のび太「これのことかい?今回は僕の昔の話を描いてるんだ」
ノビスケ「へぇ。まっ、どうせまた売れないんだろうな。知ってるけど」
のび太「失礼なやつだなぁ。そういうのは読んでからにしてくれよ」
ノビスケ「だってパパが描く漫画いつもよく分かんないんだもん。つまんない」
のび太「まっ、そう言わずにさ。ほら」
ノビスケ「もう、今回だけだからね。何々、ドラえもん...?」
ノビスケ「...」ペラッ
ノビスケ「...!」ペラッ
ノビスケ「フフッ」
ノビスケ「...」ペラッ
ノビスケ「パパ!これ凄く面白いよ!」
のび太「だろう?何せパパのとっておきだからな」
ノビスケ「うん!早く続き読ませてよ!」
のび太「よし、じゃあちょっと待ってなさい」
ノビスケ「早くしてよね!パパはトロいんだから」
しずか「貴方、何をしてるんですか?」
のび太「ん、ちょっとノビスケのために漫画の続きを描いてるんだ」
しずか「ノビスケが続きを読みたいって?」
のび太「うん」
しずか「珍しいわね。一体何を描いているの?」
のび太「これだよ」
しずか「あら、ドラちゃんじゃない!懐かしいわね」
のび太「だろ?僕も昔の思い出を掘り起こしたくなってさ」
しずか「いいわね!私も読ませてもらっていいかしら?」
のび太「もちろんさ。僕はここで続きを描いてるよ」
しずか「...」ペラッ
しずか「やっぱり楽しかったわね。あの頃は」
のび太「そうだね。僕の宝物だよ」
しずか「私にとってもそうよ。武さんやスネ夫さんにとってもね」
のび太「そうだね」
しずか「でもどうしたの?急に」
のび太「何がだい?」
しずか「何がって、貴方が急にドラちゃんの話をするからよ」
のび太「...」
しずか「あの日から貴方は一度もドラちゃんの話を口に出さなかったじゃない」
のび太「あぁ...」
しずか「...会いたくなっちゃったの?」
のび太「いつでもそう思ってるさ。忘れたことなんて一度もない」
しずか「そうよね、ごめんなさい...」
のび太「...」
のび太「丁度さ、今のノビスケぐらいの時期なんだ。僕がドラえもんに会えたのは」
しずか「そうね」
のび太「僕はね、心の何処かで期待していたんだ
『のび太くんじゃどうしようもなかったからノビスケくんの未来を変えに来たよ』
なんて言ってまたドラえもんがやって来ないかなって」
のび太「そのためにこの勉強机だって未だに現役さ」
のび太「でもなんとなく実感している。もうドラえもんはここには来ない」
のび太「だからせめて僕なりの決別としてドラえもんとの思い出をこういう形で振り返っていこうと思ったんだ」
しずか「そう...」
のび太「それにノビスケに伝えたいんだ。僕達はこんなに楽しい日々を過ごしていたんだってね」
しずか「そうね、頑張ってください」
のび太「ありがとう」
のび太「できたぞノビスケ。ドラえもん、第二話だ」
ノビスケ「もうできたの!?早く読ませて!!」
のび太「そんなに急ぐなよ。ほら」
ノビスケ「ありがとう!」
ノビスケ「アハハ!やっぱり面白いや!」
のび太「そうか、そりゃよかったよ」
ノビスケ「これでパパも有名人になれるね!うん、絶対なれるよ!」
のび太「残念だがな、ノビスケ。これを出版社に持って行くつもりはないよ」
ノビスケ「え!こんなに面白いのに!」
のび太「さっきも言ったけどこれは僕にとって大切な思い出なんだ。お金にするつもりはないよ」
ノビスケ「なんだ。つまんないの」
のび太「でもな、ノビスケに頼みたいことがあるんだ」
ノビスケ「何?」
のび太「この"ドラえもん"をお前の友達に広めてくれないか?」
ノビスケ「分かった!じゃあ今すぐ続きを描いといてよ!」
のび太「あぁ、その間お前は遊びにでも行ってきなさい」
ノビスケ「うん、早速ジャイチビにでも貸してみるよ」
ノビスケ「あ、そうだ。行く前にパパに聞きたいことがあるんだけど」
のび太「なんだい?」
ノビスケ「ドラえもんって本当にいたの?」
のび太「.....」
のび太「いたよ。そして今も、僕達の心の中にいるんだ」
終わりです。ありがとうございました
乙
のび太は絵が下手だけど、パパはたしか画家を目指してくらいうまいんだよな
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