ウマP「亜里沙、起きてくれ」亜里沙「ううーん」 (31)

亜里沙「おはよう…ございます、プロデューサーさん」

ウマP「ああ。おはよう」

亜里沙「確か、一緒に事務所のこたつで年賀状の整理をしていて……」

ウマP「途中で眠くなったから、亜里沙に寝かせてもらったんだ」

亜里沙「ふぁい……」

ウマP「それでな、ちょっと困ったことになったから、ちひろさんを」

亜里沙「……」

ウマP「亜里沙?」

亜里沙「……ウマ?」

ウマP「ああ」ブルル

亜里沙「Pくんがウマっ!?」

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亜里沙「あっ、夢ね」パタリ

ウマP「夢じゃないぞ」

亜里沙「あ~、きっと仮眠する前にちひろさんからおせちをいただいたからねっ」

ウマP「食べてすぐ横になったら牛になるってやつか?」

亜里沙「今年は午年だし、縁起が良いんですよぉ」

ウマP「そうだな」

亜里沙「……先生、ウマになってもPくんが冷静で安心」

ウマP「それで、ちょっとこれじゃ仕事にならないから、ちひろさんを呼んできてもらいたいんだ」

亜里沙「ああ、はいはい」

亜里沙「ちひろさん、連れてきましたよぉ」

ウマP「明けましておめでとうございます、ちひろさん」

ちひろ「えっ、ウマがしゃべ……」

亜里沙「このウマはPくんなんです」

ちひろ「ああ! 腹話術か何か」

ウマP「違うんですよ、ちひろさん」

ちひろ「分かりました! 超得ショップに人参を追加しましょう!?」

ウマP「そうじゃなくて」

亜里沙「ちひろさん、落ち着いてください」

ちひろ「……さすがの私も、プロデューサーさんが馬になった場合のヘルプは用意してません」

ウマP「とにかく、これじゃ仕事にならないでしょう」

ちひろ「確かに……それはそうですね」

ウマP「まあ、新年の動きはアイドルに任せるにしても、電話の一本もかけられないですし」

ちひろ「そうなると、プロデュース業が怪しいですね。冷静に考えて」

亜里沙「ええっ!」

ウマP「実際そうだろう」

亜里沙「しゃべるウマなんてきっと子どもたちに大人気ですよぉっ!」

ウマP「俺が出演するの?」

――
亜里沙「はぁ~い、良い子のみんなぁ。今日は新しいお友達が来てくれましたよぉ」

亜里沙「『ウサコと一緒に仲良くしてほしいウサー!』」

ウマP「ウマオでございます」

子ども「わぁああああああああ!!」

亜里沙「それじゃあみんなで歌いましょう~♪」
――

ウマP「子どもに人気になる前に、オトナにとっ捕まりそうだが……」

ちひろ「見世物的な意味ですね」

亜里沙「そんなっ!」

ウマP「しかし、見世物にならないにしても、どこかの牧場に行くのが妥当でしょうかね」

ちひろ「そ、そうですね。事務所ではさすがに飼えませんし」

亜里沙「先生の愛馬ということにすれば……」

ウマP「都内で馬で通勤するアイドルなんていませんよ」

亜里沙「うう……」ガックリ

ちひろ「いや、別の土地でも馬で通勤するアイドルはいませんから」

ウマP「そうすると、及川牧場辺りに声をかけるのが一番いいですかね」

ちひろ「うーん、まあ、私も馬のことは詳しくないので、そこを経由する方が情報が集まるでしょう」

ウマP「今後のスケジュールに無理がない程度には組み立てておいて……」

亜里沙「Pくん、ダメです!」

ウマP「ど、どうした」

亜里沙「そんな簡単に離れるなんて考えちゃダメっ」

亜里沙「先生をここまで連れてきたのに、ズルいっ!」ヒシっ

ウマP「お、おお……」

ちひろ「……まあ、急に変身したなら、急に戻る可能性だってありますよ」

ウマP「それもそうか」

亜里沙「そうですよっ!」

ちひろ「じゃあ、寮の予定地に厩舎でも建てますか?」

ウマP「レアメダル何枚くらいかな」

亜里沙「先生、浴衣たくさん売ってくる!」タタッ

ウマP「あっ、亜里沙」

ちひろ「行っちゃいましたね」

ウマP「うーむ、表に出ると目立つしな」

ちひろ「仕方ありません。この後、社内の新年会がありますから、ちょっと手伝ってください」

ウマP「分かりました。荷物くらいは運べるでしょう」

ちひろ「……あっ、それなら、寮にいるアイドルたちを呼んできてくれますか?」

ウマP「寮に? しかし、表に出るのは……」

ちひろ「事務所のすぐ近くのところですから、多分、大丈夫ですよ♪」

ウマP(あまり大丈夫じゃないと思うが)

――寮。

杏「……えっ!? 働かなくても印税を!?」

杏「でゅふふ……わかってるじゃん、プロデューサー……」

杏「むにゃむにゃ……」

ウマP「杏いるかー?」カッポカッポ

杏「すぴー……」

ウマP「いないのかー?」

杏「ぐーすかー……」

ウマP「ぬっ、ふっ」ガチャガチャ

ウマP「いるじゃないか」

杏「すこすぴー……」

ウマP「起きろ、杏」

ウマP「とりあえず剥ぎ取るか」バッサー

杏「ふあっ!? なにっ!?」

ウマP「おはよう、杏」

杏「……さむい。なに……?」

ウマP「会社の新年会だから、はよこい」

杏「……」

杏「……?」

杏「ああ、ウマか……」

ウマP「ああ」

杏「今年、午年だしね。寝起きドッキリってやつだね、これは」

ウマP「違うぞ」

杏「……? プロデューサー?」

杏「えーと、どこにいるの? カメラは?」

ウマP「ここだ、俺だ」

ウマP「カメラはない」

杏「……あっ、夢か。知ってる知ってる」

ウマP「夢じゃない」

杏「……」

杏「えっ? 馬?」

ウマP「ああ」

杏「ハピ粉をやり過ぎたか……」バタリ

ウマP「おい、起きろ」

杏「はあっ!? 馬がプロデューサーになったの?」

ウマP「違う、俺が馬になったんだ」

杏「わけがわからない」

ウマP「とにかく、今日は会社の新年会だ。俺の背中に飛び乗れ」

杏「……杏は乗馬未経験だよ」

ウマP「落ちないように運ぶから」

杏「いや、そういう問題じゃないよね」

ウマP「とにかく、さっさとシャワーでも浴びてこい」

杏「はいはい……」

――
杏「それで、何がどうしたの? 着ぐるみじゃないのコレ」

ウマP「着ぐるみに見えるか?」

杏「見えない」

ウマP「じゃあ、そういうことだ。俺にもよく分からん」

杏「……あっ、プロデューサー、今全裸じゃん」

ウマP「黙れ」

杏「あそこも馬並み?」

ウマP「いいかげんにしろ」グイギュー

杏「ぐるじい、マフラー、踏まないでぇ……」

ウマP「ほれ、さっさと背中に乗れ」ぐいっ

杏「うわったった」ぽーん

杏「お~、毛が生えてる」

ウマP「たてがみって言うんじゃないか」

杏「あったけぇ」なでなで

ウマP「つかまってろ、落ちるなよ」

杏「……」

ウマP「どうした」

杏「いやぁ、なに? 今後は杏の移動手段になってくれるのかなーって」

ウマP「そういうわけにもいかん」

杏「じゃあ、何するの? プロデュースなんて出来ないでしょ」ニヤニヤ

ウマP「まあ……牧場行きかな」

杏「えっ」

ウマP「なんかそこで馬の仕事が見つかればいいが、なければ、サイアク食肉コースか」

杏「し、食肉……」

ウマP「俺も詳しいことは知らんが、そんなに馬の仕事ってないだろう」

ウマP「乗馬体験とか……後は競馬とか? しかし、レースなんて出来る体とは思えないし」

杏「……」

ウマP「まあ、悪いようにはならないと思うがな」

ウマP「事務所で飼えるか、検討してもらって」

杏「……私がプロデューサーの馬主になるよ」

ウマP「ん?」

浜川さんとか丹羽ちゃんとかむつみちゃんが喜びそうだな

杏「だから、杏がプロデューサーの馬主になるよ。印税をつぎ込んで」

ウマP「それは破産フラグだろ」

杏「何いってんの! アイドルがオーナーの馬なんて、きっと人気出るよ!」

ウマP「そりゃ人気は出るかもしれんが……」

杏「大人気で国内のレースを総なめして賞金もらいまくって」

杏「それで、海外で賞を二つ三つ取って、種牡馬入りしてがっつり儲けるんだ~」

ウマP「どんだけ皮算用なんだ」

ウマP「それに、なんで俺が牝の馬に興奮すると思ってるんだ」

杏「え……獣姦?」

ウマP「もっとねえよ」

杏「とにかく! そんな……牧場送りとか許さないし」

ウマP「いや、そうは言うが」

杏「馬になって逃げようったってそうはいかないんだ」ガシッ

ウマP「……」

杏「……」

ウマP「わかった。まあ、戻れないとも限らないしな」

杏「……うん」


亜里沙「Pく~~ん!!」ダダダッ

ウマP「ん、亜里沙か」

杏「あ、先生だ」

杏「先生、あけおめ」

亜里沙「はぁっ、はあっ、あ、あけましておめでとうございますっ」

ウマP「すまない、まだ杏一人しか連れてなくて……」

亜里沙「そうじゃなくって!」

亜里沙「これ!」バッ

ウマP「うん……? 茶色のぬいぐるみ……?」

杏「ウマじゃん」

亜里沙「そうなの!」

ウマP「これがどうかしたのか」

亜里沙「ウサコちゃんが、ウマコちゃんになってたのっ!」

ウマP「なんだと」

亜里沙「ウサコちゃんを置き忘れたのを思い出して、ちょっと見てみたら」

亜里沙「『ヒヒーン! ウマコだウマー!』」

亜里沙「という感じでいたのよ!」

杏「えーっと、新キャラ?」

ウマP「ちょっと待った。亜里沙、もしかしてウマコちゃんは」

亜里沙「こたつの中にいたんです!」

ウマP「そういうことか……」

杏「どういうことなの?」

ウマP「つまり、こたつが犯人だということだ」

杏「ああ、そう」

ウマP「しかしまずいな、このままだと犠牲者が増えるかもしれない」

亜里沙「急ごう! Pくん、杏ちゃん!」

杏「う、うん?」

ウマP「よし、行くぞ」パカラッ

杏「は、早いよ、早いからー!」

亜里沙「あーっ、杏ちゃんが振り落とされちゃう!」

――事務所。

優「きゃー!」


ウマP「くっ、一足遅かったか」

亜里沙「あれは、優ちゃん!」

優「アッキーが……アッキーがぁ……」

アッキー「くぅ~ん」

杏「なんかクビが伸びてアルパカみたいになってる」

ウマP「優、無事か!」

優「あっ、Pくん……!?」

ウマP「ああ、俺も被害者だ」

優「」

杏「あまり気にしない方がいいと思う」

亜里沙「優ちゃん、大丈夫?」

優「う、うん。私はへーきだけど、アッキーが……」

ウマP「何があったか、教えてくれないか」

優「事務所に来たとき、まだ寒いから、こたつにアッキーが入ったの」

優「そしたらしばらくしたら……」

アッキー「くぅ~ん」

杏「うーん、中途半端に進化した謎生物」

ウマP「これではっきりしたな。このこたつに入って寝ると、馬になると」

亜里沙「なるほど!」

杏「……うん」

ウマP「とりあえず、もう一回こたつに入りなおしてみよう」

ウマP「優、ウマッキーを渡してくれ」

優「ウマッキーって、アッキーのこと??」

ウマP「おう」

亜里沙「Pくん、ウマコちゃんを……!」

ウマP「ああ。やってみよう」

亜里沙「がんばって! 負けないで!」

ウマP「ああ!」

杏「こたつに入るだけじゃん」

――1時間後。

P「ふう」

亜里沙「Pくん……!」

P「亜里沙。ウサコちゃんだ」

亜里沙「やったー!」

P「優。アッキーだが……」

優「やったー☆ ……って、なんかクビの毛がサラサラしてるっ!?」

杏「たてがみが残っちゃったんだね」

P「すまん。力不足で」

ちひろ「プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「ああ、ちひろさん。どうやら食肉にならずに済みそうです」

ちひろ「し、食肉?」

杏「でも、なんでこたつに入って馬になるの」

P「分からん」

亜里沙「あっ、そういえば!」

P「何か知ってるのか」

亜里沙「このこたつに、イヴちゃんが入ってた時のことなんですけど」

優「……あ、もしかして」

――
イヴ「ああ~、こたつって温いですよねぇ~」

優「そうだねー♪ ほら、アッキーも暖かいって言ってるし」

アッキー「くぅ~ん」

亜里沙「それって嫌がってるんじゃないかしら?」

イヴ「大丈夫ですよ~、ブリッツェンも喜んでますし~」

亜里沙「……そういえば、来年は午年ねっ。ブリちゃんが馬だったらちょうど良かったのかしらぁ」

イヴ「ウマドシ……?」

優「日本の伝統で、干支って言って……」

イヴ「ふんふん」

亜里沙「ちょうど来年がウマの年っていう……」

イヴ「なるほどぉ~」
――

亜里沙・優「……って」

P「また奇跡を発動させてしまったのか」

P「まあ、とにかく、これで危険なことは分かったわけだから、このこたつは処分しよう」

四人『え?』

P「ん?」

ちひろ「そんな! こんなお金になりそうな!」

亜里沙「Pくん! わたし、Pくんに乗ってない!」

杏「一儲けしよう! 一儲けしてから!」

優「アッキーが完全に戻ってないよ~~!」

P「お、おう」


その後、事務所内限定で、月に一回のウマPデーが制定されました。
アイドルたちは日々のストレスや疲れを乗馬ならぬ乗Pによって癒し、
ウマ効果で人気急上昇だとかなんとか。

おしまい。

なるほど騎乗位

馬並みPとな・・・・・・


アッキーさんかわいそう!

俺のも馬並みなんだぜ(ボロン

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