親として認めてやるくらいはすべきだろう。

しかし最近、娘が帰ってくる時間が遅くなった。
インターハイが終わったから、しばらくは部活動も短縮されると言っていたはずなのに、だ。
……それはいいとしよう。

どうやら娘に男が出来たらしい。

用があって部屋を訪れたら(恐らくは最近流行りのスカイプか何かだろう)男の声がしたのだ。
しかもやたらと親しげな口調でだ。我が娘ながら愛想のいいほうではない和が、だ。
……まあ、男が出来ること自体はいいとしよう。
いずれは起きる事態だ。

しかし、相手の男が本当に娘に相応しいのかどうか。これは大きな問題だ。
まさかとは思うが男も麻雀をやっていたりするのではないだろうな。
もしそうなら私は絶対に認めないぞ。

そう決意を固めていたところに、家の電話が鳴る。
娘の携帯からだ。

『もしもし……あ、お父様。部活の友人に夕食に誘われたので……今日は帰りが遅くなります。それでは』

……。
ああ、部活の友人が男か女かには触れていないな。
だがしかし、電話越しに確かに男の声が聞こえたな。
音質の問題があるから絶対そうだとは言い切れないが、
聞いた感じではボイスチャットの男と同一人物だろうな。
………………………まずは、身辺調査からだろうな。


ここに娘の親離れを認められない男の独り相撲が始まった。
なお、麻雀部員だということ以外文句のつけようがなかった模様。

京ちゃんは異常。
献身性抜群で料理も(少なくともタコスは)出来て福山ボイスとか。

流石に原村父もこの男には文句のつけようがあるまい。

髪の色が……と思ったがそもそも娘がピンクでしたね

しかし弁護士からのハードルって高かそう

そもそも娘が痴女みたいな私服来てますしおすし

京ちゃん無駄にステは高いからなぁ

数学は苦手そうだったけどここでは和から教えてもらったりしてんのかな?

優希に勉強教えようとするくらいだから勉強もできるだろうし
マジで京ちゃんケチの付け所が髪の色ぐらいしかない…

むしろ昔はただの屑でそれから更生したのかも!?

>>256
さぁ書きためてスレ立てする準備にかかるんだ

>>255
ピンクやら紫の髪がいて、金髪なんてそこらにゴロゴロいる世界なのに京太郎だけ染めているという風潮、一理無い

>>256
そんなあなたに某京照SS。あれは私の中で不朽の名作。

>>257
せやな。むしろ最近の京ちゃんはサラサラヘアーの美少年すぎて草生える
のどっちまでとはいかずとも、咲や優希よりは美人じゃないか?

非常に疲れた。マジで疲れた。ヤバいくらい疲れた。集中モード継続三時間は無理があった。
どれくらい疲れたかというと対局が終わって皆が温泉に行く中、俺だけトイレに行って吐いたくらい疲れた。

けれどこの合宿、悪い事ばかりではない。これだけ打てば龍門渕さんのほうにも義理は果たせただろう。
残りの数日は俺の実力の向上にいくらかの時間を割かせてもらっても罰は当たらないはずだ。
つまり。

井上さん! 麻雀教えてください!

「……え、オレ?」


「ほう。鳴きのノウハウ、ねえ」

はい。今のままじゃ、どうにも手堅いデジタル打ちに対して打つ手がなくて。
まさか俺もこんな機会が得られるとは思ってませんでした。是非俺に麻雀教えてください!

「んー。まぁ、男子ならオレ達と戦うわけじゃないしいいけどさ。あんまり分かり易くは教えられないと思うぜ?」

構いません! ってかむしろ聞いてすぐ分かるようなデジタル的な話なら、和にいくらでも聞けるんで。
そういう感覚的な話こそ俺が今求めてるものなんすよ。

「ハッキリ言うねー。うん、気に入ったぜ」

! ありがとうございますっ!
蹂躙されると分かっていても来た甲斐がありましたよ!

「あー、衣や透華と打たされてたんだっけ。ご愁傷様」

「いい流れなら基本鳴かない。悪い流れなら鳴く。ぶっちゃけオレが考えてるのはその程度なんだけど」

……要するに、ツモが悪いとかそういうことですよね?
流れとか、まあ和に言わせりゃそんなオカルト有り得ませんなんだろうけど。
でも実際やたら牌が偏ることってありますもんね。

「んー。そりゃ自分のツモもそうだけど、明らかに相手が仕掛けてくるの分かることあるだろ。染め手とか」

あー、分かります。悪い流れイコール対戦相手にとってのいい流れとも言い換えられるわけだ。

「そうそう。お前んとこのタコス娘とか、そーゆーの完全に顔に出るから分かり易いだろ」

ほうほう。なんとなく分かってきた、ような。
自分に流れを呼び込む。自分の不ヅキを断ち切る。相手の流れを切り離す。
発想はオカルトめいているとはいえ、劣勢に対して精神的なリセットをかける意味合いもあるだろうし。

「流れに限らず、特定の牌をガンガン呼び込むタイプのオカルト打ちもいるからな。鳴きが役立つ場面ってのは案外多いんだぜ」

あー、呼び込まれるはずだった牌の行き先がズレるわけですか。
確か去年の全国で、咲の相手にそんな感じの能力を持った人がいたような気がする。

まぁ言いたいことは分かるような気もしますけど、なかなか実際やるのは難しそうですね。
やっぱ実戦こなすしかないかなぁ。

「そだなー。ま、オレの真似だけしてても仕方ねーぞ。オレのを基に、お前なりの鳴き方を見つけるんだな」

ういっす! それじゃ、迷惑ついでに一局打っていただけないでしょうか。
せっかくの機会なんで、魔物以外とも打ちたいんですよね。

「お、いいね。打とう打とう。一応ウチの強化合宿だし、残りの二人は国広君と智紀でいいだろ?」

ええ、全然問題ないですよ。三人ともオカルト打ちとはまた違うから、こっちの特訓にもなりますし。
こういうところじゃ相手には困らないし、普段と違って色々な相手と打てるからいいですねー。

「おう。泊りがけってのもテンション上がるしな」

へへ、気が合いますねー。
そいじゃ打ちますか! 手加減しませんよー。

「言うねー。マジで気に入ったぜ、こっちこそ手加減しないぞ!」

「純くん機嫌いいねー」

「……男同士気が合う……?」

「オレは男じゃねえっ」

龍門渕の皆さんの家族漫才的なものを楽しみつつも対局はしばらく続いた。
その後も相手を変えて時には風越の選手と、時には鶴賀の男子と卓を囲んだ。

結局個人戦でもいいところなくボコボコにされていたウチの後輩どもにとっては、いい経験になっただろう。
俺としてもすごく有意義で得るものは多かったし、龍門渕の皆さんにも満足してもらえたと思う。

合宿が終わった後、個人戦で見事全国出場を決めた咲の応援に俺達も東京へ行くことになった。
俺の部長としての初仕事は皆の引率。まあ仕事というほどのものでもないし、個人戦の結果もあえて言う必要もないだろう。

強いて言うなら、今年も咲はえぐかった。

その後の部活動でも特に皆を仕切るとかそういうわけではなく(技術や知識の指導はもっぱら和に任せている)、
むしろ俺の基本的な仕事は学生議会との予算やら日程やらの摺り合わせなんかの事務だ。
あとは時折、

「京太郎さーん、打ちましょうよー」

「よー」

こんな感じで後輩(挑んでくるのは主に双子。だいたい、和に教わったあれこれを試してみたい時だ)を、
俺の練習がてら半荘ほど相手してやるくらいのことである。


で、なってみて初めて分かることだが部長になると自分が練習する時間は案外取れなくなるものだ。
改めて竹井先輩と染谷先輩の凄さを知った気分だが、俺はあの二人と違って要領も良くないし麻雀経験も足りない。
全く、同級生四人のうちなら俺が一番練習が必要なはずだってのに酷い扱いだぜ。

『いいじゃないですか。だからこうして未だに個人レッスンを続けてるんですし』

『そりゃそうだけどさ。どうよ、和から見て今の俺は』

『及第点って感じですね』

『おおう、手厳しいっ。井上さんに鳴き方も教わったし上達はしてると思うんだけどなー』

『ええ、一年前ならいざ知らず、今の京太郎君には凄く期待してますから。期待値の高さ込みで、及第点です』

ぐぬぅ。
なんかもう本当に和に手綱を握られてる感が凄いんだけど。
逆らえる気とか全然しないんだけど。

『では、また明日』

『ういっす。おやすみ、和』

『おやすみなさい』

……何がヤバいって、それでもいいやとか思っちゃう俺の単純さが一番ヤバい。

ここまでー。
京和は少なすぎて禿げるよね。シチュだけ見ればこれ以上ないお似合いカップリングなのに!
平凡な男と箱入りで世間知らずなお嬢様のカップリング、いけるやん?

このスレが京和SSの増加に一役買えればいいな、と思ってる


のどっち相手だと京ちゃんの乙女度ましましでいけるから嬉しい
お互い意識する関係でそのまま亀の歩みの進展って好きやねん

乙なのよー。シチュはともかく、和の態度が……


所で、イッチが言うとるんはこれやろ?俺も好きやよ。違ったらすまん

照「京ちゃん、カッコよくなったね」京太郎「えっ!?」
照「京ちゃん、カッコよくなったね」京太郎「えっ!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1339056974/)

乙ー

最近の京太郎はガチで清澄一の美人なんだよなあ



俺も京和はもっと増えてもいいと思うわ
のどっちに狼耳と狼尻尾が生える話とか無いですかね

乙ー

カップリングだとのどっちはどうしても咲さんってイメージ強いからねぇ

京和はVIPではほとんど見ないね
おっぱい断ちして強くなるみたいなのが最近立ってたけど

>>267
和はともかく 京太郎が気の利いた気障ったらしい言葉交わし合うのは 想像できないな

まだ ルルとカレンや全裸と穢れ巫女の方が 想像しやすい

>>257
 256だけどちょっと考えてくるわ。

>>259
 あれは良かった

>>264
握手

>>265
せやな

>>269
あれはすばらだった

>>271
スレ立てはよ。


今日は小ネタのみでー。
なんかやたら長くなった

●京太郎と和の誕生日デートして

さーて、部活部活。もうすぐ俺達も三年生だ。一日たりとも無駄にはできねーからな。
そう思って定めた練習開始時間よりかなり早くに部室に向かったのだが、流石にまだ誰もいない。
携帯で部員からの連絡を確認した後でネット麻雀を始めたところで、和が現れた。

「おはようございます。早いんですね、京太郎君」

お、和か。おはよう。流石に早く来すぎたと自分でも思ってるところさ。
真面目君と女子が三人、風邪で欠席らしい。この時期だから健康には気をつけなきゃな。

「そうですか……まあ、人数的には問題ないでしょう。今日も頑張りましょうね」

おうとも、と返事をしたところで残る部員達がぞろぞろと現れた。
よっし、それじゃ練習開始なー。


……お、もう昼か。よし、じゃあ今日は上がり。各自帰っていいぞ。

「いや駄目っすよ。まさかここまで全く触れもしないとは思ってませんでした」

ん? 俺なんか忘れてたっけ?
嘘だろ、部長に就任してから予定だけはきっちり確認するようにしてるぞ。

「だめだこいつはやくなんとかしないと」

「自分の誕生日忘れる人って実在したんですね」

誕生日? ……あぁっ、そーいやそーだな。完っ全に忘れてたよ。
この年になって誕生日なんてそうそう祝ってもらうもんでもないしな。

「去年ハンカチあげたじゃないですか」

ああっ、それはちゃんと覚えてるって和! 今でもそのハンカチ使ってるんだから!

「京太郎さんもげろ」

「京太郎さん爆発しろ」

黙れ双子っ!
そーいうのは今から二週間ほど後に世間を賑わすだろう優男どもに言ってやるべき言葉だろ!

(私去年チョコあげたし優希ちゃんも和ちゃんも染谷先輩も竹井先輩もあげてたけど黙っておいたほうがよさそうだな)

「ま、とにかく! 京太郎さんの誕生日を口実に騒ごうってことで、一年組でちょっとした企画をしたんですよ」

「だから帰られると困るんですけど、なんか用とかあるんですか?」

お、おう。ありがとう。別に外せない用事はないから大丈夫だけど……。

「よっし! んじゃ王様ゲームやりますよー」

うおえええっ!? 駄目なやつだろそれ!
至極まっとうなはずの俺の意見は無情にも却下され、王様ゲームが始まった。

「特別ルール。普通は何番と何番が○○しろ、ですが今回は京太郎さんと何番が○○しろ、と命令すること」

「まあ京太郎さんの誕生日なのに京太郎さんが関わらない命令とか出てもおもんねーし」

おいそれ俺にものっそい不利なルールじゃねぇか!
お前らやっぱり騒ぎたいだけだろ、俺の誕生日祝う気ないだろ!

こんな滅茶苦茶なルールの王様ゲームに女子の一年や咲、優希までノってきたことを、
俺はこの時点で疑っておくべきだったのかもしれない。
……そう、イカサマだ。


(王様以外のくじは全部『1』になってる……)

(そして京ちゃんと和ちゃん以外、私達はみんな仕掛け人……)

(俺達の中の誰かが王様になった瞬間……)

(京太郎さんの命脈は尽き果てるのだ……!)

『王様だーれだっ!』


「お、俺だっ!」

うげ、双子弟! 考え得る限り最悪の奴が王様になりやがった!
さてどう出る……このお調子者が普通の命令をしてくるとは思えないが……。

「京太郎さんと1番は今から二人でデートに行くこと!」

ファッ!? おい、1番が男だったらどうしてくれるんだ!
俺はせっかくの誕生日をホモホモしい苦い思い出で塗り潰さなきゃいけなくなるのか!?

「え、えっと、京太郎君……」

ん? どうした、和。

「1番、私……です」

よくやった双子弟ォォォォォォォ!!!
そんな本音はおくびにも出さないが、マジでよくやった双子弟。
俺、今日という日が終わったら死んでもいいや。

お前ら絶対ついてくんなよ! 尾行とかしてたら後が怖いぞ!
咲、優希! こいつら見張っててくれよな! 頼んだからな!

「京太郎さん必死過ぎてわろす」

「任せといて、京ちゃん(何を任せるのかは言ってない)」

「心配しなくていいじぇ(尾行しないとは言ってない)」

……なーんか不穏な雰囲気があるような気もするけど。
正直、和とデート出来るなら多少のマイナスは甘んじて受け入れるつもりがあるぞ、俺は。
それじゃ、行こうか和。

「いいんですか? 罰ゲームにしては少々やりすぎな気もしますが」

和がいいんだったら、俺はいいさ。
和が嫌なんだったらこのまま家まで送るよ。

「……はぁ。まあ、京太郎君の誕生日ですし、せっかくだからどこかに出かけましょうか」

そう来なくっちゃ!
とはいえ、特に行きたい場所もねーよなぁ。
ゲーセンでも行く?

「いいですよ。それじゃ、行きましょうか」


さて、ついたぞ。
この無駄なやかましさ、実にゲーセン。
さーてなんか二人で遊べそうなものはっと……。

「……」

えーと、おーい、和?
状況を説明しよう。場所、クレーンゲーム。中身、エトペンのストラップ。
和がその場から動かない。
これは男を見せるしかあるまいよ。
っし、じゃあまずはこいつから行くかー。

「いいんですかっ!」

あぁもう可愛いなあもう! ヤバい、俺は着々と駄目なほうの道に進んでる気がする。
ともかく、まずは500円投入。500円で6回出来るタイプの良心的なやつだから多分これで取れるだろ。
……ぃよっし! 案外早く取れたな。

「エトペン……!」

和の目が輝いている。プレイ回数は残り二回。
これはもしかするともしかするぞ……ぃよっしゃあ二個目ゲットー!
やった、和とお揃いだー! ほい和、こっちお前のな。

「あ、ありがとうございます……!」

あぁもうああもう、エトペンストラップごときで喜びすぎだろ和!
なんなの! 俺だけを萌え殺す娘さんなの!?

「き、京太郎君、大丈夫ですか?」

ああごめん和、気にしないで。
俺の理性が決して負けられない戦いに臨んでただけだから。
次どこ行く? 見たところ、ここではこれ以上やることもなさそうだけど。

「んー。そうは言いましても、私も急には思いつきません」

んじゃ飯でも食いに行くか。よく考えたら食ってねえや。
どこ行きたい? ファミレスでもなんでもいいけど。

「あ、じゃあこの前連れてってくれた、あそこ……あの、ハンバーガー食べるところがいいですっ」

あー、ナクドね。オッケーオッケー、全然いいよ。
俺としては、いいとこのお嬢さんにあんなジャンクフード食わしていいもんかどうか悩むところだけど。

「♪」

……まぁ、この機嫌のよさそうな和を止める勇気なんて、俺にはないし。
いいんじゃないかね。

 

そんなこんなで和と二人っきりというシチュエーションを全力全開で堪能した俺が、帰宅後に携帯を確認すると。
大量の画像添付メールが、見知らぬアドレスから送られてきていた。
え、何これは……と思いつつ開いてみると。

そこには揃いのエトペンストラップを持った見覚えのある少年少女の姿や。
向かい合って座りナクドのセットを食ってる見覚えのある少年少女の姿や。
商店街に繰り出して互いの服を選び合ってる見覚えのある少年少女の姿や。
お互いが選んだマフラーをつけて並んで歩く見覚えのある少年少女の姿があって。

…………………………………うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!??!?!??
 

翌日の部室で何が起きたかは、まあ、触れてあげないのが優しさだということで。
明日は本編投下する所存ー

乙なのよー
のどっちが可愛すぎて世界がヤバい

乙ー
翌日は大変そうだなww

京太郎よりむしろのどっちが怖い、いや怒るよりむしろ錯乱するか?

そして咲世界ではエトペンがメジャーマスコットという風潮、一理無い
自分が好きなマイナー物が偶然相手も好きだったりして話が盛り上がるのがいいんじゃないか!

乙ー

知らんアドレスからそんなん送られたら普通にこえーよw

>>280
マイナーだからこそ京ちゃんは必死こいて>>37のファンシーショップを見つけ出したのです(今考えた設定)
大きなゲーセン行けば多少マイナーなものだって置いてあるやろ(震え声)

>>281
そこは普通に言葉足らずやったね。
仕掛け人の内の誰かが足つかないようにアドレス変えて写メ撮りまくったってことやねん
京ちゃんも流石にそれは察したけど誰が犯人かまでは分からなくてうおおおおおおやねん

>>282
アドレス変えてっていうのは分かってたけど京太郎が察してたのは気づかんかった

なんかすまんな

まだかな

>>283
補足説明が必要になった時点でSS書きとしては俺の負けだからええんやで

>>284
すまんな

「冬合宿?」

そ。皆で小旅行を兼ねて、冬休みにさ。
俺にしてはなかなかの発案だと思うんだけど、どうかな。

「いいんじゃないかな。楽しそうだよ」

「雪景色の中でタコス食べるのも悪くなさそうだじぇ」

いや流石に今回行く予定の宿にタコスは売ってないはず……。
あ、俺が作れと。へーへー分かりましたよっと。

「まあ長期休暇中の練習というのは得てしてダレがちですし、それならいっそ合宿というのはアリだと思います」

「いい案だと思いますよ、須賀先輩」

だろ?
まぁ金はかかるけど、部費がそれなりに残ってるからそんなに大きな出費にはならないだろうしな。
せっかくの冬休みだし、さっきも言ったけど皆で遊ぶのも兼ねてぱーっと行こうかと。

「おー、さっすが京太郎さん!」

「話が分かるー!」

お前らは合宿の間に三回は飛ばしてやるから覚悟しとけ。

「ひどい!」

ってなわけで、俺達はスキー場のあるそこそこの大きさの宿へと向かった。
基本的には運動部が夏の合宿で使ったりするような(長野は涼しいからね)人気の場所なのだが、
逆に言うと、同じ長期休暇でも冬ならわりと利用しやすいのだ。

自動卓を持ち込んで(勿論許可は取った)、ひたすら特打ち。
合宿テンションもあり、かなり密度の濃い練習が出来たと思う。思いたい。

一応必死こいて打ったし、有名どころの高校の牌譜研究やらも皆でやった。
少なくとも自分たちに出来るベストの練習をした、とは思うんだけど。

今になってブレインとしての竹井先輩と染谷先輩がいないのが辛いんだ、これ。
だって俺達の代、馬鹿ばっかりなんだもん。和は馬鹿ではないけどそういうのには向いてないし。
とにかく不安だらけではあったけれど、とりあえず初日の練習終了。

練習が終わった後は皆で民宿らしい質素ながらも旨い飯に舌鼓を打ち、その後自由時間となる。
真面目な奴は持参したらしい麻雀教本を読んでいたり、そうでもない奴は鞄からお菓子を取り出していたり。

俺はそんな賑やかな部屋からベランダに出る。
少し肌寒いが、まあ後でゆっくり風呂に浸かれば大丈夫だろう。

「……もうすぐ、引退……なんだよな」

ぽつりと呟きが漏れた。
それは目を逸らしたくなるような事実。

俺のようなうだつの上がらない一選手が今後も麻雀に専念できるかと言われれば、そうじゃないだろう。
既に全国で名を上げている女子の皆はともかく、俺は高校で麻雀と別れることになる可能性が高い……と思う。
もとはといえば、和が目当てで始めた麻雀だったけれど。

「……やめたくねーなぁ」

「だったらいっそ、プロ雀士でも目指してみたらどうだじぇ?」

ついつい漏れてしまう独り言に返事をよこしたのは……優希、か。
ははは、そりゃまた魅力的な案だけどさ、流石に無理だろ。

「そうでもないと思うけどな。正直、京太郎の成長っぷりには皆驚いてるんだじぇ?」

そりゃどーも。
でもさ、女目当てに麻雀始めたようなチャラ男がここまでこれたんだ、もう満足すべきじゃないかな。
これ以上を望んだら流石にバチが当たるんじゃないかと思うぜ、俺は。

「……雑用ばっかりしてた犬が、ようやく掴んだチャンスなんだじぇ? 掴みきらなきゃそれこそバチが当たるじょ」

……あー言えばこー言う。
ほんと勘弁してくれよ。俺だってちょっとセンチになることくらいあるんだ。
たまには思春期の男の子らしく月明かりに照らされながら厨二妄想したってバチは当たらねえだろ?

「そう言ってかっこつけて、自分の思いからも逃げるつもりなのか? だったら私はお前を許さないじょ、京太郎」

……なんだよ、突然つっかかってきて。。
なんか格好いいことでも言いたくなったのか?

 
 
 
「好きなんだろ、のどちゃんのこと」

 
 

京は、じゃなくて今日はここまでー。
京太郎SSの難点は、今日という字がまともに打てなくなること。京の誤爆多すぎィ!

とりあえず飯食ってくる! その間にいつも通り感想や質問や展開予測を書き込んでくれると>>1が喜ぶよ!

乙ー

乙。
京太郎に残された時間は多くない訳ですな

乙ーん
京太郎は男を見せれるのか
今でも十分かっこいいけど

何か京太郎は安定した職業について、プロ雀士ののどっちを支えるってのがいい気がする。
んで、地元の雀荘に滅法強いのがいるとか噂されればいいと思うんだ。

>>291
残された時間は多くない

のとこでえっΣ(゚д゚lll)京ちゃん死ぬん?
と思ったのは俺だけじゃないはず

>>293
京ちゃん的には麻雀を続けていたいらしいけど、さてどうなるんだろうね。
少なくとも賭け麻雀はやらないと思うww

>>294
ん? そういう話欲しい?


(書いて)あーげないwwwwwwwwww

 
 
 
「好きなんだろ、のどちゃんのこと」

 
 

突き刺さる、優希の言葉。
それはまさに真実で、偽りようもない俺の想いそのもので。
だから。

……だから、どうしろってんだよ。
せっかく雀士としての俺を見てくれてる和に、「あんたの生徒はあんたの身体目当てで近づいてたゲスいチャラ男でした」、
なんて暴露しろってのか? ふざけんなよ、やめてくれよ。俺が何をしたってんだよ、なあ。

自分で分かってんだよ、こんなの卑怯だってことくらい。
でも仕方ねえだろ? 好きになっちまったんだから。
何をしてでも一緒にいたいって思っちまったんだから。
それで俺がお前らに迷惑をかけたりしたかよ――

「違うッ! そっちを責めてるんじゃないじょ!」

――ッ。優希、五月蝿い五月蝿い……今は夜、ここベランダ。オーケー?

「……あぁもうっ、じれったいじょ! なんでそんな捻くれてるかなぁ!」

「好きなら好きってとっとと伝えちゃえばいいんだじょ! それを悪いことだなんて誰も言わないっ」

「つーか、京太郎がのどちゃんのことを好きなのなんて一年生の頃からバッレバレだったじょ!」

ぐぬぅ!? う、嘘だろおい……いや、それはこの際いい。だったらこれも分かってんだろ?
俺が和を目当てに部活決めて、和を目当てに今までこの部に居座ってきたようなクズだって――

「ち・が・う! 話は最後まで聞かんか! だから京太郎はいつまで経っても犬のまんまなんだじぇっ」


「――京太郎がいつの間にか本気で麻雀に惚れ込んでることだって、私はとっくのとうにお見通しだじょっ!」

「麻雀も全力で好き、のどちゃんも全力で好き、それでいいだろ!? なんで両方諦めちゃうんだじょ!」

「今の京太郎は見てて苛々するじぇ。自分で自分を騙してるのが丸分かり、裸単騎みたいなもんだじょ!」


……いや、その例えは別に上手くないけど。

「うー、今はそういうことを言ってるんじゃなくてだな……!」

あーもう分かってる分かってる、ありがとなわざわざ。
似合わない説教役までさせちまって悪かったよ。

ほんと、俺らしくなかったわな。
部長の重責に押し潰されでもしてたのかね?

「どうでもいーじょそんなの。いい加減告白しろ」

それが出来れば苦労しねーっての。
お前らが思ってる以上に俺はびびりだぞ。

「全くこれだから犬は――」

「どうしたんですか二人とも。やけに外が騒がしいと思ったら……」

和ァァァァッ!?
い、いやなんでも……ちょっと話が盛り上がったというか、なあ優……逃げやがったあいつ!
あの、ほら、その、なんだ、あははは……一緒に月見でもしない?

……はぁ。
早いもんだよな、気が付いたらもうすぐ三年生だ。
あと半年もしない内に引退するとか、考えたくもないよ。

「そうですね。一年生の時の全国優勝で一応認めてもらっていますが、未だ父は私が麻雀をするのを良く思っていませんし」

そっか。麻雀を続けられるかどうかわからないのは俺だけじゃないんだな。
勝手に和は麻雀を続けるもんだと思い込んでたけど。

「いえ、続けるつもりですよ。父が何と言おうが、プロになってしまえばこっちのものです」

おぉ。和にしてはというかなんというか、大胆な発言だな。
格好いいけど、それはそれでどうなんだって気もするぜ。

「いいんですよ。認めてくれないのなら、結果を出して認めさせるまでです」

……かっけぇ。ホント格好いいよ、和。
俺には……とても、真似できない。

「京太郎君は、どうなんですか? 卒業後のこととか考えてます?」

まさについさっき優希とその辺のことについて話してたよ。
麻雀は続けたいけど、現実的には難しいだろうなぁ。

俺には咲や優希ほどの強さもなけりゃ、和ほどの賢さもない。
結局俺は、お前らに憧れてほいほいついてきてるだけの、ただの凡人に過ぎないんじゃないかな。

「……はぁ。ゆーきが怒るわけです」

「あなたがそうやって自分を卑下することは、あなたの先生である私を侮辱することに他ならないんですよ?」

「あなたを信じてついてくる後輩の皆や、あなたの努力を認めている私達を、あなたはそうやって切り捨てるんですか?」

……え?

俺から見た皆と俺が考える俺の差を見つめて落ち込むことは幾度もあった。
けれど――皆から見た俺を、皆が考える俺を、一度でも考えたことがあっただろうか。

そんな俺のことを、一度でも考えてやったことがあっただろうか。

「京太郎君が今までずっと頑張ってきたのを、私は知っています。私が一番知っています」

「だって私は、京太郎君の先生なんですからっ」

慣れないことを言うからか少し顔を赤くながらも胸を張る和。
彼女の全てが俺を燃え上がらせる。
優希がくれた火種が、大きく燃え上がる。

「そんな頑張っている京太郎君のことが、皆大好きなんです」

「……だから、そうやって自分を悪く言うのだけは、やめてください」

……ん、わかった。ごめんな、変なこと言っちまって。
優希に説教されたばっかりだってのに、格好悪い。
ははは、本当似合わないけどちょっと弱気になり過ぎてたのかね。

「ふふ、大丈夫ですよ京太郎君。あなたに勝るデジタル雀士はもはや全国レベルで見てもそうそういません。私が保証します」

ネト麻最強雀士のお前に言われると本当にそんな気がしてくるから怖いわな。
でも、まあ……うん。和がそう言ってくれるなら、俺はいくらでも頑張れるよ。

「……そう言ってくれると、嬉しいですね。先生冥利に尽きます」

そう言ってはにかむ和。……ああ、もう。いちいち可愛いんだよなぁ。
もういっそ、優希の言うとおりにここで玉砕してしまおうかという考えが頭をよぎる。

「……頑張りましょうね、最後のインターハイ」

「……おう」

けれど、どうしても――その一歩を踏み出すことは、出来なかった。

京ちゃんだって、ナーバスになることくらいある……
今日はここまでー。

ゆーきがどんな気持ちで京ちゃんに喝を入れたのか、それは誰にも分からない。
つーか俺にも分からない。
誰か教えて。

乙ー

ゆーき……

一年の頃からバレバレ言ってるし、踏ん切りはついてたように感じた
もしくはさっきの会話で自分を吹っ切らせたか

乙なのよー

今までの態度から見ても踏ん切りをつけた、つけようとしている所なんだよなぁ
ただ、優希はこういう場面でこそ輝いて見えるのは俺だけ?

男の方がこの手の話にはグジグジするものか

SSでのタコスのかませ率は異常

>>299

つ 中島みゆき「慟哭」

このスレだとそんなに好意を寄せてる描写なかったから、あんまこう、自分を抑えて~みたいには感じなかったな
あったとしても2年インハイくらいにはふっ切ってたんだろうなーってくらい

タコスは恋破れる姿がよく似合うから仕方ないね
京タコも好きだけど

その略称だと京太郎とタコの異種カップリングみたいだな

京咲、京和、京久……優希だけ京「タコ」 何故なのか

まるで歯痛だけ「はいた」と読むような……

そら、語呂の良さよ

京優……きょうゆう……共有
つまり京ちゃんは麻雀部の共有財産だったんだよ!!

京希だと狂気じゃん?

キャプテンとかレジェンドも似たようなもんじゃね。カップリングの名前、部キャプとかすこレジェだし

pixiv大百科曰く京優だと別の漫画のカップリングタグに引っかかるんだとか。
やっぱり京タコ呼び安定やね

ちなみに俺は「京タコは悪友」派。流石に二人とも異性と意識するには距離が近すぎるんじゃないかな。
ベクトルこそ盛大に真逆だけど、化物語の阿良々木の野郎とバサ姉みたいに、
恋人よりも仲の良い友達くらいのポジションに収まればいいと思うよ。

今日は小ネタのみ。


すまぬ
 

>>144のイケニエの内容を詳しく

はーぁ、余計なこと言うもんじゃねーな。
また俺が竹井先輩の生贄だよ。

まぁその道中に麻雀の小話とか聞けるし、練習の相手もしてくれるし、
決して無駄な時間ではないんだけど。ないんだけれども。

それでもちょっと、これはやりすぎじゃありませんかね竹井先輩。
前が見えねーっす。荷物多すぎ。

「だらしがないわねー須賀君。いい男がその程度で音を上げちゃ駄目よ」

視界を塞ぐほどの大荷物を一方的に抱えさせられて、
それでもにこやかな笑顔を振りまくのがいい男だってんなら、
俺はいい男じゃなくていいです。

「ま、和が考える『いい男』はまた違うでしょうしねー」

なんでそこで和が出てくるんですかっ!
全く誰相手でもこっちのペースで話せることなんてほとんどない俺だけど、竹井先輩だけは敵に回したくねーや。
こうして毎度毎度生贄にされてる辺り、どっかで敵に回してるんだろうけど。
わっかんねー。

「ふっふーん。いやぁ、やっぱり荷物持ちがいると買い物捗るわねー」

まぁ、この大量の荷物の八分の一くらいは部の買い出しも兼ねてるわけですし、文句は言いませんが。
……これだと結局俺が雑用係続けてるみたいなもんだよなぁ。はぁ。

「ブーたれないっ。美穂子なんてキャプテンになってからも自分で雑用を買って出てたんだから」

それは既に何度も聞きましたよ。
そういう話は自分でやってから言ってください。

「最近つれなくなってきたわねぇ須賀君」

つれないというか、釣られないというか。

「やっぱり先生に似たのかしら?」

……どんだけ和の話したいんですか、あんたは。
やっぱり、何年経っても、竹井先輩が分からない。

こう、俺としてはむしろですね、タコ→京よりも久→京のほうがオイシイんじゃないかと思うわけですよ。
文句ひとつ言わず雑用やる金髪美少年に惚れていく魔性の女とかイイんじゃないかと思うわけですよ。
普段の態度がアレだからデレようにもデレられなくて結局引っ張り回すのが精一杯なんですよ。
でも金髪美少年は別の女しか見てないわけですよ。
だから逆にその女の話題とか出してみて、少年の反応を見てやっぱり脈無しか、とか落ち込んだりするわけですよ。
少年は魔性の女の気持ちには気づく由もないわけですよ。

まあそんなことになったらうえのさんがかわいそうなのでこのえすえすではそんなことはないとおもいますけれど

いきなりどうした

うえのさんにはほかにだいじなひとがいますからしょうがないですねすがくんにははらむらさんがおにあいだとおもいます

池田ァ!病院から抜け出さないように見張ってろって言っただろうがァ!

久→京とか大好物やで

317さんだいじょうぶですよなにももんだいありませんこのえすえすはすがくんとはらむらさんのせいしゅんすとーりーなんですからうえのさんがすがくんをすきになるなんてそんなおかるとありえませんねおかしなこといってしまいましたがみなさんわすれてください

キャップ成りすましできてないし!

早く病院に戻るし!

>>316
スレ立てはよ

ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないうえのさんがすがくんのことをすきになるなんてありえないそんなことがありえていいはずがないじゃないですかこのえすえすのひろいんははらむらさんなんですよそんなもうげんははらむらさんにもしつれいでしょうだからうえのさんはこっちにきてかざこしのきゃぷてんといっしょにおちゃでもしましょうね

今日は本編投下の予定よー

>>317
ぶちょー可愛いからね、多少>>1がぶっ壊れても仕方ないね

>>318>>321
まキ病抜

>>324
このSSが完結したら考えてやるよ(立てるとは言ってない)

合宿二日目。……さて。
軽く三ヶ月は取り組んでる課題なんだ、いい加減ここいらでモノにしたい。
場の流れを読み切り、自分の鳴きでそれをコントロールする。
さあ、気張るかっ。

「……チー、かな」

純さんレベルになると流れが完全に『見えて』いるらしい(ということは、俺の集中モードで防げるのかもしれない)けど、
そこまでの精度は求めていない。俺の十八番はあくまでデジタル打ち。それを補助するための流れ読みだ。

「……チ」

「ポンッ」

(ぐ、欲しいところだったのに……!)

場を読み切れ。場を見切れ。
相手の一挙手一投足を見逃すな。
そして得た情報を自分の手牌と照合しろ。

「……カンッ」

「リーチにカン!?」

(俺の当たり牌を暗槓かよ……!)


そして――流れを断ち切れ!


「……ツモ。嶺上開花役牌ドラ1……2000・3900」

「うっげー。宮永先輩みたいなことすんのやめてくださいよー」

ははは、ここまで上手くいくとは思ってなかったよ。
でもまあ方向性は掴めたかな。……なんとなくだけど。
流石に公式戦でリーチにカン仕掛ける度胸は俺にはねえって。

「じゃあなんで今回はしてくれやがったんですか、ちくしょー」

お前が分っかりやすい染め手で仕掛けてくるからだよバーカ。
国士の可能性が残ってたらしなかっただろうし、まさか当たり牌ピンポイントだとは思わなかったけどな。

「……まあ、考えがあっての行動ならよしとしましょう」

ああっ、和!? ごめん俺が悪かった! 流石に調子に乗り過ぎた!
お願いだからそんな目で俺を見るのはやめてくれ! 確かにあそこはオリるべきところだったよ!
分かってはいたんだ、純さんに教わったことを試したかっただけなんだ!
……くそっ、ジト目の和も可愛いなんて言えやしないっ。

(……とか思ってるんだろな、京太郎さん)

(須賀先輩って普通に分かり易いよな)

(むしろ気付かない原村先輩が異常)

くそっ、お前らもそんな目で俺を見るんじゃない!
今にもドンマイと言い出しそうなその顔をやめろ!
ああもうくそっ、一応俺部長なんだぞ……。

「ま、京太郎はそういう扱いが似合ってるじょ」

「どんまい京ちゃん……」

……まあ、酷い扱いを嘆いてる場合じゃない程度には大きな進歩だ。
鳴きによる攪乱戦法。亜空間殺法とか言うんだっけか?
まだまだモノにしたとはとても言えないけれど、これで目途はたった。

「……まあ、そうですね。多少やりすぎのきらいはありますが、十分アリの範囲内でしょう」

そう言ってくれると嬉しいよ、和。
後は完全にマスターするために数をこなすだけだな。

「京太郎さん、基本的に数をこなすの好きっすね」

……ま、どこの世界でもそれが基本だろ。
俺は凡人だから、適当こいて技を会得できるほど器用じゃねーのさ。

ごめん短いけどここまで。
最近1巻から現在までの京ちゃんの絵柄をまとめた画像を見て、改めて思った。
やっぱ最近の京ちゃん明らかに女の子だわ

このSSの京ちゃんの外見が原作準拠なのかアニメ版準拠なのかが気になるところ

いつから男だと錯覚していた?

乙ー
シロと姉妹とか言われても信じられるレベルなんだよな

SSの髪型にアニメ版の顔長+初期のややタレ目気味イケメンで

あ、SSじゃなくて原作中盤以降で

京ちゃんまとめ画像ってどこにあるんですか?見つからない……



イラストが無い限り京ちゃんの姿はわからない
シュレディンガーのなんちゃらよ

最初期のぼさぼさ髪・キャプ翼頭身・イケメンの京ちゃん
初期~中期の角付きの髪型・長身・童顔の京ちゃん
中期以降のぼさぼさ髪・長身・ショタ顔の京ちゃん
最近の後ろ流れの髪型・少女漫画頭身・女顔の京ちゃん

さあ皆様はどれがお好み?
個人的には最近の後ろ流れ髪+長身+ショタ顔がいいと思うの。
でもそうすると福山ボイスがいまいち似合わなくなりそうで辛いです…

その後も俺たちは練習を続けた。
後輩たちばかりを相手にしていても仕方ないということで咲に挑んでみたが、
チーをしようとしたらその牌をカン、更にカンもいっこカンからの嶺上開花である。

流石に腹が立ったので京ちゃんモードで毟ってやった。

「いや、おかしいでしょ京ちゃん! 練習の趣旨が変わってる!」

ごめん、つい。


続いて優希と。
リーチをかけてきたので一発消しを兼ねて一鳴き。
……したはいいが、結局優希は次の手番でツモ。確認したら鳴かなくてもツモられてた。

腹が立ったので京ちゃんモードで毟ってやった。

「いやだからおかしいじょ! いい加減にするじぇ!」

……ごめん、つい……。


「では、次は私が相手になりましょう」

まあ、よく考えたらデジタル対策に練習してる戦法なんだから和相手に試すのが普通だよな。
……う、悪かったって。咲も優希もそんな目で俺を見るんじゃない!
さぁて気を取り直していきますか。後輩二人はともかく和を相手に、どこまでやれるかね。

「サイコロ回しますよー」

……ま、配牌は悪くない。純さん理論で言えば、現状のところ流れは悪くねえ。
だがしかし、こりゃ駄目だ……見た感じ、和の配牌はもっといい。
純さんの指導のおかげか大まかな状況の良し悪し程度なら見て分かるようになった。

ま、それならそれで鳴いて流れを変えるのみ。
それが俺の、プラスアルファだ。
……ポンッ!

「そんなとこ鳴きますかー」

おうよ……あ、それもポン。
今のところ喰いタンが本線、上手いことやれば三色同刻もってところかな。
全然悪くはないんだが……和が更に先を行ってるっぽい。
やっぱり和本人から鳴かないと和の流れは変えられないか……?

「リーチ」

……っ、ポンッ!

「須賀先輩、それは流石に無理鳴きでしょ……?」

まぁな。
これで三色同刻は確定とはいえ雀頭候補がなくなった。
ただし……和から鳴くことには成功した。
ここからが純さん直伝亜空間殺法の本領だろ!

和のツモ番を引き継いでから一発目のツモで早々に雀頭を確保して聴牌。
更に俺のツモを引き継いだ後輩から……ロンッ!

「うげっ、ここかよっ!」

まぁ嵌張待ちの筋引っ掛けになってたからな。
諦めて支払いよろ。

「くそぅ、最近の京太郎さんなんか余裕ぶっててムカつくっ」

はっはっは、悔しかったら早いとこ俺に追いついてくれよ。
ちなみに俺に追いついたらその先には和と咲と優希がいるわけだがな。

「なんというクソゲー」

ははは、無理ゲーと言え。
ちなみに俺は今その無理ゲーに挑んでるところなんだけどどう思う?

「……早く続けません?」

ごめん和っ!

……さて、気を取り直して。何回取り直せば気が済むんだって話だが。
さっき無茶苦茶な鳴きで強引に和了ったせいか、今度は配牌が酷過ぎて話にならん。
八種十一牌とか確実に運の神様とかに喧嘩売られてるだろ。

「むぅ。リーチで」

あ、真面目君それポンな。
ちょっとずつでも流れを取り返していかないと、でかいのを和了られかねない。
……あ、チー。

「お。ツモッ」

……ふぅ、ナイス双子兄。上手い事真面目君のリーチは躱せたみたいだな。
あの程度の安手ならいくらでも取り返せるし……さて、頑張るかっ。


「……はぁ、流局ですね。聴牌です」

俺はノーテン。でもどうにかこうにかトップは死守してやったぜ。これはこれで物凄い神経使ったけど……。
まあ、やっとこさこれも俺の戦法として取り入れられるくらいにはなったんじゃないかな。

「いいんじゃないですか? さっきも言いましたがデジタルの観点で完全にアウトという手は打っていないですし」

「京太郎さんが鳴くと悉く手が止まるんすよねー」

いやまぁそういう鳴き方を教えてもらったわけだから、ちゃんと機能してくれなきゃ困るよ。
けど、これで俺の打ち筋はほぼ完成と言ってもいいかな。あとは精度を高めていくだけだ。

「やったね、京ちゃんっ」

「ま、褒めてやるじぇ」

……うん、ありがとう。でも和の目が怖いからそこまでにしてくれ。
大丈夫だって和、俺だって流れとか眉唾ものだと思ってるから! な?

「怖い目なんてしてませんっ」

あ、はい……。

そんなこんなで冬合宿は終了。
俺個人としてはこの上ない収穫があったが、後輩たちはどうだったのだろうか。
思い返してみると、俺や咲あたりに蹂躙されてばかりだったような気もする。

「宮永先輩はともかく須賀先輩相手なら十分練習になってますから大丈夫ですよ」

「むしろ宮永先輩と比べると京太郎さん(笑)って感じっすから大丈夫っすよ」

「今年こそは足手まといにはなりませんからねっ」

そうか。そういうことなら、気が早いけど団体戦のオーダーでも考えるかね。
あと双子は帰ったらまた飛ばす。
よし、じゃあ出るぞー。お前ら忘れ物とか大丈夫か? そいじゃ、出発ー。


……はぁ、やっと着いたか。合宿は楽しいけど帰りがしんどいよなぁ。
母さん、ただいまー。

「おかえり。合宿はどうだったの?」

ま、上手くいったんじゃないかな? 俺としては大満足だよ。
これなら夏の大会にも期待できそうだ。

「はぁ。あんた最近麻雀麻雀って……もうすぐ受験なのよ?」

う、うん。
でも、まあ、授業はちゃんと受けてるし課題も出してるし、そっちに専念するのは引退してからでも遅くないだろ?

「いいんだけどね。とにかく後悔することがないようにしなさいよ」

わかってるって……はーぁ。言えねーよなぁ。

プロ雀士目指したいとか。
正直何言ってんだこのアホはって話だもんなぁ。
我ながらとても馬鹿なことを考えていると思う。
それでも、諦めたくないから。俺の努力でどうこう出来る範囲内にその位置があるなら……。

俺はいつまでも、和の近くで麻雀を打っていたいから。

>>332
次回作のネタ案の一つなんだよなあ

>>335
ふたばのログで見た。画像は保存してないわごめんね


このSSの京ちゃんが1~2年の間、インハイに向けた願掛けで髪を伸ばしてたという死に設定。
インハイ予選前に「すっかり伸びていた髪を~」って描写があるのはその名残。長髪男性キャラが好きですまんな
それじゃ俺は今から安価スレ追ってくるから! その間に感想とかくれるといつも通り泣いて喜ぶよ!

乙~酉外し忘れずにな

後はポンすると牌が光輝くようになれば完成だな



最近ふたばはログサイトが死んでるから注意な

大分、対応力はついてきたのかな

最近の京ちゃんの顔で長髪とか女性にしか見え……

一人ぼっちで鍋の煮込みラーメンを啜りながら投下する夜も悪くない。

ここで問題。
京ちゃんの集中モードの演出はカズキくんでしたが、
京ちゃんの亜空間殺法の演出はいったい誰になるでしょうか。
答えは多分今回の投下で分かる。と思う。

そして、遂に。
俺達は三年生になった。

去年は県大会で負けてしまったため新入部員の数は減ってしまったが、
幸い既に団体戦に必要な人数は揃っているので問題はない。
あとは俺達がいかにして全力を出し切るか、だと思う。
今更新たな技術や戦法の習得なんか望めるはずもないし、ひたすら今の打ち方の精度を上げていくしか……。

「そーんなことで全国を勝ち進めるとでも思ってるのかしら? 須賀君っ」

た、竹井先輩!? お久しぶりです。今日はまた、どういった御用で?

「ふっふーん、今日はなんと……須賀君のために先生を連れてきました!」

……ほう。話を聞きましょう。
また俺の後輩でも虐めに来たのかと思ってましたよ。

「私を何だと思ってるのよ。美穂子、入っていいわよー」

美穂子? 美穂子って……まさか風越の福路さん!?

「そうですよー。うえ……いえ、竹井さんとは大学で同じ学科なんです」

パねえ! 相変わらず先輩の人脈ハンパねえ!
プロ雀士は顎で使うわ他校のキャプテンのクラスメイトになってるわ、この人脈がどこからくるのか分からない。

「企業秘密よ。出来れば和や優希の特訓相手も連れてきたかったけど、流石に都合がつかなくてね」

はー。むしろ和や優希の特訓相手にアテがある時点で尊敬しますよ、俺は。
でもまあありがたいっす。やっぱり最後の大会と思うと緊張するし、出来ることなら何でもやりたいと思ってたんで。

「聞いてるわよ須賀君、最近デジタルとオカルトのハイブリッド打ちになりかけてるんですって?」

もはやわけがわからねえ。なんですかその能力バトル漫画みたいな肩書は。
いや、言いたいことはわかるけど……「流れ読んで鳴く」とか確実にオカルトの領分ですし。
でも和の目が怖いんでその話はやめてください、お願いします。

「だから、怖い目なんてしてませんっ」

「ふふ、生徒さんを取っちゃってごめんなさいね?」

「!?」

おぉ、和が手玉に取られている。そうそう見れない光景だな。
……ああぁぁぁああ慌てる和が可愛いとか考えてる場合じゃねぇだろ俺ぇぇええ!

「……はっはーん。面白いことになってるわねぇ、ウチの後輩たちも」

「竹井さん、悪い顔してますねー……では、打ちましょうか」

というわけで、竹井先輩の粋な計らいにて相当の打ち手である福路さんに鍛えてもらえることになった。
彼女の売りは、確か観察……だったか? 相手の様子や癖を観察して、最善手を導き出す。
和に習ったデジタルとも、純さんに教わったオカルトとも少し違うような気がする。
つまり、俺にとっては未知の領域。

……ここまで考えて福路さんを連れてきたのかね、竹井先輩は。
だとしたら冴えてるってレベルじゃねえな……あ、それポンです。

「……!」

福路さんには感づかれたか? そういえばあの時、福路さんは純さんと同卓だったっけ。
こりゃ完全にバレたかね……でも、それチー。

「くっ、東場の私に先んずるとは小癪な……!」

……優希、それロン。

「じぇーっ!?」

「……おぉー」

分かり易いな福路さんっ! いや、感心してくれてるっぽいのは嬉しいけど。
なぁんか、嫌な予感がするんだよなぁ。


「……はい、ロンです。須賀君のトビで終了ね」

ぐえー。嫌な予感的中じゃねえか。
純さんの意趣返しとはいかなかったか、残念だ。

「須賀君の場合は、やろうとしていることが見え見えなのよね」

はぁ。癖とかそんな感じでしょうか。
そんな変わったことをしているつもりはないんですけど……。

「んー、癖、というほどのものでもないと思うけど。私、観察は得意だから」

「大胆に鳴くときほどより慎重に、ただ手を進めるためだけの鳴きを敢えて仰々しく……って感じかしら?」

うげえ、バレバレじゃねえか。
最後の大会まであと少ししかねえってのに、このタイミングで弱点発覚とか……うわあ。

「ああいや、弱点というほどのものではないと思うわ。手前味噌だけど、私くらいでなければ気付かないでしょうし」

「今日来たのは……この観察と、それに基づいた打ち方を、須賀君に教えるためなんです」

……えっ?
風越の元キャプテンが、俺に?
いやいやいや、いくら竹井先輩のお知り合いとはいえ、えええっ?

「あら、迷惑だったかしら?」

まさかそんなことは。俺としては得することしかないっすけど。
いやでも、いいんですか? 逆に、福路さんにはなんの得もないと思うんですけど。

「ま、そこは私の交渉術ってやつよ。感謝しなさい須賀君」

「ふふっ。竹井さんたってのお願いとあらば、ね」

やばいよこの人。聖人すぎるよ。絶対ヤバいアレに騙されるタイプだよ。
いや、有難いんだけど。本気で有難いんだけどね?

「……それに、今年の男子の部には、『神に愛された子』が出場するらしいわ」

……神に、愛された子?
咲とかを指して牌に愛された子ってんなら聞いたことがありますけど……。

「東京の無名校に所属する打ち手よ。白糸台の男子部と練習試合をやって、その子一人だけボロ勝ちしたとか」

「そんな圧倒的な才能を持つ魔物に、ウチの凡人代表須賀君が勝ったら……さぞ愉快だと思わない?」

そりゃ、確かに痛快だとは思いますけど。
聞いた限りだと、現実問題かなり厳しそうですね。
やっぱり相当のベテランだったりするんですか?

「いえ、その子が麻雀を始めたのは今年からだそうよ」

はぁ!? 今年からァ!? この俺でさえもう今年で三年目ですよ!?
牌に愛された子とか言われてる女子だって麻雀経験がなかったわけじゃないでしょうに。
そりゃまた一体全体どういうわけで……。

「だからこそ『神に』愛された子ってことよ。牌譜は一応ゲットしといたから目を通してみなさい」

もうその牌譜をゲットしたコネについては突っ込みませんよ。こっちの理解が追いつきません。
じゃ、問題の牌譜だけど……うへぇ、こりゃ本当にハンパねぇな。
高目安目のある手なら確実に高めで和了り、あと一役で満貫、跳満ってときには確実に裏を乗せる。
万能すぎて、とてもじゃないけどどんなオカルトでこれをやってるのか分かりやしねえ。

「それが違うのよ須賀君。彼は、オカルト打ちじゃない」

「デジタルもオカルトも、全てひっくるめて覆してしまうほどの豪運の持ち主……それが彼」

「だから、須賀君。神に愛された子……『天龍寺行仁』に、京ちゃんモードは一切通じない。そう考えたほうがいいわ」

今回はここまでー。

ところでアレだ、うちのSSの京ちゃんの髪の長さは、Dグレのアレン君を想像すると丁度いいかもしれない。適当だけど。
丁度リナリーとのどっち両方ツインテだし。両方連載途中で髪型変わるし。両方休載するし。
……あれ、ウチののどっち、なんか初期のリナリーの影響を結構受けてる気がしてきた。

乙やで
ツインテ・ミニスカ・ニー(ハイブーツ)ソックス その内短髪にでもなるんです?

乙ーん

よーし今回トップとったら昇段だー

と思って天鳳打ったら東一でトバされた件。俺の相手はタコスか何か?

●アラフォーとデート

「突撃、隣の高校生雀士! 司会は敏腕アナウンサー、福与恒子でお送りいたしまーす♪」

「相方はいつも通り、私小鍛治健夜が務めさせていただきます。今日は誰を訪ねるんでしょうか」

「今回の相手はなんと! インハイ個人戦初出場! 魔王と名高い宮永咲選手を擁する清澄の男子選手、須賀京太郎選手ですよ!」

「魔王とか言わないであげて!?」

「というわけで既に須賀君には出て来ていただいていまーす!」

「うえぇ!? ちっとも訪ねてないけどいいの!? 呼び出しちゃってるけどいいの!?」

「いいんじゃなーい? ぶっちゃけ交渉とかアポとかは私の管轄じゃないので分かんないわー」

「一ヶ月前に連絡があったからちゃんと今日は練習休みにしておいたんで、大丈夫ですよ」

「現役アナウンサーよりも高校生のほうが人間出来てるんだけど!?」

「もう、こーこちゃんと一緒にいるとツッコミ疲れるよ……」

「アラフォーだからね、ちょっとしたことで疲れても仕方ないね」

「アラサーだよ!」

「おぉ、生コント」

「お恥ずかしいところをお見せしてごめんね……」

「そいじゃまあ、街に繰り出そうかー」

突撃、隣の高校生雀士。
ウィークリー麻雀TODAYなんかで話題になってる高校生雀士を(ちゃんと事前にアポを取って)訪ね、
プロ雀士と交流してもらうという趣旨でお送りする全国ネットの人気番組である。

この番組の特徴は宮永照や原村和のような既に有名な選手ではなく一見埋もれがちになる地味な選手を発掘することで、
特に二年生の選手を訪ねるときは来年のインハイに期待できる選手が出てくると玄人ファンの間でまことしやかに囁かれている。

そんなわけで、結局のところ残った記録は団体戦予選一回戦敗退と個人戦決勝リーグ敗退でしかなかったとはいえ、
先鋒として驚異の成績を叩き出した京太郎にお呼びがかかったのはまあ不自然なことではなかった。

「……とはいえ、俺別に強豪校のエースの人とか、ウチの和と違ってこういう経験ないんですけど……緊張するなぁ」

「ははは、気にしないで大丈夫だよ。ぶっちゃけこの番組地元自慢とかして終わりみたいなもんだし」

「こうして散歩でもしながらお話を聞かせてくれたらそれでオッケーなところあるからさ」

田舎の街を三人で歩く様子を撮影しているだけというまた珍妙な番組だが、
プロ雀士とアナウンサーのコンビ漫才だけでも最低限番組としての体は成しているので良し、らしい。

「須賀君は麻雀始めてどれくらいなの? あれだけの活躍をするのに一年生の頃は特に名前を見なかったのも気になるな」

「麻雀始めたのは高校からですね。恥ずかしながらルールも全然知らなくて……去年は個人戦に出て、予選でトバされて終わりでした」

「高校から! っはー、信じらんないねー。すこやんはいつからだっけ。三十年くらい前?」

「直接表現しなくても言ってること一緒だよ! アラサーだよ!」

「はは……まあ、いい先生がいてくれたのが救いでした。おかげでこれだけ強くなれたので、俺の先生には感謝してます」

「先生ねー。調べたところによると清澄の麻雀部は顧問はいても監督はいなかったはずだけど」

「んでもって男子部員も須賀君から見ると後輩しかいなかったはずだよね。これは気になるなー」

「しまった!? 余計なこと言った!」


(すこやん、楽しそうじゃん。いや須賀君背ェ高いしイケメンだしまあ私も楽しいけど……)

「……じゃ、来年こそは全国、かな?」

「そりゃ勿論ですよっ」

「ふふっ、なら本当に全国出場決めたらお姉さんがご褒美をあげよう」

「気の長い話ですねー。多分俺忘れてますよそれ」

(……お願いだから、犯罪だけはやめてよねすこやん……)

ごめんやるとは言ったけど流石にアラフォーとデートはどう転べばいいのか思いつかなかった。
だからこーこちゃんがついてくることになったけど許してくださいオナシャスなんでもしますから!

ん?

何でも

するって

言ったよね?

(ゲス顔)

おまえら…

ここまでワンセット

何でもするって言うと普段SS書いてる時よりレスがつくという都市伝説。
都市伝説イッチが万が一ここ見てたらこの都市伝説の対抗神話教えてくれませんかね

いいだろう、なんでもすると言ったからにはなんでもしよう(ただしこのSSの世界観内の出来事に限る)
>>367

踏み台

のどっちにラキスケ

なお満更でもない模様

バレンタイン 嫉妬する和

>>367め、やりやがった

……あののどっちがラッキースケベ喰らって満更でもなくなるって、好感度ナンボほど稼げばいいんだろう。
婚約済ませてても怒られそうな気がするんですけお!

あと>>368スレ立てはよ! はよ! まだ日程的には余裕があるぞ!

●のどっちにラキスケ
 なお満更でもない模様

「ふあぁ~あ~……おはよう、和……」

「おはようございます、京太郎君」

世界麻雀U20大会に召集され、大会に向けた合宿に参加した京太郎。
清澄からは他にも和と咲が参加しているし、インターハイで見かけた顔もいる。
なお、世界大会編がこのSSで描かれる予定はないので悪しからず。

「なんつーか、しんどい。時差?」

「落ち着いてください、ここは日本です」

基本的に京太郎は朝が強いほうではないため、試合本番には程遠いこの時点では全く気合いが入っていないようだ。
反対に和は既に準備万端。今から試合ですと言われても対応できそうな佇まいである。
たぶんその辺の差がこの不幸な事故を生んだのだろう。

「ふあ~ぁぁあ……」

「もう京太郎君、いい加減目を覚ましてください」

「わかってる……ふあぁ~……うげっ!?」

何かに躓いてすっ転ぶ京太郎。
隣を歩いていた和は当然それを助けようとするが、
流石に体格差やあれこれ的にそれは無理だった。

ドンガラガッシャ―ン!!

「なんだ!?」

「何事だ!?」

「すげェ音したぞ!」

フロア中に鳴り響く騒音!
集まる代表選手たち!
そこで彼らが見たものは!


『……!?』

期待の男子選手須賀京太郎(が転ぶのを助けようとしたが体重差で引っ張られ自分も転んでしまったがために彼)を
押し倒して(いるようにしか見えないうえに不幸な事故の結果)キスまでしている有名アイドル雀士原村和の姿であった!

「あっ…(察し)」

「これは(須賀を)教育やろなあ」

「これは(原村を)教育やろなあ」

「京ハギじゃないんですか(憤怒)」

「大松「ハギ京だろ」」

「なんでホモが湧いてるんですかねえ……」

現場を目撃した選手の反応は様々であったが、とりあえず。

「……目、覚めましたか」

「……これ以上なく、はい」

当初の目的は達成できたということで、二人は無理矢理納得するしかなかった。

まあこの辺が落としどころなんじゃないですかね(震え声)

残りの小ネタも完成次第投下していくので、今日のところはこれでさいなら~

久々に来たらやっぱりホモスレじゃないか(歓喜)
やっぱ好きなんすねぇ

金輪際ラッキースケベネタなんて書かへんで!
本編進めるのよー

……話は分かりました。福路さん、ご指導よろしくお願いします。

「ふーん、案外素直なのねー」

マジな話、これがラストチャンスですから。
俺だって竹井先輩ほどではないけど真剣に麻雀やってるわけですし、
最後の最後くらい、自分の力でトロフィーを持って帰りたいですから。

「その意気ね。さーて、じゃあ私も一肌脱ぎますか!」

「竹井さんは打ちたいだけでしょう? ふふっ……じゃあ、始めましょうか」


「……ふぅ。私から教えられることは、このくらいかしらね」

あ、あり、ありがとうございました……。
ヤバい脳みそ破裂しそう。頭おかしくなる。
けれど……不思議とやってることはしっかり頭に入ってきた気がする。

何はともあれぐでぐでの身体をしゃんとさせて福路さんと竹井先輩が帰るのを見届けてから、俺は部室のベッドに倒れこんだ。
それを見かねてか、練習中からこっちをちらちら見ていた和が話しかけてくる。

「大丈夫ですか、京太郎君」

大丈夫じゃない。けど大丈夫にしなきゃならねえところだな。
大会までにはこれもきっちりマスターしてやるさ。

それにしても、神に愛された子、なぁ。
俺みたいな凡人からしたら羨ましいを通り越してもうわけがわかんねえや。

「今の京太郎君なら、勝てない相手ではないと思います」

ん、そう言ってくれると嬉しい。
和のためにも、今年こそ活躍してみせるぜ。

「な、なんでそこで私のためになるんですか……」

……気にしないでくれ、失言だった。
俺のモチベーションの話をわざわざする必要はないな。

そして迎える、俺達の最後の夏。まずは団体戦の予選だ。
オーダーは去年から変わって俺は大将に回ることになった。
あいつらも一年かけて十分に成長したし、個人的に大将ってポジションには憧れがあったしね。
……出来れば副将をやりたいとか思ってたのは、内緒の話だけど。

さて、後輩ども。去年の雪辱戦だ。
思う存分相手を毟ってこいっ!

『おーっ!』


「リーチ。……お、一発ツモッ」

先鋒。双子の兄のほう。
面前派ゆえの高打点が売りだが安定感に欠ける。
しかし、あのお調子者が二年かけてひたすら地力の向上に努めてきたんだ。
今更地方予選の一回戦で遅れをとるはずがない。


「……ロン。7700」

次鋒。地味男君。
大崩れしない安定感が売りだが和了率が低い。
その分こいつには、一度の和了りにおける打点を上げることに専念してもらった。
ひたすらに地味で堅実な闘牌をする今のこいつを毟れる奴なんて、そうそういないだろう。


「ポン。 ポン。 ……あ、ツモだ」

中堅。双子の弟のほう。
鳴き派である分兄より更に安定感に欠ける。
しかし俺と一緒に純さんの特訓を受けたこいつが、今更鳴き時を間違えるはずがない。
地力の高い奴が置かれることが多い中堅戦を、得意の鳴きで引っ掻き回してこい。


「ツモッ! 満貫ですっ!」

副将。真面目君。
教科書通りのデジタル打ちだがメンタル的に弱いところがある。
その分地力では俺に次ぐほどの実力者なので、あいつが一番安心できるという「俺の直前」に置いた。
不安や緊張から解放されたあいつは……全国でも有数の打ち手なんじゃないだろうか。

……さて、俺の出番だな。
点差的には既に決まったようなもんだけど、まあ見とけよ。

「期待してます、須賀先輩」

初めての大将戦。順位はダントツ。
……わざわざこんなところで集中モード使って疲れる必要もねーな。
鳴き麻雀で早々に終わらせてもらうぜ。
反撃の流れなんぞ、作らせねえ。
……それ、ロンだッ!


よっし、一回戦突破ー。二回戦に備えてとりあえず休憩だ。
お前らも軽く飯食うなりなんなりしとけよー。

「了解っす。でも京太郎さん全然稼いでなかったっすよね」

「流しまくってましたよね」

うっせ。あそこで本気出す必要はなかったんだからいいだろ。
とにかくお前ら、よくやったよ。期待以上だ。
長野の男子戦はレベルこそ高いが、咲みたいな魔物枠はいねえ。
それだけで勝負を決してしまうほどのオカルト持ちもいねえ。

今の俺達なら、全国も十分射程圏内だ。
気張っていくぞ!

一回戦を完全勝利で乗り切った俺達は、そのままの勢いで団体戦優勝を決めた。
女子団体戦も、龍門渕の天江さんや風越の池田さんといった強豪が引退した今、
予選レベルでウチの女子部員たちの敵になるような人はいなかったようだ。

そして個人戦。集中モードに加えて更に鳴きと観察という強みを手に入れた俺に敵はおらず、
夢にまで見た一位通過で全国行きの切符を手に入れることが出来た。
正直、あまりにあっさり過ぎて現実感がない、のだけれど……。

「おめでとうございます、京太郎君」

表彰台から戻ってきた俺を迎えてくれた和の言葉だけは、
はっきりと俺の脳内に刻まれた。


……あー。そっか。全国行けるのか。
雑用じゃなくて。応援でもなくて。俺が、麻雀を打つために。

「なーにを当たり前のことを言ってるんだじぇ」

俺にとっちゃ特別なことなんだよ……。
ヤバい、ヤバいヤバいヤバい。すっげぇテンション上がってきた。

「ふふっ。私も、初めてトップになったときはそうでしたよ」

あ、やっぱそういうもんなの? あぁ、嬉しいなぁ。和と一緒かぁ。
……でも、これはあくまでスタート地点。浮かれてばかりもいられない。

「牌に愛された子、天龍寺……だったっけ。京ちゃん、大丈夫なの?」

いや、全然。つーかまず、そいつと当たるまで勝ち続けなきゃいけねーからな。
不安しかないけど、それでも頑張るしかないさ。


……そう。俺の夢を、叶えるためには。勝ち続けるしか、ないんだ。

今日はここまでー。
展開的にはそろそろクライマックスかもしれない。
でもむしろそんなことより、書き溜めの残量がクライマックス。


女子部員はどんな感じなんだろ
三人娘以外は普通の打ち手くらい?

マホ(1年)とムロ(2年)じゃね?

追っかけて清澄に入りそうだし、揉まれりゃ中々の実力になるだろ



揉まれてってそういう

おつ

文堂さんの覚醒無しか

>>380
最終的には原作の全国編でキンクリされちゃう勢程度には強くなったんじゃないですかねー。
ってかそれくらいは強くなってもらわないと、流石に勝ち抜けないよね。

>>383
覚醒しても咲さんには勝てんやろ、流石に。しゃーない。
女子編とか書いたほうがいいのかね?


投下するよー


夢。
夢ってなんだ。
寝てる間に見るアレだろ?

少なくとも、高校に入学したころの俺ならこう言っていただろう。


夢。
夢、なあ。
叶ったら嬉しいけど、そうも言ってられねえよなあ。

恐らく、去年までの俺ならこう言っていただろう。


けれど。
友人に背中を押されて、想い人にも認められて。
それでも自分に嘘をつけるほど、俺は強くはなかった。

麻雀を続けていたい。プロリーグという、大きな舞台で。
もし叶うならば――和と、同じ場所で。

俺ごときには巨大すぎる夢だけど。
俺ごときには無謀すぎる夢だけど。

それでも。
今この場で勝ち続けることで、その夢に一歩近づけるなら――

……インターハイ個人戦予選。
個人戦では膨大な数の選手が集うため、全国でも予選と本選が行われる。
一回きりの予選で勝ち抜いた選手が、本選で雌雄を決することになるのだ。
出来れば予選から全力を出すのは避けたいところだが、そうもいくまい。

――集中。完全な一手のみを打ち続け、超能力を押さえつけ……トドメの一撃を放つ。

――鳴く。流れを読み、流れに乗り、流れに逆らい、流れを律し……流れを断ち切る。

――視る。相手の一挙手一投足から、息遣いから、牌の並べ方から。全てを見抜き、最善の一手を見つけ出す。

およそ俺の長所と呼べるものを総動員して、どうにかこうにかだったけど……これで決まりだな。
……ツモ! 4000オールだっ!

『決まったー! あの宮永咲や原村和と同じ高校から初出場した須賀選手、見事予選Bブロックをトップ通過ーっ!』

『一つ一つの精度はまた別にして……ああも多様な打ち方をされると、相手は苦しいでしょうね』


予選を勝ち抜いた雀士は全部で32人。
それを4人ずつに割り振り、その中の上位2名が勝ち抜きとなり準決勝。
そして、準決勝でトップになった4人が戦う――決勝。

今回の大会で一番の注目株である『神に愛された子』……天龍寺行仁は、
トーナメント表で俺と同じ側にいる。俺が勝ちさえすれば、準決勝でぶつかることになるだろう。

けど、まずは……この一回戦を勝ち上がることだ。

上家には非オカルトながら鋭い読みと強いツモ運を誇る、大阪の正統派雀士……小倉智彦。
対面にはバリバリのオカルト派、ある一種類の牌を手元に来ないようにする能力を持つ貝塚航平。
下家にはこれまたオカルト派、素数の巡目に和了ると確実に裏ドラが乗る能力を持つ、岩下仁。

相手にとって不足はない。
たった半荘一回で終わる勝負だ、出し惜しみなぞしていられない。
予選で既に俺の手札は見せ切っている。
開幕初っ端東一局から――トップギアで行くぞ……!

(まずは流れを掴みたい。オカルト二人は一手や二手でどうこうなるタイプじゃないし、最初はこいつだ)

「……ポンッ!」

京太郎はまず、場の流れを断ち切りにかかった。
ノーガードで打ち合えば、恐らくは火力の高い打ち手である小倉が一番強いだろう。
ならばまずはその流れを奪いつつ、鳴きによって早和了りを目指すのが恐らくは正着。
そう考えての行動だった……が。


「リーチ……!」


想定外の方向からかかる宣言。
それは京太郎から見て下家――素数巡の和了りに裏ドラを乗せる、岩下からだった。

(しまった……素数巡ってことは、単純に考えて序盤が危ないってことじゃねえか!)

「……ツモ! リーチツモに……裏が3で満貫だっ!」

そして5巡目――岩下が見事ツモ和了り。
本来なら2000点にしかならない安手が、捲られた裏ドラによって満貫まで押し上げられる。
京太郎にとっても他二人にとっても完全に出鼻を挫かれた格好になった。

(まずいっ、このままじゃ完全に流れを持ってかれるぞ……!)

続く東二局、親は大阪の小倉。
天龍寺には及ばないものの相当な強運で、正統派の高火力を誇る。
先程見事に自分の能力を発揮した岩下と合わせて、流れには乗せたくない相手だ。

(……流れが来てない今じゃ、あんまり効果的とは言えないが。あんまり我儘は言ってられないなっ)

一つ大きく深呼吸し、シャツの胸ポケットの、その中身を握り締める。
京太郎の原点である最高状態――集中モードが、発動した。

(とにかく今は落ち着くことだ。幸い親番でもないしまだ東場。多少和了られても構わない)

(……まずは、相手を見極める……!)

配牌。牌効率。河。京太郎の場合は、それに加えて相手の表情や癖。あらゆる情報から最善手を見つけ出す。
人間の集中力を逸脱したこの状態は、福路美穂子から教わった観察技術を活かす布石として最高だ。

(清澄の須賀……オカルト能力を封じ込める、か。どう出るだろう)

(なんや気に入らんなあ。俺は相手するまでもないっちゅうんかい)


「リーチやっ!」

「……んでもってドーン! 一発ロンの満貫やでー!」


直前に和了った岩下からの直撃。
全くもって正統派、としか言いようのない正面突破だった。

(ま、それは計算通りだけど……どこまで続くんだこれ)

「ツモォ! 3900オールの一本場ァ!」

「ロンや! 3900の二本場ッ!」

止まらぬ猛攻。流れに乗せてはいけないタイプ、という予想は大正解だ。
このままでは何をどうやっても縮まらないような差をつけられかねない。

(……はぁ、もうちっと待ちたかったけど)

会場にいる数多の観客が抱く今のこの卓のイメージは、恐らくこうだ。
雑草一本生えていない、視界を遮るものなど何もない王道覇道の一本道。
そこを小倉がひた走っているのだ。他の三人は、おそらくその遥か後方で息を切らしているだろう。
そのイメージは、決して間違ってはいない。


しかしそのイメージに映る京太郎の姿は、幻だ。


効果的な鳴きによって加速した京太郎の手牌は、既に小倉の満貫手に追いついている。
そのまま水面に映る月のように……しなやかに、静かに、密やかに。
小倉の前へと回り込み――その一本道を、場の流れを、そして彼の連荘を。
一太刀のもとに、断ち切った。

「……ロン。8000は8900」

「んなぁ!?」

場の流れというオカルトチックなものを読み切り従え利用する。
一年前に純から教わった亜空間殺法の才が、完全なる完成を迎えた瞬間だった。

(案外三年生ブーストってのも馬鹿に出来ないのかもな……とにかく、連荘だ)

「……ツモ、1000オールです」

京太郎には、よほどのバカヅキでもしなければ高い手など来ない。
だからといってそれは、他の三人に稼ぎ負けることを意味しない。

「ロンです。3900は4200」

面前ならただひたすらに最善手を辿り。
鳴くならただひたすらに良い流れを追い。
シンプルに打ち続けていくだけだ。

「……ツモです。1600オールは1800オール……!」

しかし。
こうして連荘することにより試行回数を重ねる危険性を。
そして、集中モード唯一の弱点を。
京太郎は、把握していなかった。

今日はここまでー。
京ちゃんの亜空間殺法…流れを切る…斬る…これは中の人ネタやろなあ
咲は和了るのに過剰演出が許されるからこういう妄想が捗る。

いつも通り感想レスやこんな展開が見たいとかの要望、展開予想なんかは大歓迎なのよー。

乙~これはガス欠フラグやね

その中の人ネタだとエネルギー吸収するようになるのかしらん



褐色に蛍火の髪な京ちゃんか

もっとレスがほしいのよー(´・ω・`)

SS書きなんてちょっと煽てられれば何でも書くようなかまってちゃんなんだから、
一、二行の感想をつけて書いてほしい小ネタでも落とせば大体書くのよー。
当SSは誰でもウェルカムなのよー。

京ちゃんモード。
京太郎の集中力が限界点を越えた際に発動する、彼のオカルト能力。
絶大な疲労を伴う代わりにミスを排除した完全なるデジタル打ちを実現させる。
それとと同時に、他者のオカルト能力を阻害する能力を併せ持つ。
ただし――それはあくまで、京ちゃんモードが発動していればの話である。

京太郎は基本的に、疲労を抑えるために配牌を見て、その局の見通しを立ててから集中モードを発動させる。
つまり例えば東場かつバカヅキをしているときの優希のように、配牌にまで干渉する能力に対しては全くの無力なのだ。
勿論ダブルリーチでもかけない限り、配牌だけが良くても大した意味は持たないのだが……今回ばかりは話が違った。

京太郎の対面に位置する男、貝塚航平。
その能力は特定の牌が手牌に来ることの拒絶。
牌の種類は本人にも制御できないアトランダムで、
萬子だったり、字牌だったり、さもなければ緑色の牌だったりする。

そんな彼の能力が何十、何百局に一回ほどの超低確率で発動させる、最強の形があった。
それは――数牌の、拒絶。


(……し、しまった――!?)

異変に最初に気付いたのは京太郎。
流れに乗って早和了りでの連荘を目指した矢先に、流れがごっそりと持って行かれたのを感じる。
その流れは形を変えて轟々と唸りを上げ、真向いの席へと流れていく。
集中モードによる阻害を試みるが……既に手遅れだった。

鳴きも交えて手を進め、最後は集中モードの阻害を受けながらも見事自分の運で和了りきってみせた、その手は。

「ツモ……字一色……! 8000・16000は8300・16300……!」

字一色。
手牌の全てを風牌もしくは三元牌、すなわち字牌で揃える見た目にも映える役満だ。
京太郎は親っ被りで三位に転落。流れを操る雀士としては最悪の状況に追い込まれた。

(まずい……まずいまずいまずい……! 落ち着け、落ち着くんだ……!)

しかし、一度手放してしまった流れはそうそう取り戻せるものではない。
貝塚が流れに乗って和了り、それに小倉が自慢の火力で追い縋る形になった。
それによってトビ寸前まで追い込まれた岩下もどうにか大きな手を上がることに成功するが、
京太郎だけが全くいいところのないまま、遂に最後の親番となった。

(あー……もう、最悪だ。どれだけテンパってんだよ情けない。和ならこんなこともあるまいに)

全国出場の経験がなく、麻雀に懸けてきた時間は実質二年未満。
実力こそ今となっては十二分にあるものの、京太郎は未だメンタル面で全国レベルに達していなかった。

(ま、幸運なのは今それに気付けたってことだろう……)

いいだろう、認めよう。
今相手にしているこいつらは、実力や能力とは次元の違うレベルで、
いわば雀士としての格そのもので、自分より遥か高みにいる。

(だったらそれで構わねぇ……俺の麻雀はいつだって追う麻雀だった……!)

(竹井先輩は理不尽な待ちで和了るし。染谷先輩と打つと全然好きなように打てないし)

(優希と打つと東場でトバされかねないし。咲と打つとカンカンカンでこっちの番が回ってこないし)

(和と打つと――いつだって、俺の弱さを思い知らされた)

(だったらこれも、いつも通りじゃないか)

そう。それをいつだって、京太郎は乗り越えてきた。
自分一人だけではなく――友人と、師と、先輩と、後輩と共に。

(自分一人の力でどうにもならないなら……皆の力を借りればいい。そうだよな)

深呼吸の後、軽く伸びをする京太郎。
瞬間――同卓している三人は、戦慄した。

『――っ!?』

今までは感じなかったほどの圧力。
いや――感じていた圧力の、変質?

京太郎が挑んでいたのは、自らの能力の制御。

集中モードは集中力を意識の外まで飛ばさないと発動できない。
流れを操るのは純の受け売りゆえ、それに専念しないとまともに扱えない。
観察眼など教わってすぐ急場で仕上げたおかげでそれを活かす方法がいまいち分かっていない。

そんな力を同時に扱うことなど出来やしない……そう考えていたのだが。

(……ま、ド初心者がこんな特殊能力使えるようになった時点で、無理も糞もねーだろってことで……)

(……行くぞッ!!)

「チー!」

「カンッ!」

「……ロン! 三色發で60符2翻、5800ッ!」

まず京太郎は貝塚と岩下の能力を集中モードで抑えつけつつ、小倉から鳴いた順子をつかった三色手を作り上げる。
運よく發が重なったことで一気に得点が跳ね上がった。しかしまだようやくラスを抜けたのみで、とても油断はできない。

(優希じゃねえが……この試合にオーラスは来ない。それくらいのつもりでやらせてもらう)

「ツモ――リーヅモピンフドラドラ、4000オールの一本場で4100オール」

「もう一発、ツモッ! ピンフツモ一盃口で1300オールは1500オールッ!」

「ロンだァ! 断ヤオ対々ドラ1で7700は8600ッ」

そしてそこからは大連荘。最後には美穂子の観察眼と純の鳴きを同時に使いこなして貝塚を原点近くまで押し戻した。
これで京太郎のトップ抜けはほぼ確定という状況になり観客のほとんどもそう思っていたのだが、
勿論のこと――対戦相手の三人は未だに勝利を諦めていなかった。

「チ……」

「カンじゃい!」

「んで、カン!」

「ポン! ……っしゃあ加槓じゃァ!」

三人のうち、動き出したのは大阪の小倉。二人と違ってオカルト封じによる妨害を受けていないことが幸いしたようだ。
配牌は七対子の一向聴だったが、小倉が選んだのは怒涛の鳴きからの対々和だった。

(この期に及んでチートイなんてめんどい手ェ狙っとれるかい! いやまあ、三槓子ついたのはラッキーやったけどな)

「……っしゃ、ツモォ! 混一対々三槓子の跳満、3400・6400や!」

そして状況はオーラスへ。
順位の上では京太郎がトップだが、二位の小倉との差はわずか3400点。
小倉は一心不乱に勝利だけを追い求めていた。

(……流れを追え。そして観察するんだ。オカルト二人が沈んでる今、もう集中モードは要らない)

「ポンッ」

対照的に、強者ゆえのプライドとかそういったものがまるでない京太郎は。
如何にして自分が準決勝に進むか。それだけを考えていた。
そしてその違いが、二人の勝敗を分けた。

「……あ、カン」

(和了れば勝ちやのに加槓……? おかしなことするやっちゃなー)

「ん。ポンで」

次々と手牌を晒していく京太郎。
今彼は、ひたすらに相手三人を観察している。
正確に言えば……三人の、手の進み具合を。

(見たとこ、小倉さんは思ったより手が進んでないみたいだな。まあそうなるように鳴いてるんだから当然だ)

(対して岩下さん貝塚さん……まあ、それなりってところか。二位抜けってルールで本当に良かった)

(……これなら、俺の勝ちだ)


「……カンッ」
 

今日はここまでなのよー。
このSS書くうえで一番苦労してるのはモブの敵キャラのオカルト能力を考えることやな
我ながら、咲本編に出てきても「なんやこれおもんなっ」ってなるような能力しか思いつかなくて辛いです…

おつー
能力はしゃーないね




能力案募集してみては?もう遅いかもしれんけど

乙ー

おつー
大分苦戦してるけどまだラスボスいるんだよねこれ

乙乙
能力に関しては他の麻雀漫画から拝借するとか

乙ー
この上がいるんだよな

乙だよー
はてさて京太郎はラスボスにどう立ち向かうのか


>>404
そら愛の力よ

おつおつー
>>405
石ラブラブ天驚拳とな?

誤字った、石破ラブラブ天驚拳や…

>>404
のどっちちゃんが導いてくれる

今までトばした雀士の霊魂パワーでウェイブライダー突撃かもよ

復旧の時間だああああああああああ

>>399
あー、それいいっすね。
書き溜めは確実にし辛くなるだろうけど…
次回作では考えてみる。

>>402
アカギとかを出すのが嫌だって理由でわざわざオリキャラまで作ったんだから、
能力もオリジナルで行きたかったんや。ちょっとしたこだわり。


今日は残ってる小ネタを落としていく

●久、部室ロッカーに潜入し部を様子見する
 なお京太郎にバレる模様

竹井久は面白いことが大好きである。
例えば麻雀でなら他の誰もしないような待ちで和了ることに至上の喜びを覚えるし。
誰も思いつかないような練習方法で後輩の実力が上がった時など身体が震えた。
清澄高校麻雀部を引退してOGとなってからも、その趣味は変わっていない。

(さーて、今日は講義が早めに終わったから顔を出してみたけど……普通に行っても面白くないわよね)

どうせ練習に参加するなら、何かしら部員を驚かせたい。
それ自体には全くもって意味などないのだが、まあ、趣味なのだから仕方がない。
他人に迷惑をかけていないのなら、趣味に口出しをすることはないだろう。
竹井久の場合は、わりと迷惑をかけたりもするのだが。
……まあ、越えちゃいけないラインだけは弁えてる人なので、大丈夫だろう。
たぶん、まあ、きっと。

(そーだっ、ロッカーの中に隠れて、皆が練習し始めたところでしれっと出てくとかどうかしら)

うん、中々いい案だろう。
普段は外から入っていっては一部の男子部員にうげっと言われるけれど、
ならば中から突然現れたらどうなるのか。うん、面白そう。
よーしそうと決まれば実践よ!


と、意気揚々とロッカーに入り込んでから数分、喋り声が聞こえ始めた。
そろそろか。いやでも、いきなり出ても面白くないわね。
しばらく待っていましょう。
皆が部室に集まって少し話して、さあ練習ってところで出るのが一番面白そうね。

「そーいえば京太郎さん、今日は竹井先輩来るんすよね」

「そだなー。まぁお前ら失言だけはすんなよ」

「うっす。それよか、今日は何を仕掛けてくると思います?」

「んー?」

可愛い後輩たちのその質問に、何故か須賀君が答えを言い澱む。
……ん? まさか今こっち見なかった? 気のせいよね?

「そだなー、あの竹井先輩ならまさか既に部室に入り込んで隠れてるとか、そんな古典的なことはしねーだろうなー」

えっ。

「そっすかねー。むしろありそうじゃねーっすか? なんかこう、部室掃除するかーってロッカー開いたらドーンみたいな」

「おいおい、あの竹井先輩だぞ? もっと俺達には思いもつかないようなことをしてくるにきまってるさ」

ちょっ!?

「それもそうっすねー。んじゃ練習始めますかー」

「おーう。竹井先輩が来た時に恥ずかしくないように皆で上手くなるぞー、おー!」

『おー!』

出てくに出てけないじゃないのよもぉぉおお!?

練習終了後、皆が帰った後の部室で京ちゃんは半泣きの上埜さんに怒られたとか。
うえのさんをなかせるなんてゆるせませんね

●京太郎の誕生日プレゼントにタコスを作るタコス

「優希ちゃーん。京ちゃんの誕生日プレゼント、どうする?」

「ん? タコスにするつもりだじぇ」

「……えっ? 聞き間違えたのかな、もう一回お願いできるかな?」

「タコス作るつもりだじぇ」

「……えっ?」

「ものっ凄い失礼な反応された気がするけど、心の広い私は許してあげるじぇ」


「いやな、最近の京太郎にはタコス作れとか頼み辛いし?」

「あー、まぁ最近の京ちゃん普通に戦力だしねえ」

「気付いたら自作してたじぇ」

「そこで自作しようって考えに至るあたり、流石だと思うよ」

「そういうもんか?」

「私は手元の本を読みつくしても自分で小説を書こうって考えには至らないと思う」

「それはまた話が違うと思うじょ」


「……ほいっ、とりあえず出来たじょ。味見してみる?」

「あ、貰う貰う~。いただきまーす」

「……あっ、美味しい……」

咲タコという組み合わせ。

●和と新婚生活

「っくぁあ~……おはよ、和」

「おはようございます、京太郎君。朝ごはん、出来てますよ」

「ありがと……いただきます」

「いただきます」

「……ふぅ、ご馳走様。それじゃ、今日も頑張ってくるよ」

「ええ、いってらっしゃい」

――ちゅっ。


「須賀君、調子はどう?」

「課長。問題ありません、順調です」

「あ、仕事のほうじゃなくて。新婚生活っ」

「あ、聞いちゃいますかそこ。相変わらずですね竹井さん」

「そりゃもうね~。まさか本当にくっつくとは思ってなかったもの♪」

「あんたホントいい趣味してますね……いやですね、本当ヤバいっす。和の嫁力ハンパないですね」

「あ、やっぱり? 高校の頃からあの子は化けると思ってたのよ」

「なんかもう同じもん食っても味が違うんですよ。昼に炒飯食って晩に和が炒飯作ってたら、俺喜びますからね」

「そこまでか」

「そこまでっすね。なんかもう、愛が違う」

「寒い、っていうか思った以上に惚気がウザい」

「いやいやマジなんですって。なんなら今度ウチ来ます?」

「あ、行く行く♪」

非リア充に新婚生活の描写はハードルが高いです(震え声)。
なお潜るもよう

上埜さんが出てきたのは俺の趣味。

上の方にあったから初めて覗いたけどおもろいやないかい!
続き楽しみにしとるでー

のどちゃんは公式で料理上手だからなぁ、そら同じ献立でも嬉しいわ

せまいところがおちつくってなんだろう
ねあれ

おっぱいデカくて気品があって料理が上手くておっぱいデカくて綺麗な嫁なんて最高じゃないか

みんな大好きだろう?
おもちは

【朗報】遂に書き溜めがエンディングまで到達

>>417
感謝…圧倒的感謝…!
SSへの賛辞はSS書きにとって至高の喜び…!

>>420
大事なことなので二回言いました

>>421
巨乳好きというわけではないのに好きになるキャラがだいたい巨乳な>>1の悪口はやめろ

次々と手牌を晒していく京太郎。
着々と手役を完成させる小倉。

そして、運命の13巡目。
この試合最後の和了宣言は――

「……ツモ……! リーヅモ三暗刻……裏を見ます」

現在トップの京太郎でもなく。
現在二位の小倉からでもなく。

――ダンラスの、岩下から発せられた。

「な――!?」

(まさか須賀ァ、これを狙って……!)

岩下が晒した手牌は、萬子の二、筒子の四、そして索子の八の暗刻。
リーチツモ三暗刻で4翻あるので、仮にこれら全てがドラならば、ぴったり数え役満となる。
そして京太郎が行った二度のカンにより……裏ドラは、三枚。

(まさか、まさか――!)

そして、岩下のオカルト……素数巡の和了りに、裏ドラを乗せる能力。
今彼が和了ったのは13巡目。条件は――満たされている。

 
 
「裏ドラ……9! 数え役満、16000オールッ!」

 

当然岩下は和了り止めを選択し、この試合は。
トップ抜けは岩下仁。
二位抜けは須賀京太郎という形で、幕を閉じた。


だっ……はぁぁぁああー。情けない声を出しながら、俺は椅子にもたれかかる。
疲れた。超疲れた。オカルト封じとオカルトの二段構えは流石にヤバかった。
普通に死ねる。

それでもどうにか立ち上がろうと苦戦していると、小倉さんが話しかけてきた。
見たところ、残りの二人は既に対局室を去ったようだ。

「完敗やー。他家を使うっちゅう発想はなかったわー」

ははは、俺には自分で勝負を決める程の実力も自信もありませんからねー。
もう一回やれと言われても出来ない自信なら、あるんですけど。

「はんっ、そこでその一回を掴む奴が強いねん。お見事やで」

「須賀も今年で引退かー。麻雀続けるんやろ? また今度打となー」

ええ、勿論。
俺の返事を聞くと満足そうに頷き、小倉さんは対局室から出て行った。
俺も、そろそろ出ないとな……あー、しんどい。


対局室を出てすぐに、岩下さんがいた。
わざわざ待っていたのだろうか。

「次は、負けない。俺を勝ち上がらせたこと、後悔させてやる」

……ま、それは実際に打ってみてからのお楽しみってことで。
多分俺なんか気にしてる暇はないと思いますけど。ほら。

別の一回戦の結果が、試合を中継しているスクリーンに映し出された。
結果は――他の三人を全員トバして、天龍寺の勝利。

ま、出来たら二人で協力してアレを抑えたいってのが本音なんですけど。
どうでしょう?

「……考えといてやるよ。けど勝つのは俺だからな」

俺だって、負けられないんで。
ま、お互い明日は頑張りましょう。

そんなこんなで挨拶を交わし、岩下さんと別れて帰路につく。
全身ふらっふらでちょっとこれヤバいんじゃねーの、と思ったりもしたがどうにかホテルまで戻ることが出来た。
女子の個人戦のほうが先に終わっていたようで(男子のほうが人数が多いので、予選の分時間がかかるのだ)、
既に咲たちは皆戻ってきていた。今は男子のほうの部屋に全員で集まって話をしていたようだ。

おっす、ただいまー。

そう言って、努めて軽い調子で部屋のドアを開けたつもりだったのだが。
……あ、あれ。おかしいな。ドアが開かないぞ。あれ?
あ、れ……?


どさっ。
部屋の外で、そんな音がした。
それまでは咲さんや私、京太郎君の試合結果について盛り上がっていた皆が、一斉に静まり返る。

「京太郎、京太郎かっ!?」

ゆーきがいち早く駆け出し、それに男子部員たちが続く。
ドアを開けた、その先には――京太郎君が、倒れていた。

なんで。どうして?
あんなに格好よく、準決勝進出を決めていたじゃないですか。
帰ってきて、いつもみたいに少し調子に乗って、それでもやっぱり不安がって、
そんなあなたをゆーきと私が励まして、咲さんがそれを見ながら笑っていて、そうなるはずじゃないんですか?
……京太郎君ッ!!

そんなわけで、ここまでー。
多分あと三回か四回くらいの投下で完結する。はず。

乙ー


オカルト能力は用法用量を守って正しくお使いください

おつおつ
和は時の涙を見る

オカルト混ぜるな危険

乙 ペロッ…!これは告白フラグ……!



能力使いすぎて倒れたらひざまくらがいいと大阪で聞いた

和「ここに京太郎君を感じます……!」

やべぇな

>>433
のどちゃん個人戦優勝待ったなし!

きょうちゃん

ミス
のどっち 京ちゃんが見えるようになってまうん?

安価じゃないスレでどうでもいい事かいてレスが埋まるのは鬱陶しいけどな~
ちゃんと見てますよ 
やっぱり和が普通のは面白い!!

今日の夜は更新できへんから今やるでー

>>432->>436
そ の 発 想 は な か っ た
この>>1、一生の不覚…!
なおSOAで無効化されるもよう

でもSD化された京ちゃんは見てみたいので誰か描いてください(無茶ぶり)

>>437
SS書きにとって、レスが付くことほど嬉しいことはないんやで~

「……はー。京太郎さん重い」

「いやまぁ完全に脱力した人間を持ち上げるのはそりゃ重くて当然だろ」

「京太郎さん顔のわりに体格いいしね」

ひとまず男子部員たちが京太郎君をベッドに運んだ。
見たところちゃんと息はしているし問題はなさそうだけれど……一応、救急車とか呼んだほうがいいんでしょうか。
突然の事態に皆があたふたして、とても正常な判断が出来そうにありません。
どうしよう、どうしよう……遂に若干名が目に涙を浮かべ始めたところで、京太郎君が目を覚ました。

「……ん? あれ、俺いつの間に寝てたんだ?」

「京太郎さん何倒れてんすか馬鹿じゃねえんすか!?」

「大丈夫ですか須賀先輩!」

「なんで倒れてたの京ちゃん!?」

「バカ犬、皆に心配かけるんじゃないじぇ!」

こんなとき、迷わず真っ先に声をかけにいけない自分が嫌になります。
しかし、そんなことより、京太郎君が無事なようで本当に安心しました。
……でもっ、京太郎君! あんまり心配させないでくださいっ!

「ご、ごめんごめん。どうしても負けたくなかったからさ。ちょっとだけ無茶した」

「集中モードと亜空間殺法の同時使用。思ったよりしんどかったわ」

は、はぁ。とにかく、あまり無茶はしないでくださいね。
京太郎君が勝ち進むのは嬉しいですが、流石にその度に倒れられては困りますから。

「のどちゃん素直じゃないじぇ。大好きな京太郎が倒れたら悲しいです~、くらい言えないのか?」

ゆっ、ゆーき! 茶化さないでください、真面目な話なんですっ。
とにかく! 京太郎君、もう倒れないでくださいね!?

「……どーだろ、約束は出来ないかも」

「せっ、先輩ィ!?」

京太郎君の言葉に皆が凍りつく。
当たり前だ、私達の知る京太郎君はそんな人ではない。
麻雀のために自分の身を削るようなことをする人ではないはず。

「京、ちゃん……?」

「ここまで来たら、勝ちたいじゃねえか。なあ」

「天龍寺行仁。神に愛された子と打つのに……加減なんて、出来やしねぇよ」

あっ、あのですね京太郎君!
今しがた倒れたばっかりの人を明日の試合にそのまま出すとでも思ってるんですか!?
棄権するのが普通だと思います!

「かっ、勘弁してくれよ! そうなることが分かり切ってたから必死で会場は平気な顔して出てきたんだぞ!?」

「馬鹿だ、こいつマジで馬鹿だじぇ」

「頼むよっ! お前らと違って俺は全国初めてなんだ! 棄権で終わりなんて嫌なんだよ!」

「いや先輩マジで馬鹿でしょ!?」

……はぁ。やめましょう、皆。多分言っても無駄です。

「和ぁ……!」

た・だ・し! 今からしっかり体調を診させてもらいますし、明日も無茶はしないでください。
具合が悪くなったらすぐに棄権すること。ゆーき、体温計持ってきてください。私の鞄の中にあるはずです。
今日の晩御飯も栄養を考えて決めましょうか。いつもみたいに好きなのばっかり頼まないでくださいね。
あと、それから……。

「お母さんかっ!」

真剣な話をしてるんです!
……心配、したんですから……。

「……ごめんな」

京太郎く……

「はい終了ー。お二人さん、今部員全員ここにいるの分かってやってます?」

「砂糖吐く。京太郎さん爆発しろ」

そんなわけで、翌日。
遂に迎えた準決勝戦。女子の試合を応援出来ないのは残念だが、まあ仕方あるまい。
咲や和なら負けることはないだろう。むしろ俺が応援してほしいくらいだ。

今日の相手は昨日も戦った岩下さんに加えて、
生粋のデジタル派、福留重幸さんに……「神に愛された子」こと天龍寺行仁さん。
やはりもっとも警戒するべきは天龍寺さんだろう。

牌譜も予選の映像も全て洗い出して和にも協力してもらって研究したが、まるで隙が見当たらない。
基本的にはごく普通の打ち手なんだ。むしろ、デジタル打ちとしてはやや拙いくらい。
牌効率の視点から見てベストでない手を打っていることもしばしばだし、
仕掛けの入っている相手に対して危険牌を打っていくことも少なくない。

だがしかし、その全てが何故か上手く行くのだ。

薄い待ちを一発で呼び寄せ、危険牌も平気で通す。
それがあの男の豪運。
俺は……奴に勝てるのだろうか。


『本日は男子個人戦準決勝を解説させていただきます、アナウンサーの針生えりです!』

『……大沼だ』

『やはり注目は天龍寺選手でしょうか』

『……どうだろうな。個人的には、須賀とやらが気になるが』

『須賀選手ですか? えーっと、所属校は……あの清澄ですか! 宮永選手や原村選手の所属校ですね』

『……デジタル打ちとオカルト打ちを両立させている。珍しい選手だ』

『はぁ。ともかく、これは結果が楽しみですね!』


そして――賽は投げられた。
東一局。親は岩下。
神に愛された子の蹂躙は、初っ端から繰り出された。

「……リーチ」

三巡目、天龍寺がリーチをかける。
流れを断ち切ろうにもポン材チー材すらロクに揃っていない序盤も序盤。
太刀打ちしようのない、絶対の一撃。

「ツモ。リーチ一発ツモ、タンピンで満貫。2000・4000」


(……まだ、慌てる程じゃない。東場の優希ならもっとエグい、そう思え)

「チーッ!」

東二局、親は京太郎。
流れを取り換えすために、兎にも角にも連荘しようと早々と鳴き仕掛けに入るが、それでも。

「カン――ツモ。嶺上開花のみ、1300」

「な……ッ!?」

安手での連荘すら拒む無情の和了。
大明槓による責任払いで、京太郎にとってはこの大会初めての振り込みとなった。

(どうすりゃ止まるんだ、この化物……!)

天龍寺はそのままの勢いで東三局も圧倒的なスピードで和了り、遂に天龍寺の親番となる。
そこからは、まさに地獄絵図だった。

「……ツモ。1000オール」

「ツモ。1300オールは1400オール」

「ツモ。1600オールは1800オール」

止まらない。止められない。止める手段すら分からない。
地獄のような連荘。

「ツモ。2000オールは2300オール」

「ツモ。2600オールは3000オール」

他の三人が何をしようが誤差でしかない。
ただひたすらに、和了の宣言を連ねていくのみ。

女子の試合のような一風変わった手を作ったり、場を支配してこちらの手を封じたりするわけではない。
ごく普通の役をごく普通に作って、ごく普通に和了っていくのみ。

それが一層、対戦者の心を折るのだった。

「ツモ。3200オールは3700オール」

出和了りでさえなく、淡々と。
天龍寺はひたすら自分の牌を晒して点棒を掻っ攫っていく。
止まらない。止められない。止める手段すら分からない。
そんな地獄のような連荘を止めたのは――

(あー、もう情けない……が、ここで飛ぶよりマシだ。加減しろよ、須賀!)

「……ん。ロ」

「ロンッ! 頭ハネだ、2000は3800!」

一回戦を共に戦った岩下の差し込みだった。
席順の関係で京太郎が優先されたものの、それでさえ当たり牌であったというのだから恐ろしい。

(な、なんとか止めたけど……)

残りは南場の四局のみ。点差は既に6万点以上。
勝ち目は……あるのだろうか。
折れかかる心。崩れそうになる気概。
それでも、諦めきれないのは。

――追いつけないわけがないんです。
――こうして真剣に努力を積んでいる須賀君が今後もずっと弱いままだなんて、
――そんなの絶対有り得ません。

――ふふっ、頑張りましたね須賀君。
――須賀君。あまり思い詰め過ぎないでくださいね?

――ふふ、そうですねー。じゃあ今まで頑張ってきた須賀君には、私がご褒美をあげましょう。
――今の京太郎君には凄く期待してますから。

――京太郎君が今までずっと頑張ってきたのを、私は知っています。私が一番知っています。
――だって私は、京太郎君の先生なんですからっ。

――そんな頑張っている京太郎君のことが、皆大好きなんです。

自分一人で進んできた道ならば、とっくのとうに折れていただろう。
それでも、諦めたくないのは。
彼女からかけられた言葉の数々を覚えているから。
彼女にいいところを見せたいから。
彼女に誇れる雀士でありたいから。

(諦めたくない。折れたくない。負けたくないっ)

しかし実際のところ、この差し込みにより岩下は既にトビ寸前。
ツモ和了りはほとんど封じられたようなものだ。
ならば天龍寺から直撃をとるしかないのだが……。

(……やっぱ、無茶するしかねーよな)

不幸中の幸いとして、京太郎は天龍寺の対面であったため連荘の間中彼を観察することが出来た。
ならば、観察結果からその手牌を読み切り、少しずつでも流れを手繰り寄せていくしかないだろう。

(まずは……集中、アンド観察! 天龍寺さんの手牌を読み切る……!)

瞬間、凄まじい眩暈。一瞬椅子にもたれかかりそうになるもののどうにか踏ん張り、観察を続ける。

(ったく、怪我の功名だ……あの連荘の間に理牌やら何やらの癖は完全に把握できた! あとは流れ次第だ……)

「ポン!」

(最悪、今この場では和了れなくてもいい……次の局に、一際大きな流れを呼ぶ……!)

「……っ、カンッ!!」

(まずはこの南一局……荒らしまくってやるっ!)

今回はここまでー。
オリキャラの天龍寺君は、本当にマジで運がいい奴だと思ってくれれば大丈夫です。
強いて咲キャラで表すとするなら、多少麻雀について学んだ安定感のあるかおりんです。

おつーぅ
次も楽しみにしてますー

天龍寺「ツモ…純チャントイトイ」

>>446
あれは…清老頭!?

乙ー
ツキがあるだけってのもかなりの脅威だね



シンプルな分対処しづらいっていう

雑談スレでこのスレの話をしてくれる人がいて涙ドバー

SS書きにとってスレにレスがつくことは最も嬉しい
他のスレで自分のスレの話が出ることはその次に嬉しい!

(……麻雀なんて、つまらない。こんなのクソゲーだ)

天龍寺行仁は、そう思う。
それは驕りでもなんでもない、ただの素朴な感想だった。
友達に人数合わせで誘われたから軽い気持ちで入ってみたが、何も面白くない。
何がどうなっても、結局、最終的には自分が勝ってしまうのだから。

(大体の人が東場の内に折れちゃうし。結局はただの作業だ)

必要牌が勝手にこっちの手に入ってきて。
要らない牌を捨てて。和了って。
そして、心が折れていく相手の姿をぼーっと眺めるだけ。
彼にとって、それが麻雀だった。

(……なんで折れない? 清澄の……須賀)

天龍寺には知る由もないが、京太郎が全く折れる気配すらないのは、
実は単に彼が負け慣れて、トバされ慣れているだけなのかもしれないが。

とにかく京太郎は諦めてはいなかった。
ツモ和了りすらほぼ封じられていても。
役満ツモですら逆転できないような点差でも。

「……流局、聴牌だ……!」

京太郎は折れずめげず諦めず、天龍寺の当たり牌を握り潰して流局にまで持ち込むことに成功した。

脳の血管がぶちぶちと音を立てて切れているような錯覚すら覚えながら、
京太郎は先の局、完全集中を維持して流れを操り続けた。
全てはこの南二局、すなわち自らのラス親となるこの場に最大の運気を呼び込むために。
そしてそれは――成就した。

(狙える……萬子染めが本線だけど、大三元が見えてる……!)

白、發、中。三元牌の全てが対子になって手の内に収まっている。
ここで和了りきれなければ、実際の点差以上に京太郎は完全に勝ちの目を失うだろう。
だからこそ。

(……ここで、目いっぱい無茶するぜ……!)

集中! オカルト封じを目的としてではなく、今からする行動の精度をひたすらに上げるために。
試合前からひたすら観察し続けてきた同卓している三人の動作から手牌を全て読み切る。
完璧でなくて構わない。ただ、自分が仕掛けるタイミングさえ分かれば。

「……ッカンだぁ!!」

気に入らない流れが少しでも見受けられれば、速やかにそれを変える。
そのタイミングを、例え一手たりとも逃さぬために。

「ポンッ!!」

(ただ仕掛けるだけじゃ駄目だ……天龍寺さんから、直撃を取るためには……!)

「……。リーチ」

(来っ……たああぁぁぁッ!)

「ッカァアンッ!!」

そう。幾ら流れを変えて、天龍寺の手に自分の当たり牌を掴ませたところで。
自分の手を警戒されては出る牌だって出ない。
そう。例えば、白・發と鳴いた後の中なんて、初心者だって絶対に出さない。

京太郎の手牌は、發の暗槓と、ポンで晒した東と、先程カンで晒した白。
手の内には中と一萬が、其々二枚ずつ。すなわち、シャボ待ちである。

(これを……ぶち当てさえすれば!)

既に刃は研ぎ終わった。
あとはこれを、天龍寺の喉元に突き立てるだけなのだ。
そしてその天龍寺は、リーチをかけてしまったことにより身動きが出来なくなっている。
更に自分の鳴きにより、彼の流れは堰き止め得る限り堰き止めた。
それなのに!

(出ない……俺の当たり牌!)

既に中が一回と一萬が一回、福留と岩下から切られている。
つまりチャンスは残り一回ずつ。これを天龍寺が掴みさえすれば、手が届くのに。
無情にも、場は十七巡目、局の終わりへと辿り着いてしまった。

(終わり、か……)

脱力し、項垂れる京太郎。
限界を超えた能力の行使により既に意識は朦朧としていて、
もはや対局を続けられるかどうかも怪しい状態。
そこにこの不ヅキ。遂に京太郎すらも折れそうになる。

しかし。

仮に麻雀の神がいるとしたならば、それはまだ京太郎を見放してはいなかった。
繰り返した鳴きにより、海底牌を掴むのは――天龍寺。
最後の最後、彼が捨てた牌は……。


黒と赤で彩られた、萬子の最初の牌だった。

(……ここですぱっと大三元を和了れないあたりが、俺らしいんだろうな)

京太郎は牌を倒す。
万感の思いを込めて。

(けど……これで十分だ)

会場を埋め尽くす観客が、
ただ静かに彼の声を待つ。

 
 
「ロン……!」


  「河底撈魚」 「東」 「白」 「發」

               「混一色」 「対々和」 「混全帯幺九」

     「混老頭」 「小三元……!」


「……48000ですっ!」
 

 
 
 
彼の宣言が終わるとともに……会場が、湧いた。

 
 

今回はここまでー。

おまけ。このSSでの京ちゃんについて。
うちの京ちゃんは、たぶん相当に「咲たちに対する劣等感」「自分だけが活躍できないふがいなさ」を強調してました。
まあそりゃあ現実で考えたらこれはおかしくもなんともないというか俺なら確実に心折れてると思うんですが、
原作の「おばかで元気な京ちゃん」と比べるとなんか俺の京ちゃん像おかしくね? とも思いました。

でも、アニメ版京ちゃんは個人戦のあと、
「申し訳ない、清澄の名に泥を塗ってしまって…!」
と(そもそも無名校の清澄に泥を塗られるような名なんてないだろうに)言っています。
俺の京ちゃん像も案外間違いではないのかもしれない、と思いました。

ちゃんたとほんろーは複合しない…(ボソッ

乙ー

まあ個人戦は団体戦優勝の後だったし多少はね?

おつー
アニメの部長はぐう畜だと思った
書き置きのところは特に

>>458
マジで?
書き直してくる待ってて

>>461
(面倒なこと言って)すまんな

ドラ2とかにしておけば良い

脳の血管がぶちぶちと音を立てて切れているような錯覚すら覚えながら、
京太郎は先の局、完全集中を維持して流れを操り続けた。
全てはこの南二局、すなわち自らのラス親となるこの場に最大の運気を呼び込むために。
そしてそれは――成就した。

(狙える……萬子染めが本線だけど、大三元が見えてる……!)

白、發、中。三元牌の全てが対子になって手の内に収まっている。
ここで和了りきれなければ、実際の点差以上に京太郎は完全に勝ちの目を失うだろう。
だからこそ。

(……ここで、目いっぱい無茶するぜ……!)

集中! オカルト封じを目的としてではなく、今からする行動の精度をひたすらに上げるために。
試合前からひたすら観察し続けてきた同卓している三人の動作から手牌を全て読み切る。
完璧でなくて構わない。ただ、自分が仕掛けるタイミングさえ分かれば。

「……ッカンだぁ!!」

気に入らない流れが少しでも見受けられれば、速やかにそれを変える。
そのタイミングを、例え一手たりとも逃さぬために。

「ポンッ!!」

(ただ仕掛けるだけじゃ駄目だ……天龍寺さんから、直撃を取るためには……!)

「……。リーチ」

(来っ……たああぁぁぁッ!)

「ッカァアンッ!!」

そう。幾ら流れを変えて、天龍寺の手に自分の当たり牌を掴ませたところで。
自分の手を警戒されては出る牌だって出ない。
そう。例えば、白・發と鳴いた後の中なんて、初心者だって絶対に出さない。

京太郎の手牌は、發の暗槓と、ポンで晒した東と、先程カンで晒した白。
手の内には中と萬子の三が、其々二枚ずつ。すなわち、シャボ待ちである。
萬子の三がドラだが、そっちで和了ると役満には届かない。
あくまで、大三元を天龍寺にぶつけることが目的だ。

(これを……ぶち当てさえすれば!)

既に刃は研ぎ終わった。
あとはこれを、天龍寺の喉元に突き立てるだけなのだ。
そしてその天龍寺は、リーチをかけてしまったことにより身動きが出来なくなっている。
更に自分の鳴きにより、彼の流れは堰き止め得る限り堰き止めた。
それなのに!

(出ない……俺の当たり牌!)

既に中が一回と一萬が一回、福留と岩下から切られている。
つまりチャンスは残り一回ずつ。これを天龍寺が掴みさえすれば、手が届くのに。
無情にも、場は十七巡目、局の終わりへと辿り着いてしまった。

(終わり、か……)

脱力し、項垂れる京太郎。
限界を超えた能力の行使により既に意識は朦朧としていて、
もはや対局を続けられるかどうかも怪しい状態。
そこにこの不ヅキ。遂に京太郎すらも折れそうになる。

しかし。

仮に麻雀の神がいるとしたならば、それはまだ京太郎を見放してはいなかった。
繰り返した鳴きにより、海底牌を掴むのは――天龍寺。
最後の最後、彼が捨てた牌は……。


黒と赤で彩られた、萬子の三だった。

(……ここですぱっと大三元を和了れないあたりが、俺らしいんだろうな)

京太郎は牌を倒す。
万感の思いを込めて。

(けど……ああ。これで、よかったんだ……!)

会場を埋め尽くす観客が、
ただ静かに彼の声を待つ。

 
 
「ロン……!」


      「河底撈魚」 「東」 「白」 「發」

  「混一色」 「対々和」

     「小三元」 「ドラ3……!」


「……48000ですっ!」
 

 
 
 
彼の宣言が終わるとともに……会場が、湧いた。

 
 

乙ー

京ちゃんは劣等感も少しはあるだろうけどおばかで元気でもいいし
劣等感や無力さを感じながらおばかを演じていてもいい


ガチ初心者が魔窟に迷いこんだら卑屈にもなる 他の男子部員でも居ないと秋までメンタル持たんし京太郎はすごい(小波
全国行っちゃうと父兄や学校からの支援も増えて雑用がこの先生きのこるには辛すぎる

いやさ、SSでのミスについては完全に俺の責任だから、ここからは単なるにわか麻雀好きの雑談になるけどさ。

チャンタに混老頭複合しないってなんなの? それマジで言ってんの?
俺今まで
「チャンタとかいう糞役www まあ混老頭と複合したら化けるしロマン枠やろなあ」
って認識だったんだけど。
混老頭複合しないとかチャンタ要らなくね?
タンヤオの対になる役のくせに実用性なさすぎね?

あと、天龍寺君について。
10回に1回役満ツモるのがかおりんだとしたら、
毎回メンピンツモるのが天龍寺君と認識してくれるといいかもしれない。
ただ、SSでも言ってるようにあくまでオカルト能力ではないので、
てるてるの連続和了とか衣の一向聴地獄ならたぶん打ち勝てると思う。

使える牌の種類がタンヤオより多いと顎の長い中学生が


リャンぺーコーとチートイ複合しないようなもんだな
ローカルとか関係なく基礎知識だね


麻雀覚えたての時によく有る勘違いだよね

チャンタを舐めて痛い目に合ったキャラがいたんだよなぁ……

???「そんなん考慮しとらんよ…」

>>475
違うと思う

>>475
それは関係ないだろ

似たようなもんだと思うが

なんでや! リャンペーとチートイはそもそも順子と対子って違いがあるけど、
チャンタは刻子使ってもオッケーやろ! それやったら刻子限定のホンローと複合するって勘違いしてもしゃーないやろ!
これ以上俺の無知を抉る言い争いはやめるんや!!

面子雀頭全てにヤオチュー牌が混ざってるのがチャンタ
面子雀頭が全て老頭牌か字牌ならホンロー
判断するところが違うので複合しない

いいし、どうせ実践ではホンローどころかチャンタも出んし(強がり)
出たとしても喰いタン信者の俺には関係ねーし(強がり)

ちょっと今回は他スレの>>1さんのごとく天鳳やってみよーかな
個室で俺と打って順位が俺より上だった人の要望に従って小ネタ書く(書き溜めが完結したからこその余裕)。
東風戦赤アリで、やるぞって人います?

やめて!>>1のライフはもう0よ!




やってやるよ(震え声)

個室の場所は?

>>486
いや、人集まらないのに立てたらアニメ版星飛雄馬みたいになるし
そんなの豆腐メンタルの俺泣くし、3つレスが付いたら立てようかと思ってたし
つーか飛雄馬が一発変換できたことに驚きだ

今インドで一番人気アニメの主人公だものそりゃ出るよ

やっぱり四人麻雀できるほどレスつかないじゃないか(絶望)

本編始めるで~

(……放銃なんて、いつぶりだろうか)

多分、初めてだ。
友達にルールを教わりながら対局した時には何度かあったかもしれないが。
勝負の場で麻雀を打って放銃をしたのは……たぶん、初めてだ。

(……初めて、負けそうになってるっていうのに)

(面白い。楽しい。心が躍る。麻雀ってこんなに面白いゲームだったのか)

48000点。
考え得る限り最大の失点をしたにも関わらず、彼の心は喜びに震え踊っていた。

楽しい。勝つか負けるか分からない戦いが。
嬉しい。自分に勝ち得る者の存在が。
さあ、始めよう。確か今和了った須賀が親。連荘だな。

止めてやるぞ、勝ってやるぞ。
だからさあ、お前も俺を止めてみせろ。俺に勝ってみせろ。
さあ! さあ! さあ!

「神に愛された子」天龍寺行仁は、競技としての麻雀を始めてから初めて、
期待に胸を膨らませながら配牌を開いた。


そして彼は、絶望した。

(やった……やってやったぞ!)

対して、京太郎は。
役満を和了った喜びに、勝利に肉薄した喜びに打ち震えていた。

勿論まだ油断はできない。
極限まで自分を酷使した結果、既に体調はおかしいどころの話ではなくなっている。
頭が割れるように痛い。視界が霞む。油断したらこの場で吐いてしまいそうだ。

だがしかし、流れはこちらに来ているはず。
この流れに乗れば、詰め切れるはず……!

(超早和了りで勝負を決める! なんなら左右のどっちかを飛ばしてもいい)

しかし、配牌を開いたその瞬間。
彼は感じ取った。

流れも運気も何もかも、今この瞬間に自分のもとを離れていったことを。

 
 
 
「……地和。8000・16000は8100・16100」

 
 

 
流れなど関係なく。
牌効率も押し引きも関係なく。
極論、今までの闘牌にさえ、何の意味もなく。

天龍寺行仁は、過程に多少の誤差こそあれど、いつも通りに勝負を決めた。

『げっ……劇的な結末だーっ! 誰がこんな展開を予想したでしょう!』

『しかし、結果は万人の予想通りか! 天龍寺選手、決勝進出!!』

この試合、結局和了ったのは天龍寺と京太郎のみ。
和了った回数では天龍寺が圧倒。
紆余曲折こそあれど、最終的には、予選や一回戦と同じように。

勝つべき者が、勝つべき時に、勝つべくして勝った試合であった。

「……駄目、だったかー」

京太郎は今度こそ椅子に全体重を預ける。
頭が痛い。死にそうだ。けど、下だけは向きたくなかった。
情けない。悔しい。だとしても、後悔だけはしなかった。

そして霞む視界のど真ん中に立ち去ろうとする天龍寺を見つけ、彼は必死の思いでそれを追いかける。
眩暈を抑えて立ち上がり、雀卓越しに思い切り身を乗り出し、手を差し出した。そして。


「いつかまた打とうっ。次は勝つ!」


それを聞いた天龍寺は一瞬とても驚いたような顔をして。
しばらくの間逡巡したあと、手を差し出した。

「……楽しかった。また、打とう」

「おうよっ」

こうして二人の握手と会場中の惜しみない拍手と共に、
インターハイ男子個人戦準決勝と、京太郎の夏は終わりを告げたのだった。

今回はここまで~。多分あと二回で完結っ。

で、天鳳やりませんか(懇願)

おつー
おう あくしろよ

やってほしかったらさっさとうrlをだな




やぁーってやるぜ!

http://tenhou.net/0/?4654

だから人集まったら立てるって言ったじゃないですかぁ!!
パーティに人が来なくて暴れる飛雄馬君状態にはなりたくなかったんだよ!!

打ち落とせばいいんだよ…lagicoを!
東風戦3回くらいやろうか

最大9個小ネタか

準決勝は1人上がりだったか

9時くらいなら

サンマなら得意なんだが
和了ると得点たかいし

自スレの企画でいきなり最下位を取る>>1がいるらしい。
おう一応の本人証明のためにHNとともに小ネタ希望出すんだよあくしろよ(涙目)

やりたいけどメインのID紛失中なんだよな
これって新規垢でもいけるんだっけ?

HN-けんだま-


倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件

新規でもいけるで

自スレの企画で二戦連続ラスる>>1がいるらしい(涙目)

おいおいこれ収拾つくんかwwww

>>507
さんくす!

HNもーたる
麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ。

自スレの企画で糞手で和了ってラス回避する>>1がいるらしい

ふぇぇ…だって二戦目で四暗刻の一向聴だったのに和了れなかったんだもん…

華菜ちゃんばりの大逆転、狙っても良かったんやで

>>512
四暗刻狙って和了り損ねてラスった言うてるやろ!!!(半泣き)

えーっと、9時くらいまでには俺に勝った皆さん書き込んでくれると嬉しいんやけど…
なお現時点で5/8残ってるもよう

HN:HImei
京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっちで

HNfg
タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎
果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか
次回予告「のどっち大勝利!」
こんな感じで

>>512
結局ラスじゃないですかーやだー

HN GRH
京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち
どうにかして一緒に過ごそうとする

HN:sukonan

京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを
部員それぞれに聞いてみた

天鳳のチャット出来ん人もおるみたいやからこっちでもう一回。
NoNameでもなんでもいいから『向こうのハンドルネーム』を『このスレに』添えて小ネタ要望ぷりーず。

二連続でラスを引くとは思ってなかったから一周回って草生えた。
流石に次があったらトップ条件にするわ(白目)

俺の記憶が正しければ後の一人は一戦目のNoNameだよね…?

くそっ気付かなかった……次回は参加させてもらうわ

けえへんかったらもう一戦やったらええんやない?(ゲス顔

よーし2055までに最後ののなめさんから要望来なかったらもう一戦やるにゃあ(レ○プ目)
最後は東南戦だにゃ、景気よく玄米持ってくるにゃ

あ、みくにゃんはいいです

>>524
よっしゃああみくにゃんは俺が貰ったああああああああ

なんで両面待ちでリーチかけて嵌張に振りこむなんてピンポイントな現象が一日に三回もおきるんですかね…(レ○プ目)

これで小ネタ10個貯まったね
キリいいし丁度良かった(白目)

HN 因幡るな

部活動の様子を後輩視点で

HN-けんだま-


後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和

よーし小ネタ揃ったなー書いてくるでー(涙目)

多分天鳳やっててここまで勝てなかったの初めてだと思うwwwwwwwww

書き上がり次第投下していくスタイル
目指せ明日の晩までに小ネタ9個制覇(白目)


●倒れた京ちゃんに膝枕する和の接吻未遂事件 (本編のifとなります)

インターハイ男子個人戦本選一回戦。
その後京太郎は滞在中のホテルまで何とか辿り着くもそこで意識を失ってしまう。

「お、俺達で冷えピタとか色々買ってくるんで原村先輩京太郎さんのことよろしくお願いします!」

そう言ったのは確か双子の弟のほうだったか。
何も部員全員が出ていく必要はまるでなかったのだが、
余りに焦っていた和は特に疑問に思わず彼らを見送った。

「京太郎、君」

幸い大事には至らなかったようで、京太郎は和の膝の上で規則正しく寝息を立てている。
……麻雀を教え始めたあの頃、彼がここまで強くなると誰が予想したろうか。
ずぶの素人であった彼が、二年間の研鑽を経て全国区でその実力を認められるまでになると。

「……頑張りましたね、京太郎君」

現在に至るまでに彼が積んできた努力を、乗り越えてきた葛藤を想像すると。
とても彼のことが愛おしくなって。……同時に、ここまで無茶をする彼に、無性に腹が立って。

「お願いだから、お願いですから……あまり、心配させないで……」

ふと気付くと、眠りこける京太郎の頬に、一滴の涙が落ちていて。
それを自覚してしまったせいで、涙が止まらなくなって。

「京太郎君……っ」

絞り出すような声と共に思い出されるのは、今まで彼と過ごしてきた日々。
いつだって、彼は彼女の隣にいた。
いつだって、彼は彼女と笑い合っていた。
そして、ようやく、彼女は自分の想いに気付く。

「……あー。そっか」

「私、京太郎君のことが――」

ようやくのこと自覚した、止められない想い。
彼への愛情や、心配や、そんなあれこれが綯交ぜになったその想いを表現するために、
彼女が取った行動は――

「……ん?」

「――ッ!?」

(あっ……危ない危ない危ない! 何をしようとしてたんですか私は! 何をしようとしてたんですか私は!
彼はたった今倒れてたばかりなんですよ!? そんなことしてる場合じゃないし寝かせてあげなきゃいけないですし!
なのに起きちゃいましたし! なんで起きるんですかもう……じゃなくて! っていうか皆帰りがやけに遅いですし!
全くこの緊急時に皆何をやってるんですか……じゃなくて!! 一体何をしようとしてたんですか私はっ!!)

「あの……のど、か?」

「あっ、いやそのですね! 京太郎君が倒れたっていうから、その、心配でですね、あの、えっとあうあうあう……!」

「あのだな……凄い有難いんだけど、ずっと膝枕ってのは恥ずい……」

「はぅうっ!?」

「……京ちゃんったら、ほんとタイミング悪いなぁ……」

「全くだじぇ。これだから犬は」

「弟よ、録画は」

「パーペキ。あとでメールに添付して皆に送るわ」

「……お前らなぁ」

「そんなこと言って、真面目君もしっかり見てるじゃない」

「……はぁ。あ、膝枕やめた……」

例の如く、全部見られてましたとさ。

●●麻雀部員からみた京和、で男女別で一本ずつ

「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」

「えっとですね、ここは……」

部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う京太郎さん。
勿論牌譜の研究やデジタル打ちの研鑽に終わりがないことは分かっているけど、
それでも京太郎さんは人を頼らなければならないほど間違った打ち方はしていないと思う。

それでもあの人が原村先輩を頼る理由なんて、分かり切っているのだけど。
……つーか、多分、原村先輩以外の部員全員が、分かってると思うんだけど。
いい加減くっついてくれねーかなこの二人。見ててムカつく。二流のラノベじゃないんだから。

「ほー。そういうやり方もあるのね」

「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」

「おう。ありがとな、和」

俺には、どう見てもフラグ立ってるようにしか見えないんだけどなぁ。
ほんと、京太郎さんって……。

「……おいなんだ双子兄、その表情は」

「べっつにー? 相変わらず京太郎さんはヘタレだなぁと」

「んだとコラァ!」

「和ー、ここってどうすりゃ良かったんだ? なんかどうやっても振り込んでた気がするんだけど」

「えっとですね、ここは……」

部室で見る、いつもの光景。原村先輩に教えを請う須賀先輩。
見慣れた風景だけど、やっぱり中学時代の原村先輩とはなんだか違う気がする。
物腰が柔らかくなったというか、なんというか。
片岡先輩も同じようなことを言っていたし、多分そういうことなんだろう。

……だからこそ、未だにこの二人が恋愛関係でないというのには驚かされる。
須賀先輩がヘタレ、というか乙女気質なのも多分にあるのだろうけど、
中学時代を知っている身としては、やっぱり原村先輩が鈍感すぎるんじゃないかなと思う。

「ほー。そういうやり方もあるのね」

「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」

「おう。ありがとな、和」

私は、というか多分部員皆、いわゆる「両片想い」の状態なんじゃないかなと思っているけど。
というか絶対そうなんだろうけど。凄くちょっかいを出したいくらい、見ててもどかしいんだけど。

「ほー。そういうやり方もあるのね」

「まだこのあたりの打ち方は教えていませんでしたから。また分からないことがあったら聞いてください」

「おう。ありがとな、和」

まあ、見てて楽しいので、これはこれでいいんじゃないかな、と思う。
せめて高校を出るまでにはくっついてほしいものだけれど。

「……裕子ちゃん? どうかしましたか」

「いーえ、なんでもっ」

面白くないから、絶対にアドバイスとかはしてあげないけど。

男子は鈍感主人公のラノベを、女子はじれったい恋愛の少女漫画を読んでいるような気分なんじゃね?
少女漫画読んだことないから知らんけど。

とりあえず今んとこはここまでで…

おつー
なんかそんな感じやね

乙ー
傍から見たらじれったいだろうな

おつー いいねいいね

おつー
乙女のどっちはやっぱいいね可愛すぎる

乙ー


IPSなんていらんかったんや!



原作でああなのは乙女なのどちゃんだと他のヒロインがかわいそうだからねしかたないね

京ちゃんの強さについてちょっとした考察。
俺らはだいたい京ちゃんをクッソ雑魚いズブの初心者だと考えていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

一話の時点で染め手に対する警戒程度の知識は持ってるようですし、
>>154さんが言ってるように対局結果で咲や優希を上回ることも極稀にはあるっぽい。
更にはアニメ版個人戦。(結果はアレでしたが)彼は「楽勝だぜ」と言いながら試合に臨んでました。

案外、京ちゃんはふつーに一般的な観点から見れば、そこそこ打てるようにはなってるのかもしれないですn
>アニメ最終話でハギヨシどころかモブ相手にラス
>目指せ上級卓です
あっ…(察し)

●京ちゃんの着替えシーンに遭遇するのどっち

合宿。
学校の施設にしては無駄に豪華な合宿所を使ってやるアレである。
一年生の頃は無駄に広い和室に一人取り残され随分寂しい思いをしたものだが、
今年の俺には後輩がいる。あの和室も荷物と俺達とで随分埋まり狭くなった。
もう何も恐くない!

そんなわけで合宿をやってるんだが、アレだ。
女子勢に対して男子勢が朝に弱すぎる(女子には咲という鉄壁の寝坊助がいるけど)。
そこで和に頼んで、朝起こしてもらうことにした。
恥を忍んで、というやつだ。

翌日。


……あれ、案外早くに目が覚めたぞ。
和に起こしてもらうという罪悪感が俺を覚醒させたに違いないな!
よーし、さっさと着替えて朝食の準備でも手伝いに行くかね。

そう考えた俺はさっさと寝巻を脱ぎ捨てて着替えを探す。
……あれ、着替え着替え……鞄の下のほうに潜り込んでんのか。
めんどくせぇな、鞄引っ繰り返すか。
どさどさっ。がらがらっ。
あれ? カバンの中身が散らかる音に重なって何か音がしたような……。

「~~~~~~――――――ッッッ!!?」

ビシィイッ!!

凄まじい勢いで襖が閉まる。……え、そもそもなんで襖開いてたの?
あとなんか閉まりかけた襖からピンク色が見えたの気のせいかな?
……気のせいであってください、お願いします。
気のせいじゃなかったらガチ凹みするかんな!
誰に言うでもなく叫ぶ俺。
叫び声に反応して起き始める後輩たち。
急いで服を着る俺。

……その日一日、和は俺と目を合わせてくれなかった。
俺はその晩、枕を涙で濡らした。

京ちゃんがのどっちの、じゃなくてのどっちが京ちゃんの、ってあたりがハイセンスなリクエストだったと思う(小並感)

●タコス星人に洗脳されて貧乳好きになってしまった京太郎
 果たして和は失われてしまった京太郎のおもちへの情熱を取り戻すことができるのか
 次回予告「のどっち大勝利!」

「文化祭ィ?」

「そうっ。お前のような雀キチは覚えてないかもしれないがね、今は文化祭の季節なんだよ」

「そういやそーだったな。あと雀キチ言うなし」

「とにかく、お前ら麻雀部組が来ない内に、結構話は進んでるんだよ」

「ほー。まぁ話し合いに参加してなかった俺らにも責任はあるし、大体のことなら協力するぞ」

「そうか。実はオリジナルの劇をやろうという案が有力なんだが」

「やめとけ! それ絶対爆死する奴だぞ! 中学の時にそれでエラい空気になってた奴がいるの俺知ってるぞ!」

「問題は劇の内容じゃなくて出演者だからいいんだ」

「……まぁ、和に可愛いカッコさせれば大体の奴は納得するか……」

「特にお前とかな。ちなみに主人公が原村さんでヒロインがお前、ラスボスが片岡さんの予定」

「ファッ!?」


「うぅ……なんでこんなことに」

「勇者俺が魔王タコスに負けて行方不明、王女和が勇者を取り返すために旅立つ……まぁ筋書きは面白そうだけどさ」

「のどちゃんの格好はなんか本格的でずるいじぇ。私なんていつものマントだじょ」

「それよかストーリーだよ……俺なんかものっそい最低男になってんじゃねーか」

「ウダウダ言わない! 大道具小道具のほうが辛いんだぞ!」

「お前は好き勝手書いただけだよな脚本家!!」


『勇者スガ……私のことを思い出してください! あの楽しかった日々を! 私達の約束を!』

\原村さんかわええええ/ \やばいぞあの格好/
\衣装班呼んで来い、褒めて遣わす/

『し、知らないね! あんたみたいに無駄な脂肪を抱えた女のことは! 幼児体型最高!』

\須賀しね/ \須賀爆発しろ/ \オイ、須賀血ィ吐いてんぞ!?/
\アレ大丈夫なのか!?/ \身体が台詞を受け付けなかったんだろうな……/

『……お、王女ノドカ! スガの洗脳を解いて欲しければ私を倒して見せるんだな!』

\片岡さん可愛い/ \魔王のコスプレ最高/
\くぎゅううううううううううううううううう/

『……い、いいでしょう! 私には古くから続く王家の使命があるような気がしていましたが、勇者スガとの婚約の前では些事!』

『さあ来るんだじょ、実はこのマントには特に意味はないんだじぇ――!!』

(俺が出演する意味あったんかなこれー……?)

マージャンマスターノドカ!
劇が終わると同時に京ちゃんは出血多量で病院に担ぎ込まれたとか(大嘘)

●京太郎と一緒に休日に出かけたりする回数が、部内で一番少ないことに気付いたのどっち
 どうにかして一緒に過ごそうとする

一年生の秋からこっちはずっと京太郎君と過ごしていたものですが、最近そうでもなくなってきました。
後輩たちへの指導にそれなりの時間が取られるのと、京太郎君が部長に就任したことが大きいのでしょう。
……練習が終わった後、お礼と称して色々連れまわしてくれたの、楽しかったんですけど。
最近はそうやって遊びに行くこともすっかりなくなってしまったような。
あ、あれ、そう思うとなんだか無性に寂しいというか……あれ……?

「京太郎さーん、練習終わったらゲーセン行きません?」

「おー、いいぞー。音ゲーでもやるか」

「いいっすね。今日こそ七段受かりますよー」

……ってあれっ? 部長の仕事とか関係なく、普通に京太郎君は他の人と遊びに行ってるような……。
えっ、なんででしょう、凄く寂しいんですけど。うぅ……。
こ、こうなったら! なんとしてでも近日中に京太郎君を遊びに誘ってみせます!

チャレンジ初日。

あっ、あの、京太r……

「京太郎さんちょっといーすかー? 聞きたいことあるんすけど」

「別にいいけど。場所移す?」

「あっ、そーしてください。喫茶店でも行きましょう」

「奢らねーからな。……咲も呼ぶかー」

……あうぅ。


チャレンジ二日目。

京太郎くーん。あの、ちょっといいですk……

「い・ぬーっ! タコス、タコスの作り方を教えるじぇ!」

「こないだ基本的な作り方は教えたろ!? あれ以上何を教えりゃいいの!?」

「私の作ったタコスの味が京太郎の作ったタコスの味に追いつくまで、だじぇ!」

「あ゛ーっ、分かった分かった! 荷物まとめてくるから待ってろ!」

うぅう……。


チャレンジ、三日目。

あのっ! きょ、京太郎君っ……。

「あ、ムロちゃんマホちゃーん。ちょっといいかー?」

「はい、大丈夫ですよ」

「はいはーいっ」

……ぐすっ、うぅううう……。


チャレンジ四日目……もう心が折れそうです……。
……いやでも、毎晩一緒にネト麻するのは続けてますし。
あぁでも、京太郎君が遊びに誘ってくれるのはそのお礼だったはずなのに……。
……うぅ。めげちゃ駄目です。発想を変えましょう。
今日は部活がお休みの日! 流石に失敗しないはず!

あ、あのー……きょうたろうくーん……。

「あっ、和! 探したぞ!」

ふえっ!? えっ、あの……。

「ほらほら、早く部室行くぞっ」

えっ、ちょ、京太郎君!
いきなり手を繋いでどうするつもり……!

「到着っ! それじゃお姫様、部室へようこそ!」

京太郎君が扉を開く。
部室は普段と違ってカラフルに彩られていて。

『ハッピーバースデー和ちゃん(のどちゃん)(原村先輩)(和)!!』

……ふえっ? えっ、あの、え……?

「いやぁ、苦労したぞ。和にここまで悟らせないのは」

「苦労した甲斐はあったけどね。驚いた顔の和ちゃんなんてそうそう見られないし」

「原村先輩! 男子部員一同からのプレゼントです! エトペンのグッズ買い漁ってきました!」

「のどちゃーん、私特製のタコスを喰らうがいいじぇーっ!」

「作ったの7割方俺だけどね……」

えっ、えっ、あの、え……?
そっか、私の誕生日……。
最近京太郎君が私を誘ってくれなかったのは、こういうわけだったんですね。
……なんだか、悩んでたのが馬鹿みたい。

「えっ……と、どうかな、和。俺からのプレゼント。去年和から貰ったのとお揃いの柄のハンカチ、なんだけど……」

ふふっ。すっごく嬉しいですよ、京太郎君!

たぶん京ちゃんも裏ではのどっち断ちによる禁断症状が出てたんじゃないかと思います。
んでまた血を吐いて病院に担ぎ込まれると思います(大嘘)

>>543
そりゃあ運が絡むものだから時たま初心者が勝つことだってあるんじゃね?
知識と技術は勝率を上げることはできるけど常勝を約束するものではないし

そもそも原作だとまだ役すら覚えきれてない的な発言してなかったっけ?
よく咲をカモ呼ばわりできたよな……

くそぅレスつかねぇ!
やっぱりワイに小ネタは向いてへんのか!
けど小ネタのほうが書いてて楽だからね、仕方ないね

●京太郎が五人に分裂したらどうなる・どうするかを
 部員それぞれに聞いてみた

「京ちゃんがが五人に分裂したら?」

「なんか雑誌の心理テスト的なんであったんすよ。面白そうだったんで」

「んー、そうだなぁ。多分私が学食に行く回数が多くなるね」

「その心は?」

「日替わりのレディースランチ」

「あぁ~……」


「京太郎が五人に分裂したら?」

「ええ。ちょっとした心理テストです」

「んー。とりあえず五人にそれぞれ違う味のタコスを作らせるじぇ!」

「知ってた」


「京太郎が五人に分裂したらぁ?」

「ちょっとした心理テストみたいなもの、ってことで」

「そうじゃなあ。そんなにいるなら一人くらいウチにバイトに来てほしいのう」

「……京太郎さんにメイド服着せる気ですか?」

「まさか。執事服着せるに決まっちょるよ」

「いいですね、それ。本人に交渉してみましょうか」


「須賀君が五人に分裂したら?」

「あ、やっぱいいです」

「何よ、聞いておいて」

「雑用が捗る、と言うだろうことは想像に難くないので」


「京太郎君が五人に分裂したら?」

「はい、ちょっとした心理テストみたいなものです」

「うーん……そうですねぇ。そうしたら、毎日忙しくなりますね」

「忙しく? 京太郎さんが五人いたら、むしろ雑用全部終わらせてくれそうですけど」

「皆に麻雀教えて、皆と遊びに行かなきゃいけませんから」

「原村先輩……」

ネタの意図が全く読めなくて笑った。
俺なら京ちゃんが五人いたら、とりあえず一人には宮守の制服着てもらうかな。

●部活動の様子を後輩視点で

「はいっ、集合!」

須賀先輩がぱんぱんと手を叩く。
竹井先輩を真似たらしい練習開始の合図だ。

「今日は一年組はひたすら特打ち。和は半荘ごとに指導を頼む。咲と優希はネト麻。今日のノルマは半荘5回な」

「んで俺は学生議会言って部費の話した後、備品の買い出し行ってくるわ」

いや、須賀先輩! 部長に買い出しに行かせるわけにはいきませんよ!
俺らで分担して行ってきますって、買い出しくらい。

「ばーか、練習が必要なのはお前らだろ? 集中モードの俺から直撃の一回でも取ってから言うんだな」

ぐぐぅっ。
そう言われると反論できないんですけど!

「いーじゃん、せっかく京太郎さんが行くって言ってくれてんだし甘えようぜ」

全く、お前らはなぁ……。
分かりました。けど先輩、明日は俺と打ってください。

「わーったわーった。ほいじゃ練習開始っ」

不真面目だからではないことは知ってるけど、須賀先輩はこうして練習を抜けることが多い気がする。
俺達のためを思ってやってくれていることだとは分かっても、なんとなく納得がいかない。
先輩にとっても次のインターハイが最後なのに、こんな調子でいいんだろうか。

……俺が須賀先輩が自宅でネット麻雀とスカイプを駆使して原村先輩と個人練習に勤しんでいるのを知るのは、
これからもう少ししばらく先のことだった。なんというか、もう、うん。
双子じゃないけど、いい加減くっついてくれないかなこの二人。

真面目君視点。
ムロ視点かマホ視点で書くのが咲SSとしては正解なんだろうけど難しかったんや…

●後輩にバレンタインチョコを貰ってデレデレしてる京太郎に嫉妬しながらもチョコを渡す和

今日は2月14日、バレンタインデー。
小学校・中学校時代はなんというかこう、クラスがざわめきだったりしたものだけど、高校ではもうそんなことはない。
大体みんな「貰えねーし、知ってるし。むしろ俺らそれを話のネタにしてるくらいだし」ってなもんである。

だが俺は違う!

競技人口数億人を超える超大人気知的スポーツ麻雀!
その麻雀部に入っているのだからそりゃもう俺も大人気!
……ってわけではないんだけど。
まあとりあえず、部員からはチョコが貰えるので嬉しい。

そんなわけで期待に胸を膨らませながら登校する。
道中、(リボンの色から判断するに後輩の)見知らぬ女子からチョコを貰った。

「去年の県大会、須賀先輩の活躍見てました! 今年は全国行けるように祈ってますね!」

だそうだ。これは思わずにやけざるを得ない。
そうか、一回戦負けでも見てくれてる人は見てくれてるもんなんだなー。
なんかちょっと幸せ。
そんなこんなで学校に到着。下駄箱を開けると手紙付きでチョコが入っていた。

「去年の県大会見ました! 麻雀部の活躍に期待してます!」

だってさ。それなら、実際に勝って全国に行った咲あたりに渡すのが筋だと思うけど。
でもまあチョコ貰って悪い気はしないよな! うん、ちょっと幸せ。
そして教室に行く。机の引き出しのなかにまたもチョコレート。
わざわざ朝早くに来て設置してくれたんだろうか。

「県大会見ました! 麻雀してる時の須賀先輩、格好良かったです!」

なーんて。そこまで言ってくれるとこっちも嬉しくなってくるね。
そういえば女子部員の後輩たちも、集中モードの俺は格好いいって言ってたっけ。
自分でその様子を見れないのが残念だぜ……なんてな。
例の友人が嫉妬するふりをしつつおちゃらけてきたので、俺は思いっきり自慢しかえしてやったのだった。

放課後。
バレンタインだろうとなんだろうと部活は部活、最後の大会に向けて練習に励むのだ。
けどまぁ、練習後に何をやろうが、校則に反しない限りそれは皆の勝手だよね。

「須賀せんぱーい、一年の皆でチョコ作ってきたんですよー」

「勿論一年男子組のぶんもあるよー」

「やっふー! ムロさん達ったら大天使ー!」

ははは後輩ども、はしゃぎすぎるなよー。

「京太郎さんこそ、終始口元緩んでるの気付いてるんですよー?」

うっへっへ、今日はもう人生最多のチョコ量を誇る日だからな。
そりゃもう俺史上ベストバレンタインデーだ。機嫌だってよくもなるさ。
もう俺には怖いものなんざ一つも……ぞくぅぅううっ!?
えっ、何これ!? 合同合宿で衣さんと透華さんを同時に相手取ったとき並の圧力を感じ……

「……京太郎君?」

の、和……いや、はい、あのですね、確かにちょっと年甲斐もなくはしゃいでしまったけど、
ちゃんと部活動は真面目にやりましたよ? 本当ですよ?
ネト麻で半荘2回に後輩相手に半荘3回打ったけど一回も振り込んでないんですよ?

「はぁっ。チョコレートを貰えるのがそんなに嬉しい事なんでしょうか……」

小声でそーいうこと言うのやめてくれっ!
抉られる! 心が抉られる!
そりゃ嬉しいよ、テンション上がるよ男の子だもの。
和が隣の席にいるのにはしゃいじゃったのはちょっと不愉快だったかもしれねーけど……

「……それはいいんですけどっ。はい、京太郎君」

えっ?

「チョコレートですっ。味の保証は、できませんけど」

……うわっ。超嬉しい、超幸せ。
去年は市販品だったのに今年は手作り!
やっほーい! もう俺今日死んでもいいぞーっ!
今年はベストどころか、モストバリュアブルなバレンタインデーになりそうだ。

モブ後輩からもらった時とのどっちからもらった時の幸せ度の差が大切なんです。

顔を赤らめて渡してるんだろうな・・・リア充爆発しろ!

リア充乙

のどっちかわいい

うむ

のどっちマジ天使
いや他の子もかわいいが

>>553
意見を言ってもいいなら、個人的にはちょっとオチというか締めが弱い気がする>>小ネタ
読んでて「えっ、ここで終わり?」ってなることが多いかも

否定するわけじゃないし、楽しんで読んでますけどね

>>553
小ネタが連投される+ここで終わりという文章がない=もしかしてまだ続くんじゃ?と思う
>>565の言うようにここで終わるの?もうちょっと続くんじゃないの?と期待する部分がありますからね
演劇のアフターとかすごく見たいです

まあほんのりのほほんとゆるやかにーでいいんじゃない?



あー京太郎爆発しないかなー

>>565
あー、オチが弱いのはあるかもしれんね。今後は気を付けてみよう
これで終わり? って思ったときは「続きはよ!」とでもレスしてくれたら書くかもしれんよ(適当)

>>566
>ここで終わりという文章がない
わ す れ て た
演劇アフターはちょっと考えたけど思いつかんので諦めるかネタをください

>>567
京太郎が爆発したら間違いなくのどっちを筆頭に清澄の皆が涙しますが、それでもいいんですか(迫真)


暇だから本編やるよー。
もうすぐ完結だよー

翌日。
個人戦の男子優勝者及び準優勝者、女子優勝者及び準優勝者が卓を囲むエキシビジョンマッチが行われる。
なんと、咲はこれに出場する。あの天龍寺を相手に咲がどこまで戦えるのか、楽しみだ。
だからさぁ。

俺も応援行きたい――ッ!! 行きたい行きたい行きたい、行かせろ――ッ!

「黙らっしゃいバカ先輩! 原村先輩たちがどれだけ心配してたか分かってるんですか!」

「昨日会場のド真ん中で倒れたバカが何を言ってんですか!」

なんでだよいいじゃねーか、一晩寝たからもう元気いっぱいだよ俺!
東京にいるのは今日が最後だろ! お前らも一緒に応援行こうぜ! な!?

「大人しく寝ててくださいバカ先輩!」

「あんたがごねるせいで俺らまで応援行けなくなったんすよ!」

ちくしょー! 咲、俺は応援してるからなー!


そんなわけで、俺は東京に滞在する最後の日をホテルのベッドの中で過ごす羽目になったのだった。
若気の至りというかなんというか、まあ、苦い思い出ってやつになりそうである。

そして、俺達は長野に帰った。
女子は相変わらずの大歓迎だが、今回は男子もそれなりに歓迎してもらえた。
別に褒められるために麻雀をやっていたわけではないけど、それでも、俺達の頑張りが認められるのは嬉しい。

ひとしきり祝勝会的なイベントを終えた後、俺達3年生は正式に引退となる。
……そう、引退。続けるにしろやめるにしろ、これでしばらくは麻雀とお別れになるんだ。
そう考えると、やっぱり……寂しい、かな。

「ま、どーせしょっちゅう部室には顔出すと思うじぇ~」

ははっ、違いねぇ。けどお前勉強のほうは大丈夫なのか?
俺は麻雀教えてもらうついでに和と勉強したりしてたけど。

「う゛っ。……ほ、ほら、天才の優希ちゃんはプロリーグの指名を受けるはずだじぇ」

個人戦では一回も全国出てないのにか?
ははっ、ようやく俺にも優希に勝ってる点が出来たわけだ。
個人戦県4位の優希さーん?

「黙れバカ犬! それは言っちゃいけないところだじょ!」


……で、咲はどうすんの?
お前ならプロから引く手数多だと思うけど。

「あはは……実際そうなんだけどね。でも私は、プロには行かないつもり」

ほう、照さんは既にプロで大活躍してるのにか?
そりゃまたどうして。シスコンの咲のことだから絶対後を追うものだと思ってたけど。

「シスコンじゃないよっ! でも、もっと本を読みたいし。麻雀をやめるわけではないけど、大学に行きたいんだ」

はーん。文学部にでも行くってことか?
お前らしいっちゃお前らしいな。そういえばお前文学少女だったっけ。

「そーゆーこと。大学出てからプロに行くってことは、有り得るかもしれないね」

ははっ、だったら咲は後輩になるわけだな。
俺は大学行く気はねーし。

「その前に京ちゃんは指名されるかどうかだよねー」

言ったな、このこのぉ!

「ごめっ、やっ、やめっ」

……じゃ、引き継ぎはこの程度で大丈夫かな?
頼むぞ真面目君、ムロちゃん。

「任されました。先輩たちのも誇れるような活躍をしてみせます」

「進路をどうするかは知りませんけど、先輩も頑張ってくださいっ」

ははっ、そうだな。こっちも頑張らねえとな。
女子は団体でも個人でも全国制覇をしちまってるから、厳しい戦いが続くと思う。頑張ってくれよ。
男子は俺の果たせなかった夢を叶えてくれると嬉しい。お前らが全国優勝したって報せを聞くのを楽しみにしてるぞ。

『はいっ!』


あ、お久しぶりです先輩がた。
見てくれましたか、俺達の活躍。

「おうとも。皆よう頑張った」

「あの役満は、なかなか燃えたわよ?」

へへっ、ありがとうございます。
結局男子は何も持ち帰れなかったのが悔しいですがね。

「十分じゃ。男子個人戦準決勝、あの闘牌は見とったもん全員の記憶に残っちょるよ」

「まさに記録より記憶に残る戦い……ね。あの後すぐに須賀君が倒れたことも含めて」

うぐっ。
いやぁ、あははは……面目ない。
皆にもさんざっぱら怒られました。
もう、和も咲も優希も怖くて怖くて。

本気で殺されるかと思いましたよ。

「当たり前じゃい。わしかてあの場におったら一発ぶん殴っとるところじゃ」

「全く須賀君は駄目ねー、好きな女の子に心配かけてるようじゃいい男とは言えないわよ?」

うぐぐぅっ!?


……ただいま、母さん。父さん。

「インターハイ、中継見たわよ」

「惜しかったな」

うん。勝てるかと思ったんだけどな。
やっぱ、悔しいよ。

「……で、どうすんの?」

「麻雀、続けるのか」

あ、やっぱバレてる?
まあそりゃそうか。一年の秋からずっと麻雀しかしてないもんな。

うん、俺は麻雀を続けたいと思ってる。
プロから指名されれば、それが一番だけど。
まあ最悪大学や実業団に行ってでも続けるつもりだから、勉強はちゃんとするよ。

「それを聞いて安心したわ。好きになさい」

ありがと。


……で、和はどうするんだ?
やっぱ前から言ってたようにプロ目指すの?

「はい。いくつかのチームから打診は来ていますので、指名されたチームにそのまま入るつもりです」

ははっ、確かに和は贔屓チームとかなさそうだしな。
チームを選ぶ気はないわけだ。

「そういうことです。京太郎君はどうなんですか?」

ん、俺も同じようなもんだよ。
準決勝敗退とはいえ、あの天龍寺さんを相手に役満ぶち込んだのが評価されてるみたいだ。
期待させといて結局どこも指名してくれない……なんてことさえなければ、俺もプロに行くよ。

「ふふっ、同じチームに指名されたら嬉しいですね」

ああ、そうだな。
……本当に、本当に、本当に。
万が一そんなことがあったら、何より嬉しいのに。

数日後。
秋に行われるドラフト会議は、もう少し先。
ああ、待ち遠しい。どんな結果が出るにせよ、早くやってほしいもんだ。

和や(本人は行く気がないようだけれど)咲みたいな指名当確の有名どころならともかく、
俺みたいな実績がほとんどないぽっと出は本当にやきもきさせられる期間である。
そんなわけで休み時間もぼーっと過ごしていたら、例の友人が話しかけてきた。

「よっ、須賀。どうよ気分は」

打ち足りない。
部活にはしょっちゅう顔出してるけど。
やっぱりインターハイの緊張感には程遠いよな。

「あっはっは、なんか知らない内にお前も麻雀キチになったなぁ」

あっはっは、キチ言うなし。
一から麻雀教えてくれるような物好きの先生がいなけりゃ、ここまで長続きはしなかったろうけどな。
ほんと、和さまさまだぜ。

「けっ、惚気やがって」

惚気言うなし。
……惚気だったらどんなに良かったことか……!

「うわっ、こいつガチだ」

「京太郎くーん、今日は部活どうしますー?」

あっ、和。行く行く今行く、ちょっと待ってて。
そいじゃ、俺行くから。

「おーおー行ってこい、男子エースさんよ」

元、だけどな。
まあ今日も、可愛い後輩たちを揉んでくるとするかね。

今回はここまでー。うん、次回完結やね。



ここで麻雀メジャーから指名が入って他に指名が入らなくなるんですねわかります

後5~6レスくらい?
どう大団円を迎えるか楽しみにしてます

おつー、さりげなく指名来るならどこから来るのか楽しみだったりする

おつー 完結かあ 早かったな

乙です
次回が楽しみですね




場面変わるとことかは

※※※※※※※※※


こんな感じで区切った方が見やすいかも。まぁ素人意見ですけどね・・・

続きはよ!

>>580
あーうん、それも考えたよ。
でも面倒くさかったんだ、ごめんね

>>581
どれのだよ!


そいじゃ、長かったような短かったような
多分データ容量的には普通に短かったんだろうけど
ともかくこのSSは、今日で完結です

そして夏はあっという間に終わりを告げ、運命の秋が来る。
プロ麻雀ドラフト会議。正式名称新人選手選択会議。
全国の高校生雀士が固唾を飲みテレビに齧りついて結果を待つ日だ。

既にプロへ行かないことを明言している咲を除いて三人、清澄高校にはプロ志望の三年生がいる。
その三人も当然例外ではなく、仲良く並んでテレビに齧りついている。
既にウィークリー麻雀TODAYを始めとした週刊誌・新聞社の記者さん達は準備万端。
あとは結果を待つのみだ。

『佐久フェレッターズ、女子第一位指名……清澄高校、原村和』

おぉぉおおっ、すげえ! 一位指名じゃねえか、和! すげえよ、本当すげえよ!
フェレッッターズって言ったら地元だし! 藤田プロのいるところか。うわっ、マジですげえ!

「京太郎君、はしゃぎすぎです……記者の方も見てるんですよ」

うぐぐっ。
あ、でも凄いぞ和。他にも和を指名してるところがあるみたいだ。
競合ってやつかー。ほんと和は凄いなー。

「どこになるんでしょうか……」

和の親父さんは今度東京に引っ越すんだっけ?
だったらやっぱり、和としては東京のチームのほうがいいんじゃないのか?

「そこは別にいいんですけど……」

「全く、私がどこにも一位指名されないなんて信じらんないじぇ」

しゃーねえだろ。白糸台の大星さんとか、強い選手は他にもいるんだから。
ああ、そんなことより早く女子ドラフト終わって男子のほうやってくれないかなぁ。
もう緊張で心臓がおかしくなりそうなんですけどっ。

『佐久フェレッターズ、女子第二位指名……清澄高校、片岡優希』

「おおおっ、来たぁー! 我大勝利なりっ!」

おぉ、おめでとう優希。
……うぅぅううう、あとは俺だけじゃねぇか。

『それでは、男子の指名に移ります……』

来た……来ちゃったよ。うあぁ、心臓が痛い。
どうしようどうしよう、これで指名なかったら俺、晒し者じゃねえか。

「ビビり過ぎだじぇ。インターハイで準決勝まで進んどいて指名無しは有り得ないじょ」

そりゃ理屈のうえではそうなんだろうけどさぁ。
結局俺本選では一回もトップ取ってないし……。

「はぁ。京太郎君らしいといえばそうなんですけど、もうちょっとしゃんとしていてください」

ううう……。


『佐久フェレッターズ男子第一位指名……清澄高校、須賀京太郎』


……えっ。
聞き間違いじゃ、ない、よ、な? なぁ?
俺、和と優希と同じとこに、指名されたんだよ……な?

「ええ、確かに私にもそう聞こえましたよ」

「私も、だじぇ」

……ぃやっ……たああぁぁぁぁぁあああっ!!

カツ丼清澄狙いすぎwwww

……そして迎えた、卒業の日。
式を終え、俺は誰もいない部室へ向かった。
特に理由があったわけじゃないけど。
どうしても、最後にここに来ておきたかった。

自動卓のメンテナンス。備品の整理。
今となっては俺がやる必要なんてない作業だけど、それでも。
今日でお別れだと思うと、一秒でも長くここにいる理由が欲しかった。

そうして長々と部室に居座っていると、そこに和が現れた。

「京太郎、君……」

和、か。ははは、和も今日でお別れだと思ったらついつい来ちゃった感じか?

「……いえ。京太郎君は、きっとここに来てるだろうと思いまして」

えっ、俺?
もしかして麻雀部で集まって写真撮るとかそんなのあったの?
だったら急いで行かないとだけど……。

「いえ、そうではなく。京太郎君に、話があるんです」

……俺、に?

「……思い出話のようなものと思っていただければ、結構です」

「一年の頃。京太郎君がまだ雑用ばかりさせられていた頃。たぶん、私はあなたのことを軽んじていた」

……ま、そりゃなぁ。俺だって雑用だけしてるような奴がいたら、何しに来てんだこいつって思うだろうよ。
別に今更そんなときのこと謝ってくれなくてもいいんだぜ?

「けれど、違った。京太郎君が真剣に麻雀に取り組んでいるということを知れたこと。本当に、良かったと思っています」

あぁ、あの時か。うわっ、今思い返すと恥ずかしいなぁ。
あの時殴っちまった女子、今どうしてるかな……。

「あの時からずっと、なんだかんだで京太郎君と一緒にいた気がします」

……そう、だな。
学校に行けば部室で麻雀教えてもらって。
家に帰ったらネト麻で麻雀教えてもらって。
ずっと麻雀してたな、うん。

「部活の帰りにファストフードやゲームセンターに連れて行ってくれて……楽しかった、です」

お、そりゃどうも。
楽しんでくれてたかどうか凄く心配だったから、そう言ってくれると嬉しいよ。


「ずっとあなたといて、あなたのことを知ってきました」


「ずっとあなたといて、もっとあなたのことを知りたくなりました」

 
 
 
「京太郎君。あなたのことが――好き、です」

 
 

えんだああああああああああああああ

いやああああああああああああああああああ

ほげぇええええええええええええ

……えっ?

「もうっ。京太郎君らしいといえばそうなのかもしれませんけど、こんなこと女の子に最後まで言わせな――」

がばっ。
……気付いたら、和を抱きしめていた。
仕方ない。いきなりこんなこと言う和が悪い。

……本気にするぞ? 今更嘘だとか言われても認めないぞ?
いいんだな、和。

「……全く。相変わらず自己評価が低いようですが……そんなこと言いませんよ、京太郎君」

「二年間、ずっとあなたのいいところを見てきた私が言うんです、間違いなんてありません」

……ああぁぁああ、もうっ。
お前にこんなとこまで言わせちまったのは男として物凄い恥ずかしいけど。
それでも、今更だけど、俺からも言わせてくれ。

和、好きだ。大好きだ。初めて会った時から、いや始めてお前の姿を見た時から。
ずっと、お前のことばかり見てた。見損なわれるかもしれないけど、本当にずっと。

「……どうりで、春から夏にかけてはやたらと視線を感じたような……?」

うぐぅぅううっ!?
……いや、違うんだ。違わないけど違うんだ。
確かに和に近づくために麻雀始めたのは事実だけど、その……。

「……分かりますよ。浮ついた気持ちだけで麻雀をやってて、あんなに上達するわけがありませんから」

「京太郎君の麻雀への思いの真摯さは、私が保証します」

ありがと、和。お前がそう言ってくれるだけで、救われるよ。
……あー、なんか、もう。最後までカッコつかないけど。

和。俺は、お前のことが好きだ。俺と……付き合って、くれるか?

「喜んで。よろしくお願いします、京太郎君」

ようやく。足かけ三年、ようやく実った俺の初恋。
初めて会った時から好きで、でもそれ以上に今目の前にいる彼女が愛おしくて。
気付けば互いに眼を閉じていて。

二つの影が、一つに――

善哉善哉

いやあああああああああ

まったく先に言わせるなんてヘタレにも程があるな何もなかったらどうするつもりだったんだ爆発しろ

 
 
 がたっ。

 

!?

……おい。

「あっ、やべっ」

いや、いいんだ。
この際なんで全員いるんだよとか、そういうことはいいんだ。
寛大な精神で許してやろう。

お前ら、どこから見てた……?

「いやですね、ほら。せっかくの卒業式だから部員全員で記念写真でも撮ろうって話になって」

「京太郎さんと原村先輩だけいなかったから……」

「そんで三年生の知り合いに聞いたら旧校舎に行くのを見たって……」

そう言うことを聞いてるんじゃない。
もう一度聞くぞ、お前らどこから見てた……?

「えーっと……『和も今日でお別れだと思ったらついつい来ちゃった感じか?』から……」

最初じゃねーか。
……最初っからじゃねーかァァァァァ!!!!

「アカン」

「逃げるじぇ皆!」

待てやコラァァァァ!!
穏やかな小春日和の空に、俺の叫びが響き渡った。

 
――こうして、紆余曲折の末、俺こと須賀京太郎はプロ雀士としての道を歩くことになった。

思えば至極下らない、というか俗っぽい、言ってしまえば酷い理由で麻雀を始めた俺だけど。

決して順風満帆とは言えなかったし、嫌なことも辛いことも当然あったけれど。

それでも、いつだって俺の回りには仲間がいた。

俺の味方をしてくれる人がいた。

だからこそ、俺はここまで成長できたんだ。

俺がここまでくるのに、失敗なんて一つや二つじゃ済まない程あったけれど。

その全てが、今日この日の成功に繋がったんだと、そう思う。

隣に最愛の人が立ってくれている、そんな今日に繋がったんだと思う。

だから、凄く気の早い話だけれど、著名なプロの方々のように俺が本を出す日が来たら。


そのタイトルは、もう決まっている。
 

 
 
京太郎「俺のサクセスストーリー」         完。あるいは、始まり。
 

乙乙

楽しませてもらったよ

読者「なんだこののろけ本」

おつー 
お約束wwww

おつー
てんほうには参加できんかったけれども最初から楽しませてもらったで

読者「須賀プロ爆発しろ」

実際問題、相当有名にならないでそんなタイトルの本出そうもんなら「なんだコイツ、酔ってんのか?」で終わるよな

頑張れ、京ちゃん

おっと、忘れてた

完結乙でした、楽しかったです

乙 このSSのように京和がもっと増えることを願う

しかしこのタイトルの本は買うの恥ずかしいなwwww




ようやくのぼりはじめたばかりだからな、このはてしなく遠い麻雀坂をよ…

おつー、面白かった
京太郎は爆発しろ



和京もっとはやれ

乙ー、面白かったです
京和はやっぱりいいですね

いや流石にこのまんまのタイトルで出すってこたないやろ、きっと(震え声)
成功っていうワードを残しつつちゃんと本のタイトルっぽくしてるはずやから(震え声)

>>601>>604
草生えた

>>605
せやな
むしろ京ちゃんには結局本出さなかったなんてオチが似合うような気もする

>>607
君も京和を書こう(提案)

>>608
申しわけないが打ち切りはNG

>>611
せやろーさすがやろー?


さーて、次は何を書こうかなぁ
京シロ書こうかこれの続きを書こうか
なお一読者に戻る説が最有力のもよう

とりあえず依頼出してくるけど、落ちるまでは感想でも何でも、色々書き込んでくれると嬉しいでー

京シロ!・・・そういうのもあるのか

どんどん書いて、どうぞ

乙ー面白かった
ここでは普通のSS形式が少なめだったし良かったよ―

読みに行くからまた書いてほしいな
とても面白かった

面白かったです、終わるのは物悲しいけど完走お疲れ様でした

乙。すばらでした



京シロはよ

面白かった
完結お疲れ様です

脳内京シロSS設定
見た目通りの血縁ネタ。血縁なら能力が似ててもいいよね。
インハイ負けて暇だろうし、シロが京太郎の家に居候しに来たりしてもいいかも

脳内このSSの続き設定
京ちゃんとのどっちがプロリーグで大かつやくするぞ(子供向け雑誌並の解説)
咲世界のプロリーグの仕組みが不明すぎて書きたくても書けそうにないもよう
そんなことより京和がひたすらいちゃいちゃする話とか読みたい(唐突)

仮にどっちか書くとしたらどっち読みたい?
あと、読みたい話とかそういうの書いてくれると次回作を書く気になったときに小ネタや番外編として出すかもしれない

お疲れ様です、すばらなものをありがとうございました

京タコから京ギバまでこなせるような作者になればいいのではないでしょうか

まずは京シロから

完結乙ー
面白かったよー

>>622
京ギバは流石に犯罪だろォ!?


あとなー、あれやなー。
別のスレの影響で、無性にモモを幸せにしたい。けど話の展望が浮かんでこない。
誰か京モモスレ立てて、どうぞ

乙ー

淡もいるけど京シロが一緒に暮らすスレは今日立ったという
被ってもいいんでどしどし書いてね!

プロのシステムとか全部妄想でいいから書こう
戒能プロのおもちに誘惑されて嫉妬する和かわいい

あ、そうだ(唐突)

いいこと思いついた、俺の次回作を天鳳で決めよう
前回と同じように三回東風戦打って、俺より順位が上だった人に投票権ってどうよ
勿論俺がトップとったらその分対局数増やす

んでこのSSの続きか京シロか京モモの3つのうちどれかに投票!
人集まるかなー
http://tenhou.net/0/?2685

やっぱ人集まらないなー
ってレスしようとしたら対局始まってビビった。
どしどし参加募集中なのよー

毎日の楽しみが終わってしまって寂しいが乙
読者に戻るかもって話しだけど新作期待してる

乙なのよー
最初からずっと見てたけど遂に完結か、感慨深


最後までニヤニヤしながら読んでたわ

京太郎もげろ

タイトンです。皆さんお疲れ様でした。

京モモオナシャス!!

乙ですわー
いいもの読ませていただきましたーと思うとともにこれでしばらく読むものが減るなーとさみしいものもあります
新作小ネタアフターどれでも期待してます

乙!
手向けにいざ一局


イイハナシダッタナー

乙です
面白かったです
京太郎はもげてください

SSSでー

京モモおなしゃす

虫けらですー。リー棒出してくれて助かりました
京シロおなしゃす

ま、これが俺の本当の実力ってとこかな(3戦連続2位…のはず)
前回の天鳳はマジでおかしかった…

東1で跳ねるとかすごいと思った(小波感)

そんなわけで、次回作は京モモ!
一ヶ月以内には立てられるように頑張るで~

それが完結したら京シロやなー。
ただし書けるだけの気力が残ってるとは限らないということを忘れてはいけない(戒め)。

このSSの続きは俺の趣味で書き溜める可能性が微レ存。
京モモと京シロが順調に書き進められれば、まあ、いずれスレを立てるかもしれない

では、また俺がスレを立てる時までさらばですのだボクたち!

乙なのです>>1

乙乙

次回作も楽しみにマッテルデー

あ、あともう一つ
ちょっとうとうとしてて打牌遅くなってごめんね!
姫様と打ってたと思って許してね!

京シロは従姉でオナシャス!3等親内のインモラルも嫌いじゃないけど

乙すばら
京モモも期待してるよー

おっつおっつ 面白かった!
京モモ・京シロも期待してます!

乙ッウ^~

完結乙

綺麗なのどっちに京ちゃんすばら!

もし天竜寺君が姫様に会ったらどうなるの?

爆散

護身完成

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