淫魔「コタツ出さないんですか」 (502)


男「うん………まだ早いだろ」

淫魔「なんでですか」

男「なんでですかって言われても………あれ、出すの結構面倒なんだよ、クローゼットの上の方に」

淫魔「………布団借りていいですか」

男「………いいけどさ」

淫魔「今、図々しいやつだと思いましたね」

男「いやいや………」




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淫魔「いや、たしかにそう思われるかもしれませんが………淫魔が寝床にいて何が悪いの

   かという話です」

男「うーん」

淫魔「むしろ寝床にいない淫魔が悪いのです。 っていうか私、結構薄着ですから」

男「確かにな………まさに淫魔です。っていう感じの」

淫魔「格好でしょう? 良かったー! これでよかったんだー」

男「………」

淫魔「だから寒いんです。布団借ります。 スウェットとか余ってません?」

男「すげえなこいつ………まあ、いいけど寒いんなら」

淫魔「もしかしたらご主人様は………私のことをものすごく図々しいやつだ、と思ってい
 るのかもしれませんが」

男「うん、思ったよ」

淫魔「いえ、これはアレです。 かのトヨトミ・ヒデヨシがオダさんに対して、オダさん
 の草履を懐に入れて温めておいた、というエピソードを思い出してですね」

男「オダさんって言うと普通に知り合いにいそうだな」

淫魔「トヨトミさんと同じくらいの器量を持っているわけですよ、私は」

男「そうかい」

淫魔「すごいでしょう?」

男「………お、おう」

淫魔「合ってました?」

男「うん?」

淫魔「いえ、トヨトミさん、トミタケさんでしたっけ。人間界の知識はある程度勉強しましたが」

男「漢字になってない。うろ覚えじゃねえか。まあ、よく知っている方なのか。 淫魔にしては」

淫魔「超博識ですよぉ、私」

男「………」

何これ面白そう!

淫夢に見えた、訴訟

淫魔「っていうか、織田って言ったら真っ先に織田裕二が出てきますよね」

男「それ俺の方が言うセリフじゃないか!?」

淫魔「ふふん、博識だって言ったじゃないですか、だから」

男「わからん、淫魔がどの程度の知識を披露した時に褒めればいいかわからん………大し

て知識があるわけでもなさそうだけど淫魔の中では物知りな方なのか」

淫魔「褒めて褒めてー。エアコンも入れてーー」

男「エアコン?」(まあ節約は一人でいるときだけでいいか………) ピッ

淫魔「おおっ」

淫魔「おおっ!」

男「22度でいいか………去年はどうしてたっけ。 地球に優しく、といきたいところだが」

淫魔「おおぉぉ………!」

男「え、何だ、そんなに喜ぶことは………たしかにこの部屋寒かったけどさ」

淫魔「う、動いてる! すごい!」

男「?」

淫魔「こ、これはアレですか、『電気の力』で!?」

男「………………………お前、」

淫魔「は、はい」

男「エアコンを、見たのは初めて?」

淫魔「初めてです!」

ところでこれパンツ脱いだ方がいいの?

男「そ、そうなのか。 なるほどだったらまあ、そのテンションも頷けるが」

淫魔「かがくの ちからって スゲー!」

男「やっぱりお前詳しくないか人間界に!?」

淫魔「いえいえ、私はものすごい知識があるだけで、スーパーコンピューター天河2号並みの知識があるだけで、
 こういった初見殺しにはあっさりやられますよぉ」

男「初見殺しでもなんでもないと思うんだが、とにかくお前のそのテンションには、納得がいったよ」

淫魔「えッ! もっと上げたほうがいいですか、テンション」

男「下げなさい」

男「テンション下げてね」

淫魔「善処します!」

男「うん。 ていうか、君さ」

淫魔「『淫魔』でいいです。 雌豚、と呼ぶのも可です。 まあ流石に、肉便器はひどい

かな、と個人的には考えているんですが、ご主人様に仕える身としては」

男「淫魔って呼ばせてもらうよ。 淫魔だよね、サキュバスだよね君」

淫魔「はい」

淫魔「睡眠中の男性の寝所に現れ、誘惑して精を奪う悪魔です」

男「うん」

淫魔「………その、エロい悪魔です///」 

男「うん。 あのね、淫魔さん」

淫魔「はいっ」

男「ちょっとぶっちゃけたことを言うけど………今から」

淫魔「ぶっちゃけたこと?」

男「うん………君さ」

淫魔「………」

男「あまりエロくない」

淫魔「なっ」

淫魔「いや、ワタシ淫魔ですよ」

男「うん、だけどエロくない」

淫魔「ひ、ひどい!」

男「………あれ、ひどいのか、『エロくない』ってひどい言葉か?」

淫魔「くふぅ………私が、この私が………官能的ではないと………うぐぅっ」

淫魔「私が今、どんな気持ちかわかりますか!」

男「………いや、あまり」

淫魔「筆舌に尽くしがたい………かろうじて、強いて、言うならば………」

男「いや言いたくないなら、別に言わなく」

淫魔「『お前は犬じゃない』って言われた犬のような気持ちですよ!」

男「………う、うん、うん?」

淫魔「傷心………。 旅に出ます、私」 ガタッ

男「あ、おいっ………」

淫魔「引き止めないでください! 修行してきます!」

男「しゅぎょ? えっ、ちょっとどこ行くんだ、待っ、」

ガチャ ガチャ ガチャ
ばたーん!

男「うわあ、行っちまった………修行?」

男(どうしよう………追いかけたほうがいいのだろうな、こういう時、男側が。
 ………いや、そもそもあいつ女なのか、まあ身体は女みたいだけど。
 しかも結構いい感じの………いやいや)

男「知り合いですらないような感じだけど、ええい、これも
 何かの縁だ。とりあえず追いかけよう」 ガタッ

ガチャ ガチャ ガチャッ!

男「うおっ!?」

ばたーん

淫魔「はぁ、はぁ、はぁ………」

男「………戻ってきたのか、お前。 あれ? 肩で息をして………あれ?」

淫魔「さ、」

男「さ?」

淫魔「寒いです! 布団に入れてください!」

男「………コタツ布団、そろそろ出すか」

男「今日はここまで、らしい」

淫魔「あと、パンツは脱いで待機したほうがいいですよ。
 私ってほら、エロいですから」

ほのぼのの予感

淫魔かわいい期待

アレだな、可愛いしスタイル良いけど発言が妙にこっち寄りだから淫魔のエロさでもあるファンタジーなドリーム感が無いんだな……

どっかの師匠に似てる

淫魔さん本当エロいなー
マジムラムラするわー

淫夢に見えて仕方がないww

淫夢に見えて仕方がないww

コタツ『淫魔ごときにはまけませんよ』

あれだな
従来?の淫魔の様にボッキュッボンッのセクシーダイナマイト(死語)ではなく、バストはあるけれどそこまで大きくなくて普通、ウエストも太ってはないけれどそこまで細くなくて普通、ヒップも同様に普通っと、女の子らしいスタイルではあるけれど普通過ぎてそそられないパターンだな

男「よいしょ」

淫魔「おお、布団がまた出てきましたね」

男「これをコタツに乗せて………と、ああ、その前に敷布団敷かないと」

淫魔「おお、まさに冬って感じですね。 ………敷布団を敷く?」

男「日本語としてはミスだな………うん?でも敷布団っていう、のかこれ
   コタツ布団?」

淫魔「私に聞かれましても」

男「いや、あまり頼りにはしてないけど………」

淫魔「頼りになる女ですよ私は」

男「その発言がもう残念さがマッハだなお前は」

淫魔「絶対コタツで居眠りする快楽に負けたりしない!」 キッ



淫魔「……zzz」

男「よっし、出来た。 コンセントを入れて………と」

淫魔「おお! 入りますよ! 入っていいですよね! 許可を!」

男「オッケー許可する」

ピーーーーー………!

淫魔「あれ、どこから………これ何の音です?」

男「ああ、沸いた。 ヤカンの音だ、はいはい止めますよ今ー」 トタトタ

ピー―――ー、ぴっ。

男「コーヒー入れるか」

淫魔「ご主人様ー、このコタツ温かくないー!」

男「温まるまで待ちなさい」

精液の臭いしみついて むせる

淫魔「おお、温かくなってきましたよ、ご主人様!」

男「ほら、温かいコーヒーだぞー」

淫魔「おお、何かを持ってきましたよ、ご主人様!」

男「そのご主人様って言い方はやめてくんないかな………」

淫魔「お館様」

男「普通でいいよ、男で」

淫魔「すると私は、私のネームは、さしずめ淫乱な雌豚といったところでしょうか………」

男「でしょうかじゃないよ、どうしてさしずめそういうことになるんだよ、淫魔」

淫魔「ああ、普通に名前を読んでくださるなんて………私ったら、首輪とかつけられる前提で来て いるんですけど」

男「そんなもん持ってないよ………いや、首輪があったらそのまま犬小屋に入れておきたいところだよ君を」

淫魔「な、中々にひどい発想です………男さん鬼畜です」

男「………はいコーヒー」

淫魔「ありがとうございます」

淫魔ならコーヒーじゃなくてミルクだろ!!!11

淫魔「あついです」

男「ゆっくり飲めばいいよ………それでお前、どこから来たの」

淫魔「魔界ですが」

男「ですが、って………本当なのか?」

淫魔「魔界………あっ、失楽園、オルクスのミル3丁目、103番地ですが」

男「いや住所はいいよ」

何色のぱんつ穿いてるん?(ハァハァ)

淫魔「はっ………これはマズイです」

男「不味い?コーヒーが?ごめん結構安物………」

淫魔「ではなくて! くつろいでいるけれど私、悪魔ですよ!」

男「そうだな。 コタツに入ってるけどな」

淫魔「悪魔ですよ! 襲いますよ人間を!」

男「………頑張ってね?」

淫魔「まあ、温まってからでいいでしょう」

男「そうしなさい。寒いからね」

淫魔「この飲み物」

男「ん?」

淫魔「苦いですね」

男「うん………一応砂糖は入れたんだけどな」

淫魔「けど温かいです………これ、あっ、コーラ?」

男「コーヒーだ」

淫魔「こーひー」

淫魔「ふうむ、流石はコーヒー、香りが違う………」

男「………違いがわからない感じがよく伝わってくるよ」

淫魔「あれ、男さん、こぼしてません?」

男「ごめんお前のせいで吹き出した」


男「少し服にこぼした………何か拭くもの取ってくるわ」

淫魔「私が吸いましょうか?」

男「吸わないでくれ」

淫魔「私の服を貸しましょうか」

男「いや、色々絵的にダメだからパス」

淫魔「遠慮しなくてもいいですよ」

男「いや、ここ俺のアパートだし、いくらでもあるから」

淫魔「むむう、つまらない展開です」

男「………あれ、お前着替えとかあんの?」

淫魔「何ですか男さん、何も着るなと、そういう命令を出すんですか」

男「出さないよ」

水着とかメイド服とかウェディングドレスとか喪服とか色々あるだろ……!!

淫魔「もしも夏場であったのなら、望むところです」

男「遠慮するよ」

淫魔「ふう、男さん、コーヒーごちそうさま」

男「うん? おお」

淫魔「次は甘いものをお願いします」

男「………」

男「甘いもの………コーヒーシュガーがある。 噛じれ」

淫魔「よくわからないけれど、すごくひどい扱いを受けている! ドSですね男さん!」

男「なんだお前、腹ペコキャラなのか、それとも単に話題がないだけなのか」

淫魔「ぎくっ」

男「古い! 反応が!」

淫魔「いや私、ホラお腹がすいているのはもちろんのこと………」

男「もちろんなのか」

淫魔「魔界から来たって言ったじゃないですかー」

男「それ何回も聞いた気がするが」

淫魔「長旅でした」

男「………ああ、そういうこと」

淫魔「休憩できるところで助かりました」

男「疲れているんならまあ、いくらでもおかわりしていってくれ」

淫魔「男さん………! あなたという人はっ」

淫魔「あなたは」 うるうる

男「俺もコーヒーおかわり。 さて、甘いものはあったかな」

淫魔「あなたは、優しいドSだ!」

男「………………ここにラー油がある。ひとり暮らしでは使い切りにくいアイテムだが、
 これをコーヒーに入れるという手がある」

淫魔「や、やめてください! 赤くて辛そうな液体は!」

男「俺はドSではない、復唱して」

淫魔「男さんは、どエス、ではナイ」

男「………はいコーヒー」 コトッ

淫魔「ありがたい」

男「そして冷凍庫にあった甘いもの」

淫魔「………?」

男「アイスだ」

コタツにアイスは旨いけども、この状況で氷菓子とか男さんまじドS!


男「確か夏に買ったんだけど、まあ、なんだかんだで余っていた」

淫魔「つ、冷たい!」

男「コーヒーがあればいくらでもいける」

淫魔「冷たいけど、いい! おいひぃ!」

男「コタツでアイス、贅沢の代名詞だ」

淫魔「貧乏なりに頑張ってるんですね!」

男「贅沢は敵………」

淫魔「いや、叩かないでくださ………って、アレ?」

男「叩かないよ」


男「アイスうめえ」

淫魔「そんな………私、叩かれることに興奮を覚え始めていたのに」

男「正解だったようだな、叩かなくて」

淫魔「あっ、キーンとしてきた、口が」

男「醍醐味だなー、アイスの」

淫魔「でもこうなると、コーヒーよりもエスプレッソの方が合いそうですよね」

男「お前の知識がよくわからんのだが、偏り方がおかしくないか」


淫魔「勉強してから来ました。 人間界の」

男「うーん、いや、たしかに無勉でテストに望むとかよりはマトモだけど」

淫魔「私全然勉強してないしー、って友達に言いふらしてから来ました」

男「ホントにテストみたいだな」

淫魔「日本語難しいです」

男「うん、その割にはさっきから、俺を煽るのが上手いね」

淫魔「………」

男「………疲れた」

淫魔「休憩?」

男「うん、さーてとパソコンつけっかぁ、課題はやったし」

淫魔「むむ、その映像は、エロい動画ですか?」

男「そこまでの度胸はないよ」

男「横に女子がいて平然とエロ動画を見出す度胸はないよ」

淫魔「動画ではない………では画像ですか」

男「溜まってたアニメを消化する作業」

淫魔「………アニメ、オタクさんですか」

男「そこそこには」

男「夜型生活だ」

淫魔「おお、私の仲間ですね」

男「お前と一緒にされるといろいろと誤解を生みそうだが」

淫魔「………面白いんです?」

男「………さあ、もう習慣と化しているから、なんとなくやめられない」

淫魔「面白いの教えてくださいよー」

男「えー」

男「えー………」

淫魔「い、嫌がらないでくださいよぉ」

男「いや、なんていうか………難しいなあ、面白いやつかあ」

淫魔「私は別に、アニメオタクをアニメオタクだからという理由で軽蔑したりしませんよ。
   私は心が広くてエロい、普通の淫魔ですよ」

男「なんていうか、お前が普通の淫魔だったら嫌だな」

淫魔「ひどいです………」

男「うーん、今期ではそうだな、キルラキルはすごいな、評判も」

淫魔「コンキ? キルラ?」

男「とりあえず見てみよう」

淫魔「まあ、男さんがオススメするもので、はい」

30分後

淫魔「こ、このアニメは………痴女ですね!」

男「まあ、痴女だな」

男「キルラキルはすごいって言う人、結構いるなあ」

淫魔「このアニメは、痴女が出てきましたけど、でも………」

男「でも?」

淫魔「あんまりエロくないですね!」

男「………まあ、な」

淫魔「このアニメすごいですね。 男さんもすごいですね」

男「うん。 うん?」

キルラキルおもしろいよね(ステマ)

さすがにそろそろ寒いんだが

>>58
っネクタイ

っジャケット+扇風機

つガーターベルト

っ革靴

っ靴下

っ手袋

つマフラー

  \
:::::  \            >>56の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた

\:::::  \             
 \::::: _ヽ __   _     外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
  ヽ/,  /_ ヽ/、 ヽ_  
   // /<  __) l -,|__) > 「刑事さん・・・、俺、どうして・・・
   || | <  __)_ゝJ_)_>    こんなスレ・・・たてちゃったのかな?」
\ ||.| <  ___)_(_)_ >
  \| |  <____ノ_(_)_ )   とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち
   ヾヽニニ/ー--'/        震える彼の掌を濡らした。

    |_|_t_|_♀__|        
      9   ∂        「その答えを見つけるのは、お前自身だ。」
       6  ∂
       (9_∂          >>56は声をあげて泣いた

56なんもしてねぇwww

淫魔「痴女を目指すならこういうものを目指せという、指針を示してくれたわけですね」

男「いや、そうではないが………」

淫魔「そうではないならどのような意味が」

男「ルーチンワークを消化しただけというか」

淫魔「お客様が来てるのに?」

男「自分でお客様って言い切るところもそうだが………なんかお前が来たせいで習慣が崩れると癪なんだよなあ」

淫魔「ああ、文化的にっていうことですね、日本人だからですね、いや馬鹿にしてはいませんよ」

男「お前から馬鹿にされるのは流石に勘弁なんだが、日本人だからとは?」

淫魔「日本人はアニメ好きです」

男「まあ人によるけれどな」

淫魔「お客さんが来たらアニメ鑑賞会をはじめるくらいの」

男「俺は結構異端だからな」

淫魔「日本に来る子はあまり多くないんです」

男「そうなのか」

淫魔「英語の方が簡単で」

男「えー………俺は英語はさっぱりだけどな」

淫魔「日本語はひらがなとカタカナ、それに漢字も使います」

男「うん、そうだけど」

淫魔「覚えることが多いです。 英語はアルファベットが24種類だけ」

男「そう言われると簡単そうに聞こえるな………」



男「うん? 24文字だったっけ? 26じゃなかったか」

淫魔「すいません、私英語苦手です………」

男「いやあ、そこは得意とか苦手の問題ではない気もするが………」

淫魔「教科書が難しすぎて」

男「教科書? ニューホライズン? クラウン?」

淫魔「なんですかそれ」

男「いや、まあ俺と同じじゃないよな、そりゃそうだ」

男「なに?教科書持ってきてるの?」

淫魔「荷物に入ってました」

男「うおお、魔界の本か、すごいテンション上がるんだけど」

淫魔「私より上げないでくださいね、テンション」

男「え、なんだその心配。 テンションで勝負してたの?」

淫魔「なんだか悔しくなるので」

淫魔「その教科書、英語のなので、男くんにも読もうと思えば読めるはずですが………」

男「ふむふむ、ザ………The younger sister said then.
"If………」

淫魔「おお、発音いいですね」

男「これ、普通に読んでも大丈夫なのか? 呪文とかじゃない? ザケルとか出ない?」

淫魔「滅多なことは起きないと思いますけど。 男くんにそういう魔翌力があるのなら、あるいは」

男「じゃあ大丈夫か。 しかし日本語訳があれば助かるが」

この早さなら言える
こいつは淫魔の格好をした
田舎もんやwwww

淫魔「和訳って、えー、男くんカンニングしたいんですか」

男「か、カンニングじゃないよ。 なんだよ、授業じゃないんだから、いいだろ」 

淫魔「うーん、ここに別冊の日本語訳があるけれど、うぅーん、どうしよっかなーァ」

男「うぜえ………」

その時、妹は言った。

「お兄ちゃん、あんな下水道みたいな女と一緒にいたら、お兄ちゃんまでドブネズミみたいになっちゃうよ。
さあ、私とお風呂入ろう」

そんな、少しばかりユニークな妹だった。

そこで僕はこう言い返したんだ。

「いや、でも知っているか、宮本武蔵って風呂が大嫌いだったらしいぞ」

「うん、なあに、それって関係あるの?」

「宮本武蔵って格好良いじゃん」

「お兄ちゃんはもう格好良いよ。
さあ、一緒にお風呂入ろうね。
あの女は私が明日切り刻んでおくから。
二刀流でね」

「HAHAHA」



淫魔「………と、いうのがレッスン3、japanese yandere girlの和訳です」

男「レッスン3でこの内容………、色々とハイレベルだな………」

今日はここまで

※参考:エキサイト翻訳

The younger sister said then.
"If it is together with an elder brother and such a woman

like a sewer, even an elder brother will become like a brown rat.
Now, me and bath ON wax"
She was such a somewhat unique younger sister.
Then, I retorted like this.
seemingly,

"disagreeableness and a man it knows but or is called Musashi Miyamoto abhorred the bath"

-- "-- it does not obtain -- he is famous Japanese sum rye.
It "is smart" but with regards to us."

"An elder brother is already smart.
Now, it is bath ON wax to one clue.
Because I

will chop up that woman tomorrow.
With a 2 sword style"
"HAHAHA"

メール欄にsagaって入れようぜ

下半身寒い・・・

まだか

淫魔「まだかマギカと言われた時に現れる。 それがワタクシ、淫魔です」

男「ふう、さてと、アニメも消化したし」

淫魔「うん?」

男「寝るか」

淫魔「えっ!」

男「シャワー先使っていいよ」

淫魔「えええっ!」

男「お客さん用の布団もあるから心配すんな」

淫魔「ええっ………イヤそこは、一緒のベッドで」

男「布団があるから心配すんな」

淫魔「男さん」

男「うん?」

淫魔「私、淫魔ですよ」

男「うん」

淫魔「すごくエロいんですよ」

男「う、うん………」

淫魔「深夜ですよ。何か言うことはないんですか」

男「いや、特には」

淫魔「何かやることはないんですか」

淫魔「男さんは男として、何かやることがあるんじゃないですか。
やらなければならないことがあるんじゃないんですか。
それとも男さんは男じゃないんですか。
そもそも男じゃないんですか」

男「………寝る、というワードに反応してくることは予想できたが、ものすごいテンションで食いついてくることも予想できたが、これはこれできついな。
陰湿というか………ネチネチとした言葉責めが」

淫魔「不愉快です。シャワー浴びてきます。お借りしてもよろしいですか」

男「あ、ああ………どうぞどうぞ」

淫魔「あとで抱いてくださいね………」

男「あ、ああ………あ、いや、」

淫魔「やった、許可もらった」

男「キャンセル、今の無しで!」


男「………というわけで、いや、どういうわけで、出会ったばかりの女子がシャワーを浴びている」

男「俺のアパートで、だ」

男「なんだかなあ、そういう雰囲気は苦手だ。 得意な奴がいるならアドバイスを願いたい………
  いや、そういうシチュエーションが得意な男がいたらまず、友達にはなれないだろうが」

男「苦手だ。 だからアニメの話で、そういう話題から逸らそうとしたのかな、俺。
  そんな気がする」

ガラッ、と、扉が開く。
台所やバスルームがある方と、部屋とを分ける扉である。

淫魔「男さん」

男「な、なんすか………」

淫魔は身体にバスタオルを巻いていた。
バスタオルしか巻いていなかった。

淫魔「シャンプー忘れました。取っていいですか」

淫魔の口ぶりでは、どうやら魔界から持ってきていたらしい。
カバンに入っているらしいが、しかし俺は。

男「シャンプー?シャンプーってなんだっけ?
それは忘れたって、忘れるもの?鍵か何かか?」

目が泳ぐ。
合わせて記憶も泳ぐ。
シャンプーが何なのか、とっさに思い出せない。
シャンプーってなんだっけ。

淫魔「やっぱり急に違うシャンプーに変えるのは抵抗がありますし………あ、でも男さんのいつも使っているものがいいんですか?」

男「へ、へえっ? 俺がいつも使っている?
俺は一度もシャンプーなんて使ったことがないぞ?」

無茶苦茶なことを言ってから、ようやくいつも使っているシャンプーを思い出してきた。

淫魔「男さんと同じ香りのシャンプーでいいです?
その方が興奮します?」

男「い、いやあ、どうだろう………」

男「俺にはよくわからんが、好きなようにすればいいんじゃないかな?」

淫魔「いえいえ、私が思うに、人間界のルールに従ったほうが、男さんの意見を聞いたほうがいいと

、そういうことで」

男「あー、わかるわかる。 郷に入っては郷に従えだっけ? 俺もよくある。 よく言われる」

会話中、ほとんど淫魔を見ていない。
記憶にも向き合えていないので、何を言うかわからない状況だ。

淫魔「私も我が儘はそろそろやめてみようかなあって。泊めてもらう身ですし、男さんの命令には従

う心構えですよ」

男「と、とりあえずシャンプー取って、早く風呂場に行くべきだと思うなー」

割と本気で言う。
早くこの状況が過ぎ去るといいなあ。

淫魔「男さんがそう言うのなら」

男「………」

淫魔が隣でカバンを………カバン?
魔界から持ってきたものだけあって、かなり存在感があるものだった。
どことなく、生き物のようでもある。
それの中を探っているようだ。
目を逸らす。

淫魔「じゃあ、お風呂また借ります。 ああ、私のシャンプーは使わないでくださいね。
 人間が使ったら、何かあるかもしれませんから」

男「お、おう」

という、とにかく挙動不審になっていただけの会話、シーンだったとさ。

今日はここまで

挙動不シ-ンと名付ける

おい





はよ

風邪引く

>>90

つギリスーツ

つこたつ

おい







風邪ひいたじゃないか

おい







風邪ひいたじゃないか

せきしても一人

「お前のシャンプーって、人間が使っちゃダメなのか」

「え? 男さん、付き合ってる彼女のシャンプーを無断で使う派なんですか?
それはちょっと………ねえ?」

「ねえ、じゃねえよ。いや、断るけどよ。 そもそも女物は使い難い、近寄りがたい雰囲気があるし。
俺はただ単に、魔界から持ってきたものが気になるってだけで」

「男さんの髪には合わないかもですねー。魔力100%配合ですから」

「………う、嘘だな。一瞬迷ったけど」

淫魔が風呂から上がってからの場面、会話である。
現在は俺が風呂に入っているところだ。
つまりはドア越しの会話。

「私も入っていいです?」

「駄目」

「いや、でも風邪をひいたらどうするんです」

「服を着てあったかくして寝なさい」

「もう風邪をひいている方もいるらしいですよ」

「そいつは多分アホだから放っておきなさい」

「男さんって結構、血も涙もないですね………悪魔か何かの血が流れていたり?」

「しないと思うけどな」

「でも私、何らかのご奉仕をしないと恩を返せません。
泊めてもらうからには、何かさせてください」

「恩を返したい? 『鶴の恩返し』でも読んで勉強していなさい」

「なんですかそれ。 読み物? 漫画ですか?」

「昔話だよ。 お前は日本人が喜びそうな一般的な展開を知るべきだ」

「鶴の恩返しのストーリーは知りませんけど………ジョジョとどっちが面白いです?」

「だからお前なんで………何なんだよその知識のバランス………」 

こたつ「そろそろ出番ですか」

「じゃ、ベッドで待ってますから」 

「待ってるのは構わないが服を着ておけよ」

「勝負下着で」

「服を着ておけよ」

「脱がせやすいような服を」

「風邪をひかないようにな」

ホットカーペット「まだ早い」

「上がったぞ」

「ベッドを温めておきました。 さながら秀吉さんのように」

「うん、俺冷たい布団の方が好きなんだ」

「やはり悪魔の血が流れていそうですね男さん」

「大丈夫だよ心配しなくても。あ、俺こたつに入るわ」

「むう………」

「こたつは卑怯です」

「うん? まあ、たしかにこたつにずっと入っているのは」

精神的に堕落を招く印象がある。
怠けすぎはよくない。

「コタツの中で二人くっつくと、熱くて辛いじゃないですかあ」

「くっつかなければいいよ」

「宿泊費は身体で払います」

「いいよ、気持ちだけで」

「私を舐めないでください。 気持ちよくしてあげることだって出来るんですよ」

「いや、本当に大丈夫だから。 しばらくは泊まっていけよ」

「あまり私を怒らせないほうがいい」

「なんだよその顔………絵柄変えないでくれよ」


「男さん」

「………」

「男さん」

「………ん、おお?」

「こたつで寝る気ですか?」

「え、いや………」

どうやら半分、寝落ちしていたらしい。
なんというミステイク。

「男さんの方が風邪ひいちゃいますよ。こたつで寝たら、ああもう、大丈夫ですか」

「ああ………意外と疲れてんのかな、俺。自分じゃわからないもんだな。クラクラする」

「こたつは汗いっぱいかいちゃうから、辛いですよ………ほら、服を着替えて」

「う、うん」

「着替えどこでしょうか。私ちょっとわからないです。とりあえず脱いでください」

「うん」

「寒いでしょう、早くベッドに入って。温めますから」

「うん」

「うわあ、男さんの腹筋だー、腹筋」

「………」

「はい、じゃあパンツも脱がせますねー」

「待ちなさい」

「むむ? 何かありますか」

「ああ、色々とあるな」

「まあ譲れないラインとして、俺はこれ以上は脱がない」

「なんでですか! 脱がないと大変ですよ!」

「脱いだほうが大変だよ………まあいい。
 俺はこのベッドで寝るのはいいとして、お客さん用の布団、こっちで」

「でもぉ、あの布団は温めてないしぃ………」

「お前の人肌で温めなさい。得意なんだろう」




「まあいいでしょう」

すごすごとお客様布団に向かう淫魔。
肩を落としてほとんど猫背になっていることから、それなりにダメージを受けた風だ。

「まあ、初日からうまくいくとは思いませんでしたし。
むしろこのほうが燃える展開ではあります
なんとしても男さんが襲ってくるように仕向けますよ私は
私ってほら、エロいですから」

「いや、俺もな。 まあ補足しておくと、めちゃめちゃ嫌ってわけじゃないんだよ、俺も」

「おやあ?」

「おや、それはつまりどういう………」

「いや、やっぱりお前の態度を見てると訂正したくなるな」

「なんだかモヤモヤしますね」

「俺は普通に、普通がいいんだよ」

「普通って、そんな人いるんですか」

「普通も結構いいんだよ。 意外と難しいんだぜ」

「俺はまあ、会ったばかりの人間と初日で親密にはなれない気がする。
 なりたくないんだ。
 なんだか違う気がする」

「人間じゃないですよ私」

「つまんない揚げ足取るなあ」

「でも言いたいことはわかります。
 男さんは清純ですね。
 さては男さん、処女ですね?」

「………」

どんな努力をしても俺は処女にはなれない。

………が、

「お前って処女なの?」

「は、っはぁ!?」

「いや、別に忘れてくれ。 そこまで聞きたいわけでも」

「童貞じゃないし。 バリ普通だし。 普通にあるし!」

「………」

今日はここまでだし

おつ

続き楽しみなんだし



こたつ「闘いからにげるとは…」

こたつ+ホットカーペットは
最強の組み合わせだろ  

「私はすごいっすよ。何がスゴイって………もう、とにかくすごいっすよ」

「そう。 どうすごいんだ」

「私の非処女伝説はすごいっすよ。 やりまくりっすよ」

「非処女伝説ってなんだよ。 胡散臭さがもう………」

「今! 胡散臭さマックスって言おうとしましたね!」

「いや、マックスとは言おうとしてないが」

「私は数々の男性を落としてきたエースなんですよ! エロス・エースなんですよ」

「そうかい」

「伝説的なんです! 一日に24人の男性と付き合いました」

「………一時間に一人か。 半端ないな」

「はいそうです! すごいでしょお!」

「24時間か」

「はい! 性のコンビニエンスストアとは私のことです! 人呼んで!」

「睡眠はその24時間、取らなかったんだな」

「………はい」

「24時間ぶっ続けで?」

「………て、徹夜で頑張りました!」 

「いやまあ、俺はね、お前がどういうレベルの痴女かなんて、そこまで気にしてないよ」

「いやいや気になるでしょう!」

「何なんだその、スポーツの実況者みたいなテンションは………。
 お前と俺って、会った初日だし。 仲良くないし」

「私の中はいいですよ、すごく」

「下ネタか」

「私は淫乱な痴女で、他の追随を許さないって………後輩とかからも尊敬の眼差しをかけまくられているんですよ!」

「俺、処女の方が好きだな」

「私、処女です」

(ああ、コイツは処女だな………多分これからも)

「っていうか問題はそれ以前だな………お前騒がしいってよく言われない?」

「な、なぜそれを! さては盗聴!」

「魔界に盗聴器仕掛けるスキルはないよ………いや、現在進行形でうるさいからさ」

「で、でも私、エロいし」

「エロいから解決するのか………会話なのかこれ大丈夫か」

「淫魔だし」

「そろそろ電気を消しましょう」

「ん?」

「あれ、寝るんじゃなかったんですか」

「ああ、そうだった。もう夜遅いしなあ」

「おやすみなさい」

「おう、おやすみなさい」

「………」

「………」

「起きてるか、淫魔」

「はい………」

「………」

「………」

やけに静かだな。
いや、いいことなんだが。
夜は寝たいんだが。
しかし、

「………」

しかし何かを仕掛けてくる気がしてたまらん。

「溜まってるんですか」

「いや溜まってないが」

こたつ「おまかせください
安眠をもたらせますよ」

「そんなに溜まっているなら近くにいる女の子を、可愛い女の子を襲えばいいじゃないですか」

「いや………どっちかって言うとお前から絡んでくると、思ってたんだが」

「………明日は早いんですか?」

「うん? いや、いつも通り………学校、あれ、日曜か」

「日曜」

「休みだ」

「それは参りましたね。それでは私、朝まで男さんに好き放題されるというわけですね」

「好き放題って………」

「血気盛んな獣のような人間に組み伏せられてあんなこんな」

「好き放題してるのは主にお前だけどな」

翌朝。

「むにゃむにゃ………もう食べられないよう」

テンプレート過ぎて誰も使わないであろう寝言を口にしているのは俺ではない。
俺はそこまで残念な主人公じゃない。
しかしこの女(ヨダレ垂らしてる)もすごいな。
初めて泊まった男の部屋でしっかり熟睡しているのは。
慣れてるのだろうか。
それともただの馬鹿か。

朝飯の用意しておくか。
お客さんだし。

あ、そっかこいつ、魔界から来て疲れてるんだっけ。
だったら熟睡するのも納得。

「お腹いっぱいですよう………」

まだ言ってる。
よほど疲れていたんだな。

「そんなに出さないで………射精しすぎですよう」

「………」

人類には早すぎる寝言だ。
あまり考えたくない。
思考を止めたいくらいだ。

ああ。 そっかこいつ、
人類じゃないのか。

はよ


「っていうかお前、起きてるよな?」

「………むにゃむにゃ」

「………コーヒー入れるぞ」

「砂糖は二個でお願いします」

「貴様、起きてるな」

「起きてません、ちゅーで起こしてくれるまで」

もつ

はよはよ



「すみません、決してわざとゆっくり書いているとかじゃないんです.
マジです。なにぶん久々で………リハビリで」

「誰に向かって言っているんですか、それ」

「こっちの都合だよ………そもそもお前がエロいのかエロくないのか、
キャラが定まってないから俺も動きにくいんだろうが」

「私はエロいですよ。エロのバーゲンセールですよ。
私よりも安い店があるのならお知らせください。
すかさず値下げいたします」

「なんか聞いたことがあるぞそれ、そのフレーズ………どっかの電気店みたいだな」

「朝ごはんだぞ。………最近寒くてスーパーに行かないから、パンとコーヒーくらいだけど」

「いえいえ、感謝です。 出されたものに文句は付けませんよ。
その調子で精液も出してくださると幸いです」

「幸いというよりも災害だな」

「しかしなんですね。 寒い日の朝、あったかいコーヒーとパン。
これは確かにありがたいんですが………」

ん、なにか気になることでも?

「男さん、アニメ好きですよね」

「ん、まあ」

最近流行りの、にわかオタクだけどな。

なんだろう、アニメとこのコーヒーとパンは何か関係あるのか。
それともこの女は別に何も考えずに喋っているのか。
ありそうだなあ、その方が。

「アレやらないんですか、アレ」

「アレ?」

なんだろう。

「ラピュタ乗せるの」

「………ラピュタ?」

「『パン』に『ラピュタ』乗せて『たまごパン』にするのが、日本人の好みだって、アニメオタクの友人が
………日本人はそう、『ジブリール』?」

「………」

「あっ、すみません、うろ覚えだったから違うかも」

「いや、お前の言いたいことはすごく伝わった。
間違ってるけどだいたいあってる」

「わかります?」

「わかるわかる」

「俺も子供の頃はすごくそれ、やりたいって思ったよ」

「そうなんですか。私と同じですね」

しかし、実際作ってみるとうまくいかない。
旨くいかない。
ジブリ映画のあの技術は一体なんなんだろう。

「卵か………今、冷蔵庫にはないなー」

「要求してはいないですよ」

「うん、まあ………あれ難しいしなー」

「卵焼いてもな、カタチが丸いからパンからはみ出して」

「はみパン!?」

「いきなり大声出すな!隣の人に聞こえるだろ!」

「男さん、男さんの方が大きいですよ」

「あ、ああ、すみません………」

「すみませんごめんなさい………」

「いや、男さん小さくなりすぎ、態度………え、ちょっと、なんなんですか」

「ああ、そうだな………いや、気にするな」

何かあったら謝る悪い癖。
かっこわりー。

「悪い癖ではないと思いますよ」

「いや俺の場合は変なんだよ。 やたらと謝ればいいみたいな感じで、なんか反射的に」

「謝ればいいだろ、みたいなかんじですか? とりあえず」

「そんなことは………いや、うーん、そうかも」

悪い癖だ。

「男の人じゃなければ萌えるかもしれませんが」

「………まあ、需要はないな」

「今日は休日ですか?」

「設定上は日曜日だ」

「じゃあ………えっと」

「出かけようか。  人間界を案内してやるよ」

「本当ですか!」

「………嘘だ」

「ひ、ひどいです」

「冗談だよ」

「わーい!人間界を探索しまくってやります!」

「そんなにテンションを上げてもらっても、大したスポットはないんだが………まあ頑張れよ」

「お礼もしないと。
いつか、魔界を案内してあげますよ」

そりゃ楽しみだな。

おつ

これはラブホ直行ですわ

はよ


「ふう、コーヒーご馳走様でした」

「ちょっと待ってろ、出かけるなら出かけるで、どこに行くか考える」

パソコンを起動した。。
ただしインターネットは起動しない。
繋がらない。

「あれ?」

「どうしました」


「なんか、ネット開いたら変な画面が出てくる………AirStation………?」

「………空港?」

それはエアポートじゃないか、確か。
「いや、これ見覚えあるわ、確かルーターの」

ネットにつながらない。
回線がおかしくなった?

「ああ、そういえば最近、雷が激しかった。
そのせいで何かあったな」

「えー」

「くっそー………まあ電気が止まらなかっただけマシか」

「行ってから考えるか」
「イってから?」
「………『出かけながら』考えましょう」
「はあい」

というわけで出かける。
最近天気が悪かったから思い立って外出するのは久々だ。

「私、男さんに連れられてホテルに行きます」
「行きません」
「では本格的なラブホテルに?」
「そっち路線から離れろ」
「むう、男さんのいんぽー」
「普通です」

とはいえどこに行けばいいか。
普段は本屋とかをブラブラするくらいだしなあ。
友達の家にこいつを連れて行ける訳もなく。

「服とか、売ってるところ………」
とかかな。

「人間の雌が着る服ですか。わーい、欲しいー」
「雌言うな」

「とはいえ服屋なんて行かないんだよなあ俺」

「とりあえず今着てるコートは男さんのものですし」
「悪いな男物で………でも寒いからな」
「いえいえ、これで私は男さんの服を着せられた所有物、肉奴隷として路上にデビュー。
考えただけでもカラダが熱くなります」

「なんつうか、精神構造がすごいよなお前………」

魔界のやつってみんなそうなのかな。


「そんなこんなで出かけるか」

今日も天気に不安はあるけど。

「わーい」



※リアルでマジにルーターがイキました。
業者の人たちが来ました。

>>151
なんていうか頑張って



なんというか
御愁傷様

乙wwww
つづきまってる

「はあ………」

淫魔が溜め息をわざとらしくついている。
なんだ、何かあるのか。

「ルーターですらイっているというのに、男さんときたら………」

「俺にも雷の直撃を受けろというのか」

死んじゃうよ俺。
下ネタにすらなれずに、ただ命を落としてしまうよ。

「まあ、今は放っておこう。そんで帰ってきたらもうちょっといじってみよう」

「いじる?」

「反応すんな。パソコンをいじるんです、それだけです」

「でもパソコンに穴はありませんよ」

「………いや、結構あるだろ。 USB差すところとか」

「むう」

「というわけで出かけよう」

「そうですね」

「まあ街の方に行けば色々あるだろ」

「いやらしい店とかですか」

「そういう店に入る勇気はまだない」

「そうですよね、男さんには私がいますもん」

「………もう少し色気を纏えるようになってから言いなさい」

男のアパートの外

「寒いですねー」

「ああ、もう冬だな………おっと」

路面がシャリシャリしている。
砂じゃない。

「え、もしかしてこれ、雪か」

降ってたのかよ、夜の間。

「男さん男さん、息が白くなりますよ、ホラ」

「俺一人だったら多分、出かける気が起きなかっただろうな………」

「なんとも無気力な………」

「そうだな………御多分に漏れない、無気力系な若者だよ」

それにしたって寒い日は嫌だ。
自分に正直でいたい。

「私と同じですね。エロさを隠さないスタンスに通じるものが」

「ないと思う」

「バスを使おう」

「バス………お風呂ですか」

「交通手段だよ」

「移動中に何かありませんかね、男さんにとって都合の悪い何かが」

「何が目的なんだお前」

「いや、面白いことがないかなーなんて」
思ったりして、と舌を出す淫魔。
ネット環境がない時点でテンションはもう底なんだよ、俺


「ああっ! 電気が走るのぉ! 体中に電流が流れていっひゃううう!

「頭がおかしくなっちゃうよぉ! CPU的なところがおかしくなっちゃうよお!

「沸騰するう!

「頭がおかしくなってオンライン

「ブロードバンド! インターネットを介して全世界に私の恥ずかしいところ見られちゃう!
 光の速さでぇ!」

ここまで全部淫魔の台詞である。
「………何を始めたんだ、お前」 


「いやいや男さん、ネットがつながりにくくてテンションが底の男さん。
今までの話の流れ的にわかるでしょ。
男さんの家のパソコンの真似ですよ」

「………」

「全身に電流が走るような快感を感じてイッてしまったルーターの真似ですよ」

「これからバスに乗るから、そこでは静かにな」

「………………はい」

バスの車内

「男さん」

「うん?」

「先ほど提案した、ルーターっ子……ルーターを擬人化すれば思いのほか萌える、という事実に
 ついてですが………」

「そのような事実はないよ………今作っただろその事実。 高難易度すぎるだろ、色々と」

「でも男さん、痙攣している女の子って可愛いですよね」

「ちょっと何言ってるかわかんない。 俺の趣味はお前よりノーマルだよ
そこのところを記憶に刻んでくれ」

「ふむ、セーブしておきます」



「いや、でも最近のライトノベルとかでありそうじゃないですか?
ある日突然、ルーターが可愛い女の子になって襲いかかってくる、なんてことが」

「ないと思うぞ………しかも襲いかかってくるのかよ」

どんな状況だよ。

「とりあえず擬人化すればいいといいますか………キャラになればいいんです。
ゆるキャラとか、まさにそんな感じじゃないですか」

「俺はそういうのどうかと思うけどな………粗製濫造は質の低下を招くって、誰かが言ってたし」

ブロロロロ………

「あ、バスが来ましたよ男さん。バスルームじゃないですよ。バスが来たんです」

「間違えようがないだろ………」

バス内

「温かいですね」

「そうだな。 乗ったの久しぶりだ。 このまま町の方までいけるはず」

「大雑把ですね」

「うん………まあ」

お、ルーター直ったか

ルーターはこの冬で二回イキました
ネットカフェに行きましたがそこでは何故か書き込めませんでした


「たいてい駅前通るからな………スマホで確認しよう」

「ふうむ」

「地図を見ればいいんだろうか。 ええい、実は俺、あまり慣れてないんだが」

淫魔がバス内をゆらゆらと見回す。

「バス………で、思うんですけど、私」

「うん?」

「痴漢モノのビデオの撮影ってアレ、どうやってるんでしょうね」

「………」

「運転手もグルなんですかアレ」

「………俺、何を調べてたんだっけ」

「ああん、スマホばっか見ないでくださいよつまんないなー」

「着いたぞ」

「あっさりですね。 渋谷ですか新宿ですか」

「悪いが俺の住んでる町は田舎という設定だ」

「つまりジャスコですね」

「いや、ここにないが………ここらは何ていうんだろう、服屋が多い、繁華街みたいな場所だ」
てかジャスコって今は全部イオンになってるんじゃなかったか。

「夜のお店は?」

「そんなの………結構あるなここ」


「えっマジですか。 まさか私を連れ込もうと」

「いや、流石に女子と同伴でキャバクラはいけないよ」

「勇気がいりますねえ」

「勇気っていうか、まあ服屋に行こう。話はそれからだ」

「そうですねー。男さんの好みを知るところから始めないといけませんねー」

「いや、お前が選んでいいけど」

「うん? 男さんがお金を払って買ってくれるんですか? 私の下着を」

「いや、俺もまったく持ってないわけではないが、って下着限定!?」

「え、嫌なんですか」

「買わねー。かわねー。」

「そんなに拒否することないじゃないですか。 まあ私もじつはお財布持ってるんですけどね」

「え、金持ってんの? 人間界の」

「持ってますよ。 流石に無一文で人間界に来るのは無謀ですから」

「いや、ちょっと意味がわからない。 魔界の硬貨ならわかるけど。 ゼニーとかじゃなくて円を持ってるのか」

「あんまり人のお財布事情について突っ込まないでくださいよー………あっ私に突っ込m

「何者だよ、魔界人」

「魔界から人間界に来れるんだから、人間界の通貨くらい支給されることくらい普通にやってますよ。
 出来るに決まってるじゃないですか」

「………いいなあそれ」

「俺も魔界行きたいわあ」

「やめてください本当につまらないですよ」

「でもドラゴンとかケルベロスとかいるんだろ」

「ドラゴン………いるけど絶滅危惧種です」

「えっ、本当かよ。 強いんじゃないのか、そいつら」

「大気汚染の影響とかで………」

「ええええー、夢がないなオイ」


「ああ、これ以上は言えません。 言えないって決められているんです。
あまり人間の世界から見て悪いことは言うな、魔界の印象は
脚色して格好よく伝えろと教えられました」

「お前の台詞ですべてが台無しだよ」

残念なのは最初からだったかもしれないが。
お前が部屋に来た瞬間から、その残念さは上昇の一途を辿りまくっていたが。

「っていうか寒いですね。 ホテルに入りましょう」

「服屋な」


その店内は女性が多かったが、しかし淫魔と同伴なら雰囲気的に大丈夫だろう。
大丈夫だよな?

「男さん、下着は派手な色のほうがいいですか」

「可もなく不可もなく」

「男さん、真面目に考えたほうがいいですよ。男さんのお金を使うんですから」

「ええー………」

そんな当たり前のように言われても。
いつ決めたんだ。
しかし金を払えば女性店員に嫌な顔をされることはないだろうとは思った。

「いや、考えても見てくださいよ」

「考えても見てくださいよ。
男さんが選んでくれれば、男さんは
『ぐへへ。この女、俺様が選んだ下着を身につけてやがるぜ。
俺専用淫乱ビッチが服の下に完成していやがる』という目で私を眺めることになり。
そこらに転がっているエロゲーを超える興奮数値が………

「お前の中で俺は変態キャラとして確定なのか………」

「確定なんです………」

きてたー

ネカフェでローターで3回イクとか流石だな

「私だけが変態だと、なんだか寂しい」

「なんだよその理屈………巻き込み事故だな」

天気があまりよくない。
雲がどことなく黒いので、今日も崩れてきそうだ。

「………業者さんも大変だなあ」

「何がですか」

「いや、だから最近天気悪いし洗濯物もロクに干せなかったからさ。 
ネット回線もガタガタだし、こりゃあもう、何らかの魔物が俺のアパートに住み着いているんじゃないかと」

「私そんなことできませんよ」

「いや、お前じゃないけれど」

ものの例えだよ。

「流石に天候を操ったりネット回線をどうとかするサイバーな能力はないです」

「電撃出せたりしないのか? ラムちゃんみたいに」

「ちょっと無理ですね」

「知り合いにはいるんですけれど」

「いるのかよ」

「みんな大好きですからね人間界。 規則破って出かけることかは問題になるんですけど」

そんなひょいひょいと観光旅行みたいに俺の部屋に出てこられたらたまったものではない。
さて目の前にいるこいつは規則を遵守してここに来ているのだろうか。

「機械いじりが好きなのもいますねー。 機械いじりっていうか機械おちょくりなんですけれど。
よく故障させてるみたいです」

「迷惑なやっちゃな」

性夜にハッスルはしなかったのか

流れ流れでようやく追いついた。













だれか俺氏の下着をご存じありませんか?
いい加減風邪引きそうなんですが(´・ω・`)

つまらん改行は要らない
俺のパンツでよければやるがな

「おや、このスレはまだ続いているんですか」

「続いているんですか、っていうか続けろよ。お前、もっとがんばれよ」

「いやあ、頑張りますけれど、不安なんですよ。 色々不安なんですよ。
何しろ私、人間じゃありませんし」

「いやいやいや人間じゃないって、それが持ち味だろ」

「人間が面白いと思うものと私が面白いと思うもの………
 それって、結構ズレているんじゃないかなあと」

「考えすぎだろ」

「おや、このスレはまだ続いているんですか」

「続いているんですか、っていうか続けろよ。お前、もっとがんばれよ」

「いやあ、頑張りますけれど、不安なんですよ。 色々不安なんですよ。
何しろ私、人間じゃありませんし」

「いやいやいや人間じゃないって、それが持ち味だろ」

「人間が面白いと思うものと私が面白いと思うもの………
 それって、結構ズレているんじゃないかなあと」

「考えすぎだろ」

「男さん、確かに私はちょっとブルーになっていたのかもしれません」

「いや、お前はテンション上げすぎなところの方が多いから」

「私はもっと自信持つべきです。胸を張るべきなんです」

「いいことじゃないか」

「―――あー、でも『いいこと』なんて、しちゃいけないんじゃないかな。
だって私、魔族です、魔界の者です
もっとダークな雰囲気とシックなエロさを持ち味に………でも元気キャラも捨てがたい」

「………情緒不安定すぎだろ」

お、きてる

「そう、来てるんだよ」

「股間にですか?」

「いや、股間には来ていないが」

「ではどこに」

「何やらいろんな、よくないものが俺の部屋に来ているなあ、と。
引っ越してからネット環境が不安定でな」

「―――え、私のせいじゃないですよ」

「うん………まあ」

「ついでに言うと、携帯の電波も悪いんだ」

「あらら、そうなんですか」

「どういうわけだかわからないがな。 
田舎ってほどでもない………
いや、田舎かもしれんが山中ではないくらいか。
やっぱ魔界の電波か何かが来てるんじゃないか」

「うーん………これは私のエロさが凄すぎて
他のエネルギーを跳ね返しているという可能性が挙げられますね」

「いや、それはないな」

「ないな、それは」

「あれえ? 男さんの話はおかしいというか………魔力があるって、
魔力を信じるのに私の意見を却下ですか、その線引きはどこに?」

「お前の意見っていうか、もうそれ完全なタワゴトだろ………。
どこの世界に。
どこの世界にエロかったら使えなくなる携帯があるんだよ」

「ここですよ。
この世界。ワールド。
流石に魔界の瘴気と私のエロさは時空を歪めるレベルですからね」

「ちくしょう、新しい機種なのになあ」

「青は藍よりいでて藍よりエロし………」

「どこの言葉だ」

「魔界の言葉です」

「小学生のような………
うん、小学生のようなレベルだなオイ」

「いえ、中学の頃の私が考えました」

「そうかい」

「あの頃はまだ青かった………」

ktkr

適当に服屋をぶらぶら回ってみる。

「うわあ、この国のセンスは尖ってますねえ」

「お前ほどじゃないと思うけどなあ」

「男くんもどうです? 私が男くんに似合うブラを探してあげましょうか」

「探しても探しても見つかんねーぜ、きっと」

「ものは試しです。 ものは試しだし、百聞は一見に如かずですよ男さん。
 どうしてやる前から物事を判断するんですか」

「俺が女性用下着を身につけてどうすんだよ、それはもう手遅れなんだよ
 なんだよそれ、百聞は一見に如かずかもしれんが、俺が一回でもブラ付けてるところ目撃されたら
 もうゲームオーバーじゃねーか。
 一見されただけで職務質問されること必死だよ」

「しょく………?」

「ああ、この国の警察にいろいろ調べられるんだ」

「怖いですか」

「怖いし、警察は怖いし、ブラをつけている理由を問われた時の言い訳を考えるのも怖いわ」

「っていうかお前が怖いわ」

「まあエロさレベルがインフレしていますからね」

「トリコってめっちゃインフレしてるらしいぞ、今」

「ああ、知ってます」

「知ってるのかよ」

「魔界の友達が集めてて」

「少年ジャンプとか有名どころは魔界でも売ってますよ」

「どっから仕入れてくるんだそれ」

「あの手この手を使って………まあ、企業秘密です」

「魔界でも欲しがるやついんの」

「いやあ、どこも究極的には似てくるんですよ。
 魔界との行き来が、航路が整備されてきた今、ますます同じと言いますか、
 みんな同じことやってるんだなー、みたいな感じにはなってます」

「グローバル化すっげーなあ」

「―――っていうか、服の話しませんか。 服屋さんですよ」

「俺普段は服屋に来ないんだよ」

察しろ。

「私もどうしたものかと―――今、見てるんですけれど」

初めて入った服屋(店名は横文字ばっかだからよくわからん)に入った淫魔だが
そこまで楽しそうではない。

「―――これなんか、魔界で売ってるやつと同じです」

「魔界で売ってるのと―――同じ?」

「はい」

「いや、そんなことあんのか、ないだろ」

「いえいえ、魔界とこの世界との行き来が激しくなればいつかはこうなる、って
 私が小魔生の頃から先生が言ってました」

「俺には想像もつかんわ」

「もちろん人間界のもの、そのオリジナルで魔界で売ればまあ高いんですが
 魔界でコピーしたような似たものが大量生産されてるんです」

転売厨みたいだな。
いや、何事も、はじめは模倣からか。

「それ儲かるの?」

「いやあ、最近はわからないですね」

「なんの話をしているんだか。 俺たちはどこに向かっているんだ」

「これSSでしたよね」

「うん」

「ごめんなさい、エロい話だけやります。ちゃんとエロります」

「いや、真面目な話も入れていいからね、ここ服屋。 店員さんもいる」

メンズブラってあるんだよな

ああ、玉ブラってやつか

「男性用のブラもあるそうですよ男さん」

「え、お前どっから仕入れたの、その情報」

「ええと、まあどこからかと言いますか―――異空間からです」

「魔界から?」

「まあ、うん、そんなところです」

でも玉はブラブラしてるべきだと思うんだよね俺は

開放感って大事だからね
ブラしてたら玉も窮屈だろう

と、そんなくだらない話をしていると。

女「―――あ」

男「あっ………」

淫魔「?」

クラスメイトの女さんと鉢合わせした。

女「こ、こんにちは」

男「こんにちわ―――ホラお前も」

淫魔「はじめまして」

淫魔「って、男さん、かしこまり過ぎではありませんか?
   年上、先輩さんでしょうか」

女「同じクラス、だよね男くん」

他人行儀だったような、そういう振る舞いをしたつもりはないが、女さんの目の細め方は
あまり心地よいものではなかった。

男「え、あ、ああ―――そうだな」

女「男くんもお買い物?
  ここ、女物のなんだけれど」

男「そ、そうだな、はは………えと、ごめんなさい」

淫魔「男くんは」

淫魔「男くんには、私の服を選ぶ手伝いをお願いしたんです」

男(………)

女「………」

え、何この空気

女「―――そう、ならいいけど」

金髪男「女………早く来ないか」

女「あっ………」

男「え」

淫魔「………」

また違う人物が現れた―――が、知らない男子だった。
そいつは俺と淫魔を見て、少し戸惑う。

金髪男「………知り合いか、女」

女「えっと―――う、うん」

少し変わった喋り方だった。
金髪だが、最近のチャラチャラした男っていうのは、こういうものなのか?

金髪男「挨拶するのは構わないが―――ああ、『構わないけれど』、吾輩は
   無断で待たされたのは初めてだ」

男(吾輩? ワガハイっつったか、こいつ今。)

女「ご、ごめんねっ………あ、あの、そういうことで」

女さんはひどく慌てた様子で小走りし、金髪男の方に駆け寄る。

女さん「ま、またね男くん」

男「え、あ、ああ―――また会いましょう、はい」

女さんと金髪男は店の外に出ていく。
なんだったんだ。


二人が行った後―――ほとんどくっつくような距離で何事かを言い争いながら
店を出て言った後―――俺と淫魔は黙って立ち尽くしていた。

淫魔「付き合ってるんですかね、あの二人」

と、そんなことを言い出しやがった。

淫魔「男さん、あの女さんのこと、知り合いなんです?」

男「………」

淫魔「ああ、クラスメイト、でしたっけ」

男「そうだよ」

淫魔「ふうん」

淫魔「さあて、なんと言えばいいでしょう………ううん。
 いや、これほどわかりやすい状況も珍しいです。
 どこにでも似たようなカップルっているんですね―――そういうことです」

そんなことを言いながら擦り寄ってくる淫魔。
うるせーな。

男「女さん、付き合ってるやついたんだ」

淫魔「残念ですか?」

男「………まあ」

淫魔「おや」

男「お前にだから言うけどよ………人間じゃない、お前にだからヒョイっと言えるけど」

淫魔「まあ綺麗な方でしたね―――まあ私よりエロそうか、という点に関しては、微妙ですけれど」

男「そこはお前がダントツだよ、エロさに関しては」

淫魔「わーい、やったあ」

男「静かにしてくれ………」

淫魔「あら、そんなこと言われましても、私、この国では男さん意外と話せないからさみしいですよ」

男「………」

男「なんでも好きな服買ってやるよ」

淫魔「―――ええと、なんの憂さ晴らしか知りませんけれど、ちょっと気持ち悪いですよ」

男「どうせ俺は、普段服屋になんて来ないキモ男だよ………」

淫魔「下を向いたまま歩かないでください、危ないですよ」

男「ここの服が嫌なら違う階に行こうぜ」

淫魔「放浪癖があるんですか、男さんって」

男「放浪癖―――そうだな、ちょっとわかるかもしれない。
 誰もいないところにいきたい。
 誰も知らない町に行って、ひたすら歩き回りたい―――」

淫魔「やめてくださいよ、男さん。
  男さんがそんなことになったら、誰が私のボケに突っ込んでくれるんですか」

男「誰にでも突っ込まれればいいじゃねえかよ………いいよもう」

淫魔「なんていうか―――暗いっていうか女々しいですね
   魔界よりも暗黒に近いですよ、男さんって」

男「え? ああ―――そうなの?」

エレベーターに乗って違う階に移動しながら、呟く。

男「―――外人、かなあ」

淫魔「え?」

男「さっきの金髪男………」

金髪の男、というと、髪を染めた不良みたいなイメージがあるが。
思い出してみると、どうもそんな雰囲気ではなかったように思われる。
喋り方、日本語はややおかしかったが、外見上は―――外見は。
圧倒されるような気品が感じられた。
金髪も、似合っていた。

男「染めたって感じでもないんだよなあ―――目を引くぜ、ありゃあ」

淫魔「………私はどうです? 他の子より可愛いと思いますか?」

男「………」

男「お前はいいよなあ」

淫魔「―――はい?」

男「………」

淫魔「え、ごめんなさい、よくわかんないです。、 笑うところだったら言ってください」

男「………」

淫魔「っていうかもっと笑える話ばかりしましょうよ」

男「………」

淫魔「こんな雰囲気、男さんがそんなので………どこに需要があるんですか」

男「淫魔―――俺はまだ若造だから、初心者だから、クズ男だから自覚してなかったけどな」

淫魔「男さんがネガティブになると私も困るんですけど………」

男「笑える話ばっかじゃないんだよ、当然の如く」

淫魔「それはまあ、そうでしょう。
 でも笑っていられる時を作っていきましょうよ」

男「いや、それは違うんだ。まやかしだ」

淫魔「元気を出してくれるには………男さんが元気になるにはどうすればいいですか?
  私が脱げばいいですか」

男「それはやめてくれ………警察とかが来る」

淫魔「いえ、私はやりますよ。
   だって私ってアレじゃないですか。
   私ってホラ………エロいですからっ」

男「今警察のお世話になったら流石に立ち直れねえよ」

淫魔「立ち直れないなら私が勃たせますよ」

男「字が違ぇえ………」

淫魔「男くん、男くんが失恋して未練たらしくメソメソしているのは百歩譲っていいとしますが」

男「何気に非道いよなお前………」

淫魔「男くんは安易にヘコみ過ぎな気もしますね」

男「そう、かな」

淫魔「そうですよ」

淫魔「可愛い女の子は他にもいますよ」

男「そう、かなあ」

淫魔「そうですよ」

男「………まあ、探せば、いるのかもしれんが」

淫魔「しかも意外と男さんの近くにいるんですよ」

男「いるかあ?」

淫魔「可愛い子です、しかもエロいんです」

男「いるわけないよ………」

淫魔「腹を、殴りますよ」

男「………ごめん」

淫魔「それとですね」

男「あと、なんかあるのか」

淫魔「ええ、まあ―――あの金髪の、どことなく高貴な男性についてですが」

男「あいつが………何か?」

淫魔「あの人―――人間じゃないですよ」

男「………………は、はあ?」

淫魔「ふふ、『あの人』という呼び方も、こうなると間違いかもしれないですけれど」

………え、何それ。

まだかっ

金髪男「つまり総理大臣がこの国のトップと考えて間違いないのだな」

そんなことを言いながら、この鮮やかな金髪の男は、繁華街を歩く。
私と、二人並んで。

女「まあ、トップなのはそう、間違いないと思うけど―――」

そんな私は、さっきから人目が気になって仕方がない。

金髪男「ではそのアベッシュ・ショウという男と会談をすれば、我輩の王家も人間界と交流を持てると」

女「………アベ・シュショウ」

金髪男「む………『アヴェ・シュ・ショウ』」

女「発音いいなあ―――いや、間違ってるんだけどね」


ええと、ここからは私視点でしばらくお送りいたします―――。
すごく頭が痛いけれど。

金髪男「女よ―――どうして頭に手を当てている、頭痛か?」

女「………うん」

主にこの金髪のせいで。
ええと、説明を、解説をすると………私もまだ、あまり状況がわかっていないんだけれど。

この人、魔界から来たらしいです。

少し回想です。

あれは数日前、一人暮らしをしていた私の家、というか私のアパート。
そこに突然この男が現れた時のことです。
確か私は、洗濯物を取り込むとか―――そういったことをしていたと思います。

女「きゃあああっ! だ、誰あなた! どこから入って来て―――け、けけ、警察、」

金髪男「む、界空移動に成功―――やはり我が王家の術者に間違いなし―――やはり
   魔道士は一流揃いということか―――いや、当然のことだが」

女「け、けけけ―――携帯―――警察にデンワ、しないと、けいさ、」

金髪男「む、現地人か」

女「だ、誰なのあんた―――し、下着ドロ!? 泥棒?」

金髪男「現地の住人よ―――私は怪しいものではない。 
    訳あって身分をすべては明かせないものの、由緒正しき王族の家系である」

女「は、はあっ………!? 何言ってるの、あんた、来ないで!」

金髪男「そう恐れずとも良い―――むむ、その手に持っている薄い布は何じゃ。
   これ、やめないか。
   そんなに振り回して………ははあ、我が輩へ献上しようというのか?」

その金髪男―――魔界のいいところの王子様だと、私は後になって知ったのですが。

金髪男は私の取り込んでいた途中の洗濯物を、手で掴んできたのです。

私は、金髪男のボディに蹴りを叩き込みました。


金髪男「おごほぉっ!? ………おえっおっ!? おおおえ!!!?!??!!」

女「な―――ななな何してるのよあんた! 本当に何してんの! 馬鹿じゃないの! この、このぉ!」

うめき声を上げて前屈姿勢の金髪男の頭部を何回か踏みつけました。

金髪男「おご………い、痛いぃ 痛あぃ!  や、やめんか、こら!」

女「変態にしても直接的すぎるでしょ、やることが、あんた! この、このぉ!」

金髪男「や、やめ………いたぁい! 爺や!
    爺や、話が違うよ!
    話が違う―――平和な国だって言ってたじゃん!
    だから我が輩行くって決めたのに!
    おごっ、ごっはあ」

女「えいっ えいっ」

―――私も、後になってあれはちょっとやりすぎたかな、と今では思っています。
いえ、でも私は必死でした。


一通り気が済むまで蹴り終わった後、私はその魔界の王子さん―――?
の、両手を縛って正座させてから、話を聞いたのです。

聞き出した、みたいな、そんな拷問的なものではありません。
ちゃんとしたお話です。

本当です。

女「ま、魔界から来た………?  魔界って、あの魔界? 魔物とか、怪物とかの―――」

金髪男「左様………」

カシコ
畏まった口調の彼ではありますが、涙目でした。
たんこぶとか、結構出来てて昔のアニメとかでよくある、たんこぶが二段、三段と
積み重なっているアレ―――雪ダルマっていうか。

サーティーワンのアイスクリームみたいな様になっていました。


女「嘘よ!」

金髪男「いや、我輩はつまらぬ嘘をつくような男ではない―――というか
    もう嘘をつく気力などない………信じてくれないだろうか」

落ち着いて考えてみると、その金髪男は、単なる下着泥棒の変態には見えない風貌だった。

というのも、染めたふうではない、日本人離れした金色の髪………。
眩しいけれど、まるで動物の毛皮のような自然さが感じられた。
髪がめちゃくちゃに乱れていたけれど。

金髪男「髪が乱れているのは其の方が蹴りまくったからであろう」

女「う―――な、何か証拠とかないの?」

金髪男「証拠―――証拠、か」

金髪男は随分長い間、悩みました。
悩みぬいて、唸っていました。

金髪男「………」

女「ねえ、いい加減何か、魔界の何かを見せてよ」

私はそんな風に言ったものの、半分惰性、繰り返し作業のように言ってみたものの、
その頃には頭も冷えて、男の服装、装飾品の類を見て―――、
何よりも彼自身が持つ雰囲気から、普通の人間とは違うものを
たくさん感じていたのでした。

その男の身につけた装飾品―――は。
母が身につけている婚約指輪とは随分、趣が異なります。

百貨店の貴金属売り場に、ショウケースの中でしか並んでいないようなもの、とも
似通ってはいませんでした。

彼の五本の指に、それぞれ輝いていて。
静かに輝く金色。
静かに―――しかし、その指輪は動いているようでした。

表面に刻印された文字が、

女「―――書き変わってる………!」

知らない文字で構成されていて、見ているだけで不安になるような
力が発せられているかのよう―――眩しい。
眩しかったというか、じっと見つめていると目がおかしくなってしまいそうな感覚がありました。

もしも魔界の人間ではないにしろ只者ではない―――それだけは確実。
だから、彼が―――金髪男が言うまでもなく。
私は彼のことを、多く知ったような、知ってしまったような気になったのです。

金髪男「―――今、証拠を見せる。
   証拠を―――作った。
   後ろを、振り向いてくれ」

………後ろを?

もう一度言っておきますが、確認しますが、金髪男の両手は私が縛っておきました。
だから身動きはできなかったはずです。

しかし。   ダンス
私の部屋の衣装箪笥が宙に浮いていました。

女「………!」

金髪男「………魔力は、できるだけこの世界では使うなと、最低限にしろと
    そう、爺やに言われていた―――我が輩も、可能なら話し合いのみで
    事を、進めたかった―――。 が、」

手も何も使っていない。
この金髪男―――まさか、まさか。

女「奇術師の人!?」

私は疑り深い性格でした。

女「あなた、さてはマギー司郎!」

もしくは………。

女「もしくは、なんだっけ、あの、中国………?の、ホラ、あの煌びやかな衣装の―――
  て、天功! 
  プリンセス天功!
  魔術師にしてアーティスト!
  それの弟子か何かね! 
  完全に理解したわ!」

金髪男「いや、あ、あの………」

女「何よ、それとも他のマジシャン?
  ごめん、私あんまり詳しくなくて」

金髪男「くっう………も、もう限界………だ」

女「え?」

金髪男「魔力を………台にして、そこに乗せているが、しかし重い………」

女「重いに決まってるよ、衣装箪笥だし―――え、本当に一人で持ち上げてるの?」

金髪男「これ以上無駄遣いは―――できない!」

魔界の王子様は、衣装箪笥をゆっくり降ろしていきました。

女「えっ―――あっ!?」

これは完全に私の失敗ですが、見慣れない光景を意識して、
夢中になりすぎてしまった不注意ですが。

足元に置いてあった、その魔界王子の荷物。
いつの間に置いてあったのか知りませんが―――それに足を取られ、転倒してしまいます。

女「きゃっ!」

金髪男「わああっ!?」

女「い、痛たたた………!」

金髪男「無事か? 今のは危なかったぞ―――我が輩は今、身動きが取れん」

女「ご、ごめん―――なさい」

どすん、と―――衣装箪笥が、やや乱暴に着地した。

金髪男「………無事でよかった」

女「え、えと………」

あれ、なんだろこれ。
こいつ、不審者のくせに。
怪しい奴のくせに。


不審者で怪しい変人のくせに、でもなんだか………。

その時。
どさどさ、と―――何か重いものが落ちる音がした。

女「あ、箪笥の引き出し」

浮かせた箪笥、その引き出しがいくつか、着地の衝撃で落ちてしまっていた。

金髪男「む―――申し訳ない、言い訳はせん」

女「あっ、ちょっと」

言うが早いか、王子は引き出しを片付け始める。


私は、この時にはもう、この金髪男を、
勝手に部屋に侵入していた悪人だと―――そういうものだと思うのをやめていた。

未だに、正体はよくわからないけれど。
なんで私の部屋に来たのかはわからないけれど。
いろいろ事情があるのかもしれないけれど。
できることなら、こいつの力になってあげたいな、なんて
そんな感情が湧き始めていたのだった。

―――だから。

金髪男「むむ―――この家具、この世界の家具、なかなかに構造が厄介。
    ただこの箱を押し込むだけでは駄目なのか―――奇々怪々なり」

女「ああ、それはね、ちょっと引き出しの取っ手を上の方にして―――」
 

女「こうやって、ほら」

金髪男「ああ、それだけで良いのか………この世界とは意外と単純なのだな」

女「そう、かもね………」

金髪男「おおっと、ところでお主」

女「名前でいいよ―――女、で」

金髪男「左様か。 では女よ―――この布は何処にしまえばいい」

女「………」

私の下着だった。

金髪男「これは―――こちらのこれ、
   察するにこれは、この世界にのみ存在する貴重品と推測できる―――
   何しろこのように、形が崩れない」

女「………」

金髪男「二つに分かれている―――ほほう、内部に針金、ワイヤーが仕込まれておる
   形状を記憶するというわけだな」

女「………」


金髪男「何か二つのものを覆いかぶさるように―――、覆いかぶせるために
   設計されたもののようだが、しかし妙だな。
   私は魔界で、これに似たものを手にしたことがない―――実に興味深い。
   女よ、これはなんというものなのだろう?」


できることなら、こいつの力になってあげたいな、なんて
そんな感情が湧き始めていたのだった。

―――だから、平手打ち一発で勘弁してあげた。

その頃。
同じ町の、別の場所にて。

淫魔「―――ふう」

男「どうしたんだ淫魔、ため息なんてついて」

淫魔「いえ、なんというか、なんといいますか―――男の人って大変だなあって」

男「はあ? え、俺のことかそれって、そりゃ俺にもいろいろあるが」

淫魔「いえ、まあ―――そうじゃないんですが、なんというか………」

男「なんだよ、煮え切らない返しだな」

淫魔「まあ、うまくいかないだろうけれど頑張れ、生きろ―――と。
   そんなことを言いたくなっただけなんですよ」

男「………?」



今日はここまで。

おつー
向こうはラブコメしてるようで……

淫魔「前向きなのはいいですね」

男「うん? うん―――まあ、な」

淫魔「人間界来てよかったー、正直、来るときは心配で心配で。
 男さんって旅行とか好きですか?
 ほら、例えば海外とかに行こうっていう気概はお持ちですか」

男「海外、はちょっとな………っていうか、さっきの話本当かよ」

淫魔「はい? さっきとは」

男「金髪が人間じゃないって話、間じか

淫魔「まじっす」



男「イヤ、ないだろう、確かにあの金髪男―――普通じゃない
 どこか絵画の中から出てきたような妙な存在感を持ってたが………。
 でも外人、英語圏の方だろうよ。
 そういう線はないのか考えないのか?」

淫魔「いや、もう見れば―――見ただけで私はわかりましたけど。
 その魔力がね、結構ばしばし、当てられましたよ。
 なんと言いますか―――恐ろしく、しかし眩しいオーラです。
 私もちょっと見とれちゃいました」

男「え? もしかして危険な奴なの?」

淫魔「まさか。
 もしやと思いますが、チンピラのようなものだと考えてるんですか。
 そんなことは絶対にしないでしょう。
  高貴なお方だって言ったじゃないですか」

男「言ったっけ」

男「それにしても、魔界の男がなんで―――まさか淫魔。
  お前を、監視しに来た?
  そのためにこの辺りまで来て―――」

淫魔「あはははは! 爆笑したいですね。 せざるを得ませんね
  ぷぷ、ぷぷぷぷぷ。 男さんバッカでー」
 
男「っ………晩飯抜きにするぞ」

淫魔「私はそこまでパパラッチされまくる身分ではありませんよ。
 王族の方々のことは私、知ってますけれど向こうは私など気にも止めないでしょう。
 魔界から人間界に来る魔族は私だけじゃない。
 ただそれだけのことです」

男「はあ」


淫魔「あの女性、女さんの方は王子の付き人というわけでもなさそうですね。
   普通の人間でしょう」

男「当たり前だ。そこは俺が保証するよ。同じクラスだし」

淫魔「綺麗な人ですねー、私の次に」

男「………」

淫魔「しかしエロさで言うと私が圧勝かな」

男「そこについては好き勝手言ってくれても構わんが」




淫魔「いや、しかしですね、ああいう普通の女子に限って意外とものすごく
  淫乱だったりというパターンはアリですね。
  萌えますね。 そう思っているんでしょう、男さん」

男「いや、別に」

淫魔「とか、そんなことはさて置き、男さん。
  他のお店も見て回りましょうよ」

男「うん? ………うん、そうだな」

淫魔「男さんの方が人間界に詳しいんですから、エスコートエスコートっ」

男「………」

まだかなー


人間界の、観光。
そのエスコート―――とは言っても。

男「俺もよく知らないんだよ」

淫魔「またまたご冗談を―――私よりは知っているでしょう」

男「そりゃそうだけどさ。進学するまでロクに来たこともないような場所だったからなー」

いや、来ることももちろんあったか。
数少ない友人に連れてこられたんだった。

リア充寄りの野郎に
「お前もっといい服とか買ったらどうなんだよゲームばっかしてんなよ」
とか言われて、半分引きずられるようなカタチで連れてこられた時くらいで。
悪気とかはないんだろうが、どんな顔すりゃいいんだかわからないわ、わたし。

そもそも服屋なんて男物だけの店、女物だけの店とかはっきり区分されてることも多いからな。
今まで地元のユニクロとかしか行かなかったから知らなかったけれど。

男「だから女物の服屋とか全然無理だぜ俺、仮にもうちょっとオシャレに気を遣ってたとしても
 女物に関してはからっきしだと思うぜ」

淫魔「そうですかーわかりました。 では今日は私がエスコートしましょう」

男「そうそう、もっとほかの場所、ゲーセンとか………って、ええ?」


そんなこんなで俺は今、下手したら一生入らなかったようなオシャレな店の奥に、
その一角に、一人で立っている。

女性店員はあからさまに視線を送ってきたりはしないものの
流石にそこまではしないものの
うーん、四面楚歌だ。

淫魔「もうちょっとで試着終わるんで待っててくださいね、男さん」

男「………」

淫魔「男さーん、いますー?」

男「いるよ」

淫魔は試着室の中だ。

淫魔「男さん、さっきからやけに静かですね。
   まあ口数が多い男性というのも軽薄そうに見えてあれなのかも
   良くないのかもしれませんが
   何か面白いギャグとか言ったりしてくれてもいいですよ」

男「………お前今、俺を見てねーじゃん。 
  面白いことやっても見えないじゃん」

淫魔「まあそうなんですが………あっこれはもしかして
   男さんは試着室の外から衣擦れの音を楽しむ感じのレジャーに夢中ですか?
   ははあ、なるほど新しい。
   斬新な楽しみ方をしているんですね」

男「いや、俺はそんなに心臓強くないし」

それくらい適応力があれば人生も変わるんだろうな


淫魔「楽しみ方は人それぞれですよ―――あっ、いま私、ブラを外しました」

男「報告せんでいい―――楽しみ方か、通報されない程度ならまあ
  偏屈な楽しみかたをしてもいいと思うけどな」

淫魔「男さんはアレですもんね………。
 ゲームですごくカジノに入り浸って………RPGでですよ?
 ゴールド稼ぐことに夢中になって、クリアをしない感じの人でしょう、なかなか」

男「そんなことは―――あった、かも
 よくわかったなお前」

ミニゲームとかすっげえやりこんだわ。

男「なんでだろうな、あれ、クリア後もやり込める」

淫魔「意味がないことの方が好きだったり?」

男「うーん、それはあるかもしれないな。
  いや、スコア伸ばすのが目的ではあるんだが」

淫魔「気が楽なのかもしれませんね」

緊張感は持ってるぞそれなりに。
今の状況もだが

男「………まだか?着替え」

淫魔「まーだだよ」

男「もーいーかい。 ―――って、やらせんな」

淫魔「あはは、何年ぶりにやりましたか、それ」

男「小学生ぶりかな………」

そういえばお前、服を何種類か試着室に持ち込んだが
下着はなかったんだよな。
………あったら絶対目に焼きついてしまうだろうから間違いない。
いろいろ怖い。
あれ、でもじゃあ、ブラ外したって………

淫魔「ブラ外したって言いましたけど、アレも意味はありませんよ。
   なんとなく外しました」

男「どうしてそういうことをするんだお前は」

淫魔「え、えっとぉ………男さんがびっくりするかなーって思って………」



試着室のカーテンが開く。

淫魔「男さん、付けましたよブラ」

男「登場のセリフとしてはひどい………な」

ゲームで登場時にそんなセリフを吐くボスがいたらすごく戦意を削がれるだろう。

しかし思いのほか気合の入った服装に見蕩れてしまった。
布の質がまず男物と違うよな。
元々が、出かけるときに羽織らせたものが半分俺のコートだったこともあり
差が激しい。
眩しいくらいだ。
冗談でも誇張でもなく、うおっ眩し―――といった感じだ。

俺だったらこんな人目を引くような格好はしない、できない。


淫魔「そもそも私も何も知りませんよ
  人間界のことなんて知りませんってば、だから。
   それに服装はそうやって選ぶものじゃありません」

男「………どうやって、選ぶの」

淫魔「そんなの―――
  『わっ、これカワイイー(*´`)これいいかもー』
   と、考えて選びます」

男「………えー」

なんか、がっかり

淫魔「その表情………女子力ないですねー男さん」

男「悪かったな」
  

淫魔「女子力というのは、果たしてなんなのか―――
   スカウターで計測できるんですかね」

男「そのワードについては色々と
  兼ねてから言いたいことは多かったが
  ………ちなみに俺は女子力どれくらい?」

淫魔「………女子力、たったの5か………ゴミめ」

男「言うと思った」



淫魔「『私の女子力は53万です』」

男「そのセリフも、予想済みだぜ………」

淫魔「で、どうなんですか男さん」

男「え?」

淫魔がまっすぐ見据えてきた。
あれ、真面目な表情だ。

男「え、なに?女子力が?」

淫魔「そうじゃなくて―――どうですか?」

と、立ち方をあらためて整える。

男「………ああ」

服が似合ってるかどうか、ね。

男「い、いいんじゃない?」

ど突かれた。
怒突かれた。

淫魔「なんですか、その―――『どうでもいいんじゃない?』という態度は」

男「いや、本当にいいと思うよ、可愛い気がする、うん―――眩しいくらいで」

淫魔「………ふむ」

思いのほか真面目な顔をし、淫魔は試着室に引っ込み
カーテンをざっと閉めた。


それからファッションショーというほどではないにせよ
よくもまあそんなに夢中になれるなといった勢いで淫魔は着替えた。
で、見せつけてきた。
感想を求めてきた。

感想文とか苦手なんだよ俺。
いや、苦手ってほどじゃないけどどこまで書き込めばいいのかわからん。
なんかああいうの、変なところに力入れてしまうよね。
………わからないか。


女子って真面目だなあと思いながら感心していると
途中、一回だけ上半身ブラのみ着用で登場した。

淫魔いわく、
「あ、ヤバいミスったゴメン」
とのことだったが確信犯だろこれ。

俺が直視を嫌がったあたりからファッションショーはお開きになり
一着、気に入ったらしいものを上下買って店を出た。

淫魔「やっぱり旅先では土産物ですよねー。
   魔界から来た甲斐がありましたー」

男「………」


淫魔「私も選んであげましょうか、男さんの」

男「いや、俺はいいよ………」

淫魔「いえいえ、私だけそんな、お世話になるわけには。
   お金も半分出してもらいましたし」

男「そこはお前………なんとなくだよ。
  っていうかもうブラはやめろよ」

淫魔「ブラをやめろ?
 それはつまり、男さんの前では、俺の前ではノーブラでいろと………うわぁ、
 いえ、でもそこまで思い切って言われると男らしい、
 いっそ清々しいくらいですが、だから惚れるっていうか照れますね」

男「違います」

さっきみたいに半裸で出てくるなって言いたいんだよ。
服の金出してやったのもそれが大きい。
しばらく同じ部屋で暮らさないといかんのだ。


男「俺の前ではちゃんと服を着ること。オーケー?」
 
淫魔「………男さぁん、私、淫魔なんですけど、サキュバスなんですけど」

男「それでも」

通りすがりの女さんを思い出す。
同じ学校の連中が―――まあそうそう会わないだろうが、それでも出くわすことはあるんだ。

保身のためでもあるが。
っていうかモロに保身か。

あんまり評判を悪くしたくないよー。

淫魔「なるほど………男さんは下手に脱いでいる女性よりも服を着ている女性に興奮すると
  肌色よりも服の色だと。
  布の色であると。
  エロ漫画よりもジャンプで連載されていたIsやいちご100%の方がエロいと
  そうおっしゃるんですね」

男「………それでいいよ、もう」

淫魔が例に出したその意見については、妙に納得しそうになった。
なるほどと思わされないでもない。
―――いや、待てよ?

男「淫魔」

淫魔「………はい」



淫魔が何気なく口にした『いちご100%はエロ本よりエロい説』
を利用し、どうにか淫魔に服を着せようと考えて画策してた俺だったが。

ちゃんとしておかなければ、と。
こいつを、淫魔を人間界のルールをちゃんと守らせ
郷に入っては郷に従うことをさせようと

言おうとした。
自分でも気づかないうちに、なかなかに真面目な表情をしてしまったようだ。

その表情を見て淫魔は足を止める。

淫魔「えっ男さん………」

おっかなびっくりといった様子で。

淫魔「そんな顔をして―――告白?
   私に、そんな、いえまさか―――指輪とか
  渡されても私―――あの、嬉しいけれど、でもまだ、

男「そんなわけないから大丈夫だよ!」

何を考えてるんだ貴様は。

男「お前と俺、出会ってから何日たった?
  まだ数日でしょう?」

淫魔「男さん、恋は時間じゃないんですよ」

男「それでも突飛すぎ」

淫魔「でも初投稿が去年の10月になってますよ、これは―――」

男「言うな、言うな」

男「次の店行こう」

淫魔「どこに?
いえ、どこでも新しいですけど、私にとっては」

男「どっか行こうぜ、とりあえず
 昼間のうちに回れるだけ回って」

電車に比べてバスは結構時間食うんだ
のろのろしていて夜になると
淫魔のことだから「そういうお店行きましょうよ」みたいな雰囲気に持っていこうとするに
決まっている

明るいうちに何とかしましょう
そうしましょう

淫魔「ゲーセン行きましょうよ」

男「ゲーセン?」

淫魔「いや、私は知りませんけど………さっき男さんが言ってて
 あれ?聞き間違いでした?」

男「いや、言ったわそういえば」

でもなーあそこ
一人で暇つぶす分には重宝すんだけど
っていうか俺みたいなのは町に出ると
服とか靴とか買わないで
ゲーセンか本屋かアニメイトに流れ着くんだよなー

淫魔「アニメイトでもいいですけど」

男「いいんだ………まあいまさら驚かねえけど」

久々の投稿乙



コタツの季節が終わるまでに
終わるのかこれ


淫魔可愛いよ

淫魔「おおぅ………」

流石にそろそろ子供みたいにはしゃぎはしなくなったものの
淫魔は初めて訪れる人間界のゲームセンターを物珍しそうな目で観察する。

淫魔「すごい! ストツー………男さん、あれスト2でしょあれ!」

男「あれはストフォーだな。 ストリートファイターの4だな」

淫魔「えっ………ストツーはないんですか?」

男「まあ、もうないと思うけどな」

日本中探せば、稼働している店舗もあるのかもしれないが。
名作だし。

淫魔「そっかあ、道理で画質が変なわけだ」

男「画質が向上したと言ってくれよ」

淫魔「最近のゲームって、キャラクターが全員美形ですよねー」

男「それは俺も気になるが………ゲームにそういうのはあまり必要ない気がする」

淫魔「うーん」

男「でもストフォーはいいぞ。 ほらこれ、筆のタッチで書いた感じで力強さが出ててよー。
  鉄拳もそういうところはあるけど」

淫魔「シリーズものって4からキャラのスタイルが劇的に変わりません?
  ロックマンXシリーズとか」

男「確かに同じカプコンだけどな………」
 
こいつ人間界に来る前にどんだけ知識仕入れてきてんだよ。

淫魔「男さんは詳しくないんですか」

男「俺は周りからはよく言われるけど、
  でも言われるほどゲーマーじゃないんだよ」

特定の何かにハマったらどっぷり浸かるタイプだけどな


とりあえずストフォーをやってみた。

バトルが始まると
対戦が始まると、すぐさま余裕がなくなった。
女子相手に戦うのなんて、最初はどうしたものかわからなかったが。

飛び跳ねながら強キックを繰り出しまくってくる。

淫魔「おらあっ! どうですかこれ! このぉ!」

男「くっ………!」

思いのほか強い。
女子じゃなくて魔界の者だってことを忘れてた。
それは関係ないかもしれないが。
俺はといえば、コマンドの入力が変なのか、いつまでたってもソニックブームが出ない。
昔はもっとうまかった………気がするのに


淫魔「ええいっ!………『ウメハラがあっ!』 『………近づいてえ!』」

男「それストリートファイターじゃなくてギルティギアだぜたぶん!」

淫魔「そうなの?」

男「いや、俺も全然、詳しくないけど!
  ストリートファイターVSエックスメンならもう少し知ってる!」

淫魔「まあいいや! 私が新しい電波実況を作り出します!」

男「歴史を作る気か、くっそー」

淫魔「勝ちパターン。 しゃがんで強キック」

男「地味に嫌だ!」

レベルが低い戦いが勃発中だ。
リーチが長い蹴りに対して
飛び道具が上手く出せない俺は不利。


男「………とか、上ががら空きだぜっ」

淫魔「ぐわあっしまったあ」

とか、そんなやりとりをしつつ。

淫魔「思いのほかエキサイトしましたね」

男「マジになった」

冷や汗とかかいた。

淫魔「まるでリアルが充実しているようです」

男「あれがリア充なのだとしたら、馬鹿だな色々」

淫魔「いえいえー、面白いじゃないですか
  サキュバス族とバトル展開になるなんて、私ですらちょっと予想してなかったです」

男「あれがバトル展開と言えるのかどうか」



淫魔「バトル展開はいいですよー。
  アニメなんて、女の子が刀持って戦うのは当たり前じゃないですか」

男「まあ、絵的にはな」

淫魔「………私も持ってこればよかったな」

ぼそっと変なこと言わないでくれ。
刀を?
持ってくるのか。
誰を切る気なんだよ


淫魔「あれ………そういえば、アニメイトでしたっけ」

男「ああ、そういえばそうだった」

淫魔「どっちです?」

男「もう行くか」

淫魔「いえ、急かしているつもりはないんですが」

男「俺はもういいけどな」

あと得意なのといえばレースゲーぐらいである。
しかし最近のゲーセン、音ゲー増えたなー。
別世界になってきた。


男「ゲーセンはなー、これといって、ものすごく好きなわけじゃないんだよ」

淫魔「え、そうなんですか」

男「何となくふらっと入りたくなる」

淫魔「ううん、それって好きだということでは?」

まあ、変な話だが。
そもそも今の時代、家庭用ゲーム機が発達して、オンライン対戦も当たり前だ。
わざわざゲームセンターに足を運ぶ必要もない。
………とか、真面目に考えるとそうなる。

男「ただ………なあ、後ろから見てるのがなんか好きなんだよ」

淫魔「………あー、人がゲームしてるのを?」

待ってたぜ



男「いや、すごく説明しづらいな、おい。
  これ需要あんのか。
  俺の話面白い?」

淫魔「いいですよもう、そんなに気にしなくて」

男「嘘だ。どうせみんなエロい話以外待ってないぜ。
  淫魔スレだとしか思ってないぜ
  俺の独り語りなんて誰も見ないようなブログに書いてろとか、思ってるに決まってるぜ」

淫魔「思ったよりも卑屈な性格ですね男さん………
  直したほうが、いいかと。
  ここで私が『うわっキモッ、この人暗い!』って言ってあげたほうが 
  もしかしたら男さんのためになるのかも」

一種の魔物を見るような目で、淫魔は俺を見る。

男「いや、今から言うことに深い意味はないぞ。
 ただ教室とかにいるより」

こう、薄暗くて騒々しい部屋で好きなことをやってる人たちを
傍から眺めていると、なんだか好きなことやってんなあ
難しいこと考えてなくていいなあ―――。
俺を意識せずに
ましてや気遣いなんてかけらもなくさらけ出しているところなんてたまらないなあ
―――とか。
ほら。

男「それだけだよ」

淫魔「なんかエロいですね」

男「そう?」

淫魔「ええ」


淫魔「エロい………」

淫魔は少し考え込む。
一瞬、室内の様々な筐体の音に飲み込まれ。
存在が薄れる。

淫魔「うん、やっぱりエロいです」

男「そうかあ?」

淫魔「出てきましたよ、ついに―――『私より男さんの方が変態説』」

男「出ないで、そんなの」

俺も待ってたぜ

淫魔「いやあ、これは一本取られましたね。
  まあ主人公よりも魅力的な敵キャラというのは
  面白い話には不可欠なところがありますが。
  まずいですね、自信を失う―――ですよ、これ、淫魔がエロさで負けるとは」

男「その言い方だと何か、お前主人公で俺は敵か?」

俺、倒されるの?
え、もしかして刀で?

淫魔「うっわあ負けた。
  自分の浅はかなエロさを―――知った。
  井の中の蛙ですね。
  大海を知らず―――魔界育ちの私は人間界のことなど、まるで知らなかったと」

男「いや、俺エロくないよ?
  お前が勝手に負けた気になってるだけ、だよ?」


淫魔「いえいえ、ちょっと気圧された気がします。
  エロさメーターが思いのほか高数値を叩き出し―――女子力じゃあないですけど。
  ちょっとびっくり。
  スカウターの数値を見てビビりました。
  故障かな?」

男「お前今スカウターなんかつけてないじゃん」

淫魔「人間は中々に―――」

男「次行こうぜ、次」

やっぱアパートに引きこもってたほうがよかったかな
ゲーセンなんて連れてこないで。


淫魔「寒いですね、外」

男「―――ああ」

淫魔「現世では記録的大雪だそうですよ、観測史上初の記録を―――」

男「ん、何言ってんの、今10月じゃん」

淫魔「………」

男「え?」

淫魔「なんでもないですよ」

男「どこ行くー?」

淫魔「え?メイトでしょ」

男「もう略してやがる………」

淫魔「さっき言ったじゃないですか」

男「ううん」

淫魔「人間界を見たいですね、もっと」

男「ううん、でもなあ」

淫魔「女子と二人ではいる場所でもないとか」

男「………」

淫魔「そういうのとか、いえいえ、どこかで恥を晒していくしかないでしょう、生きていくには」

男「そうかなあ」

淫魔「私も許可下ろすために、人間界に行くために割と試験、本気で頑張りましたよ」

男「………試験あるんだ」

淫魔「いやあ、かっこ悪かったですよ傍から見れば。
  もちろん誰でもひょいひょいって来れるわけじゃないんですよ
  来たら来たで制限はあるし―――でもまあ、あそこにいるよりはマシですね
  何本気になっちゃってんのとか、人間界なんてよっぽどの変魔か物好きかしか
  行きたがらねーよって
  流石に石までは投げられませんでしたが………
  試験はまだマシでしたよ
  ですから男さん、居させてください」

男「………えっと」

淫魔「なんでもしますから」

男「………」

淫魔「って言うのが、最近のアニメではよくありますよね」

あるけどさあ。
 

淫魔「いやあ、マズイですね、今の発言は―――私の。
  ちょっともう少し軽い女だったほうが良かったですよね
  痴女的には」

男「いや、別にそんなことは」

淫魔「メイト行きましょう、それでなんか物語シリーズの新刊買って
  なんか、ここでしか手に入らないもの散々見てから
  なんで売ってるんだかよくわからない謎グッズを揃えて自慢話を考えて
  魔界に帰ったらあらゆる魔物を見下してやるんです
  そうですね―――それがいい」

男「ウチに来い」

淫魔「!」


と、思わず口走っては見たものの。
淫魔が黙ったせいで―――いや、こいつは悪くないけれど
なんだかシリアス方面に入ってきたぞおい
おやおやどうしたんだ
需要ないぞ

男「ま、まあ………すぐに帰れないって言うんなら、ほら」

泊めるのもいいかな、とは女子相手には言い出しづらかった。

いや。
でもまて、こいつ女子じゃなくて魔の者じゃないか。
事実だこれは。

男「ウチでしばらく寝泊まりしてけよ」

どうせ親も滅多に来ないし。


淫魔「―――よ」

男「よ?」

淫魔「嫁に来いと?」

男「流石にそこまでは………」

言ってないです。




今日はここまで



しかしこの淫魔
いつになったら
淫魔らしくなるんだ

俺と淫魔は、一通り遊び呆けたあと帰宅。
さすがに疲れた。
足が棒のよう。
変な筋肉使った気がするぜ。

淫魔「やけに長かったですね」

男「ん? ―――ああ、いろいろあった気はするぞ」

淫魔「ええ、スレごと、ホームページ………サイトごと出かけていたような」

男「………うん」

淫魔「アクセスしにくい時がありましたが、ウチらの………魔族の攻撃か何かですかね」

男「メタい発言だなあ」

淫魔「いや、まあなんでもネタにしていきましょうよ」

男「うーん、笑い話になればいいのかもしれんが」

登場人物の立場としては死活問題だ。
俺、消えるのいやだよ

淫魔「っていうか、たくさん観光して楽しかったですし、寝ましょうか」

男「うん」

淫魔「シャワー浴びます。 覗かないでくださいよ」

男「うん………まあ」

淫魔「覗くなよ! 絶対覗かないでくださいよ!」

男「大丈夫だよそんなフラグ立てなくても」

こいつが人間じゃないという点を踏まえると、本当に幅広い知識量だな

風呂場から鼻歌が聞こえる。

ジャスラック的な圧力が怖くてアレなので、歌詞についての描写は避けたいが
生徒会役員共の二期オープニングだ。

………なんで今期のアニメの歌えるんだよ
空で歌えるんだよ
魔界で放送してるのか、今期アニメ

淫魔「ふんふふーん、ふーん   
ちなみに二期ではなく生徒会役員共✽ですー
………男さーん、何かリクエストありますー!?」

男「………えー!?」

風呂場に聞こえるように声を出す。
アパートなのだが、おとなりさんが心配だが、たまにはいいだろう。
と、思いたい。

淫魔「歌うやつー!」

男「声低くしてー」

声を荒げるのもなんなので、風呂場の前まで行く。

男「そういうの、ええと、寝るときに聞いてあげるから、今は静かに」

言ってから、
ああ、俺もだいぶ影響受けてるなあ、と思った
毒されたな。

淫魔「男さん………今のセリフは、なかなかキマっていたというか、いいですね」

男「忘れろ、そういうんじゃない―――ええと、ニャル子のオープニングで」

淫魔「えっと、 一期? 二期?」

男「一期かなー」


淫魔「ところで男さん」

男「うーん?」

淫魔「今一番問題になっているというか、アツい話題ですけど
  ―――男さんが覗きにこないかなということについてです」

男「またそれかい。 俺ががっつかなくてもお前が積極的に肌見せに来るんだろ」

もうわかってんだよ、とまでは言わないが。
確実にニャル子ポジションである。

淫魔「ちょっとまずい展開ですね、パターンが読まれててだんだんエロくなくなってきてます」

別にエロくないならエロくないでも、俺は構わんのだが

淫魔「そうはいきませんよ、エロくなかったら私淫魔じゃないじゃんってことになります」

男「いや、別に」

淫魔「それにアレですね、お風呂の話に戻りますけど」

男「湯加減とか大丈夫か?」

魔界の奴らって、お湯とかどうなんだろう



淫魔「私はあんまり感じないんですけど
 男さんは、自分の家の風呂場を覗くっていうのは
 そうなるとなんだかエロさが消えますよね
 温泉の女湯とかと違って」

男「うん?   あー………」

たしかにそう………なのか?
湯加減の話とか関係なかった。

でもそうだな
自分のアパートの中で覗きか
テンション上がりはしない、かな



淫魔「私はあんまり感じないんですけど
 男さんは、自分の家の風呂場を覗くっていうのは
 そうなるとなんだかエロさが消えますよね
 温泉の女湯とかと違って」

男「うん?   あー………」

たしかにそう………なのか?
湯加減の話とか関係なかった。

でもそうだな
自分のアパートの中で覗きか
テンション上がりはしない、かな

なんか哲学的だな

キャラがみんな魅力的で好み
あと含みのある夫婦漫才がいいね、期待



そんなこんなで淫魔が上がり、俺も軽く湯船で身体を解した。

淫魔「お風呂上がりましたかー」

男「おうおう、」

淫魔「寝ましょうよー」

男「布団敷いておいたぞ」

お客さん用の布団、稀に役立つ。
まあ片付けとか整理整頓のセオリー的には

こういう、たまにしか使わず、大きい荷物は一人暮らしには必要ないそうなのだ。
だから俺の部屋はお世辞にも綺麗とは言えない。
ううん、でも実際、今日は役立ったしなあ


こういうところが部屋の床を隠していく原因なのかもしれない。

淫魔「ご丁寧に、助かりました。 そこまでお気を回さずともよかったのにぃ。
   わあ、布団が二つあるー。
   しかも私の布団はあまり使っていないためか、シワもひとつもないんじゃないかっていう
   綺麗さ………って、おい!」

男「なんだよ………」

淫魔「あの、これ………寝る場所、二つある!」

なんでちょっとカタコトなんだよ。

さらに言えばベッドと布団なので高低差もある。

男「うん、二人分。 広いほうがいいよな。
  狭いアパートだけどよ」

明日も早い。
課題もやったし。

男「じゃ、おやすみ。 俺は明日7時起きだわ。 お前はゆっくりしていってね」

淫魔「待ちなさい」

すごく真面目な口調になった。
それは女教師が「廊下に立っていなさい」という時のような口調である。
そんな感じをイメージしていただきたい。

ここから先の会話は平行線というか、
まあ。

淫魔「いや、ただで男さんのお宅に泊めてもらうわけには」

男「いいって。友達が久々に来た、みたいな気分になったし」

こいつもいろいろ大変そうだしな。
すぐに追い出すほど、鬼じゃない。
………魔界の鬼、いるのかな。
見たことあるのかなあ、こいつは

淫魔「なんかエロいことしてもいいんですよ………」

すごく困った顔をしている。
なんだこいつ、見せ場、出番が奪われたという気分なのだろうか
若い芸人とかの心境かなあ


淫魔「あの、その―――か、風の噂で………」

風邪?

淫魔「風の噂で聞いたんですけれど、『ニャル子さん』の原作が完結したとか」

男「ああ、あれ? アニメ化してたよな、そうか完結しちゃったのか………」

めちゃくちゃ好きってわけじゃなかったが。
パロディに突き抜けた作風はまあ、迷いがないというか
行けるところまで行ってる感じがあった。

しかし、それがなにか関係あるのだろうか、話に。

淫魔「男さん、私はまだ、終わりたくない………」

男「………」

ライバルかなにかなのか。
ニャル子さんの。 

淫魔「終わっちゃったら、終わるじゃないですか。
  私はもっとこう………」

男「いや、別にそんなことないよ。 終わってる?
 いや、何言ってんだ」

淫魔「私はエロいんです。 ほら私は、もっとエロくないと―――あの、」

淫魔はここで言葉を詰まらせる。
視線が宙をさまよった

男「………?」

淫魔「………いえ、やっぱり、なんでもないです」

男「まあ―――、今日は、寝ろよこの部屋で」

このセリフを言うだけで俺はもう手一杯だぜ
ドキドキなんだが。

急にしおらしくなった様子の淫魔。
まあ余計に声をかけるのもなんなので、蛍光灯を切って寝床に入る。

部屋の電気を消してからも、少し話した。
もちろん布団とベッドで分かれてるよ。
ちゃんと。

淫魔「………男さん、起きてます? まだ―――」

男「うん………」

淫魔「気分は? エロくなってきません?」

男「いや………」

だから真っ暗でお前の身体とかも見えないし。

淫魔「男さん………」

小さいけど、少し力が入った声。
暗闇に溶けないように、だろうか。

男「うんー?」

返事してわかった。
寝ながらだと、喋りづらいかもな、確かに。

外からは、ほとんど何も聞こえない。
ほかの音はといえば………。
部屋の隅、上から………

男「おっと、もう暖房、切るぞ」

淫魔「………はい」


淫魔「男さん、あれだったら、好きにしていいですよ―――疲れたでしょう、今日」

男「………疲れた、かあ」

疲れた、ねえ。

男「俺は久しぶりだ、こういうの」

淫魔「………ですよ、ね。 私が来て」

男「静かなところだろ、このアパート。 学校からも結構離れてて………」

学生も、ほとんど見かけない。


男「友達、全くいないわけじゃないんだけどな。
  まあ、ここまで、この部屋まで遊びに来る奴はいなくてな。
  俺がダチの家に上がらせてもらうのが多い、パターン………」

淫魔「そうですか………」

男「休みの日に、こう………こういうの、あまりなくて。
 最近、『ああ、疲れた』って思ったことなかった気がする、課題以外で」

淫魔「男さん、行為に及ぶ前から疲れていては………駄目ですよ」

男「及ばないよ………」

昼間、お前のブラ姿見たろ。

男「あれで十分だよ」

淫魔「………えー………」

つまらなさそうに、口を尖らせた。
見えないけど。

淫魔「男さん、草食系って、ホラ―――流行ってるじゃないですか
  草食系男子………」

男「流行ってるか、は知らないが」

淫魔「でも男さん、こういう時はちゃんと男っぽい行動に出ないといけませんよ」

男「俺は………いや、」

淫魔「………嫌ですか」

男「いや、そうじゃなくて。
  その、エロいエロい言ってくるのもなあ、と」

ぶっちゃけ、こいつ見てるとそういう気にならないんだよな。
いや、話していると、か。

淫魔「そうですか、芸人枠ですね………」

男「それこそニャル子さんポジションだよ」


男「もっとエロくないほうがいい………」

淫魔「………え?」

男「あと、エロいだけの………ひたすらエロイだけの女とか、ぶっちゃけ、怖いわ」

淫魔「こ、怖いんですか」

男「いやあ、何かありそうでな………そんなうまい話があるわけねーよ、とか、思ってしまう」

何かの悪徳商法じゃあないけど。

淫魔「エロくないほうが、いい………?」

静かな口調は変わらないが、しかし緊張度が変わる。
こだわり持ってたんかなあ、こいつ
エロさに。

元々えろ全開はあかんでぇ

こっちまで不安になってきたよなんだかわからないけど

なんだか調子が狂う様子だ。
あれ、こんな感じだったっけ。

こんな感じもなにも、出会ったばかりだから(ということになってる。
4ヶ月経ったとかいうはツッコミはナシだよ)
こいつの性格なんて理解していないけど

男「夜だから………?」

淫魔「え?」

男「いや、なんでもない」

淫魔「どうしたんですか、男さ、ん。なんかおかしいんじゃ、ないですか、様子が………」

男「いや、なんか………暗い話でゴメンな」

妙に色っぽい?声を出す淫魔。
声というか、息?

様子が変、だと思う。
俺じゃなくて、淫魔の。

淫魔「いえいえ、まだ終わりませんよ、あと10年は戦えますよ」

男「そんな長期戦を宣言されても………」

淫魔「あああ、そうですよね、SSはもっと、なんでしょう………これ
 とにかく楽にいったほうがいいですよねえ、10年続くSS………
 何を言ってるんでしょう、私」

男「確かにそれはショートショートじゃあないな………」

淫魔「………あれ、ショート小説の略じゃない、ですか」


男「何の略か忘れた」

淫魔「ううん………ありますよね、そういうの、まあ、それでもいいんですかね
 簡略化、削るのはいいことですもんねぇ」

磨り減ってる。
すり減るような息を重ねる淫魔。

掠れてる。

男「………」

ほぼ5ヶ月じゃね?


男「………淫魔、目を瞑っておけ。しっかりと」

淫魔「………え? それは、えっと、どういう」

男「つけるぞ、電気」

ベッドから起き、立ち上がり、淫魔のいる布団を跨いでスイッチのある場所まで行く。
自分の部屋だから、慣れたもんだ。

と、部屋を明るくした。

淫魔の顔は、紅潮していた。
不自然に。

男「………お前、え、ちょっと」

淫魔「ど、どうしたんでしょう、目を瞑れって、これ、ああ、やっぱりアレですかね
  きす、とかされちゃう流れ、なんれしょうか」

男「………」

淫魔の顔………目の上に手を置いてみた。

淫魔「ひゃぁ、」

男「………これ、熱があるんじゃ、ないか」

男「………お前、え、ちょっと」

淫魔「ど、どうしたんでしょう、目を瞑れって、これ、ああ、やっぱりアレですかね
  きす、とかされちゃう流れ、なんれしょうか」

男「………」

淫魔の顔………目の上に手を置いてみた。

淫魔「ひゃぁ、」

男「………これ、熱があるんじゃ、ないか」


そんなこんなで、一晩明けた。
………まあ、いろいろ考えたが、こういう時はひたすら寝たほうがいいのだ。
魔界の者でも、休息は必要だろう。

―――エロい話?
ないよ。
その点に関して、淫魔はひどく悔しがっていたが。

翌朝のこと。

淫魔「ううう………体が熱くなっちゃって………火照っちゃいますぅ」

ピピピ。
と、電子音が鳴る。

男「―――39度7分。 淫魔、お前、平熱は?」

淫魔「ふぇ?」

男「ふぇえ、じゃないよ。 お前そのキャラはいくらなんでも―――変わりすぎだお前」

淫魔「え、でも萌えるし―――」

男「そんなこと言ってる場合でもないだろ。
  普段、体温は?
  人間の平熱、っていうか常識はいまいち当てはまらないだろうし
  お前魔族だろ」

淫魔「ああ、私ですか? 人間よりちょっと高いくらいですよ。
  私はいつも37度くらいですが」

男「ふうむ」

よし。
風邪だな。

人も本当は平熱が37度あるのが一番理想なんだけどね

桜の花言葉を知ってるか?

まだかね?

男「………じゃあ俺、学校行くから」

淫魔「私としたことが、一生の不覚です」

男「いや、休んどけ休んどけ」

淫魔「いや、だってエロいし………」

男「うん、エロいエロい、お前エロいから」

淫魔「私はこんな………一人で寝るためにやってきたわけではありません」

男「馬鹿言ってないで。 よくよく考えてみりゃ普通のことだ、慣れない土地に来てよ、
 なんつーかお前、頑張りすぎ」


まあ頑張っているというのもおかしい表現だが。
こいつは頑張ってふざけている感があった、ように思う。
体調崩す原因になるかはわからないが。

しかしこういう時、何もできないのが悔しい。
いや、何もできなくはないが、なんだろう

自分が風邪ひいたら、それならまだいいとして
たとえばひとり暮らしの俺のアパートに友人が来て、そいつが一晩たったら風邪をひいている
なんてことになって薬の一つも渡せないようでは。
っていうかそんな状況、異常だろ。

男「薬………か」

戸棚を探すと、ひとつあった。
熱が下がるだろうか

しかし風邪って、薬使って治すもんでもないよな、やっぱ。
寝ればいい。

男「カゼコールド………2011年4月………配置期限………配置期限?」

淫魔「男さぁん、遅刻しちゃいますよお、学校」

男「うっ。 そ、そうか」


男「これ、風邪薬だ。 辛かったら飲め。
  あと冷蔵庫にヨーグルトあるから、たぶん身体にいいだろう
  行ってくる」

淫魔「うう、何から何まで、ご親切に
   私―――この風邪を治したら………男さんと結婚するんだ」

男「気合で直せよ! 変なフラグ立ててないで」

淫魔「はぁい………」

そんなこんなで玄関を閉め、学校に向かう。


学校

男「ふぅ………」

男友「よお、男」

男「あ、ああ、おはよう」

男友「どしたのお前、なんかテンション低いな」

男「いや、別に………まあ、色々あってな」


まさか俺の家に淫魔がやってきた、なんてことは言えないだろう。
しかし話してもいい内容は、あるか。

男「………あのさ、風邪ひいた時にさ」

男友「うん?」

男「どうやって治す? 風邪薬とかお前は、飲んだりする派?」

男友「風邪かー、いいなあ、俺も学校休みてえ」

男「………」

男友「年に一回は休みたいよな」

男「お前に聞いた俺が馬鹿だったよ」

男友「いやあ、実際一日くらいいいじゃん―――馬鹿か。馬鹿だったら風邪は引けねえなぁ
  うーん。 馬鹿だったら損するなあ。
  休みたくても、休めないんだから」

男「………」

男友「で、なんなんだ、男、お前風邪ひいてるの? ひいちゃってるの?」

男「いや、そういうワケじゃないんだが―――」

きた―――(゜∀゜)―――!

男「ただ興味本位でさ―――あ、えっと親がさ、この前風邪ひいたらしくてさ
  で、結構慌ててよ」

男友「ああ、そうなん? まあ寝ればいいんじゃね」

男「………そうなるよなあ。 
  ―――あ、お粥だ
   お粥作ればよかった」

男友「ああ、そうだねえお粥いいらしいなぁ。
  アレあんまり栄養あるように見えねーけどな」

男「そこはお前………まあ、そうか。
  梅干しとか入れてさ」

男友「梅干し、ねー」



男友「梅干しかー、うーん、最近コンビニおにぎりでしか食ってねーや
  お前梅干しとか食べてんの?」

男「うん? うーん………」

ひとり暮らしで梅干し。
正直、食べない。
一人暮らしを始めた当初は、特に考えなしに買ったけど
冷蔵庫に長く入れっぱなしで。
毎日食べるもんでもない。

男「食べないよな………でもいいな。
  二人なら、食べきれるものもあるしな」

男友「うん?」

男「いや、なんでも」

ウチはふりかけだったなー



男友「そっかー、あのさ男、お………」

男「うん?」

男友「お………俺ん家で………いや、なんでもないっ」

男「? そうか?」

男友「うん、なんでもない。あとアレだ、果物とか、いいんでねーの?
 風邪の時な」

男「! お、おお、そうか果物ね」

ん?


そんなこんなで学校終わり。
授業はあまり記憶に残らない。
淫魔のことが心配だ。

主に体調。
性格も心配だが。
うん、すべてが心配だ。

スーパーで買い物をする。
果物、果物ね。
野菜のコーナーの隣かな。

男「バナナは朝飯にもいいよなー、安いし」

女「あ、98円だ、今日」

男「お………、ああ、本当だ、こりゃいいや
  ………って、主婦みたいだな俺」

女「あはは、本当だね」

男「あ、………」

女「あ………」


女「………こんにちは」

男「ち、は………こんちは」

女「男くんも、お買い物?」

男「え、俺は別に………何も」

女「………いや、ここスーパーだから。 男くん、それってボケのつもりなの?」

男「………うん、買い物」

めっちゃキョドってしまった、俺。


男「バナナ買いに来た、俺」

女「そう」

男「うん」

女「………うん」

男「それだけ」

なんだこれ。
なんだこの空気。


女「………じゃあ、また学校で」

男「また、学校………明日に」

女「じゃあね」

男「あ、うん」

………そうだ、早く淫魔のところに帰らないと。
うん。
そうだ。


そのまま、なんだか空気の抜けたようなテンションでアパートに戻り。
鍵を開けると、淫魔がいた。
ベッドではなく、キッチンに立っていた。

エプロンで。

淫魔「………あ、男さん、おかえりなさい。
 ご飯にする? お風呂にする? それとも、私?」

男「………」

淫魔「ああ、私ですよね」


淫魔「これはもう、完全に私のテンションですね。
  私以外ありえないですよね
  まあしかし、キッチンに立っていても、なんでしょう―――レトルトが多くて
  料理するものなんてあまりなかったんですが」

男「お前風邪ひいてるんだろ!」

まだ顔が赤い。
いや―――青い?

淫魔「男さん、他に言うことあるんじゃないですか、もっと」

男「え? あ―――、ああ?バナナ買ってきた、ぞ」

淫魔「………………ああ! エロい意味の?」

男「普通の意味の!」

淫魔「ふうむ、果物ですか―――まあヨーグルトの件といい、エロいですね男さん」

別にそんな計算をしたつもりはない。
普通に身体にいいものを選んだまでである。

淫魔「それより、 ケホッ 言うこと………ないですか」

男「大丈夫かお前、布団に戻れ。今、お粥も作るから」

淫魔「げほ、げほ」

淫魔「ちょっと、離れて―――ください、おさわりは禁止です―――まだ」

焦点の合わない目。
それでも、頑張ってくるりと身体をターンさせる淫魔。
足がばたつくっていうか、もつれてる。

淫魔「ただのエプロンではありません―――裸エプロンです」

男「お前風邪ひいてるんだろ!?!?」

淫魔「わ、私って ケホッ、 ホラ………エロいですから………」  ガクッ

男「淫魔ーーーーっ!」



はい今日はここまで

ホモォ…

ホモォ…



淫魔「ふっふっふ………どうやら私は新しい属性を手に入れましたよ
そう、『病弱設定』です………
  世の中の男子すべてを虜にするびょゴホッ  
  ゴホホッ
  『病弱設定』………! 
  どうです………萌えるでしょう………
  ど、ゴホです、男さん………!」

ベッドで横になり頭に氷枕を乗せて顔を真っ赤にしている淫魔は言う。
したり顔も体力が底をついていては台無しだ。

男「まってろ、いま栄養のあるものを作ってやる」

淫魔「栄養のある精液?」

男「違う。とにかくお前は休め」

淫魔「………駄目よ、7時半に空手の稽古があるの、付き合えないわ」

男「今日は休め」

このネタわかる人がどれくらいいるのやら。

>>362
来いよベネット

>>362
野郎ブッコロシャアアアアアア

男「なんか栄養のあるものをくれてやる。
 作ってやるよ。バナナとあと、リンゴも買ってきた。
 お前食べるよな。
 リュークだってよく噛じってるし、平気だろう、淫魔なら」

淫魔「………」

男「腹減ってないか?」

淫魔「いえ、もらいます、すみません」

意識が朦朧としているようだ。

男「とりあえずリンゴ剥くから。 えーと、皮剥き………」

淫魔「………」(そこは包丁で器用に剥きましょうよ………)


淫魔「しかしベッドで寝込んでいる淫魔というのも、これは成功。
  これはこれでアリというものです」

男「おとなしく待ってなさい。妙なことまたやるんじゃないよ」

淫魔「サキュバスで、しかも病弱な女の子ですよ………このハイブリットな属性。
  私くらいなものですよ。貴重価値………!
  ゲホ、貧乳はステータスだ、希少価値だ………!」

色々付け足して頑張ってる感はあるけどな。

うん。
ガムシャラになって色々間違った方向に進んでる感は否めない。
そしてお前は貧乳ではない。

淫魔「エロくて病弱な女の子………すごいですよ。
もうこれはですね、ラーメンとカレーとお寿司を同じ皿にのせたくらいの贅沢です………!
そうに違いありません」

男「同じ皿に入れちゃあいかんだろう」

淫魔「全部乗せですよね、時代は」

男「いや、頑張るのはいいことだがな………なんていうか、お前は、ご飯食べて寝ろ」

淫魔「男さんを食べてから」

男「馬鹿言ってないで」

せめて添い寝だけでも……

淫魔「添い寝。 いいですね―――聞きましたか、せめて添い寝だそうですよ男さん。
  それ添い寝。
  ソレそっいっね!
  あソレそっいっね!」 

布団の中で手拍子を始める淫魔。
手をたたいているがあんまり音が出てない。

男「………」

淫魔の口にバナナを突っ込んだ。

淫魔「おごっ!?」

男「食べろ」

ベッドで横になっている淫魔の口に果物を押し込む。
フルーツは身体に優しいのだ。

淫魔「 」 も、もごぉー!

男「栄養があるぞ。素晴らしい食べ物なんだバナナは。
 スポーツ選手も大好き、みんな大好きなバナナ」

淫魔「 」ほごぉー

涙目になってんぞ、淫魔。
お、それでも食べてる。

頑張って食べてる。

夕飯。
夕飯がバナナでは物足りない。
今からご飯炊いてお粥を作ろう。

男「まだまだ前菜だぜ、これは」

淫魔「………太くて硬かったです」

男「………硬いわけない」

バナナだぞ。

熟してないと少し固いよなバナナ

もちろん練乳は垂らしたんだろうな?
糖分補給は大事だぞ


男「で―――いまご飯炊いてる。 お粥を作れるモードになってるから
 これで大丈夫だと思う」

淫魔「だと思うんですか? え、作れないこともあるんですか?」

男「お粥作ったこと、実際一度もないからな………やってみるまでわからん」

淫魔「はあ」

男「あと、ぶっちゃけ俺の炊飯器は信用ならなくてな」

淫魔「信用ならない?」

淫魔「信用ならない炊飯器って………」

語尾が掠れてる。
あんまり喋らせるのは良くないだろう。

男「いや、ガタが来てるってだけだ。
古いわけじゃないんだけど、ちょっと壊しそうになってな………いや、完全に俺のせいなんだけど」

淫魔「はあ」

男「それよりお前だよ。お前の体調、大丈夫か、なんで崩したんだよそもそも」

淫魔「はあ………いえ、私にもよくわからないんですが」

淫魔「信用ならない炊飯器って………」

語尾が掠れてる。
あんまり喋らせるのは良くないだろう。

男「いや、ガタが来てるってだけだ。
古いわけじゃないんだけど、ちょっと壊しそうになってな………いや、完全に俺のせいなんだけど」

淫魔「はあ」

男「それよりお前だよ。お前の体調、大丈夫か、なんで崩したんだよそもそも」

淫魔「はあ………いえ、私にもよくわからないんですが」


言ってから気づいたが、言いながら気づいたが。
そもそも淫魔は最初から寒いって言ってた。
寒いっていうか薄着だったし。

そして来たばかりの町を、人間界の町を連れ回したのは俺だった。

男「これは責任を取るのは俺だな」

淫魔「え、結婚ですか」

男「ないけど。 それはないけど」


淫魔「なんだか、久しぶりに休んだ気がします」

布団の中でそう言う淫魔。

男「………うん?」

淫魔「ゲートの………あの、こっちに来る許可降りるまで勉強ばかりでしたから」

男「………」


淫魔「別に辛いわけじゃないですよ。
  人間界楽しそうなので………来たかったので。
  夜遅くまで勉強して」

男「そりゃあ大変だったな」

淫魔「実は魔界にいるときも友達に心配されたんです。
 なんだかフラフラしている時があるらしくて」

男「そりゃあかん」

淫魔「勉強したあとはアニメ見て寝てました」

男「おい。それはオイ」





淫魔「心配しなくとも、人間界のアニメですよ。友達が特殊ルートで手に入れたのを貸してもらって。画質が荒かったですけれど嬉しくて何回も見て」

男「………え、それいつ寝てんのお前」

淫魔「さあ」

男「さあってお前………死ぬぞ」

淫魔「記憶があまり………
  いやあ、人間界行けるようになればあとは休み放題だと思って、だから」

男「せっかく来たのに」

淫魔「でも好きなことは毎日やってたほうがいいですよ、できるだけ」

男「まあ、そりゃ少しはそういうもんっていうか、息抜きはいいけど。
 いや、息抜けてない。
 今日はちゃんと休んだんだろうな、お前。 あの裸エプロンはいつ思いついたんだ」

淫魔「暗くなって………まあ夕方くらいに帰ってくるだろうと踏んで、スタンバイしていました。
  男さんが来る頃から」

男「へえ、じゃあ昼間はちゃんと寝てたんだ」

淫魔「いや、布団には入ってたんですけどNHK教育番組とか見てました。
  将棋はよくわからなかったので、ざわざわ森のがんこちゃん見てましたよ」

男「風邪ひいた時の小学生みたいなやつだなお前」

日本人なんじゃねーのこいつ。

谷啓……

はよ

淫魔死んでしまったん?

場所は変わって、男の友達の家。
その、男友の部屋―――。


男友「ううむ」

金髪妹「どうしたんです、男友さん」

男友「いや、どうしたものかと思って」

金髪妹「どうしようって、それは私の台詞です。 早くお兄ちゃんの様子を見に行かないと………。
   もう、心配で心配で………」

金髪の女の子、小学生くらいに見える―――は落ち着かない様子で椅子に座っている。    

男友「そんなに心配なのか………その、君のお兄さん」

金髪妹「ええ―――大きな声では言えませんが、ダメ男です」

男友「ダメ男なのか」

僕は妹が襲われないか心配です



金髪妹「私がいないと、お兄ちゃんはこの世界ではやっていけません。
  故郷、魔界ですら、お兄ちゃんは………ううん、名誉のために黙っておきますが
  残念な兄とよくできた妹。
  そう考えてもらって問題ありません」

男友「その言い方、もう名誉は崩れてる気がするけど………」

金髪妹「とにかく、この近くに反応があるので、あなたの近くのお宅に、お世話になっている
    可能性が大です」

男友「はあ………とは言ってもなあ」

どうしよう。
最近、いきなり部屋に現れたこの金髪の少女。

本人は魔界から来たと言っているが、俺はどうすればいいかわからない。
どうも、兄を探すために………この子曰く残念な兄を探すために
親に黙って魔界とこの世界とを繋ぐゲートを通ってきたらしい。

昼間―――ああ、昼間に相談しておけばよかったかなあ、男に。
教室であった時。
あいつならなにか上手い手を考えてくれてたりしたかも………いや。

俺は馬鹿だから、たぶん説明できない。
誤解される。
かなりひどい誤解をされる。


突然、部屋に見知らぬ女の子が現れた。
しかも魔界から来たらしく
不思議な力も持っている―――なんて事を、あいつに言ったらなんて返してくるだろう。
馬鹿馬鹿しい。
そんなことあるはずない。
俺だって信じない。

いや、実際に証拠を、この子を見せればなんとかなるかも―――ううん、でもいけない。
それはそれでさらなる事態の悪化を招くことになる。

金髪の幼女を自室に囲っている男がいる。
という状況。

あいつはいつもと変わらない、寝てるんだか起きてるんだかわからないような表情で
携帯電話を取り出し、静かに『110』の数字を押し、繋がった先に状況を詳しく伝えるだろう。
そして赤いサイレンを回しながらやってきた監獄車は俺の家の前に停まるのである。


あいつは何気にやることが、すごいっていうか―――容赦ないところがあるのだ。


男友「………はやいところ、お兄さんを見つけたほうが、楽かもな」

金髪妹「はい、楽です。 わかってくれて助かります」

男友「いやいや、当たり前のことをしているまでだよ」

面倒事は避けたい。
当分、この子はうちの遠い親戚で外国人とのハーフ、ということにしよう。
いや、ハーフって、こんなに鮮やかな金髪をしているものなのか。
分からないが―――とにかくこれで男にも話してみよう。

と、考えている最中。
ガチャ、とドアが開いた。

友妹「お兄ちゃん、ちょっと宿題また聞きたいところがあるの―――」

(アカン)

妹が2人も……!

友妹「お兄ちゃん、お兄ちゃんココ、この問題!」

男友「………お、おう、またか」

友妹「うん、今度こそラストだから」

男友「ああ………まあ、いいんだけど、全然。 また算数か」

友妹「うん、そうなの。 ここ! ほらコレ、どうやって答え出すの?」

男友「ここはな………あぁ、こりゃひどい」

友妹「えーっ、そんな言い方ないよー!」

男友「………で、こうなるんだ」

友妹「あー、なるほどなるほど完璧だね、これで私」

男友「主に俺のおかげでな」

友妹「………お兄ちゃん、さ」

男友「なんだー? 他に解けないやつあんの? 自分でやってみ」

友妹「シャンプー変えた?」

男友「………うん?」

男友「なんだそれ」

友妹「だってなんか―――やっぱいいや、ごめんね、いつもと違う気がしただけ」

男友「………」

友妹「じゃ、また面倒な問題あったら持ってくるから」

男友「………できるだけしつこく解説してやるわい」

友妹「じゃーねー、なんかごめんねー」

妹(普通の日本人)はそう言って、ドアを閉めた。

耳を澄まして。
階段を降りて下の階に行く音を聞いた。

男友「………もういいぞ」

そう言うと、ベッドの下から金髪の女の子が出てくる。

金髪妹「………ホコリが、多い」

男友「ごめんな、まあ………見つからなかったのが奇跡だ
うまくごまかせた、かな」


ホコリ(エロ本)

はやくコタツだそう

金髪妹「今のあの子は―――あなたの妹さんですか」

男友「うん、わかるのか?」

金髪妹「ええ、似ていらっしゃいましたし」

男友「………そんなことないよ」

金髪妹「似ていましたよ。 なんでそこを否定するんですか」

待ってたぜ

男友「いや………なんだか」

アレと似ているって思われるのはかなり抵抗がある。
家族なんて見飽きてて食傷。
あまり直視したいものではないんだ、これが。

男友「とにかく、あいつにはバレないようにしてほしい」

金髪妹「ええ、それはちゃんと頑張ります。 私の逃げ方は………回避スキルは中々だったでしょう」

男友「うん………あっという間にベッドしたにスライディングしてた、な………」

と、言ってるうちに。
床に膝をつけて座り込んでいるこの金髪の女の子の足元に、雑誌が
引っかかっていることに気づく。
ベッドの下から出てきたのだ。

男友はさりげなく金髪の女の子に近づき。

男友「ああ、そういえば………あの、妹だけどさ」

金髪妹「はい?」

話題を逸らし。
雑誌をつま先で蹴ってベッド下に送った。
あんなところにUFOが、とまるで変わらない手口。

金髪妹「あれ? 今なにか………」

男友「何もしてないよ? え?何かしました僕は。 何も………」

と、話題をそらし続けようとしていたら、突然。
それは突然。

金髪妹「―――っ き、ゃああああああああああッ    キャ―――ッ!? 」

男友「!?!?」



金髪妹がタックル同然で抱きついてきた。
一応、受け止めたが。

な、何事?


金髪妹「あ、あああ、あれ、 アレ!」

男友「ん、うん?」

そのこと指指した先には、あの古い家屋に出現しがちな黒く素早い虫………によく似た、ホコリだった。
どうやらベッド下から出てきたらしい。

男友「………Gに見えるといえば、見えるな」

金髪妹「だ、ダメなのあれは………な、何とかして!」

男友「―――落ち着いて。あれは思ってるうようなもんじゃない、よく見てみろ、虫じゃないぞ」

金髪妹「ほ、本当に………?」

う、可愛い。
いや、可愛いというか―――珍しい。
日本では滅多に見かけないような白い肌だ。
ロシア人なんかだと、この子に近い顔立ちなのかもしれないが。

うっかり、その子の肌に見入ってしまった。
それは良かったのだが、悪くなかったのだが、問題はそのあと。

部屋の外で階段を上る音が聞こえたかと思うと、すぐにドアが開いた。

友妹「なに、今、悲鳴が………
   お兄ちゃんどうしたの?
   いま女の子の悲鳴が聞こえたけれど、つまりは正確には、私と同年代、小学校中学年の女子、
   ううん―――『女子児童の悲鳴』が聞こえたけれど、お兄ちゃん、今のは一体―――!」


俺と、金髪のロリ少女が抱き合っているような絵面だった。


  

今日はここまで

待っていてくれた人がいた。
申し訳ないとは思っているよごめんなさい

みてるぞ

ロリコン(確信)

おつ

待ってた

「むむ………」

淫魔がベッドの中でもぞもぞと寝返りをうつ。
寝返りというか

「熱がまだ引いてないんだから、おとなしく寝ていろ」

「いや、いま、『気配』が………」

「うん? え、何、ケハイって」

「この町のどこかで幼女に関連する事案が発生した、そんな気配を感じました」

「………」

なんてコメントすればいいんだよ、これ

「そもそも気配って―――ニュータイプかよ。
なんなの、お前ってもしかして、敵が来た時に真っ先に殺気を感じ取れるタイプ?」

「殺気かどうかわかりませんが―――チャドの霊圧が消えたときは、流石に………こう、困りましたね」

「お前チャドと仲良くないだろ」

お粥ができた。
炊飯器でもお粥を作ることはできるが、レトルトだとお湯に入れれば5分で済む。

「はい、あーん」

「あーん………あれ、口移しはないんですか?」

「いいから腹に入れろ。 流し込め」

「もぐぅ」

淫魔の口にお粥を詰め込んだ。


ナチュラルにあーんされるとかこれは策士ですわ

「………思いつきません。 男さん、風邪の時って何をしています? 男さん」

「うん? うーん、寝ていた方がいいんだが………いいんだろうけど」

確かに、いざ休めと言われても何をすればいいかわからんな。
俺は風邪の時に何をしていただろう。
昔は何度かあったな………熱の所為でぼやけた視界とか、汗ばんだ布団とか、
それくらいしか思い出せない。

「あ、その顔はいやらしいことを考えてますね」

「………」

ごめん、全然違うよ



「男の人が黙って考え込んでいたら、それはいやらしいことを考えていると見て間違いない………」

「全国の寡黙な男子に謝れ謝罪しろ。 あーもう、ご飯食べたら今日は休め。
空手の稽古には行かんでいい。
ニコ動でアニメ見ようぜ。 お前オタクだし」

「あ、今週のごちうさ、まだ見てないので、それでお願いします」

「………うん」

適応早いな、こいつ

「あと、コメント係もお願いしていいですか」

何じゃい、それ。

 

「私が考えたコメントを黙々と打ち込む係です」

「………どんな労働だよ」

「労働じゃあありませんよ、心がぴょんぴょんしますよ」

「まあぴょんぴょんするけどさ」

「私、体弱ってるみたいなので癒しが欲しいです」

「魔界で放送すればいいのにな」

「魔界から争いがなくなりそうです」

魔界王子とか見てあるあ…ねーよwwwwwwみたいなやりとりすんのかな

突然ですが宣伝です!

ここの屑>>1が形だけの謝罪しか見せていないため宣伝を続けます!

文句があればこのスレまで!

加蓮「サイレントヒルで待っているから。」
加蓮「サイレントヒルで待っているから。」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401372101/)

ペース遅いですね
もう少し本を読めば書けるようになるんでしょうか
ラノベもあんまり読むほうじゃないんですよ
最近俺ガイルを読み始めたくらいのにわかなんです

「ああ………こころがぴょんぴょんしますねえ、今回は水着回ですよ男さん」

「俺はなんだかな、ううん………もう少し殺伐としてるのが好みだわ」

「あら、てっきり難民だと思っていましたけど、金モザ難民だと思ってましたけど」

「そんな風に見えたのか、期待を裏切って悪かったな」

「難民キャンプですよ難民キャンプ」

「いや、俺は難民都市って呼んでるけどな。キャンプとかいう程度の規模じゃない」

「確かに今期はそうかもですねー」

「ところで殺伐って、つまり男さんはアレが好みですか、例えば進撃の巨人とか」

「いやあ、あれは極端すぎるだろ。極地だろ
ううん………ごちうさは平和すぎてなー、なんだかしっくりこないんだ」

「………才能がないですね」

「えっ、なんの才能が?」

「日常アニメ視聴者の才能が」

「何それ………」

「えっ、じゃあ男さん、けいおん!とかも見ていなかったんですか」

「いや、見ていたけど………」

「みなみけは?」

「面白いよな。まあ俺はゆるゆりの方が好きだけど」

「あー………あー………あ、ああッ!?」

「うん」

「えっ………男さんって、『そっちのヒト』、ですか」

「え、そっちって何………」

「だから、女の子同士のガチレズが好きな人ですか」

「いや、そこまでではないけど………え、今になって?
今になって驚くのか」

それだったらごちうさの話題の時点で驚けよ。

「なるほどそうなると私のエロさに反応しない理由も、やや理解できます………」

「いやそれは関係ない」

男さんブレイクブレイドとかどうですか

遅くても気にしなくていいと思うけど。楽しみにしてるから続けてくれればいいよ

>>425
ブレブレ俺も好きよ

>>1
遅くていいからしっかり終わらせてやってくれよ

「ゆるゆりは何気に激しいんだよ。パンチがきいてるっていうか、たまに凶悪なネタに走るから」

「へー、今度見てみます。そして取り入れます」

「取り入れ………?」

「私の持ちネタとして吸収」

「………いやお前はパンチきかす必要ないだろ」

「さいですか」

「さいだ」

「ブレイクブレイド、というのは何でしょう」

「実は俺も知らん」

「ググってみてくださいよ」

「………なんか、魔界の者が言うセリフじゃないよな、もう………慣れたけど」

カタカタカタ   ッターン!

「えっと、ストーリーは? どんな感じです?」

「これは日常アニメじゃなさそうだな」

「真面目な感じに見えますね」

「日常アニメの話からシフトしたような気がしたんだが」

「今度見てみましょうよ。 っていうか男さん、何見てるんですか、最近」

「見ようとは思ってるが実はあまり見ていない………ニコニコで、最近は鷹の爪団とかしか」

「うっわー! あの、一話が5分くらいのやつでしょう?」

「うん。 あとジョジョ」

「鷹の爪団って………ジャンプにおけるピューっと吹くジャガー枠ですね」

「あー、ギャグ枠だな」

「ロボットアニメっぽいな、ブレイクブレイド。 お前ロボ好き?」

「よくわかりませんが合体は好きです、あの人間同士の………」

「お前に聞いた俺が馬鹿だったよ」

「ロボですかー、ロボはわかりません」

「女子って何でロボ嫌いなんだ?」

「………いや、嫌いってわけじゃないですけど」

「なんで?」

「なんでちょっと怒ってるんですか」

おこなの?

「男さん、それは少し偏見といいますか、失礼といいますか………
やや女性を差別したような発言ですよ
世の中には機械のあの、ひんやり冷たい感じにハアハアしている女性だっていると思いますし」

「………いや、別にハアハアしろと言ってるわけじゃ」

「でも男さんは機械に性的興奮を覚えるんでしょう?」

「いや、それは違うよ、覚えないよ」


そろそろ本番のほうをですね……

「お前どうせ見ないんだろメカっぽいアニメ。
あ、マクロスは見たか?主人公美形だもんな」

「し、知ってますよ………私もオタクの端くれですよ。
ナメないでくださいよ
あの、ガンダムはロボットじゃなくてモビルスーツって言うんでしょう?
それくらい知ってますよガチヲタですよ
任せてくださいよ」

「知らないか………まあ俺もにわかだけどな
歌がすごくいいなってくらいしか………」

「アムロのモノマネなら練習しました。やりましょうか?」

「いややらんでいい」

「お前に勇者指令ダグオンを見せてやりたい」

「ええ、それなら全話見ましたよ」

「本当かあ? いや嘘だな。 無理すんなマイナー過ぎて見てない
俺の友達もみんな見てなかった」

「あの勇者かっこいいですよね」

「勇者シリーズだぞ」

「ええ、だから勇者ですよね」

「ロボアニメだぞ」

「え、そうなんですか」

「ガオガイガーの一個前にやってたやつ。」

「あ、ガオガイガーなら聞いたことくらいはあります
友達がカラオケ行ったら絶対歌うって」

「………お前の友達?」

「あ、はい、魔女です」

「………魔界に住んでる人?」

「ええ、もちろん」

魔界すごいな。

「魔界の歌はないのか」

「ありますけどねー、カオスすぎていて私はイマイチ………人間界のアニソンあたりがちょうどいいんです」

「アニメソングよりカオスなのか、魔界のJ-pop」

「楽器が全部生き物なので」

「そりゃあすごいな」

「マンイーターのドラムが主張強くてボーカルが聞こえなかったり」

「バンド成立すんのか、それ」

「音楽性の違いがすごいですからねー」

「生物が違うんだろ、そもそも」

「もうマンドラゴラの鳴き声なんて聞きたくないんですよ。
あのバンド解散しちゃったらしいですけど。
それより今期のオープニング、いいの教えてくださいよ
ぱーっとぱーっと晴れやかになるようなの」

「ハナヤマタの曲はいいな」

「まだ1話ですけどねー、メンバーもまだ揃ってない感じです」

「5人かな、メンバー。 全員で踊るのは何話目か」

「ラブライバーがこちらに移住してくると、私は踏んでいます」

魔界のJ-POPってなんか面白いな

「魔界のJ‐ポップってなんだよ、冷静に考えたらおかしいじゃないか」

「間違えました、ジャパニーズじゃないです、魔界ポップです」

「何それ、なんか可愛いじゃねえか………」

「マジックミュージックとも言います………あれ、正式にはどちらでしたっけ。何の略だったか忘れてしまいました」

「俺に聞かれても………」

「今度聞いてみてくださいよ。魔界に来た時にでも」

「うん………いや、え?」


「魔界来た時にでも。 町中で流れてますよ」

「えー………でも俺、人間だよ」

「確かに色々と手順は踏みますけれど、行ったら楽しいですよ」

「いや、行けるわけないわ。怖いし、いろいろ」

「行きましょうよー」


ピンポーン ピンポーン

「ん? チャイム? 誰だろ、宗教の勧誘かな」

「ええっ!? マズいです! 隠れないと!
私、魔族ですから聖人は超苦手です! というか蒸発させられてしまいます!」

「いやあ、そんなことにはならないと思うけどなー、普通の人間だし………」

ついに話が動く……!

「お客さんですねー、男さん楽しみですねー!
 ついに話が動きますよー!そういえばほら、これ、今週の週刊少年ジャンプ見てくださいよホラ!
 ジャンプ。
 HUNTER×HUNTERの冨樫先生が働いているんですよ!
 あのハンターが連載してるんですよー!
 これは私も負けてはいられないぜ、頑張らねば!ということで、眠れる獅子と化していたこの私も、ついに
 重い腰を上げたというわけですよ。
 あ、私は重くないですよ
 本当ですよ、思ってるほど重くないですよ
 抱き心地とかもう最高ですよ、安産型かって言われるとまあ、少し違うような気もしますが
 マリリン・モンローと、はがないの肉を足して二で割ったようなスタイルを目指して

「静かにしなさい、お客さんと話してくるから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

ピンポンピンポーン、とチャイムが連打される。
宗教勧誘は、こんなに連打はしないと思うのだが。

ドアを開けると、見知った顔が現れた。
教室でも話した男友。

「男! ちょ、ゴメンいきなりでッ」

「お、おう、どうした」

妙に息を切らしている。
なんだろう、遊びに来たとか、ゲーセンでも行こうぜ、みたいな雰囲気ではなさそうである。

あれ、よく見るともうひとり、背の低い子が後ろにいる。

「いきなりだな。急ぎの何か用事があるのか?進撃の巨人はこの前返したろ?借りてたやつ」

「話してる暇はない! ごめんとにかくこの子をちょっと預かってくれ!
俺は逃げる!早急に!」

「………?」

男友は金髪の少女の両肩をつかみ、ずい、と玄関に押し入れてきた。
………え?
何、この子。

不思議な色の目をぱちくりとさせる金髪の少女には、見覚えがない。
おいおい、お前のイトコが外人さんだなんて話は聞いてないけど。

「ええっと、あの、妹が来るから………!」

男友は言いかけて、周りをキョロキョロと見回す。

「お兄ちゃーん! どこぉ? 大丈夫だよ何もしないからぁ!」

「やべっ! じゃあ頼む! 隠して、その子を!」

………?

わけのわからないままに男友は走り去っていく。
5秒ほど経ってからだろうか。
男友の妹が走っていった。
右手に包丁を持っていた。
左手にも、ちょっと小さい、くだものナイフだろうか―――。
二刀流だった。

「待ってお兄ちゃん! 何もしないから!
ちゃあんと話してくれたら何もしないからぁ!
あの女誰ェ!?」

「ひぃいいいいいいーーーーーッ!」

二人は全力疾走して、やがて見えなくなった。



「………なんだろう、兄妹げんか? かな」

ちょっと良くわからないが、なんだか大変そうだ。

「あの、」
金髪の少女の、幼いけれどしっかりとした声に惹きつけられた。
「男友さん、大丈夫でしょうか」

「ん、ああ―――ええと、君は誰? 男友のイトコ?」
「………」
考えている様子の金髪っ子。
やはり日本人ではなさそうな表情を見せる。

「男さーん、どなただったんですかぁ? 宗教勧誘の人ですかー?」

間延びしてふわふわした声は、まだ風邪が治りきっていない淫魔。

「ええと、いやあ、違うんだけど………俺にもまるで意味がわからない状況だわ」
「キリスト教は勘弁ですよー。
いえ、宗教の自由は尊重すべき事柄なのかもしれませんが、だからこそ私が避けるのも自由というものです」

「とりあえず宗教じゃなかった」

「………あれ、そうなんですか?」

「まあ、とりあえず中に入ってくれ、ええと―――」

「金髪妹、です」

「あ、ああ―――」

何話せばいいかわからないし、状況もわからない。
ただ、玄関に立ちっぱなしはたぶんダメだ。
お茶でも出すか。
しかし綺麗な金髪だ。
日本のお茶は飲める………よな?
いや、ダメかも

男友のことは忘れない

金髪妹を連れて部屋に戻ると、まだベッドで寝込んでいる淫魔が目を丸くしていた。

「………あれ? えっ、男さんの友達って、そんな金髪ロリだったんですか
いや、ちょっと予想してなかったです」

………。

「大丈夫だ、この子は男友ではない。
男友はなんか、走ってる」

「………??」

「ちょっと男友を助けに行ってくる」

「何が起こっているのかよくわかりませんが、友情を大切にする展開は熱いですね。
ご武運を。グッドラック」

「熱いのはお前の体温だけどな―――お前はゆっくり休んでいろ。
この金髪の子はお前に任せる」

「いいんですか? 私はサキュバスを名乗っていますが、実際のところ女の子もイケるクチなんですよ」

「不安な情報を………」

男友が刺される展開を避けるべく、俺は出動体制に入る。
まあ、ケータイを持って、玄関でスニーカーを履いただけだけど。

「ええと、金髪妹ちゃん、その女の人は風邪を引いているから、それだけ気をつけて仲良くね」

「ええっと、はい、頭を冷やすものを、なにかあれば………」

「大丈夫よ金髪妹ちゃん、お姉さんと一緒にアニメを見ましょうね」

「おとなしくしてろよ淫魔。 行ってくるからなー」

「はい、頑張ってきてください。
私に任せてくださいよ。
お姉さん的な役割を果たしてみせます。
―――さあ金髪妹ちゃん、お姉さんが昨日録画したやつを見ましょう。
お姉さんもまだ見てないんだけど。
Fateシリーズなんだけど。 プラズマイリヤ・ツヴァイの2話目。」

「なんですか、アニメって………面白いの?」

「うん、可愛い魔法少女が出てくるアニメですよー。きっと妹ちゃんも楽しめるはずです」

「淫魔、本当に行くからな! その子に変なことするなよ! 絶対だぞ!」

「大丈夫ですよー。ドントフォーリー。 さ、金髪妹ちゃん、適当に座って、ベッドに。
あ、男さん、ジュースとか出していいです?」

「冷蔵庫にある飲み物なら、なんでもいいから、出していいから」

こうしているあいだにも男友の寿命が削られているので、ここら辺で話を切り上げ、アパートを出た。

………不安だな。

「お………お姉さん」

「淫魔でいいわよ、呼び方。 ああ、でも『エロいお姉さん』と呼んでもいいですねー」

「えろいお姉さん?」

「ええ、そうです。 魅力的な、みたいな意味ですよー。
あ、小さい子にはわかりにくいかなあ」

「………」

「さあ、とにかく見ましょうねーアニメ。 ねー。………ああッ!!!!   」

ビクッ「え、な、なに」

「えー………ちょっとくださいよ、マジですかこれ、うっわ
うっわあう、負けた。
男さんの前で、なんという失態を―――!
うううううッ!」

テレビの前で変な悶え方をする年上のお姉さんを前に、金髪妹はリアクションをとりづらい。

「ど、どうしたんですか?」

「あの、このアニメ………プリズマ☆イリヤ」

「………?」

「私さっき、プラズマイリヤって言ってた………」

「………は、はあ」

「はあああんッ!! なぜこんなお年寄りっぽい間違え方を、この私がぁっ!
あれだけ、アニメオタクを気取っておきながらぁ!」

「………よくわからないけど、心配しないほうがいいと思います。
やめてください、布団の上で変な動きをしないでください、怪我とかしますよ」

「私の身体は変じゃありません!
これはエロい動きです!」

「………見ないんですか? これ、始まりましたよ、アニメ」

「見る!」ガバッ

黒イリヤかわいいよね

プリヤってなんか名前間違えられやすいよね

ssとはぜんぜん関係ありませんが、ちょっと昨日あった出来事のお話。

私が自転車でふらりとしておりますと、交差点の歩道になにやら衣服が落ちてるんですね。
黒色、いや紺色?の変わった布だなぁと思い信号待ちをしながら
はて、と思いながらそれを観察して見るに、スクール水着なんですね。
くしゃっと丸まった状態なのですが、小さい子用です。
男物ではないでしょう、布面積は大きかったです。
おそらくは小学校低学年女子児童児童が着用するであろうスクール水着が、何かの拍子で海水バッグから落ち、
私の足元にあるという状況に至ったのでしょう。

私は何もせずに信号の変化に従い自転車を発進させ、目的地に着き用事を済ませてから自転車を走らせ
また同じ交差点を通り、ああ、やっぱりまだスク水がある、と思ったけれど通り過ぎて帰宅いたしました。

本当ですよ。
信じてください。

ただ、水着を落とした女の子が困っていたら可哀想だな、と思っただけなのです。

そんだけ。

おまわりさんこっちです

おさわりまんこっちです

逃げる男友、それを追う刃物友妹。
兄弟喧嘩、いや兄妹喧嘩は熾烈を極めたッ!

「まてー! おにいちゃん!」

セリフだけ聞いたらなんだか微笑ましい感じもするのだが、その両手には刃物が煌めいている。

「待たないよ! お前が待てよ!ちょ、タンマ! もう息が………俺運動部とか入ってないんだって!」

「関係ないよ!関係ないよね―――ううん、もしかして部活やってなくてヒマだから女の子を物色してたんでしょ!」

言いがかりをつけてくる友妹。
背は低いけど、やはり小学生。走り回るのは得意そうだ。


「しかもロリコンだったなんて! 金髪の!」

「そんなことはない! 理由があるんだって!信じてもらえないだろうけど、話すからちゃんと!」

「ううん! ロリコンなのはいいの! お兄ちゃんがロリコンでも私かまわない!
でもまずは私でしょ!? ロリコンじゃないと私との関係がキマんないでしょ!
私を攻略しないの何で、どういうこと!?」

「どういうってお前………うわッ!」

妹が刃物を振り回してきた。

男友は壁際に追い詰められた。
まあ、これ以上走り回るのもご近所の目を引くので悪い展開である。

「さあ、ロリコンなの? シスコンになる? どっち?」

「何!? その二択の意味不明さは何!?」

「とにかくあの女はなんなの!? 誘拐してきたの!?」

「違うんだってだから! あの………信じろよ? そもそもあの娘人間じゃないんだよ!」

「………はぁ? え、言い訳にもなってないよ! 何それ!」

「いや聞いてくれ! まず刃物を置け警察に見つからんうちに!」

中に人なんていませんよ

「そう………うん、そうだね、まずはこんな危ないものはいらないよねっ」

友妹はどこからか取り出した、マイ刃物ケースに(刃物ケース!?)2本の凶器を納刀した。

「た、助かるが………意外に素直だな」

警察に見つかったりしたくないとか、その程度の常識はあるんだよなこいつ、かろうじて。

でも狂ってるものは狂ってるんだよ。
刺激はしないように。

「あの金髪の子については俺も困ってるんだよ………お前が考えてるようなことではないっていうか
惚れた腫れたじゃないっていうか。
男んところに預けてあるから一緒に行こう、な?」

なんとかなるだろうか。
あの金髪っ子を話題にした時点で刺激だろうか。

でも男もいるし、仲介してくれる常識人がいればなんとかなる気がする。
と、思った矢先。

男が友妹の真後ろに立っていた。

「えいっ―――!」

と、男は背後から素早く刃物ケースを取り上げた。

「これは預かっておこう」


「えっ!? え………あ、男、さん!」

「男ぉー! 助かったぜ、まじで! やっぱ持つべきものは友達だぜ!
女の扱いが極めて上手い友達だぜぇー!」

「その言い方はかなり無粋っていうか、イヤだな………」  

さすが男さん!俺達に出来ないことを平然とやってのける!

男さん淫魔さん夏休み終わりましたよ

「男さん、SSにおいて、季節の考え方ってどうなんでしょうね」

アパートに戻ると、アニメを見ながら淫魔が呟いた。
金髪っ子と並んでベッドに座っている。

「これに関してはサザエさん時空と言っていいのかもしれませんが………
リアルではもう、夏休みが終わっている頃なのだそうです。
しかしこのスレッドのタイトルでは、私が『コタツ出さないんですか』と言っています………。
あれ?もうちょっとしたらちょうどいい時期になるみたいですね」

「その問題に関してはあまり深く考えない方が………」

お前がそんな心配しなくともよかろうに。
でもいろいろ思うところがある。
何ヶ月も続けるつもりで立ったスレだったのだろうか。

「あれ? またお客さんですか、こんにちは」

俺の後ろから付いてきた友と、その妹が目に入ったようだ。
アパートの一室に合計五人は、少し狭い。

友は淫魔を見て、少し驚いたようだ。
『お前彼女いたの?』と視線で問いかけてきた。
うーん、ややこしい問題がいろいろと、同時進行だ。

「友達だよ、友達………。別にお前が思ってるようなもんじゃない」

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

何クール続きますかねぇ(ゲス顔)

さて。

この人は淫魔なんです、と友人に紹介できるだろうか。
いや、できない(反語)。

「………この人はええと、魔界から来た魔族の女子だ。
ちなみに風邪気味だから気をつけろ、双方」

と、いうことにしておいた。
………嘘は言ってないよな?

「お、おおう………えええ!?
男、お前のところにも来てたの!?
あ、はじめまして」

「あ、はじめまして! ゲホゴホッ 淫魔です!」

「おい!」

言うなや!

「え? 閻魔?」

「………そう! そうだ! その閻魔大王様だ!」

「へぇー………え、えええ!? 閻魔ってあの閻魔!?」

友が派手に退く。
派手にっていうか、本気で狼狽えている。
よぉーし、このまま突っ切ろう。

この淫靡な女は今現在は中々に豊満な体付きをしているが
それは人目を忍ぶ仮の姿。
真なる姿は泣く子も黙る閻魔大王で、本来の姿だと人間がものすごく怖がるため
いろいろ考えた結果、男好きのしそうな姿に化けて召喚した。
もちろん正体は男だ。
しかもオッサンだ!

という話をまくし立てた。

「そうだな?」

淫魔にアイコンタクトを取った。
お前だって正体を全部バラしたくはないだろう。

「………そうです!
私は―――私の霊圧は本来だと強烈に高いので、この世界の動植物に多大な影響を与えてしまうため、」

「いや、そこまででいい」

余計に設定を足すな。

―――って、聞き捨てならないセリフも聞こえたぞ?
『男のところにも来てたのか』とかなんとか。

「ええと―――この子も、この金髪の子も、そうなんだ。魔界から」

「………えっ、嘘だろ?」

「マジですよー」

と、言ったのは淫魔だった。

とりま乙

続きを!続きを提供してくれええええええええ

あげんなぼけ期待するだろ

すまぬ・・・
冨樫も今は力尽きてるし俺みたいなカスもうダメだ
気分一新で新作でも書こうかと思ってる
で、ここは完結させて、って感じにしたい
なんだかうまくいかないから

おう好きにしたらいいぜ。なんでもいいから完結したら嬉しいな

新作やるなら絶対読みたいのでタイトルか誘導オナシャス

なんでもいいけど寒い
淫魔は幸せになれますか

「幸せになれるか否か―――それは自分次第なのです」

淫魔は言う。

「それと男さん次第です。私を楽しませることができる逸材かどうか………」

お前はなんだ、王族か。

「私は違いますが、あの金髪の子は王族ですね………つまりはあの子の探しているお兄さんも
そういう方だということになります」

「ふうむ」

あの後、なんやかんやで包丁友妹をなだめ、誤解を解いて帰らせた。
まあ誤解するのも無理はない。
部屋に突然女の子が現れた、だなんて。
そんなことを言っている方がおかしいのだ

「………ていうかなんで俺の部屋に来たんだよ」

「………」

「いや、そんな、嫌とか、本気で拒絶するわけじゃないけどさ………あの子にしたってそうだ。
男友の部屋に現れて。色々面倒なんじゃないか?お前もそうだ」

「決まりといいますか、ルールといいますか。お約束といってもいいんですかね
大昔から決まっているんですよ。魔界にも伝統はあります」

「そういうものなのか?」

「とにかく私が決めたわけではないのです。男さんは、『座敷わらし』というものをご存知ですか?」

「ん?」

「座敷童子は日本の家屋、座敷や蔵などに住み着く霊的な存在です………あ、クラナドに住み着く、とかどうです?
今考えました。ギャグなんですが」

「なんで人生と呼称される伝説のゲームが出てくるんだ………ていうか先を話せ」

「はいごめんなさい………とにかく座敷わらしは私たちの祖先なのです」

「………」

「人間界に行きたかった方たちです」

お、キタな

淫魔「私以外にもたくさんいるという話です。なんでしょう………皆さんやることは同じといいますか、やはり一番乗り、というのは
簡単にはできないものですね。オリジナリティを出すのは難しいです」

男「お前みたいなやつはお前しかいないよ………そうか、たくさん来ているんだな。
思ったより、地球は侵略されつつあるみたいだ」

淫魔「それは、そうですね侵略ですか。ええ。手始めに男さんの下半身から侵略していきたいと思います」

男「侵略者がみんなお前みたいな馬鹿なら少しはマシなんだが………」

一方その頃。
女さん家。

女「ふう………やっぱり出歩いたのは行けなかったかなあ」

男くんに見つかってしまった。
金髪の魔人………魔人?で、いいのかな。
一緒にいたところを。
まいったなあ。
まいったのかなあ。

女「よくよく考えると、デートみたいに見えていた、かも」

金髪「おい、おうい女よ、ご飯はまだか」

女「………もう少しよ」

部屋からイントネーションが妙な日本語が聞こえる。
私はキッチンで一生懸命料理中だ。

料理。
一人暮らしをしているので自然と作る機会は多いけれど、上達しているとは言い難い。
今だって、作っている料理は鍋。
食材が多くて豪華な感じもするけれど、大雑把に野菜を切ってあとはガスコンロに頑張ってもらうだけのお手軽料理だ。
コタツにお鍋。
寒い季節はこれで耐える。

今までは食べきれないかもと思って控えていたんだけど、お客さんが来ているならちょうどいい。

女「もう一度聞くけれど、アンタさ、食べられないものとかある?
 ていうか地球の食べ物大丈夫?」

金髪「ううん? もう一度、ゆっくり言ってもらえないか?
  早口は聞こえにくい」

女「………」

どうも、日本語にはまだ慣れていないらしい。
魔界から来たばかりなので、普通のこと、ではあるのだろう。

金髪「お主の声は―――キンキンしていてうるさいのう」

女「そう?」

聞き取りやすいって言われたことは多いんだけどな。
友達いわく、早見沙織って人に似ているらしいんだけど。
私はあまり興味がない声優という分野なので、その時は首を傾げるだけだった。

金髪「いや、今はそうでもないのだが―――もう暴力での交渉はやめにしてくれ」

女「あの時は仕方がなかったのよ………突然部屋に現れたあんたが悪いんでしょ、正当防衛よ」

金髪「あれは痛かったが叫び声も相当であったぞ………」

こんばんはーやみん!

ちょっと近況。
SAO2面白いですね、一期も見ておけばよかった。

今期はまだよくわかりませんが
甘城ブリリアントパークの1話を見ました。テンポいいですねこりゃあ

淫魔「声優さんかぁ………」

男「ん?」

淫魔「声優さん、声優さんねえ」

男「どうかしたのか声優さんが。それとも西友の方か」

淫魔「ねえ男さん、私のCVは誰だと思いますか」

男「………いや、そんなこと言われても」

淫魔「私の声はどんな大御所声優さんがやってくれるのか、と聞いているんですキャラクターヴォイス、CV」

男「と、突然だなお前………なんだよ急に」

淫魔「いえ、この町のどこかで声優の話題が発生したような気がしましたので」

男「お前のよくわからないセンサーについてはわからんが………いや、どうでもいいのではないかと」

淫魔「どうでもいい!?」

男「あ、いや」

淫魔「男さんは声優は誰でもいいと!?誰がどんな声でも構わないと!」

男「そうは言ってないよ………」

めんどくさくなった。
こいつって急に面倒くさくなるなあ。


男「うん、声ね………わかったよ考えるよ。お前の声ね………」

下手なこと言ったらまたうるさくなるんだろうなー。
どうしようか。
ヒントが欲しいぜ。

男「………ちなみにお前はどんな感じの声を………その、目指してるんだ?意識してるっていうか」

淫魔「そんなもの決まっています、エロい声です」

男「………」

淫魔「エロい声、あ、いや………『一番エロい声を頼む』」

男「エルシャダイ風に言わなくても」

男「色気がある、ってことでいいのか?」

淫魔「ええ、そりゃあもう凄まじいくらいの色気です。覇王色の色気です」

男「はいはい………」

と、考え出してはみたものの、声優知識が半端な俺では思いつかなかった。
そういえば国民的アニメ『ルパン三世』の峰不二子役の声優が、世代交代で沢城みゆきさんになったらしい。
って、もう2、3年前の話か。
とりあえず純粋なお色気キャラという意味では峰不二子が浮かんだけど。
でもこいつは、淫魔はバラエティ枠だよなあ………

男「色気ねえ………」

思えば色気がある声、というのは少ない気もする。
いい声だなあ、可愛い声だなあと思う声優さんは増えてきているけれど。

バラエティーなら井口でいいよ

淫魔「ゆかな」

男「ん?」

淫魔「CVゆかなって憧れますよね」

男「あー………セシリアだっけ?」

淫魔「アマガミの七咲ちゃん!」

この淫魔にゆかなは無理や…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月06日 (水) 23:55:29   ID: 7yM_1qVf

続きを気長に待ってますぜ(๑╹ω╹๑ )

2 :  SS好きの774さん   2014年09月28日 (日) 13:28:25   ID: KqjY7mBx

同じく

3 :  SS好きの774さん   2014年10月16日 (木) 03:37:41   ID: guByoo7y

いいねぇ、こういう雰囲気、好きだよ。
のんびりと、続き待ってるぜ。

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