女「北海道民は皆寡黙なんだな」男「推理SS」 (18)

【北海道・某市】

女「うー……さむい」ブル
女「北海道へ旅行に来たは良いが…積雪が酷くて外を回れたものじゃないな」ヘクシ

私は大学の卒業旅行として北海道に来ている。
どうして北海道なのかというと、特に理由はない。ただ理由をあげるならば、生まれも育ちも東京の私にとって彼の地というのは多少ミステリアスで、多分に好奇心を煽られる土地であったからだ。

女「これから札幌へ向かう予定だけど、今日はやめた方が良さそうだな。波浪警報が出ている」

男「それは残念だ。あそこは俺の好きなアニメの聖地でもあるんだが」

女「知らない。勝手に付いて来ておいて文句を言うな文句を」ハァ

この男は親戚みたいなもので、女の一人旅を心配した両親に頼まれて旅に同行したらしい。全く必要ないのだけれど。

女「それで、せっかくだし私は近場を見て回るけど、お前はどうするんだ?」

男「それなら面白い話をネットで拾ってな。そこの集落へ行こう」

女「集落?」

男「札幌に向かうよりは近いさ。なんでもその集落では妖怪が出るらしい」

女「ほう……妖怪か」

男「自分で言っておいてなんだが、こんな話に食いつくような奇特な女もお前くらいだろう」

女「放っておけ、それよりその『妖怪が出る集落』についてだが……」


ーー……そして、私たちは未開の地北海道で、異様な事件に巻き込まれる事になるのであった……。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389533498

【集落・入口】

ブロロロロロロロロ…

バタンッ

女「ここが例の集落か……」キョロ

男「今は止んでいるようだが、山との位置関係上、吹き溜まりになっていて雪の量が異常に多い地であるらしい」

女「たしかに沖縄民が見たら両手にシロップを持って半狂乱で雪をかっ込みそうなほどの積雪量だな。2mはゆうに超えている」
女「じゃあ、まずはチェックインを済ませてから村の探索といこうか」ンショ

男「あー、そうだ。ホテルなんてこの村には存在しないぞ」

女「? 旅館は??」

男「一緒だ。宿泊施設自体が無いという意味だ」

女「寝床etcの準備は任せろって言っていたのはお前じゃないか」

男「ああ、だからこれから探すんだよ」

女「……念のため帰りのバスの時間帯を確認しておいた方が良さそうだな」

男「バスなんてあるか」

女「……最悪、タクシーを呼ぶか」

男「電波は繋がっていないみたいだな」

女「……じゃあどうやって帰るんだよ」ムゥ

男「状況を説明して、情けで村の人に送ってもらおう」

女「なんだ最悪のプランじゃないか。そんな上手くいくはずがない」タラ

男「大丈夫だ。俺の信じる俺を信じろ」グッ

ーー…

お婆さん『余所者に出す車なんてねぇ』

女「……」

男「だろうな」

女「では、どこか泊めてもらえそうな施設などは……」

お婆さん「ねぇ」

女「お金ならお支払いしますので……」

お婆さん「しつけぇぞ」

女「……どうするんだよ」クル

男「しらん」

女「……信じられん。この男の無責任さは異常だ…」

男「まあ夜更けに鼻水垂らしながら泣きを入れれば情けで泊めてくれるところくらいあるだろう」

女「最悪だ…これじゃあ妖怪の調査なんてしてる場合じゃな お婆さん『なにぃ? アンタらも村の神様調べに来たんかい??』

女「村の神様…ですか?」

お婆さん「なにをトボけて……アンタらみたいな罰当たりもんがつい先日にも来てたんだよ」

女「その方は今どこに…?」

お婆さん「居間に死体があるから見たけりゃ見ていきな。よかったら埋める穴を掘るのを手伝ってくれ」

女「死体……は?」

お婆さん「祟りじゃよ、祟りじゃ」

女「た、祟りだぞ祟り! たたた大変だっ!?」

男「落ちつけ…警察に通報していない、出来ないところを見るに思った以上に異常な村のようだ」

女「祟りて…祟りて……」
女「神様の?」

お婆さん「アンタらが妖怪妖怪騒ぎたてるからじゃ」

女「妖怪…」
女「……お婆さんの事ですか?」

お婆さん「ワシが殺すぞバカ娘がっ!」

【老婆宅・居間】

お婆さんの家に上がらせてもらい、居間に到着すると……そこには、やはりというか….できれば見たくなかったモノが安置されてあった。

「この方…….本当に亡くなっているんですよね」

死体はまだ30代にならないだろう若い男性で、死に化粧が施されており端正な顔立ちと合間ってとても綺麗であった。
お婆さんは先程の態度とはうって変わった悲しそうな面持ちで、死体の顔に再び白四角を被せる。

「いくら無礼もんでも、仏様になったら供養せんワケにもいかねえって。まだ若かろうに…ほんに馬鹿な子だよ……」

どうやら初めに抱いた印象よりお婆さんは冷たい人ではないみたいだ。ただ、余所者に対して厳しいだけなのだろう。

「庭に穴を掘ると仰っていましたが……ここで土葬する気なんですか?」

「ああ…ワシが仏様の面倒をみると言うたんじゃ。余所者を村の墓場には入れられん」

お婆さんの姿をみているとやはり、悪い人には見えなかった。この村にはこの村のしきたりがあるのだろう。
すると、お婆さんが此方を向き、再び指すような視線を向けてきた。

「悪いことは言わねえ。今日すぐに帰れんような泊めちゃるから。明日の朝すぐにかえれ……」

「……わかりま…」

「わかりました」と言葉に出す前に、玄関に続く門戸が勢いよく開く音がした。

「待て、まだ帰れないぞやはりこの村なにかきな臭い」

後ろを振り向くと、無責任男が頭に雪を積もらせ、なぜかスコップを持っていた。

「男…お前、今までなにをしていたんだ」

「見てわかるだろう。そのイケメンを埋める穴を掘っていたんだ。恩を売っておけば一晩くらい泊めてもらえるだろうと思ってな」

よっこらせ、と男は座り込み、死体を拝んでからお婆さんへ向かって居直った。

「お婆さん。今夜は泊めてくれる話らしいですね、ありがとうございます」

「……だから、明日の朝すぐに帰るん 男『それは出来ません』

「なっ」

なにを言っているんだこの男は。本当に話を聞いていたのか?

「俺が穴掘りをしている最中も周囲から視線を感じた。そもそもこのイケメンはなぜ死んだ?」
『殺されたんだろう?』

男の発言は、非日常的で受け入れがたかった。だけど、いまこの状況下ではとても間違いには聞こえず……異様に真実味があった。

「俺…いや、俺たちは真実を知らずに帰るワケにはいきません」
「俺と先生は、この村の秘密を探るために来たんです。必ず真相を暴いてやります」


「ねえ? ”先生?”」と言って私の方を向く男をみて、やはりこの無責任人間は阿保なのだと……再確認するのであった。

新篠津村あたりかな…

【2/7】<女難の想を持つ女>

その日の夜。私と男の二人はご好意に甘え、一晩泊めさせてもらうことになった。
夕飯を食べている間も、世間話などはなく。お婆さんと三人で沈黙の中、食事をしていた。
すると玄関が叩かれ、なにやら騒がしい音が居間にまで聞こえてくる。

「誰か来たみたいですね」

「そうじゃ、そういえば巫女様の御訪問を忘れておった」

言うが早いか、お婆さんは箸を置き、小走りで玄関まで駆けていった。

『あら巫女様よくいらっしゃった。え? 余所者が二人?? はいはい大丈夫です明日には帰る予定になっておりますから』

『えぇ、二人を見たい? そんな、巫女様にお見通しするほどの童じゃないですよ』

童ときたか。もう、とうに成人している齢なのだけれど。

『では連れてまいりますから、巫女様は3歩下がって触れないようにしてくださいまし』
『これ童ら! すぐに土間へいらっしゃあ!!』

やれやれ…村のお偉いさんと面会とは……面倒な事にならないと良いのだが。

ガラッ

女「はじめまして、私達が…」

巫女『……』

女「…お婆さんにお世話になってる……」

巫女「……」

女「…旅行者のー……って!?」

巫女「……?」

女「小さっ!?」

巫女「……初対面の人間に向かって失礼な人ですね」

女「ええと、巫女様はまだ小学校低学年くらいでは…?」

巫女「この村に小学校はありませんし、確かにまだ年はかもいきませんが巫女として職務を全うするため日々勉強させてもらっています」

女「いやー…純和風というか、美少女巫女なんて知られたら違う意味で変なやつが集まって来そうですね」

ボカッ

女「いたっ!?」

お婆さん「さっきから、巫女様がご寛大だから良いものの、無礼もんめっ」

女「すみませんつい本音を……」

巫女「……とにかく、外様についてはまた後日本殿でお話する機会を設けます」
巫女「明日お帰りになるのならなにも言いませんが」

女「あー……」チラ

男「先生、明日帰るなんて言い出したら村中に『村の神様を冒涜しにきた罰当たり者』として襲われるよう全力を尽くしますよ」ニコ

女「このろくでなしめ……」
女「あ、あのー…出来れば明日以降もこの村にはご厄介になりたいのですが…」ハハ

巫女「……いいでしょう」
巫女「こちらで面倒をみるよう便宜を計らいます。明日本殿の方に来るようお願いしますね」ペコ

スタスタ…

女「おや…なんだ。意外とすんなり話が進んだな」

男「日頃の行いが良いからだな」

女「誰の?」ニコ

男「勿論、先生のです」ニコ

お婆さん「はあ~巫女様に対してなんちゅう失礼を……」クワバラクワバラ…

どうでもいいが言葉が全然道民ぽくない件

波浪警報で移動断念って船しか使えないor海沿いで波かぶる道
黄金道路辺り?
波浪出てるって事は強風やら大雪やらも併発してるだろうから他の可能性もあるか

>>8 最近は北海道弁が少なくなってきたように感じると北海道民が言ってみる。
地元周りだけかもしれんが。
道外の人たちも知ってるような方言ならまだあっても、
最近の若い人はそんなに使わなくなったんじゃないかな。

ーー…

女「ご馳走様でした」

男「ご馳走様でした」ペコ

お婆さん「あいよ」

女「そういえば、”本殿”とはどこにあるんですか?」

お婆さん「村の再奥じゃよ、神事を司るものは人や物でも全てあそこに仕舞われる」

女「しまわれる……巫女様もソコに?」

お婆さん「巫女様は神様へ口繋ぎなされる使命を受け負っておられる。同時に神様の依り代じゃあ。基本、本殿で生活なされておる」

女「なるほど……」フム

男「例の死体、その死因をまだ聞いていませんでしたね」

お婆さん「祟りじゃ」

男「なワケあるか」
男「顔は綺麗なもんだが、絞首や切痕まである。どう考えても他殺だろう」

女「勝手に服の中を覗いたのか……」

男「巫女様が来た時にな。お婆さんがいたら煩そうだから、検視してから玄関へ向かった」

お婆さん「ほんに罰当たりもんめ……」
お婆さん「あの男は村の神様を妖怪扱いし、静止を振り切って村中を荒らし回った。だから天罰が下ったんじゃ」

女「天罰というか、村なりの刑事罰。私刑が執行されたって話か」

お婆さん「祟りじゃ」

男「恐ろしい話だ。妖怪の他に人という悪魔にも注意を払う必要があるらしい」

お婆さん「祟りじゃて」

女「妖怪祟り婆か」

お婆さん「この小娘は……ワシを舐めくさってるのはこの男よりアンタの方じゃな」

女「一宿一飯の恩義がありますし、明日の朝、本殿に向かう前に死体を埋めていきますから」

お婆さん「……まあよい」
お婆さん「アンタを見ていると若い頃のワシを思い出す。世間知らずで怖いもの無しだった頃の若い時分をのお」

女「……こうなるのか私は…」

男「女のピークは11歳だからな。半世紀もすれば劣化どころか妖怪化もするだろう」

お婆さん「もうええ、布団ひいちゃるから洗いもんでもしておけ馬鹿たれどもが」ハァ

【社・本殿】

女「……」キョロ

男「……落ちつけみっともない」

女「スゴいな…限界集落とみたが、この社の行き届いた手入れ……遠い昔の宮殿みたいだ」

『当代神依代様のご降臨ー』

女「おお、中々に荘厳というか大仰というか…」

男「神依代様か巫女様なのは、統一してほしいものだがな」

女「神事の際には名称が変わるんだろう。秘書兼運転手みたいな」

男「神依代兼、巫女という事だな。呼び方はその都度変えねばならないとしたらやはり非合理的だな」

女「非合理を追求するのが格式に繋がったりするものさ。そして格式を重んじる形態自体が非合理そうものだ」

『外様ら、本日はどのような要件でしょうか』

女「え、ええと巫女様とお呼びしてよろしかったでしょうか」

巫女「構いませんよ。私は神の依代であると同時に巫女でもあるので」

女「わかりました巫女様……」チラ

男「三次元は成長さえしなければな……」ハァ

女「無礼者以前に犯罪者予備軍め……」タラ

女「要件というのは… 男「先生の代わりに私が申し上げます」

巫女「”先生”……?」

爺『巫女様、直に会話をしてはいけません。話なら私どもが代わりに……」
爺「…先生とはどういう意味だ?」

男「そのままの意味です。こちらの先生は、かの有名な”女先生”でありまして……最年少博士号など数々の素晴らしい経歴。特に生物学に通じ、最近は妖怪などの不定形な分野にある生き物に興味を示していらっしゃっておりこの村に来た次第です」

爺「妖怪……」ピク

男「はい。この村には妖怪がいるという実しやかな噂が流れておりまして……そこで妖怪ハンターである先生が薄い尻を上げて探査にきたのです」

女「重い腰だろ…それに後半はなんだ。妖怪ハンターになった覚えはないぞ」ハァ

爺「……悪いが、妖怪なんてもの。この村には存在しない」

女「どうやらそのようですね……では私達はこの辺で… 爺「しかし、どうやらそこの……”女先生”という御仁は机学に精通しているらしい」

女「ん?」

男「はい。それは事実ですから」ニコ

爺「器量もわるくない。どうだ、良かったら巫女様の教師をやってみては」

女「家庭教師という事ですか? いやぁ教えるのはとんと下手で……」

男「お引き受けしますと仰っています」

女「おい……」

爺「良かった。巫女様であられる間は座学の方にも身を入れていただくので、適任の者を探しておったのだ」

男「先生はしばらく滞在したい。巫女様は教師を必要としている。見事に利害が一致しましたね」ニコ

巫女「先生、これからよろしくお願いします……」ペコ

女「え…ええぇ……」

村編ともう何編か分犯行トリックは出来ていて後は投下するだけです。
推理もそうですが、女さんがボンドガールよろしく女難の想でお話毎にヒロインをつくっていく要素があります。なぜか幼女ばかりですが。

それらを楽しめるという方は完結までお付き合いくださると幸いです。これからよろしくお願いします。

otoko wo tunndere kinnpatu rori ni kaero
onnna no koto wo oneesama to yobasero
nani anngai daremo ki ga tukanaisa

ーー…

金髪ツインテ「お姉さま!」

女「? どうしたんだ??」

金髪「今回は作戦の都合上、あの子の家庭教師なんてするハメになりましたけど変な事されないよう注意してくださいね!」

女「注意もなにも……そうなるように誘導したのはお前じゃないか」

金髪「ぐっ、それは……そうですけど」

女「それに、巫女様は可愛らしいしなにも注意する事なんてないと思うぞ」

金髪「人の気も知らずに……」ブツ

女「なにか言ったか?」フム

金髪「なんでもありません!」イーッ
タッタッタ…

女「はぁ……あいつはいつもよくわからないところで不機嫌になるな…」




これは唐突すぎじゃ

なんのことかよくわからないな

なんの問題もないな

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