魔王『今から勇者を殺しに行くから、待っててねー』
勇者「えっ……えっ?」
魔王『それじゃあ、またあt「ちょっとまてええええええええええええええええ!」
魔王『え? あれ、何かおかしかった?』
勇者「何かじゃないだろ! 何もかもおかしいから! ツッコミどころが多すぎて逆に何も言えないくらいだから!」
魔王『えー、完璧だったと思うんだけどなぁ』
勇者「良し分かったとりあえずお前がバカだってことは良く分かった。その上で1つずつ質問に答えてくれ」
魔王「ふむ、良かろう。めーどの土産に何でも答えてやる! ……今の魔王ぽかったよねっ!?』
勇者「(辛うじてツッコミを堪える)……まず聞きたいんだが、この頭に響く声はなんだ?」
魔王『なんだ、って言われてもわたしの声だけど。対象の相手と頭の中で会話できる魔法があるの。こう、脳波をばばばーって感じで」
勇者「魔法ね、相変わらず何でもアリだな……。で、次だが。……え、なに、お前魔王?」
魔王『そうだよ! 証拠は出せないけど、でもこの威厳溢れる声を聞けば嫌でも信じざるをえにゃい……得ないでしょ!』
勇者「(噛んだな……)俺の知ってる威厳と違うんだが、なんかもういいや……。
で、一番聞きたいことなんだが、なんでこんなことしてんだ?」
魔王『えへへー、聞きたい? 聞きたいよね?』
勇者「(うぜぇ……)はい、オネガイシマス」
魔王『なら教えてあげる。まず私は魔王だから、勇者であるあなたを殺さなきゃいけないのは分かるよね?」
勇者「すげぇ理不尽だが、まあそれは仕方ないな。俺も勇者だからお前を倒さなきゃいけないわけだし」
魔王『そうそう。でも魔王ってそれだけじゃ駄目だと思うの。
勇者が人間たちの憧れであるように、魔王は人間たちの恐怖じゃなくっちゃ』
勇者「それはまあ……。今現在恐怖というものはまるで感じられないわけだが」
魔王『で。わたしが姿を現せば当然誰もが恐れおののの……の、の「慄く、な」……おののくわけだけど、
やっぱりやるからには徹底的に怖がってもらわなくちゃ魔王の名が泣いちゃうよね。
と。いうわけで。誰もが怖がる怪談を模して、ジワジワと迫りくる恐怖を味わわせるの! どう? 恐れ入った?』
勇者「……ああ、恐れ入った。恐れ入りすぎて頭痛くなってきた……。それで、怪談の中からメリーさんをチョイスしたってわけか」
魔王『そういうこと。側近に聞かせてもらった時は怖くて夜も眠れなかっ……いや、わたしは全然怖くなかったけど!
でも人間相手なら丁度いいくらいかなって!』
勇者「ああうんそうっすね」
魔王『とにかく! わたしが今からそっちに向かうから、精々恐怖に怯えながら待っているがいいわ!』
勇者「……いや、あの、凄いやる気になってるしこれはツッコんじゃ駄目かなと思ってたんだけどさ……逆じゃね?」
魔王『えっ?』
勇者「メリーさん的にはこっちにくるのは正しいけど、魔王的には俺が行くのを城で待ってなきゃ駄目じゃね?」
魔王『うっ……そう言われるとそんな気も……』
勇者「もしかして、その辺り考えてなかった?」
魔王『どうしたらもっと怖くなるかに拘りすぎて、そんなことまで気が回らなかった……』
勇者「本末転倒じゃねーか」
魔王『で、でももう準備もしちゃったし、みんなにも行くって言っちゃったから後には引けない!』
勇者「無駄に行動力高いなおい! ってか周りは止めろよ何で送り出す姿勢になってんだよ!」
魔王『大体、魔王がお城で待ってなきゃいけないなんて誰が決めたのよ? 別にわたしから出向いたって問題ないでしょ!』
勇者「問題大アリだから! 仮にも王なら城に居ろよ!
こっちの王様なんて椅子から動いてるとこすら見たことねえぞ言っててむなしくなってきたわ!」
魔王『うーるーさーいー! 行くったら行くの! じゃあまた後で連絡するから、逃げないでよね!』ブツッ
勇者「あ、おい! ……切れたみたいだな、なんだったんだ一体。ってかメリーさんならまた連絡するとか言っちゃ駄目だろ。
そもそもメリーさん『もしもし』とか礼儀正しく電話してこねえよ。あ、やばい今更になってツッコミが沸々と湧き上がってきた」
勇者「…………………………」
勇者「……とりあえず、朝めし食うか。それから寝よう。もしかしたらこれ全部夢かもしれない……ってのはないんだろうなちくしょう」
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