キョン「なんだ野球の話じゃなかったか。すまない、取り乱した」

ハルヒ「い、いいわよ別に」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ハルヒ「（キョンがまさか野球好きだったとは…今度野球観戦に誘うのもありかしら）」

ハルヒ「（ファールボールなんかから、庇ってもらえたりして…）」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

キョン「お前がそんなことを期待して見に行くと、二軍戦でもないと死傷者が多数出るぞ」ｽﾞｽﾞ…

ハルヒ「は？」

キョン「いや、何でもない」

キョン「それで、なんだって」

ハルヒ「…あ、そ、そうよ！　団長の話の腰を突然折るんじゃないわ！」

キョン「お前も正直話を切り出したの忘れてたろ」

ハルヒ「う、うっさい！」

ハルヒ「BOWよBOW！」

キョン「（やっぱりやきうの話じゃないか！（歓喜））」

ハルヒ「Bと、Oと、W！」

キョン「…ん？　ああ、アルファベットの、Bと、O、Wな…（落胆）」

ハルヒ「え？　な、なんでそんなに露骨にテンション下がってるの？」

キョン「ええんやで…続けて、どうぞ…」ｼﾅｷｰﾝ

キョン「で、そのアルファベットが足りないって話だったか」

ハルヒ「う、うん」

キョン「…？？（言われてみると、なにがなんだか分からんな…）」

キョン「こう、アルファベットスタンプとか、シールとか、そう言うやつのパーツが欠けてるって話か？」

ハルヒ「…まあそれでもいいけど、ちょっと違うわね」

キョン「は？」

ハルヒ「もっと概念的でいいのよ」

キョン「なんだ概念的って」

ハルヒ「とにかく、B、O、Wなものを揃えればいいのよ！」

キョン「…」ｽﾞｽﾞ…

キョン「雨の日に、喫茶店に呼び出してなにをするかと思えば、またよく分からない…」ﾊｱ

ハルヒ「いいから、黙って手伝いなさい！」

キョン「へいへい」

キョン「…しかし、少なくとも…」ｺﾞｿ

キョン「俺の手に持つに該当するものはなさそうだな」

ハルヒ「メニューから何か頼むのも手ね」

キョン「なるほど」

キョン「…Bと言えば？」

ハルヒ「…“Blue”？」

キョン「…青色の食べ物を頼めばいいのか…？」

ハルヒ「……あるの？」

キョン「ないだろうな」

ハルヒ「……Bは一旦置いておきましょう」

キョン「すでに計画が破綻しかけているな」

ハルヒ「う、うるさいわね」

ハルヒ「Oよ！　O！」

ハルヒ「キョンキョン！」

キョン「続けて呼ぶな。なん——　　ハルヒ「わりゃー！」ﾌﾞﾝｯ

キョン「うおおおぉ！！？」ｶﾞﾊﾞｯ

ハルヒ「ちっ」

キョン「な、なんっ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

キョン「店内で突然傘を振り回すんじゃない！！」

キョン「俺はお前に殺されかけることをなにかしたか…？」

ハルヒ「大げさね。Oよ、“Ooops!”よ！」

キョン「……なぜあえてそれを選んだのかはともかく」

キョン「俺に心から言わせる必要があったのか、それ」

ハルヒ「こう言うのって、気構えが大事だと思うの！」

キョン「じゃあお前の腹に傘の先を打ち込んでやろう」

ハルヒ「ぷっ、ばっかねーキョン。日本人が乱暴されて、思わず“Ooops!”なんて言うわけないじゃない」ﾌﾟﾌﾟﾌﾟ

キョン「え？　俺お前に日本人だと思われてないの？」

ハルヒ「ちなみに“Oh,my God”でも可」

キョン「残念ながら日本人らしく無宗教でな」ﾋﾗﾋﾗ

キョン「…なあハルヒ、思ったんだが」

ハルヒ「？　なによ」

キョン「ちょっと傘貸せ」

ハルヒ「い、いやよ」

キョン「人に本気で振り回すやつなんてお前くらいだって。いいから貸せ」

ハルヒ「はい」ﾎﾟﾝ

キョン「……」

ハルヒ「？」

キョン「これじゃ、だめなのか」

ハルヒ「は？」

キョン「畳んだ傘は棒みたいだろ」

ハルヒ「……」

キョン「棒（“BOW”）だろ？」

ハルヒ「うわ、くだらなっ」

キョン「お前が言うか」

ハルヒ「…ふむ」ﾊﾟｼ

ハルヒ「まあたしかに…ちょっと心もとないけど…いいか、これで」

キョン「なあ、一体何の話なんだ？」

ハルヒ「そうと決まれば、キョン！」

キョン「はい」

ハルヒ「外に出るわよ！　お会計よろしくっ」ｶﾞﾀｯ

ﾀﾀｯ…

キョン「…？　何なんだ、一体…」ﾊｱ

ｶﾗﾝｺﾛｰﾝ


ｻﾞｱｱｧｱ…


キョン「…雨だな」

ハルヒ「雨ね」

キョン「まあ、天気は上向いているようだが」

キョン「……ところで、なぜ傘を広げずに上を向けているんだ？」

ハルヒ「実験よ、実験」

キョン「？？」

——ｻｧｱｱｱ…——


キョン「…若干、小振りになって来たか…」

ハルヒ「…そうね」

キョン「移動しないのか？」

ハルヒ「……もう少しよ…」

キョン「…？　はあ」

——……


キョン「日が射して来た」

ハルヒ「……！」ﾊﾟｧｧ

ハルヒ「ほら見なさいキョン！　あそこ！」ｸﾞｲ

キョン「引っ張るなって…」

キョン「…おお」

ハルヒ「私が呼んだんだからね！」

キョン「…は？」

ハルヒ「いやーまさか上手く行くとは思わなかったわ！　キョン、あんたの手柄もほんの少しは認めてあげるわ！」

キョン「……な、何のことだ。呼んだって、まさかあのどでかい虹のことじゃなかろうな」

ハルヒ「にひひっそのまさかよっ」

ハルヒ「BOWが足りなかったのよ」

キョン「…それは初めに聞いた」

ハルヒ「虹は“RAINBOW”でしょ？　雨（“RAIN”）は降ってるから、そこにBOWを持ってくれば…」

キョン「……」ﾎﾟｶﾝ

ハルヒ「ご覧の通りよ！」ﾄﾞﾔｧ

キョン「…」

ハルヒ「…」ﾌﾝｽ

キョン「……まあ…うん」ﾊｱ

キョン「あほか」ｶﾞｽ

ハルヒ「いたいっ！？」

キョン「……まさか、こんなことのために、わざわざ俺を雨の中呼び出したっつうのか」

ハルヒ「ふえ？　…ち、違うわよ？（キョンと一緒に虹を見たかったとか、そんなんじゃないから！）」//

キョン「ほう。じゃあ他にもなにか用があるんだな？　というかそっちが本題であるべきだな？」

ハルヒ「……」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ハルヒ「…！」ﾋﾟｰﾝ

ハルヒ「ね、ねえキョン！　虹の下にはお宝があるって話、知ってる？」

キョン「聞いたことはあるが……いや、おい待て、いやだ」

ハルヒ「行ってみましょう虹の下！　うん、さっきのはこのために必要だった話なのよ！」ｶﾞｼ

キョン「虹の下なんて行けるわけねえよ！」

ハルヒ「行ってみないと分からないじゃない！」

ハルヒ「それに、キョン！」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「この団長と一緒に虹が見れたんだからね！　そのことに感謝しなさい！」

キョン「……」

キョン「はいはい。まったく、安い給料だ」ﾊﾊ

ハルヒ「行くわよー」

キョン「へいへい」




終わり

おわりやでー。
読んでくれた方には感謝！

短くてもいいな、乙

くさかった

J民はNGで

BOW！

没