俺の名はエレン・イェーガー
第104期訓練兵団所属、調査兵団希望
調査兵団に入って巨人を駆逐して、外の世界を見ることが夢
今は巨人を殺せるように訓練してるんだ
今日も訓練頑張ろう
そんな気持ちで朝起きた
んだけど…
何かいつもと違った感じだった
よくわからないけど…
でもしばらくして気づいた
俺は…
エレン「超能力が使えるようになった」
このスレ、乗っ取ってもいいか?いいと思う人は挙手してくれ。
もし、良ければ乗っ取らせてもらうけど……。
アルミン「ええと、具体的にどんな能力が使えるようになったの?」
俺はとりあえず、親友であり、家族でもあるアルミンに最初に相談する事にした。
エレン「えっと、まずはコレだ」
俺は使えるようになった能力をアルミンに披露する事にした。
エレン「はあああああああ!」
それを「イメージ」を頭の中で描くことで出来る技だ。
俺は通りすがりの私服姿の訓練兵女子のスカートがめくれる「イメージ」を描いた。
すると、俺の気持ちに呼応するように、何故か風が巻き起こり、そのスカートは、見事にふわっと、舞い上がった。
訓練兵女子「きゃああああ?! (突風?!)」
エレン「…………とまあ、こんな感じだ」
アルミン「すごいよエレン! 今のは所謂、サイコキネシスと呼ばれるものだね!」
と、まあ、こんな感じでエロいことが出来る超能力をエレンがゲットした方向で書きたいんだが。
………ダメかな?
エレン「おう! 他にもこういう事も出来るぞ!」
アルミン「どんなの?」
エレン「よし、アルミン、見てろよ。今からこっちにやってくる女子が、滑って転んで、パンツ見せるから」
アルミン「えええ?」
エレン「よし、きた!」
エレン「クリスタが来たぞ! はああああ! (念力中)」
クリスタ「それでねー……(ツルッ)」
クリスタ「きゃああ?! (ズルペッタン!)」
ユミル「なんだあ? 急に転びやがって。大丈夫か?」
クリスタ「う、うん……(良く分からないけど足が滑った)」
アルミン「おおおおお?! (白いパンツが見えた!)」
エレン「見えたか? 見えたか?」
アルミン「うん、見えたよエレン!」
エレン「おう! しかしこの能力には条件があってな」
アルミン「条件?」
エレン「エロに関係した事にしか使えねえ」
アルミン「……つまり、煩悩がエネルギーって事?」
エレン「そうみてえだ。普通に石ころとかを移動させるのは出来なかった」
エレン「でも、女子のスカートをめくったり、転ばせたりは出来るんだ」
アルミン「なんて素晴らしい能力だ! エレン!」
アルミンは俺の手を両手で握って歓迎してくれた。
さすがアルミンだぜ。
アルミン「何が切っ掛けでそれが出来るようになったんだい?」
エレン「ええっとな、確信があるわけじゃねえけど、この間、街に行った時に、多分、貰った飴玉のおかげかもしれん」
アルミン「飴玉?」
エレン「『あなたの夢を叶える魔法の飴玉』だって言われてさ。貰ったんだ。無料で」
エレン「怪しげだったけど、飴玉だし、まあちょっとだけ舐めてみて、美味かったから、全部食べたら次の日に、覚醒した」
アルミン「その飴玉、僕も欲しいよ! エレン!」
エレン「ああ、その時二つ貰ったから、もう一個あるぜ」
エレン「これだ」
アルミン「も、貰ってもいいの?」
エレン「ああ、いいぜ」
そして俺達二人は、暫く夢の超能力ライフを過ごす事になったんだ。
ミカサ「最近、エレンが変」
ミカサ「エレンだけじゃない。アルミンも変」
ミカサ「二人で何やらこそこそやっている」
ミカサ「しかも、何故かニヤニヤしている」
ミカサ「一体、何をしているのか聞いても、答えてくれない」
ミカサ「私だけ、仲間外れ。寂しい……」
ミーナ「男子同士だから女の子に分からない会話をしててもしょうがないよ」
ハンナ「そういう事もあるって……」
アニ「気になるなら、盗み聞きして聞いてみれば?」
ユミル「だな。私もそうする」
ミカサ「それはダメ。それは二人の信頼を裏切る行為」
ミカサ「でも、気になるのは事実……」
ミカサ「どうしたらいいだろう?」
サシャ「それとなく、聞いてみましょうか?」
ミカサ「私以外にできる人がいれば、お願いしたい」
エレン「会話、聞こえるのか? こんなに遠くに離れてるのに?」
今、俺たち二人はわざとミカサと離れている。
俺には女子の会話の細部は聞こえないが、アルミンは聞こえるらしい。
アルミンは俺とは少し違う能力を手に入れた。
それは、遠くの会話を聞き取れるという代物だった。
アルミン「うん、ミカサが僕達の事を怪しんでいるみたい。女子と相談しあってるよ」
エレン「まじかよ。どうする? アルミン」
アルミン「言っても信じてくれないかもしれないし、黙っておこうよ」
エレン「そうだなー。俺達がやましい事に能力使ってるって知ったら、ミカサに怒られそうだしな」
アルミン「はあはあ……今日もクリスタの下着は白だ。アニは黒を着ているよ」
エレン「まじか…俺にも見せろ」
アルミン「いいよ。はい(手を繋ぐ)」
しかもアルミンは『透視』という能力も覚醒して、そのイメージを手を繋ぐ事で伝える事も出来る。
俺よりも便利な能力を使えるようになったんだ。羨ましい。
まあ、その恩恵を俺も貰えるからいいんだけど。アルミンにも飴玉食わせて正解だった。
ただし、そのイメージを受け取る時は俺は目を閉じないといけない。
つまり手を繋いで、俺だけ目を閉じるという奇妙な状態になるのだ。
サシャ「二人共、何で手を繋いでいるんですか?」
下着姿のサシャがこっちに近づいてきた。ぶほ! なかなか胸あるな、こいつ。
俺は慌てて手を離して目を開けた。すると、そこには私服姿のサシャがいた。
手を離せばもう、透視のイメージが来ない。見れるのはアルミンだけだ。
アルミンはサシャをまともに見れないでちょっと照れている。くそう、羨ましいな!
エレン「別に? 何でもねえよ」
サシャ「ミカサが二人の事を心配しているようですよ?」
ずいっと、アルミンの方に近づくと、アルミンはぶはっと鼻血を出してしまった。
サシャ「?! いきなりどうしたんですか?!」
エレン「アルミン! しっかりしろ!」
アルミン「僕の生涯に一片の悔いなし…(がくり)」
エレン「アルミンー!」
こんな程度に先に逝くなよ! つか、アルミンに死なれたら俺が困る。
エレン「サシャ、ちょっと離れろ。アルミンは俺が介抱するから!」
サシャ「え、あ、そうですか?」
エレン「医務室連れて行くわ。ちょっとどけ!」
うーん。この能力は使い方を誤ると、制御が難しいのが難点だ。
刺激が強すぎる。いや、アルミンの気持ちは分かるが、常にこれだと、俺の方が困る。
医務室のベッドに横になったアルミンは「うーん」と悩んでいた。
【現在までに得た超能力リスト】
エレン→サイコキネシス(エロ限定)
アルミン→女子限定で盗み聞き&透視。
他の男子のメンバーもエロ能力、つけてあげるつもり。
他、なんかいい能力ある? いいのがあったら採用する。
アルミン「うーん。僕、しばらくサングラスかける事にするよ。ちょっとでも注視すると、女子の服が透けて見えちゃう」
エレン「俺より羨ましい能力を身につけちまったなあ」
アルミン「うん。どうやら飴玉を舐めた後、強く思った願望が叶うらしい」
アルミンは鼻にちり紙を入れたまま体を起こした。
アルミン「でも飴玉の包装紙には、注意書きに『効果は一週間だけです』って書いてあったよ」
エレン「え、そうだったっけ? 俺、包装紙は捨てちまって、覚えてねえや」
アルミン「僕は取っておいたよ。ほら、物凄く端っこにちょこっと書いてある」
アルミンの言う通り、包装紙には小さい字で注意書きが書かれていた。
エレン「おお、さすがアルミン。よく気づいたな」
という事は、この能力を楽しめるのも、俺の場合はあと5日くらいか。
アルミンは残り6日くらいの筈だ。俺の能力が覚醒した次の日から使えるようになったから。
エレン「こんな事ならもっと貰っておけば良かったぜ」
アルミン「だねえ……街のどこで貰ったかは覚えてる?」
エレン「いやーそれが、はっきりとは覚えてねえんだよな。歩いてたら、たまたま貰っただけだし」
アルミン「今度の休みにまた街に行ってみようよ」
エレン「そうだなー」
俺とアルミンが医務室のベッドで話していると、
ミカサ「エレン、アルミンが鼻血を出したと聞いたのだけども、大丈夫?」
ひょいっと、突然ミカサが様子を見に来た。
エレン「おう。鼻血はもう止まった」
ミカサ「アルミン、無理をしてはいけない」
アルミン「う、うん……(真っ赤)」
アルミンはさっと視線を逸していた。
ミカサの下着姿で興奮してやがるな、全く。羨ましい奴め。
俺はアルミンに布団をかけてやると、
エレン「後でアレ持ってきてやる。待ってろ」
アルミン「うん、お願い」
ミカサ「?」
エレン「一旦、戻る。ミカサも一緒に来い」
ミカサ「分かった」
とりあえず、ミカサを引き離して誤魔化した。
ミカサ「エレン、さっきアルミンと何を話してたの?」
エレン「んー? まあ、今度ちょっと二人で出かける話だよ」
ミカサ「私は一緒に行ってはダメなの?」
ミカサが何か感づいた様子で俺を見る。う……どうするか。
いや、でも、飴玉貰いに行くだけだし。やましい事じゃねえし。
エレン「べ、別に。一緒に行きたいならついてくればいいんじゃねえの?」
ミカサ「では、私も一緒に行く」
エレン「お、おう……」
そういう訳で、今度は俺達三人で街に出かける事になりそうだった。
そんな訳で、俺達は残りの期間、十分にエロ超能力を堪能した後、もう一度エロ超能力を得る為に、例の飴玉を配っている人を探すために街に出た。
ミカサは何処かで振りきらないといけないが、まあ、街中だし、便所で休憩する時くらいはあるだろう。その一瞬が狙い目だ。
俺は前もってアルミンと打ち合わせをして、その飴玉を渡してくれた人物がどんな格好だったかを伝えていた。
エレン「確か、俺とそんなに変わらないくらいの背丈で、髪型が特徴的だったんだよな」
アルミン「どんな髪型だったの?」
エレン「項の方が二つに分かれてる、茶色の髪の男だった」
アルミン「項に特徴のある髪型の男だね。分かった。注意して見ておくよ」
そして俺達は街の大通りに出た。ミカサと俺とアルミンはてくてくと人ごみの中を歩いていたが……。
××××「えー夢を叶える飴玉、いらんかねー?」
エレン(いたあああ!)
アルミン(あいつだね!)
俺はそいつから目を離さないようにした。
黒い服に内側に赤いTシャツを着たそいつは、金髪の髪の長い小さな女の子と一緒に飴玉を配っている。
アルミン(女の子の方、可愛いいいいい!)
エレン(前、会ったときは一人だったんだけどな)
アルミン(じゃあラッキーだね!)
俺とアルミンは目だけでなんとなく意思疎通をした。幼馴染の絆は伊達じゃねえ。
その様子をミカサは「?」を浮かべてこっちを見ている。不審な顔をしている。
ま、まずい。感づかれるといろいろ聞かれそうだ。
よし、ここは俺がミカサを引き離さないと。
エレン「み、ミカサ! あっちの方に可愛い髪飾りが売ってあるぞ。一緒に見るぞ!」
ミカサ「え、エレン?」
エレン「さあいくぞ、ミカサ! (グイグイ)」
ミカサ(え、エレンが強引……やだ、格好いい!)
俺はミカサの肩を抱いて強引に店の中に入った。後はアルミンに任せる。
アルミンには鞄を持たせているので、大量に持ち帰らせる事が出来る!
そして俺は適当に店の中を見て回り、とにかくミカサに悟られないように髪飾りをつけて「似合うぞ!」と誤魔化した。
アルミンが飴玉をゲットしたのを目の端に確認すると、俺は髪飾りを会計してミカサにプレゼントしようとしたのだが、
ミカサは首を左右に振った。
ミカサ「エレン、私は聞いたことがあるの」
エレン「え?」
ミカサ「男の人は、何かやましい事があると、自ら女に貢ぎ物をするそうね?」
エレン(ギクリ)
ま、まずい。ミカサの目が、ますます険しくなっている。
プレゼントが逆効果になっちまった。ど、どうする?!
ミカサ「エレン、何か私に隠している事はない?」
エレン「な、ない! ないぞ!」
ミカサ「では何故、私の目を見て否定しない?」
エレン(うぐぐぐ……)
こういう時、俺は嘘が苦手だ。態度にすぐ出てしまうのが難点だ。
くそう。早くしてくれえええアルミン!
アルミン「ミカサ! エレン! 決まったかい?」
エレン「お、おう! 決まったぞ。この蝶の髪飾りにした」
アルミン「わあ……似合いそう。つけて見せてよ」
エレン「お、おう! つけるぞ、ミカサ!」
店内で会計を済ませた髪飾りをミカサの頭につけてやった。
アルミン「似合う似合う。今日は一日、それつけてたら?」
ミカサ「…………」
アルミン「僕も髪止め欲しいなあ。顔を洗う時に、前髪がちょっと邪魔なんだよねえ」
エレン「お、それならこれとかどうだ?」
アルミン「いいねえ……」
アルミン、ナイス! うまく空気を変えてくれた。
ミカサはまだ、微妙な顔をしていたけれど追求はしてこない。
そして俺達は男子寮に無事に帰ったあと、鞄に入れた飴玉を確認した。
アルミン「お金を出したら、20個くらいくれたよ。これで暫くまたムフフ生活を味わえるよ」
エレン「よっしゃああ! 今度は俺もアルミンみてえな超能力が欲しい!」
アルミン「僕は次はどんなのにしようかな……」
エレン&アルミン「「せーの!」」
そして俺達はムフフな期待を込めて飴玉を舐めて、その日はゆっくり眠ったのだった。
朝起きて俺はアルミンと超能力を確認し合った。
エレン「アルミン、お前、どんな能力を身につけた?」
アルミン「前回はちょっとコントロールが難しかったから、もうちょっとソフトなのがいいなあと願ったけど」
エレン「具体的には使ってみねえと分かんねえか」
アルミン「そうだね。食堂に行ってみよう!」
朝の支度を整えて、俺達は食堂に向かった。
ミカサは俺たちよりも朝が早いので先に待っている事の方が多い。
ミカサ「エレン、おはよう」
ミカサ(今日もエレンは可愛い。寝癖がついてる。なおしてあげなければ…)
ミカサが手を伸ばそうとしてきたので、牽制して止めた。
エレン「だ、大丈夫だ。後でなおす。飯が先だ」
ミカサ「…………」
ミカサ(チッ……エレンに触れるチャンスを逃した)
おいおい、ギャップが激しいぞ、ミカサ。
顔には出てないけど内心、不満らしいな。
ミカサの声が聞こえるっつーことは、心の声が聞こえるのか。
んー今回はちょっと、エロ超能力とは言えねえかもしれんが、まあいいか。
ミカサが普段思ってる事、筒抜けなのは楽しい。
アルミン「あ、ミカサ。肩に糸くずついてるよ」
ミカサ「あ、ありがとう」
アルミンが肩を触った瞬間、何故か、ミカサが赤くなった。
ミカサ(あっ……)
ん? なんだ今の。
ミカサ(い、いやだ。アルミンに肩を触られたら、何故か体が気持ちよくなった)
ミカサ(な、何故……?)
こ、これは、とんでもねえ能力がきたな、おい。
アルミンは「?」を浮かべている。アルミン、能力を使った事を自覚してねえ。
俺はアルミンを引き寄せてそっと耳打ちした。
エレン「おい、アルミン。お前、とんでもねえ能力が覚醒したぞ」
アルミン「え? 分かったの? エレン」
エレン「ああ、どうも、お前が触ると、感度が上がるみてえだぞ。んで、俺は何故かミカサの心の声が筒抜けだ」
アルミン「えええ?! そうなの? じゃあ、今、ちょっとだけ、ミカサの顔が赤いのは……」
エレン「心の声が聞こえたから間違いねえ。ちょっと、これ、やべえぞ」
アルミンはごくり、と生唾を飲み込んだ。無理もねえ。
アルミン「ちょっと、他の女子の肩も触ってくる」
エレン「お、おう………」
アルミンは俺から離れて他の女子に話しかけていった。しれっと、自然に。
アニ「おはよう、アルミン」
アルミン「おはよう、アニ。あ、肩に糸くずが……」
アニ「あ、ありがとう…………!?」
アニ(な、なに、今の…)
アニ(アルミンに肩を触られただけで、なんか、体がびくって……)
アニ(意味が分からない。何故?)
アニが赤面している。俺は遠くに離れたアルミンに「イエス!」と合図を送った。
アルミンも今度は、アニの顔の変化で察したらしい。
ミカサの時よりも明白にアニが反応していたからだ。
やべえな、これ、本当、やべえよ。
アルミンの能力との合わせ技で、楽しすぎるだろ、これ。
俺達は視線だけで「イエス!」と意思疎通をしてたもんだから、ミカサの声が邪魔してきた。
ミカサ(また、エレンとアルミンが目で会話をしている。何故…?)
ミカサ(息ぴったりなのが羨ましい。あと、二人が何をしているのか分からないのが悔しい……)
ミカサ(一体、エレンとアルミンはこの間から、何をこそこそしているのだろう?)
やべえ。ミカサがどんどん怪しんでる。
俺は一度、アルミンに戻ってくるように手で合図を送った。
すると素直に戻ってきたのでほっとした。
とりあえず、この能力は朝飯食べてからまた検証しよう。
ミカサ「ご飯、食べましょう」
ミカサは不機嫌なままだったけど、俺達はこの機嫌の良さを隠し通せなかった。
頬をニヤケさせながら飯を食う俺達にミカサはますます眉間に皺寄せてる。
すまん、ミカサ。
これは男同士の友情でしか分かち合えない超能力なんだ。
絶対、秘密にしておかねえとな。うん。
それから俺はまず、前回アルミンの能力でやった「手を繋いで感覚を共有する事」が出来るかどうかを試してみた。
誰で試そうかな。よし、今度はサシャでやってみるぞ。
エレン「アルミン、今度はサシャの肩を触ってみろ。俺の手を繋いだまま」
アルミン「ああ、分かったよ」
アルミン「サシャ、肩に糸くずがついてるよ」
サシャ「はにゃ? ありがとうございます」
サシャ(?!)
サシャ(あれ? 今、一瞬、なんか……)
サシャ(体がもぞもぞした……いったいどがんしたとだろか)
アルミン(?! 急に言葉遣いが変わったね)
エレン(みてえだな。あれがサシャの地の言葉遣いなのか?)
アルミン(かもしれないね)
すると前回のアルミンの時と同じように、俺の感覚をアルミンに伝える事が出来た。
俺はアルミンに頷いた。アルミンは「これは素晴らしい能力だ」と喜んでいた。
しかもこれ、俺のアルミンの声も、手を繋げば伝え合う事が出来るみてえだ。便利だなあ。
俺とアルミンが手を繋いでいるとひそひそと別の声が聞こえてきた。
ミーナ(やだ、エレンとアルミン、また手つないでる)
ハンナ(ま、まさか、二人はそっちの関係?)
ミーナ(ありうる。ありうるわよ……だって、滅茶苦茶仲いいじゃん!)
おおっと、まずいな。
前回もよく二人で手を繋いで女子の服を透視して覗きまくってたから、変な方向で怪しまれてるぞ。
俺はアルミンに「一旦離す」と言った。アルミンも了承してくれた。
アルミン「あんまり頻繁にこれやると、女子に誤解されそうだね」
エレン「ああ……まあ、こっそりやるしかねえな」
アルミン「あの、エレン……次はクリスタをやってもいい?」
エレン「んー……食堂でやるのはやめた方がいいな。皆にさっきから見られてるし」
アルミン「うん、じゃあ……夕食後に、またやろう(ニヤニヤ)」
エレン「おう! (ニヤニヤ)」
そんな訳で遅れて食堂にやってきたミカサと合流して、俺達は夕食を食べた。
そして風呂を各自で済ませて、自由時間の時間になると、俺達は再び狙いを定めた。
今度のターゲットはクリスタだ。
クリスタは一人でいるところが少ない。いつもユミルが傍にいる。
さて、どうするか。
アルミン「いっそ、二人いっぺんに感じさせようか」
エレン「いけるか?」
アルミン「大丈夫。僕に策がある」
アルミンがそう言うなら信じよう。俺はアルミンに作戦を丸投げする事にした。
アルミンと俺はユミルとクリスタに近づいた。
二人は廊下で何やら話し込んでいた。その会話に自然に加わる。
アルミン「やあ、ユミル、クリスタ」
クリスタ「あ、アルミン。どうしたの?」
アルミン「二人が何を話してるのかと思って」
ユミル「大した話じゃねえよ。なあ?」
クリスタ「うん。まあ、女の同士の話だよ」
二人は内緒話をしていたようだ。女子はたまにこうやってわざと秘密を共有する事があるらしい。
まあ、俺たちもある意味では同じだけどな。
アルミン「そうなんだ。じゃあ今、時間空いてる?」
クリスタ「うん。暇だよ」
アルミン「この中で一番、手のひらが大きいのって誰かな?」
ユミル「手のひら? んー……私じゃねえの?」
エレン「おお、指なげえな、ユミル」
ユミル「まあな。合わせてみるか?」
アルミン「いいかい?」
ユミル「ああ」
ナイス! これなら自然にユミルに触れる!
ユミルはアルミンと手を合わせた直後、ぽっと顔を赤らめた。
ユミル(?!)
クリスタ「あれ? でも意外とアルミンも長いよ。あまり変わらない」
アルミン「そうだね」
クリスタ「私は手が小さいほうだから羨ましいなあ」
クリスタ「私も手を合わせていい?」
アルミン「どうぞ」
クリスタ「うん、関節一個分くらい差がある~…………?!」
クリスタ(あれ? なんか、今……体が……)
アルミン「クリスタの手は小さいね……(ススス……)」
クリスタ「ひゃん!」
クリスタ(やだ、指を絡めてるだけなのに、ちょっと、待って……!)
おおおお! これはすげえ!
クリスタもユミルもアルミンが触った途端、変化しやがった。
アルミン(やばい。最高だ……エレン、ありがとう)
エレン(お、おう……! 声が聞こえてるか?)
アルミン(バッチリ聞こえてる。クリスタの心の喘ぎ声が!)
すると途中で、ユミルに頭を叩かれて、邪魔された。
ユミル「おい、アルミン。触り方がやらしいぞ」
アルミン「そ、そんな事、ないよ~(←白々しく)」
ユミル「もういいだろ。だいたいなんで急にそんな話になったんだよ」
アルミン「え? いやあ、僕って身長の割には指が長いねってエレンと話してて、どうなのかなって思っただけだよ」
エレン「お、おう! そうだぞ」
アルミンの咄嗟の機転には毎回驚かされる。
こういうのやらせたらアルミンの右に出るやつはそうはいねえ。
ユミル「ふん……んー? お前ら、また手繋いでるのか? 最近、よく繋いでるな」
エレン(ギクリ)
アルミン(ギクリ)
ユミル「まあ、私らもよく繋ぐけどな。あんまり繋いでると勘違いされるぞ。ククク……」
クリスタ「ユミル! 冷やかしたらダメだよ」
ユミル「別にいいだろ。仲いいんだろ? お前らも」
エレン「悪い。誤解させたのなら謝る」
俺はその場では手を離した。うーん。手を繋がないで声を聞かせられたらいいんだが。
あんまり手を繋ぐと誤解を増長させちまうな……参ったな。
アルミンの方を見たら、本人はあまり嫌そうな顔をしていなかった。
よほどさっきのクリスタの反応を気に入ったらしい。
アルミン「気にしないで。僕達は小さい頃からよく繋いでたんだ。僕の手が冷たいから」
クリスタ「そ、そうなの? (握りなおす)本当だ。さっきも思ったけど、改めて触ると、アルミンの手って冷たいね」
アルミン「男なのにちょっと冷え性なんだ。だからエレンが時々、握ってくれるんだ。エレンは体温高いからね」
ユミル「血の気が多いからだな」
エレン「一言多いぞ、ユミル」
クリスタ(………あん、ナニコレ)
クリスタが、さっきよりも頬を赤らめている。というか、目がとろんとしている?
クリスタ(さっきより、気持ちいい。ずっと握っていたいくらい……)
エレン(ぶふーっ)
アルミン(ぶふーっ)
エレン(あれ? 今の)
アルミン(うん、僕にも聞こえた)
エレン(手、繋いでねえぞ? 何でだ? 俺の声も聞こえるんだよな?)
アルミン(うん。聞こえるね。あ、もしかして、クリスタは二回目だからかな)
エレン(だったら、もう一回、ユミルにも触ってみろ」
アルミン(うん)
アルミンは「ちょっと失礼」と言ってさっとユミルの手を取った。
アルミン「ユミルも僕ほどじゃないけど手が冷えてるね」
ユミル「ん? まあそうかもな…………!」
ユミル(まただ、また、変な感覚が……)
ユミル(まずい。アルミンの手から何かが流れてくるような)
ユミル(ずっと、繋がっていたいような……)
おおおお……ユミルも堕ちたな。
エレン(アルミン、今の聞こえたか?)
アルミン(ああ、バッチリだよ)
エレン(一回目は、手を繋がないと聞こえなかったが、繰り返すうちに精度が上がったのかもしれんな!)
アルミン(かもしれないね!)
エレン(相手には声、届いてねえよな?)
アルミン(声が届いてたら、こんな風に普通ではいられないと思うよ)
アルミンの両手をユミルとクリスタが互いに握って恍惚とした表情でいるという、何ともすごい状態になってしまった。
これは俺でなくとも、ちょっといろいろ悪戯したくなる。そんな場面だった。
エレン(アルミン、どうする?!)
アルミン(いやいやいや、どうするも何も、ここは廊下だし、その……)
エレン(この気配だったら、お、おっぱい触るくらいなら許してくれそうじゃねえか?)
アルミン(馬鹿言わないでくれよ! そ、そんな事、したら、僕は……僕は……)
犯罪者になるのは避けたいのか、アルミンはパッと手を離した。
すると我に返ったユミルとクリスタは顔を赤らめて「悪い」「ごめん」と謝ってきた。
アルミン「い、いや……別にいいよ。あ、僕たち、そろそろ戻るね」
俺とアルミンは心臓をバクバクさせながら一旦、退散した。
アルミン「エレン、ぼ、僕……ちょっと、この能力、まずい気がしてきた」
エレン「た、確かにちょっと、エロ過ぎるかもしれんな」
アルミン「うん。今更ながら罪悪感が生まれたよ。だって二人は、自分の意志で感じている訳じゃないんだし」
エレン「ああ……だがしかし、あの二人の顔は良かったな。まるで、その……」
アルミン「言わなくていいよエレン! 分かってるからさ!」
エレン「お、おう……すまねえ」
しかし凄かった。
ただ、触るだけなのに女子を感じさせる事が出来るという、エロ超能力と、俺のテレパシー能力が掛け合わさって無敵状態だ。
俺達は、ここから先をどうするか、話し合った。
エレン「あ、アルミン、これからどうする?」
アルミン「うーん。僕は、その………」
アルミン「この能力自体は素晴らしいとは思うんだけど、罪悪感が否めなくて困る」
エレン「そ、そうか……」
アルミンは根はいい奴だ。だからこういう能力を悪用しようとは思わないのだろう。
エレン「アルミンがそう言うなら、もうやめるか。十分、楽しかったし……」
ゲスミン「え? やめちゃうの?」
エレン「おう。オカズにするのは有りだが、このままだと実際、女子に手が出ちゃうかもしれんしな」
ゲスミン「僕、やめるなんて言ってないけど」
エレン「え?」
ゲスミン「効果が続く限りは使用させて貰うよ。たださっきは場所が悪かったし、次はちゃんと用意してから仕掛けるつもりだよ」
エレン「あ、アルミン? (なんか顔つきが違う?)」
ゲスミン「エレンも使うよね? だってテレパシーなんて貴重な能力、楽しまないと損だよ」
エレン「お、おう………」
何だかいつものアルミンと様子がちょっと違うような気もしたが……。
まあいいか。アルミンがそう言うなら、期間内でだけで楽しもう。
くれぐれも犯罪にならない程度に……。
そんな訳で俺はこのテレパシー能力を存分に楽しむ事にした。
この能力は自分の意識で「こいつの心の声を聞きたいな」と思うことで、そいつに標準を合わせる事が出来るようだ。
つまり、聞きたくない奴の声は聞かなくて済むってことだ。
それに加えて「聞かせてやりたい」と思う奴にも、声を聞かせてやる事も出来るようだ。
ただし、この場合は今のところ、アルミンにしか成功していない。
飴玉舐めた者同士にしか通じねえのかな? その理屈は良く分からんが。
俺はミカサの心の声を聞くうちに、こいつ、案外心の中では口悪いんだなと分かった。
不満があるとよく心の中でだけ「チッ」って舌打ちのような音を出している。
顔には出てないが、とにかく俺について欲求不満があることが分かった。
普段も結構、俺の世話を焼き過ぎてたまにうぜえと思うこともあるが、本心はもっとあれ以上に俺に構いたがっているらしい。
今もほら、こんな声が聞こえる。
ミカサ(エレンの顔色がいつもより悪い。ちゃんと寝ているのだろうか。睡眠不足? 私が添い寝してあげてもいいのに)
と、まあこんな感じだ。
俺はミカサの声を聞いてすぐさま「手鏡持ってるか? 貸してくれ」とミカサに頼んだ。
するとミカサはちょっとびっくりしたようだ。
ミカサ「待って………はい、どうぞ」
エレン「サンキュ」
俺は自分の顔色をチェックしてみた。
…………本当だ。自分では気づかなかったが、俺、普段より顔色が良くねえな。何でだろ?
睡眠不足どころか、この能力のおかげでムフフ生活をしているから、逆にぐっすり眠れているんだが。
エレン「うーん。睡眠不足じゃねえんだけどな。体調も悪い訳じゃないし、何で顔色悪いんだろ?」
ミカサ「エレン、凄い。何で私の思った事が分かったの?」
エレン「え、いや……まあ、お前の顔にそう書いてあった」
ミカサ「嬉しい。以心伝心ってこういう事を言うのね」
俺のテレパシー能力のせいでミカサがすこぶる機嫌が良くなってしまったが、まあ、いいや。
………にしても、アルミンの奴、遅いな。
訓練の後、夕食時にはいつも三人揃ってから飯を食べるんだが、アルミンがまだ食堂に来ねえ。
もしかしたら宿舎に戻る時に教官に捕まって雑用でも押し付けられたかな。
あんまり遅いと飯食う時間が無くなるから、俺達は今日だけ、先に食う事にした。
そしてその日は結局、アルミンは夕食時に食堂に来なかった。
その日だけなら、俺もそんなに変だとは思わなかったと思う。
しかし次の日も、そのまた次の日も、アルミンは夕食時だけ、食堂に来なかった。
エレン(おかしいな……アルミンの奴、一体、この時間、何やってんだ?)
朝食時には会っているし、飯を食ってるところを見ているのだが。
なんで夕食の時だけ来ねえんだ? 飯抜いてるのか? わざと。
すると、その時、唐突に、
ミーナ(最近、夕食時だけ、クリスタの姿みないなあ)
エレン(!)
そう言えば、周りを見ればクリスタもいねえ。ってか、ユミルもか?
その時、俺はなんとなく、嫌な予感がして、飯を全部一気に詰め込んだ。
ミカサ「え、エレン? そんなに急に食べては体に良くない」
エレン「(ごっくん)悪いミカサ。皿、片付けててくれ」
俺はミカサに後片付けを押し付けてアルミンを探すことにした。
ミカサ「?!」
ミカサは困っていたけれど、俺も説明するどころじゃない。
まさかとは、思うけど。
俺はその時のなんとなくの勘を信じて良かったと、思った。
何故なら、か細いけれど、アルミンの声が、俺の脳内に届いたからだ。
アルミン(………! ………! 助け………!)
エレン(アルミン!? どうした?!)
アルミン(………! …………!)
声の雰囲気から、アルミンが困っているということだけは分かった。
でも、遠くにいるせいか、正確な言葉が分からない。
俺は一生懸命、集中した。
声を拾う事が出来るなら、アルミンの居場所を拾うことも出来ないかと思って。
すると、遠くにいるアルミンの姿が脳裏に、一瞬だけ映った。
場所は多分、立体機動装置を補完する倉庫だ。背景に、見えた。
俺は急いでそこに向かい、ドアのところに立った。
エレン(くそ……内鍵がかかってやがる!)
俺はドアに耳を当てた。そして、叫ぶ。
エレン「アルミン! そこにいるのか?!」
クリスタ「はあん……もっと、もっと、触ってええ」
エレン「?!」
ユミル「アルミン、お前って、なんてテクニシャンなんだよ」
ゲスミン「ふふ……ユミルも感じやすいね。ほら……こんなに濡れて」
アルミン(エレン、助けて! ドアをぶち破ってくれ!)
エレン(ど、どういう状況だこれは!?)
俺はテレパシーでアルミンに話しかけた。
ドア越しに聞こえるアルミンの声と脳内の声の様子が全く違ったからだ。
アルミン(ぼ、僕じゃない! 僕じゃない意思が、クリスタとユミルを……その、喘がせてて、ハーレム状態にして楽しんでるんだ!)
エレン(なんてけしからん状態だ! でも、今、ぶち破っていいのか?! その、裸で抱き合ってるとかだったら、居た堪れないんだが?!)
アルミン(うん、ちょっと服ははだけてるけど、背に腹は代えられない! エレン、ドアを蹴破ってくれ!)
エレン(よし、分かった! やってみる!)
俺は渾身の力を振り絞って、飛び蹴りをかましたり、体当たりをしてドアを蹴破ろうと試みた。
だが、全くびくともしない。何故だ?!
エレン(ドアが硬すぎる! 何でだ?!)
アルミン(ごめん、ドアの前に木箱が積んである。ミカサを呼ばないと無理かもしれない)
エレン(分かった。しょうがねえ。呼んでくる!)
俺はミカサを呼ぶ為に踵を返したが、すぐ傍に、何故かミカサがいた。
エレン「うお、いたんかお前!」
ミカサ「あれだけ血相を変えて飛び出せば誰だって気になる。……何が起きたの?」
エレン「悪い。詳しい説明は後だ! ドアを蹴破るのを手伝ってくれ」
ミカサ「分かった」
二人がかりで体当たりをかますと、何とかドアをブチ破ることが出来た。
その先には、アルミンがクリスタとユミルを両手に侍らせてイチャイチャしている光景が……。
ミカサ「?!」
ミカサは当然、真っ赤になった。
そしてその辺にあった立体機動装置のブレードを手に取って、アルミンを攻撃しようとする。
ミカサ「アルミン、言い訳次第では、おしおきする」
エレン「ちょっと待てミカサ! 今のアルミンは、いつものアルミンじゃねえんだよ!」
ミカサ「どういう意味?」
ゲスミン「ククク……ミカサも僕に触られたいのかい?」
ミカサ「何だかいつもと表情が違う……何故?」
アルミン(僕にもよく分からないけど、僕の意思で体を動かせなくなった。乗っ取られたというべきかもしれない)
エレン(乗っ取られた? 誰にだよ)
アルミン(違う、誰かだと思う。もしかしたら、あの飴玉のせいかな……)
そう言われればアルミンの顔色が、結構酷い。俺より酷いかもしれん。
エレン(どうする? 詳しいことは分からんが、とりあえずこの状態を一旦、止めてもいいか?)
アルミン(お願いする。エレンに任せるよ!)
エレン「よし、しょうがねえ! ミカサ、アルミンを何とかして気絶させようぜ!」
ミカサ「気絶させればいいのね?」
エレン「ああ、とりあえずは仕方ねえ!」
という訳で、ミカサの腹グーパンがアルミンに決まり、気絶させるのは成功した。
すると、クリスタとユミルも正気に戻った。
クリスタ「あれ? 私、何でここに……きゃああ?! (何で服が乱れてるの?!)」
ユミル「なんだこれ?! 私、何やってこうなった?! (酒でも飲んだのか?!)」
エレン「その、すまねえ。二人共……実は……」
俺は罪悪感からその場にいるメンバーに事情を簡潔に説明した。
すると案の定、俺はユミルに一発、頭を叩かれ、クリスタには文句を言われ、ミカサには「その飴玉を没収する」と言われた。
エレン「飴玉は俺は持ってねえよ。アルミンが管理してる」
ミカサ「じゃあ今からその飴玉を処分しにいく」
エレン「……分かったよ」
俺はアルミンを背中におぶったまま、ミカサ、クリスタ、ユミルの三人をつれて男子寮に戻った。
そしてアルミンの鞄の中を探してみたが……。
エレン「あれ? ない」
ミカサ「ない?」
エレン「おかしいな。この間、20個くらい、まとめて貰った筈だが」
ミカサ「まさか、他の人にも配ったの?」
エレン「いや、そんな筈はねえよ。俺達で独占してたんだから」
ミカサ「でも、ないのなら、誰かが盗んだとしか」
ユミル「盗む……?」
全員、ピンときて、一斉に青褪めた。
俺達は一斉に女子寮に戻り、サシャの姿を探した。
片っ端から聞き込みをしてサシャの行方を追う。
すると、サシャが丁度、井戸の前でコニーに飴玉を分け与えているところに遭遇した。
エレン「いたー!」
サシャ(げっ……)
エレン「サシャ、その飴玉、食うな! 食うんじゃねえ!」
サシャ「な、なんの事ですか? これは私のですよ?」
ユミル「コニーも、お前も食べるな! よこせ!」
コニー「はあ? 何でだよ。やだよ」
ユミル「いいから、没収だ! そんな如何わしい飴玉、食うな!」
コニー「飴玉がイカガワシイ? 言ってる意味が分かんねえよ」
クリスタ「分からなくていいから! とにかく飴玉を全部返して!」
サシャ「い、いやですよ。これはもう、私達の物です!」
エレン「アルミンの鞄から盗んだ飴玉だろ?! 包装紙を見れば分かるんだよ!」
サシャ「そ、そうなんですか? い、いや、私、盗んでませんし?」
エレン「見え見えの嘘ついてんじゃねえよ! とにかく、返せ!」
わーわーわー
2対4の飴玉争奪戦が始まってしまった。
サシャ「嫌です! こんなに沢山の飴玉、独り占めなんて許せません! 皆で分け合うべきですー!」
エレン「いやだから、その飴玉はちょっと、舐めるとやべえ代物なんだって!」
サシャ「それは美味しさがやばいって言う意味ですか? ますます舐めてみたくなりました!」
エレン「だー! そういう意味じゃねえよ! その、舐めると腹壊すから! 顔色、悪くなるから! 俺がその証拠! ほら! 顔色悪いだろ?!」
サシャ「ん? そうですか? 大したことじゃないですよ。そんなの。とにかく、一個くらい、いいじゃないですか! ケチですね!」
コニー「そうだぞー! こんなにあるんだから、一個くらいくれよー」
ミカサ「それを舐めると、エッチな超能力が目覚めるそうなので、ダメ」
エレン「馬鹿! ミカサ! ばらすなよ! よけいに欲しがるだろうが!」
コニー「はあ? エッチな能力? 例えば、どういうの?」
エレン「うっ……そ、それはその……服が透けて見えたり、女の子に触るだけで感度をあげたり、女子の心の声が聞こえてきたり、だが」
コニー「なんだそれwwwww超面白そうじゃんwwwwやっべ、だったら絶対返したくねえわ。1個もーらい♪」
エレン「あああああ! 食いやがった!」
コニーが目の前で食っちまった……。
もう、しらん。どうなっても。
コニー「…………? 別にどうもならねえよ?」
エレン「すぐに効果が出てくる訳じゃねえよ。次の日の朝になるとその能力が覚醒すんだ」
エレン「しかも、どんな能力が使えるようになるかは、その時にならねえと分からねえ」
エレン「アルミン曰く、強く願った能力が使えるようになるらしいが」
サシャ「ん? ではもしかしたら、別にエッチな能力ではない可能性もあるんですね」
エレン「あ? ああ、まあ、そうだな。今、俺が使ってるテレパシーも、悪用しなきゃ別にエッチじゃねえし」
サシャ「では私は「瞬間移動」を願います。それがあれば、倉庫から食料を盗み放題です! (パクッ)」
エレン「サシャも食いやがった」
サシャ「明日の朝まで楽しみです~♪」
エレン「ああもう、二人の分は仕方ねえが、残りは返せ。それ、元々アルミンのなんだから」
サシャ「てへ……しょうがないですね。はい、どうぞ」
エレン「やれやれ……」
ミカサ「エレン、没収」
エレン「ぐっ……」
まあ、この場合は仕方ねえ。
俺はミカサにその残りの飴玉を返したが、
サシャ「でも、そういう事なら、アレですねえ」
エレン「あ?」
サシャ「実はもう、既に、マルコとジャンにも飴玉を一個ずつ、あげちゃったんですよねえ」
エレン「え、まじか」
サシャ「はい。今頃、舐めてるかもしれないですけど」
エレン「あーもう、面倒くせえなあ」
回収するべきか。一個だけなら、ほっといておくべきか。
ユミル「ダメだな。回収しにいくぞ」
クリスタ「そうね。既に舐めてたらしょうがないけど、元々アルミンのなんだし」
エレン「はあー」
俺達四人は今度はジャンとマルコを探す羽目になった。
あいつらは男子寮にいた。丁度、二人共、その包装紙を開けて口の中に入れていた。
エレン「アウトか……」
ジャン「はにが? (何が?)」
ミカサ「実はかくかくしかじか」
ジャン「はんはんへー?! (なんだってー?!)」
ユミル「おい、飴玉を吐き出せ。今なら間に合うだろ」
ジャン「ほとわる(断る)(`・ω・´)キリッ」
マルコ「ごめん、僕の方はもう、口の中に残ってない」
ミカサ「もし、エッチな事をしたら許さない」
ジャン(ドキーン)
ユミル「そうだな。もし、その力を悪用したら、私達が女子全員に言いふらす」
クリスタ「そうね。でも、透視の能力は、判別しにくし、どうする?」
ユミル「一週間くらいなら、独房にぶち込んでもらうって手もあるぞ。教官に事情を話せばしてくれるだろ」
ジャン「そんな理不尽な!」
マルコ「ぼ、僕達は悪用しないよ……(多分)」
マルコ、心の声が俺には聞こえてるんだが。
やれやれ。どうすっかなー。
ユミル「じゃあ誓約書を書け。二人共。それを違反したら、罰金な」
ジャン「お、おう……(バレなきゃいいだろ、バレなきゃな。ししし)」
ジャン、お前も同罪だな。やる気まんまんじゃねえか。
ここでバラしてやる事も出来るか、まあいい。
同じ男だから、其の辺は大目に見てやるが。
そんな訳で今度はコニー、サシャ、ジャン、マルコの四人が飴玉の恩恵に預かる事になった。
次の日、サシャは望み通り「瞬間移動」を、コニーは「テストの時にカンニング出来る能力(つまり、覗き見)」を、得たらしい。
その事をアルミンに話すと、アルミンは「あちゃー」という顔をした。
アルミン「何だか面倒なことになっちゃったね……」
エレン「まあな。でもそれより、アルミン、もう大丈夫か?」
アルミン「うん……一回、気絶させられたら、治ったみたい。力が暴走しちゃったのかな……」
エレン「まあ、アレがもしかしたらアルミンの心の底の願望だったのかもしれんが」
アルミン「う……それを言われると辛いよ。いや、正直言えば、その気持ちが全くない訳じゃないけどさ」
エレン「分かってる。だからと言って、こんな手を使ってそこまでするのは、ちょっとな」
アルミン「うん。一歩間違えば犯罪者だからね。僕としては、ちょっと悪戯が出来る程度でいいんだよ」
エレン「そうだな………俺が最初に得たスカートめくりくらいの能力で丁度いいな」
アルミン「だね……」
アルミン「ところで、残りの飴玉はどうなったんだっけ?」
エレン「ミカサに全部、没収された。捨てたんじゃねえの?」
アルミン「え……ミカサが持ってるの? まずくない?」
エレン「え? 何で?」
アルミン「だって、ミカサが捨てるわけないじゃないか。自分も舐めるに決まってる」
エレン「え……そ、そうか?」
まずい。その発想はなかった。
俺はてっきり、あいつ、捨てるつもりで没収したんだとばかり思ってたんだが。
ちょっと確認してみよう。ミカサの心の声を探ってみる。
意識を集中して、俺はミカサの声を拾う。すると、
ミカサ(ふふふ……この飴玉のおかげで、私も、エレンと楽しいことができる)
ミカサ(どんな能力が発動するか、楽しみ)
ミカサ(エレンとずっと一緒にいられる能力を望んだ…ので)
時既に遅かった?!
あいつも飴玉舐めやがった。しかも昨日の時点で舐めてやがる。
あーくそ、待てよ。だったら、この場合、ユミルとクリスタも。
俺はユミルとクリスタの心の声も拾ってみる事にした。
ユミル(ふふ……あいつらばっかり楽しみやがって)
ユミル(ミカサから一個貰ったから、私も一回だけ試させて貰うぞ)
ユミル(やっぱ、やるならエレンと同じ、テレパシーだよな)
ユミル(人の弱みをガンガンに握っちゃる)
ユミル(ん? エレン、この声、聞こえてるのか?)
ユミル(悪いな、私もパクらせてもらうからwwww)
クリスタ(ユミルに言われて私もついつい一個だけ、舐めちゃったけど)
クリスタ(私の場合、別にエッチな事をしたい訳じゃないのよね)
クリスタ(でも、誰かの役にたちたいって思うときに、自分の力が足りないときは凄く、嫌)
クリスタ(だから私は、スーパーマンみたいに、誰かを助けられる力が欲しいと願った)
クリスタ(具体的にはどんな能力が発動するんだろう?)
クリスタ(まだちょっと分からないけど、楽しみだな)
おう。もう皆、やりたい放題だな。
仕方ねえ。もう、どうしようもねえな。
エレン「アルミンの言った通りだ。皆、欲望に忠実だったぜ」
アルミン「だろ? あーあ、僕たちだけの秘密だったのに」
エレン「しょうがねえだろ。アルミンが暴走するのが悪い」
アルミン「まあそうだけど。もしかしたらこれって、2個以上舐めたら体に悪いのかな?」
エレン「なのかもしれんな。1個目の時は、別にそういうのなかったし」
アルミン「包装紙の注意書きをもう少し読んでみるね」
アルミンは拡大鏡を持ち出して取っておいた包装紙を読んでみた。
アルミン「ああ、やっぱりだ。一人2個までって書いてある。と言うことは、それ以上は危険が伴うって事だね」
エレン「アルミンの場合、ちょっとやばかったもんな」
アルミン「個人差はあると思うけどね。うん。この事も皆に教えておいたほうがいいね」
エレン「だな………」
そして俺達は朝食時、食堂でミカサや他のメンバーにもその事を伝えた。
するとコニーが一番残念そうにした。
コニー「ちぇー。これがあれば筆記試験、全部パス出来ると思ったのに」
サシャ「仕方ないですよ。一週間、楽しめるだけでもありがたいです」
ユミル「なるほどな。まあ、そりゃそうだな」
クリスタ「うん。期限付きの方がかえっていいかもね」
マルコ「だね」
ジャン「お前らはどんな能力が出てきたんだ?」
ユミル「言わねえ。秘密だ」
ジャン「なんだと? ずりぃ奴め」
エレン「俺と同じテレパシーだよ。ユミルは俺と同じ能力使える。サシャは瞬間移動、コニーはカンニングだな」
コニー「ば、ばらすなよ、エレン!」
エレン「いや、お前、自分でばらしてるだろ」
コニーはうっかりしているようだ。相変わらずだけど。
エレン「ミカサとクリスタはまだ、具体的には出てきてねえよな?」
クリスタ「うん……まだ、みたい」
ミカサ「私も、そうね」
と、その時、
ミーナ「うーん。今日は何だか頭が痛いよー」
ハンナ「大丈夫?」
ミーナ「何でだろ? 風邪でもひいたかな?」
クリスタ「大丈夫?」
ミーナ「うーん。目の奥の方から頭にかけて偏頭痛がするの」
クリスタ「それはいけない……どの辺?」
と、クリスタがミーナの頭を触った直後、
ミーナ「………あれ? とれた」
クリスタ「え?」
ミーナ「クリスタに撫でてもらったら、痛みが引いた。嘘、何で?」
クリスタ「ええ? そう?」
ミーナ「良くわかんないけど、さすが皆の天使ね! ありがとう、クリスタ!」
という、事件が起きた。
おお、これはすごい能力が発動したな。
ユミル「ってことは、アレだな」
アルミン「ああ、クリスタは「癒す」力が出てきたみたいだね」
ユミル「さすが私の天使。結婚してくれ」
クリスタ「自分でもびっくりだよ……怪我とかでも、応用できるのかな?」
アルミン「それはありうるかもしれないね。怪我人が出てきたら試してみたらいいよ」
クリスタ「うん、そうする!」
ユミル「で、ジャン、お前はどんなのが発動したんだ?」
ジャン「あ? 俺か? 俺はその……まあ、アレだよ」
ユミル「誤魔化すなよ。透視とかで人の下着を見やがったら、金取るからな」
ジャン「しねえって! 俺はその………身体能力が上がっただけだよ」
ユミル「はあ? 意味分からんな。嘘つくと、為にならんぞ」
ジャン「本当だって! なんなら心の中を覗いてみろよ!」
ユミル「…………」
エレン「…………」
俺とユミルは顔を見合わせた。
エレン「嘘はついてねえみたいだな」
ユミル「怪しいな。ジャンのような奴がそんな健全な能力なのが」
マルコ「そ、それは失礼だよ。ねえ、ジャン」
ジャン「そうだ。身体能力をアップして何が悪い」
コニー「ははーん、立体機動の時に点数稼ぎ、してえんだろ。ミカサを抜くつもりだな?」
ジャン「ま、まあそんなところだ」
なんか怪しい気もしたが、俺はマルコにも聞いてみた。
エレン「マルコはどんなだった?」
マルコ「ぼ、僕は……その、ラッキーが欲しくて」
エレン「ラッキーが欲しい? 意味がいまいち分からないが」
マルコ「その、偶然、ちょっとだけ、エッチな目に遭う能力が欲しいと願ったんだよ」
ユミル「はあ? なんだそれ。マルコ、お前、スケベだな」
ユミル「罰金、払え」
ジャン「偶然なんだから、払う必要はねえだろ?! 悪用じゃねえよ」
ユミル「下心がある時点でアウトだって。罰金払わねえなら、弱み握るぞ」
マルコ「そ、そんな事を言われても」
マルコ「僕の場合は、たまたま、スカートがめくれちゃった瞬間に遭遇するとか、走ってた女の子とぶつかって、踏みつけられるとか、その程度だよ」
ユミル「うう~ん」
クリスタ「グレーゾーンで許してあげたら? ユミル」
ユミル「まあ、クリスタが言うならいいけどさあ」
ユミル「全く、男って生き物はどうしようもねえな」
男一同((((ギクリ))))
ミカサ「私だけ、まだ分からない……」
アルミン「まあ、発動するのに少し時間がかかる場合もあるよ」
エレン「だな」
そんなわけで雑談をし終えて朝飯を食い終わると、それぞれ、寮に戻ろうとした。
午前中の訓練の準備に向かうためだが……
その時、何故か俺は体中が痺れて、動けなくなった。
エレン「ぎゃああああ?!」
ミカサ「?!」
慌ててミカサが俺に駆け寄った。
ミカサ「エレン、大丈夫?」
エレン「今、突然、体が痺れて……」
アルミン「何でだろ? ミカサ、何かした?」
ミカサ「し、してない……」
エレン「今はもう大丈夫だ。ミカサ、次の訓練に遅れるから、行っていいぞ」
ミカサ「う、うん……」
しかし、ミカサが俺から離れると……。
エレン「ぎゃああああ?! (二回目?!)」
何故かまた、俺の体に痺れがきた。
エレン「痛い痛い痛い!」
ミカサ「どうして?!」
どうやらミカサがある程度の距離以上、俺から離れると俺の体に痺れが走るらしい。
面倒くせえ能力が来たな、おい。
エレン「ミカサ、お前、なんちゅう能力発動させやがった……」
ミカサ「ご、ごめんなさい」
エレン「面倒くせえけど、離れると痺れるから、俺も女子寮行くぞ」
ミカサ「う、うん……」
後で何メートル以上離れるとアウトなのか確認しよう…。
全く、困った事になりやがった。
そんな訳で、訓練中も極力ミカサと離れられなくなったし、それ以外の事でも、どうやら10m以上離れると、ビリビリがくるようだ。
エレン「ミカサ~」
ミカサ「うう、ごめんなさい」
俺は夕食時、ついついミカサに怒鳴ってしまった。
しゅんとしているミカサだが、どうやら本人もこれは望んではいない能力らしい。
ミカサ「私の思ってたのと少し違う能力が来てしまった。申し訳ない」
エレン「だろうな。それは分かってるけど、どうにかしてくれよ」
エレン「集中すれば、精度を上げることは出来るから。念じてみろ」
ミカサ「離れても、大丈夫になるように?」
エレン「でないと俺、今日、男子寮で寝れねえんだけど?」
ミカサ「………一緒に寝る?」
エレン「それが目的か!」
アルミン「まあまあ、二人共。願望がちょっとねじ曲がったんだから仕方ないでしょ」
エレン「そうだけどさー……」
アルミン「体が無条件にくっつく能力とかじゃなかったから、ヨカッタじゃない」
ミカサ「! そ、それはエッチな能力ね(真っ赤)」
エレン「それはもっと困るだろうが………って、え?」
その直後、何故か俺の手は、ミカサの肩に吸い寄せられた。
まるで磁石のように。
エレン「ちょっと待て。悪化してるぞミカサ!」
ミカサ「お、おかしい……私は望んでないのに」
ミカサ(いいぞ、もっとやれ)
エレン「心と言葉が矛盾してるぞ! こっちにはバレてんだからな!」
ミカサ「うっ……そうだった」
ミカサ(しかしこれはこれで美味しい)
エレン「ミカサ、いい加減にしろよ? 怒るぞ?」
ミカサ「ごめんなさい……(チッ)」
エレン「舌打ちも禁止! 心の中でも禁止! 女がそんなことすんな!」
ミカサ「! これもバレてるの? ごめんなさい」
エレン「ったく、分かったなら離せ。こっちからは出来ねえんだから」
ミカサ「ううう……(エレンに肩を抱かれたままでいたい)」
ジャン「おい、エレン、てめえ何してやがる(ビキビキ)」
ジャンがその時、丁度食堂にやってきた。
俺の手を握って、無理やり引き離そうとする。
丁度良かった。ジャンにも手伝ってもらおう。
エレン「ミカサの能力が発動しちまったせいで、くっついたんだよ。引き離すのを手伝え」
ジャン「はあ?! これがミカサの能力? ……まじか。これ、手が離れねえな! (グイグイ)」
エレン「ミカサの意思が阻止してる。おい、いい加減にしろ、ミカサ」
ジャン「ぬんぬううううううう!!! (渾身の力)」
すっぽーん!
おお? 何か知らんが、取れた取れた。
ミカサ「そんな……ありえない(今のは私の意思じゃない)」
ジャン「ふー……(俺の力の方が勝ったみてえだな)」
ミカサ「なんで馬鹿力……」
ジャン「ああ? まあな。結構、便利だぞ、これ」
エレン「助かった。ジャン、ありがとな」
ジャン「礼を言われると気持ち悪い。つか、ミカサの能力って、自分の意思で吸い付けるのか?」
エレン「ついでに10m以上離れると、体が痺れて動けなくなる」
ジャン「まじかよ……今日、寝るときどうすんだよ、エレン」
ミカサ「一緒に寝ればいい」
エレン「だからそれは出来ねえっつってるだろ。どうにかしろ」
ミカサ「…………下着姿を、見たくせに」
エレン&アルミン((ギクリ))
ミカサ「男は勝手。自分のしたい事はするくせに、女にはさせない」
エレン「うぐぐ………」
それは言われるとちょっと罪悪感があるが、それは横に置いておいて。
エレン「規則違反になるんだから、ダメだって言ってるんだよ。とにかく、この吸い付く能力も、離れるの禁止の能力もコントロールしてくれよ」
ミカサ「そう言われても。願ってない事は出来ないと思う」
アルミン「ううーん。でもミカサ、エレンが困っちゃうからさ」
ミカサ「………一回だけ、ダメ?」
エレン「おねだりするな。ダメなもんはダメだ」
ミカサ「ううう………(何かいい手はないだろうか)」
エレン「ミカサ、何度も言うがお前の心の声はダダ漏れだからな」
ミカサ「うっ………」
ミカサ「分かった。エレンが言うなら、コントロールする」
ミカサ「……………………」
エレン「お、集中し始めたな。じゃ、離れてみるぞ」
俺は実験的にミカサから一歩ずつ離れてみた。
少しずつ、少しずつ、様子をみる。
アルミン「さっきより大丈夫みたいだね。ミカサ、震えてるけど」
エレン「みてえだな。よし、このまま一回、男子寮に帰ってみるぞ」
ミカサ(プルプルプルプル)
ミカサ(やっぱり、ダメ! 自分に嘘はつけない!)
エレン「ぎゃああああ!」
ミカサ「ごめんなさい。エレン。やっぱり、ダメみたい」
エレン「お前、なあ………」
ジャン「くっ……でも、ミカサ。規則違反はしたらダメだぞ」
ジャン「下手したら、開拓地送りにされるかもしれねえんだし」
ミカサ「そ、そうだけども……」
エレン「わーった、俺も妥協案を出す」
ミカサ「え? 一緒に寝てくれるの?」
エレン「それは無理だが、お前が寝るまで、話しかけてやるよ。テレパシーで」
ミカサ「ど、どういうこと?」
エレン(俺の心の声をお前に届ける)
ミカサ(?!)
エレン(これなら寂しくないだろ?)
ミカサ(う、うん……寂しくない)
俺はアルミンに自分の声を飛ばした時と同じ要領でミカサにも声を飛ばした。
これからミカサも寂しがる事はないだろう。
ミカサ(わ、私の方からも声を飛ばせるの?)
エレン(俺がミカサの声を聴いてるからな。出来るぞ)
ミカサ(嬉しい。これで一晩中、おしゃべりできる)
ジャン「おい、なんで見つめ合って黙り込んでるんだよ」
エレン「悪い。心の中で会話してた」
ジャン「うぐっ……(なんてムカつく)」
エレン「言っとくがジャン、お前の声もだだ漏れだからな」
ジャン「うぐっ……(そういえばそうだった)」
エレン「やれやれ、面倒臭い事になっちまったな」
ミカサ「元はといえば、最初に飴玉を貰ってきたエレンが悪い」
エレン「うぐっ……そうだけどさ。まさかこんなに反響を呼ぶとは思わなかったんだよ」
アルミン「だねえ……」
俺とアルミンはしみじみ思った。
期間限定とは言え、こんな展開になろうとは貰った当初は思わなかったのだ。
エレン「それよりミカサ、この間の飴玉、残ってる分はどうした?」
ミカサ「……まだ取ってある」
エレン「もう捨てろ。万が一、事情を知らん奴に食われたらまた騒ぎが広がるぞ」
ミカサ「………あと一個まで食べてもいいんでしょう?」
エレン「アルミンの例を忘れたのか? 暴走したら止めるの大変だろうが」
ミカサ「分かった。じゃあ、夕飯の後に、捨てておく」
エレン「俺たちもそれに立ち会うからな」
ミカサ「うっ……(1個だけとっておこうかと思ったけど)」
エレン「ミカサ?」
ミカサ「ごめんなさい」
そんな訳で、夕食後、俺達は今度こそ、残りの飴玉を処分する事にした。
ありがとん。頑張るよん。
俺達は女子寮のミカサのベッドの前に集まって、悩んだ。
この危ない飴玉を普通にゴミ箱に捨てるわけにもいかない。
一番いい処分の方法はなんだろう?
ミカサ「燃やすか、水に溶かして地面に捨てるか、とかどうだろう?」
アルミン「そうだね。熱湯に溶かして、それを捨てちゃえばいいよ」
エレン「それもそうだな。そうすっか」
俺達は残りの飴玉の包装を全部外して別の袋に入れて、食堂に戻った。
そして台所を借りて鍋に湯を沸かし、それに全部、飴玉をぶち込んで溶かしてしまう。
そしてお湯が人肌程度に冷めた頃、それを持って適当に地面に捨てようと外に出た。
しかしその時、運悪く、俺は何故か急に瞬間移動で現れたサシャとぶつかり、その鍋ごと、ぶちまけてしまう。
幸い、サシャの方は濡れなかったが、俺は全身ビチョビチョだ。
サシャ「す、すみません! まさかエレンがこんなところにいるなんて思わなくて」
ミカサ「大丈夫? エレン!」
アルミン「まずい、早く体を洗ったほうがいいかもしれない」
ミカサ「水を! 水をかけましょう! サシャ、エレンをつれて井戸まで瞬間移動して!」
サシャ「分かりました! (ヒュヒュン!)」
俺は慌ててサシャに井戸の水をぶっかけられて、飴玉を溶かした湯を落としたけれど……。
だ、大丈夫なんかな。これ。俺、体に異変が起きなければいいが…。
サシャ「こ、これで大丈夫ですかね? 火傷してないですか?」
エレン「ああ、幸い、火傷はしてねえけどよ」
飴玉の成分を含んだぬるま湯を全身に浴びちまったんだ。
皮膚から吸収してたとしたら、ちょっとまずいことになるかもしれんが。
すぐに洗い落としたから、大丈夫だと思いたいが。
エレン(うーん、今のところ、何ともねえけど……)
しかし全身、濡れて寒いな。服、着替えないとな。
あと、とりあえず、タオルが欲しい。
エレン「サシャ、ついででいいんだが、俺を男子寮まで瞬間移動で飛ばしてくれ」
サシャ「分かりました! むむむ!」
そして俺はサシャと一緒に男子寮に飛んで、とりあえず部屋に戻った。
サシャ「タオル、借りてきますね。コニー!」
サシャに頼まれてコニーが玄関に来てくれた。
コニー「うは! ずぶ濡れだな! 分かった。持ってくる」
コニーが慌ててタオルを何枚か持ってきてくれた。それで体をだいたい拭いて、
コニー「一回、風呂入ってきた方がいいんじゃねえ?」
エレン「でも、他の奴らが入ってるだろ?」
コニー「いいって、ちょっと事情があるって言えば。俺からも頼んでやっから」
エレン「悪い……」
そんな訳で、その日はいつもと違う時間に風呂に入れて貰えることになった。
すぐに成分を流したから大丈夫だろうと、その時は思っていたのだが……。
やはり飴玉10何個か分のエキスを凝縮したそれは、俺に変化をもたらした。
次の日の朝、俺はテレパシー以外の能力も、身につけてしまう羽目になったのだ。
エレン(………どうすんだ、これ)
俺は思った。俺の能力って、やっぱりしょうもねえと。
何故か次の日の朝、女子の訓練兵の皆が、全員、胸の大きさが変わっていたのだ。
はっきり言ってしまえば、全員、巨乳になっていた。
腰のサイズはそのままに、尻も若干大きくなってる気がする。
ボン、キュ、ボン! なスタイルになってしまった女性陣に、男子は全員、顎が外れる勢いで驚いていた。
ジャン「ななんあなな……何が起きた?!」
ジャンが混乱している。無理もねえ。
朝の食堂は、若干、いや、かなり皆、ざわめいていた。
そして一人だけ、察している人物がいる。
アルミン「エレン、まさかとは思うけど、新しい能力、身につけちゃった?」
エレン「多分な…」
心当たりはあれしかねえ。昨日、飴玉成分を浴びてしまった、アレだ。
アルミン「大丈夫? やっぱり、あの後、変化が起きちゃったみたいだね」
エレン「ああ、まあ…幸い、アルミンの時みてえに暴走はしてねえが……」
にしてもこの変化はその……………やばい。天国だ。
女子は女子でちょっと照れて困っているが満更ではないようだ。
ミーナ「朝起きたら、胸が大きくなってたんだよ。よく分かんないけど」
ハンナ「何でだろうね? 何かそういう食べ物食べたっけ?」
ミーナ「女子全員、だからね。何か、そういう食べ物を昨日、食べちゃったのかなあ?」
女子は首を傾げたまま、でもその原因を本気で追求しようとは思ってないらしい。
しかしこの光景に一人だけ異を唱える男がいた。ライナーだ。
ライナー「けしからん! 実にけしからん!」
ベルトルト「ライナー、興奮し過ぎだよ」
ライナー「違う! そういう意味じゃない。巨乳は巨乳でもいいんだが、クリスタまで巨乳になるなんて……俺は、貧乳の頃のクリスタから愛していたのに……ぶごおお?!」
ユミルがライナーの背中を蹴った。そりゃそうだな。
ユミル「ふん……巨乳は巨乳で文句があるのか? 贅沢な奴め」
ユミルの胸もでかくなってる。
俺がついつい、じっと見ていると、ユミルに叩かれた。
ユミル「エレン、お前の仕業だな?」
エレン「ぎくり」
ユミル「お前に起きた事件は、テレパシーで探った。全く、お前の脳内、どうなってんだよ」
エレン「俺だって自分にツッコミ入れたい。まさかこんな能力が発動するなんて思わなかったんだよ」
クリスタ「あの、エレン……出来れば、元の大きさに戻して欲しいんだけど」
クリスタがもじもじ赤い顔で言ってきた。
エレン「え……?」
クリスタ「あのね、大きくしてもらっておいて悪いんだけど、その……これだけ大きいと、立体機動の時に邪魔になるし、その、肩も凝っちゃうのね。だから、前と同じとは言わないけど、ワンランクだけ、サイズダウン、お願いしたいんだけど……」
ライナー「ぶほおおお?! (鼻血ブー!)」
ライナーがクリスタの発言だけで興奮して倒れちまった。
アルミンもアルミンで居た堪れない顔している。
エレン「で、出来るかな……分かった。念じてみる」
俺はクリスタに頼まれたとおり、元の大きさに近い大きさになるように念じた。
エレン(クリスタのおっぱいは確か、もう一回り小さかった……)
元の大きさに若干プラスした程度に想像して俺はイメージを固めた。
すると、クリスタの胸の大きさがちょっとずつ変化して、元の大きさに近い形になった。
クリスタ「良かった。大分、肩の重さが取れた。ありがとう、エレン」
エレン「いや、いいって。俺も悪かった。その……勝手にでかくして」
クリスタ「ううん。事故だったんだから仕方ないよ。それに喜んでる女子もいるしね」
ジャン「そ、そう言えばまだ、ミカサが食堂に来てねえな」
ユミル「あ、そう言えばそうだな。どうしたんだろ?」
アニ「ミカサなら、服がないって困ってたよ」
その時、アニが珍しく会話に加わってきた。
アニ「朝起きたら、とんでもないサイズの大きさの胸になっててさ。持ってる服じゃ外歩けないって困ってた」
ジャン「な、なんですとー?!」
アニ「っていうか、これ、エレンの仕業なの? だったら私も元の大きさに戻して欲しいんだけど」
アニは元々、胸があるが、それに加えてボリュームアップしていた。
アニ「大きければいいってもんでもないでしょ。邪魔くさいから、元に戻して」
エレン「あ、ああ……分かった」
俺はいつものアニの胸の大きさをイメージして念じた。
アニ「………ふう。いつものサイズが一番だよ。全く、ドスケベだね」
エレン「すまん……」
アニ「それより、ミカサも元に戻してやんな。あれじゃ可哀想だよ」
エレン「分かった。行ってくる」
俺は朝飯を食う前にミカサに会うべく、女子寮に向かった。
ドア越しに、話しかけてみる。
エレン「ミカサー? 大丈夫かー?」
ミカサ「開けないで!! 絶対、ドアを開けてはダメ!」
エレン「アニに聞いたぞ。胸、でかくなったって」
ミカサ「そ、それは……そうだけど。見せられない。こんな胸、見せられない!」
エレン「元に戻すからさー、中に入れてくれよー」
ミカサ「ダメ……エレンにもこれは見せたくない」
そう言われると、ちょっとだけ見たくなってきた。
エレン「どんだけでかくなったんだよ」
ミカサ「そ、それは……その、100センチ、超えてた……ので」
エレン「100?! 本当かよ、それ」
ミカサ「だから、服が着れないの。その……起きたら服が破れてて、今、裸で布団を被っている……ので」
そんなことを聞いたら、興奮するだろ、おい。
………いやいや、待て。自重しろ、俺。
エレン「悪い。それは俺のせいだ。昨日、俺が飴玉の成分をかぶっちまったから、新しい能力が出てきたんだ」
ミカサ「そ、そうだったのね」
エレン「元に戻してやるからさ。その、中に入れてくれねえか?」
ミカサ「ドア越しじゃ、出来ないの?」
エレン「うーん、胸を見ながら出ないと、イメージしにくいからなあ」
ミカサ「ううう…………無理。こんな私、見せたくない」
やばい。拒否られるとよけいに興奮する。
俺はミカサの胸が見たくなって、それを願ってしまった。
すると何故か次の瞬間、俺は女子寮の部屋の中にいた。
エレン「……あれ?」
サシャのように瞬間移動しちまったのか?
ミカサ「?!」
ミカサは何が起きたのか良く分かってないようだ。
ミカサ「エレン?! どういう手品を使ったの?!」
エレン「いや、多分、サシャと同じ、瞬間移動を使ったっぽい」
ミカサ「三つ目?! エレン、そんなに能力を酷使してはいけない!」
エレン「んー……今のところ大丈夫だろ。アルミンみたいに体を乗っ取られてねえし」
ミカサ「でも、鼻血が出てる! 顔色も悪い!」
エレン「ああ? あ、本当だ」
俺はそれに気づかず、とりあえず、ちり紙で鼻の穴を押さえた。
エレン「とにかくさ、元の大きさに戻してやるから、一回見せてくれよ」
ミカサ「いやあああああ!」
エレン「だってずっとそのまんまってわけにもいかねえだろ? ほら……」
俺はミカサの布団を剥ぎ取ろうと手に取った。
すると、ミカサの拒否反応で全身がビリビリして痺れてしまった。
エレン「うがががががが?!」
これは強烈だ。全身がのたうちまわる程、きついビリビリがきた。
俺は思わず膝を折った。すると我に返ったのか、ミカサが謝って近寄ってきた。
ミカサ「ごめんなさい。その……! 今のはわざとでは……」
エレン「分かってる。その……」
そして俺は見てしまった。
ミカサの巨乳、いや、爆乳を。
はだけた布団から、その隙間から。
エレン「おおおおおお?! (なんじゃこりゃああああ?!)」
ミカサ「いやあああああ! 見ないでええええ! (布団に隠れる)」
エレン「馬鹿! 見せろ! もっと見せろ! (布団剥ぎ取る)」
ミカサ「やめてエレン! そんなに見ないで!」
ミカサが真っ赤になって恥ずかしがるその様はもう、なんていうか。
ありがとうございます! と感謝するしかない。
エレン「これは凄い。こんなサイズ、見たのは生まれて初めてだ。当然だが」
ミカサ「ううう…………も、元に戻せるの?」
ミカサは遂に観念したのか、布団で前を隠しながら、項垂れた。
上目遣いでこっちを見てくる。ううーん。これは楽しい。
エレン「ああ、戻せる。大丈夫だから安心しろ」
ミカサ「本当に?」
エレン「だからその、もう一回、見せろ。そして、おっぱいを吸わせろ」
……………ん?
ミカサ「お、おっぱいを吸うの? 何故?!」
エレン「元に戻すのに必要な手順だからだ」
…………んん? 俺、一体、何言ってるんだ?
んな訳ねえだろ? 俺、さっき、クリスタもアニも、触らないで元に戻せただろ?
しかし俺の口は止まらなかった。何故か、ミカサのおっぱいを吸う方向で話を進めようとしている。
エレン「いいだろ? そんなに長い時間じゃない。ちょっと我慢すればいいんだ」
ミカサ「ううう………でも」
エレン「幸い、今、他の女子は朝食食ってて、食堂にいるし、ここには他に誰もいない」
エレン「少しの間なら、大丈夫だ。誰にも分からない」
ミカサ「そ、そうかしら」
エレン「ああ、これは、元に戻す為に仕方なく、やるんだ。だから、いいだろ?」
よくねえよ!!!!!!
おかしい。俺の意思とは裏腹に、口が、勝手に、ミカサを口説き落としてる。
まさか、これか?! これがアルミンに訪れたあの現象なのか?!
そ、そりゃあ、これだけのおっぱい、す、吸いたいのは山々だが、ダメだろ!
そんなことしたら、ダメだろ! 落ち着け俺ええええええ!!!!
ミカサ「わ、分かった。そういうなら、仕方ない。ちょ、ちょっとだけ……」
しかし俺が抵抗する前にミカサが了承してしまった。
俺はミカサをベッドに仰向けに寝かせてそれに重なると、そっとその大きな胸に触れた。
ミカサ「あん……(やだ、エレンの手が、私の胸に……)」
ミカサ(気持ちいい……まさかこんな展開になるなんて)
ミカサ(ちょ、ちょっとだけなら、このまま……エッチな事をしても……)
ミカサ(うん、エレンになら、いい。いくらでも、触られていたい)
ミカサ、お前も落ち着けええええええ!!!
エレン「ちょっとだけ、我慢しろ。いい子だ」
ミカサ「あん……」
何が、いい子だ。俺、キャラ崩壊しすぎだろ?!
ちょちょちょちょ、本当に吸い始めやがった。うわあああああ!
なんだこの感覚は! その、ええっと、どうしたらいいんだ俺は?!
このままだと、絶対、ヤっちまう! ミカサにぶち込んじまう!
誰かに止めてもらわないと……そうだ、ユミル!!
あいつを呼べばきっと、俺を蹴り倒してくれるに違いない。
エレン(ユミル……ユミル……! 応答しろ!!!!)
ユミル(はあ? 何だよ、急に)
エレン(すまねえ! 俺が暴走し始めた! 助けてくれ!)
ユミル(今度はお前かよ!! 何やってんだよ、全く)
エレン(俺も、そんなつもりじゃなかった! でも、勝手にミカサを、その……)
ユミル(あーあー皆まで言わなくていい! ちょっと待ってろ! すぐ行くから!)
俺はほっとした。これでユミル達が俺を止めてくれるだろう。
しかし俺の体はその後、何故か一度、ミカサから離れて、ドアの内鍵をかけた。
エレン(?!)
何やってるんだ、俺!
しかも、内側に荷物をポンポン寄せてバリケードを作ってる。
こんなところまでアルミンと一緒かよ!
エレン「よし、これで暫く時間を稼げる」
ミカサ「……? (はあはあ……もっと、吸って欲しい)」
ミカサはミカサで感じてだらしない顔してやがる。
くそ、やべえ。超、色っぽいけど。
ミカサ「何、やってるの?」
エレン「邪魔されないように、したんだ。ここだと、どうも邪魔が入りそうだ」
エレン「ミカサ、誰にも邪魔されない場所に移動するぞ」
ミカサ「え?」
俺はその後、瞬間移動で、女子寮を出た。
げげげ! なんつーこと、してるんだよ、俺!!
しかも、移動した先は、なんと…………。
エレン(ここ、教官室じゃねえか!)
幸い、教官は出払ってて、部屋にいないけど。
教官室のソファにミカサを寝かせて続きをしようとする俺がいる。
エレン「声、出したらダメだぞ、ミカサ」
ミカサ「あ………む、無理、あ、いや……(ダメ、気持ちいい……)」
エレン「ここ、教官室だからな。見つかったらまずい」
ミカサ「ど、どうしてそんな場所に移動したの?」
エレン「んー……その方がスリルがあるだろ? ほら、気持ちよくなってる(ぬるり)」
ミカサ「ああ……ん……んー……(ビクンビクン)」
もういかん。これはその、完全に、アウトだ。
真っ黒だ。訴えたれたら、敗訴決定だ。
こんなのキース教官に見つかったら即刻、開拓地送りだっつーのに。
でも、俺の手は止まらない。いや、口は止まらない。
ミカサのおっぱいに吸い付いて乳輪を責め立ててる。
これ、正気に戻ったら殺されても文句言えないぞ…。
頼むから、その辺でやめてくれ。もう、これ以上は、ダメだって。
そう願うのに俺は止まらない。くそ……。
どうしたらいい? 俺は、どうすれば、この現状を止められる?
その時、俺は脳裏に浮かんだ光景があった。
そう、俺とミカサの間に割って入った、ジャンの存在。
あいつは今、ミカサ並に馬鹿力を持っている。
なら、あいつなら、この状態を止めてくれるかもしれない。
でもテレパシーを飛ばせば、きっとまた、俺は瞬間移動で逃げるだろう。次の場所へ。
そうなると、永延と追いかけっこになる。それだけは避けたい。
つまりジャンと出くわしそうな場所に俺を誘導する必要がある。
チャンスは一回だけだと思った。
俺は今度はジャンに向かって、テレパシーを送った。
エレン(ジャン! お前の大好きなミカサが俺に襲われてる。ジャンの好きそうな場所でやってるぞ!)
意味不明なメッセージだが、多分、届いただろう。
俺はその抵抗にピクっと反応して舌打ちをした。
エレン「参ったな。またか」
ミカサ「え? (はあはあ)」
エレン「何でもねえ。そろそろ、次の場所に移動しよう」
ミカサ「う、うん……(教官と出くわしたら怖い)」
ヒュヒュンと移動した先は、今度は馬小屋だった。
ミカサ(え? こんなところでするの?)
エレン「悪い。ここなら邪魔されないだろ?」
ミカサ「で、でも……(馬の声が気になる)」
これは賭けだった。ジャンが俺の思考を読み取れるか否かの。
あいつだったら、俺のメッセージの真意を読み取れると、そう信じるしかない。
エレン「ジャンの嫌いな場所じゃないと、邪魔が入りそうだしな」
ミカサ「え?」
エレン「何でもねえよ」
そう。ジャンは馬面とか言われるせいで、馬小屋そのものをあまり好きじゃない。
だからあいつは本来なら、訓練以外ではあまりここに近寄らない。
でも、俺のメッセージの裏読みをすれば、きっと。
あいつはここにやってくる!
ヒュヒュン!
サシャ「あ、いました!」
ジャン「エレン、てめえええええ!!!」
そしてジャンの飛び蹴りが炸裂して、俺の意識は直後、吹っ飛んだ。
ミカサ「な、何するの、ジャン!」
ジャン「それはこっちの台詞だ! 何やってんだよ、二人共!」
ジャンの声が遠くに聞こえる。
俺は、意識を失いかけながら、言った。
エレン「………ジャン、グッジョブ」
そして俺の視界は暗転したのだった。
そして俺の意識が戻ると、その側には、ミカサとアルミンが居た。
俺は脳振盪を起こして意識を失い、医務室に運ばれたようだ。
起き上がるとそこには、いつもの胸の大きさの訓練兵姿のミカサがいた。
元に戻ってるのを見て俺は心底安心した。
ミカサ「エレン、大丈夫?」
エレン「ああ、大丈夫だ」
本当はまだ、頭の後ろが少しズキズキしていたけれど、俺は精一杯、虚勢を張った。
でないとミカサが可哀想だと思ったからだ。
ミカサ「ごめんなさい。エレン……」
エレン「いや、俺の方こそ謝らせてくれ」
俺は先にミカサに頭を下げた。
エレン「俺もアルミンと全く同じように暴走しちまった。多分、飴玉の力が効き過ぎたんだろな。その……騙して、ごめん」
ミカサ「ううん、いいの。それはいい。私も気付かなかったのがいけない」
エレン「アルミン、お前も大変だったんだな。同じ目に遭って、やっと分かった」
アルミン「うん……なんていうか、自分の意思に反して体が勝手に動いてたからね。あれは物凄く怖い状態だよ」
エレン「だな………本当、ジャンが止めてくれて良かったよ」
アルミン「咄嗟の判断にしては良かったと思うよ。エレンもよく気がついたね」
エレン「賭けだったけどな。暴走している俺を騙す必要があったから」
解説しよう。あの時俺が何故、「ジャンの好きそうな場所でやってるぞ!」と言ったのか。
まずは俺自身を、分かり易い場所に誘導する必要があったからだ。
もし、壁の外や、街の中の方の遠い場所に移動されたら完全にアウトだった。
だから俺はわざと「ジャンの嫌いそうな場所」に行かせるように、あのメッセージをジャンに伝えたのだ。
ああいえば、追いつかれたくない俺は「ジャンの嫌いな場所」に向かう。
ジャンの嫌いな場所といえば馬小屋が一番、上に来る。何故なら馬面とか言われるのをあまり快く思ってないからだ。
そうして誘導しておけば、裏読みしたジャンが追いつく。
そう信じた結果があれだったのだ。
アルミン「にしても、ひどいよ。エレン」
エレン「ん?」
アルミン「何でとっさに僕にも声を飛ばしてくれなかったの?」
エレン「あ、いや……それは、その……」
アルミンに飛ばす手は勿論、思ったが、アルミンだと俺をぶっ叩けないかもしれんと思ったんだ。
だって俺自身も、アルミン気絶させるの、ちょっと躊躇したしな。
ミカサに丸投げしちまったし……。
エレン「悪い。アルミンだと、俺を止めるの、躊躇しそうだと思って」
アルミン「まあ、そうだけども。ユミルとかジャンなら、容赦ないだろうけど」
アルミン「それでも、ちょっと寂しかったなあ」
エレン「すまねえ」
アルミン「まあ、いいけどね。結果的には元に戻ったし」
アルミンがちょっとだけ拗ねているのでそれも申し訳なかった。
エレン「にしても、本当、今回は参った。この能力、もういらねえわ」
アルミン「うん……まあ、あと数日の辛抱だよ。そのうち切れるから」
エレン「だな………」
ミカサ「エレン、立てる?」
エレン「あ、ああ……大丈夫。傷は大したことねえよ」
俺はそう言って医務室を出た。
二人に両脇を支えられながら、今回の騒動も、一段落着いたのだった。
そして月日が流れて、俺達はいつもの日常に戻った。
ミーナ「あーあ、胸の大きさが元に戻っちゃったー」
ハンナ「人と夢と書いて、儚いと読むのよ、ミーナ」
ミーナ「そうだけどさーなんだったんだろうね? あの巨乳騒動」
ハンナ「よく分からないけど、生理の周期で変わっただけじゃない?」
ミーナ「あーホルモンバランスが変わっただけか。あり得るかもね」
そんな女子の会話を遠くで聞きつつ、俺とミカサとアルミンはいつものように飯を食う。
あれからもう、あの不思議な能力は無くなったけれど、もう使いたいとは思わない。
なんていうか、今回の事で強く思ったのは、理性って、大事だなという事だ。
理性があるからこそ、人間はちゃんと生きていけるんだ。
だからちゃんとコントロールしねえとな。うん。
ハンナ「あ、そう言えば、ミーナ、これあげる」
ミーナ「なになに? 飴玉?」
ハンナ「この間、フランツとデートした時に、街で貰ったんだ」
ミーナ「へー」
ハンナ「美味しかったから、ミーナにも一個あげるね」
ミーナ「ありがとう。包装紙が変わってるね。『あなたの夢を叶える魔法の飴玉』? 洒落てるわね」
エレン(ぶふーっ)
ミカサ(ぶふーっ)
アルミン(ぶふーっ)
ユミル(ぶふーっ)
クリスタ(ぶふーっ)
ジャン(ぶふーっ)
マルコ(ぶふーっ)
サシャ(ぶふーっ)
コニー(ぶふーっ)
その声が聞こえた瞬間、関係者一同は一斉に、スープを吹き出しかけた。
ミーナ「じゃあ、早速舐めてみようかな~」
一同はその瞬間、一斉に席を立ち、各々、ミーナにツッコミを入れた。
勿論、やめておけ、という意味で、だ。
ミーナ「え? 何で皆、止めるの????」
不思議そうにしているミーナに俺は事情を説明した。
すると…………
ミーナ「何それ! 皆、ずるい! そんなに面白そうなの、何で教えてくれなかったの?!」
エレン「いや、その……副作用的なものが出る場合もあるんだよ。暴走しちまうと面倒なんだ」
ミーナ「1個くらいならいいじゃない! ミーナ、いきます! (ぱっくん)」
エレン「あああああ! (食っちまった!)」
その後、案の定、次の日、ミーナの欲望が爆発したんだが……。
その様子は、まあ俺の時と比べたら平和だったから良かったものの。
これ、正気に戻ったら、ミーナが憤死すること請け合いだなと思った。
詳しく解説すると、ミーナに捕まった人間は、ミーナの尻を踏んづけたくなるという、そういう代物だったのだ。
アニ「ど、どうしよう……楽しくて困るんだけど、これ」
アニがうっかり、ミーナに捕まって、四つん這いのミーナの尻をげしげし踏んづけている。
幸い、その効果は10分程度で解除されるようだが、解除されると、次の相手を見つけようとミーナが暴走する。
エレン「………逃げるか」
ミカサ「そうね」
俺達は逃げた。ミーナに捕まる前に。ダッシュで。
ミーナ「誰か私を踏んで下さい!!!」
…………本当、欲望って怖いなあって、思った。うん。
(エレン「超能力が使えるようになった」おしまい☆)
(おまけその①)
アニ「え? ミーナをぶん殴って、一回気絶させれば元に戻るって?」
アニ「それを先に言ってよ。ふん! (ゴス!)」
ミーナ(がくり)
アニ「これでいいんだね? やれやれ」
アニ「全く、タダでもらったもん、食うから変なことになるんだよ」
アニ「タダより怖いものはないってね」
アニ「…………え? この間の、アルミンのアレも、これのせい?」
アニ「アルミ~ン♪ こっちおいで。可愛がってあげるから(ビキビキ)」
(おまけその②)
ジャン(はあ、エッチなことするなって言われたが)
ジャン(普通は望むだろうな。男ならな)
ジャン(でも、俺はミカサとエッチな事するよりも……)
ジャン(それよりも、エレンとミカサがイチャイチャするのを阻止してえんだよな!)
ジャン(神様、俺にエレンとミカサを妨害する力をくれええええ!)
ジャン「………と、願ったら何故か身体能力が大幅にアップした」
ジャン「今だけミカサと変わらないくらい、体が動かせるぞ」
ジャン「おかげで、エレンの手を引き離したし、蹴りも入れられたけどさ」
ジャン「………本当ならミカサのピンチにこういう能力を使いたかったぜ」
ジャン「例えばほら、立体機動中にミカサがミスして、落下して」
ジャン「それを俺が後ろからフォローする、とかさあ」
ジャン「………それこそ、夢物語だけどな。とほほ」
ジャン(ズーン)
(おまけ③)
マルコ「今回、僕が得た超能力は凄かった」
マルコ「なにせ、偶然、パンチラや、その、出会い頭に、キスしちゃうとか」
マルコ「そういう、ラブコメの王道を経験させてもらったしね」
マルコ「え? 相手は誰かって? ひ、秘密だよ」
(おまけ④)
サシャ「いやはや、食糧盗みまくりで楽しかったです!」
コニー「俺も小テスト、クリアしたし、良かったぜ!」
サシャ「本当はもう一回、あの力が欲しいですけどねー」
コニー「だな……卒業試験の時にも欲しかったのが本音だぜ」
サシャ「まあでも、夢を叶えるのは本当は自分で叶えないと」
コニー「サシャにしてはいい事言うな」
サシャ「てへへ……今回食べた食料分の活躍を、将来しないといけませんね」
コニー「そうだなー頑張ろうぜ!」
(おまけ⑤)
ライナー「夢を叶える飴玉か……」
ベルトルト「僕達は食べなくてよかったね」
ライナー「まあな。目的を果たすのは、その……自分達の手でしないとな」
ベルトルト「うん……(理性吹っ飛ばしたら、どんな事になるか怖いもんね)」
ライナー「クリスタと結婚する夢は自分で叶えないと意味がないもんな」
ベルトルト(そっち……?!)
(おまけ⑥)
アルミン(……………)
アルミン(にしても、今回思ったけどさ)
アルミン(僕の中には、僕自身、気付かなかった部分があるんだね)
アルミン(理性が切れるとあんな風になるなんて思いもしなかった……)
アルミン(自分で自分を怖いって思ったのは、初めてだった)
アルミン(こういう自分は、極力表に出さないようにしよう。うん……)
(おまけ⑦)
ミカサ(にしても、ちょっとだけ惜しい事をした)
ミカサ(あ、あのままジャンの邪魔が入らなければ、きっと……)
ミカサ(え、エレンともっと、深い仲になれた)
ミカサ(で、でも、あのまましなくて良かったという思いも、ちょっとだけある)
ミカサ(あの時のエレンは、よく考えたら、おかしかった……ので)
ミカサ(うん。だから、その……これでいい。きっと、これでいいのだ)
エレン「お前、まだこの間の事、引きずってるのか?」
ミカサ「え……? (ポッ)」
エレン「頼むから、忘れてくれ。いや、無理かもしれんが、その……」
ミカサ「そ、そうね。忘れる努力はする………」
エレン「だいたい、あんなやり方でヤってたまるかってんだ」
ミカサ「…………ん?」
エレン「何でもねえ! いくぞ、ほら」
ミカサ「うん」
(おまけ、おしまい☆)
今度こそ、おしまいです!
なんか、>>1さんの当初の予定と思われる路線から、
大幅変更して大分、好き勝手に書かせてもらったよ。
こんなんですが、乗っ取りSSでした。読んでくれてありがとサンクス☆
このSSまとめへのコメント
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