ベルトルト「力の代償」(62)

鬱注意。53話までネタバレあり、ベルアニ要素少し


ベルトルト「(明日はいよいよ配属決定の日だ…)」

ベルトルト「(3人で憲兵になるつもりだったけど…エレンの巨人化の件は気になる…)」

ベルトルト「…にしても、遅いなあ…アニ」

アニ「待たせたね」

ベルトルト「うわあ!びっくりした、いるなら声をかけてよアニ」

アニ「…今来たんだよ」

ベルトルト「あ、ああ」

アニ「ライナーは?」

ベルトルト「いつもの通りだよ。俺は調査兵団に行く!って言ってた」

ベルトルト「『君は戦士だろ?』って声をかけたけど、戻らなくて…人が集まってきたから僕一人で来た」

アニ「そうかい…」



ベルトルト「…所属兵団のことなんだけど…」

アニ「エレンを見張る人間が必要だ。あんた達二人は調査兵団に行きな。私は予定通り憲兵団に行く」

ベルトルト「一人で大丈夫?」

アニ「単独行動なら私が一番得意だよ。それにライナーのそばにはあんたがついていないと」

ベルトルト「うん…」

アニ「…ねえ」

ベルトルト「何?」

アニ「ライナーの奴、いつからあんな感じなの?」



ベルトルト「気づいたのは訓練兵になってしばらくしてからだよ。最初は何を言ってるのかと思ったけど…」

アニ「何とかする手立てはないの?」

ベルトルト「…難しいと思う」

アニ「…兵士ライナーと、戦士ライナー、か…」

ベルトルト「そもそもいつから人格が別れていたのか、人格は二人だけなのか、主人格はだれなのか」

ベルトルト「僕にはわからないんだ…」

アニ「どういうこと?」



ベルトルト「多重人格っていうのはね、耐え難い苦しみを味わった時に、ダメージを抑えて生き延びる術なんだ」

ベルトルト「ひどい恐怖を味わったり、大切な人を失ったりした時に」

ベルトルト「こんな苦しみを受けているのは自分ではない、自分には何も起きていない」

ベルトルト「そうやって苦痛を回避しようとして、苦しみを別人格に任せてしまうんだよ」

アニ「ってことは…」

ベルトルト「たぶん、皆の兄貴分っていうのがライナーの本当の性格に近いんだと思う」

ベルトルト「でも、壁を壊して多くの人の命を奪った時に、あるいはその任務を負った時から」

ベルトルト「罪の意識に耐えきれなくて、人格を分裂させていった」

アニ「…」


ベルトルト「ひょっとしたら本当の人格は任務を負った時から眠っていて、兵士も戦士も副人格かもしれない」

アニ「このままじゃ任務に支障がでる。それじゃ故郷にも帰れない」

アニ「兵士の方を消してしまうっていうことはできないの?…その、そっちの人格の時に刺してしまうとか」

アニ「兵士の方は自分が巨人だということも忘れてるみたいだし…」

アニ「刺されて死んだと思いこんでいなくなるんじゃない?」



ベルトルト「それをすると、戦士の方の精神にダメージがいくよ。戦士の方は兵士の方を知ってるみたいだし」

ベルトルト「自分の中のもう一人の自分が、刺されて死んでいく姿を見てしまったら…」

ベルトルト「戦士の方も壊れてしまう…」

アニ「そうか…こっちの医者に見せることもできないしね」

ベルトルト「幸いなことに、任務以外の記憶は共有出来てるみたいだし、周りに疑われることもない」

ベルトルト「一刻も早く故郷に帰って、医者に見せるのが一番の近道だと思う」

進撃の世界で精神科医なんていなくね?



アニ「ベルトルト、あんた、何やってるの?」

ベルトルト「え?ライナーの話だけど」

アニ「そうじゃなくて…ベルトルト、しっかりしてよ。あんたまで…」

ベルトルト「何を言ってるんだアニ、僕は…」

アニ「ベルトルト…ベルトルト!!」

ベルトルト「…アニ?」

あれぐらいの文化レベルなら精神科医モドキぐらいはいるだろ

精神治療の歴史はかなり古いからな

いないだろ
医者の数が少ないからエレンの父親は色々な所に行って治療してたし

何よりあの貧しい世界で体の治療もままならないのに、精神関連で金を出すとはまず考えられない



ベルトルト「…あ、あれ、アニ…いつからそこに?」

アニ「今来たんだよ」

ベルトルト「あ、ああ」

アニ「ライナーは?」

ベルトルト「いつもの通りだよ。俺は調査兵団に行く!って言ってた」

ベルトルト「『君は戦士だろ?』って声をかけたけど、戻らなくて…人が集まってきたから僕一人で来た」

アニ「そうかい…」


(一応、精神医学という言葉は19世紀頭にはありました。18世紀後半から徐々に興っていたようです)
(注射器の登場が1850年代なので、進撃世界は精神科もぼちぼちあるかな、と)

独立した精神科医が居なかっただけだよ
昔は普通の医者が全部兼ねてたからね

精神治療自体は古代オリンピアからずっと行われてたし

ためになるスレダナー
それはそれとしてぞくっとした
続けてくれ

シリアスを書くなら世界観にこだわって書いて欲しい
違和感があるとどうしても追求したくなる

だけど金銭面では一般家庭に普及されるには厳しいだろ



アニ「あんたも、大丈夫じゃなさそうだね」

ベルトルト「僕…どうなってた?」

アニ「…座ったままこの木に一人でぶつぶつ話しかけてた」

ベルトルト「…そうか…また、出ちゃった」

アニ「…」

ベルトルト「アニ、その手首は…!?」

アニ「この傷かい?最近、私も幻聴がひどくてさ…」

アニ「さっきもあんまりひどかったから、つい、ね。おかげですこし落ち着いた」

ベルトルト「それで遅かったのか…」

アニ「巨人の修復力もありがたいもんだね」

ベルトルト「皮肉な話だね」

敵が強大なんだから
敵への恐怖症無くすために心理学かじってる専門医とかカウンセラーくらいいるだろ

それは兵士のいる壁の中ならあるかも知れないけど
壁の外、巨人側には大半が知性のない人に溢れているのだからそれもいるか微妙な所だな



アニ「…私達は、いつまで『私達』でいられるんだろうね」

ベルトルト「…僕にだってわからないよ。」

アニ「壊れる前に任務を終わらせられなければ、奇行種になって彷徨うことになる」

ベルトルト「そうなる前に、帰ろう。故郷に…」

アニ「こっちに来てから、お父さんの夢をよく見るようになった」

アニ「『俺が間違っていた。力の代償として、お前がこんなになると知っていたら…』って」

ベルトルト「お父さんは、そんなことを…」


(実際の解離性同一性障害は困難を極めます。進撃世界で十分な治療はできないと思います)
(登場人物たちも気休めのつもりで喋ってると思って下さると助かります)

そこの辺の説明を詳しく教えてくれ

きついけど展開か気になる。

雰囲気作りのためだけの会話だったのか



アニ「…いっそのこと、死んだ方が楽かもね…」

ベルトルト「アニ、もう少し、もう少しだから…」

アニ「…」

ベルトルト「君は一人じゃない。壊れそうになったら、僕の事を思い出してよ」

アニ「ベルトルト…」

ベルトルト「君が壊れてしまっても、僕がきっと、助けに行くから」

アニ「…うん」

突っ込んだらいけない所だったのか
それは悪かった

アニはそう思ってそうだな
森で泣いてたし

実際ベルトルトが側にいてもライナーは潰れた所が多少皮肉な所だな


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ライナー「ユミル…何で俺達の所に来た?」

ユミル「ああ…そりゃ、私が馬鹿だからだな」

ユミル「里帰りのお土産になってやってんだよ。手ぶらじゃお前ら帰ってくれねえだろ」

ライナー「このまま故郷に行けばお前はまず助からないんだぞ…?逃げるなら…今だ」

ユミル「…何言ってんだバカ野郎。私はもう疲れた」

ベルトルト「ユミル…君はいつから症状があるんだい?」

一気に飛んだな



ユミル「人間に戻って、しばらくしてからかな…」

ユミル「最初は、突然何かを思い出したみたいに、映像が見えたんだ」

ユミル「でも、すぐに何を見たのかも忘れてしまって…」

ユミル「それがだんだん回数が増えて、見ているものもはっきりしてきた」

ユミル「そのうちに、幻聴も聞こえるようになっていった…」

ライナー「俺とは症状が違うんだな」

ベルトルト「どっちかっていうと、ライナーの症状の方が特殊みたいだよ」

ユミル「…お前は幻覚がない代わりに分裂したのか」

ライナー「…そうらしいな」

ばあちゃんの場合はボケの始まりみたいだなww

エレンの場合もそうなのかな。



ユミル「…幻聴にうなされて眠れずに宿舎を飛び出した私を、ヒストリアだけが追いかけてきてくれた」

ユミル「あいつは…何も言わず、何も聞かず、ただそっと、私を抱きしめてくれた」

ユミル「お前らにはわからないだろ?こんな人間だと知っても優しく笑ってくれるんだぜあいつは…」

ライナー「…」

ユミル「最初は、あいつに近づいて壁教に接触すれば、元に戻ることができないかと思った」

ユミル「そのうちに…私はあいつの首を引きちぎって食らう幻覚を見るようになったんだ」

ユミル「お前らと違って、私は無知性として過ごした60年がある」

ユミル「完全に自我を失ってしまうのも遠くない」

ユミル「だからあいつを憲兵団に送って、私はあいつの元から去ろうとしたのに…あいつ調査兵団に来ちまった」

巨人の力を手に入れた日数に比例して精神崩壊起こすならエレンもだろうな

…絶対騒ぎまくって迷惑しそう



ライナー「もう一度聞くぞ。お前はこのままこっちに来てもいいのか」

ユミル「言ったろ。私は60年、冷めない悪夢を見続けていた。今もそれが続いてる」

ユミル「今壁内に帰ったら…裏切り者として処分されるか…」

ユミル「そうでなくとも、そのうちに自我を失って…ヒストリアに襲いかかりかねない」

ユミル「私はもう疲れた。もういいんだよ…もう」

ユミル「私は…お前らに借りた物を返す。お前らの境遇を知ってるのは私だけだしな…」

ベルトルト「…ありがとう、ユミル…すまない」



ライナー「エレンの奴も、そろそろ症状が頻繁になるんじゃないのか…?」

ベルトルト「エレンは、こっちの医者にかかることができるし、僕達よりはまだマシだよ」

ユミル「…それでも、根本的な解決にはならない」

ユミル「(エレンが壊れるまでに人類が勝利しなければ…)」

ユミル「…おい、お前ら」

ライナー「何だ」

ユミル「土産になってやるかわりに、ヒストリアだけは、必ず救い出せ」

ライナー「…俺達が、壊れるまでに決着がつけばな」

二人が使い物にならないなら、応援が来る事はないのかな?


~~~~~~~~~~~~~~~

エレン「(父さん…今頃どこに…どこかで生きているのか…?それとも…)」

エレン「…っ!?」

エレン「(ヒストリア?イヤ違う…これは記憶?…いつの?)」

エレン「(あ…だめだ…また…これ以上は…)」

エレン「う…」

ミカサ「まだ体が弱ってる。無理しないで」



エレン「あ…あぁ…」

エレン「(あれ…?なんだっけ?)」

ミカサ「エレン…」

エレン「どうなってるんだ…オレ…」

ミカサ「エレン、あなたは一人じゃない。壊れそうになったら、私の事を思い出して」

エレン「ミカサ…」

ミカサ「あなたが壊れてしまっても、私がきっと、助けに行くから-」




~END


鬱なだけの話な上、色々お粗末ですんませんでした


精神科疾患は差別されがちですが、苦しんでいる人がたくさんいます。
絶望して自死を選ぶ人もいます。

メンヘライナーとかネタにされがちですが、時々でいいのでこの事を思い出してほしいな…
と思って書いてしまいました


(ちなみに、実際に解離性同一性障害の原因が明らかになってきたのは20世紀に入ってからです)
(なので、ベルトルトの知識が進みすぎているかもしれませんが)
(人を巨人にする力といい、故郷側は文明レベルが少し高いと考えて書いてます)

ある意味題材にされる方が辛い

乙。よかったです。ただ、エレンをみてると一旦絶望すると破壊的性格になる危うさを感じてしまう。

ごめんなさい、本当に想うんだったらこんな所で題材にしないで下さい

題材にしてもそれを口にしないで下さい

晒し者のようで逆に惨めになります

>>47

配慮が足らず、申し訳ありませんでした。
削除以来出してきます

おもしろかった
CUWlg2J2 = Pwqv68C6はよく分からんが半年ROMってくれ頼む

>>48
いいえ、此方こそ過剰反応してしまい申し訳御座いませんでした。

こんな事で削除依頼出さなくていいだろ
SSの題材ごときで辛いとか晒し者にされてるって言ってるメンヘラ共なんて気にすることない

>>51
そうですね。>>43がきつかったのは事実ですが…
悪いのは全て私です申し訳御座いませんでした。
叩かれても仕方ないでしょう。
メンヘラですから

集団感染の人かと思ったけど違うか

>>53
あの人ならもっと話広げるだろうし違うと思う
つか新作出てるからそっちに書けば?

作者が誰かとは知らんが、発達障害か自閉症が執拗に粘着してたんだから話広げる余地もなかったんだろ
乙でした

これ鬱なの?割と救いがあるように感じたけど

精神科疾患差別しないで→精神疾患現る→叩かれる→精神疾患ROMっとけ
茶番だな

乙!
ストレスだけじゃなくて巨人化能力の副作用で発症する話って初めて見た。俺は興味深かったよ。


ここのところ粘着する人がやたら増えてきた気がするが時期的に仕方ないのかな。

アルミンスレばっかの気が狂いそうな深夜のオアシススレだな乙!

内容は良かったけど結局は>>1も精神疾患見放してるしな
モヤモヤ感は残る

あのメンヘラは自業自得
まぁどっちも自分に酔ってる感じは否めないけど

対応の相談をしてきました。

特定の病気の方を中傷、晒し者にする意図は一切ありませんでしたが不愉快に感じられた方、すみませんでした

52さんお大事になさって下さい

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