男「俺の復讐が今始まる」(6)
事の発端は些細なことだった
一度だけ頼み事を拒否しただけで、俺の壮絶とも呼べるイジメは始まった
靴隠しやケシカス投げに始まり、犯罪の濡れ衣や死に直面することまで
何が気に入らないってのは、皆が皆、心から楽しんでいるということ
イジメよりも、そっちに腹が立った
そして俺は高校三年秋、復讐を計画した
男「…………始めよう」
ショータイムの始まりだぜ
まず最初にクラスの最重要人物だ
ゲームで敵の弱点を狙うのと同じで、核を狙う
男「……さて」
こいつは軽音部の部長だ
パンクメタルだかヘヴィメタルだかしらないが、それの真似事でよく頭を殴られた
ベースギターで……
男「おかげで右耳は不自由になり、上の歯は奥歯を残して差し歯だ」
男「お前には同等以上の苦しみを味あわせてやる」
軽音部部長は毎朝一番乗りで音楽室にやってくる
練習してプロになりたいだとか、馬鹿馬鹿しい
軽部長「~♪」
軽部長「……ん?」
軽部長「なんだこれは?」
ここには前夜、お酒を1つ机の上に置いておく
そう、1つだけ
お酒の購入はさほど苦労はなかった
醜い顔した俺の実年齢がわかるはずもないしな
軽部長「酒……だよな、どう見ても」
軽部長「ったく誰だよ、見つかったら俺が疑われんだぞ……」
そうだ、お前が疑われるな
だがそれはただのカムフラージュに過ぎない
軽部長「……っ! いってぇ……」
軽部長「……? 何でガラス片が酒に……」
軽部長「チッ、誰だよこんな悪戯……見つけたらただじゃおかねぇ……」
怒ったようだな、それがお前の欠点だよ
こいつは怒りだすと自制心が効かなくなる、子供のようだな
軽部長「あぁぁムカツク!」
軽部長「クソッ!」
出てったか
さて……
男「お前はバカで頭に血が上りやすい、だからこんなわかりやすい罠にも気づかない」
机の真上にある小型のカメラを取り外す
男「ま、パッと見証明にしか見えないから無理もないがな」
さて、これだけならただお酒を持った軽音部部長だ
だから、こいつが如何にも飲み始めようとする写真にみせるため、もう1つの計画を開始した
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