垣根「『ていとくん』って何?」(413)
垣根「『ていとくん』って何?」
心理定規「あだ名でしょ」
垣根「誰の?」
心理定規「あなたの」
垣根「……」
垣根「え?マジで??」
垣根「てっきり何かのマスコットキャラクターの名前かと思ってたぞ。
平仮名5文字で語尾が『くん』とか」
心理定規「帝督に『ん』を付けて『ていとくん』なんでしょ」
垣根「なるほど」
垣根「……」
垣根「何かバカにされてるような気がする…」
心理定規「どっちかと言うと愛称じゃ?可愛らしい名前じゃない」
垣根「ダメだ。どうしたって蔑称にしか思えねえ」
心理定規「あなたってそんなにネガティブだったっけ」
あ
垣根「どうしてこうなった!?第1位じゃないから、こんなわけわからん蔑称が付いたのか!?
はっ、何もかも一方通行のせいというわけか。やっぱあいつは殺す必要があるな」
心理定規「何その責任転嫁(というか一方通行にもあだ名はあるけど。敢えて言ったりはしないけど)」
垣根「というわけで第1位を潰す」
心理定規「いってらっしゃい」
垣根「え?お前は?」
心理定規「買い物でもしてくる」
垣根「俺たち同じスクールじゃなかったか」
心理定規「だってそれ、単にあなたの私的な問題じゃない。私まで動く義理はないわ」
垣根「あのな。前にも言ったと思うが、いずれ俺はあいつを潰す予定だった。
1位の座をもぎ取り、アレイスターとの交渉権を握るためにもな。もちろん、そのときには
俺のみならずスクールにとっても良い条件を、あいつから引き出すつもりだ。お前にだって利益はあるぞ」
心理定規「だとしてもパス」
垣根「つれないこと言うなよ…」
心理定規「一方通行に私のメジャーハートが効くとは思えないから。知っての通り、私の能力は
対象の『他人に対して置いている心理的な距離』を識別し、その心理的距離を自在に調整できるもの。
普通の超能力者や一般人ならともかく、あんなイレギュラーには使いたくないわ」
垣根「…ははっ。お前、もしかして、あいつには『攻撃を躊躇させるほどの親しみのある他人』がいないって、
そう思ってんだな?確かに、あいつには黒い噂がいろいろあるからな。そう思うのも無理はねえ。けどなぁ…
俺は知ってんだよ。あいつにも一応『守ってやらなきゃいけねえ存在』はあるってことが。
アレイスターもそう言ってたぜ。確か打ち止めとかいう小さな少女だったか」
心理定規「いや、知ってるけど」
やっぱ携帯じゃ無理が… 素直にPCにしよう
垣根「え?」
心理定規「知ってて敢えて言ってんのよ。そもそもあいつの反射に効くかどうかもわかんないし、
仮に効いたにせよ、『可愛さ余って憎さ百倍』って言葉があるじゃない?だからパスって言ったの」
垣根「あぁそう。もういいわ、俺一人で潰す。っていうか、元からお前は宛てにしちゃいねえんだよ」
心理定規「(え?逆切れ?こんなんだから『ていとくん』って呼ばれんのよ)
垣根「お前の手がなくても、俺には人質って手があるからな。これであの一方通行も終わりだ」
心理定規「人質がないと勝てないってのも、何か情けないわね」
垣根「感情を操作するお前には言われたくねえよ!っていうか、別になくても勝てる」
心理定規「…強がり?」
垣根「おいコラふざけんな。俺の未元物質をお前も知ってんだろう??常識が通じないだけに
反射も効かねえんだからな。1位1位言うが、本来あんなヤツ俺の敵でもねえ」
心理定規「じゃあ、正々堂々戦ったら?」
頑張ります
垣根「…冷蔵庫」
心理定規「え?」
垣根「あいつと戦ってたら、いつのまにか冷蔵庫になってた」
心理定規「それ日本語?」
垣根「人の話を最後まで聞け!!とにかくな、そんな夢を昨日見たんだよ」
心理定規「(どういうリアクションをとれば良いのかしら)」
垣根「何かとてつもなく嫌な予感がするんだよ…普通に戦ったらやばいと、俺の本能が告げてる」
心理定規「意味がよくわからないけど、そうなら戦うのやめたら?」
垣根「そういう問題じゃねーんだよ。たとえ死んでも『ていとくん』ってだけは呼ばれたくねえ!」
心理定規「難儀な人ね…」
垣根「というわけで、俺はこれから打ち止めってのをさらってくる」
心理定規「そう。頑張ってね」
垣根「マジで手伝う気ねえんだな」
心理定規「そんなに手伝ってほしかった?」
垣根「結局お前はどうしたいのよ…」
心理定規「買い物」
垣根「いってらっしゃい」
……
垣根「いやいや、俺も出かけねえと」
垣根「確かアレイスター情報だと、大体この時間帯ならこのコンビニ周辺にいるはず。
最近は『おっとっと』に『キャベツ太郎』、『バブルソーダガム』や『たけのこの里』にはまってるとか何とか。
…純粋に思うんだが、何で商品の銘柄まで知ってんの?詳しすぎじゃね?
ストーカーの域がじゃねえかアレイスター。プライバシーも糞もねえな」
打ち止め「あれぇ!?どうして今日に限って『おっとっと』も『キャベツ太郎』も
『バブルソーダガム』も『たけのこの里』も売り切れなの!?ってミサカはミサカはひどく憤慨してみる!!」
垣根「しかも当たってるし。…にしても4つともピンポイントで売り切れとは。運が悪いにもほどがあんぞ」
打ち止め「うぅ…どうしよう。他のお店に行けばあるかもってミサカはミサカは自分を奮い立たせてみる!!」
垣根「あきらめて外に出てきたか。よし、捕まえるなら今だな。
どういうわけかは知らんが、ちょうど一方通行もいないし」
打ち止め「あ!あなたは10032号!!ってミサカはミサカはとりあえず確認してみる!」
垣根「!?」
御坂妹「おや、こんな所で会うとは奇遇ですねと、ミサカは挨拶代わりにそう言い放ちます」
打ち止め「どうしてあなたはここに?」
御坂妹「今から夕食の買い出しに行くところです。そう言うあなたは?とミサカは聞き返します」
打ち止め「ここのコンビニに立ち寄らなかったってことは、近くのスーパーに行こうとしてるんだよね!?
私も買いたいお菓子があるから、そこまで一緒に行こうよってミサカはミサカは提案してみる!!」
御坂妹「とりわけ拒む理由もありませんと、ミサカはその提案を承諾します」
垣根「邪魔が入ったか…。まぁ、一人増えたところで俺の能力をもってすれば簡単にさらえるが…
対象とは関係のない人物まで巻き込むのは俺の流儀に反する。明確に邪魔してくるなら容赦はせんが。
なぁに、時間はまだあるんだ。余裕をもって、その隙をうかがうさ」
その頃
黄泉川「あれー?また打ち止めいなくなってんじゃん。というわけで、一方通行!」
一方通行「…まったくもって嫌気がさすぜェ。すっかりお決まりのパターァンになっちまった」
黄泉川「私の言いたいことは伝わったようだね」
一方通行「ったりめーだろォ!?何回同じやり取り繰り返してると思ってんですかァ!?
探しに行けばいィんだろ探しに行けば。ったく、すぐ目ェ離せばこれだ…」
そして、再びその頃
上条「ったく、インデックスのやつ…おやつが切れたからって菓子を買い占めてこいなんて
狂気の沙汰じゃねえぞ!?おかげで上条さんの財布は底をついてしまいましたよ」
??「キャ!」
上条「うお!?すみません!ケガはありませんでしたか!?」
心理定規「あ、はい、大丈夫です。こちらこそよそ見をしててすみません。
(あれ?この人…もしかしてアレイスターが言ってた幻想殺しの少年?
顔写真で見た人と一致してるわ。へぇ…彼があの一方通行を)」
上条「?どうしたんですか?」
心理定規「あぁ、何でも。…ねえ、せっかくですし、どこかでお茶なさらない?」
上条「…え?今…何と?」
心理定規「どこかに食べに行きません?とお誘いしてるんですよ。…ご迷惑でなければ。
(垣根が倒そうとしてる第1位を倒した少年。どういう人間なのか、純粋に興味があるわね)」
上条「い、いやいや!ご迷惑とかとんでもないですよ!(これって…あれか?まさかの逆ナンってやつか??
まさかこんな日が来るなんて…。不幸体質だっただけに明日にでも空から隕石降ってきそうで怖いぜ…
あ!ちょっと待て!?今俺の財布の中身って…)」
上条「…あの、お誘いいただいて悪いんですが…。というのも、さっき買い物したばかりで
お金がほとんど残ってないんです…(やっぱ不幸だった)」
心理定規「あら、そうだったんですか。通りでそんなに買いこんでらしたのね。
…もしかしてお菓子ですか?」
当たり前だが、あまりに買いすぎてしまったためか、ビニール袋がパンパンになってしまってる。
その入り口からスナック菓子の先が覗いてるというのは、決しておかしなことではない。
上条「そうですね…ははっ…。ちなみに、全部お菓子なんですよ。知り合いに頼まれまして…」
心理定規「そういうことでしたらそのお菓子、私に少し分けていただけるかしら?
代わりに食事代は私が出しますので」
上条「えぇ!?(菓子少しと食事って、明らかに値段釣り合わなくないか!?
いや、万一釣り合ってたにせよ女性に奢らせるというのは何とも気分が…)」
??「こぉら!!見つけたわよッ!!ゲコ太シールを買い占めたのは…あんたねぇ!?
あんたでしょ!?その手に持ったはち切れんばかりの菓子袋がその証拠よッ!!」
上条「いぃ!?御坂!?いや、俺は決してシール目当てではなく中身のチョコレーt」
美琴「言い訳はいいわ!!今日という今日は…許さないんだからぁ!!」
上条「うおおおお!?落ちつけ!電撃はやめろって!!…くそ!」
彼の右手がそれを打ち消す
心理定規「(今のが幻想殺しね。そして向こうは…第3位の超電磁砲か。
彼女ともできればお茶したいとこだけど、この様子じゃ無理そうね)」
上条「くっ!逃げましょう!」
上条は、心理定規の手を取り走り出す。別に一緒に逃げる必要はなかったのだが…
いつもの彼の人を助ける癖か、つい反射的に手を取ってしまっていた。
一方通行「どこ行きやがッたあのクソガキ。最寄りのコンビニと言えば
この辺だよなァ?中にはいねェっぽいが」
海原「僕としたことが…美琴さんを見失ってしまった」
一方通行「……」
一方通行「(見なかったことにしよう)」
と思いかけた一方通行だったが、コンビニでうろうろしていたのなら
打ち止めを目撃している可能性もある。癪だったが、とりあえず話しかけた。
海原「!?見つかった!?トラウィスカルパンテクウトリの槍!」
一方通行「無差別に口封じですかこの野郎ォ」
海原「はっ、いけない。正気に戻らなくては」
とっさに取りだした黒曜石のナイフをしまう海原
一方通行「ストーカーしてる時点でもはや正気じゃねェけどな」
海原「一方通行さんじゃないですか。何か用ですか?」
一方通行「切り替わり早ェなお前…。この辺で打ち止め見なかッたか?」
海原「あぁ、彼女なら見ましたよ。方向から察するに…
近くのスーパーにでも行ったんじゃないですかね」
一方通行「そォか。報告ご苦労さン」
海原「あの、僕からも聞きたいんですが美琴さんを見かk」
一方通行「知らねェよッ!!!」
その頃、彼の探す打ち止めは
打ち止め「ちょっとー!どういうこと!?何でここにも『たけのこの里』がないのかなぁ!?
ってミサカはミサカは地団太を踏んでみる!」
御坂妹「『バブルソーダガム』だけでも、あっただけ良かったではないですか。それに『たけのこの里』の
代わりとなる『きのこの山』ならたくさんありますと、ミサカは購入の検討を薦めてみます」
打ち止め「『きのこの山』も嫌いじゃないけど…この前食べすぎちゃったからいいのって
ミサカはミサカはその検討を拒否してみたり」
御坂妹「しかし、味は同じチョコレート味ですと、ミサカは」
垣根「食感が全然違うだろ!?」
御坂妹「えっ」
垣根「えっ」
垣根「(!?思わず突っ込んじまいやがった…)」
垣根はそばを離れる
打ち止め「?どうしたの10032号?」
御坂妹「…いえ、それでも食感が違うと、ミサカは
愉快な誰かさんの助言により訂正させていただくとします」
垣根「(やべえ…今のはマジで危なかった。打ち止めのほうに気付かれてないだけでもよかったか)」
打ち止め「それにしても『おっとっと』も『キャベツ太郎』も無いってどういうことなのかな!?
ってミサカはミサカはあまりの事態のありえなさに困惑してみる!!」
御坂妹「売り切れ…というわけではないようです。おそらく、そもそも入荷自体されていない
商品だったのではないかと、ミサカは静かに分析してみます。コーナーやそれと思しき棚もありませんし」
打ち止め「スーパーって何でもあるわけじゃないんだね…とミサカはミサカは落胆してみたり」
御坂妹「私は買い出しが終わりましたが、あなたはこれからどうするので?」
打ち止め「うーん、まだ(外が)明るいし、他のお店にも行って探してみようと思う!」
御坂妹「わかりました。あなたの健闘を祈って、ミサカはこれを別れの言葉とさせていただきます」
打ち止め「ここまで付き合ってくれてありがとねー!ってミサカはミサカはお礼を言ってみたり!」
垣根「(これでようやく一人になったな。期は訪れたというわけだ)」
携帯から失礼…。今更ですけど時間軸は15巻あたりの、まだ特に死人も出てないようなとこを
書いてるつもりです。ただ15巻時に日本にはいなかったキャラも出てくるかもで
そこは見逃してやってください…
上条「…すみません、思わず手を取って走ってしまって」
心理定規「それはいいのだけれど、走ったから汗をかいてしまったわね」
上条「あ、それならハンカチを…!あれ、ない…(ポケットに入れ忘れた…不幸だ…)」
心理定規「いいわ、私もってるもの。それより走らされた分、本来しようと思ってた買い物が
できなくなっちゃった。お店も離れたし、時間も奪われたものね。だから、私の言うこと聞いてくれる?」
上条「それはそれは、何なりと…」
心理定規「食事代を私に支払わせる気にはなったかしら?」
上条「ええ!?でも」
心理定規「言うこと聞いてくれるんじゃなかったのかな」
上条「う、うーむ(なるほど、逆手に取られた。…さすがに、ここまで親切にされて突っぱねんのは失礼だよな)
じゃあその好意、ありがたくいただこうと思います!」
その頃
一方通行「スーパーの中にもいないみてェだが…。一体どこまで行ったんだァあのクソガキは」
結標「……」
食い物…ダークマターってどんな味がするんだろう
一方通行「…何だァありや」
結標がスーパーの看板近くで腰を下ろしていた。ただし、何かから隠れるように。
一方通行「(見なかったことにしよう…)」
と思いかけた一方通行だったが、スーパーの外でたむろってたのなら打ち止めを目撃している可能性もある。
癪だったが、とりあえず話しかけた。デジャヴなのは気にしない。
一方通行「お前、何してンだ?」
結標「っ!!」
一方通行「あ」
結標のそばにあった看板が消滅していた
結標「ちょ、ちょっと!?あなたが驚かすから!うっかり看板をどっかに飛ばしちゃったじゃない!?」
一方通行「うっかりってレベル超えてンぞそれ…お前危険すぎ」
結標「って、やば!今顔を出したら…って、どうやらもういないようね」
一方通行「面倒だが聞いてやる。何やッてたのお前?」
定規の参考画像は?
結標「…私が以前、とある空間移動能力者の風紀委員と対峙したのは知ってるわよね?
さっきまでそいつが近くにいたから。だから隠れてた。だって気まずいでしょ?何んとなく」
一方通行「ところで話は変わるけどよォ」
結標「今の私の話、聞いてなかったでしょ」
一方通行「打ち止めを見なかッたか?こっちに来たみたいなんだがなァ」
結標「あの小さな女の子のこと?スーパー出て駅の方へと行ったけど?」
一方通行「…ため息が出るな。一体どこまで捜索範囲広げるつもりなんですかねェあのガキは」
その打ち止めはというと
打ち止め「だ、大丈夫!?ってミサカはミサカはとても心配してみたり!」
垣根「いってええええええぇぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇええぇぇっ!!!」
頭をさすり、のたうち回る垣根を心配していたのであった。
垣根「(な、何が起こった!?今!何が起こった…ッ!?)」
突然頭上から看板が降ってきた
>>33
実は彼女の公式絵は、15巻のスクールの面々が載ってる挿し絵一枚しかなく…
検索したら出てくるとは思いますけど
いつもの彼なら未元物質で打ち消すこともできたのだろうが…なんせタイミングが悪すぎた。というのも、
打ち止めを背後から捕まえようとした直後の出来事だったのである。彼は一方通行とやり合うまで
人質に傷をつけるようなマネはしない。であるがゆえに、害が及ぼす可能性のある未元物質の機能を意図的に
この時シャットアウトしていたのであるから。もちろん完全にではないが(打ち止めにも電気攻撃があるので)
垣根「(この看板が小さかったからよかったものを…。もし大きく打ちどころが悪かったら
俺今頃昇天だぜ?誰の仕業かはわからんが、この学園都市第2位様に一撃を加えたことだけは誉めてやる)」
垣根は無駄にダイナミックな動きで、急いでその場から離れた
打ち止め「ちょ、ちょっと!ケガしてるみたいだったけど大丈夫なの!?ってミサカはミサカは…
っていなくなっちゃった。まぁ、あんなに元気よく跳び上がれるんなら大丈夫だよね?って
ミサカはミサカは安心して心を落ち着けてみる」
??「ど、どうしたんですか!?今こっちの方から悲鳴が聞こえたんですが…」
打ち止め「?お姉ちゃんは?」
初春「風紀委員の初春飾利っていいます。お譲ちゃん、今何があったのか見てたかな?」
打ち止め「うーん、よくわかんないけど、たぶん何でもないと思うってミサカはミサカは告げてみたり」
初春「そっか。教えてくれてありがとね。(おかしいなぁ…どう考えても悲鳴が聞こえた気がしたんだけど)」
そのときだった。不意に、打ち止めの目が初春の手提げ袋からはみ出してるものに釘付けとなった。
初春「?どうしたのお譲ちゃん?」
打ち止め「そ、それ、もしかして…っ!」
初春「ん?もしかして、このお菓子のことかな?」
それも、打ち止めが探してる一つである『キャベツ太郎』だったのだ。
初春「…はい!」
打ち止め「え!?このお菓子くれるの!?」
初春「もちろんです。(ホントは佐天さんに頼まれたものだったけど…まぁ、たまにはいいよね)」
打ち止め「ありがとうお姉ちゃん!!ってミサカはミサカは目を輝かせて感謝の意を伝えてみる!!」
そしてその頃、上条たちはとあるファミリーレストランへといた。
上条「(本当はインデックスもここに連れてきたかったが…いやいや、そんなことをしたら彼女の
金銭的負担が増えて申し訳ないし、というか、いつもいつも俺が買い出しに走らされ料理をやらされ、
そして噛みつかれてんだから…たまには良い思いをしたっていいはずだろう!?うむ、そう言い聞かせよう)」
心理定規「ところで、そのお菓子袋見せてくれないかな。さっきから気になってたの」
上条「え?あ、あぁ、そっか。そういやお菓子をあげる約束でしたね。どうぞ。…しっかし」
どうにも、こんなどこにでもありそうな駄菓子と『彼女』との釣り合いが取れない。
金銭的な意味ではない。ようやく落ち着いた今だからこそわかるのだが、彼女は派手目のドレスを着ている。
顔もどこか日本人離れしていて、いかにもなお嬢様と見えたからだ。もっとも、同じお嬢様といっても
その雰囲気は美琴やどこぞやの風紀委員とは違うものだったが。
上条「(こんな庶民っぽい食べ物を…ね)」
心理定規「あら?私がこのお菓子に興味を示すことがそんなに不思議かしら?」
どうやら顔に出てたらしい
心理定規「確かに、普段私はこういった類の物は食べないわ。だからこそ興味があるの」
上条「(なるほど…彼女からすれば珍しいわけか。ま、何にせよ気に入ってもらえたのなら何よりだ)
好きなものがあるなら、自由に取ってもらっても構いませんよ。さすがに全お菓子の半分はきついですが…」
いくらなんでも、そこまでインデックスを足蹴にはできない。
心理定規「最初に言ったでしょ?『少し』だって。そんなに心配しなくても大丈夫よ」
さすがに外食店なだけあってその場で菓子袋を開封することはなかったが、その袋の外見、パッケージや
イラストを彼女はくまなく見ていた。中身以外であったとしても、その様は珍しかったのかもしれない。
心理定規「♪」
上条「(あぁ…この楽しそうな笑顔が見れただけでも、今日上条さんは
ココに来た甲斐があったというものですよ。あれ?そう言えばまだ名前すら聞いてなかったな…)」
自己紹介をしようかと思った、その時だった。近くの席から怒声のごとく声が発せられる。
麦野「はーまーづーらあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああッ!!!」
嗚呼…。まさに、こういうのをKYって言うんだろうなと噛みしめた上条少年だった。
麦野「頼んでたはずのロールケーキがないって、どういうことだコラアァ!?」
浜面「いや、だって売り切れだったし…」
麦野「だったら他の店へにでも行け!てめえについてるその足は何だ??ただの飾りか!?
それくらいの機転はな!小さな子供にだってできることなんだよォー!!」
打ち止め「はっくしょん!」
誰かが噂したような気がしたが…。まぁ気のせいだろう。
打ち止め「うーん、暗くなってきたってのもあって少し冷えてるのかも。
これは早くお菓子を買え揃えないとまずいかも!ってミサカはミサカは少し焦ってみたり」
というわけで、駅前のコンビニへと急ぐ打ち止めなのであった。そして場面は戻る。
浜面「これでも俺、頑張ってきた方だと思うんだけどな…」
フレンダ「確かに、見事にロールケーキ以外は買い占められてるね」
絹旗「『たけのこの里』だってこんなにいっぱいあるし…浜面のくせに生意気です」
麦野「いやいや、こんなの子供のお使い程度だから。誉めるに値しないっての」
絹旗「そういうことを言ってるのではなく。浜面程度が『たけのこの里』を
大人買いしてみたという、その豪快極まりない事実が問題なんですよ」
浜面「もうなんか意味不明なんだが…。お前、俺を叩こうと思えば理論すら壊すだろ?」
滝壺「大丈夫。私はそんな大人買いする浜面を応援してる」
浜面「毎回毎回大人買いする人間って、何か嫌なヤツっぽくね!?
っていうか俺は違うからな!?基本的にはこいつらの指示なんだからな!?」
フレンダ「でも、浜面だって嫌々大人買いしてるわけじゃないんでしょ?」
絹旗「それを人のせいにするとか、マジ最低ですよねー」
浜面「何このひどい仕打ち」
その頃
美琴「結局あいつはどっかに行っちゃったし…。ええい!!こうなったら甘いもんでも食べて
ストレス発散するわよ!!というわけで今スーパーにいるわけだけど…何だこりゃ。
なにゆえ『たけのこの里』が売り切れで『きのこの山』がこんな大量に余ってるわけ…?
何かしらの陰謀を感じるわ。…まさか!これは、私に『きのこの山』を買えっていう何かしらの
お告げ!?そりゃ私だってどっちかと言うとたけのこよりきのこのが好きだけどさ…」
黒子「お姉さまの好物を、また一つ発見いたしましたわーっ!!お姉さまは
『きのこの山』派だったんですね!頭の中に刻んでおきます!!もう、お姉さまったら…
そうならそうとこれまででも私に言ってくださればよかったのに」
美琴「あんたどこから!?」
黒子「とにかく買い占めましょう!!」
美琴「え??ちょ、ちょっと、待」
棚の『きのこの山』を全部カートに乗せ、レジへと突撃する黒子
美琴「あんなに買いこんで一体どうするつもりよ…」
ふと思った。そういえばあいつはどっちの派なんだろうなって。気付いた時には電話をしていた。
まぁ、よしんば買いすぎたのを食べてもらおうかなって算段もあったんだけど。
上条【ん?お、御坂じゃねえか。お前から電話って珍しいな。どうしたんだ?】
ここでふと、美琴は我に返った。私は一体何をやってるのかと。
今から自分がこいつに聞こうとしてることは、相当にくだらないことなんじゃないかと…
美琴「あ…え、ええっと…??私は何を言おうとしてたんだっけ…」
上条【おいおい、さっきはあんなに怒り飛ばしておいて今度はそれか。よくわからんやつだな】
美琴「よくわからないですって…?!」
そこで美琴の闘争本能に再び火をつけた
美琴「誰のせいでこんなことになっとると思ってんだゴルアアァァァァァ!?
いいから教えなさい!!あんたは『たけのこの里』と『きのこの山』、どっちが好きなの!!?」
上条【み、御坂…?】
黒子「お姉さま…?ど、どうされたので…?」
買い終わったのか黒子が戻ってきていた。とても心配そうな目をしていた。
美琴「(やってしまった…)」
上条【え、ええっとだな…。質問の意図はわからんが、敢えて言うなら『きのこの山』かな】
美琴「!!」
それを聞いた瞬間だったろうか、これまでのフラストレーションが一気に引いていくのがわかった。
美琴「そ、そうよねー!私さ、あんたなら『きのこの山』って言うと思ってたのよ!!
ちょうどいいわ!!買いすぎちゃったからあんた食べていいわよ!!」
上条【え?え?】
美琴「というわけで、今から例のいつもの公園まで来ること!!待ってるから!!」
そして唐突に電話は切られる
上条「何なんだ一体…」
心理定規「どうしたの?」
上条「自分にもよくわかんないんすけど、何か用事ができたっぽくて。あのビリビリめ…」
心理定規「ビリビリって、もしかしてお相手はさっきの超電磁砲さんかしら?」
上条「そうですね。ホント、いつもいつも破天荒なやつで…」
心理定規「仲がよろしいのね」
上条「い、いや…仲が良い…のか?無関心ではないのは確かっぽいけど。たぶん悪い意味で…」
一方通行「さて。駅前近くに来たはいいものの、あいつはどこ行きやがッた?
まさか電車乗っちゃったとか、そんな愉快な話はねェよなァ?骨が折れるってレベルじゃねェぞ」
小萌「土御門くーん!どこに行ったんですかー?先生怒りますよー!」
土御門「いいぃぃ!?おいステイル!人払いの術が効いてねえぞ!?どういうことだにゃぁ!?」
ステイル「僕に言われても困る!人払いはちゃんとやってるぞ!?術式範囲から逃れるたびに
彼女が僕たちのほうを捕捉してくるんだから、どうしようもないだろう!?」
一方通行「……」
一方通行「(見なかったことにしよう…)」
と思いかけた一方通行だったが、駅前近くを闊歩してたのなら打ち止めを目撃している可能性もある。
癪だったが、とりあえず話しかけた。もはやデジャヴを気にしてしまっては負けだろう。
土御門「お!一方通行!ちょうどいいところに!ちょっと頼みがあるんだにゃー」
話しかけようと思ったら、逆に捕捉されてしまった
土御門「確かお前、小萌先生と知り合いだったよな!?
俺たちはあっちに行ったって彼女にそう伝えてくれないかにゃー!」
一方通行「はァ!?どうして俺がそンなことしなくちゃなら」
土御門「後は頼んだにゃー!」
一方通行「後で殺す」
小萌「あ!一方通行君じゃないですか!この辺で金髪でグラサンかけた少年見ませんでした??」
一方通行「…逃げてるらしィそのアホなら、向こうの繁華街へと行ッたぜ」
小萌「おお!それは本当ですか!?ありがとうございます一方通行君!」
と言い、土御門たちとは違う方向へと足を運ぶ小萌先生。
土御門「いや~助かったにゃー。やればできるじゃないか一方通行!」
一方通行「そォか。じゃ、死ぬ準備はできたか?」
土御門「ステイル助けてー!!」
ステイル「冗談じゃないッ!!これ以上君のくだらんプライベートに付き合ってられるか!!
そもそも、ここまで助力してもらえただけでもありがたく思え!!僕は帰らせてもらうぞ!!」
土御門「は、薄情者ー!ろくでなしー!」
ステイル「もとはと言えば、君が僕を巻き込んだんだろうがッ!!」
そう言い残し、立ち去るステイル
一方通行「遺言でも聞かせろやァ。お前は何をやッてたワケ?」
土御門「いやー、補習サボっちゃってな。そのせいで小萌先生から追いかけ回されてたとこなのよ!
ステイルとは途中偶然出会って、助けてもらってたってとこだにゃー」
一方通行「…血液でも逆流させるかァ」
土御門「ま、待て!交換条件だ!お前がわざわざこんな遠方まで出向いてるってことは
打ち止めとかいう…お前の保護下にある少女だったか??彼女でも探してたんだろう!?」
一方通行「だったらどォした?」
土御門「ここから近くのコンビニに向かってったぞ!」
一方通行「だからァ?」
土御門「じょ、情報を提供したんだ…ここは見逃してくれないかにゃー…」
一方通行「……」
一方通行「ケッ。ここでお前を殺ッて、返り血浴びたまんまガキに会うわけにもいかねェからな。
今度会ったら、そのガキに感謝でもしとくんだなァ三下ァァァ!!」
眠くなったので寝ます…時間があれば朝にちょっと、
それがダメならその後投下します。ではおやすみなさい…10日の新約が楽しみです
帝凍庫君
禁書目録さん乙
┌――――――――─┐
l l
| 帝凍庫クン |
|_________________|
./|==========iト、
../ | -―- 、__, .|| .\
/ l '叨¨ヽ `ー-、 .|ト、 \
r、 / .!〕 ` ー /叨¨) || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | ヽ, || \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ | `ヽ.___´, || \____(、,二つ
| `ニ´ ||
|_____________j|
|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|
| ||
|〕 常識は通用しねぇ ||
/| ||
|___________j|
早く3期になって、ていとくんが見たいです
ちなみに、ていとくん主人公のSSは初めて。彼は書きにくいようで書きやすいキャラですね
決してバカにしてるわけじゃないです。そろそろ書きにきます
>>67
いろいろキャラクターが出てて面白いですが
他のSSは何を書いているんでしょうか。
もう出そうにないけど小萌センセが人呼ぶときは名前に「ちゃん」ね
>>68
実を言うと禁書SS自体が初めてですwその初めてがていとくんってどういうこと…
ってか面白いなんてありがとうございます。ハルヒならいくつか書いたことはあるんですけど
>>69
なんという不覚…指摘どうもです!最近22巻まで買って原作読んだから
どうも不十分だった様子。気を付けます
そしてその頃。店を出る二人、辺りはすっかり夕方である。
上条「今日は奢っていただいて本当にありがとうございました!!」
心理定規「ふふっ、別に気にしてくれなくても結構ですよ」
上条「そういえばまだ名前を伺ってませんでしたよね。本当に今更なんですが…」
心理定規「…そうね。それに関しては、今度また会ったときにお教えしますわ」
上条「え?そ、そうですか(本人が言いたくないんだったら無理言っても仕方ねえよな…
なんというか、掴みどころのないミステリアスな女性だったな)」
心理定規「(一方通行を倒したこの少年とはまたどこかで会うような気がするから、
私が言ったことも強ち間違いではないんだけど。私が暗部に潜み続ける限りは…ね)」
別れの挨拶をした後、少年からもらった菓子の入ったビニール袋を手に、彼女は歩き出した。
心理定規「幻想殺しの上条当麻。まぁ第一印象から薄々気付いてはいたけど、まさか本当に
どこにでもいそうなごく普通の高校生だったとはね。いろいろ構えてただけに拍子抜けしちゃった。
まぁ、ごく普通とは言っても人間関係はいろいろと複雑そうだったけど。性格的な意味では、
とてもじゃないけど闇に生きる人間の類じゃなかったわね…。それと対極の立ち位置にある一方通行に
勝ったっていうのも常人には理解し難い。暗部に潜む私には、もしかしたら一生理解できないのかも
しれない。ま、視野が広がっただけでも彼と邂逅したのは収穫だったかしら。それと…」
持っている袋に目を向ける
心理定規「こういう収穫もあったことだしね。せっかくだし、垣根に少し分けてやろうかな。
…そういえばあいつ、打ち止めの誘拐には成功したのかしら?…ふふっ、何を心配してるんだか。
レベル3相手の打ち止め一人に、第2位が手こずる道理がないじゃない。
それこそ『ていとくん』って呼ばれても仕方ないわよ」
その彼はというと
垣根「ようやく頭の痛みが取れてき…いや、やっぱまだ痛ぇ。
って、もう夕方じゃねえか!?急がねえとやべえ!?」
あわてていた
打ち止め「時間的にこのコンビニで最後かなぁって、ミサカはミサカは深く感慨にふけてみる!」
『バブルソーダガム』は前のスーパーで確保した。『キャベツ太郎』も期せずして先ほど確保した。
後は『たけのこの里』と『おっとっと』が見つかれば彼女にとっては万々歳なのだが…
打ち止め「っ!!」
お菓子コーナーに最後の一枚であったのだろうか…『たけのこの里』が残っていたのだ。まるで彼女が
その最後の一枚を手にするまで、ココで待っていたかのように…。打ち止めはある種の運命を感じた。
打ち止め「見つけられて感激!!ってミサカはミサカははしゃいでみt」
??「お!『たけのこの里』残ってんじゃん!?いっただき~!」
打ち止め「!?」
佐天「いやー、わたし運がいいわ!最後の一枚だもんねこれ。初春から電話で目当てのおやつを
食べられなかったときはどうしようかと思ってたけど…。これで結果オーライ!」
打ち止め「う…うぅぅ…」
佐天「さーて、レジにレッツゴー!」
打ち止め「…ぅ…」
佐天「……」
打ち止め「……」
佐天「(もしかして…)」
佐天涙子も、さすがにそのいたいけな視線に気付かないほど鈍感ではない。
振り返るとそこには、目をウルウルとさせ今にも崩れてしまいそうな小さな女の子がいた。
佐天「ええっと…もしかしてこれ、買おうとしてたのかな?」
打ち止め「っ!」
パアァッと彼女の顔が明るくなったように思えた。いや、実際にそうだったのだろう。
打ち止め「譲ってくれるの!?あ、ありがとう!!ってミサカはミサカはー」
そこでふと気付く。ここまで優しくされてしまっていいのだろうかと。というのも、
つい先ほど風紀委員のお姉さんから『キャベツ太郎』をタダで恵んでもらったばかりなのだ。
あまりに人の好意に頼りっきりというのも…何だか申し訳ない。そう思ったせいだろうか、
打ち止め「こ、交換しよ!代わりにこの『きのこの山』をあげるから!」
佐天「っ?」
実はスーパーのとき、打ち止めは『きのこの山』を一つ買っていたのだ。
食傷気味だとは言っていたが、せっかく遠征してまで出向いたのだから。
垣根「(食感が違うからな…できればこいつだってきのこじゃなくたけのこを買いたかったはずだ)」
佐天「…これ、いいの?」
打ち止め「もしかして、お姉ちゃんは『きのこの山』が嫌い?まさかの急進的たけのこ派?
ってミサカはミサカは恐る恐る聞いてみたり…」
佐天「い、いや、そうじゃなくて!もちろん嬉しいよ!(急進的たけのこ派って何??過激派っすか?!?)
今日は気分的にたけのこだったってだけでいつもこればっかり食べてるばかりじゃないからね。
じゃ、ちょっと待っててねお譲ちゃん!」
と言い、佐天はすぐさまレジへと『たけのこの里』を持っていき、会計を済ませた。
佐天「はい!じゃぁ、改めて交換だね!」
打ち止めは『たけのこの里』を手に入れた!
打ち止め「わーい!ありがとうお姉ちゃん!ってミサカはミサカは全力でもって嬉しさをぶつけてみたり!」
垣根「(これで念願のブツが手に入ったじゃねえか。よかったな打ち止め)」
用事を済ませた打ち止めはコンビニへ出て、佐天と別れる
打ち止め「もう家に帰らなきゃ…。一方通行だって心配してるもんね」
帰ろうとしているようだったが、何やらその表情は優れない。
垣根「あれ?」
ふと垣根は気付く
垣根「俺ってそもそも何でこんなことしてんだっけ…」
何かをしなければならない気がする。何かを見落としてるような気がする。
このまま打ち止めがまっすぐ家に帰りゃ、それでハッピーエンドだというのに。
垣根「!!」
垣根「まだこいつ…!『おっとっと』を買えてねえじゃねえか!?!」
アレイスターも言っていたではないか。そして、冒頭で打ち止め自身も言っていたではないか。
『おっとっと』、『キャベツ太郎』、そして『バブルソーダガム』、『たけのこの里』にはまっていると。
その内の三つは手に入った。しかし、後一つの『おっとっと』をまだ彼女は入手できていないのだ。
垣根「完璧主義の俺様からすりゃ、許されねえ事態だよこれ。何とかしねえと」
なるほど、彼女の顔が優れないのもそれが原因なのだろう
垣根「だが、こればっかは俺にもどうしようも…。『俺の未元物質に常識は通用しねえ』とは言うが、
あれはあくまで相手を刺すときだけの台詞でしかない。ここに『おっとっと』が無いのなら、
物理的距離や物理的手段においてそれが手に入らない=つまりそれが今の真実。常識というわけだ。
その常識を、今の俺は打ち破ることはできねえ」
垣根「……」
垣根「何か、自分でも何言ってんのかわかんなくなってきた…さっきとは違う意味での頭痛が」
そう言ってる間にも、打ち止めは帰ろうとしている
垣根「情けねえな。何が『俺の未元物質に常識は通用しねえ(キリッ』だ」
心理定規「ええっと…垣根?あなた何やってんの?」
垣根「うぁ?」
気付くと、目の前に心理定規がいる。買い物からの帰りなのだろうか…片手にはビニール袋が提げてある。
心理定規「打ち止めは?いないみたいだけど…」
垣根「ハッ!」
油断していた。すでに打ち止めとの距離は、200メートルは優に超えてしまっている。
垣根「まずい!見失っちまう!」
心理定規「……」
一体、学園都市第2位の垣根帝督に何があったのかなぁと、
一瞬ではあったが真面目に考えちゃった心理定規なのであった。
心理定規「とりあえず聞いていい?今のあなたの目的って何だったかしら…
なんかヤな予感がするんだけど」
垣根「目的っつうか、最優先は『おっとっと』をどうやって手に入れるか、だッ!!」
心理定規「……」
心理定規「日本語でオーケーよ?」
垣根「ぁ?どう考えたって日本語だろうがコラ」
心理定規「……」
心理定規「文脈が完全に意味不明だけど、一応話だけは聞いてはあげる。
私にだって慈悲の心はあるものね」
垣根「バカにされてるような気がすんのは気のせいか…」
心理定規「(気がしてるとかじゃなく実際にバカにしちゃったんだけど)
『おっとっと』ってお菓子の銘柄のことよね?」
垣根「当たり前ぇだろ。っていうかそれ以外に何かあるのなら、むしろ俺はそっちを知りたいわ」
心理定規「私それ持ってるんだけど。今」
また少ししたら投下しにきます
待ってください、食べ終わります
その頃公園では
上条「確かに凄い量の『きのこの山』だな」
美琴「そ。だから一緒に食べましょうって言ってんの」
黒子「(ズーン」
美琴「ちょ…あんたどうしたの?なんか沈んでるけど」
黒子「本来、このお菓子は全てお姉さま一人の物だったはずですのに…」
上条「ええっと、別に俺は食わなくてもいいんだぞ?
(というか御坂に無理やり…それも例の女性とファミレスで食事したばっかなんだ)」
美琴「あんたは黙っててッ!!」
上条「はい」
美琴「あのねえ黒子。本気で私一人にこんだけの量、食べさせるつもりだったの??」
黒子「何も今全部食べろなどとは。賞味期限は長いのですし」
美琴「そ、そうだけど!私の物ってことは、私がどう使ったっていいんでしょ!?」
黒子「う…。た、確かにその通りですわね。お姉さまがどう使おうとご自由…。キッ」
上条「いぃ!?」
殺意の眼光を放たれる上条
黒子「あなた、わかっておりますの?これはただのお菓子ではありませんわよ…
言うなれば、『美琴お姉さまの施し』DEATH!!極限まで味わってごらんあそばせッ!!」
美琴「買ったのはあんただけどね」
黒子「はっ…そう思うと、何やら背筋に悪寒が走りましたわ…。キッ!」
上条「(また睨みつけられた…)」
黒子「勘違い、なさらぬよう…!」
上条「え?何が?」
黒子「私が買ったお菓子が、これからあなた様の胃袋に収まるみたいですけど、
それはあくまで結果論です!!私はあなたに対し、親密の情は一切抱いてはおりませんから!」
上条「せうですか…」
美琴「黒子ー。変なこと言ってないで食べるわよ」
黒子「私も食べてよろしいのですか?」
美琴「当たり前じゃない。というか、私とこいつが食べてる間、あんたは何しとくつもりだったのよ?」
黒子「え?それは…お邪魔でしたら寮まで一人で帰ろうかなと…。本当に!!本当に残念ですけれど!!」
美琴「いや、何を考えてんのかは知らないけど、せっかくあんたと会ったんだから
一緒に寮まで帰りましょ?だから、あんたはここにいなさい」
黒子「!お姉さまはそこまで黒子のことを…!!わかりましたわ!お姉さまがそこまで言うのであれば、
この不肖白井黒子!お姉さまのそばを離れません!見つめたり観察したり凝視したり目を合わせたr」
美琴「やっぱ帰れッ!!」
上条「(なんとも賑やかな二人だな…。って、俺もインデックスとのこと言えないか…)」
そして場面は戻る
垣根「なん…だと…」
心理定規は袋から『おっとっと』を取り出していた
心理定規「これがどうかしたの?」
垣根「な、なぜお前がそれを手にしてるのかは知らんが…ッ!頼む!それを俺に譲れッ!!」
心理定規「は?」
垣根「それがあれば、俺は常識を打ち破ることができる!」
心理定規「何を言ってるのかよくわかんないんだけど…」
垣根「安心しろ。俺自身も何を言ってるのかわからない」
心理定規「……」
心理定規「(いや、別にお菓子の一つくらいいいんだけど、タダであげるってのも何か癪なんだけど)」
垣根「時間がない!一方通行が来たら、それでタイムアウトだ!だから、早く俺によこせ!」
心理定規「(え?打ち止めを誘拐することと『おっとっと』に何の関係が??
まさかお菓子で釣るって戦法??この垣根が??仮にも学園都市第2位の垣根が??)」
垣根「早く!」
心理定規「はいはい、あげるわよ(あまりの必死さにうざくなってきたから)」
で、上条さん達はというと
上条「久々にチョコ食ってみたけど、やっぱオイシイもんだな」
美琴「でしょー?!やっぱ『きのこの山』は最高よねー!」
上条「そうだけど、別に『きのこの山』にこだわる必要はないと思うけどな。他にもチョコ味の菓子はあるんだし」
美琴「あんたさぁ…ホント空気ぶち壊すの得意よね」
上条「(俺何か言った!?)」
美琴「食感が全然違うでしょうがーっ!!それに『きのこの山』は
白いスナック部分をつまんで食べられるから、他のチョコと違って手を汚さずに食べられるわ!」
上条「…別に板チョコとかでも、上手く銀紙はがしながらならイケルけど」
美琴「私は『たけのこの里』に対して言ってんの!!」
上条「(え?まさかの対抗意識持ち??)」
黒子「ま、いずれにしろこの黒子の手にかかれば、両者とも口の中へとテレポートすればそれで終わりですけれど」
美琴「空間移動能力者を一般例に当てはめんなッ!!」
上条「あれ?でも御坂から聞いた話だと、お前手に触れたものじゃなきゃ移動できないんじゃなかったか?
なら、どのみち菓子にさわっちゃうんじゃ」
黒子「!」
美琴「確かにそうだわ」
これがVIPの95割が見てると評判のssか・・・ハハッ
黒子「ま、まさかこの白井黒子がぁ…ッ!この白井黒子がッ!このような類人猿に一本取られてしまうなんて!!
我が人生一生の不覚ですわああああああああああああああああああーッ!!!!!」
美琴「ちょ、どこ行くの黒子!!?」
美琴「…行っちゃった」
上条「(ビリビリと二人っきりになっちまったな)」
そんなわけで、視点をこの物語の主人公へと移す
垣根「そこのお前、待て!地味に歩くの速いぞこらぁ!」
打ち止め「あれ?あなたは…。あっ!看板の人!」
垣根「看板の人って…」
打ち止め「看板に頭ぶつけた人だよね?大丈夫だった?ってミサカはミサカは一応聞いてみる!」
垣根「(まずいぞ…『ていとくん』も嫌だが、『看板の人』も嫌だ…ッ)
あのな、俺にもちゃんとした名前があるんだぜ?垣根帝督って名前がなぁ!」
心理定規「(暗部の人間が易々と本名名乗っちゃってどうすんの…)」
打ち止め「ま、いいや。それでどうしたの?私に何か用?ってミサカはミサカは確認してみたり」
垣根「(スルーされた…)ええっと、渡すもんがあってだな。これだ」
打ち止め「!!『おっとっと』!?これくれるの!?ってミサカはミサカは興奮してみたり!!」
垣根「探してるみたいだったからな。快く、俺様が譲ってやるぜ」
心理定規「(私があんたに譲ったんだけど)」
打ち止め「あ…でも私、アクセラレ…、家の人から、知らない人から物をもらっちゃダメだって…」
垣根「!」
打ち止め「でも、あなたは悪い人じゃなさそうだから、
もらっても大丈夫かも!ってミサカはミサカは告げてみる!」
垣根「そ、そうか」
打ち止め「本当にありがとう!このご恩はいつか返したいかもってミサカはミサカは」
一方通行「ラストオオオオオオダアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!!」
打ち止め「っ!!」
垣根「!?」
一方通行「てめェ…散々俺を歩きさせやがって、覚悟はできてンだろうなァ?あァ!?」
打ち止め「お、怒らないでほしいかも…今日はいろんなお店に行ったりして
ちょっとした冒険だったんだよ?ってミサカはミサカは許しを乞うてみたり」
一方通行「とりあえず帰るぞガキ。説教は家でみっちりやってやらァ。
…そういえばお前、今誰かと一緒にいなかッたか?」
打ち止め「あ!そうなんだよ!今親切な人が…って、あれ?いない…」
そこから100メートルほど離れた場所にて
垣根「(ゼェ…ハァ…、あんなに全力疾走したのは久々だったぜ…)」
心理定規「あなたも散々だったわね」
ゆっくりとしたスピードで、彼女が垣根に近付いてくる
垣根「…何でお前は息あがってねえの?」
心理定規「いや、だって元々あなたとは距離をとってたし(二つの意味で)走る必要もなかったもの」
垣根「そうかい。にしても、まさかこのタイミングで来るとは…。一方通行の野郎…」
心理定規「第1位が来ちゃったし今日はあきらめるしかないわね。にしても、まさかあなたが失敗するなんて」
垣根「ぁ?失敗?何言ってんだお前。最後の最後で大成功だぜ」
心理定規「私には、あなたが何を言ってんのかわからないけど」
垣根「打ち止めはな、今日お菓子集めをやってたわけだ。『おっとっと』もその中の一つだったんだが…
今の今までそれは手に入らなかった。だからくれてやったというわけだ。ハッピーエンドってやつだな」
心理定規「えっ」
垣根「えっ」
心理定規「!?真顔で返されても困るんだけど…。あなたの本来の目的って何だったっけ」
垣根「そういや何だったっけ」
公園にて
上条「ふいー、食った食った。上条さんはもうこれ以上は食せないのですよ。
(甘いもんは別腹ってのは本当だったんだな。例の女性と食事した後だったから、あんま食べれんとばかり)
美琴「随分とおいしそうに食べてたわね。あんたの幸せそうな顔なんて久々に見た気が」
上条「…はぁ、誰のせいだと思ってんだか。いつもいつも電撃かまされ、挙句に追いかけ回されるんじゃ
そりゃーな。お前の前じゃ愉快な顔すんのも難しいって話だぜ」
美琴「な、何よ!?私のせいだって言うの!?」
上条「ほら。すぐそうやってムキになるじゃねえか」
美琴「うぅ…」
上条「俺はさ、お前とは仲良くやっていきたいんだよ。怒った顔なんてできれば見たくない」
美琴「そりゃ私だってその…あんたとは仲良くしたい…し」
上条「だからさ、きっかけになるかはわかんねえけど…これやるよ」
美琴「え?この飴、くれるの?」
上条「あぁ、『きのこの山』をくれたってお礼も兼ねてな。『かわりんぼ』っていうんだけど、
なかなか美味いんだぜこれ。表はソーダ味、裏はレモン味、一緒に舐めればメロン味だ!」
美琴「知ってる知ってる!めっちゃオイシイのよねこれ!
中のラムネやガムも含めて♪ …さっそく舐めてもいい?」
上条「もちろんいいけど(そんなに『かわりんぼ』が好きだったとは。凄く上機嫌だ)」
美琴「ペロペロ(ソーダ味)、…レロレロ(レモン味)」
美琴「……」
美琴「二つ堪能しきったところで、メロン味!はむ♪」
上条「…っ」
上条「(御坂ってこんなに可愛かったっけ…?)」
美琴「?どうしたのよ?私のほうジロジロ見つめて?」
上条「いや、可愛いなぁって思ってたんだよ。お前もそんな顔できるんじゃねえか」
美琴「な、な、ななななな、何言ってんのよあんた!?可愛いとか、バ、バカじゃないの!?」
上条「変なことを言ったつもりはないんだけどな。だって、なんか良いじゃんこの空気。
いつもこんな感じだといいよな」
美琴「バ…バカじゃないの…」
上条「(うーん、やっぱ可愛い。ビリビリは今日はどうしてしまったんでせうか?
…いかんいかん、何か変な気分になってきた。話題出して切り上げよう)
他にも菓子あるんだけどいるか?わたパチに北海道スルメ、白アンパンまであるぜ?」
美琴「随分とまあ、豊富な種類の食べ物を持ってるのね…」
美琴「(…あれ?)」
美琴「ってか、何であんたそんな大量の食べ物持ってんのよ?それに間食に使いそうなばかりの…」
上条「あぁ…それはだな、インデックスに頼まれたからだよ。あいつ結構食うからな…
おやつのストックが切れたせいなのか、俺に大量買いしてこい!って言われてさ」
美琴「インデックスって、あの銀髪のシスターのことよね?へぇ…結構仲良いのね」
上条「というか今それ(大量の食糧)に気付いたわけでもねーだろ?今日初めて俺と会ったときから、
全力でお前はその(大量の食糧)ことで追っかけてきたんじゃねえか」
美琴「そういやそうだったわね。あれ、何で追いかけ回してたんだっけ?
…ま、いっか。今おいしいお菓子が手元にあるなら、それで十分よ!」
上条「(ゲコ太のチョコレートがどうとか言ってなかったっけ?
まぁ別に言う必要もないか…。今あいつは楽しそうだしな)」
美琴「♪」
スクールのアジトにて同時刻
垣根「!」
心理定規「どうしたの?」
垣根「終わりよければ全てよしの、俺と思考回路が似通った人がいたような気がする」
心理定規「気のせいじゃない?」
垣根「そうかもな」
ハハッ♪
心理定規「それで、当初の目的は思い出した?」
垣根「ああ。1分前にだけど、思い出した」
心理定規「ついさっきまで思い出せなかったのね(遠い目」
垣根「正直自己嫌悪で死にそうなんだが。打ち止めの誘拐を忘れるとかありえねえ…」
心理定規「私だって、あなたがそんなミスを犯したなんて信じられないわ。でも…」
垣根「でも?」
心理定規「嫌じゃなかったんでしょ?…人助け」
垣根「…かもな」
心理定規「一方通行はどうするの?殺すの、やめる?」
垣根「はっ、舐めてんじゃねえぞテメェ。あいつはいずれ潰す。ただ、それが今日明日じゃなかったってだけだ」
心理定規「そうなんだ。でも、一方通行が死んだらあのコは悲しむでしょうね」
垣根「何が言いたい?」
心理定規「別に。ただ、事実を言っただけよ」
垣根「……」
垣根「そうだな、そりゃ今すぐには殺さねえ。あいつが存在することで、
それが誰かの幸せになってる限りはなぁ。逆を言えば、それが無くなったときこそあいつの死ぬ時だ」
心理定規「…大丈夫?」
垣根「ぁ?何がだ?」
心理定規「私には、あなたの中で『殺しの線引き』ってやつが随分と変化したように思われたんだけど」
垣根「だから?」
心理定規「暗部」
垣根「ッ」
心理定規「そういう価値観で、暗部続けられるのかなって。私の言ってる意味、わかるわよね?」
垣根「……」
垣根「仕事は選ぶかもしれねえな」
心理定規「……」
心理定規「(え…。ま、マジで??)」
心理定規「…考えられないわね。以前のあなたなら、絶対にそんなこと言わなかったのに」
垣根「ほっとけ」
心理定規「でもまぁ、不思議とそんなに驚きはないかも。私怨憎悪陰謀が渦巻く裏世界…
そんな暗部に潜む人間の中でも、あなたはどこか優しかったものね」
垣根「は?優しいだぁ?お前、頭イカれちまったのか」
心理定規「確かに、あなたは敵対する人間に対しては、容赦なくいつもいつも無慈悲だったわね。
一方で、友好的、好意的、理解ある人間に対しては一切手を付けていなかったのもまた事実」
垣根「随分と高い評価をしてくれてるようだが、俺はただ『流儀』に従い生きてただけだ。
わかるか?それ以上もそれ以下もねえんだよ」
心理定規「それでも、極力殺しを控えてたことに変わりはないわ。暗部の人間が皆々そうしてるわけじゃないもの」
垣根「勝手に言ってろ」
心理定規「ええ、勝手にするわ。…けどね、私だって暗部の人間のはしくれ。
あなたの言葉を完全に信じきったわけじゃないわ」
垣根「言葉って…仕事を選ぶってやつか?いや、別に俺はお前にどう思われようが
知ったこっちゃねえんだが。思いあがるなよ」
心理定規「それでも、一方では信じたいって気持ちもあるの。だから、私に信じさせてくれないかしら」
垣根「信じさせるだぁ?メンドくせー女だな」
心理定規「…ちょっと試させてもらうわ。ゴメンね」
垣根「は?」
垣根「……」
垣根「…!?」
心理定規「……」
垣根「テ…テメェ…ッ!!どういうつもりだ!?アァ!?」
心理定規「あなたは今、このとき未元物質を意図的に解除してたってことかしら?…そうよね、
そうじゃなきゃ『メジャーハート』が『常識の通じない』あなたに効いてるはずがないもの」
垣根「ふ…ざけんじゃねえぞッ!!?死にてえのかッ!?!」
心理定規「あなたには、昔からそういう傾向があったわ。信頼してる、ないしは傷つけまいって
思ってる人の前では能力を切るところが。だから、私はさっき優しいってあなたに言ったのよ?
…もっとも、私までその範疇にある人間だってことは、今初めて知ったけどね。素直に嬉しいわ」
垣根「何のマネだって聞いてんだよッ!!?自分を『一方通行』に見立てて何がしてえんだ!?」
心理定規「最初に言ったじゃない、試させてもらうって。あなたの言葉が本当かどうかを…ね」
垣根視点「最初に言っただろうが試すってよォ?てめえの言葉が嘘か誠かなァ!!」
心理定規「言葉通りなら、『今の一方通行』はあなたには殺せないんだったわよね。どう?殺せる?」
垣根視点「言葉通りなら、俺様は殺れないんだったかなァ?ま、てめェにそんな度胸があるはずもねェかァ」
垣根「殺す」
そのとき。垣根の能力『未元物質』が発動したのだった。この世には存在しないはずのダークマターの塊は
心理定規に向かって一直線に突き進んだ。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン…
どうでもいいけどメジャーハートの能力って口調とかも変わってきこえんの?
>>118
そういう描写は原作にはないな…。
あ、そういうふうに聞こえてんだ?くらいの認識でいてくれれば幸い
突き進んだはずだった
心理定規「…?」
彼女は生きていた。代わりに延長線上にあった壁が崩壊している。…わずかのところで、攻撃はそれていた。
垣根「…これで十分かよ?メジャーハート」
常識の通じない未元物質発動により、垣根の視点も元に戻っていた。いつもの心理定規が目の前にいる。
心理定規「あなた、いつからエンターテイナーになったのかしら?最初から殺すつもりがないのなら、
ハッタリでも攻撃するのはやめてほしいものね。危うく心臓が止まりかけちゃった」
言うまでもないが、攻撃がそれたのは彼女によるものではない。垣根帝督が、敢えて軌道をそらしたのだ。
垣根「自分から綱渡りしだしたくせに何言ってやがる。そのスリルは、俺からてめえへの見物料だコラ」
心理定規「ふふっ、ありがたくもらっておくわ」
結局、垣根には心理定規(一方通行)に攻撃をできなかった。ただただ、その事実だけが残る。
垣根「で?お前は信じることができたのか?」
心理定規「…聞くまでもないでしょ?言わば、さっきの状況は極限状態。私のメジャーハートは生半可なもの
じゃないの。それでその結果を信じられないなら、もはやそれ以上の証明環境は私には思い浮かばないわね」
垣根「随分な自信だな」
心理定規「伊達にスクールやってないから」
つまり、彼女は信じたということなのだろう。
垣根「しかし腑に落ちねえな。俺の言ってたことが嘘なら、今頃お前は四肢が存在してたかも怪しいぜ?
それだけのイカれたリスクを背負ってまで、俺の言葉を信じたかったってのか?お前はよ」
心理定規「そうね。ちょっと馬鹿げてたかもね」
垣根「かもじゃなくて十分馬鹿げてんだよ。稀に見るhighリスク・lowリターンだったぜ。
…いや、その表現も間違いか。そもそもリターンが存在したかどうかも怪しい」
お前らこんな高校生の物語に感情移入して大丈夫か?
お前らの嫌ってるDQN&ゆとりだぞ?
>>125
(;^ω^)…
>>126
(゚q゚)
>>127
^^
心理定規「何をプラスマイナスと見るかは、所詮その人の価値観次第だわ。
あなたの中で起こった変化を感じとり、それを信じられたというのは私にとって十分な見返りだった」
垣根「…つまりどういうことなんだ?」
心理定規「今ならあなたのこと好きになれるかもって思ったの」
垣根「……」
垣根「普通に言ったな」
心理定規「そうね」
垣根「ストレートだな」
心理定規「そうね」
>>128
)゜0゜( ヒィィ
垣根「…ため息がでるな。その手のやりようで、一体何人の男をこれまで籠絡してきた?」
心理定規「あら。あなただって人のことは言えないんじゃない?」
垣根「一緒にすんな。俺の場合は、向こうから女が寄ってくんだよ。
誰かみたく積極的に落としにかかってるわけじゃねえ」
心理定規「嫌み?」
垣根「さあな」
心理定規「信じられない?」
垣根「ああ」
心理定規「嘘ね。本当は信じたくてたまらないくせに」
垣根「その過剰な自信はどっから来るんだか」
心理定規「じゃあ、さっき能力を解除してたのはどうしてかしら。私を特別扱いしてたから…。違う?」
垣根「……」
>>130
(⌒⌒)
>>133
(-━- ー -━-)
垣根の手が彼女の腰後ろへと伸びる。第三者から見れば、抱きしめるような格好となっている。
心理定規「まだ返事を聞いてないんだけど?」
垣根「テメェの事情なんざどうでもいい。それより…」
心理定規「?」
垣根「散々さっき俺を試したんだ。なら、今度は俺が『試す側』になったって、問題はねえはずだよな?
拒否権はねえぞ。本当に好きだってんなら、俺にそれを信じさせてみろ」
心理定規「…もしかして、わざと言ってる?これまでの男たちと同様、利用価値があるか否か…。
そういう即物的欲求の目でしかあなたを見てないって、本気でそう思ってる?
そんな刹那的でしかないものと自分の命を天秤にかけるような真似を…。私がするって、本当にそう思ってた?」
垣根「……」
心理定規「さっきのメジャーハートで、それはわかるわよね」
垣根「…あぁ。そこまで鈍くねえし」
心理定規「やっぱり知ってて言ってたんだ。意地悪な人」
そう言うと彼女は、低くかがんだ垣根の首後ろで、両手を交差させる。異性との接触に慣れていたせいだろうか、
二人とも、その動きには手慣れたものがあった。後は自然と顔が近づき、当然ともいえる行為に及ぶ。
唇が触れた。一回目は表面をなぞるだけの上品なキス。互いの目線が合う。
……
一回だけでは物足りなかった。
特に合図を送るわけでもなく、再びが顔が近づいた。考えてることは同じらしかった。
二回目。今度は一回目よりも深かった。相手の唾液に触れたような…気がした。
意図したわけではないが、無意識の内に唇を強く押しつけてしまっていたらしい。
どちらがかはわからない。双方ともにだったのかもしれない。
三回目。二回目からすぐのキスだった。一回目から二回目のキスへと移る、その間隔より短かったのは
言うまでもない。秒単位で、互いを求める欲求は高まっていた。そして…このキスは長かった。
心理定規「ぁ…む…ぅん、はぁ…ぁ…ん」
こういう経験には慣れていたはずの彼女だったが、その顔は火照っていた。
これまでの打算的要素を一切排した本物の接触。普段の冷静さを装いつつも、やはり緊張の色は隠せなかった。
一方の垣根も、表立って表情には出さないものの相手を意識しているせいか…その顔はどことなく強張っている。
彼からすれば、彼女はこれまでのような単に遊びの延長線上で付き合ってたような女とは…ワケが違うのだから。
意識するなというほうが無理だろう。
いつから垣根は彼女を『特別な人』という位置付けで括っていたのだろうか。スクールで行動を共にするにつれ、
情が移ってしまっていたのか。そうにせよ、決定的な理由が思い浮かばない。正直な話、彼女のどこに惹かれた
のかもわからない。変な話だ。女なら他にいくらでもいるのに。いる…はずなのに。
垣根「(…知ったことか)」
結局のところ、『好きになった人が、結果として自分の好きな人だった』これが全てだった。
ひどく稚拙なものには違いないが、彼にはそれで十分だった。
むしろ、一つ一つに詳らかに理由付けされてるほうが不自然なんじゃないか。
垣根「(抑えられねえ)」
本命の女が自分の『女』となった、それを自覚してしまったがゆえの衝動
心理定規「っ!?」
垣根は、自分の舌を彼女の口内へと突き出していた。
心理定規「(何…これ、いきなりこんな…激しく…っ!?)」
おかしい。世に言うディープキスに、全く経験がなかったわけではない彼女だが、相手が垣根帝督だと
どうしてこうも快感が違って見えるのか。気持ちよさに、頭の中が真っ白になりそうだった。
くちゃくちゃと音が鳴っている。舌を絡めたり唾液の感触を確かめたりと…とにかくいやらしい音だった。
心理定規「ぁ…ん、や…ぁっ、あ…ぅぅ、はぁ…ぁ、ん…っ」
時間の感覚もわからなくなっていた。一体何秒が過ぎたのか…。いや、分単位だったかもしれない。
そのへんはもう曖昧だった。というか、そんなことはもはやどうでもよかった。唇をくっ付け合い、
舌と舌とを絡めるその深いキスに全神経を奪われていた。それだけだった。
…その弊害か、呼吸することも忘れてしまっていたその行為に、当然のごとくストップがかかる。
心理定規「はぁ…っ!ゴホっ、コホっ…」
垣根「!大丈夫か?すまん、やりすぎたな…」
唇が離れる。新鮮な空気が、改めて肺の中へと送り込まれる。
心理定規「…はぁ。ちょっと油断すればこれなんだから…。でも、嫌じゃなかったっ」
激しいキスからは一転、二人は静かに抱き合った。しかし、決して弱くはないその力で。
心理定規「……」
心理定規「気持ち…よかった。」
垣根「俺もだ」
心理定規「そんなこと言って、どうせ他の女とも同じように感じてたんでしょ…?」
垣根「おいおい…この期に及んでまさかの嫉妬か」
心理定規「あなたは?私に嫉妬しない?」
垣根「ぁ?むかつくに決まってんだろ」
心理定規「素直な人。でも、今までのキスの中で
一番感じたっていうのは本当…。それだけは信じてね?」
垣根「舌で上手く性感帯をつついたからな。そんな俺が相手なら、感じたのも当然だろ」
心理定規「へー、手慣れてるのね。そんな不粋なこと言う人嫌い」
垣根「はき違えんな。ここまで必死に舌動かしたのはお前が初めて、ってことくらい気付け」
心理定規「…ありがとう」
落ち着いた二人は腕の拘束をほどき、傍にあったソファーへと腰かける。
心理定規「…ふふっ、今のあなたなら、もしかしたら一方通行にも勝てるかもね」
垣根「っ!?」
突然の『一方通行』の名に、垣根は舌を噛みそうになる。
垣根「オイ、お前は今どういうつもりでヤツの名前を出した?10字以内で懇切丁寧に説明しろや」
心理定規「別に。素直に思ったことを口にしただけ」
垣根「10字超えてんぞコラ」
心理定規「本心を言っただけ」
垣根「懇切丁寧とは程遠いな」
心理定規「イジメ?」
垣根「第1位の名を脈絡もなく出すテメェが悪い」
心理定規「怒っちゃった?」
垣根「怒るも何も、わけがわかんねーんだよ」
心理定規「今日私、上条当麻に会ったの」
垣根「いきなり話題変わりすぎだろ」
心理定規「あら?私は話題をつなげてるつもりだけど」
垣根「…なんかもうメンドくせえ。聞いてやるから好き勝手話せ」
心理定規「ええ、好き勝手話すわ。上条当麻…あなたなら聞いたことあるわよね?」
垣根「幻想殺しのレベル0だったか」
心理定規「そして、一方通行を倒したことでも知られてる」
垣根「…上条当麻ねえ。そいつと会って何してた?」
心理定規「一緒に食事してたの。おまけにお菓子までもらっちゃった」
垣根「テメェが『おっとっと』持ってたのはそれが理由か…」
心理定規「食事は私が奢ってあげたんだけど、それを承諾するまでの彼は随分と頑なだったわ。
後ろめたさがあったのね。それを受け入れた後、今度は私から言い出したとはいえ、お菓子まで譲ってくれた」
垣根「だから?」
心理定規「優しいとは思わない?彼」
垣根「何が言いたいのかわからん」
心理定規「あなたが今日打ち止めに施した優しさと、何か差異があるかしら」
垣根「…おいおい。まさかとは思うが、俺を上条とかいう野郎と同一視してんじゃねえだろうな?
ヤツが一方通行を倒せたから俺にもそれができるとかいう、くだらねえ方程式を唱えるつもりかテメェは」
心理定規「そんなにおかしい?」
垣根「正気かよ」
心理定規「じゃあ、上条当麻が一方通行を倒したことに関して、あなたはどう分析してる?」
垣根「幻想殺しでもうまく使ったんじゃねえのか」
心理定規「それだけで第1位に勝っちゃうなら、この学園都市の序列も有名無実よね」
おい!ていとくんと心理とか知らないから想像出来ないだろ
誰か参考画像だs・・・出してくださいお願いします
>>151
ほいたしか心理の絵は無かったはず
ていとくんかわいい
垣根「…よっぽど運がよかったか奇跡でも起こったんだろ」
心理定規「真面目に考えてる?『運』や『奇跡』というのは思考停止した愚者が吐く言葉よ」
垣根「おうおう、言ってくれるじゃねえの。じゃあ何か?『優しさ』のおかげで勝ったとかそんな夢物語か?」
心理定規「ええ」
垣根「…ホントにお前暗部の人間かよ」
心理定規「私だって、あの戦闘を詳細に知らされてるわけじゃない。状況や環境がどうだったかなんてね。
けれど、レベル0の上条当麻がレベル5の第1位に挑むなんていう馬鹿げた無謀な行い…
それをさせるにいたった動機だけは何となく予想できるわ。今日初めて彼と出会った私、でもね」
垣根「言ってみろ」
心理定規「誰かのために戦ったんじゃないかしら」
垣根「……」
>>152
イケメンだなおいww
で心理がない・・・だと(´;ω;`)ブワッ
垣根「…単純極まりないな」
心理定規「そうね。けど、あまりにストレートすぎて力強いとは思わないこと?」
垣根「はっ、くだらねえ。そんなんで強くなれるなら誰も苦労しねーよ」
心理定規「満更ってわけでもなさそうな顔してるけど」
垣根「気のせいだ」
心理定規「結構重要なファクターよこれ。だって、それがなきゃ私はあなたを好きになっては
いなかったかもしれない。同時に私だって、あなたに『一人の女』とは見てもらえなかったかもしれない」
垣根「最初からテメェは『一人の女』だろうが。無駄にエロい体つきしやがって」
心理定規「語弊があったわね。そうじゃなくて、『特別な人』って意味でね」
垣根「それこそ思いあがりも甚だしいな」
心理定規「違うの?」
垣根「上から目線なのが気に食わねえだけだ。てめえはすでに『俺の女』なんだからな」
心理定規「玩具扱いってわけ?優しくしてね」
垣根「…なかなかトリッキーな回答するのな」
>>152
お礼言ってなかったThx
心理定規「もちろん性奴隷になり下がる気はないわ。ただ、私は黙ってあなたについていくだけ。
何となくわかるのよ…。あなた、これからどんどん強くなるわ。やがては一方通行も目じゃなくなるくらいにね。
強い人は好き…っ!だから、私をそんなあなたの手元へと置いていてほしいの。あなたが強くなれるなら…。
そのために、あなたにとって私が『特別な人』でいられるなら。私はなんだってしてあげたいの」
垣根「何でもするだぁ?軽々しく口にしやがって。後悔しても知らねえぞ?
俺は、お前が思ってるほど良いやつじゃねえからな」
そう言うと、垣根はいたいけな彼女の首根っこをつかみ、勢いよく自分の顔へと近づけさせる。
淡いピンク色の唇に、垣根はむしゃぶりついた。
心理定規「っ!?は…む、ぅっ!?ぁん、ぁ…っ!や…ぁ…っ!う…ぅぅ、ぁっ…っ!
優しく…ぁ、やぁ…んっ!してって…むぅ、ぁぁん!言ったのに…っ、ぁっ…!」
垣根「…感じまくってんじゃねえか。体は正直だな」
心理定規「はぁ…はぁ…っ。性奴隷になるつもりはないって、さっき言ったばかりなんだけど…?」
垣根「安心しろ。俺だって、そこまで肉欲に飢えた獣になり果てる気はねえ」
そうは言いつつ、垣根の手は彼女の肩から下へと落ちてゆく。そこにあるのは…。柔らかく、
ふくよかに丸みを帯びた『女性』特有の性感帯。それををまさぐろうとしていた、まさにそのときだった
ドガッ!!
部屋のドアが、勢いよく蹴り飛ばされる
一方通行「垣ィィィ根帝督ゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
一方通行さんが乱入してきんで、投下は0時からにします
ワインうめええええええええええええええ
その頃
美琴「噛み切れねえええええええっ!!」
美琴はスルメと格闘していた
上条「あ、あの、御坂さん?別に無理してスルメを食べる必要はないんですよ?
『ひもQ』や『もぎもぎフルーツ』とか、ここは心機一転してグミでもー」
美琴「ごくん!」
上条「あれ?まさかとは思うけど、ろくに噛まずに飲み込んじゃったのでせうか」
美琴「私が、スルメごときで平伏すると思った!?こんなの胃に収めちゃえば同じことよッ!」
上条「お前の消化器官がじょうぶであることを祈るばかりだよ」
美琴「しっかし、さっきからあんたにはもらってばかりね…」
上条「そうか?そうは言ったってお前チマチマ食べるほうだから、量だってそこまで減ってるわけじゃねえぞ」
美琴「(いや、お菓子の量がどう考えたって尋常じゃないと思うんだけど…。
あのシスターはどんだけ食べるつもりなの。あ、そういえば)」
美琴はカバンからお菓子を取り出す
上条「あれ?お前、『きのこの山』以外にも持ってたのか?」
美琴「…あのねえ、あれは実質的には黒子が買ったもんだから。私だって自分のおやつくらい持ってるっての」
そのお菓子とは、ストロベリー味のポッキーだった
美琴「…食べる?」
上条「ん?食っていいのか?」
美琴「もらいっぱなしってのも嫌なのよ。これでお相子ね」
上条「そっか。じゃあ、ありがたくいただくぞ」
美琴「……」
美琴「(そういえば昨日、ポッキーについてみんなが何か言ってたっけ…)」
回想
黒子「お、お姉さま!その手に持っておられるものは、もしや、まごうことなきポッキーでは!?」
美琴「まごうことなきポッキーだけど。どうかした?」
黒子「黒子にも分けていただきたいのですが…」
美琴「欲しいの?別に構わないわよ」
そう言って袋から一本取り出し、黒子に渡そうとする
黒子「そ、そうではなく…私は片半分をっ!!」
美琴「半分…って??半分に折ったポッキーが食べたいわけ?変なことするわねあんたも…」
黒子「Noooooooooo!!!お姉さまの鈍感ぶりも、ここまでくれば筋金入りですわああぁぁぁ!!!」
美琴「ええっと…誰か通訳してほしいんだけど」
佐天「つまり、白井さんは御坂さんとポッキーゲームがしたいんですよ!」
美琴「ポッキー…ゲーム?」
美琴「……」
美琴「ってポッキーゲームって!?二人で両端から食べていくっていう、あのポッキーゲーム!?」
黒子「そうですわよーん!さぁさぁ!どうかこの白井黒子とめくるめく時間を堪能してくださいまs」
美琴「誰がするか!!」
初春「そうですよね。あれって、普通は恋人同士がするものですよね」
美琴「恋…人…」
美琴「…!?」
顔がカアァっと赤くなる。不意に、『あいつ』の顔が脳裏に浮かんできたのはどういうこと…!?
佐天「あっれー?もしかして御坂さん、気になる人でもいる感じ?」
美琴「ちょ!か、からかわないでよ!別に私はそんな…」
と言いながらも美琴の顔は赤面したままだった
黒子「!?お姉さまのこの反応は…。明らかに気になる殿方がいらっしゃる様子ですの…(ズーン」
肩を落とし、テンションをガタ落ちさせる黒子
初春「私も、今日はお菓子を持ってきたんですよ♪」
石化してる黒子は放っといて、カバンからうまい棒を取り出す初春。ちなみにエビマヨネーズ味だった。
佐天「お!初春!美味そうなもん持ってんじゃん!…もしかして、私のために買ってきてくれた??」
初春「え?ど、どういうことです?」
佐天「白井さんがしようとしたように、あんたも私とポッキーゲームがしたかったんでしょ?ってこと!」
初春「えぇー!?何ですかその超飛躍理論!?いや、それ以前に無茶ですよ!確かに同じ棒状のお菓子
ですけど、うまい棒でポッキーゲームは無理です!もろいんですから、途中で崩れちゃいます!!」
佐天「そんなの、やってみなきゃわかんないじゃーん?」
黒子「はっ!!」
二人の会話を聞いていて、黒子のテンションが復活する
黒子「ということは!お姉さまは私とポッキーゲームがしたいがゆえにわざわざポッキーを持参して
くださったというわけなんですね!?もう、でしたら始めからそう言ってくださればよかったのに…。
さっきの拒絶はお姉さまナリの照れ隠しだったというわけですね、よくわかりましたわ」
美琴「勝手に妄想して勝手に納得すんなッ!!!!」
回想終了
美琴「(って、思い出すんじゃなかった!!どうしてよりにもよって
『こいつ』がいる目の前でポッキーゲームなんて恥ずいものを…っ!)」
美琴「……」
上条「もしもーし?美琴さーん?」
美琴「!な、何よ!?」
上条「あ、いや、何かボーっとしてるみたいだったから。大丈夫か?」
美琴「…別に、何でもないわよ」
上条「ふーん。あ、もしかして…」
ここで少年は、意図したわけでもないのに爆弾を投下してしまう
上条「ポッキーなだけにポッキーゲームを連想してたりとか?まっさかな~」
美琴「!!!!!!」
上条「(え…??)」
『そんなわけないでしょこのバカ!』と言われビリビリ攻撃をされる展開を予想してただけに。
右手を前に差し出した、その行為が無意味だとわかったときには…正直驚きを隠せなかった。
はっきり言って予想外だった。なぜ御坂がこんなにも顔を赤くして頭から湯気をだしてるのか??
ふと、上条の頭から浮かんだある一つの結論。それは、一連の状況を理解するには最適とも言えた。
上条「ええっと…もしかして、もしかしなくても図星だったり…?」
美琴「…コクン」
上条「……」
上条「(やっちまった…っ!!!!)」
時すでに遅し。だが後悔先に立たず…今更悔やんでもどうしようもない。
とりあえずは今、この凍りついた状況をなんとかせねば…そう頭をフル回転させる上条だったが
美琴「な…何よ!?文句ある!?」
上条「いや、な、ない…けど」
何を言っていいのかすらわからなかった
美琴「…もしかしてあんた、興味あったり…すんの?」
上条「は、はぁ!?何言ってんだお前??」
美琴「ちょ、何って何よ!?私にそれを言わせるつもり!?」
泥沼だった
上条「何って…。ポッキーゲームのこと…だよな?」
美琴「う、うん…」
上条「(あれ?可愛い…)」
上条「……」
上条「(って、元々ポッキーゲームについて考えてたのはこいつだよな!?ってことはまさか…)」
このまま黙っていてもラチがあかない。上条は…思い切って聞いてみた。
上条「御坂お前…してみたいのかよ?」
美琴「え…ええ!?えええぇぇぇぇぇぇえ!!?」
両手をあたふたさせる美琴
美琴「ち、違うわよ!!絶対にしたいとか、そ、そんなこと思ってるわけないじゃなくて、
ぁ…で、でもちょっとは興味があったりなかったり…!?」
上条「(御坂ってこんなに可愛かったっけ…)」
美琴「そ、そうね、どっちかと言うと興味があっ…たりするのかなぁ?なーんて!はははっ…!」
上条「よし!じゃあ一回やってみっか!」
美琴「…は?」
そう言い終えると、上条は口にポッキーをつったて、先端の先っちょを美琴に向ける。
上条「ひふでもひゅんひはいいそ?(いつでも準備はいいぞ?)」
美琴「ちょっ…!!あんた、本気!?ば、ばばば、バカじゃないの!!?」
彼の意図。別段美琴に対して明確な恋愛感情があったわけではないし、それを自覚してたわけでもない。
ただ…『可愛いから、ついついからかいたくなってしまった』それが全てだった。
良くも悪くも、上条はこの状況を楽しんでいたのだった。
美琴「う…ぅぅ…」
上条「(慌てふためいている御坂は、どうしてこんなに可愛いんでせうか)」
美琴「わ、わかったわよ!やりゃいいんでしょう!?」
ついに観念し、ポッキーの先をくわえる美琴。余裕をもって臨んでいた上条も…さすがにドキッとした。
美琴「……っ」
目をつぶりながら静かに、美琴は口を動かし上条との距離を縮めていく。ここで彼は重大なことに気付く。
上条「(もしかして、俺は今とんでもないことをしようとしてんだろうか…!?)」
このポッキーゲームの結末について、彼は深く考えていなかった。もし失敗しなかったらどうなるのか?
言わずもがな、唇と唇とがゼロ距離になるだけだ。それはつまり…
上条「(!!御坂とキス…っ!?)」
この状況がいかに深刻か、それを自覚したときにはすでに手遅れだった。
今更『はい、やめます』と言えるような空気でもない。
美琴「…んっ」
気付くと美琴の顔は紅潮しきっている。そういう上条も、人のことは言えなかったかもしれない。
上条「(キスってのは…本来恋人同士がするもんなんじゃないのかっ!?そりゃ、異性であっても親しい人間となら
じゃれ合ったりはするだろう…。するだろう…けど!!それでも!キスはちょっとまずいんじゃ…っ!?)」
距離は刻々と近づいていた。考えてる間にも、どんどん時間は過ぎてゆく。
上条「(当の御坂はどう考えてんだ…??俺とキスしてもいいって、マジでそう思ってんのか??)」
美琴は若干震えていた。その振動が…彼の唇にも伝わってくる。
その震えが何を意味しているのか。緊張?興奮?焦燥?恐怖?皆目見当もつかなかった。
上条「…っ!」
一本のポッキーが無くなろうとしている。少年は、覚悟を決めた。
……
とある修羅場にて
一方通行「挨拶しにきてやったぜ帝督ゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
垣根「…おい」
心理定規「な、何よ?」
垣根「まさかお前、また俺にメジャーハートかけてんじゃねえだろうな?」
心理定規「変なこと言わないでくれる??私だって今混乱してんだから…っ」
どうやら本物の一方通行らしい
なぜ?なぜここに一方通行が??何の用があってココに来た??どうして??なぜ??
ただただクエスチョンマークのみが、頭の中で浮かんでは消え、浮かんでは消える垣根だった。
一方通行「おうおう、イチャついてる最中だったかァ?女を侍らすとは、良い御身分だなァ第2位さんよォ?」
垣根「…さがってろ」
心理定規「え、ええ…」
彼女を背にし、突然の侵入者に眼(ガン)をとばす垣根帝督。
垣根「まさか、テメェの方から出向いてきてくれるとはな。探す手間がはぶけたぜ?」
一方通行「あ?何怒ってンですかァ?そんなにイチャイチャタイムを邪魔されたのが癪だったかァ?」
垣根「どうやら愉快な死体になりてぇと見える」
一発触発だった。突然戦闘が始まり、どちらかが肉塊と化していてもおかしくない状況。危険すぎる状況。
…そんな極限状態を解いてくれたのは、とある一人の少女だった。
??「一方通行!?私たちは喧嘩しにきたんじゃないんだよ!!ってミサカはミサカは説教してみる!」
一方通行「チッ」
彼の背後から聞こえる、その声の持ち主は打ち止めだった。
垣根「テメェはあのときの…」
そのまま、彼女は垣根の方へと近づいていく。
打ち止め「私はね、あなたにお礼をしにきたの!ってミサカはミサカは暴露してみたり!!」
一方通行「暴露も何も、最初からそのつもりで来たんだろうがお前はよォ」
垣根「(お礼って、お菓子をあげたことに関しての…か?というか、それしか思い浮かばねぇが)」
心理定規「淡々とあなたたち話してるけど、よくこの場所がわかったわね…」
忘れられがちだが、仮にもここはスクールのアジトのはずである。彼女の疑問ももっともだろう。
打ち止め「一方通行がね!『垣根帝督』って名前を出しただけでこの場所を突き止めてくれたの!
ってミサカはミサカは彼の働きっぷりに感謝してみたり!!」
垣根「……」
心理定規「暗部経由でデータバンクにハッキングでも仕掛けたのかしら。にしても、よくプライベートな理由で
彼ら(暗部)が動いてくれたわね…。さすが学園都市第1位と言ったとこかしら。人脈様様ね」
一方通行「…正直、骨が折れた(土御門と結標に頭下げたのはマジ屈辱だった)」
打ち止め「それと、ゴメンなさい。さっき、あなたたちお取り込み中だったよね?それを邪魔しちゃって…」
心理定規「っ!」
垣根「!」
一方通行「(明らかに動揺してンなこいつら)」
打ち止め「ホントはこんな急に来るつもりなかったんだけど、一方通行が明日から仕事が忙しくて
なかなか時間が取れそうになかったから…。ここに来るには彼の案内が必要!
だから、急遽予定が前倒しになっちゃったの!ってミサカはミサカは申し訳なく弁明してみる…」
もちろん仕事とは、グループ関連である。
垣根「いや、まあ…別にいいぜ。むしろ、その律義さは評価に値するだろうよ」
打ち止め「評価されちゃったよ一方通行!」
一方通行「そォかそォか。よかったなァ(顔を見ずに」
打ち止め「ところで、あなたたちは結局さっき何してたの?ってミサカはミサカは聞いてみる!!」
垣根「ガキにはまだ早い」
心理定規「お譲ちゃんは知らなくていいことよ?」
一方通行「だそうだ」
打ち止め「うーっ!なんか私だけ除け者にされた感じ!!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」
一方通行「っつゥか、お前は何しにココに来たワケ?さっさとやることやッて
ウチに帰るぞ。黄泉川や芳川が指くわえて待ってッからな」
打ち止め「そうだね。うっかり目的を忘れそうになったり!ええっと…はい!」
そう言って、打ち止めが垣根に差し出したのは
垣根「これは…」
『ねるねるねーるね』だった
垣根「(あ、でもなんかおいしそう)」
打ち止め「それ、ネーミングはひどいかもなんだけど、味はとっても良いんだよ!
ってミサカはミサカは胸を張って保障してみる!!」
垣根「そりゃぁ何よりだ。けど、ホントにコレもらってもいいのか?
100円近いって、お子様からすりゃ結構な額っぽいが」
打ち止め「いいのいいの!これは私の気持ちだから、
受け取ってくれたら嬉しいかも!ってミサカはミサカは主張してみる!」
垣根「そういうことなら仕方ねえな。このお菓子は味わって食べるとするぜ」
打ち止め「それでよろしい!」
一方通行「じゃ、帰るか」
打ち止め「え、ちょ、待ってよ一方通行!!じゃ、急だけどこれでバイバイ!って
ミサカはミサカは二人に向かってさよならの挨拶をしてみたり!!」
垣根「おう。じゃあな」
心理定規「また会えたらいいわね」
ドア付近まで足を運んだところで、不意に一方通行が垣根たちの方を振り向く。
一方通行「お前もまぁ、随分と丸くなったなァ?」
垣根「はっ。そっくりそのままテメェに返すぜ」
一方通行「うるせェ野郎だ」
その台詞を最後に、ドアは閉まる
垣根「……」
心理定規「楽しいお客さんたちだったわね」
垣根「それ以上に、とんだサプライズだ」
心理定規「…続き。どうする?」
垣根「悪いが、そんな気分じゃなくなっちまった」
心理定規「じゃあ、どうする?」
垣根「『ねるねるねーるね』を作ってみる」
心理定規「あなた、そんなキャラだったっけ」
垣根「たまにはこういうのもいいだろ。いつもいつも暗部ばかりじゃ疲れる」
心理定規「本当にあなた変わったわね…。でも、だからこそ私は好きになったんだけどっ」
垣根「あのガキには感謝しねぇとな」
打ち止め「ちょっと!本当に待ってってば一方通行!まだ寄るところがあるの、
忘れてるわけじゃないよね!?ってミサカはミサカは一応確認を取ってみたりっ!!」
一方通行「ア?初春飾利とかいう、風紀委員のとこに差し入れに行けばいいンだろ?」
打ち止め「ちゃんと覚えててくれてミサカは感激かも!」
一方通行「ただし、177支部とかいう部屋にはお前一人で入れ」
打ち止め「えーどうしてどうして?あなたも一緒に入ればいいのに。
もしかして恥ずかしいの?ってミサカはミサカは聞いてみる!」
一方通行「恥ずかしい云々の問題じゃねェんだよ(どう考えても場違いすぎだろッが…)」
打ち止め「むー。まぁそこまで頑ななら無理は言わないけど。じゃ、家に早く帰るためにも
177支部へとレッツゴー!!ってミサカはミサカは思いっきり叫んでみたり!!」
一方通行「近所迷惑だコラ」
そんな、打ち止めと一方通行なのであった。
そして。場面は公園へと戻る。
上条と美琴をつなぐ一本のポッキーは、完全に消滅していた。
美琴「……」
上条「……」
美琴「その…なんかゴメン…」
上条「いや、き、気にしなくていいって」
美琴「……」
確かにポッキーは無くなっていた。折れた欠片がベンチの上や、ましてや地面に落ちているわけでもない。
ならば、本来ならそのポッキーをくわえる両端はゼロ距離となり、唇と唇とが触れていないとおかしい。
だが、結果として二人はキスをしなかった。なぜか?
上条「(右手を御坂の肩に置いてて正解だったかも…)」
ポッキーは二人の腹の内に収まるようにして消えたわけではない。
正しくは、唇が触れる直前で『御坂美琴の電撃により消し炭になった』のだ。
例の右手により感電することはなかった上条は運が良かったといえる…が、
本来できるはずの行為ができなかったという点では、相変わらず彼は不幸だったのかもしれない。
美琴「(私の…バカ…っ!!)」
切実に、彼女は自分に訴えかけていた。まさか極度の緊張状態のせいで、
能力を無自覚に発動してしまうとは…。想定外だった。
上条「(っていうか、いつのまにか日が暮れてるのな…)」
さらに悪いことに、上条は家に帰らねばならなくなった。これ以上インデックスを待たせるわけには
いかないからである。もっとも、それは寮の門限が差し迫ってる美琴にも言えたことなのだが。
上条「御坂。俺そろそろ…」
美琴「そ、そうね。もうこんな時間だもね…」
かと言って、こんな沈んだ空気のまま別れを告げるのも上条は嫌だった。
だから、思ってることをそのまま美琴に伝えることにした。
さて…寝るとします。また昨日みたいに書きに来ます。
そろそろ終わりそうだけど、とりあえず最後までやります
┌――――――――─┐
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| 帝凍庫クン |
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/ l '叨¨ヽ `ー-、 .|ト、 \
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とニ二ゝソ____/ | `ヽ.___´, || \____(、,二つ
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|〕 常識は通用しねぇ ||
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|〕 常識は通用しねぇ ||
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遅くとも9時には始めます。それまでしばしお待ちを…すんません
上条「残念…だったよな。その、できなくて…さ」
美琴「え!?あ、うん、そ、そうよね…ゴメン」
上条「いいって。…でもさ、一方で『できなくてホっとした自分』がいたのも事実なんだよな…」
美琴「ぁ…。私も、そうかも…しれない」
二人とも思ってることは同じだった。恋人というわけでもない、付き合ってるわけでもない二人の男女が
遊びの延長線上とはいえ、キスをするのは…。あまりに抵抗があった。そして、二人のこれまでの距離感が
劇的に変化するのを恐れたのも、また事実だった。つまり、それだけの覚悟や心構えができていなかった。
ゆえの安心感。
上条「…でも、俺嬉しかったんだぜ?お前がポッキーゲームをやろうなんて言いだしてさ」
美琴「ちょっ!べ、別に私が率先して言いだしたわけでもないでしょ!?どっちかっていうとあんたが…」
上条「じゃあそれでいいよ。…それでさ、なんというか、嫌とは思わなかったんだ。御坂はどうだった?」
美琴「どうだったって…。したくもないことを、私がするとか言うわけないでしょっ!!?」
上条「わかった。それが聞けりゃ十分だ」
美琴「?それってどういう…」
上条「だって、いくら自分がよくても相手が嫌がることをするってのは、なんか嫌じゃんか」
美琴「…うん」
上条「ただ、正直…。まだ自分の気持ちに確信がもてない。突然のことだったからさ」
美琴「(あんたにとっては突然でも、私にとっては全然そうじゃなかったけど!)」
上条「だからさ、今日のところはひとまず置いといて…。また近いうち、今日みたく遊ぼうぜ!
…。ああ、わかってる。いつかちゃんとした答えを、自分の中で出すからさ」
美琴「…わかった。私、待ってる」
上条「……」
美琴「……」
美琴「って、ちょぉぉぉぉっと待ったあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
上条「!?」
美琴「危ない危ない…危うく雰囲気にのみ込まれるとこだったわ。
ちょっとあんた!!どういうつもり!?!私を待ちぼうけさせようなんて、イイ度胸じゃない!!?
そもそも、そんなの私のキャラじゃないんだけどぉ!?」
上条「いぃ!?そ、そんなこと言われましてもね!!って、
何でビリビリさせてるんでせうか??危険だからやめなさい!!」
美琴「ちょっと!後ずさりしてどこ行くつもり!!?逃げるのあんたっ!!?」
上条「そうさせてるのはお前だろーがあああああああああぁぁぁぁーっ!!!!」
同時刻
垣根「『ねるねるねーるね』の完成だ」
心理定規「よくできました♪」
垣根「ガキか俺は」
こっちは平和だった
垣根「これって、いろいろ種類があるみたいなんだよな。打ち止めが俺にくれたのはメロン味だったが、
他にもバナナ味、フルーツ牛乳味とかあるらしいぜ。携帯でさっき調べた」
心理定規「おいしそうね。私にも今度買って食べさせてほしいかも」
垣根「あ?テメェはトリュフ、フォアグラ、キャビアでも奢られてろ。
どさくさに紛れてガキのお菓子ねだりたぁ、ギャップでも狙ったつもりか?」
心理定規「困った人。私という人間を、そんなステレオタイプにはめて考えてほしくはないわね。
そもそも本当にそんなキャラなら、彼から『おっとっと』や『ハバネロ』『ハイチュウ』をもらったりは
しないもの。…そう言えば、打ち止めにあげた『おっとっと』も、もとはと言えば彼からもらったものだったわね」
垣根「そういやそうだったか。上条当麻…ね」
心理定規「第1位を倒した男が、気になる?」
垣根「はっ。俺は俺、そいつはそいつだ。俺は自分のやり方で強くなる」
心理定規「そのためなら何でも言ってね。私、頑張るからっ」
垣根「はっ、そんな健気なテメェにご褒美だ。コレ、お前も食ってみろ?案外いけるぜ…」
心理定規「私も食べていいんだ?じゃぁいただこうかな。ぱくっ♪」
垣根「(こいつも人のこと言えねえだろ…ぜってぇ俺とキスしてからキャラ変わってるし。
何が『ぱくっ♪』だ。可愛いじゃねぇかクソっ)」
心理定規「メロン…味っぽくはないわね」
垣根「どっちかっつうとブドウに近い感じだよな」
心理定規「どっちでもいいわ。おいしいから♪」
そんな、垣根帝督と心理定規なのであった。
そして、上条さんは全力疾走だった。
上条「お願いっ!!!砂鉄や電撃乱発すんのやめて!!!上条さんからの切実なお願いですっ!!!
ってか、他の人や公共物に当たったらどうすんの!?お前責任取れんのか!?」
美琴「そのへんは大丈夫よ。私、これでもコントロールには自信あるから!!!
超電磁砲の御坂美琴をなめるんじゃないわよッ!?」
上条「なめてない!!なめてないからーっ!!!」
美琴「あ、私、寮こっちだから!じゃ、またねー!今度は私のほうからお菓子もっていくからー♪」
上条「へ…?お、おう!?またなビリビリ!」
美琴「ビリビリ言うな!」
別れを済ませ、二人はそれぞれの帰路へとつく。
上条「(なんだ…。あいつ、なんだかんだいって楽しそうなんじゃん。あれ?ってことは
一連の攻撃も、言わば鬼ごっこ感覚で楽しんでたってこと?…なんだかなぁ)」
美琴「(今日も楽しかったな。悔しいけど、あいつのおかげなんでしょうね…どう考えても。
それにしても、なぁにが『いつかちゃんとした答えを、自分の中で出すからさ』よ!?
そんなの…。待ってなんかあげない。そのためにも、今度買っていくお菓子を考えなきゃね!)」
上条「(でも、あいつが楽しいと思ってくれてるなら…。それでいいじゃねえか)」
そんな、御坂美琴と上条当麻なのであった。
上条「ただいまーっと」
??「とうま…遅すぎなんだよ…出て行ってから4時間も経過してるんだよ…空腹で死にそうなんだよ…」
変わり果てたインデックスの姿が、そこにはあった
上条「ほ、本当にすまんかったインデックス…ッ!!いろいろありすぎて帰りが遅くなっちまったんだ…。
今すぐ夕食作るからな!!それまで菓子でも食って生きつなぐんだ!!ほら、大量に買ってきたんだぞ!!
上条さんの財布を空にしてまでの、この(上条さんにしては)大奮発した豪勢なおやつの山を見よ!!!」
インデックス「お菓子!!(キラーン」
上条「(相変わらず分かりやすいお方ですねこの人は…)」
そんな、インデックスと上条当麻なのであった。
あ と が き
垣根「結局、俺は冷蔵庫にはならなかったぽいぞ。ハッピーエンドじゃねえか…」
心理定規「ねえ、せっかく恋人の関係になったんですもの。
あなたのこと…下の名前で呼ばせてくれない?」
垣根「そんなの聞くまでもねえだろ。呼んでみせろ」
心理定規「ていとくん♪大好き…っ!」
垣根「おい待てコラ。大好き!でごまかすんじゃねえッ!!今、帝督の後に『ん』を付けただろテメェッ!!?」
心理定規「ダメ?私、この呼び方気に入ってるのに」
垣根「はぁ…。わかった、もう勝手にしろ」
心理定規「ていとくん♪」
垣根「……」
垣根「(ちょっといいかも)」
おわり
実は後日談もあります。夕食を食べてからまた投下しにきます。
数日経ったある日のこと(後日談)
垣根「今日はスクールの仕事はねえし、どっかデートにでもいくか」
心理定規「積極的ね」
垣根「じゃ、どこ行く?」
心理定規「まだ返事してないんだけど」
垣根「テメェは『俺の女』なんだから、拒否権はねぇんだよ」
心理定規「そうだったわね。ゴメンなさい、ていとくん」
垣根「……」
心理定規「どしたの?」
垣根「やっぱていとくんってやめね??俺のキャラじゃない…ぜ」
心理定規「(今更そんなこと言われても)」
垣根「とにかくだ。どこ行く?車の中で考えるか?」
心理定規「パス」
垣根「え?」
心理定規「車でどっか遠方に出かける気分じゃないの」
垣根「じゃあ何か?お前は徒歩や公共交通機関で初デートを楽しむつもり?」
心理定規「そもそも、あなたとは暗部の仕事以外で街を闊歩したことないもの。
プライベートのときのあなたがどういう顔をするか…間近で眺めていたいじゃない?」
垣根「それは車に乗りながらでも見れるだろが」
心理定規「歩く素のあなたを見たいの」
垣根「変わった女だな…。じゃ、それでいいわ。歩きながら行き先でも考えるか」
こうして二人の一日は始まった
垣根「さて、どうすっか。まずは商店街あたりから攻めてみっか」
心理定規「いいんじゃない?」
垣根「本来、お前なら高級デパートや高級料理店ってキャラなんだろうがな」
心理定規「決めつけないの。私は駄菓子に興味を示すようなとても無垢な女の子。
そんなに、一般人に混じって商店街で買い物袋を提げてる私がおかしい?」
垣根「主婦の大群が入り乱れる安売りコーナーじゃ、特に」
心理定規「あ、それいいわね」
垣根「あ?」
心理定規「一回、私あの中に入って彼女たちと争奪戦を繰り広げてみたかったの。
普段暗部の仕事やってたら、絶対お目にかかれない体験じゃないの!」
垣根「ホントにお前って変わってるよな」
心理定規「あなたに言われたくないわ。ていとくん」
垣根「(今の、地味にすっげー傷ついた)」
心理定規「それに、いざとなったらメジャーハートで彼女たちの感情は操作するから、
特売品は全部私のものよね。あってよかったメジャーハート♪」
垣根「何そのキャッチコピー。ってか、そんなくだらんことに能力使うなよ…」
心理定規「自分の能力をどう使うかなんてその人の勝手よ」
垣根「そりゃそうだが」
心理定規「レベル5第3位の超電磁砲なんてこの前、鉄製の壁を垂直に上り下りしながら
『たっのしー♪』って言って遊んでるの見かけたし、第4位の原子崩しだって
解体予定現場の物品を片っ端からメルトダウンさせて『やっぱこれ、ストレス解消には最高ねー!』
って光線撃ちまくってんの見かけたし」
垣根「……」
心理定規「驚いた?」
垣根「そいつら愉快すぎ」
心理定規「別に誰だってこのくらいすると思うけど」
垣根「いやいやいや。前者はあるにしても後者はねえよ。危ねえよ」
心理定規「あなたはダークマターでストレス解消はしないの?」
垣根「しねーから」
心理定規「というかそもそもの疑問なんだけど、あなたってその能力戦闘以外じゃ使わないの?
何かの高級品に似せた未元物質を駆使すれば、案外簡単にお金稼げそうだけど」
垣根「それ詐欺じゃね?ってか、お前黒くね?」
心理定規「しないんだ」
垣根「しねーよッ!そんな小物っぽいこと!?」
心理定規「そうね。あなたがそんなことしてたら、正直幻滅ものだもの」
垣根「お前は俺をどうしたいのよ…」
心理定規「ていとくん」
垣根「意味わかんねえ平仮名5文字をどや顔で放ってんじゃねえッ!!」
心理定規「ていとくん♪」
垣根「可愛く言ってもダメだ」
垣根「ってか、本当にどこ行くよ?このままじゃ商店街通り越しちまうぞ」
心理定規「そうね。じゃ、ここにでも入りましょ」
垣根「小さな売店だな。いいけど」
心理定規「へー、いろんなお弁当が陳列してあるわ。ここはお弁当屋さんだったのか」
麦野「シャケ弁ください!」
目の前に第4位がいた
垣根「あ!?」
麦野「えっ…?」
心理定規「こんにちは麦野沈利さん」
垣根「(いや、何でお前は平然と挨拶してんの??こいつアイテムのリーダーだろ??敵なんじゃねえの??)」
麦野「第2位とその連れか…。ケッ、何の用だよ?」
心理定規「別に。お弁当を買いに来たの。麦野さんはここの常連さん?」
麦野「だったらどうしたぁ?」
心理定規「オススメがあるなら教えてくれない?私こういうのには疎くて…」
麦野「!そういうことなら、このシャケ弁がおいしいと思うんだにゃー♪」
垣根「何この状況」
しばらくして店を出る二人
心理定規「また来ようっと」
垣根「お前ってさ、本当相手を抱き込むのうまいよな」
心理定規「何のこと?純粋に私はアドバイスを乞うただけなんだけど」
垣根「え?あれ素だったの?」
心理定規「それで。次はどこ行こうかしら」
垣根「…いつのまにか、揺れ動くままにどこかを訪れる旅の行脚と化してるな」
心理定規「私、そういうの好きだけど。明確な目的地に縛られず
その過程を楽しむのって、十分旅の醍醐味だと思うわよ?」
垣根「これって旅だったのか」
心理定規「そ。なんか新鮮な感じで楽しいでしょう?」
垣根「新鮮すぎるぜ」
心理定規「あ、あれなんかどうかしらっ!?」
彼女が目を向ける、その先はゲームセンターだった
垣根「ほうゲーセンか。暇潰しにはもってこいだな」
心理定規「え?私とのこの初デートが暇潰しってどういうこと…??」
垣根「違うから。ゲーセンに付随する一般論を言っただけだから」
心理定規「冗談よ。必死になって否定するていとくん可愛い♪」
垣根「マジ疲れるし」
そんなこんなで二人はゲーセンの中へと入る
心理定規「いろんなゲームがあるわね。何からしようかしら…」
垣根「そうだな。初心者なんだっけかお前は?なら、クレーンゲームでもどうだ」
心理定規「それ、何かバカにしてない?仮にも私は暗部の人間よ?」
垣根「…暗部の人間だからといって、いきなり格ゲーで無双できるとかは思わねえけどな…」
心理定規「他にないの?」
垣根「そんなにクレーンゲームが嫌かお前は。じゃあ…もぐら叩きでも」
心理定規「やっぱバカにしてるわね」
垣根「だからしてねえって!可愛らしい遊びをチョイスしたつもりなんだぜ…?これでも。
それに、こういうのはストレスの解消にもなっていいしな」
心理定規「もしかしてさっきの話の続きだけど、あなたってもぐら叩きでストレス解消してんの?
そっか。だからダークマター云々には興味なかったのね」
垣根「話が戻りすぎだろ。後、冷静に返答するけど、今のもあくまで一般論だから。
最近お前の勘違い癖が甚だしいから強調してもう一回言っとくが、一般論だからな。
…もっとも、それで本当にストレスを発散してるヤツは見たことねえが」
美琴「うおおおおおおおおおりゃああああああああーッ!!!!!」
垣根「……」
心理定規「目の前にいるじゃない」
垣根「正直びっくりしている」
美琴「ぁんのツンツン頭ァァァァァァーッ!!」
ドゴッ
美琴「せっかく遊びに誘ったのに…ッ!誘ったのに!」
ドガガッ!
美琴「すっぽかすったぁ一体どういうことだコラァァァァァッ!!?」
ドガガガッ!
美琴「おまけにその連絡すらよこさないとか、マジ死ねこの野郎ォォォォォッ!!!」
ドゴオオオオオンッ!
テロレロリン♪BEST SCORE!You are number1!!
周りの人1「お、おい!?何か凄いことになってるぜ!?」
周りの人2「こんなハイスコア見たことねえ!何者だこのコ!?」
心理定規「私、感動しちゃった…!」
垣根「(超電磁砲…だよな?こんなトコで何やってんだこいつは…)」
心理定規「もぐら叩きってこんなに熱いゲームだったのね。私、ちょっと見誤ってたかも」
垣根「たぶんお前の認識はそれで正しい」
心理定規「他にも私ができるような熱いゲームってないの?」
垣根「うーん…じゃあ音ゲーとかどうだ?」
心理定規「オトゲー?」
垣根「リズムに合わせて、指定されたボタンを押すようなゲームだ。
まあボタンに限らず、例えば太鼓とか足で踏むダンスゲーとか、種類はいろいろだけどよ」
心理定規「なんか楽しそうね。やってみようっと」
二人は音ゲーの機械を探す
心理定規「あ!このダンスゲームとか楽しそうじゃない!?」
垣根「先客がいるな。って、こいつ…!!」
心理定規「!凄いわこの人!!」
なんと顔がゲーム画面に向いていない。にもかかわらず、
彼は見事なステップで華麗にゲームをクリアしていっていた。
垣根「(しかもハードだろこれ…。よそ見してダンスとか、どんだけ余裕なんだこいつは)」
まさに達人のなすワザと言えた
心理定規「あれ、でも何か変じゃない?」
垣根「どうした?」
心理定規「見なくても踊れるってのは凄いけど、それにしても首が同じ方向に
ずっと固定されたままじゃない?普通は、見ないにせよ少しくらいはキョロキョロするわよね?」
垣根「確かに…」
どうにも不自然だった。もしかしたら、彼は何か凝視でもしてるのだろうか?
気になった二人は、その視線の先へと目をころばせた。
美琴「上条当麻の馬鹿野郎ォォォォォォッ!!!」
第2ラウンドを開始してる美琴がいた
海原「(美琴さん…今日もお美しいです)」
御坂美琴に釘付けにされ踊っていた、その青年の名は海原光貴だった
海原「(こうして同じゲームセンターでゲームをしているならば、見ていたところで
別段怪しまれることもないでしょう。我ながら考えたものです)」
首が固定された、その動作が怪しすぎることに彼は気付かない
垣根「(よくわからんけど、どうやら俺たちはカオスな状況を目の当たりにしてるっぽい)」
心理定規「…それにしても。もぐら叩きにせよダンスにせよ、こんなに凄い人たちが
眼前にいるんですもの。自分がするより、そんな彼らの洗練された動きを見てた方が楽しそうだわ」
垣根「なんかそれ、ゲーセンに遊びにきた理由としては本末転倒なような気がするがな…」
心理定規「私が楽しいと感じてるんだからいいじゃないの」
垣根「まぁ、そうだけど」
垣根「(というか今気付いたけど、こいつグループの海原光貴ってヤツじゃねえのか?)」
美琴「おらおらおらおらおらーッ!!」
海原「(そんなスタンドまがいの美琴さんも美しいです)」
垣根「……」
垣根「(見なかったことにしよう)」
十分堪能したのか、二人は外へと出る
心理定規「あなたもこれでわかったでしょ?」
垣根「ぁ?いきなり何だ」
心理定規「これが、目的もなく漂う旅ってやつよ。その証拠に、期せずして
面白い状況に立ち会うことができたじゃない?弁当屋では麦野沈利、
ゲームセンターでは御坂美琴に海原光貴といった具合にね」
垣根「(二人の正体もちゃんと把握してるし)」
垣根「……」
垣根「まぁ、確かにお前の言う通りかもしれん。たまにはこういうのもいいかもな」
心理定規「リラックスできた?」
垣根「え?」
心理定規「スクールの仕事で疲れてそうだったから。いつもとは違う空気に触れてみるってのも、
良い息抜きになったんじゃないかなって。好きな人を気遣うのは、彼女として当然の役割だものね」
垣根「お前…そこまで俺のことを」
心理定規「じゃ、また適当にぶらぶらしましょ!」
垣根「あぁ。それはいいんだが、そろそろ昼食とらないか?」
心理定規「そういえばそんな時間だったわね。あら、このファミレス…」
垣根「?どうした?」
心理定規「この前、私が幻想殺しの少年と一緒に食事したファミレスだなーって思って」
垣根「あぁ、お前らここで食べてたのか。うまかったか?」
心理定規「もしかして二つの意味を孕んでる?味自体のおいしさと、
上条当麻と食事して味はおいしく感じられたのかっていう」
垣根「『うまかったか?』一つに深読みしすぎだお前は…」
心理定規「そう?ゴメンなさい。暗部の人間なら、言葉の多重解釈くらい当たり前かなって思って」
垣根「それじゃ何の気なしに『うまかったか?』て言った俺がバカみてぇじゃねえか」
心理定規「あなたはそれでいいと思うわよ。いつものていとくんでいて♪」
垣根の腕へとしがみつく彼女。傍から見ればバカップルである。
垣根「お前が俺のことをバカにしてるっていう事実だけはわかった」
垣根「って、抱きつけば許されるとか思ってんじゃねぇぞコラァァァッ!!」
心理定規「冗談よ冗談」
垣根「はぁ…。俺はこれまでいろんな女に会ってきたけどな?お前ほど手ごわいのは見たことねえぜ…」
心理定規「それは光栄ね」
垣根「褒めてねえから」
心理定規「とにかくさっきの答えだけど、味はもちろん、
上条当麻と一緒にいて楽しかったわよ。優しい人は私、好きだもの」
垣根「…へえ、そうか」
心理定規「嫉妬した?」
垣根「レベルゼロに嫉妬する意味がわからねえ」
垣根「でも、第1位を倒した男でもある」
垣根「…はいはい」
彼女を無視し、ファミレスへと一人で向かう垣根
心理定規「ちょ、待ってってば!怒らせたのならゴメンなさい!?」
心理定規「あなただって十分に優しいから安心して?だからこそ、私はあなたのこと好きになったんだから」
垣根「優しいだぁ?お前を置いて店に向かってるってのにか」
心理定規「…歩幅がいつもより小さい」
垣根「っ!?」
心理定規「私が見失わないように、敢えて歩幅を私に合わせてるんでしょ?そういうところ、好きよ」
垣根「お前さぁ…人の動きを観察しすぎだろ常識的に考えて…」
心理定規「嫌だった?」
垣根「バカなこと言ってねえで、とっとと中に入るぞ」
そうは言いつつ、どことなく嬉しい感じがした垣根帝督だった。
垣根「席は…ここでいいな。何を頼む?」
心理定規「そう急かさない。時間はまだあるんだから」
垣根「時間があるとかいって油断してるとなぁ。時間なんてのは、あっという間に経過しちまうんだよ」
心理定規「経験者が言うと説得力があるわね」
垣根「え?ちょ、それどういうー」
心理定規「この前も、『まだ時間はある』とか余裕ぶちかまして、
結局打ち止めを誘拐できなかったんだものね」
垣根「…あぁ、そうだよッ!!せいぜい俺を反面教師にしろよこのクソったれ」
心理定規「(逆切れするていとくん可愛い♪)」
ほのぼのとしていた。
一方通行「アァ!?補習があるから来れねェだァ!?バカかテメェはッ!!?」
突然の怒声。ほのぼのは終了した。
垣根「…なあ。一方通行の声が聞こえた気がしたんだが、気のせいだよな?
いけねぇいけねぇ。あいつに対する執着(殺す的な意味で)にはけじめをつけたつもりだったのに
こんな幻聴が聞こえちまうなんて、情けねえ話だ」
心理定規「言ったでしょ?予想外の面白いことが起こる、それが旅の醍醐味だって」
垣根「予想外はともかく、面白いってのは違うと思う。絶対違うと思う」
心理定規「まぁまぁ。とりあえず様子を見守りましょうよ」
そんな二人が見守る彼は、二人からは少し離れたテーブルへと座っている。
一方通行「ァんの土御門の野郎…次会ッたら半殺し確定だコラ」
??「あなたと二人っきりって時点でなんとなく察してたけど、案の定ってわけね…」
そして、そこには肩を落とす…もう一人の同伴者がいた。
一方通行「なァ結標。グループの会議より補習を優先させる野郎ォってどう思う?」
結標「少なくとも、付き合おうとは思わないわね」
一方通行「海原も海原で連絡が取れねえし…マジどうなッてんだよこの組織はよォ!?」
垣根「……」
心理定規「……」
え?海原って確か、さっきゲーセンで踊ってた人だよね?と顔を見合わせる二人だった。
結標「私にそれを言われても…。そもそも、集合場所がこんなファミレスって時点でおかしくなかった?」
一方通行「ァ?」
結標「だってそうでしょう??暗部に関わるような秘密事項を、こんな人あふれる場所で話すって
一体何なの??どういうこと??ありえないわよこんなの普通に考えれば」
一方通行「…確かにそうだァ」
結標「はめられたわね私たち」
一方通行「ってことは会議ッてのも嘘かァ!?土御門ォ!テメェは半殺しどころかスクラップ相当だ糞が!!」
結標「にしても、何でその組み合わせが私とあんたなの?」
一方通行「…おい、周りに土御門や海原、もしくは怪しい監視カメラはねェか?」
結標「え?」
一方通行「俺とお前、なんとも愉快な組み合わせだよなァ?」
結標「…まさか」
一方通行「そんな二人を見てニタニタ影から笑う奴がいたとしたら、そいつァ生かしちゃおけねェよなァ?」
その瞬間だった
垣根「(嘘!?こんな店の中で!?)」
とっさの判断で垣根は、自分と心理定規の周りをダークマターで覆った。
心理定規「え…ど、どうしたの?」
垣根「あいつ、何を血迷ったか…この空間全域にベクトル操作をかけようとしてやがる…ッ!」
心理定規「もしかして私たちがいることバレちゃったから?」
垣根「いや、それは関係ねぇと思うが…」
しかし危なかった。垣根のとっさの能力発動がなければ、二人とも一方通行に存在を気付かれていた
かもしれない。基本的に未元物質には彼の操作が効かない…。ゆえに、とりあえずは難を逃れた。
その代わり、とある絶叫が聞こえた。
??「ぎいいぃぃぃぃやああぁぁぁぁぁッ!!!!!」
一方通行「こんにちはァ!!一体店内で何やってたンですかァ??端っこでこそこそ何やってたンですかァ??
死ぬ準備できてますかァッ!!?え?土御門クゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!?」
天国に一番近い男、その名は土御門元春
土御門に黙祷を捧げて、自分は寝ます…みんなおやすみなさいませ
また昨日と同じく書きにきます
土御門クーン
ああああああああああああああああああ
ミ\ /彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
\ \ / /
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡
/ ̄ ̄\|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|/ ̄ ̄\
/ / ̄| || ̄\. \
/ / |〕 帝凍庫クン .|| ´\ \
/ │ ..| 脱臭炭入り || | \
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彡 / │ ./..| -―- 、__, |ト、 | ´\ ミ
彡/ │ ../ | '叨¨ヽ `ー-、 || \ | \ ミ
│ / ..|〕 ` ー /叨¨) ..|| \|
r、 |/ ! ヽ, || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | `ヽ.___´, j.| ミ \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ 彡..| `ニ´ i| ミ |\____(、,二つ
| 彡...|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i| ミ |
\彡 | .|| ミ/
|〕 悪臭は発生しねぇ ||
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ミ \ / 彡
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ほ
地震やばす
一方通行さんベクトル操作で地震をなんとかしてください
テッラ「ていとくんを上位に、地震を下位に」
上条「地震?そんな幻想をぶち殺す!」
保守だァ!
TV「宮城県で震度……」
一方通行「やべェ……最近自転パンチ多用したせいでプレートに負荷が掛かってたからなァ……
間違いなく俺のベクトル操作のしわ寄せに決まってンなァ……」
一方さんのせいかw
ていとくん「その前に冷蔵庫から出して」
あ
う
なんと…。保守してくれた人ありがとう。
ていとくんは地震に勝ったんですね。浮いてるから当然か。9時までには書きにきます
あ
どういう原理かは不明だが、どうやら一方通行の探索網にキャプチャーされてしまったらしい。
悲鳴も上げてることから、言わずもがな何かしらの攻撃も喰らったっぽい。
垣根「(あいつ死んだな…)」
垣根は遠い目をして、その哀れな生き物を見守っていた。というか、ぶっちゃけそれしかできなかった。
一方通行「さァ、洗いざらい吐いてもらおうかァ!!?海原はどうしたァ??
あいつもテメェのくだらねえ計画に噛んでんのかァ!!?アァン!?」
土御門「あ、あいつは知らんッ!!もとから、あいつは今日用があるとかで来る予定じゃなかったからなッ!」
垣根「(踊りながら女の子を見る、あれってそんなに大事な用だったのか…)」
一方通行「最期の最期に、正直に話してくれてご苦労ォさン?」
もはや彼の眼は笑っていなかった
土御門「これは…本格的にまずい!!結標!俺を安全な所までとばしてくれッ!!」
結標「ええ、わかったわ」
土御門「!ありがとうだぜ結標!やっぱお前は最高の親友だにゃー!」
結標「ふふっ。痛みすら覚えない安全な所だから大丈夫よ?コンクリートの中とかどうかしら?」
土御門「あ、ぁ、ぁぁ…」
一方通行「さ、土御門クウウン。ここで死ぬと店の人に迷惑だからよォ、とりあえずお外に出ようやァ?」
結標「手伝うわ一方通行。あ、こんなときこそムーブポイントの出番なのかも」
その後、彼の生死がどうなったかは不明である
垣根「……」
心理定規「……」
垣根「食べるか」
心理定規「そうね」
垣根「すげー迫力だったな」
心理定規「そうね!」
垣根「あれ。今、語尾にビックリマークが付いてたのは気のせい?」
心理定規「だって、見てて凄くドキドキしたじゃない!?連れて行かれた彼には悪いけど…
あんな光景、めったに目撃できるものじゃないもの(キラーン」
垣根「いやいや…。目を輝かせてるところ悪いが…お前、仮にも暗部の人間なら、
今までだってあーゆーデンジャラスな光景は何度も見てきたろ?」
心理定規「デンジャラス…だった?今の、どっちかというとコミカルだったような」
垣根「一体どういうことなの」
心理定規「私には、あの3人が仲良く見えたな。普通の友達でもボケ&ツッコミの関係で
頭叩いたりとかはよくあるじゃない?その延長線上って感じがしたわ」
垣根「待て。ツッコミで人は死なないから」
心理定規「何を言ってるの?」
垣根「え、だって一方通行は明らかにあの金髪グラサンを…。いや、なんでもない」
殺す、と言いかけたが、それは思いとどめた。確かに彼女の言う通りかもしれない。
この前の打ち止めの面倒を見ていた一方通行を鑑みる限り、彼は本当に人を殺したりはしないだろう。
垣根「(もっとも、そのツッコミは『痛ぇ』ってレベルを通り越しちまってるがな…)」
明日にでもどこかの病院に入院してるかも。そんな彼に、垣根は静かに黙祷を捧げてみた。
心理定規「さ、食べ終わったし店を出ましょう」
垣根「正直、一方通行たちのせいで喉によく食べ物が通らなかったんだが」
心理定規「私は通ったけど」
垣根「お前ってさ、絶対ずぶといよな」
そういうわけで外に出る二人
??「絹旗の野郎ォォォッ!いくら場所が近いからって3分以内で戻ってこいとか冗談じゃねえぞ!!?」
心理定規「っ!?」
??「あ、すんません!」
危うくぶつかりそうになった彼は頭を下げ、そのまま繁華街のほうへと行ってしまった。
垣根「大丈夫か?」
心理定規「別に。彼が直前の所で止まってくれたから大丈夫よ。それより…」
垣根「?」
心理定規「私って『当たり屋』の素質があると思ってたのに、まさか向こうから避けてくれるなんて…」
垣根「は?」
心理定規「以前上条当麻と会ったって言ったでしょ?あのときも、出会いはこんな感じだったの」
垣根「ぶつかったってか?お前、結構ドジなんだな」
心理定規「ドジっ娘って萌える?」
垣根「うるせぇ。っていうか、さっきの『当たり屋』って何だよ」
心理定規「誰かとぶつかることに定評がある私って感じ?」
垣根「…『当たり屋』って、わざと事故起こして法外な損害金・賠償金を要求してくる
イカれた連中のこと指す用語じゃなかったっけ」
心理定規「私ってそんなひどい人間だったんだ」
垣根「いや、違ぇだろ」
心理定規「というわけで、ぶつかったんだから上条当麻と同じく彼にも話しかけなきゃ!
急いで彼を追いかけましょう!」
垣根「もしもし?『ぶつかったんだから』の意味がいくら考えてもわからんのだが」
心理定規「あっ!彼もうあんな遠くに。あなたが『当たり屋』云々話すから見失いそうじゃない」
垣根「その歳にして痴呆かテメェは。お前がそれ言い出したろ。ってかさっきの質問に答えろや」
心理定規「質問攻めね」
垣根「お前が変なことばっか言うからだろ!?」
心理定規「一番の理由は、これ」
そう言って、彼女は落ちていたお菓子を拾い上げる。
垣根「…じゃがりこが二つ?」
心理定規「それもサラダ味とチーズ味ね」
垣根「味なんてどうでもいいわ。で、何だそれ?もしかしてあいつが落としてったのか?」
心理定規「そ。だから届けてあげようと思って」
垣根「親切すぎだろ…」
心理定規「しゃべってる暇があったら動く!」
二人は繁華街へと向かう彼を追いかける
垣根「しっかし、そいつも変な野郎だよな」
心理定規「どうして?」
垣根「あの男、両手いっぱいに菓子持ってたろ」
心理定規「そうだけど」
垣根「何でビニール袋とか使わなかったんだ?」
心理定規「……」
心理定規「4円が惜しかったんじゃない?ほら、最近ビニール袋って有料じゃない」
垣根「4円惜しむとかどんだけ貧乏なんだよ!!?」
心理定規「塵も積もれば山となるって言うし」
垣根「お前それマジで言ってんの?」
心理定規「冗談よ。たぶん彼急いでたんじゃない?店員に袋に入れてもらう、その時間すら惜しかったとか」
垣根「5秒もかからないあの作業が??」
心理定規「でも、実際問題彼急いでたじゃない?だからこそ私にもぶつかりそうになったんだし」
垣根「じゃあもうそれでいいわ」
??「おし!なんとか、ギリギリ3分以内じゃね?俺もやればできるじゃねぇか!!」
そう言って、彼はとある建物へと入っていく。
垣根「何だここ」
心理定規「映画館みたいね」
垣根「にしては何か違和感が…(人少なすぎじゃね)」
心理定規「ショートフィルムの上映店ですって。人気(ひとけ)がないのもそのせいね」
垣根「ショートフィルム?そりゃまた珍しい。で、俺らもこん中入るのか?金取られるぜ?」
心理定規「せっかくだし映画も観ましょ。なんか面白そう」
垣根「…まぁ、安いからいいけど」
心理定規「旅は道連れ世は情けってやつ?」
垣根「バカなこと言ってねーで入るぞ」
垣根は唖然とした。自分たち含め、観客が6人しかいないという驚愕の事実に。
垣根「おいおい…経営大丈夫なのかこの映画館」
心理定規「ショートフィルムなだけに、他の映画館とは事情が違うんじゃないかな」
垣根「そんなもんか…?まぁ知ったこっちゃねぇけどよ」
心理定規「ええっと、彼は…」
垣根「前から数えて5番目か。近すぎず遠すぎずって位置にいやがる」
その彼の横には、連れがもう一人
心理定規「あら?女の子ね。もしかして彼女さんかしら?」
垣根「かもな」
心理定規「ということは、その彼女のためにお菓子を買ってきてあげたって感じ?可愛いとこあるじゃない」
垣根「それよりさっさと菓子渡すぞ。上映が始まってからじゃまともに話もできねぇ」
そんな彼らに視点は変わる
絹旗「残念でした浜面。わずかに3分から6秒すぎてます。超すぎてます」
浜面「あんなに頑張ったのに!?袋ももらわずに走ったのに!?嘘だろおおぉぉぉぉぉッ!!?」
絹旗「結局、浜面は超浜面にふさわしい末路を迎えたってことです」
浜面「間に合ったと思ったのに…っ!」
絹旗「あの、さっさとお菓子渡してください。超上映始まりますよ。
浜面の葛藤とか超どうでもいいですから」
浜面「わかったよ、ったく。ポテチにポップコーンに… あれ?」
絹旗「どうしたんです?」
浜面「じゃがりこが…ない」
絹旗「…まさかとは思いますが、二つともないんですか?」
浜面「……」
絹旗「浜面が無能だってことは知ってましたけど、正直ここまで無能だったとは超思いませんでした」
浜面「どっかで落とした…のか?なんてこった…」
絹旗「幻滅です。超幻滅です」
心理定規「あの、ちょっといいですか?」
絹旗「?」
心理定規「そちらの方がお菓子を落としていかれまして。これ…ですよね?」
浜面「!あなたはあのときの!って、わざわざ拾って持ってきてくれたんですか!?こんな所まで!?」
心理定規「ええ。困ってらっしゃると思って」
浜面「な、なんて親切な人なんだ…。本当にありがとうございます!!
まったくよお…どっかの誰かさんに見習わせたいくらいだぜ」
絹旗「何で私のほうを見てるんですか?浜面。それも蔑しんだ目で。超死にたいんですか?」
浜面「うるせぇ!確かに、俺はアイテムの下っ端だけどなぁ!それを差し引いてもお前は勝手すぎるッ!!」
絹旗「へぇ。どうやら窒素の塊で超押し潰されたいようですね」
心理定規「まぁまぁ。彼だって頑張ったんだから許してあげて?可愛い彼女さんのためにね」
浜面「えっ」
絹旗「彼女!?」
絹旗「っていうか、何ですかその『えっ』って反応!?なんか超むかつくんですけど!?」
浜面「いや…。俺としても、彼女が絹旗ってのは正直どうなのかなと…」
絹旗「殺す。浜面超殺す」
浜面「じゃあ何か??お前は俺と付き合いたいのか!?」
絹旗「それこそ超冗談じゃないですよ!?何で浜面みたいな超キモいやつとこの私が!
彼氏彼女の関係にならなきゃぁいけないんですか!?あなた頭超沸いてんですかッ!?」
浜面「どっちなんだよッ!?」
心理定規「(あらあら、仲が良いのね♪)」
自分の役目は終わったかなと感じ、彼女は垣根のいる席まで戻っていく。
垣根「おい…。お前、場をかき乱しておいて放置か…」
心理定規「何のこと?」
垣根「いやいやいや。あの二人、明らかにさっきより何か険悪になってるから…」
そして、その近くの席では
初春「なんか、カップルばかりですね」
佐天「あっれー?初春、そんなに恋人が欲しい?」
初春「べ、別にそんなことは言って!?」
佐天「大丈夫大丈夫!だって、初春はすでに私の彼女なんだから!」
初春「意味わかんないですよ!?ってか抱きつかないでくださーいっ!!」
6人の観客とは、まさかの浜面、絹旗、垣根、心理定規、初春、佐天だった。
そして映画は始まる。
……
心理定規「あれ、もう終わり?」
垣根「15分もなかったな」
心理定規「なるほど、これがショートフィルム…」
心理定規「どうだった?」
垣根「正直なんて答えたらいいか…」
心理定規「?話の筋ははっきりしてたじゃない。少年が夜の街でいろんな幽霊や怪物に襲われて、
実はそれは着ぐるみを被った、あるいは変装した友達のどっきりだったっていう」
垣根「ってか短すぎ」
心理定規「だって『ショート』だもん」
絹旗「これは予想外C級にしては、かなりの良作に入るとみましたよ浜面!」
心理定規「良作らしいわよ」
垣根「マジで??」
上映が終わり無音になったのに加え、観客は6人だけ。他人の声も筒抜けなのであった。
絹旗「たいてい、こういうショートフィルムは時間が短いだけに…いかにして超インパクトを与えるか
という点を重視しすぎて話の展開が超意味不明になったりする愚かなケースが多いんですけど、
この作品はその二つをギリギリですがクリアしてたように思います。久々に私は超好感触ですよ浜面!」
浜面「確かに、手ごたえはあったな。こんな短い時間でよく頑張ったと思うよ」
心理定規「話を聞く限り、あの二人は『ショートフィルム』をそれなりに経験してるみたいね」
垣根「オチがしょぼすぎと思ったのは俺だけか…??あんだけホラーな演出して最後がどっきり!って…」
心理定規「それでよかったんじゃない?むしろ時間が短いだけに、
壮大すぎるオチのほうがダサくなると思うけど」
初春「こ、こ、怖かったですぅぅぅ…」
佐天「いやー、なかなか迫力あったね!『ショートフィルム』とかいって少し舐めてたかも」
初春「って佐天さん!?どさくさに紛れて私を触ったりしたでしょ!?」
佐天「えーだって。私はね、怖がってる初春を安心させようと思って、
わざわざ肌をくっつけてあげたんだよ?」
初春「それ嘘ですよね!?それどころか私を怖がらせようとしてましたよね??化け物が現れた瞬間にだけ
掌をそっと首筋に置くって、どういうことですか??心臓が止まるかと思いましたよ!?」
佐天「なんのことかなぁ。でもでも、スリルあって楽しかったでしょ?(キラキラ」
初春「佐天さんと一緒にいると、いつもスリルだらけです…」
心理定規「あちらも好評だったみたいね」
垣根「テンションに差がありすぎるみたいだけどな…」
心理定規「ところで、この映画館って『ショートフィルム』一本しかないの?他のも見てみたいんだけど」
垣根「まぁ、いくらなんでも一つしかねぇってことはないと思うが」
心理定規「こういうのは経験者に聞くに限るわね。すみませーん、ちょっと聞きたいことあるんですけど」
絹旗「あ、さっきの…浜面ごときに善意を見せてくれた稀に見る親切な人!」
浜面「ホント、いちいち癇にさわる言い方をする奴だよなお前ってッ!!」
心理定規「ここって、これ以外にも見れる映画はあるかしら?」
絹旗「ありますよ。ここ以外にももう一つ部屋あって、そこで別の『ショートフィルム』超やってます」
心理定規「そうなんだ。教えてくれてありがとね」
絹旗「いえいえ。…あの、あちらにいる長身の男性って、もしかして彼氏さんですか?」
心理定規「そうよ。私自慢の彼氏さん」
絹旗「それもイケメン…。はぁ…」
浜面「!?テメェ、その視線は何だ!?悪かったなぁ!!お前の付添い人がカッコよくなくて!!!」
垣根「(っていうか今気付いたけど、あの二人ってアイテムのメンバーじゃなかったっけ…)」
絹旗「私たちもそこの部屋に超行こうと思ってたんですよ。よかったら一緒に見ます?」
心理定規「いいわね。できれば感想も聞かせてくれたら嬉しいわ。私こういう映画には疎くて…」
絹旗「キラーン!もしかしてこの手の映画は超初めてですか!?
じゃぁ私が『ショートフィルム』の奥深さについて超いろいろ」
浜面「お前がそれ話すと止まらなくなるからやめろ!!」
垣根「…なぁ(小声で」
心理定規「ん?どうしたの?」
垣根「こいつらってアイテム…だよな?さっきも男がアイテム云々言ってたし…(小声で」
心理定規「そうね」
垣根「やっぱお前すげぇわ(遠い目で」
相手の素性を知ってる、にもかかわらずいつもと変わらない態度。それどころか相手に話を合わせる。
弁当屋の麦野のときもそうだったがこの女…タダ者ではないッ!!?
垣根「(あ、そういやこいつって暗部の人間だったっけ)」
たまに忘れそうになるから困る
その後、彼女たちは別のショートフィルムを見たわけだが…。何やら一回見ただけでは飽き足らなかったらしく、
同じ映画を繰り返し観賞したのだった。そして、その感想を絹旗と語り出す始末だった。もちろん心理定規が。
垣根「(すっかり意気投合してやがる)」
浜面「なんかすんません…こっちの世界(C級のショートフィルムetc...)に引きずり込んじまって…」
垣根「いや、まぁいいって。正直俺は見飽きたところだが…。あいつが楽しんでるなら、それでいいってことよ」
浜面「(この人、性格までイケメンだ!?)」
そんなこんなで時間は経過していった
心理定規「いやー、こんな短い映画にこれだけの要素があったなんて…。私、世紀の大発見をした気分!」
絹旗「私も、久々にあなたのような人と話せて超嬉しかったですよ!」
心理定規「ねぇ、また何か良い映画があったら、メールで知らせてくれたら嬉しいなっ」
絹旗「そのへんは超任せてください!まぁ、このへんは運も若干絡むんですが…
なるべく良いのをチョイスしてメルマガみたく超送信しちゃいますよ!」
心理定規「運も絡むってとこが味噌ね。私、偶然を楽しむのって大好き!じゃぁ期待してる♪」
垣根「(メルアド交換もしちゃってるし仲良くなりすぎだろ常識的に考えて)」
映画館を出て、絹旗、浜面と別れた頃には…時はすでに夕方だった。
垣根「なぁ、一つ聞いてもいい?お前、もしかして暗部の諜報活動の一環としてメルアド交換した?」
心理定規「何を言ってるのかわかんないんだけど?」
本当に『何を言ってんだこいつは』って顔をしている
垣根「絹旗って奴、アイテムの構成員だろ。動向を探るためにやったんじゃねぇかと」
心理定規「はぁ…。考えすぎよ。もしそれが本当なら、私は絹旗さんじゃなく麦野に接触してるわ。
リーダーでもない彼女から何らかの機密を得られるとは思ってないもの。
基本、クライアントとの接点をもってるのは組織のまとめ役だけだものね」
垣根「あの、マジでプライベート目的??」
心理定規「だって、私と絹旗さんは友達になったんですもの♪」
垣根「あーそう(棒読み」
心理定規「そういうあなたも、せっかく『しばらく殺しません』宣言したのなら
一方通行と友達になったらいかが?」
垣根「……」
垣根「オイ、お前は今どういうつもりでヤツの名前を出した?10字以内で懇切丁寧に説明しろや」
心理定規「前にもこんな流れあったわね…。そんなに第1位の名前出されたのが嫌だった?」
垣根「嫌すぎる。ったく、このバカ野郎が」
心理定規「…ツンデレ?」
垣根「今の単語は聞こえなかったフリをすればいいのか」
心理定規「さっきのツンって、私に向けたもの?それとも一方通行?両方に解釈できるんだけど」
垣根「後者だけは死んでもねぇから!!」
心理定規「じゃぁ、私だけのツンデレ?」
垣根「いい加減黙れ」
心理定規「ていとくん可愛い♪」
垣根「(何なのこの人…)」
垣根「で、これからどうする?夕方だからな。もう回れる所も少ねぇぞ」
心理定規「実はね、それについては考えてたの」
垣根「へぇ?目的地もなくぶらぶら歩くお前にしちゃ珍しいな」
心理定規「確か…こっちだったかしら」
垣根「ん?繁華街から抜けんのか」
そんなこんなで二人が辿り着いた場所は
垣根「…公園?」
まごうことなき公園だった
心理定規「そ。公園」
垣根「これまたどうして?」
心理定規「嫌だった?」
垣根「いや、そういうわけじゃないんだが…」
心理定規「前からね、私…こういう所、あなたと一緒に来てみたかったんだ」
垣根「?」
心理定規「静かでしょ?ここ」
垣根「…静かってんなら、俺そういう喫茶店知ってんだけど」
心理定規「そういう不粋なこと言う人嫌い」
垣根「悪かったな」
心理定規「夕方…人も動物もいなくなる時間帯。
自然に囲まれてるココなら、それが嫌ってほど実感させられるわよね」
垣根「…さっきから何を言おうとしてんだ?」
心理定規「あなたも暗部の人間なら、私の言ってることがわかると思うけど」
垣根「……」
垣根「そうだな。珍しい場所だな。『俺たちのような存在』からすれば、な」
心理定規「……」
垣根「…まだ過去のことは話しちゃくれねぇのか」
心理定規「いつかは話すわ。ただ、今はまだそれだけの覚悟が、私にはできてないから」
垣根「ま、無理は言わねぇよ」
心理定規「ただ、なんとなく想像はつくんじゃない?あなただってそう。
私と背負ってるものが、そんなに違うとは思わない」
垣根「実験漬けの幼少時代か?」
心理定規「…随分とまぁ、ストレートに言うのね」
垣根「遠回しに言ったってしょうがねぇだろ」
心理定規「辛かった?」
垣根「はっ。バカ言え。むしろ心地良かったぞ?小さい頃から優秀だ優秀だと囃したてられ、
実際に俺はその通りの実績を築き上げてきたんだからな。今じゃこの学園都市の誇る第2位だ」
心理定規「やっぱり、あまり良いものではなかったのね」
垣根「ぁ?」
心理定規「『囃したてる』って言葉の意味知ってる?あまり縁起の良いときに使うものじゃないわ。
無意識のうちにそういう言葉が出ちゃったってことは、どこかそういう人生に負い目を感じてる」
垣根「……」
心理定規「公園っていいわよね。普通…なんだもの」
そう言いながら、彼女は近くの遊具へと手をはべらす。
心理定規「けれど私たちにとっては、公園は『普通』じゃない。私たちにとっての『普通』は、あっち」
入ってきた公園の入口へと目を向ける。その先は…さっき自分たちがいた街。学園都市。
もっとも、この公園だって学園都市の敷地内なのだが…都市特有の空気がないせいか、若干気分は緩和される。
心理定規「もちろん、これは超能力者や暗部に潜む人間なら誰しもが通った道。
決して自分だけが特別だったとも思わないし、ましてや被害者面するつもりなんかさらさらない。
あの絹旗さんだって五月計画の被験者。一方通行のシスターズ計画なんかは…言うまでもないわよね」
垣根「…まぁ、過去の自分があって今の自分があるわけだからな」
心理定規「うまいこと言うのね。でも、その通り。今の私の人格やメジャーハート、
それによる今の地位だってそんな過去がなかったら存在しえないものだもの。ただ…」
垣根「…ただ?」
心理定規「そうじゃない人生送ってる人を、ちょっと羨ましいと思ったことはある。
無い物ねだりって言うんでしょうけど」
垣根「はっ。そんなのスキルアウトの連中に言ってみろ。お前殺されっぞ」
心理定規「…そうね。この学園都市では超能力が全てといっても過言じゃない。
レベルによる区分けや順位といった序列があるようにね。昇進や名誉、地位だってそれがある人間は厚遇され、
ない人間は冷遇される。彼らのもつ闇だって、そりゃ比較にならないと思うし、そういう環境下には
いなかった私には、たぶん彼らの闇は一生理解できない。けれど、それって同時に彼らにも言えることとは
思わない?超能力者がもつ闇っていうのも、彼らには理解できない。違う?」
垣根「…違いねぇ」
ふむ
心理定規「結局のところ、みんな青い鳥を探してるんじゃないかって。
完全に満たされてる人間なんか、たぶんいない」
垣根「随分大きく出たな。悟ったつもりか?」
心理定規「学園都市第2位という、1位に次ぐ最高の地位を得たあなたはどう?満たされてる?」
垣根「なわけねぇだろ。というかな、お前の言ってることは少々仰々しいんだよ。
いいか?そもそも欲がねぇ人間なんざ存在しねぇ。生きてる限り人間ってのは欲を求めて延々と彷徨う。
逆を言えば、欲がなくなったとき人間は死ぬ。まぁ、これは人間に限らず他の動物でも言えるだろうが」
心理定規「欲…か。そうね、私は今まで自分がやってこなかったことをしたかった。
普通に生きる人が普通にやってたこと、それをしたかった。でも、それ以上に私は…」
向き直り、垣根の目を見つめる彼女
心理定規「私は、そういうことを『あなたと一緒にしたかった』」
垣根「…お前」
心理定規「私ね?今日楽しかったわ。ゲームセンターにファミレス、映画館…とても楽しかった。
そこに、あなたがいてくれたから」
垣根「……」
心理定規「本当にありがとう。嬉しかったっ」
垣根「お前…もしかして暗部を」
心理定規「その先は言わないで」
垣根「……」
心理定規「私は…そういう感情に気付きたくない。だって、気付いてしまったら。
私という『心理定規』はその時点で…この世から消え去るわ」
垣根「……」
心理定規「大丈夫。私は今までだって暗部の人間だった。
そして、これからだってきっと上手くやっていける。それは、過去の私が証明してくれている」
垣根「…ちょっと、落ち着いて俺の話を聞けや」
心理定規「え…?」
垣根「上層部からアイテムの連中を始末しろって言われたらどうする?」
心理定規「何を言って…??」
その言葉は唐突だった。訳も分からないまま頭の中が真っ白になる。
そして次に発せられる彼の言葉を、彼女は聞きたくなかった。
垣根「絹旗最愛を殺せって言われたらどうする」
心理定規「……」
心理定規「…殺すわ」
垣根「待てや。今の間は何よ?」
心理定規「殺すって言ったのが聞こえなかった?」
垣根「……」
垣根「喉でも渇いたろ?自販機で何か買ってくるわ」
誰の目から見てもわかる建前だった。正直、今の彼女にどういう言葉を投げかけたらいいか彼には全く
わからなかった。とりあえず…落ち着いて考えてみる必要があった。時間稼ぎにすらならないかもしれないが。
垣根「(さて…何買おう。無難にオレンジジュース辺りでいいか)」
小銭を入れボタンを押したが、ジュースは出てこなかった。
垣根「……」
嫌なことがあったときには、嫌なことが重なるものだ。
垣根「まったく、ため息が出るな…」
この自販機は壊れてしまってるのか?おつりを取り出すレバーを動かしても、入れた小銭は出てはこない。
イライラした。フラストレーションでどうにかなりそうだった、まさにそのときだった。
??「もしかして、ジュースが出てこないんすか?」
ふと、横に一人の少年が立っている。ツンツン頭が目立ちそうな少年だった。
??「この自販機ってちょっとクセがありましてね…
ええっと、ビリビリはいつもどこらへん蹴ってたっけ」
自販機の表面を隅から隅まで見つめ、視線がある一点に集中した。
そこは…どこかへこんでるような気がした。まるで誰かがそこを過去蹴ったかのごとく。
??「俺にもできるかぁ…?いや、ここはやるしかないよな」
拳を握りしめた状態で手を交差させる。彼なりの集中の合図だった。そして
??「っ!チェストオオオオォォォォーッ!!」
ドゴッ!
垣根「!?」
少年はその一点目がけ、飛び蹴りを放っていた。
??「くっ…!普段やらねぇから股が…痛いっす。やっぱ、俺にはあいつの真似ごとは」
ゴトン
垣根が押していたはずだった、指定のオレンジジュースが落ちてきた。
??「うおぉ!?俺にもあいつと同じことができたぞッ!?俺って案外凄かったり!?」
勝手に蹴りを入れ勝手に納得し、勝手に喜ぶ少年
垣根「…よくわからんが、とりあえず礼を言わせてもらう。ありがとな少年」
??「いえいえ、このくらいどうってことないっすよ。それよりどうしたんです?
何か顔色が悪いみたいですけど…」
垣根「(…何だって)」
仮にも彼は暗部の人間である。少なくとも、一般人の前で露骨な表情をすることは一切ない。
いつも平静を装ってられた…はずだった。
垣根「(今の俺には、そんな最低限のことすらしてられる余裕がないってか)」
??「ええっと…大丈夫っすか?」
垣根「……」
彼は超能力者特有の闇を抱えてる人間ではないなと、垣根は直感でそう思った。一般人だと思った。
普通の暮らしを享受し、普通の毎日を生きている少年だと思った。そんな彼が、なぜか今はまぶしく思えた。
意味がわからなかった。学園都市第2位の自分が何でもないこの少年を羨む理由が、垣根には全くわからなかった。
垣根「実はな…」
言ってから気付く。自分は今何をしようとしてる?今から、この少年に何を話そうとしている?
自分で自分の行動の意味がわからなかった。わからないままに、彼の言葉はそのまま綴られてゆく。
垣根「俺の彼女…なんだけどな。過去のことで悩んでるようで…俺は一体どうすればいいか」
こんな通りすがりの一般人に相談したってどうにもならない。そうわかっていても…話してしまう。
藁にもすがる思いとはこのことか。
??「うーん、事情はよくわかんないんすけど」
そして、こんなワケの分からない相談に彼は答えようとしていた。
??「過去も大切とは思います。…けど、一番大事なのは『その人が今何をしたいか?』
じゃないっすか?自分はそう思いますけどね」
垣根「っ」
あまりに単純すぎる回答。あまりにそっけない回答。いや、だからこそ…だったのかもしれない。
『その人が今何をしたいか?』そんな単純明快な言葉は、彼の心を動かすには十分と言えた。
垣根「(あいつはさっき何を言っていた…)」
彼女の言葉を思い出す
【私は今まで自分がやってこなかったことをしたかった。
普通に生きる人が普通にやってたこと、それをしたかった。でも、それ以上に私は…】
【私は、そういうことを『あなたと一緒にしたかった』】
【私ね?今日楽しかったわ。ゲームセンターにファミレス、映画館…とても楽しかった。
そこに、あなたがいてくれたから】
【本当にありがとう。嬉しかったっ】
……
正直、彼女の話を聞くうちに自分自身も頭に血がのぼっていたのかもしれない。
のぼっていたから、彼女の言ってたことを冷静に捉えられなかったのかもしれない。
噛みしめられなかったのかもしれない。なぜ頭に血がのぼったのか?
垣根「(まさか、あいつ以上に俺が自分に酔っちまうとは…)」
というのも、この暗部にかかわる問題は『彼女だけの問題』というわけでもない。
そう。『垣根帝督』だって、その例外ではなかったのだから。
【もちろん、これは超能力者や暗部に潜む人間なら誰しもが通った道。
決して自分だけが特別だったとも思わないし、ましてや被害者面するつもりなんかさらさらない。
あの絹旗さんだって五月計画の被験者。一方通行のシスターズ計画なんかは…言うまでもないわよね】
『垣根帝督』もその例外ではない。もしかすると、彼は彼女の言ってたことを自分のことのごとく
受け止めてしまったのではないか?だからこそ、逆上するような物言いになってしまったのではないか…
垣根「…なんか、それ聞いてスカッとした。ありがとな」
??「いや、こっちこそ事情も知らないで偉そうなこと言ってしまって…」
??「(でも、俺の本心だったには違いねぇ。だって俺には…インデックスを助けたらしい
それ以前の記憶がねえんだ。ねぇけど、今俺はこうやって生きている。地面に足をついている。
そりゃ、その記憶喪失のことを誰にも話してないって点じゃ俺は過去に縛られてるのかもしれねえけど…
それ以外に関しちゃ何とか立ち回ってる。少なくとも…俺はそう考えてる。…俺だけじゃねえな。
インデックスなんか、それこそこれまでに何度記憶を消された??御坂だって自分の妹が
あんだけ虐殺された、その過去を背負って今を生きてる。過去がどうであったって人は生きていける。
俺は…それを間違いだとは思わない)」
??「あ、それともう一つ」
垣根「?何だ?」
??「もう少し、笑った方がいいですよ」
垣根「え…」
??「その…相手は彼女さんなんですよね?俺にはそういうのいねぇから分かんねえっすけど…
大切に思ってる人はいます。その人の前では、俺はなるべく笑顔にしてるよう心がけてるんすよ。
さすがに…いつもいつもそういうわけにはいきませんけどね。その彼女さんはあなたにとって
大切な人ですよね?なら理屈は同じだと思います。だって、相手が楽しかったら自分も楽しくなりません?
それにその人もあなたのことを大切に思ってるのなら…絶対笑っていたほうがいいと思いますよ」
垣根「……」
何者だと思った。決して、彼は美辞麗句を並び立てているわけではない。
おそらく高尚なことを言っているわけでもない。なのに、どうしてここまで心に響くんだろうか。
一言一句に重みがあった。聞いていて心地よかった。彼に相談して、本当に良かったと心の底から思えた。
垣根「…お前、名前は何ていうんだ?」
聞かずにはいられなかった
??「俺の名前とか聞いても面白くないと思いますけどね…」
そして彼は答える
上条「ええっと、上条当麻っていいます」
垣根「……」
垣根「…そうか。そういうことか」
上条「?ど、どうしたんすか?」
垣根「いや…なんでもないぜ」
垣根「……」
垣根「(こいつが…メジャーハートが言ってたあの男…)」
垣根「(第1位を…)」
……
【レベル0の上条当麻がレベル5の第1位に挑むなんていう馬鹿げた無謀な行い…
それをさせるにいたった動機だけは何となく予想できるわ。今日初めて彼と出会った私、でもね】
【誰かのために戦ったんじゃないかしら】
垣根「……」
垣根「ははっ…」
上条「??」
垣根「(そうだな。こいつはそんなことができそうな…野郎だよな)」
垣根「…何かお礼がしたいところだな」
上条「いや、お礼って!?俺別にそんなの貰うためにやったわけじゃないっすから!じゃあ、俺はこれで!」
垣根「お、おいっ!」
上条「彼女さん、幸せにしてあげてくださいね!!」
垣根「……」
それだけ言い残し、少年は垣根のもとから立ち去った
垣根「…まったく、つくづくお人好しなバカ野郎だな。あーゆう何事も善意にとらえるヤツってのは、
他人に利用され、騙されるのが関の山だ。暗部にいたら真っ先に死ぬタイプの人間だぜ?だが…」
……
垣根「誰かれあいつの真似をできるってわけでもねぇよな」
垣根「……」
垣根「『今までの俺たち』ならともかく…。『これからの俺たち』にはあんな野郎の考え方でも…」
……
垣根「戻るか。あいつのもとに。このオレンジジュースと…一緒にな」
心理定規「…あっ」
垣根「よっ。ちょっと買うのに時間かかっちまったが許せ。ほら、飲みもんだぜ」
心理定規「…うん」
垣根「いやぁ、なんせ自販機が壊れててよ?偶然通りすがったお人好しの野郎がいなかったら、
今頃お前に満足にオレンジジュースも届けられなかったってわけだ。笑える話だろ?」
心理定規「ふふっ…。確かに、仮にも学園都市第2位のあなたがそんなお使い程度もできない
っていうのは、思わず笑いが込み上げちゃう話よね」
垣根「加えて、俺は暗部の人間なんだぜ?スタントマンびっくりの任務もこなす
スクールのリーダーの俺が、自販機でジュースも買えないときた」
心理定規「はははっ!!何それ、バカみたいじゃないの?ふふ…っ!」
垣根「バカでも結構」
心理定規「…ねえ、何か良いことでもあった?」
垣根「え?」
心理定規「だって、さっきよりも明るい表情をしてるんだもの」
垣根「俺に、明るい表情は似合わねぇか?」
心理定規「誰もそんなこと言ってないでしょ。むしろ、そっちのほうが好きよ。私は」
垣根「…そっか」
心理定規「じゃ、遠慮なくそのジュースもらうわね。…あら?あなたの分は買ってこなかったの?」
垣根「あ」
心理定規「もしかして忘れちゃった?本当にバカな人なんだから…」
垣根「(あの少年とのことがあって、自分の買うのすっかり忘れてたな…)」
心理定規「……ゴク…ゴクっ…」
垣根「(嗚呼、本格的に飽きられちまったかな)」
心理定規「はい」
垣根「?」
心理定規「残り、あげる。間接キスだね」
垣根「いいのか」
心理定規「ドジな彼氏のために彼女が一肌脱ぐって言ってんの。素直に受け取ったら?」
垣根「一肌脱ぐって、お前が言うとなんかエロいな」
心理定規「エロいこと考えてるの?」
垣根「うるせぇ」
そう言って、垣根は彼女が口づけた…そのジュースを飲み干した。
心理定規「水分を捕ったせいかな。なんか気持ちよくなってきちゃった」
垣根「濡れた?」
心理定規「変なこと言ってからかう人は嫌い」
垣根「(女が『気持ちいい』って言うとそういう意味で受け取る男は俺だけだろうか…)」
心理定規「頭の中がすっきりしたって言いたかったの」
垣根「なら始めからそう言え」
心理定規「ねえ…。ちょっと、頭を預けてもいい?」
垣根「んぁ?構わねぇけど」
そう言って、彼女はベンチに座ったまま…自分の頭を横に座ってる垣根の肩に、静かにくっつけた。
心理定規「もうすぐ日も暮れるね」
垣根「…そうだな」
心理定規「さっきまで聞こえてた…子供たちの声も聞こえなくなっちゃった。みんな帰ったのかな」
垣根「ガキは帰る時間だからな」
心理定規「…私たちも帰る?」
垣根「俺らってガキだったの?」
心理定規「私は、それでもいいかな」
垣根「また意味わかんねぇことを」
心理定規「……」
心理定規「…あのね、さっきの話なんだけど」
心理定規「まず最初に。変なこと言ってゴメンなさい」
垣根「……」
心理定規「たぶん、逃避してみたかっただけなの。私」
垣根「…誰でもあるだろそういうのは」
心理定規「そうかもしれない。けど、それを言って私はあなたに嫌な思いをさせた」
垣根「……」
心理定規「だから、『なかったこと』にしてくれないかなって」
垣根「話しておいて忘れろ、か。お前勝手すぎ」
心理定規「そうね…。とても自分勝手。ゴメンなさい」
垣根「って、何でさっきから俺に謝ってばかりなの?」
心理定規「え…。だって」
垣根「そもそもお前、何で俺のこと好きになった?自分の胸に手をあてて考えてみろ」
心理定規「……」
垣根「お前、強い俺が好きなんじゃなかったのかよ」
心理定規「それは…」
垣根「はっ、惚れた女の愚痴も満足に聞いてられないようじゃ、
一方通行を倒すなんざ夢のまた夢だろが。それにだ…。お前、奴を倒した幻想殺しのこと、
なんて言ってた?まさか、忘れちまったわけじゃねぇよな」
心理定規「…優しい人」
垣根「そうだよ。それと、誰かのために戦った男でもある」
心理定規「……」
垣根「なぁ。もう少し俺に背中を預けてくれたって、いいんじゃねぇの。
お前からすりゃ、俺はいずれ第1位を倒すような男になるんだろ」
心理定規「…優しい人?」
垣根「あぁ。そのためなら優しい人にもなってやる。だから、もうちょっと俺に甘えろよ」
心理定規「優しいね…ていとくん…」
心理定規「じゃ、これは優しいあなたへの、私からのお礼」
垣根「え?」
チュッ
垣根「…っ?!」
突然のことだった。垣根の頬に…温かいものが触れた。
垣根「……」
たったそれだけの一瞬の行為…。だが、幸せを感受するには十分といえた。
心理定規「私、やられてばっかは嫌だから」
垣根「じゃぁ、もっと優しくしたらどうなる?ディープでもしてくれんの?」
心理定規「はぁ…。ここでそんなこと言うの?あなたって本当にスケベ。せっかくのイケメンも台無し」
垣根「突然頬にキスしてきたお前にゃ言われたくねぇな」
心理定規「ああ言えばこう言う」
垣根「…なぁ」
心理定規「?」
垣根「お前が嫌なこと、ぜってぇにさせねえから」
心理定規「え…?」
垣根「絹旗は殺させねぇって言ってんだよ」
心理定規「…??そんなの、上層部から命令きたら従うしか」
垣根「お前、俺を誰だと思ってやがる」
心理定規「……」
垣根「第2位なら学園にとっても、こういう野郎は従順であってほしいよなぁ?」
心理定規「…条件を突き付けるつもり?」
垣根「別にお前のためだけじゃねぇぞ。前にも言ったろ…俺は『仕事を選ぶ』ってな」
心理定規「…確かに。あなたはそう言ってた」
垣根「そういうこった。最初からテメェがグチグチ悩む必要もなかったんだよ。
ってか、俺がそのために何もしねぇと思ってた、テメェのその脳味噌に俺は大いに失望した」
心理定規「私と約束して」
垣根「ぁ?改まっていきなり何をー」
心理定規「私を守るために、絶対に自分自身を交渉の道具には使わないって。
私が守られる影であなたが傷つくようなことあれば、私は死んだ方がマシだから」
垣根「……」
垣根「そんな俺を見るのは嫌か?」
心理定規「当たり前のことを聞かないで…っ」
垣根「……」
心理定規「あなたには…笑っていてほしいから」
……
【だって、相手が楽しかったら自分も楽しくなりません?
それにその人もあなたのことを大切に思ってるのなら…絶対笑っていたほうがいいと思いますよ】
……
垣根「(…相手が傷つくことは自分も傷つく。相手が楽しいなら自分も楽しい。相手が笑えば自分も笑える…ってか)」
垣根「…わかった。面倒だが、約束してやる」
心理定規「…破らないでね。絶対に」
垣根「そっくりそのままテメェに返す」
心理定規「え?」
垣根「俺もお前と同じってことよ。いつだったか、何でもしてあげたいとか言ってたな?
約束しろ。俺のために身を滅ぼすような真似はしねぇって。もしやったらぜってぇに許さねえ」
心理定規「……」
心理定規「うん。約束する」
垣根「聞き分けの良いヤツだ」
心理定規「やっぱり私、あなたを好きになってよかった」
『よかった』、その言葉の部位が出る頃には…すでに彼女は垣根に身を乗り出していた。
顔が近づき来たるべき部分に、それが触れた。
心理定規「ん…ぁ…ぅぅ…んっ、ぁぁ…っ…む…ぁ…っ」
さっきの頬とは違う、正真正銘のキス。
垣根「(…何でこいつの喘ぎ声ってこんなエロいんだ)」
彼女の官能的な声が彼の頭を刺激する。その後の流れは自然だった。何度も何度もキスをした。
何回したのか分からないくらい、たった一つのその行為に二人は没頭した。
何回やっても飽きなかった。快感だった。時間を忘れた。当然嫌なことも忘れた。…至福の時間だった。
……
しかし、物事にも終わりはある。彼女が不意に唇を逸らしたとき…その行為は終わりを告げた。
心理定規「くしゅんっ!」
垣根「……」
垣根「そういやこんな時間か…。冷えてきたよな」
心理定規「……」
垣根「ど、どうした??そんなに体調が悪いのか?寒いのか??」
心理定規「…そうじゃなくて」
垣根「…??」
心理定規「せっかくの良いムードをクシャミでぶち壊しちゃった私に…凄く自己嫌悪してるの(ズーン」
垣根「いや…それはまぁ…」
さっきとは違う意味で、どういう言葉を投げかけたらいいか分からなかった。
垣根「生理現象だし、仕方ねぇよ」
とりあえず無難に正論を吐いておくことにした。
心理定規「そう…ね。うん、そうかもね…。」
垣根「はぁ。くだらねぇこと言ってねぇで帰るぞ」
心理定規「ちょ、ちょっと待って!最後に…」
垣根「?」
垣根「何のマネだこりゃ」
心理定規「手をつないでるの」
垣根「それも、思いっきり指を絡めてるよな」
心理定規「そうね♪」
垣根「……」
垣根「(そういや今日、こいつに振り回されてろくに手もつないでなかったっけ)」
心理定規「最後くらい、こうやって恋人らしいことして帰りたいじゃない。
クシャミしたさっきのお詫びも兼ねて」
垣根「お詫びっつうか、テメェがしてーだけだろ」
心理定規「じゃ、離す?」
垣根「断る」
心理定規「素直じゃないんだから」
……
長かった二人の一日が終わろうとしていた。
しかし…話はもう少しだけ続く。
上条「インデックス、今頃小萌先生の家で何してんのかなー」
その頃。上条当麻は垣根帝督と別れた後、公園近くの路地を徘徊していた。
上条「あいつが今朝急に倒れたときは…本当にびっくりしたぜ。ただの腹痛って聞いて
思わず腰がぬけたけど。魔術書の暴走や敵に襲われたとか、そんな物騒な理由じゃないだけ本当によかった。
そりゃぁなあ…あんだけ菓子を毎日食べてりゃ腹痛(はらいた)も起こすだろうに。
今日は小萌先生が介抱してくれるようで、ひとまず安心だ」
上条「……」
上条「で、だ。そういう騒動があったせいで何か忘れてるような気がするんだが…
気のせいだよな?うん、そう思うことにしよう」
美琴「あ」
上条「おっ。美琴じゃねえか。こんな所で会うなんて奇遇ー」
美琴「(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」
上条「あれ?何かどす黒いオーラが出てるような気がするのは気のせいでせうか?」
美琴「あんたは…!!あんたはぁ…ッ!!!よくもまぁ抜け抜けと!!私に顔合わせできるわねッ!?!」
上条「え!?え!?」
美琴「何で来なかったのか理由も聞きたいとこだけど。とりあえず、覚悟はできてるかしら?(ビリビリビリ」
上条「何で来なかった、だって??一体何を言って…」
上条「……」
×美琴じゃねえか
○御坂じゃねえか
すんません
上条「(遊ぶ約束してたんだった)」
時すでに遅し
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!
上条「……」
嫌な汗が流れた
上条「御坂さん?もしかして今の、雷撃の槍だったりして…」
美琴「次は当てるわ」
上条「ま、待てッ!!?俺が悪かった!!俺が悪かったから!!!忘れてたことに関しては
後で何回でも土下座する!!だからっ、頼むから雷撃だけはやめてくれーっ!!!」
美琴「逃げんなコラァ!!!」
上条「逃げねえと死ぬから!!っていうか、お前もお前で
電話かメールで俺に知らせてくれりゃ、いつだって駆け付けたのに!!」
美琴「どうやら本格的に死にたいみたいねぇ…
私が、何回あんたに電話やメールしてやったと思ってんのッ!!?」
上条「えっ??だって、そんな連絡一度も…」
上条「……」
上条「(ポケットに携帯がないってのはどういうこと?家に置き忘れてきてしまったんでせうか)」
上条「不幸だあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!!!!!!」
上条はこのとき思った。嗚呼…確かに過去も重要だと。過去を忘れてしまったせいで、
というか約束を忘れてしまったせいでまさに今、命の危険にさらされているのだから。
……
心理定規「なんか今、向こうで凄い爆発がしなかった?」
垣根「したな。明らかに大きな爆発が」
心理定規「最後の最後でこんな…」
垣根「…まぁ、元気出せよ」
心理定規「何を言ってるの?」
垣根「え」
心理定規「最初に言ったでしょ。明確な目的地に縛られず、その過程や偶然を楽しむことこそ
旅の醍醐味だって。まさか最後の最後で、こんな凄い光景を目の当たりにできるなんて…」
垣根「感動?してるとこ悪いが、普通に旅してて爆発に立ち会うことは絶対にねぇから」
心理定規「でも現に今起こったじゃない」
垣根「さて…。どう返答したものか」
心理定規「まぁ結局、わたしにとっては何でもいいのかもしれないな」
垣根「…どういうことだ?」
心理定規「あなたがそばにいてくれるなら、それだけで見る光景や聞こえる音に意味があるんだってこと」
垣根「……」
心理定規「これからも。わたしと一緒にいてくれる?」
垣根「…死ぬまで一緒にいてやる」
心理定規「絶対に、わたしをおいていかないでね」
垣根の腕にしがみつく彼女。その『おいていかないでね』には物理的距離のみならず、
死別の意味も含まれていることは…言うまでもなかった。そして、それは垣根も理解していた。
垣根「わかってる。ずっと一緒だ」
心理定規「……」
心理定規「好きって言っていい?」
垣根「…勝手にしろよ」
心理定規「ていとくんっ!大好きっ!愛してる♪好きっ!大好きっ♪」
垣根「言いすぎだ(もう嬉しいからどうでもいいや)」
本当におわり
正直、ここまでスレを保守して維持してもらえるとは思ってませんでした
感謝してます。ここまで読んでくれた人、本当にありがとうございました!
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