淡「綺麗なサキには角がある」 (55)
淡「昨日サキの頭撫でてたらまた刺さったよ」
照「あー、気を付けないと刺さっちゃうよね」
淡「まぁ刺さったらサキが手当てしてくれるからいいんだけどね」
菫「……なんの話してるんだ?」
照「全国大会終わってから淡と一緒に咲の家に泊まりに行った時の話」
淡「ではなくて、私が昨日サキの家に遊びに行ったときの話です!」
菫「いや、遊びに行ったのはなんとなくわかるんだが」
菫「頭を撫でて刺さったの意味がわからないんだ」
照「まだ頭撫でたことなかったの?」
菫「ないから気になってるんだ」
淡「へぇー、で?」
菫「いやだからな、そのな?」
照「撫でたいんでしょ?」
菫「そう! その通りだ!」
淡「え……それまじで言ってんの」
菫「なんだ? なにか問題でもあるのか?」
淡「いや、まぁいいんだけどさ」
照「咲も問題はないと思うんだけど」
淡「痛いよ。血が出るくらいに」
菫「血が出るのか」
淡「うん」
菫「それだけなら問題ない、撫でさせに行かせろ」
照「まぁいいけどさ、なんか今日強気だね」
菫「私だって撫でたいんだ! 咲ちゃんの頭を! じっくりと!」
照「じゃあ次の休み長野に行こうか」
淡「私も行くー」
菫「よし、なら私が車を用意しよう。そして朝早く行こう」
照「何時頃こっちでるの?」
菫「三時だ。三時に出て咲ちゃんの家に早く行こう」
淡「さ、三時とか無理だって! 私まだ寝てるよ!」
菫「ならお前は後から来ればいいだろ? あ、照は強制的に付いてこさせるからな」
照「え……」
菫「しょうがないだろ? 私は咲ちゃんの家を知らないんだからな」
照「まぁ、いいけどさ」
菫「よし決まりな。迎えに行くからな起きとけよ。それじゃ今日私は帰る」
淡「なんか、スミレ怖い」
照「しょうがないね。咲がかわいいからしょうがないね」
淡「それじゃ私も三時に行くからスミレに伝えといてね」
照「うんそれじゃまたね」
休日
菫「おい照! 起きろ!」
照「まだ、二時なんだけど……」
菫「あ? 二時も三時も変わらないだろ? いいから行くぞ」
照「ちょ、ちょっと待って。ほら、淡起きて」
淡「もう三時ぃ?」
菫「よし行くぞ。お前らが着替える時間なんてもったいないよし行くぞ!」
淡「サキに会いに行くのに着替えずに行け? 羞恥プレイもいいとこだよ!」
菫「いやだって私着替えてるし」
照「まぁ、私は咲の姉だから平気かなと」
菫「よし決定。行くぞ」
淡「やめてよぉ! サキに笑われちゃうから! 嫌われるから!」
菫「安心しろ。淡が嫌われても咲ちゃんは可愛いままだ」
淡「私の問題だよ!」
照「淡、咲を取り合うライバルだったけどここで脱落だね」
淡「はぁ!? 私まだあきらめてないんですけど!」
菫「よし、行くぞ。こんなところで時間を無駄にするわけには行かないんだ」
照「ほら、早く決めて。着替えて咲を諦めるのか、着替えずに咲の家に行くのか」
淡「あーもう! このまま行くよバーカ!」
菫「バカ? 置いてくぞ?」
淡「はい、嘘ですすみません」
菫「さてと、長野についたわけだが」
照「吐きそう」
淡「運転下手すぎるよバーカ! カーブの時なんかグワングワンしてるよバーカ!」
菫「しょうがないだろ! 免許取ったばっかりなんだ!」
照「そんなんでよく通れたね」
菫「まぁ八回も挑戦すれば誰だって取れるさ」
菫「それでどっちに行けばいいんだ?」
照「あっち」
菫「ここが咲ちゃんの家か……」
淡「サキー! サキの大好きな淡ちゃんが遊びに来たよー!」
照「……寝てるのかな」
菫「どうにかして入れないのか照? 私は咲ちゃんの寝顔も見たいんだが……」
照「まぁ、電話かけたら起きると思う」
淡「そういえばサキのお父さんは?」
照「旅行じゃない?」
淡「もしもしーサキー?」
咲『ん……どうしたの……』
淡「玄関の鍵開けてー」
咲『むぅ』
咲「……なんでこんな朝早く来てるの」
淡「不機嫌なサキもかわいいぞ!」
咲「おやすみ……」
照「待って。淡は外に置いといていいから私たちだけでも入れて」
咲「む、二人だけじゃないの?」
照「うん。今日は菫も来てる。 ほら菫」
咲「……いないよ?」
照「あれ? さっきまでそこにいたんだけど」
淡「テルー隊長ー車の中で見つけましたー」
菫「や、やめろ淡! まだ心の準備ができてないんだ!」
咲「あのーお久しぶりです」
菫「や、やぁ久しぶり」
咲「……中に入らないんですか?」
菫「いや、入るよ? ちょっと忘れものをしていてね」
咲「じゃあ先に入ってますね」
淡「ねぇ、スミレ」
菫「何だ?」
淡「そんなんで頭なんて撫でれるの?」
菫「あ? 撫でれるに決まってるだろ」
淡「じゃあ早く中に入ろうよ」
菫「当たり前だ。こんな車の中にいても意味ないからな」
淡「サキー朝早くにごめんねー」
咲「うん、もう大丈夫だよ。それにしても淡ちゃん」
淡「ん? 今日もかわいいって? 知ってるよ!」
咲「いや、服装がパジャマのままだけど大丈夫なの?」
淡「そこに触れるのはNGなんだよね」
咲「ごめん」
照「さてと、私は少し寝る」
咲「来たばっかりで寝ないでよー」
照「眠いからしょうがない。膝かして」
菫「すまない、少しばかり待たせたかな」
咲「全然そんなことはないですよ」
菫「そうか。それはよかった。それで照はどうして膝枕されてるんだ?」
照「眠いから」
咲「でも急に来てどうしたんですか?」
菫「いや咲ちゃんの頭でも撫でようかと思ってな」
咲「頭をですか? いいですけど」
淡(私とテルーのせいで頭を撫でられることに疑問が無くなってるサキかわいい)
菫「本当にか!? よしそれじゃ早速」
咲「どうぞ」
咲ちゃんはそう言って私の方に頭を傾けてきた。
若干上目使いになってるところが高ポイントだ。
ただ、咲ちゃんの膝にいる照がこちらを睨みつけているのが気に食わない。
それと、そこのポジションを変わって欲しいんだが。
「あの、頭撫でてくれないんですか?」
照に気をひかれ過ぎたみたいだな。
咲ちゃんが頭を撫でられるのを待っているんだ!
私は撫でなければならない!
この可愛らしくて愛おしい咲ちゃんの頭を!
さて、怪我をしないように注意しないとな……。
咲ちゃんの頭に手を伸ばした瞬間、私は淡の言葉を思い出した。
『まぁ刺さったらサキが手当てしてくれるからいいんだけどね』
手当て? あの時はさほど気にはしていなかったが咲ちゃんから手当てを受けれる?
なら怪我をしたほうが得じゃないのか?
だってあれだろ。きっと唾とかつけて治してくれるんだろ?
咲『だ、大丈夫ですか!?』
菫『だ、大丈夫。唾でもつけとけば治るよ』
咲『唾ですか? わかりました。んー……』
菫『なにしてるんだ?』
咲『だって唾つけないと治らないって言ってたから。 手を出してさい』
菫『あ、あぁ』
咲『それじゃ失礼します』
私の手を取った咲ちゃんは傷口に唾液を垂らし始めた。
そのまま口を近づけていき小さな舌で私の傷口を舐めはじめる。
そして、そのまま色々なことをしながら……。
菫「フフッ……」
淡「そぉい!」
菫「っ! 急に頭を叩くな!」
照「ほらー、咲ー。大丈夫だよー別に怖いお姉ちゃんじゃないからねー」
咲「だって、不気味な笑いだったから……! なに考えてるかわからない笑顔だったから……!」
菫「……どういう状況だ」
淡「なんか妄想したでしょスミレ。不気味だったよ」
菫「まさか顔に出てたのか?」
淡「うん。すっごいニヤついてた」
照「ほらーお姉ちゃんと一緒にベッドに行こうねー」
咲「うん……」
淡「待ってよテルー! サキはいま、年上の人を怖がってるんだよ!」
淡「同い年の私と寝るべきだよ! ほら行こうよサキー!」
咲「うん……」
菫「咲ちゃん私と一緒に」
咲「ごめんなさい」
菫「」
淡「あちゃー……」
照「菫頑張って」
咲「ほんのちょっとの間、一人で寝るね」
菫「うわぁあああぁあ! 嫌われたぞ! これ完全に嫌われたぞ!」
照「お、落ち着いて菫」
菫「こうなったら強行手段だ! いま頭を撫でに行く!」
淡「スミレ! COOLにCOOLになるんだ!」
菫「うわぁぁあ! 落ち着けるか冷静になれるかバーカ! バーカ!」
淡「こっちまで慌てそうだよ!」
照「うわぁああああああ!!」
淡「ちょっとどうしたのテルー!?」
照「なんでもない」
菫「驚かすなよ全く」
照「さて、菫と咲を仲直りさせる方法を考えようか」
菫「そうだな」
淡(どうしてスミレが冷静になってるんだろ)
照「もともと菫と咲はそこまで仲良くはない」
菫「そうだな。しかし、頭を撫でさせようとしてくれたぞ」
淡「それについては、私とテルー、あともう一人がいるんだけど」
照「私たちで咲を若干調教したみたいな感じ?」
淡「調教じゃなくて、少しのことなら動じなくしたみたいな?」
菫「そうか。よくわからないがわかった」
菫「で、お前たち以外のもう一人が気になるんだが」
照「さて、私は普通に謝ればいいと思うんだけど」
淡「私もそれでいいと思うよ」
菫「なぁ、もう一人」
淡「あー、サキが居ないと暇だなー」
照「早く謝ってきて咲の機嫌なおしてくれないかなー」
菫「……行ってくる」
淡「がんばれ!」
菫「さ、咲ちゃーん……」
咲「なんですか? 私眠いんですけど」
菫「そのだな、さっきはすまなかった……」
咲「なにがですか」
菫「あの、咲ちゃんで変な妄想したりして怖がらしたりして」
菫「その、本当に申し訳ないと思ってる」
菫「許してくれ」
咲「えっと、こっちこそごめんなさい!」
咲「その勝手に怖がったりして、別に怖い人じゃないって聞いてたんですけど」
菫「咲ちゃん……よければもう一度私に頭を撫でるチャンスをくれないか?」
咲「あ、どうぞ」
菫「ふむ……ふむふむ」
菫「フフッ……」
照「なに二やついてんの」
菫「いや、別に二やついてなんてないさ」
淡「なんだろ、なんか負けた気分になってるんだけど」
菫「なんだろうなぁ、私は今最高に気分がいいぞ」
淡「なんかムカつくなー」
照「そういえば手に刺さらなかったの?」
菫「あぁ、そういえば刺さらなかったな」
淡「いよっし! 今一瞬優越感に浸れた! サキから手当て受けれてないなんて残念だねー」
菫「あ?」
淡「ん?」
照「ほら二人とも落ち着いて」
菫「私は落ち着いてるぞ」
菫「そういえば結局もう一人って誰なんだ?」
和「呼ばれた気がしたので」
淡「帰って、てか帰れ」
和「ふっ、ずいぶんと冷たいですね」
照「久しぶり」
和「お姉さんは相変わらずですね。私はそちらの方がありがたいんですが」
淡「かーえーれ! かーえーれ!」
和「で、そちらの方は?」
照「咲ファンクラブ第6号の菫」
菫「さ、咲ファンクラブ?」
淡「そうそう」
和「どうぞよろしくおねがいします」
菫「う、うん? こちらこそ?」
こうして咲ファンクラブは勢力を増していったとさ。
めでたしめでたし
かん
このSSまとめへのコメント
1照
2和
?淡
?
?
6菫
あと二人誰だ?
衣か?久か?一か?豊音か?大穴でカツ丼や穏乃や健夜か?