小鷹「親父がカメラを送ってきた」 (17)


期末試験が終わり、大したイベントもなく隣人部の活動も停滞していたある日のこと。ただ、ラノベを読むだけで終了した部活から帰ってくると、家に小包が届いていた。


送り主は外国にいる親父。よくわからない民俗モノでも送ってきたかと思って箱を開けると、そこにはデジタル一眼レフが入っていた。


底には手紙も入っている。親父からのメッセージだった。


『小鳩分が不足している。俺が見れない成長の過程やらいろんな小鳩を撮って送れ。いやホントお願いします。小鷹も自分の写真は友達にでも撮ってもらえ。小鳩マジ天使』


「うわぁ……」


自分の父親ながら引いてしまった。小鳩を溺愛しているのはわかるが、小鳩分とやらが不足すると頭までおかしくなるのか。



というか、俺の写真は友達に撮ってもらえ、だって?なんかナチュラルに傷ついた……あぁ……親父みたいに友達が多いやつとは同じ家族でも思考回路まで違ってくるのか。友達に写真撮ってもらうっていう発想はなかったわー



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中学の修学旅行での写真はクラスの集合写真と業者のカメラマンが撮ってくれたやつ(廊下に番号付きで貼り出されるあれ)ぐらいだったな。一生懸命自分が写っているのを探してたら、周りが退いてくれた。成果は2枚。


インスタントカメラも一応持って行ってたけど、帰ってきてみたら全然残り枚数減ってなくてへこんだのを思い出した。撮ってたのだって、観光名所の風景ばっかりだったのはどういうことなんだろうね。


悲しい思い出に浸るのはやめて、デジカメを手に取る。前述のようなこともあって、カメラの撮影なんか手慣れているわけがない。説明書を探したけど、親父のおさがりだけあって本体とちょっとした望遠レンズしか入ってなかった。いきなり一眼レフ渡されて、どうしろっていうんだ。


何はともあれ、思い出を写真に残すことが大切だってことはわかる。一般家庭なら両親がアルバムを作っていくのだろうが、うちはそうはいかない。親父はともかく小鳩のためにも明日から少しずつ撮っていくかな、と心に決めた。


夕食後、食器を洗っていると後ろからトタトタと駆けてくる足音があった。


「あんちゃん、このカメラどうしたと?」

「ああ、親父が送って来たんだ。たくさん写真撮れってな」

「じゃあ、うち撮って撮って」


と、机に置いてあったカメラを見つけせがんできた。
小鳩は人見知りはするが写真は好きなのだ。


「わかった。はい撮るぞー」


カシャッ、とシャッターを切る。


「あ、あんちゃんっ、まだポーズもとってないやろ!」

「悪かった悪かった。んじゃ、ポーズとってくれ」


すると、小鳩は『鉄の死霊術師』に出てくるキャラのポーズを真似し、口上を語り始めた。


「ククク……我はレイシス・ヴィ・フェリシt」

カシャッ

「あんちゃんっ!まだ言い終わってないやろ!」

「えぇ……もうポーズとってたじゃんか」

「最後まで言わんといけんのじゃ!」


それから、しばらくポーズを変え、台詞を変え撮影は続いた。撮った写真を見せてやると、動きを修正するとか言ってまた録りためたアニメを見始めた。ホント好きなことには熱心なんだな、あいつ。勉強もあれくらい頑張ってくれれば……


撮った写真はカメラがそこそこ良いモノなだけあって、特にブレなどはなかったが、性能の半分も使いきれてないだろうとは感じた。


次の日、学校への道のりを見ているとフレームに収めたくなるような景色がいくつもあった。


「なるほど、視点が変わるとこうも違って見えるのか……」


せっかく手に入れたカメラ、このまま大して使いもせず、そのうち埃をかぶらせてしまうのはもったいない。


「隣人部の活動記録にもなるかな」


季節は七月初夏、カメラとの出会いが自分を変えてくれたり、なんてそんな夢みたいなことを考えながら歩く道の先には夏にふさわしい雄大な雲を抱く青空が広がっていた。


「あ、カメラ忘れた」

終わり

勢いで書いた。反省はしている。

もうひとつの理科SSの方が進まなくて気分転換に書いた。もしかしたら、続けるかもしれない

続けないとペロペロ

ガメラかと思た


午前中の授業が終わり、昼休みになった。
弁当を食べた後はいつもは手持無沙汰になるため予習に充てたり寝たふりをしたりしているのだが、今日はなんとなく学校をふらついてみようという気になった。


今朝の登校中に感じた様に、学校風景でも画になるような景色があるんじゃないかと思ってだ。


「ちゃんと、庭とか整備とかされてんだな……」


聖クロニカ学園はミッションスクールだけあって、教会や庭園など洋風の造りが主である。実に写真映えしそうだ。


次いで、図書室に向かった。思った通り、ちょっとした写真集があった。流石に、アイドルの写真集を学校で読むわけにはいかない。


風景を切り取った写真集を手にとって数ページめくる。


「やっぱり、プロは全然違うのな」


その圧倒的なレベルの違いに感心する。これほどの綺麗な景色を見たときの感動のまま、写真に収められるっていうのはいいもんだ。

小鳩ちゃんのグラビアスレと聞いて


少し本気で写真について勉強してみようかな、と思いこれからのことに思いを馳せる。


『羽瀬川小鷹です。趣味は写真です』


自己紹介なんかで言ってみるのもいいと思ったが、想像してみてなんか少し恥ずかしいことに気がついた。あー先にシミュレーションしといてよかった。


まあ、なんにせよ趣味程度に続けるのはいいだろう。


「誰か写真について教えてくれる悪友とか後輩とかいたらいいのに……」


ひとりごちたあと、ふと思い当たる。


「理科なら、機械に強いだろうしカメラとか詳しいんじゃねえか?」


時計を見る。時間はまだある。席を立ち写真集を棚に戻して、足取り速く理科室へ向かった。


理科「小鷹先輩、盗撮は犯罪ですよ?」

小鷹「しねえよ!なんでそうなる!?」


理科室にいた理科に、カメラの使い方について教えてくれないか、と聞いて返ってきた反応がこれだった。


小鷹「親父がカメラ送ってきて、いろいろ思い出残すために撮っとけって言ってきたんだ。ついでに趣味に始めてみるのもいいかなって思って」

理科「なるほど、最近は写真を趣味にする人は若い層でも増えていますもんね」

小鷹「そうなのか、お前も詳しいのか?」

理科「ごめんなさい、理科は、機種については詳しくても撮影の仕方についてはそうでもありません」

小鷹「いや、いいんだ。なら、なんか参考になるような本とかないか?」

理科「うーん、そうだっ、いいのがありますよ」


そう言って理科は、パソコンの隣の箱の山をがさごそと探りなにかを見つけると戻って来た。


理科「はい、どうぞ!」


元気よく差し出してきたそれは……パッケージに女の子のグラフィックがあり『フォ〇カノ Kiss』と書いてある。


小鷹「をい」

理科「なんですか?」

小鷹「これゲームじゃねえか!」

理科「写真をテーマにしたゲームなんですってば、今、巷で写真と言えばこれです!」

小鷹「えぇ……なんか違くないか?」

理科「大丈夫ですよ。撮り方について説明してる部分もありました。それあげますので、やりまくってカメラを極めてください」


ゲームをやりまくればカメラを極められる、なんて無茶をこの後輩は仰る。全国の写真家に対して失礼すぎる。


理科「このゲームの主人公は爽やかゲスという変態紳士の新たな分野を拓いたんですけど、先輩もカメラで自分を変えましょう!」

小鷹「その爽やかゲスっていうのは、褒め言葉なのか?」

理科「ある意味は、ですね。小鷹先輩も爽やか……さわやか……ふむ」


急に言葉をとめ、ぶつぶつとつぶやき始めた。


理科「やっぱり、先輩はそのヤンキー顔で爽やかはありえませんね。いっそ、ヤンキーゲスでいきましょう」

小鷹「大きなお世話だ!ていうかヤンキーゲスってただの最低なやつじゃねえか!」


小鷹「本当にこれもらっていいのか?」

理科「構いませんよ。理科、特典目的で全店舗分揃えましたから」

小鷹「うわぁ……」


多少引きながらもくれると言うのだからありがたくもらっておく。


教室へ帰り道はこんなギャルゲーのパッケージを恥ずかしげもなく見せびらかす訳にもいかず、制服の下に隠して行った。


腹を押さえて、挙動不審に周りを気にしながら廊下を歩く様は、後日、羽瀬川小鷹が不意討ちを食らわせてきた相手を復讐のために昼休み中探し回っていた、と噂になった。

今日はここまでです。
キャスティングがはがないでもいけるんじゃないかと思って勢いで書きました。あくまで勢いで

パ、パクりじゃないもん。
あえて言うなら隣人部ver.ということで

え?なんだって?

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