P『白菊ほたるのシンデレラストーリー』 (27)

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P『スマン、今日限りでプロダクション解散だ』ほたる『』
P『スマン、今日限りでプロダクション解散だ』ほたる『』 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1365/13650/1365005988.html)
を書かせてもらったものです。

前作の設定を引き継いでいます。


あらすじ
・自らの不幸体質の克服のためにアイドルを目指した白菊ほたる。度重なる不幸が周りの者に降り掛かり続け、いよいよアイドルの夢を諦めようとしていた。
そんな時、駆け出しアイドル諸星きらりに感化され、さらに自身の身上を聞いたうえで受け入れてくれたPのもと、もう一度アイドルという夢へと踏み出した…

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367239904




『──ハイ、ワン・ツー、ワン・ツー、ステップステップ、ワン・ツー・スリー…ハイ!』


健康的でいかにもな格好のトレーナーが、快活な掛け声を上げる。

それに合わせて2人の少女がダンスの練習に励んでいた。

『ワン・ツー……、はい、おっけー!』


「…はっ…っ…はー……はー……」


『んー…体力はもう少しつけなきゃならないな…けどまぁ飲み込みは早そうだ。まゆ、暇な時間があったらまた教えてやれ』


「はぁい。ほたるちゃん、お疲れさま…♪」


「っあ、ありがとうございます…」


スポーツドリンクを受けとってぎこちなく微笑む白菊ほたる。

新たなプロダクションでの新たなアイドル生活、その日々を精一杯過ごしていた。



————————————



アイドル達が所属する数多のプロダクションは、その規模によってランク付けがされている。

白菊ほたるが新たにスカウトされたその事務所は、F〜SSSの中のDランク……中程度のレベルにある。


「お疲れ様です。まゆ、きちんと手本は示せましたか?」


「もちろんですぅ♪Pさんの言うことですもの、しっかり指導もしましたよぉ」


「さすが先輩です。ほたる、午後から予定通り宣材の撮影に出掛けます。それまで時間があるので、シャワーや昼食は済ませておいてください」


「は、はいっ」

げっまゆかよ



と、その時。



「にょっわーーっ☆」


巨体を弾ませ、諸星きらりが駆け寄ってくる。Pの目前で急ブレーキをすると、


「Pちゃんおっすおっす☆」


「お疲れ様です」


「まゆちゃんおっすおっす☆」


「はい、こんにちはぁ…♪」

さらに
さらに中腰になってほたるを見つめ、ワントーン高い声で挨拶する。


「ほたるちゃんおっすおっす☆」


「こ、こんにちは、きらりさん」


「むぅん、元気たりてぅー?きらりんぱわー注入すぅー?☆」


「だ、大丈夫です!やる気ならたくさん…!」


多少気圧されながらも意気込んだ表情で拳を握る。そんな少女を見て、きらりは満足げに笑みを浮かべた。



「うぇへへー。今日は一緒に撮影だもんにぇ、はりきっていこー☆」


「…ぇと…?」


“一緒に”という言葉に心当たりが無く、Pに視線を投げ掛ける。


「言い忘れていました。元々きらりの雑誌の撮影の予定があって、そこでアナタのものも兼用できるか頼んでみたのです。
 
 スタジオ内にセットや衣装が揃っているので色々試せますよ」


「わぁ…」


この新たな事務所は、以前の所属先々よりも大手だった。

周りにサポートや経験ある先輩がいる事は、ネガティブになりがちな少女の確かな後押しになっている。



「そういえばPさん、お昼のご予定はぁ?」


「特には…社内食堂に行くつもりですよ」


「うふふ…よかった。まゆ、Pさんの分もお弁当作ってきたんです♪良ければ食べてもらえませんかぁ…」


「それはありがたい。では一緒に召し上がりましょうか」


「……一緒…に…?…うふふ、はぁいよろこんでぇ♪」


“また後で”とほたるらに告げ、Pとまゆはその場を後にした。



「んっふふー、まゆちゃんてば乙女ー☆きゅんきゅんしちゃうにぃ」


(とっても嬉しそうでした…)


「んじゃほたるちゃん、一緒にごはんいこーっ」


「ぁ、はい、ぜひ…。先にシャワーお借りしますね」


「うぇへへ…シャワーもご一緒しちゃう?ほたるちゃんきれいにしちゃう?」


「え!?あ、ぁのっ…」


「むきゃーっ、ほたるちゃんカワイー☆はぐはぐ☆」


「ぅぅ……」

—————————



“佐久間まゆ”……読者モデルの経験があり、ほたるも雑誌で目にしたことがあった。

歌もダンスもそつなくこなせ、背は低く愛らしい顔である程度ファンを掴んでいる。

新しく入社したほたるに優しく接し、気遣いも出来て手本にもなる鑑のような先輩だ。


「まゆちゃんはねー、優しくてかわいくてー、お仕事もばっちしでお料理も得意なんだにぃ。きらりよりお姉さんしてるのよねー」


きらりより1つ歳下だが、落ち着きぶりや話し方はきらりより一回りも上に見える。

けれど、そういうところが彼女の魅力なのだとほたるは思っている。

Pが絡まんとまゆはいい子だから(震え声

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白菊ほたる(13)

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佐久間まゆ(16)

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諸星きらり(17)


「きらりさんも…綺麗でスタイルも良くて、いつも明るくて…みんなを元気にしてくれてますっ…」


「…ほぇ……にへへ、照れぅー…ほたるちゃんはイイ子だにぃ、よしよし☆」


決して世辞などではない。出会った人々を笑顔にできる…

諸星きらりというアイドルは、少女を再びこの世界へ戻る勇気を与えてくれた存在。

出逢ったあの時より、その気持ちは強くなっていた。


そんなやり取りをしているうちに、Pが運転する車は撮影スタジオのあるビルに到着した。




「そういえば、きらりさんの撮影というのは…」


「ファッション誌のモデルですよ。前々からいくつか話はあったのですが、今回のお仕事はきらりにぴったりだったので」


「カワイイ服がいーっぱいなんだって!んふふ、楽しみだったにぃ…♪」


−身長はともかく、元々スタイルは良かった…。今回はクライアントが“元気で可愛い子”との指名できらりを選んでくれたので願ったりです。



「おにゃーしゃーっ☆」


開口一番大音声であいさつするきらり。スタジオ内のスタッフは一人残らず彼女の方を振り返った。


「すみません大声で…今日はよろしくお願い致します」


『あはは、元気な子ね!今日はよろしく、諸星きらりちゃん』


「がんばりまーっす!」



『それと…白菊ほたるちゃんね』


「よ、よろしくお願いします…!」


『そんな畏まらなくていいのよ。アナタは宣伝写真の撮影だから…それまで先輩のお仕事を見学するといいわ』


「にゃはー、センパイっ!ほたるちゃん、きらりセンパイがばっちしお仕事してくるにぃ☆」


「はい、がんばってください!」



その後スタッフに呼ばれたきらりは、衣装合わせのために個室へと移動する。

その間ほたるは、スタジオ内を興味深そうに眺めていた。


−……前にいた所は、こうしてお仕事が始まる前に潰れちゃった。

今回はまだ誰にも不幸な目に遭ってない…けど……こういう時に限って……




「…ほたる、何か良からぬ事を考えてはいませんか」


突然後背からそう言われ、びくっと肩を震わせて振り向く。図星だったから。


「…そ、そんなこと…」


「眉がいつも以上に下がり気味です。“また不幸なことが起こるかも”…なんて考えていたのではないですか?」


「ぅ…」




「おにゃーしゃーっ☆」


そんな時、ちょうどきらりの撮影が始まる。

可愛らしい服に身を包み、大きな身体を弾ませるようにしてカメラの前に立った。


『それじゃあきらりちゃん、好きにポーズとか決めていってね』


「りょーかいでっす!」



−パシャッ、パシャッ




「…きらりは……」


その様子を見守りながら、再び口を開くP。

きらりから目を離せないまま、その言葉に耳を傾ける。


「アイドルの仕事を心から楽しんでいる…それはアナタにも判ると思います」


「はい…とても」


「きらりがアイドルを頑張る理由…何だと思います?」


「……知りたいです…」


「アイドルというのは女の子の夢…みんなの注目の的で、常に可愛く在るもの…きらりはそう言いました」




−パシャッ


「きらりんっ☆」


−パシャッ


「はぴ☆はぴ」


『うーん……なんか…もったいないな…。おーい、今日機材用意してたっけー?』


『あーはい、一応使えますよ』


『よっし。あー、きらりちゃん、これから動いてるとこ映像で撮りたいんだけどいいかなー!』


「うきゃーっ、おっけーい☆…でーっす!」


『よーし…この躍動感、絵になるねー♪』




「…あの喋り方、作っているわけではないのです。私が初めてスカウトした時から、既にああいう口調でした」


「はぁ…」


「とても純粋なんです。きらりは可愛いものが大好き…

だから、自分も可愛くなれるアイドルの仕事に精一杯挑み、全力で楽しめる……彼女は強いですよ」


「つ、強い…?」


「はい。…ですから……アナタもああなれるといいですね」


「…………にょ、にょゎ…」


「そうではなく。…アイドルになりたいという確固たる意思を…その源になる理由を強く持ってほしいのです。

そうすれば…余計な事は気にせず、前だけ見ていられるハズですよ」



そこまで聞いてようやく、Pが励ましてくれているのだと分かった。

不幸体質を明かしても自分を迎え入れてくれた…Pもまたその背を後押ししてくれる存在なのだと、ほたるの心の内はほのかに温かくなる。




「んふふふふっ、おっつおっつ☆」


「お疲れ様ですきらり」


「にへへ、撮られるのたのすぃー♪どきどきすぅー☆」


満面に笑みを浮かべるきらり。惚けたようなその顔は、童女のように無邪気な愛らしさ。


「…………」



「ほたるちゃんどしたー?きらりに見とれちゃったかにぃ☆」


「…とってもかわいくてカッコよかったですっ!」


「お?うきゃー、きらりはあこがれのセンパイっ?」


「はいっ。私…きらりさんみたいになりたいですっ…!」


「にょわーっ☆ほたるちゃんてばヤル気満々っ!きらりと一緒にもーっとおっきくなるにぃ☆」


「ぇ、あ、身長はべつに…」




−…私は余計な事はしなくていいでしょう。ほたるの周りには、刺激になるアイドル達がいる…

この子が頑張れるための活力は、きっとこの子自身で見つけられる…



「ほたるちゃん、笑顔でいくにぃ!はぴはぴしてればばっちし撮ってもらえるにぃ!」


「は、はいっ…!」




「にょ、にょわーっ!///」


『ほたるちゃーん、ブレるからじっとしててー』



「…これからこれから」




つ づ く

短めだけど乙

まゆが余計な真似しないでよかったよ


今話は以上です。
こんな感じの短編でいろんなアイドルと関わりながらほたるが成長していくような話にしていきたいです。
たぶん次はまゆと

おつわん

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