やよい「思いっきり泣いていいんだよ!」 (22)
高槻さん…?よね…?
え…どうして私のこと…あっ…!
やよい「千早さん…」
千早「久しぶりね。高槻さん」
やよい「はい!久しぶりですね!」
千早「ふふ…相変わらず元気いっぱいね…」
やよい「千早さんこそ…。お仕事楽しいですか?」
千早「ええ…楽しいわ」
やよい「ちょっとそこでお話しませんか?」
千早「ええ、いいわよ。私もいろいろ話したいことがあるから…」
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千早「ところで高槻さん…」
やよい「はい?なんですか?」
千早「家のことは…いいのかしら…?」
やよい「大丈夫です!最近は長介もかすみもよく手伝ってくれてるので」
千早「高槻さんは立派なお姉さんね」
やよい「え?そうですか?」
千早「ええ。私の理想のお姉さんだわ」
やよい「私は千早さんみたいな人がお姉さんだったらよかったのにって思う時が……あっ…ごめんなさい…」
千早「いいの。私はもう大丈夫だから。皆のおかげよ」
やよい「でも…」
私はアイドルを辞めていました。
今年の7月、学校が夏休みに入ると同時に、受験の準備で忙しくなったからです。
千早さんと会うのは3か月ぶり、とても懐かしい…千早さんの匂いです。
千早「高槻さん…?」
やよい「千早さん……」
やよい「お仕事…楽しいですか?」
千早「ええ…楽しいわ」
やよい「嘘吐かないでください…」
千早「本当よ…」
やよい「本当に…本当にお仕事が楽しいなら…そんな顔…」
しないでください…
千早さんは泣いていました。
やよい「千早さん…何があったんですか…?」
千早「言えないわ」
やよい「言ってください」
千早「無理よ」
やよい「言ってください」
千早「………」
やよい「言ってください。千早さん」
千早「言えないわ…だって…何もないんだから」
何もないのに
何もしてないのに、何もされてないのに、何もできないのに
何もしてないから、何もされてないから、何もできないから
心が何もなくなって、ただただ切なくて泣きたい時ってありますよね
千早「私…何もできないの…」
やよい「何も…ですか?」
千早「私も…何もできないの…」
やよい「千早さん……?」
千早「高槻さん…あなたも…そうだったでしょう?」
やよい「……」
何もできないのに
何もできないクセに
何もできないからって、無理に笑って
そんな千早さんの言葉が胸に刺さります。
そう思えば…そうかもしれません…
いつも私は無理に笑っていました。
伊織ちゃんじゃないですけど…強がって。
春香さんじゃないですけど…気を張って。
千早さんじゃないですけど…涙をこらえて…。
千早「何をやってもダメ。何度やってもダメ」
千早「そんなに思い通りにいかないわよ。世の中は」
千早「あなたが作り笑いをして幸せになる人なんていないのよ」
千早「強がっていて出来ることなんて何一つないの」
千早「あなたは弱いのよ…。弱さを怖がってはいけないわ…」
千早「全部…私がプロデューサーに言われたことよ…」
千早さんは泣きながら言いました。
千早さんはきっと私にも同じことが言えると思って、千早さんの言葉にして言ってくれたんだと思います。
途中、私も怖くて泣いてしまっていたので、よく聞こえませんでしたが
空だっていつも大らかじゃない。冷静さを失って泣くことだってある。とか言ってたと思います。
やよい「雨…ですか…?」
私はふいに聞いていました。そんなこと言ってないかもしれないのに。
千早「そうね……」
沈黙が怖いです。
外は雨が降っていました。空が泣いていました。
静寂の行方を、雨の音に委ねます。
千早「空は…泣いたままじゃ終わらないわね…」
やよい「虹…ですか…?」
千早「私たちには…虹が架けられるかしら…?」
やよい「私は空になったことがないので…わかりません」
小鳥さんじゃないですけど…
やよい「私はまだ…一回りとちょっとしか生きてませんけど…」
やよい「今…千早さんの話を聞いて、行き止まりに居るんだなって思いました」
やよい「プロデューサーが教えてくれたんです」
やよい「壁に当たったら登ればいいって」
やよい「でも焦っちゃいけないって」
やよい「私は…まだ飛べないから…」
夕立はすぐに止みます。
空が晴れました。空が笑いました。
私は空に負けないくらいの笑顔で言います。
やよい「空になれなくたって、いつかは空を飛びます」
やよい「今は羽根が傷ついてるから、飛べないだけです」
やよい「私の傷が治って、千早さんの傷が治ったら一緒に飛びたいです」
虹が見えました。
空が晴れることを『空が笑う』、雨が降ることを『空が泣く』、と表現するなら
虹が架かるのは…『空が泣き笑いする』…といったところでしょうか。
『泣き笑い』で思い出しました
あの時、定例ライブで歌った【約束】
やよい「あの時の千早さんは笑っていました」
千早「あの時…?」
やよい「綺麗な虹でした…」
千早「そう…」
やよい「千早さんは…もう飛べますか?」
千早「まだ飛べないわ…」
やよい「重い物を背負っているなら下ろしてください」
やよい「大事な物なら一緒に持ちます」
やよい「千早さんも私を手伝ってください」
千早「分かったわ…」
やよい「重い物を下ろすとき、どうすればいいか知ってますか?」
千早「分からないわ…」
やよい「私は弟や妹が泣いてるとき、どうしたの?って聞かないんです」
千早「どうして?」
やよい「重い物を持っている人に私が乗っかったら潰れちゃいます」
やよい「だから先に重い物を下ろしてあげるんです」
やよい「その時私はこう言うんです」
やよい「思いっきり泣いていいんだよ」
あれ?おかしいなおちんちんから白い汁が
おつおつ
やよいに違和感がある
私と千早さんは抱き合っていました。泣き合っていました。
雨は止んだはずなのに…
雨が止んでいません。雨が止んでいません。
何時間ぐらい経ったでしょうか?
20時間以上経っている気がします。
本当にそんなに経っていたら長介たちがお腹空かせちゃいますね。
千早さん…千早さん…
やよい「雨は…止みましたか?」
千早「雨は…止まないわ…」
千早「でも…晴れたと思う」
やよい「天気雨…そんな空もありますね…」
やよい「千早さんは一人じゃありません。絶対誰かが隣にいて支えてくれていますから…」
やよい「私も…千早さんの隣にいたいなって…」
千早「高槻さんは固くも強くもない、涙で濡れてばかり」
千早「でもあなたが歩いてきた真実だけは誇っていいの」
お互いに、笑い合いました。笑顔が出逢いました。
やよい「千早さん、今晩…家でご飯食べて行きませんか?」
千早「ええ…お邪魔するわ…。ありがとう、高槻さん」
二人で手をつないで歩いてこんな話をしました。
やよい「家に着いたら『ただいま』ですよ。千早さん」
千早「今日は…高槻さんがお姉さんね」
やよい「千早さんがお姉さんです」
千早「いいえ、高槻さんよ」
千早「私ね…高槻さんみたいなお姉さんになりたかったの」
やよい「私も…千早さんみたいなお姉さんを目指します」
そんな話をしている内に、もう家の前です。
風が優しく包んでくれます。
千早「風…冷たいわね」
風で冷たくなった手を、お互いの手が優しく包み込みます。
やよい「ただいま!」
「やよい姉ちゃんおかえりー!」
千早「ただいま!」
「……?」
やよい「おかえり!千早お姉ちゃん!」
風が優しく包みます。声が響きます。
『雨…止んだよね!』
終わりです。
SEAMOのCry Babyという曲にクロスさせて書いてみました。
やよいに違和感があるのは、1年経ってやよいは大分大人っぽくなったとか、適当な脳内補完でよろしくお願いします。
乙
やよいのスレタイの台詞からおかしい
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