モバP「人を呪わば穴二つ」 (56)
モバマスSSです。
シリーズものです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390660589
あ、古典シリーズです。
また外伝みたいなものです。このアイドルをスカウトするんだったらという体で書いています。
P「気分転換に外で昼を食べるのはありだな」
幸子「そうですね。お弁当も嫌いではありませんが、たまには違うのもいいですね」
P「さて、ご飯も食べたことだし午後も頑張るか」
幸子「えぇ、そうですね」
泰葉「ですねー。頑張りましょう」
P「今日は以前話した通り街中を歩いて紹介する企画らしいぞ」
幸子「なんだかほのぼのしてますね」
泰葉「いいじゃないですか」
幸子「えぇ…いきなり、無茶振りさえされなければ…」
P「そういう番組じゃないから安心してくれよ。俺もカメラの後ろにいるからさ」
幸子「ならいいですけど…」
泰葉「美味しいものがあるといいですねぇ」
P「実際ここに来たことはあるのか?」
泰葉「電車から見ることはありましたけど、降りたことはないですね」
幸子「ボクもそうですね」
P「それじゃ、頑張っていこうな」
泰葉「はいっ!」
幸子「えぇ」
泰葉「はい。皆さんこんにちはいい天気ですね」
幸子「ボクに負けないくらい太陽がいい顔してますね」
P(二人とも楽しそうにやってるな)
P「何かおいしそうなものないかな」
「……」ジー
P「……ん?」
P(視線を感じる…?)
P「気のせいかな」
P「最近あんまり寝てないから疲れてるのかもな」
P「こんな時はちひろさんから貰ったドリンクでも飲むか」
P(原材料に何が入ってるか気になる所だけど、恐らく滋養強壮があるものだろう)
「……」ジー
泰葉「お疲れ様でした。またよろしくお願いしますね」
幸子「お疲れ様でした」
P「二人ともお疲れ様」
泰葉「あ、どうも、いえいえ楽しかったですよ」
幸子「勿論、ボクも楽しかったです」
P「二人とも楽しそうでなによりだ」
幸子「えぇ、岡崎さんとお仕事をすると色々発見があっていいですね」
泰葉「そんなことないと思いますけど…」
P「そんなこと言うなんて珍しいな幸子」
幸子「珍しいってなんですか珍しいって。スタッフさん達に対してどう接すべきかとかはPさんは教えてくれないですからね」
P「まぁ、俺はテレビに出てるわけじゃないからな」
幸子「えぇ。ですから岡崎さんとお仕事をすると発見が多いんですよ」
泰葉「ま、まぁ、役に立ててるなら嬉しい…かな?」
P「偉いな幸子は」
幸子「ふ、ふーん。ボクが偉いのは当たり前じゃないですかっ」
P「あぁ、そうだな…」キョロキョロ
幸子「どうかしましたか?」
泰葉「誰かお知り合いでも?」
P「いや、ちょっと視線を感じてさ…」
幸子「ボクたちのファンですかね?」
泰葉「気のせい…じゃないですかね?」
P「気のせいだといいんだけどな」
幸子「ボクたちのファンがあの男は誰だ!って見てるんじゃないんですか?」
P「それもそれで怖いな…」
「あ、あの…す、すみません」
P「は、はい。なんでしょうか…?」
P(誰だろうこの子、二人のファンか何かかな?)
「その…か、肩に」スッ
P「肩ですか…?」
「その死神が…」
幸子「し、死神!?」
泰葉「どういうことなんでしょう…?」
P「えーと、どういうことですか?」
「ちょっと…動かないで。……はい。どこかに…いきました」
幸子「あ、蟷螂ですね。それが死神だったんですか」
泰葉「あぁ、なるほど」
「……」フルフル
P(あれ、体が軽くなったな…なんでだろ?)
「これで…大丈夫」
P「えーとありがとうございます…?」
「別に…私は…。ただ、あの子が教えてくれたから」
P「あの子?」
「うん…。そこにいる」スッ
幸子「Pさんちょっと…」
P「ん?どうした?」
幸子「その…全く見えないんですけど」ヒソヒソ
P「だなぁ…」ヒソヒソ
泰葉「どの子ですか?」
「えっと…そこにいる子…なんだけど…」
「…見える?」
泰葉「分からないですねぇ…」
「…そう…ですか」シュン
P「あ、でも、なんだか幸子の猫と似てるな」
幸子「はい?」
P「いや、招き猫だったか猫又が確かそんな感じじゃなかったか?」
幸子「あぁ、そういうことですね。確かに言われてみれば」
「……?」
P「あ、うちの事務所で前に猫又が出たんですよ」
幸子「出たって言っても見えてなかったですけどねPさんは」
「……見えなかったんですか?」
幸子「ボクは勿論見えましたよ!」ドヤ
「見て…みたいなぁ…」
泰葉「ですって」
P「うーん…見た感じ未成年だしなぁ…」
「ちょっと…待って…下さい」
「はい…平気だって」
幸子「何したんですか?」
「お母さんに…連絡したんです…」
P「まぁ、それならいいけど…」
「それに…あなたたちは…悪い人じゃないってあの子も言ってるし」
泰葉「凄いですね…その子」
泰葉(一体誰のことを言ってるんだろう…?)
「あ、あの…私、し、白坂、小梅って…言います」
幸子「小梅さんですか。良い名前ですね」
小梅「あ、ありがとう…ございます」
期待
事務所
P「お疲れ様です」
蘭子「やみのまー」
P「おぉ、蘭子いたのか」
蘭子「はい。いました…えーと…そっちは?」
ちひろ「アイドル志望の方ですか? 流石にいきなり事務所に連れてくるのは…」
P「えーとですね…。アイドル志望というわけじゃ…」
ちひろ「え、それじゃなにをしに…? ここは迷子相談所ではないんですけど」
小梅「……」キョロキョロ
小梅「…あ。本当にいる」
P「本当にいるんだなぁ…」
ちひろ「話についていけないんですけど…」
P「まぁ、ちょっとお礼も兼ねて事務所を見せてるんですよ」
ちひろ「お礼?」
P「死神を取って貰ったみたいです」
ちひろ「死神に憑かれてたんですか?」
P「いや、そういうわけじゃないと思うんですが、体調が良くなかったんですが、白坂さんが死神みたいなのを追っ払ってくれてから体調がよくなったんですよ」
ちひろ「なるほど…」
小梅「ちょっと…お願いをしただけ…ですけど」
P「そうなんですか」
小梅「…うん。あの子が教えてくれました…」
ちひろ「霊能力者みたいですね」
小梅「そんなのじゃ…ないけど」
小梅「このお花…綺麗」
P「うちのアイドルが育ててるんだよ」
小梅「そう…なんですね。とても大切に…育てられてる気がします」
小梅「そう…思うよね?」ニコ
幸子「その視線の先に誰かいるんですか…」
小梅「見えない…?」
幸子「生憎、見えないですね」
蘭子「そ、そなたは…」
小梅「…はい?」
ちひろ(あ、蘭子ちゃんが目を輝かせてる)
P(まぁ、見えない者が見えるって時点で蘭子は好きそうだなって思ったけど)
蘭子「えっと…その、いない者が見えるの?」
幸子「流石に初対面の人に話しかける時は普通の言葉使いにするんですね…」
泰葉(まぁ、流石に面喰らっちゃうだろうし…)
小梅「皆さんは…見えない…ですか?」
蘭子「ふっ、我はこの魔眼のおかげで…」
小梅「あ、見えるんですね…。あの子も嬉しい…って言ってます」
蘭子「……え?」
ちひろ(あ、これ、同じタイプの人だと思ってたけど違うって気づいたみたいですね…)
蘭子「えっと…あの子って?」
小梅「ちょうど…後ろに」
蘭子「え……」サァー
P「蘭子、こっちおいで」
蘭子「う、うん…」
小梅「あ…」
P「そういえば、白坂さんは普段から幽霊とか見えるんですか?」
小梅「…小梅でいい…です」
P「はい。小梅さん」
小梅「えっと…わからない…です」
P「よく肩に…死神でしたっけ。それがいるって分かりましたね」
小梅「それは…あの子が教えてくれたから」
文香「こんにちは」
ちひろ「あ、文香ちゃんこんにちは」
文香「はい。えっと、あの子は…?」
ちひろ「えっとですね…私もよくわからないんですけど」
文香「はぁ…」
文香(誰かのご家族でしょうか…)
ちひろ「まぁ、Pさんが連れてきた子なんですけどね」
文香「アイドルになるんですかね…?」
ちひろ「わからないですね…」
文香「はぁ…」
小梅「えっと…プロデューサーさん…?」
P「はい」
小梅「猫…以外にここの事務所で…」
P「えーと色々あるからなぁ…」
小梅「い、色々あるの…?」
P「蜘蛛やら、キツネやら、蛇やら、人形やら…」
小梅「す、すごい」
P(確かに冷静に考えるとすごいな…うちの事務所)
小梅「昔…何かあったの?」
P「いや、別に呪われた土地とか心霊スポットってわけじゃないんですけどね」
小梅「…そうなんだ」シュン
P「まぁ、支障はないからいいんですけどね」
小梅「い、今は…その蜘蛛とかは?」キョロキョロ
P「いないですね」
ちひろ「そういう類は、Pさんが除霊しましたよきっと」
小梅「そんなことが…できるんですか?」
P「いや、勝手なことを…」
小梅「出来ない…の?」
P「そんな漫画みたいなことは出来ませんよ」
ちひろ「またまたー」
小梅「でも…その時の話…聞きたい…です」
P「大したことはしてないですけど、そうですね――」
P「――ということくらいですかね」
小梅「す…凄いです」
ちひろ「うわぁ…」
ちひろ(と言うか、よくそれで普通でいられますね…)
小梅「…ぷ、プロデューサーさんが、そういうのを…ひきつけてるのかも」
P「そうですかね?」
P(そもそも…幽霊とかの類は全然見えないんだけれども)
小梅「うん…。好かれやすいのかも…」
小梅「あの子も気にいったらしいし…」
ちひろ(あの子って多分その…アレですよね?)
P「そうなんですか? まぁ、気に入られるのは嬉しいですけど」
小梅「だって…。うん。ありがとうだって」
P「いえいえ、こちらこそ」
ちひろ「プロデューサーさんって言葉通じなくても女の子スカウト出来そうですよね」
P「それは流石に買い被り過ぎですよ」
P「あ、そう言えば、この事務所で何か良くないものが憑いてるって人はいませんか?」
小梅「……」チラッ
ちひろ「な、なんでしょうか…」
小梅「いません…ね」
P「そうでしたか。それはよかった」
ちひろ「今一瞬私目が合ったんですけど平気なんですかね?」
小梅「気に…しないで…下さい。た、多分…その、見間違いですし…」
ちひろ「余計不安になるんですけど…」
P「そろそろ良い時間ですし、駅まで送りますよ」
小梅「あ…すみません」
P「いえいえ、気にせず」
ちひろ「あ、ちょっといいですか?」
P「はい?」
ちひろ「本当に私にも何も憑いてないか確認して貰っていいですか?」ヒソヒソ
P「分かりました」
P(心当たりでもあるのかな…?)
ちひろ「それでは、行ってらっしゃい」
小梅「お邪魔…しました」
P「そう言えば、本当にウチの事務所には何もいなかったんですか?」
小梅「…よく、分かりませんでした」
P「と、謂いますと?」
小梅「今は…いないんですけど…。居心地が…いい。とあの子も…言ってました」
P「なるほど…」
小梅「多分…プロデューサーさんが原因だと…思いますけど」
P「そうなんですか?」
小梅「…はい」
P「ちょっと思ったんですけど」
小梅「なんですか…?」
P「小梅さんって別にそういう幽霊が好きなだけで、誰かの為に何か除霊をしてたりはしてないんですか?」
小梅「…別に」
P「なら良かった」
小梅「何が…ですか?」
P「いえ、人を呪わば穴二つって言葉がありましてね」
小梅「…呪い?」
P「まぁ、意味としては、人を呪うと自分にも返ってくるという意味なんですけどね」
P「もし、そういう除霊とかをしているんだったら要らない恨みを、その人の呪いを受けてしまう恐れがありまして」
小梅「それは…ちょっと」
P「怖がらせる気はなかったんですけどね。人間の感情の中で負のエネルギーが最も強いですから」
小梅「確かに…映画でも…そうでした」
P「ですよね。まぁ、言ってる当人は見えてないんですけど」
小梅「…本当なんですか?」
P「えぇ。まぁ」
小梅「実は、見えていて…誰も不安にさせたくないから…とか?」
P「買い被りすぎですよ。あ、そう言えば、なんで俺に話しかけて死神を追っ払ってくれたんですか?」
小梅「…じ、実は…まだ、死神ってほどのもの…じゃなかったから…です。単純にまとわりついてるだけのもので…」
P「なるほど」
小梅「それに…あの子が…言ってたから」
P「なんてですか?」
小梅「…あの人は、きっと私にとって…大事な人に…なるって」
P「そうなんですか?」
小梅「分かりませんけど…そう言ってました」
小梅「あと…あの子が、自分を怖がらないでくれて…嬉しいって」
P「そうですか。寧ろお礼を言いたいくらいですよ」
小梅「えーっと…どうする?」チラッ
小梅「…うん。うん。分かった」
P「どうかしましたか?」
小梅「えっと…ここにいるので、頭撫でて欲しい…って」
P「あ、はい」
P(ここらへんかな)
小梅「…ふふ、顔真っ赤」ニコニコ
P(気持ち手のひら辺りが温かい気がするな…)
P「そういえば、どこの駅が近いんですか?」
小梅「えっと…こっち…? あっ…」
P「どうかしました?」
小梅「あの人…」
P「どの人です…?」
小梅「前にいる人の肩に…」
P(確かに疲れてそうに見えるけど…)
P(反応的に俺みたいに良くないものが憑いてたのかな)
小梅「ど、どうしよう…」
P「どうしようと言われても…」
「…めて」
P「…ん?」
「止めさせて…下さい」
P「小梅さんこっちに行きませんか?」
小梅「え。あ…うん」
小梅「大丈夫…なのかな」ソワソワ
P「きっと、気のせいですよ。その証拠にこの子も何も言ってなかったでしょう?」
小梅「あ…た、確かにそうです」
P「ほら、あれを見て下さい」
小梅「あ、元気に…」
P「たまたま嫌なことがあって落ち込んでただけなんでしょう」
小梅「そう…みたい…ですね」
P「もし追っ払ったりしたら、変に怒りを買って蝋燭の灯を替えられてしまうかもしれませんし」
小梅「ろうそく…?」
P「ほら、あの世にはその人の名前が書いてある蝋燭があってそれが消えたら死んじゃうって話聴きませんか?」
小梅「分からない…です」
P「そうですか」
P(ジェネレーションギャップかなぁ…)
事務所
P「お疲れ様です」
ちひろ「あ、お疲れ様です。どうでしたー?」
P「あぁ、別に何もないそうです」
ちひろ「それは良かったです」
凛「お帰りなさい。どこか行ってたの?」
P「ちょっと知り合いを駅まで送りに行っててな」
凛「ふぅん?」
幸子「あ、小梅さんもう帰ったんですか?」
P「あぁ、今送ってきたとこだ」
幸子「そうなんですね」
P「不思議な子だったよなぁ…」
幸子「そうですね」
P宅
P「今日もこんな時間か…」
P「明日はえーと…」ピリリリ
P「はいはい。どちら様かな」
P「もしもし」
『あ、あの…その…今日はどうも…』
P「はいはーい?」
『えっと…その…』
P「…もしかしてですけど、さっき小梅さんと話している時に話しかけてきた…」
『さ、察しがよくて…助かります』
P「いえ、以前にもこういう機会がありましてね」
『……?』
P「こちらの話です。どうかされまし――」ツーツー
P「切れちゃったか…」
P(小梅さんが言うあの子が電話してきたってことでいいのかな)
P「そもそも、なんで電話番号知ってるんだ…?」
翌日
P「今日も頑張るか…ん?」
小梅「…あ、おはよう…ございます」
P「おはようございます…ってどうかしました?」
P(忘れ物かな?)
小梅「日陰って、落ち着きますね…えへへ」
P「とりあえず入りますか?」
小梅「…はい」
事務所
P「これ、お茶です」
小梅「ありがとう…ございます」
P「それでどうしたんですか?」
小梅「あの子がここに来たいって…」
P「そう言えば居心地がいいって言ってましたね」
小梅「…うん。それと…」
P「それと?」
小梅「な、なんでもありません…」
P「そうですか」
小梅「き、昨日は…そのとっても楽しかったです」
P「それは良かった」
小梅「私は…ホラー映画を見るのが好きなんですけど」
P(確かにホラー映画似合いそうだ)
小梅「それと同じくらい楽しかった…です」
P「そこまで面白い話をした記憶もないですが、喜んで頂けたならこっちも嬉しいです」
小梅「も、もし…の話なんですけど…」
P「はい?」
小梅「ぷ、プロデューサーさんの近くにいたら…こういうことは…もっと起こるのかな…?」
P「どうなんでしょうね。仕事もありますし、ずっと話していられるという訳ではないですし」
小梅「そ、そうですね…」
小梅「わ、私…そこまで友達が多くなかったんです…」
小梅「映画見るのも…一人が多かったし…」
小梅「で、でも、昨日、ここの…人と話して…、す、少しだけ世界が…変わった気がしたん…です」
小梅「も、勿論、ホラー映画を見るのも…好き。だけど…それくらい…この世界が、どう変わるか…見たいの」
P「そ――」
小梅「こ、これは、私の…気持ち。あの子とは…関係ありません…!」
P「……」
小梅「あ、ご、ごめんなさい…。その、私…、帰ります」
P「ウチはアイドル事務所ですよ?」
小梅「は、はい…。昨日…インターネットで調べました」
P「人前に出てする仕事です」
小梅「…は、はい」
P「それが出来るかどうか数日間ここにいていいですから見極めて下さい」
小梅「は、はい…」
P「勿論、こちらも慈善事業ではないですから、期待に沿えるか分かりませんけど」
小梅「ちょ、ちょっとの間…かもしれない…ですけど、よろしくお願いします」ペコリ
ちひろ「なるほど。そんなことがあったんですね」
P「えぇ。そうなんです」
小梅「お、お茶…どうぞ」
P「お、ありがとう」
ちひろ「ありがとうございます」
小梅「あ、あの…何かすることはありますか…?」
P「アイドルがどんなものか聞いてみたらどうです? 一応アイドル達には伝えてあるんで」
小梅「は、はい…」
ちひろ「プロデューサーさん」
P「はい?」
ちひろ「本当にアイドルにする気はあるんですか?」
P「それは、本当に彼女次第ですね。ウチのアイドル達から話を聞いて何を思うかにもよりますし」
ちひろ「こう、ビビっと来てないんですか?」
P「そうですねぇ…秘密です」
ちひろ「えー。なんですそれ」
P(来なかった訳じゃないんだけど)
レッスン室
小梅「あ、あの…」
幸子「あ、どうも。どうかしたんですか?」
小梅「えっと…、アイドルって大変ですか?」
幸子「いきなり、凄い質問ですね…。そうですねぇ…大変です。学校行ってるのにこうしてレッスンしなきゃいけない訳ですし」
小梅「な、なるほど」
幸子「けど、テレビとかに映ってる自分を街で見ると悪い気分じゃないですね」
幸子「あと、ボクがダメな時でも必ず見ててくれる人がいるんですよね」
幸子「テレビ出てない時から。もっと言うと、この世界に連れてきた人がボクが活躍すると自分のことのように喜んでくれますからね。頑張らない訳がありません」
小梅「な、なるほど…」
幸子「こんな感じでいいんですかね?」
小梅「は、はい…あ。ちなみに」
幸子「なんでしょうか?」
小梅「その人ってプロデューサーさん…ですか?」
幸子「…そこは、ノーコメントでお願いします」
小梅「…分かりました」
凛「Pさんから聞いたけど、アイドルってどういうことか聞いてるんだっけ?」
小梅「は、はい…」
凛「私もよく分からないんだよね。正直な話」
小梅「えっ…」
凛「ただ、やり始めたら投げ出したくないんだよね」
小梅「なるほど…」
凛「ま。青い焔はそう簡単には消えはしないってこと」
小梅「……?」
凛「あ、いや、なんでもない」
凛(ちょっと、分かり辛かったかな…?)
文香「そうですね…私なんてまだ、全然なんですが…」
小梅「そう…なんですね」
文香「はい。私も小梅さんと似ています」
小梅「そう…ですか」
文香「はい。自信を持って下さい。一歩踏み出せば景色は変わるはずです。二歩踏み出せば環境が変わるはずですから」
小梅「ありがとう…ございます」
小梅「あの――」
翌日
事務所
小梅「あ、あの…」
P「あ、おはようございます」
小梅「き、昨日…皆さんからお話を聞きました…」
P「みたいですね。どうでした?」
小梅「皆さん…その、凄かったです」
P「昨日、凛達に言われましたよ」
小梅「な、なんて…ですか?」
P「意外と積極的な子なんだねって」
小梅「わ、私のこと…ですか?」
P「えぇ。正直、誰にも話しかけることなく終わると思ってました」
P「嬉しい誤算です」
小梅「ご、誤算ですか…?」
P「えぇ、誰とも話せないアイドルなんてアイドルじゃないですからね」
小梅「な、なるほど…」
P「ウチの事務所のアイドルって怖がりが多いんですよね」
P「事務員さんの怪談話を本気で怖がっちゃう子ばかりですし」
小梅「は、はい…」
P「当分はホラー映画のコメントや、心霊スポットのお仕事になりますが、それでもいいなら」
小梅「は、はい…!」
小梅「その…よろしく…お願いします…」ペコリ
小梅「ひ、一ついい…ですか?」
P「なんですか?」
小梅「ど、どこが決め手だったん…ですか?」
P「えーと、ですね。積極性もそうだったんですけど、何回かレッスンを受けたじゃないですか。皆に混じって」
小梅「み、見てたんですか…?」
P「いえ、トレーナーさんから聞きました」
小梅「ぜ、全然…ついていけなかったんです…けど」
P「そんなことは言ってましたよ。ただ、声が良かったって褒めてました」
小梅「こ、声…ですか?」
P「えぇ。才能があるみたいですよ?CDデビューでもしてみますか?」
小梅「あ、ありがとう…ございます」カァァ
小梅「て、手を出して貰っても…いいですか?」
P「はい。どうぞ」
小梅「……」ギュ
P「…どうかしましたか?」
小梅「の、呪いを掛けています…」
P「え…」
小梅「私を…最後まで…しっかり見ないといけない…そんな呪いです」
P「そうですか…」
小梅「はい…。終わりました」
P「人を呪わば――にならないように気を付けなければいけませんね」
小梅「そう…ですね。…えへへ」ニコ
終わりです。
ありがとうございました。
リアルタイム遭遇
茄子さんもだけどここはモバマス不思議パワーが似合うな
簡単な解説です。
『人を呪わば穴二つ』という言葉自体は割と有名だと思うので簡単に説明しますと、人を呪うと報いを受けるという感じですかね。
また、途中で死神や蝋燭の下りが出てきましたが、それらは古典落語の一つ『死神』を参考にしています。
『死神』 簡単に纏めますと、ある時、死神と出会い、死神が見えるようになった貧乏な男が、病人の足元にいる死神を追い払うことで一躍名医になりました。
しかし、やがて約束を破り枕元にいる死神まで追い払い始めました。
すると、最初に出会った死神に蝋燭が沢山並んだ洞窟に案内され、これは何かと聞くと、人の寿命を表した蝋燭だと言われます。
死神が言うには男の蝋燭は約束を破った時に細い蝋燭と入れ替わったそうです。
あと一人くらい書いたら戻ります。
それと、もう片方のシリーズもそろそろ書き溜めが順調に進んできたのでそっちも書きたいと思います。
それでは。
おつ
このPはそういうのに好かれる特異体質かなんかなの?ってレベルでいろんなことに巻き込まれては解決してるよな
今回の話は本編とはパラレル扱い的な感じ?
乙
あと関係ないけど、前スレの「続きを書く」がそのスレ内なのか別スレを立てるのかわからないから依頼保留されてる
落としても大丈夫なら改めて依頼してくれって依頼スレで言われてるよ
このシリーズも長いし、可能なら>>1にはURLの一覧をお願いしたい
小梅ちゃんが増えた・・・
出来ることならちゃんみおを入れてニュージェネで1つ書いて欲しい所。
乙
乙
>>49
ぐぐれよそれくらい
乙
別な人が書いてるシリーズかと思ったわ
乙
乙
このSSまとめへのコメント
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