彼の乗る蒼いMSは既に金属異性体に侵食されつつあった。
もはや長い時間戦うことは出来ないだろう。それでも彼は阿修羅ように戦場を舞う。
この戦いの先に未来があることを信じて……
「少年!!」
巨大な球体状の金属異性体の本体を前にして、切り札の超大型ビームサーベルを拡散され
次の一手を思案している青と白の機体に届くように彼は言った。
「未来への水先案内人は、この私グラハム・エーカーが引き受けた!」
赤い流星となった彼――グラハム・エーカーと愛機ブレイヴは巨大な球体状の金属異性体の
裂傷に向かって、血反吐を吐きながら、しかし、その顔には笑みを浮かべながら一直線に駆け抜ける。
「これは死ではない!!人類が生き残るための…!!」
そうこれは犬死などでは無い。
きっと少年は彼の押し開けた最後の扉を進み
その手に未来を掴むだろう。
この世界においてのグラハム・エーカーはその人生を一分の後悔無く全うした。
しかし、生と死の交わる狭間、彼の意識はまだ消えてはなかった。
幸か不幸かグラハム・エーカーの物語はまだ終わってはいなかったのである。
『私の妹がこんなに可愛いわけがないっ!』
学校からの帰り道。青空が眩しい。
かつての私はあの空を飛び回るフラッグファイターだった。
敢えて言わせて貰おう、私の名は高坂京介……かつてグラハム・エーカーと呼ばれた男であり、ごらんの通り学生だ。
自分で言うのも何だが、こことは違う世界での戦いの記憶を持つ事以外はごく平凡な男子高校生であると断言しよう。
興が乗らなかったため所属している部活は無いし、趣味も特筆する程では無いだろう。
今の私は空を奪われてしまったのだから。我が愛機に匹敵する機体が生まれるのは果たしてこの世界では何時になるか。
だが、そんな日が来るのを待ちながらも、普通の学生とやらの平凡で無難な日々という物も私は謳歌している。
かつては孤児であった私だが、今、この世界においては父と母……そして妹に囲まれて暮らしている。
それなりに裕福で不自由の無い暮らし、物足りなくないと言えばウソになるが、人は順応していくものだ。
「えー!うっそー!?何それキャハハハ!」
学校から帰宅し喉を潤すためリビングに向かった私を出迎えたのは
ソファーに寝転がり電話に夢中になっている我が妹の姿であった。
妹の名は高坂桐乃。年は14になり近所の中学に通っている。
ライトブラウンの顔にピアス、今時の少女とでも言うのか。
「帰宅の挨拶!ただいまという言葉を送らせて貰おう!」
私は礼儀にならい帰宅の挨拶を述べたが、妹からの返事がないどころか一向にこちらを見る気もないようだ。
「ただいまと言った!!」
言っておくが私は挨拶をしている!!
「あーもう……うっさいなぁ……うん、うん、ごめんね。ウチのバカがさ。
落ち着いて話せないし…うん、これから行くね――」
「何度でも言おう!!ただいまであると」
「……チッ……おかえり……」
妹は3度目の挨拶にしてようやく口を開いた。
フッ、気難しいお姫様だ。
妹と爽やかな挨拶を交わした事に満足した私は自室のある2階へと歩を進めるべくリビングを出た。
しかし、そこで私はそもそもリビングに行った目的は、妹との対話のためでは無く
この喉を潤すための麦茶を手に入れるためだと言う事を思い出し、再度リビングに戻ろうとした刹那……
「なんとっ!」
「きゃっ!!」
出かけようとリビングから出て来た妹と接触した。
不意をつかれた私と桐乃はその場に倒れ込んだ。
その拍子に桐乃の持っていたバッグから荷物が散らかる。
「あっ……」
「すまなかった。」
私は素直に謝罪の意を述べ、散らかった荷物を拾おうとした。
「さわんないでっ!」
「断るっ!!!」
私は全力で妹の申し出を無視すると
荷物を拾いバッグに詰めていった。
「な、何のよ……」
恨めしそうな目で私を桐乃が見ている。
だが、そんな事は私の知った事ではない!
「………いってきます」
私の手からバッグを奪い取ると桐乃は忌々しげに義務を果たすかのように呟くと
バタンと強く扉を閉めた。
「怖い顔だ」
ご覧のとおりこれが私と妹との関係だ。
私が『高坂京介』である以上はガンダム以上の難敵と言えるだろう。
直接戦闘が出来ない以上は、私に分が悪いかもしれないな。
自嘲じみた嗤いしか出てこない。
「ん?」
そんな事を考えている私の目に1つの物体が飛び込んだ。
それが落ちていたのは玄関の隅っこ。先ほどは気付かなかったが…
「これはっ!?」
それは恐らくDVD……アニメのパッケージと私は認識した。
しかし、この家には似つかないものだな。
私はこの家には不似合いなパッケージを拾い上げる。
「ほしくずウィッチメルル。破廉恥だな。」
やたらと扇情的な衣装に身を包んだ桃色の少女に対して私が持った感想はその程度であった。
しかし…我が家で発見されたこの異物……果たして所有者は誰なのか?
私とて人の子だ。謎の異物を目の前にすれば興味も沸こうというものだ。
ガンダムを始めて見た時の高揚感に近いと言えば判って貰えるだろうか
しばし、私は思案にふける。
父上……いや、彼がこういった物を所有する事は有り得ないだろう。
まさに堅物である父がこういった物を購入するとは思えない。
声だけで言えば持っていてもおかしくないマダオなのだがね。
では母か!……これもまた有り得ない妄想だと言わせて貰おう。
妹……まさにナンセンスだな。
順番に家族の顔を思い浮かべたが我が家でこのアニメを所有しているに足る人物が居ない事に気付く。
思案にくれながら私はケースを開いた。
「なっ!!まさか他にもDVDが有ったとは……聞いていないぞメルルっ!!」」
更なる衝撃が私を襲う。
【妹と恋しよ♪】
結論から言えばこのメルルのDVDケースに収められていたのは
『ほしくず☆ういっちメルル』では無くR18と表記されたゲームであった。
つまりこの所有者は『メルル』と『妹と恋しよ♪』の2本を確実に持っている事になる。
我が家に落ちていた以上は、所有者は私・父・母・妹の4人に間違い無いのだろうが……
果たしてこの2本を持っていて一番違和感が無いのが……
「『魔法の少尉ブラスターマリ』と『ガンダム(少年)と恋しよ♪』ならば確実に私なのだがな」
もちろん冗談だ。
考えれば考えるほど判らなくなる。
しかし、既に私の好奇心はこのブツに対して興味以上の物を抱いてしまっている。
ならば、見つけ出さねばなるまい。どのような手段を取ったとしても。
「ここにグラハム・エーカーが宣誓しよう。このゲームの所有者を必ず見つけ出すと!」
その日の夕方。
私が夕食を得るためにリビングに向かうと
玄関の近くに帰って来た桐乃の姿を発見した。
呆然と佇んでいる姿は可憐では有ったが、生気を感じない。
「おかえりなさいだな!桐乃!」
取り敢えず挨拶をしてみるが
「………は?」
まさに阿修羅のような顔で睨まれてしまった。
どうやら我が妹はご機嫌斜めなようだ。
フッ、だがその反応……答えは見えたかもしれないな。
もっとも確証を得るには足りない。
私の信条では無いが、少し策を弄する事も必要だろう。
今夜の夕食はカレーであった。
ララァ・スン少尉の好物(?)とは、流石だな母上。
それは置いておいて作戦を始めよう。多少強引な作戦ではあるが
そうでなくては、この件の犯人は口説けまい。
「私は食事が終わった後に、コンビニへと向かうつもりだが、何かあるかね?」
「じゃあ、アイスお願い」
何でもない母上との会話を挟みながら私切り出す。
「そう言えば、頼りになる友であるカタギリが、最近女児向けアニメに嵌っているらしいのだが……」
正確に言えばカタギリが嵌っていたのは、ソレスタルビーイングの戦術予報士と声がそっくりな少女が
出てくる「ふたりはプリなんちゃら」であったが大差はあるまい。その名借りさせて貰うぞカタギリ!!
「その名は……ほしくず☆ういっちメルル!」
「なーに突然」
「非常に面白いと勧められたので気になってね」
「やあだー、そういうのってオタクって言うんでしょ。ほら、テレビとかでやってる。
そういう事ばっかやってると38歳童貞とかになっちゃうわよー、ねぇ、お父さん」
「ああ、わざわざ自分から悪影響を受けに行く必要もあるまい」
やはり、そういう認識か。だが友の名誉のために言わせて貰うと
カタギリは伴侶を得たようだ。直接祝福出来なかったのは心残りではあるが。
しかし、この様子から推察するに、母も父もシロなのは間違いあるまい。
私はそっと横にすわっている桐乃に眼を向ける。
「……………………」
桐乃はきつく唇を噛み締めている。手にした箸が震えているのも確認出来た。
「桐乃…?」
妹の異常に母上が呼びかけるも
「ごちそうさま!」
忌々しげに呟くとバタンと強く扉を締め桐乃はリビングから出て行った。
「どうしたのかしら、あの子」
「フッ、あの年頃の子には良く有ることだと認識している」
「そうかしら…」
どうやら私の戦士の第6感は錆びついてはいなかったようだ。
尻尾は掴ませて貰った。しかし、隠し事の出来ない妹には好意すら抱くよ。
もはや9割9分私の中では答えは出ている。
しかし、100%の確信には至っていない。
ならば、ここで畳み掛けさせて貰おう。
【オペレーション・メルル】
5機のガンダムの降下作戦に準え命名した作戦を私は決行した。
作戦内容は、これを読んでいる諸君には説明するまでもあるまい。
私は敢えて妹に聞こえるように部屋の前で叫んだ
「さてと、コンビニへ……グラハム・エーカー!出る!!」
これでは道化だな。少年ほどの演技の才覚は私には無いようだ。
家から出ると私は自分の部屋を見上げた。
私は我慢弱い。早く動いてくれる事を所望する。
そんな我慢弱い私であっても、ここまで早く事態が動くとは予想していなかった。
部屋を見上げること数秒、誰もいないはずの私の部屋に明りが点灯したのである。
【オペレーション・メルル】の成功を確信した私は雷すら凌駕する程のスピードで階段を駆け上がる。
そして、勢い良く自分自身の部屋のドアを開ける。
「よもや、こういう形で君に出会おうとはな……」
「……っ………!!」
まさかと思ったが、ここまで素直に動いてくれるとは。
部屋の中心で四つん這いになっていた桐乃は、青ざめた顔で私の方を振り返った。
怯えたように見えるが、その目には私を侮蔑するかのような色が見える。
「感心しないな。君のその行動は」
「……ど、どうだって良いでしょ!」
「感心しないと言った!君が同じことをされたらどう思うか、考えたほうが良い」
「……………」
桐乃は無言で立ち上がると私が背にしている扉の方へ近づいてくる。
怒りのせいかその顔は紅潮し始めている。
「どいて」
「断固拒否する。私の質問に答えて頂くまではな」
「どいて」
「拒否すると言った。君の捜し物はコレだろう?」
私は懐より『ほしくず☆うぃっメルル』を取り出す。
「そ、それは!」
「当たらんよ!」
何とかソレを取り返そうと物凄い剣幕でつかみ掛ってくる我が妹。
しかし、その程度の機動ではソル・ブレイヴスの精鋭には遠く及ばない!
私は手際よくその攻撃を回避すると、DVDケースを掲げ、逆上している妹に語りかける。
「やはりコレは君の物だったのだな!」
「そんなわけないでしょ!!」
「その言葉ナンセンスだな。君の行動そのものが矛盾している!」
私の言葉を聞いて妹の顔には更に怒りがにじむ
「絶対違う!あたしのじゃない。そ、そんな子供っぽいアニメなんか……あたしが見るわけ……無いでしょ」
なおも必死さを増す妹には憐憫の情を覚えざるを得ない。
「返そう。私はただ所有者に興味が有っただけだ。奪うつもりは無いさ」
「だ、だからあたしのじゃ……」
この後に及んでも否定するか。
ならば彼女には言い訳を与えなければなるまい。
「理解した。それでは、この所有者不明のアニメDVDは私が持つに相応しいものでは無い。
出来る事ならば処分したいのだが……私は我慢弱く面倒が嫌いな男だ!
君にこのアニメの処分を頼もう。」
「あ、あんた……ん……別に良いけどさ……
私と言えど空気くらい読む時もある。
私が道を開けると、桐乃は入れ替わりに部屋から出て行く。
世話のかかるお姫様だ。しかし、これだけ彼女と会話したのも久方ぶりだ。
『高坂京介』にとっての来るべき対話の日と言うわけか。
「ね、ねぇ」
まだ居たのか。
「やっぱ……おかしいと思う?」
「その言葉の意図が、私には理解出来ない」
「だから……例えばの話……あたしがこういうの持ってたら……おかしいかって聞いてるの」
「人の趣味趣向に貴賎は無いと私は考えている」
「そう……思う?本当に……?」
「ならばここに宣誓しよう。この私、グラハム・エーカーは
君がどんな趣味・趣向を持っていたとしても、絶対に嘲笑したりしない事を!!」
「何でそんな芝居がかってるのよ……でも……そうなんだ…ふーん…」
私の見事な宣言に安心したのか妹は何度か頷くと
後生大事に「ほしくず☆うぃっちメルル」を打き抱えて自分の部屋に戻っていった。
【オペレーション・メルル】はこうして終わった。
ならば戦士にもしばしの休息が必要である。眠らせて頂く!
「少年……ハァハァ……少年が一人……青年のような少年が一人………メタルな少年が一人……フフフ」
パァン!!
最高の夢を見ていた私の頬に衝撃が走った!
「何者っ!!」
深夜の襲撃者に私は飛び起き迎撃体制を取ろうとする。
しかし、そこにいたのは、襲撃者では無く、久方ぶりに長時間の会話をかわした妹であった。
「静かにして……」
「堪忍袋の緒が切れた!!絶対に許さんぞっ!!」
妹の言葉を無視して私は叫んだ。
何故ならば私は、今世紀最高とも言える夢を邪魔されて
不機嫌にならざるを得ないのだから。
「静かにしろって言ってるでしょ……今何時だと思ってんの?」
「その台詞、慎んでお返ししよう」
何度も言うが私には不機嫌になる理由があるのだ。
何時かと言われれば深夜2時を回っている
そのような時間に実の妹とベッドの上で向い合うなどと!
このシーンだけ取り上げればインモラルな関係すら連想出来るだろうが
生憎にも私にはそういう趣味は無い。
「取り敢えず、降りて頂きたいものだな」
私の怒りを殺した言葉に、桐乃はムッとしながらも従った。
「それで、これは何のつもりか聞かせて頂こうか」
「は、話が有るからちょっと来て」
「明日にして頂こう!」
私には夢の続きを見るという崇高な使命があるのだ。
子供の遊びには付き合っていられない。
「駄目!」
真剣な顔で妹は私の言葉を拒絶した。
その真剣な眼差し……良いだろう。
ならば、瞳に免じて私は矛を収める事にした。
少年との夢の続きはまた何時でも見ることは出来る。
分かってくれるな少年!今の私に与えられた役目……
いや、宿命はどうやら、この我侭なお姫様をエスコートする事のようだ。
正直言って、叫んだりしたせいで私の目も冴えてしまっている。
しばし、彼女に付き合ってみる事にしよう。
「それで、私はどこに行けばいいのかな?」
「あたしの部屋……」
妹の部屋は私の部屋のすぐ隣にある。
私の記憶が確かならば一昨年、元々あった和室を
中学に上がった彼女のために父がリフォームしたものであったはずだ。
よもや、私が彼女に導き入れられる事になるとは思っていなかったが
「入っても良いよ……」
「立ち入りごめんっ!!」
「だから大きな声出さないでってば…!」
多少ではあるが私の部屋よりも広いな。
内装自体は私の部屋とそうは変わらないようだ。
全体的に赤っぽいカラーリングである。違うところと言えばパソコンデスクがある所くらいか。
「あんまジロジロ見ないでよ」
「失礼」
どうやら私の熱視線を見透かされたようだ。
「それで話を聞かせて頂こうか」
私は話題を本題に持ち込む。
「ふう……」
桐乃は一大決心をするかのように息を飲み込んだ。
「さっき言ったよね……あたしがああいうの持ってててもバカにしないって……」
「その旨を肯定しよう」
「本当に本当!?絶対にバカにしない!?」
「男の誓いに訂正は無い」
「ウソだったら殺すから」
フ――妹に殺されるような結末は避けたいものだな。
しかし、私の言葉に桐乃は多少安心したようだ。
やがて、すうはぁと深呼吸を何度かすると呟いた。
「…………あるの」
「もう一度いって頂こう」
妹の言葉は残念ながら私の耳には届いていない。
「だ、だから人生相談があるのっ!」
「人生相談……?」
妹からの突然の聞きなれない単語に私は思わず聞き返してしまう。
「そ、そう……人生相談」
『人生相談』
この言葉におとめ座の私はセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない。
そう、まさに私の感じたとおりこの言葉は今後の私を運命づける事となる。
桐乃は、意を決したように本棚の前まで歩いて行った。
ガラッ そこから現れたのは本棚の裏の隠し収納スペースであった。
なるほど。元々は和室だった故のカラクリというわけかっ!
「元々和室じゃん……ココ。リフォームした時の名残だと思う。そんでこういう事になってるの」
桐乃は現れた押入れをさらに開く。そこで私が最初に目にしたものは………『妹と恋しよっ♪ 妹めいかぁ EX vol.4』
「更に援軍だとっ!?聞いてないぞ妹めいかぁっ!!」
「あ、それは最初はPS2から出たんだけど、パソコンに移植されてから別シリーズ化されたの。
名作だけど、ちょっと古いし内容もハードだから初心者にはお勧めしない」
「くっ!まさか私をルーキー扱いとはな……!」
「えっ?だって……あんたまさかプレイした事あるの……?」
「無い!」
「あんたと話となんか疲れるわ……」
またも妹にげんなりとした顔をされてしまった。
だが言わせて貰えば、私も予想以上の事態に疲れている!
もちろん、現れた敵はこれだけでは無かった。押入れからは次から次へと新たなる刺客が登場していく。
さながらELSの大群を連想させる。果てる事の無い敵にどう立ち向かうか……
「ちなみにこっちがシリーズ3の「超義妹」、シリーズ2「妹たちとあそぼ」シリーズ9「天元突破十二姉妹」シリーズ16「最終兵器妹」」
テンションの高揚した妹が並べていくR18のゲームはさながらバベルのように積み上がっていく。
「敢えて言おう……何故こんなに箱が大きい!?」
「小さいのもあるよ」
更にDVDケースほどのサイズのR18が登場する。
今度は小型ELSと言うわけか!
「でも、やっぱメインストリームはコッチなのよね、平積みでのインパクトが違うもん」
大は小を兼ねると言うことだろう。
「なるほど理解した。こちらの物は」
私の視線の先にはPCのゲームより更に大きい箱が見られた。
描かれているイラストは……また会ったなメルル!!
「それはDVDBOX!そんでこれがバラでしょ。これが廉価版、こっちが北米版。北米廉価、BD」
妹は嬉しそうに私の説明を求めた箱以外の物も私の目の前に持ち出してくる。
「これは同じものでは無いのかっ!?」
「お布施よ」
「つまり、00ガンダム、00ライザー、00ライザーデザイナーズカラー、00ライザートランザムエディション
00ライザーGNソードⅢ付属、00ガンダム7ソード/G、00ライザー粒子貯蔵タンク型などと同様と言うわけか」
「な、なんで急にそんな例えを」
ガンダムで解説してくれという天の声に応えたまでだ。
ちなみに私の愛機ブレイヴはHGで好評発売中と言わせて頂く。
「しかし、私が訝しく思うのは、こういう物は高いのでは無いかと言う事だ」
特に詳しい知識が有る訳では無いが、そういう物であると言う認識はある。
ちなみに劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- COMPLETE EDITION【初回限定生産】は
12月25日に10,500円で発売であると言う事を諸君にも熟知して頂きたい。
「まぁ、割とね。こっちが41,790円でしょ。これは55,000円。そんでこっちは――」
「その値段は高いのではないかっ!?割とでは無いっ!」
「そう?服一着か二着でしょ、これくらい」
「しかしながら、君はまだ学生だ。それだけの資金源……まさか……私は兄として君を全力で止めなければならないようだ!!」
「な、何を勘違いしてるのよ!勝手に暴走するなっ!ギャラよギャラ!」
私の想像とは違った回答が帰ってきた。
ギャラ……それならば問題は無いと判断するべきか?しかし……
「それはどういった理由で出ているのか聞かせて貰いたいものだな」
「あれ?言ってなかったっけ?あたし雑誌のモデルやってるから」
そう言うと桐乃は私に一冊の雑誌を差し出してきた。
私とは縁遠いティーン紙と呼ばれるものだ。なるほど。
これならば私の目に入ることがこれまで無かったのも納得がいくというもの。
「理解した。君は、私の想像すら超越していたようだ」
「大したことないよ……別に……」
どうやら私の褒め言葉でもそれなりに効果はあるようだ。彼女の表情は満更でも無いと断言する。
「で、どう?」
「どう…とは?」
「感想!私の趣味を見た」
「感想か……率直に言おう。驚いた」
「そんだけ?」
「誇っても良い。私のこの驚きはガンダムと刃を交えた時に匹敵する」
「何言ってるのか全然判らないし……やっぱりあたしがこういうの持ってるのっておかしいかな……」
なるほど、彼女の人生相談とはつもりこういう事なのだな。
確かに私も想定を超える数の品々を見せられて驚いたのは事実だ。
しかし、だからと言って数時間前に宣誓した言葉を簡単に曲げる私ではない。
「言ったはずだ。私は君がどんな趣味・趣向を持っていても嘲笑したりはしないと……
自分の力で得た賃金で、自分のための物を買う。その行為を否定出来るものなどはいないさ。」
「そっか……そうだよね。ハハッ、いっつも変な事ばっか言ってるけどたまには良い事言うじゃん!」
失敬だな。私は『変な』と言われるような事を言っているつもりは無い。
何はともあれ、私の言葉に妹は満足してくれたようだ。
しかし、一つの疑問が私の胸の中に残留していた。
この疑問だけは解決しておかなければ、今後の健やかな兄妹生活にも支障をきたすであろう。
「一つだけ問いたい」
「な、何よ……改まって……」
「何故に君は、妹者のR18なゲームばかり持っているのかと言う事だ」
「なんでだと思う……?」
何故か桐乃はそこで頬を赤く染めている。なるほど、理解した。
「その気持ち愛かっ!?」
しかしながら、私は君のその気持ちには応えられない!
私の趣味とは違うものでな!ここははっきりと告げておかなければなるまい。
「は、はぁっ!?何言ってるのよキモッ!!!マジでキモいんですけどっ!!」
頬を染めながら桐乃は気持ち悪いと言う旨の言葉を連呼している。
どうやら私の早合点だったようだ。
「まるでピエロだな」
「勝手な妄想したのあんたでしょ!ホントキモい!!」
私自身への自嘲の言葉のつもりだったが、どうやら間違って伝わってしまったようだ。
「何なのよ……ホントに……私がこういうのばっかやるのは……」
そういうと桐乃は私の鼻先に「妹と恋しよっ♪」のパッケージをつきつけてきた。
「このパッケージ見てるとさ……ちょっといいとか思っちゃうでしょ?」
「君の言動が今一つ、私には理解できないのだが」
「だぁかぁらー、すっごく可愛いじゃない?}
理解できないなりに彼女の言動からその真意を推察する。
「つまり……君が言いたいのは、『妹』と言う概念が好きと言うことかっ!?」
「うんっ!」
満面の笑みで頷く我が妹。その顔には誇らしさすら滲ませてる。
「ほんと可愛いんだよ!大抵ギャルゲーだとプレイヤーは男って設定だから
お兄ちゃんとかおにいとか兄貴とか兄くんとか――その娘の性格やタイプに添って
『特別な呼び方』でこっちを慕ってくれるのね。それがもう本当……グっとくるんだぁ」
「なるほど」
そういえば最後まで少年は私の事を名前で呼ばず『あの男』と呼んでいたな。
あれが彼からの特別な呼び方というわけか!理解したぞ少年っ!!
ちなみに目の前に居る私の妹は、私の事を「ねぇ」だの「おい」だの呼んでいた気がするが
あれも『特別な呼び方』と理解した。しかし、その棘多少は抜いても良いものだと思うのだがな。
「この中だと私はこの娘が一番のお気に入り!」
『妹と恋しよっ♪』のパッケージを見せつけながら妹はそう言った。
「やっぱね黒髪ツインテールじゃないと駄目だと思うの。清楚で大人しい娘ってこう守ってあげたくなると言うか
ぎゅっと抱きしめてあげたくなると言うか……へへ……良いよねぇ」
君は茶色の髪をしているし、自分で自分を貶めるのは止めた方が良い。
「そうだな。私もMSならば抱きしめたくなるようなMSを所望する」
「は?何で急にMSの話になんのよ」
チィッ、自分のフィールドで話を展開はさせて頂けないと言う事か!
仕方あるまい、もう少々この話には付き合わねばならないようだ
「しかし、解せないのは。何故君がこういったゲームに興味を持ったのかと言う事だ。
どちらかと言えば、これは男性向けであると判断せざるを得ない。そして言うまでも無く18歳未満には禁止されているものだ
どういった理由があるのか、私は興味を抱いている」
「そ、それはその……」
ほう、動揺が見て取れるようだぞ!
「わ、わかんないっ!」
「あのね…あのね…自分でもわかんないの……」
恥らいつつそんな事を言う。普段からは想像出来ない姿だと言わざるを得ないだろう。
「しかし、それは君自身の事だ!」
「だ、だって…しょうがないじゃん!ホントにわからないんだから……。何時の間にか好きになってたんだもん……」
フッ、今の気弱な態度ならば君の好きな妹キャラと言っても過言ではないかもしれないな。
「あたしだって……こういうのが普通の女の子趣味じゃないって判ってる……だから今まで隠してたんだもん!
でも、判ってても好きだからネットでググちゃって体験版とか落としてるうちにあーもう買うしか無いって気持ちになっちゃって!
この可愛さがあたしを狂わせるの!買わせようと毎日情報を更新する情報サイトが悪いのっ!」
その姿に私はガンダムを日々追いかけていた自分を重ねていた。ガンダムの姿に心惹かれて狂わされていた頃の私。
妹の姿に心惹かれて狂わされている桐乃。似たようなものではないか?何?全然違う?そんな道理!私の無理でこじ開けるっ!!
「ねぇ、あたしさ……どうしたら良いと思う。やっぱお父さんとかお母さんにも話した方が良いのかな……」
「その行動を否定するっ!何がなんでも否定するっっ!!それは勇気では無く無謀と言うものだ。違いは弁えた方が良い」
「そっか……そうだよね……じゃ、やめとく」
「それが懸命だ。特に父上にはバレ無い方が良いだろう」
堅物な親父殿のことだ。この光景を見た際には、阿修羅が降臨するだろう。
「やっぱ……拙いよね……バレたら……」
「それは肯定しよう。……そして私としてもその展開は見たくは無い
故にここに君に協力することを宣言しよう」
「きょ、協力……?いいの……?」
「言ったはずだ。男の言葉に訂正は無いと
何か有ったら、私を頼るが良い。どんな問題も私の無理でこじ開けて見せるさ」
「逆に不安なんですけど……マジで……」
私の心強い言葉で何故か不安そうな顔をする妹。
どうやら照れているようだ。フッ、隠そうとしても無駄な事だ。
しかし、もう少し素直に感情を表現しても良いものだと思うのだがな。
久しぶりに話した「兄」に対してはこれが限界という事だろうか
「遠慮する事は無い!」
「うん……まぁ……気持ちだけは受け取っておくわ」
何故かやや引き気味な妹を部屋に残して私は部屋に戻る事にした。
妹の不安も取り除いた。これにて取り敢えずの人生相談は完了だろう。
フッ……ガンダムを相手にするのと同様にままらない相手だが
たまにはこうして付き合うのも悪くは無いだろう。それでは今度こそ私は寝るッ!
「……フラッグ……ガンダム……スサノオ……ブレイヴ……お前達が私の翼だ……」
パァン!
「なんとっ!!」
本日2度目の頬への衝撃で私は再び甘美な夢から現実に引き戻される。
そこに居たのは数時間前と全く同じ構図で私を見下ろす妹であった。
「人生相談……つづき」
どこまでも私の安眠を妨げてくれる。
しかし、つい先ほど私は宣言してしまっている。
私を頼れと。仕方あるまい。男の言葉は簡単には曲げられはしないものなのだから。
【GN妹と恋しよっ♪】
今、私の目の前のパソコン画面にはそう表示されている。
この手のゲームは初めてだが……上手くやってみせるさ。
グラハム「うわっ……し、しおり……」
私のベッドですやすや眠るしおりを、私は…
1.抱きしめたいなしおりッ!!!
2.起こさぬように、君の服の一部でも貰っていくっ!
ニア3.問答無用!!切捨て御免ッ!!! ピッ
グラハム「ここで何をやっている!切捨て御免ッ!!」
ドガッッ!!
「何やってるのよあんた!!」
横からの突如の攻撃に私の反応が間に合わないとはっ!
ゲームをしている間に不意打ちとは卑怯だぞ桐乃ッ!!
「そういう君こそ何をしてくれるっ!」
「信じられない!無邪気に寝てる可愛い妹をぶった切ろうとするなんて!」
「その言葉!甘美な夢から私を覚醒させた君にそっくりお返しするッ!!」
しおり「ごめんね ごめんね お兄ちゃん」
ゲーム画面からは先ほど私が切り捨てようとした妹の謝罪が聞こえてくる。
「ほら!しおりちゃん謝っちゃってるじゃない!可哀想だとは思わないの!」
「先手必勝!まずは私の存在を心に刻む必要があった!」
「ま、また分けわかんない事を~~~!もう!さっさとマウス持ってつづき!」
倒れた椅子を起こしながら私は疑問を妹にぶつける
「ところで、何故私がこのゲームをプレイする必要があるのか問いたい」
「はぁ!?遠慮するなって言ったじゃん!」
迂闊な言葉だったか……あれは私としては秘密がバレないようにという意味だったのだが
このような受け取り方をされるなどとは……やはり一筋縄ではいかないようだな。
「必要なことなの!私はこのゲームの客観的な感想が欲しいの!」
個人的には中々選択肢は好みだったと言わざるを得ないだろう。
「しかし、そういうのは私ではなく、友に聞くべきと思うのだがな」
「良いから!さっさとつづき」
「良いだろう!ならば!今日の私はエロゲすら凌駕する存在だッッ!!」
この後、そういったシーンが出てきたので素直に私が感想を述べると
我が妹は真っ赤になってノートPCと一緒に私を部屋の外に放逐した。
「これ宿題だからね!!ちゃんとコンプしておいてよ!」
運命の女神は私に随分と面倒な宿題を出してくれたものだな。
私の『高坂京介』としてのミッションはまだ始まったばかりのようだ。
第1話完
次回 『私が妹とオフ会に行くわけがないっ!』
ご期待ください。
明日になると思うけど
と言うかアニメ1話分って結構分量あんね。
公「身持ちが固いなあ!ガンダム!」
桐乃「誰がガンダムよ!キモ!」
38まで守りきったからな。
38には見えないが・・・
スメラギと4年同棲して手出さなかったんだっけ
ありえん
小説だと「研究に没頭していて女性と付き合うことすらなかった」だしなぁ。
せめて「何度か女性との交際もあったが研究ばかりで本気に成れなかった」
的な描写でも良かったんじゃないかとは思う
えいぺろ
二期いれるとボンズリが最強な件
ロックオン「フラッグだろwwwww狙い撃ちまくりだぜwwwwwwwwww」
ハム「あたらんでござるwwwwwwwww」
ロックオン「えっうそまじでwwwwwwwwやべえサーベルwwwwwwwwwww」
ひろし「ガンダムゥ!」
ロック「てめえがテロを・・・家族の仇かぁ!!」
ひろし「同じ穴の狢ってなあ!」
ロック「ゆるさねえ!」
モチベーションが違いすぎて比較にならんでござる
ロックオンは初期はところどころあんまやり過ぎたくないみたいな描写があったべ
性能差もあって常に本気では無かったとこにみんなのハムさん登場だぞ
保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 40分以内
02:00-04:00 90分以内
04:00-09:00 180分以内
09:00-16:00 80分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 60分以内
02:00-04:00 120分以内
04:00-09:00 210分以内
09:00-16:00 120分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
ほし
第2話 『私が妹とオフ会に行くわけが無いっ!』
「信じらんないっ!全然進んでないじゃん!あんたこの2日間何してたの!」
諸君、2日ぶりの挨拶。こんにちわと言う言葉を遅らせて頂こう。
早速ではあるが、私は妹にいきりなり糾弾されてしまっているわけだ。
どうやらわずか2日の間だと言うのに、ゲームを進めていないのにご立腹と見える。
「何をしていたかと問われればこう答えよう。普通に暮らしていたとッッ!!」
「あんたのテンションで言われると本当に普通だったのか疑問だけどね……はぁ~
って言うか2日も有ったらフルコンでしょ!!」
「フッ、君も我慢弱い女だな。何を焦っているのだ?
このゲームを誰かに貸し出す予定が有ると言うならば、私は一旦手を引こう」
私は平凡な人生と言えど色々とする事もある。
本来で有れば、今日当たり山篭りとやらに挑戦したいと思っていたところだ。
この武士の国の滝に打たれてみるのも、真なる意味の武士道を見つけるためには良いかもしれない。
かつての自分自身を自戒する意味も込めての事であるが。
「別に私は我慢弱く無いわよ!詰ってるのはあんたが次にプレイするゲームよ!」
「なんとっ!!聞いていないぞ桐乃ッ!!」
「言っておくけど、あんたのエロゲ道始まったばかりだから」
武士道を極められなかった私が極めるべき道として適切とは言えないな。
ミスター・エロゲーと言う呼称は、幾ら私と言えども避けるべきだと断言するッ!
しかし、彼女がここまで私に美少女ゲームを強要する理由は…恐らく
トリップ入れ忘れた。
遅れてごめんなさいと言う言葉を謹んでおくらせて頂く
そして保守に感謝する!
「君には話題を共有する友は居るのかな?」
「な、何よ突然……」
「かつて、私には私のどんな無理も実現してくれる友人が居た
君にもそういった友人。君の無理を聞いてくれる存在は居るのか?」
かつての友の顔を思い出す。
もっともこの世界にも友人と呼べる存在が居ないわけでは無い。
しかし、私がもっとも信頼した友はこの世界には存在していない。
「と、友達くらいいるわよ!変人なあんたなんかよりずっと!」
「しかし、君のその特異性を受け止めてくれる友はいない。そういう事ではないか?」
「ど、どっちだっていいじゃん!」
私の推測は恐らく正解に近いだろう。
我が妹には友人は確かに多いのだろうが、それは一般的な女子中学生なのだ。
恐らく、彼女の無理を受け止め、共有してくれる人物は居ないのだろう。
ならば!私が選ぶ道は……『人生相談』と言う運命を背負った以上はコレしかあるまい。
「桐乃――」
「な、何よ……」
「敢えて言わせて貰う。君は友人を作るべきだ。全てを曝け出せるような友人を」
「そ、それって……オタクの友達を作れって事……?」
私は黙って頷いた。
桐乃は考え込んでいる。そしてやがてこう呟いた。
「やだよ……オタクの友達なんて……一緒に居たら私も同じに見られちゃう……」
「異な事を言う。私は言ったはずだ!君がどんな趣味・趣向を持っていようと嘲笑したりしない……と!
だが、君はどうだ!?同様の趣味を持つ人間を拒絶すると言うのか!君は同様の趣味の人間を嘲笑うのか!?」
「あ、嘲笑ったりしないもん!あたしが言ってるのは世間体の話!
あたしはアニメが好きだし、エロゲも超好き。愛してると言っても言い」
確かに、これまでの彼女を見てきて理解できた事がある。彼女の趣味に対する気持ちそれはまさしく愛だっ!
「学校の友達といるのも楽しいよ。でもこっちも同じくらいすき。どっちかを選ぶなんて出来ない!
両方好きで好きで溜まらないのが私なの!でも、オタクが白い目で見られがちって事も判ってる
特に女子中学生なんて日本で一番オタクを毛嫌いしてる人種だし……だから、家族はともかく友達にバレるのだけは絶対に嫌だ
そんな事になったらもう学校なんて行けないもん……」
周りの目を気にするか。私は、自分自身の道を貫き通すためであれば
周りの目など瑣末な事であると考えている。しかし、彼女の年齢を考えれば
そういった考えに至らないのも決して理解が出来ないわけでは無い。
しかし、彼女が隠したいと言うならば答えは簡単だ。
「ならば……学び舎の外でオタクの友人を作れば良い!」
「う、うん……そうだけど……何か良いアイディアあるの……?」
「無いッ!」
「何で偉そうなのに使えないのよ……」
しかし、使えないと言われて黙って引き下がる私ではない。
少し思案させて頂こう!
「ちょっと……急に黙り込まないでよ……」
「閃いたッ!」
「えっ……」
「私が町に行き、それらしい人物を勧誘してこよう」
「ば、バカじゃん……全く何も考えて無いし……」
この方法が最も早いと思うのだがな。幸いにもこの世界にはそういった人材が集まる町があると聞く。
しかし、どうやら彼女はこの方法は気に食わないようだ。真っ向勝負が駄目で有れば私も答えに窮す。
こういう時にカタギリでも居てくれれば、良いアイディアを出してくれるのだが……
だが、無い者強請りをしても仕方あるまい。私は更に長考を重ねる。
ふと私の目には先ほどまでゲームをしていたPCが目に留まる。
元々の私が存在していた西暦2314年から考えると機能的には優れているとは言い難いが
これにもネットワークに繋ぐ機能はある。ならば、そのネットワーク上で友人を探せば良い。
それならば彼女が気にしている『世間体』とやらも保たれることだろう。
「ならば、インターネットを活用するのは如何かな?」
「ネットって……」
「出会いが有ると言う話を聞いたことがある」
「いかがわしい意味じゃないでしょうね……」
多少の戸惑いはあるようだが、先ほどとは違い明らかに桐乃の瞳は「やってみても良いかも」と言っている。
ならば善は急げだっ!このインターネットの海原より、運命に導かれた友を探し出すッ!!
私と桐乃はオタクと言う人種の居そうなコミュニティの探索を小一時間程行った。
候補サークル①『オタクっ娘集まれ』
候補サークル②『認めたくないものだな……自分自身のロリっ娘好き(妹含む)故の過ちと言うものを……』
「目に留まったコミュニティはこの二つか」
「うん……って言うか後者はどうかと思うけど……」
「何らかのシンパシーは感じる」
「はぁっ!?あんたそういう趣味なの!?」
そういう事では無いのだが……
近日中にオフ会が開かれると言う二つのコミュニティであったが
私は、候補②の方に只ならぬ気配を感じていたのだが、やはり初めてと言う事も有り
妹は女性のみ参加である候補①の方に参加の旨を伝えるメールを送ったのだった。
送信より数分……それ程時間をおかずに返信のメールを我々は確認した。
from 沙織
to きりりん
はじめまして。きりりん様。
『オタクっ娘集まれー』コミュニティの管理人を務めております沙織と申します。
参加希望のメッセージありがとうございました。
もちろん承認させていただきますわ!
年も趣味も近しいあなたとならきっと素敵な友達になれると思いますの。
「随分と礼儀正しい方だ。まさにこれが気品と言えよう。」
「うっさい気が散る。 えーっと……『もし宜しければ……来週開催されるお茶会にも参加して下さい。場所は……』」
「うわーーーー!あははははは!あきはばらー!」
今、私と妹はそういった趣味の人間の集まる町秋葉原に来ている。
先日のメールにあったお茶会の開催場所が、この町であったからだ。
もっとも、私は本来で有れば来る必要は無いのだが
「人生相談」
この言葉を持ち出されて再び運命に翻弄されてしまった。
敢えて言えば彼女が実際は「心細い」と言う事は熟知している。
ならば、参加は出来なくとも遠くから目立たぬように見ておくと言う事でお互いに承諾した。
故に、今日の私は目立つわけにはいかない。この町に溶け込んだスタイルで影のように存在しよう!
「余りはしゃいでいる時間は無い。作戦時刻は刻一刻と迫っている」
「…………あんま近寄らないで、マジで………彼氏ってか……知り合いと思われたくない」
付いて来てくれと言った上にこの仕打ち!堪忍袋の緒が切れたッ!!
「その言動!容認できんなっ!!」
「じゃあ!何でまともな格好して来ないのよっ!!」
「言っている意味が私には理解が出来ないな」
「その仮面と!そのピンクのハッピと!指だし手袋にシャツインのジーパンって明らかに色々おかしいでしょ!特に仮面ッ!」
ざわざわと私たちの周りが騒がしい
「すげぇ……今時ああんな人いるんだ……」
「オタクだ……ミスター・オタクだ……」
「OH!ミスター・オタク!」
「フッ、周りが勝手にそう呼ぶ。どうやら私は予定通りオタクの町に溶け込んだようだ」
私が満足していると、妹は何故か頭を抱えている。時折、彼女の事が理解出来ない。
地図を取り出す妹。私は確認のためそれを覗き込む
「だ、だから近づかないでってば!」
「なるほど。場所は理解した。ならば突貫あるのみ!」
「ま、まさか……あんた参加する気じゃないでしょうね……」
「参加しても良かった…という事か!?」
私は遠くから様子だけ見ておくつもりだったのだが……
そう言うならば女性のみ参加と言う道理を無理でこじ開ける!!
「ち、違う!駄目だってば!何かあんたが勢いで参加しそうで不安になっただけよ!
良い!ぜーったいに関係者と思われないくらい離れた位置にいてよ!!」
「己の分は弁えてるつもりだ」
中々、発言の機微を探るのが難しいお姫様だ
ならば私は先行して会場であるツンデレ(?)メイド喫茶とやらに陣取っておく事にしよう。
「何をしにここまで来た!俗物っ!!」
ほう、これが秋葉原文化と言うものか。
入店一番に手酷く罵られるとはな。異文化と言う物には驚嘆を隠せない。
罵られながらも私は、席に案内された。
「俗物。注文を聞こうか」
「私はオムライスを所望するっ!!」
「良いだろう…!オムライスにどのような文字を書くか、ここで選べっ!」
「ガンダムと言う文字を希望するっ!」
「よくもずけずけと注文してくれる……!良いだろう。」
私がやたらとプレッシャーを発する店員とやり取りをしていると、そこで扉が開き団体客が姿を現した。
来たな……!
カランカラン 「「別に来てくれなんて頼んで無いのに何で来たのよっ!」」
先ほどの私に対する物に比べると大分愛想の良い店員達に暖かく迎えられ、団体客は入店した。
ぞろぞろと入店してきた女性客。一見すると普通の女性に見えるが、彼女達も桐乃と同じような趣味・趣向を持っているのだろう。
やたらと凝った服を着ている者も見られる。その先頭に立つ女性……やたらと背の高い彼女は
私が研究した末に辿り着いたオタクスタイルに近しい格好をしている。出来るな…!
「拙者、1時に予約している者でござるが……」
何とっ!そのしゃべり…彼女も武士道を志す者だとでも言うのか。
「フンッ!一応名前だけ聞いてあげるわ!」
「沙織・バジーナ」
沙織・バジーナ。彼女が管理人か。その名前しかと覚えさせて頂こう。
団体の様子を更に伺うと、後方には我が妹の姿を発見する事が出来た。
彼女はこちらの方を睨んでいる。怖い顔だ。既に私はこの店と一体と言っていいほど馴染んでいる。
その心配は杞憂である事をアイコンタクトで妹に伝える。
「はぁ~」 どうやらアイコンタクトが通じたようだ。妹はそっぽを向いた。
しかし、ふと気づいたが、妹以外のメンバー、強いて言えばこの店に居る人間全てから
視線を感じる気がするが、郷に入らば郷にしたがっている以上、これも気にしすぎと言う事だろう。
どうやら、久方ぶりの隠密ミッションで私も感情が昂ぶっているようだ。
「えー、それではオタクっ娘集まれーのオフ会を始めさせて頂きとうござる。短い時間ではありますが互いに語らい
親睦を深めましょうぞ。初対面とは言えオタクと言う絆で結ばれたもの同士、その溢れる思いをどんどんぶつけましょうぞ
それでは、どうぞご歓談を」
お茶会は沙織・バジーナの挨拶により始まったが
客観的に見て、我が妹は浮いてると言わざるを得ないだろう。
確かに妹は垢抜けているがあの格好ではな……場所ごとにニーズというものはあるのだ!
ザワザワ……「ナァ…アノカメンノヒト…」「シッ…」「ミスター・オタク……」ザワザワ
所用(クリスマスはまるで関係無いッ!)が有るので出かけさせて頂く!
つづきはまた明日になります。
ハムと瀬菜はある意味相性抜群かもしれん
これ(保守)がやりたかった!
黒猫「私の先輩がこんなに変形なはずがない」
ハワード「私の上官がこんなにシスコンなわけがない」
寝る前の保守
おはよう保守
「きりりんさんは、SEEDだと誰が好き?私はディア×イザなんだけどー」
「え…あの…」
「えーうそ!私もディア×イザ!」
「良いよねー!」「ねー!」
「きりりんさんのそのアクセ綺麗だね」
「どこの?」
「どこのって言うかクロックの限定。撮影で気に入ったから買い取っちゃった」
「ふ、ふーん…」「そうなんだぁ……」
彼女たちの会話は私には理解できない部分も多々あるが
一目すれば判る通り、我が妹は完全に孤立してしまっている。
………辛抱ならんっ!!かくなる上は私が……!!
ガタッ!
私は勢い良く立ち上がる。
すると、妹とまたも目が合った。
まさに阿修羅のような形相で私を睨んでいる。
――私の助けはいらないと言うことか。ならば静かに君の戦いを見届けよう。
私が再び席に着席すると同時にオムライスが運ばれてきた。
「待たせたな、俗物。ここでオムライスが食べられる己の幸運を祝うが良い」
「いただくっ!」
まるで血痕ようにケチャップで『ガンダム』と書かれたオムライスをほお張りながら
私は桐乃から視線を離さず、彼女の戦いを終始見届けた。頑張れ桐乃、その手に未来を掴めッ!
ktkr!
期待
お茶会はそれから2時間程続き、最後にプレゼント交換のような事をして終わった。
残念な事に、我が妹は終始、碌なコミュニケーションもとれず、言わずもがな友人が出来ようはずもない。
しかし、桐乃に廻ってきたプレゼントは、我が愛機スサノオの剣を模したような玩具でそれは当たりだったと言わせて貰おう。
とは言う物の、一人ポツンと俯いてスサノオの剣を模した玩具を連結したり、連結解除したりする姿は見る者の涙を誘う事請け合い。
だが、私は必死に友を作ろうとする君の姿を見ている。今日の敗戦は明日の勝利のためにあるのだ。
そこで沙織・バジーナが茶会の終了を告げる挨拶を述べ始めた。
「皆様のご協力もありまして、記念すべき初めてのお茶会もつつがなく終了したでござる!拙者、心より感謝しておりますぞー!」
楽しげな歓声があがる。私の見立て通り、彼女のカリスマ性は中々のもののようだ。
「―お茶会は一先ず、これで解散となりますが――まだまだ時間があるよという方、会で仲良くなった友達ともっと話したいよ
と言う方は、それぞれ各自で2次会、3次会へと向かってくだされ!なお、次回の催しにつきましては、またトピックを立てますゆえ
ぜひとも奮ってご参加くだされ!では、解散っ!」
わぁっと喧騒が広がった。
別れの挨拶と共に新たな友人との予定を囁く声が聞こえる。
「ねー、これから虎の穴にいこうよ!」 虎穴に入ると言うことかっ!?
「SEEDのカップリングについてみっちり語り合わない?」 種のカップリング? 植物の遺伝子交配かッ!
中々、二次会はすごい事になりそうあものだ。
しかしながら、その会話の輪の中に我が妹・桐乃の姿は無い。
2、3人のグループに分かれながら団体は解散していく。
沙織・バジーナも会が終わると脱兎の如く駆け出し、既にここにはいない。
最終的には、店内には我が妹のみが残されていた。
その姿はさながら、戦いに敗れた敗残兵のようでもあった。
私は仮面を外し、ゆっくりと近づいていく。
このシーンの桐乃はなんか心にくる
「君の戦いは見届けた。敗北の悔しさを知っている者だけが勝利の美酒に酔える。次は勝てるさ」
頭の上に手をのせてやるが、その手はすぐに払いのけられた。それくらいの元気があれば大丈夫だ。
「うっさい…バカ……大体なんなのよ……完全にその格好浮いてたし……っていうか今も浮いてるし……」
「異な事を言う」
私は完全にここに同化していた。メイドとの会話もそつなくこなしたと自負している。
「全然話できなかった……」
「最初と言うのはそんなものだ。私も最初にガンダムに挑んだ時はその性能に圧倒されたものだ」
「厨二病やめてよ……アニメの話じゃないっての……なんで……あ、あたし…何時もどおりやったつもりなのに……
何で避けられちゃうの……くぅぅ……かつく………ムカツク!ムカツクッ!!ムカツクムカツクムカツクッ!!」
「おーい!きりりん氏ーー!!」
地団駄を踏む桐乃の前に、見覚えのある顔が再び現れた。
「良いかったー……まだ居てくださって!」
「沙織……さん」
「沙織で結構!ほほぉ……こちらは……彼氏でござるな!」
沙織・バジーナは私と桐乃を見て唐突にそのような事を言い出した。
「ちがーう!!」
「敢えて言おう。私は彼女の兄であるとッ!!」
「………こんな兄居ると思われるのも嫌なんだけど……」
「なるほどなるほど。店内にやたらと存在感のある方がいらっしゃると思っておりましたが、きりりん氏の兄上でござりましたか」
「あれだけ気配を消した私の気を感じ取るとは、やはり君も武士道に通ずる者か。私の名は高坂京介。グラハム・エーカーと呼んでくれて構わない。」
「あんた……いい加減にしてよ……」
「京介氏……いや、グラハム氏でござるね。それではグラハム氏もご一緒で」
ご一緒でとは……君は何を計略している、沙織・バジーナ!
「いやいや、お二人を二次会へとご招待しようと思いまして」
「二次会って……さっきのつづき?」
「左様、拙者がさっきお話が出来なかった方を個人的にお誘いしようと思いまして」
「他にも沢山来るの……?」
珍しく弱気が見えるな桐乃!どうやら先ほどの敗戦が身に染みていると言う事か。
「いやいや、拙者たちを含めて4人でござるよ」
「ふ、ふーん……」
ほう、詳細を聞いて多少心が動いているようだな。
確かに少人数で有れば、先ほどのような決定的な敗戦は喫さないであろう。
ならば私に出来る事は、彼女の迷いを切り捨てることのみっ!
「私、グラハム・エーカーからお願いしよう。是非とも参加させて頂くと!!」
「おおっ!来て頂けるでござりますかっ!」
「ちょっ……何であんた勝手に……まぁ、どうしうてもって言うなら行っても良いけどさ……」
「ああ、良かった!では、お二人とも参りましょうぞ!もうお一方は、既にマックでお待ち頂いておりますゆえ!」
この格好と言い、私の気配を察した事と言い、会の仕切り、そして恐らくこの二次会とやらの意図も……
やはりこの沙織・バジーナという人物。かなりの人間であるのは間違い無いだろう。
私達は沙織・バジーナの先導に従い、メイド喫茶は出ようとした。
「4時より予約している者だが……」
「……貴様はっ!!よくもぬけぬけと……!」
「もう一度言おう。4時より予約している者だ。」
「ここで朽ちるか、今すぐ引き返すか好きな方を選べ!」
「そんな決定権がバイトのお前にあるのかっ!」
メイド喫茶を出る間際、派手な赤いノースリーブを着た男と先ほどのメイドがやり取りをしていた。
赤い男と目があう。出来るな……!しかし、今は、沙織・バジーナの後を追うのが先決だろう。
この男とはまたどこかで会うような気がする。
出かけるんで一旦休止。
早ければ今日の夜にまた!
(遅くなった場合はすまないと言わせて頂く!)
ノースリーブww
あえて言ったはずだ! 保守すると!
保守
桐乃「あんたもオタクに染めてやるってんだよォ!」
俺がガンダムだ
保守
ホッ
今、私達はお茶会を行ったメイド喫茶から一番近いマックに入店し
そこで沙織・バジーナの言っていたもう一人の二次会参加者と相対している。
凝った服を着ている彼女は、よくよく考えてみるとお茶会の時も桐乃同様
周囲に馴染めないでいたように記憶している。やはり佐織・バジーナの意図は
私が考えていたものと違わないものであるようだ。
「お待たせしました黒猫氏。きりりん氏とその兄上でござる。」
「え、えっと……きりりんです……宜しくね」
「私は高坂京介だ。かつてはグラハム・エーカーとも呼ばれた男だッ!申し訳無いが故あって飛び入らせて貰う」
「ハンドルネーム……黒猫よ」
最後の一人は俯いたままボソリと自己紹介してきた。
なるほど。確かにその異名に似合った黒いドレスだ。
このまま舞踏会にでもエスコート出来てしまいそうな程に。
「で……管理人さんはこの面子を集めてどんな思惑があるのかしら。
先程のオフ会の時に遠くに居た変人も混じってるようだけど」
「いやー、先程も申しあげた通り、先程余りお話出来なかった方と是非お話がしたかったのでござるよ。
ですので、黒猫氏もそんな他人行儀な呼び方では無く、遠慮なく沙織とお呼びくださいませ。無礼講でいきましょうぞ」
「その図体でよくも沙織なんて名乗れたものね……図々しい。出落ちにしたって性質が悪いわ。
今度からサイコガンダムかビグザムと名乗りなさい。それにその喋り方と格好……」
「何年前のキモオタなんだって感じ」
「敢えて言おう無礼講とは、幾ら罵っても良いと言う意味では無いと!」
どうやら彼女達には、配慮と言う物がいささか欠けているようだ。
それに沙織・バジーナの格好は、この町に馴染むと言う意味では間違って居ないだろう。
私が辿り着いた『極み』と同じところに辿り着いているのだから。
どうやら彼女達には、配慮と言う物がいささか欠けているようだ。
それに沙織・バジーナの格好は、この町に馴染むと言う意味では間違って居ないだろう。
私が辿り着いた『極み』と同じところに辿り着いているのだから。
「まぁまぁ、グラハム氏。拙者にとってこの程度の毒舌はそよ風のように心地良い
宜しかったらグラハム氏もどんどん罵ってくだされ!」
なんと度量の深いものだな。我慢弱い私では同様の事は出来まい。
「格好といえば……あなたもどうしてそんな浮いた格好しているの?
秋葉原のオフ会でその格好は無いと思うわ」
「それに関しては私も言わせて頂こう。桐乃、君は今回のミッションでは空気を読む必要があった」
「「おまえ(あなた)が言うな」」
なんとっ!この連携……私の予想を超える。
しかしながら、私は郷に入りオタク道に殉じたつもりだ。
「敢えて言うけど!これが一番私らしい格好なんだから!それに……」
「何?何かしら?言ってごらんなさい」
「何そのドレス……コスプレ?水銀燈のつもり?」
「全然違うわ。どこ目をつけているのマスケラのクイーンオブナイトメアよ。まさか知らないとは言わせないわ」
「あー……それってメルルの裏番じゃん。確かオサレ系厨二アニメって言われてる奴」
ブチン
その瞬間、たしかに堪忍袋の緒が切れる音を私は聞いた。
「聞き捨てならない事を言うのねあなた…メルルってまさか『ほしくず☆うぃっちメルル』の事かしら?
視聴率的にはそっちが裏番組でしょう?くだらない妄言はやめなさい」
「視聴率?何ソレ?私が見ているのが表でそれ意外が裏なの――」
「あなたこそ口を慎みなさい。何が厨二病アニメよ。私はその言語が死ぬほど嫌いだわ」
妹と黒い少女の会話を聞きながら私は安堵を覚えていた。
「フフフ」
「おや?何を笑っているのですかなグラハム氏」
「フッ、私は以前桐乃に言った。己の全てを晒け出せる友人を作るべき…と」
「ほう、そうでござりましたか」
「この出会いに、おとめ座の私はセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない」
「グラハム氏は詩人でござるなぁ」
先ほどのお茶会ではアレだけ何も喋れなかった我が妹が
今は黒い少女と己の魂をぶつけて語り合っている。この関係!まさしく友情だ!
「本当いちいち言い方が面倒くさいのよ!この邪気眼電波女!」
「じゃ、邪気眼……電波女ですって……ついに言ってはいけない事を言ったわね……
ふふふ……どうなっても知らないわよ……この負の想念はもう私にも止められはないわよ……!」
「ばっかじゃないの!あんたもう死ねば!!」
これで今回の私のミッションも完了だろう。
妹は得難い存在をこうして得る事が出来たのだから
何?何もしていない?ならば、今回は私が動くまでも無かったと言う事だ。
それからしばらく私たちは、沙織・バジーナの提案した秋葉原見物に乗り出す。
アニメのグッズを扱う店や、同好の士で集まって描いた書物を扱う店など興味深いものがあった。
「なんとっ!!劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
COMPLETE EDITION【初回限定生産】が既に発売しているだとっ!」
「何で急にアニメショップで宣伝口調な台詞言い出すのよ……」
「さっきから思ってたけどあなたのお兄さん……アニメキャラの成り切り?」
「昔からずっとこうなのよね……」
「少女。言ったはずだ。私はかつてグラハム・エーカーと呼ばれた男だと」
「……そ、そうね」
(何で同類なのに引いてるのよ……あんた)
(この人の眼は本気過ぎるわ……)
こうして私としても得難い時間を過ごさせて頂いた。
既に町は日が暮れ初めている。
「いやいや~つい遊びすぎてしまいましたな」
「あなた……とあなたのお兄さんがはしゃぎ過ぎるから」
「しょ、しょうがないじゃん。あたし、秋葉原初めてなんだし。
それとアイツはいっつもあのテンションだから……」
私としたことが、この町には何故か懐かしい物が多くはしゃいでしまったようだ。
どういう理屈で、私の知りうる情報が、西暦2000年代のこの世界に流通しているのか。
それに関しては、私も答えを持っていない。そして、その答えを知る時が来るのかも解らない。
だが、今の私は高坂京介として生き抜くのみ。一度は死したこの身。運命には従うまでだ。
「それでは拙者達はこれで」
「感謝する沙織・バジーナ、そして少女。この出会いは僥倖だった。私も再び生き恥を晒した甲斐があったと言う物」
「はて、お礼を言われる事を何かしましたかな?」
「ふ……覚えはないわね。変な人間に出会ったそれだけの事」
どうやら私も桐乃も運が良かったようだ。
改札に向かって去っていく沙織・バジーナと黒猫を見つめながらそう確信した。
沙織・バジーナは背負ったリュックからポスターをまるでガンダムのビームサーベルのように抜き放ちブンブンと振った
それに答えるように桐乃は我が愛刀シラヌイ・ウンリュウを模造した玩具二刀を振っている。
「さて帰投するか、我々も」
既に改札に向かっている桐乃の後を追いかけ私も歩を進めた。
第2話 完
次回 第3話 『私の妹がこんなに可愛いわけがないっ!』
やっべ。明日仕事なのにこの時間までかかちゃったよ……
次回投下は明日の夜以降で
秋葉原に出かけてから数日が過ぎた。
今の私は、とある任務の最終場面に入っている。
ここで下手を打つわけにはいかない。
諸君も、私の戦いをしばし観戦してくれたまえ。
【妹と恋しよっ♪】
グラハム「私は君の心を奪う!!世界などどうでも良い!己の意思でっ!!」
しおり「お兄ちゃんだって世界の一部なのにっ!」
グラハム「ならば!これは世界の声だっ!!」
しおり「違う!お兄ちゃんは、自分の性欲を押し通してるだけっ!
お兄ちゃんのその歪み!あたしが断ち切る!」
グラハム「よく言った!しおりぃぃぃ!!」
しおり「うわぁぁぁぁぁあ!!」
グラハム「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ドカーーーーーーン
fin
「良いゲームだった!」
ついに私はこの任務を完遂する事に成功した。
こういうゲームが初めてである私には難易度は高かったが
どうにかENDマークまでたどり着く事が出来たようだ。
私の分身である主人公と妹しおりとの最後のシーンは
まさに名場面と言っても過言では無いと断言するっ!
これならば我が妹が私に勧めた理由も判ると言うものだ。
早速、攻略した事を報告に行かねばなるまい。
私は自分の部屋を出るとすぐ隣の妹の部屋の扉をノックした。
「なに?なんか用?」
「フッ、任務達成の報告に来ただけだ。中々興味深かったと言う言葉を送らせて貰おう」
桐乃は私からゲームを受け取ると、疑わしげな声色で言った。
「本当にちゃんとクリアした?」
「任務は達成した」
「ふぅん……で。面白かったの?具体的に言って」
「しおりの話の後半は非常に良く出来ていたと素人の私でも驚嘆に値した。
しおりが家を飛び出して、主人公が追撃し、そこでお互いの信念をぶつけあい
最後の戦闘に突入するところなどは……」
「ちょ、ちょっと待って!あんた違うゲームやってたんじゃない!?それ何っ!?」
「私が先ほど攻略したしおりシナリオの話をしているっ!!」
「………私が知らないルートが存在してる……?そんなバカな……」
妹が驚嘆の表情を浮かべている。
逆に問うが、このゲームにあれ以外の話があるのだろうか。
私はあのエンディングこそが唯一無二であると確信している。
「もう一回やってみる……ちょっとあんた来て!どうやったらそうなるのよ!」
「私が君にゲームの事を教える事になるとはな」
妹は私のアドバイスに文句を言いながらゲームの再攻略に勤しんでいる。
「はぁ!?そんな選択選ぶって有り得ない!」「何でそれ選べるのよ!」などと言っているが
私は私に取っての最善を選択肢したに過ぎない。故に妹は私の到達した極み(END)に到達しなかったのだろう。
私は既に見た話であるため、暇を紛らわすために、妹に問いかけた。
「以前、知り合った沙織・バジーナと黒い少女とはあれからはどうなっている?」
「う~ん……一応両方ともやり取りしているよ。メッセとかメールで」
カチカチッとマウスをクリックしながら妹はそんな返事を返してきた。
「そうか。良い友が出来たな」
「友達って言うかぁー……話し相手?
いちおー話はあうしさ。色々知らない事とか教えてくれるしー」
まぁ、役には立っているかな」
敢えて言おうそれは友であると!!
しかし、私にでも、それは素直言えないだけであると理解出来た。
「まっ……今度の休みは暇だし。またオフ会やるって言うから行ってあげてもいいかなって感じ」
そう言って笑う妹の顔を見ていると今の私、『高坂京介』の人生相談は終了したと実感する。
全ては良い方に回っている。そんな事を私はこの時考えていた。だが、そんな私の思いは
所詮センチメンタリズムであったという事を、思い知ることになる。
日曜日の夕方、私が山から帰って来ると、異変に気付いた。
静かすぎる。妙に張り詰めた空気が我が家を覆っていた。
さながら、戦場の張り詰めた空気に近いと言わせて頂く。
私は張り詰めた空気の出処を、探る。こういう時に戦いで得た感覚は役に立つ。
出処は……どうやらリビングのようだ。そして、このような裂帛の気をこの家で放てるのは……
親父殿をおいて他には無い。
「予感が当たらねば良いと言いたいが……」
既に私の第六感はこの時点で事態を予想しつつあった。
この空気の出所である、リビングの扉をこじ開ける。
「帰宅の挨拶。ただいまと言う言葉を慎んで送らせていただこうっ!!」
中に入ると妹と親父殿がテーブルを挟んでソファに座り対面している。
両者ともに無言。何をしているわけでも無い。お互いに向かいあいただ無言。
しかし、そんな事は関係ないッ!!
「私は挨拶をしている」
私のその言葉に「おかえり」と
親父殿は短くそう言うとまた黙り込んだ。
桐乃に至っては、俯いたまま反応しようとしない。
もっとも彼女は、少し前までは何度も呼びかけなければ挨拶はしなかったのだがな!
恐らくこういう状況になった原因は……やはりか。
二人の間の机の上には、『ほしくずうぃっち☆メルル』のDVDケースが置かれている。
そして開かれたケースの中には私も先日クリアした『妹と恋しよっ』が入っていた。
言わんことではない!やはり私の第六感あ告げた事態が発生している!
この状況、どう立ちまわるべきか。
「京介、ちょっと京介」
お袋殿が廊下から私に話しかけてくる。
「あんたはちょっとこっちにきなさい」
「良いだろう」
どうしてこういった状況になったのか私はお袋殿に問いただす事にした。
どうやら私と桐乃の間に起きたハプニングと同様の事が運の無い事に親父殿と桐乃の間でも発生したようだ。迂闊だぞッ 桐乃ッ!!
「京介……余り驚かないのね」
「驚いてはいるさ」
「もしかして、あんた桐乃がああいうの持ってるって知ってた?」
「見くびらないで頂きたものだな。当然知っているッ!!」
「はぁ~……本当にどうしてあの子があんなものをねぇ……あんなに怒ってるお父さん久しぶりよ」
そんな話をお袋殿としているとリビングより桐乃が飛び出して来た。
その瞳には涙が溜っているのを視認した。そして桐乃は脱兎の如く玄関より飛び出した。
追いかけるべきか……いや、ここはまずは親父殿に事の成り行きを確かめる必要があるだろう。
「きょ、京介……やめなさい」
「断固辞退する!」
お袋殿の静止を無視して私は再びリビングへと入室する。
親父殿は何故か掃除機をかけていた。フローリングの片隅にクリスタルの灰皿が転がっている。
どちらかが、この灰皿をひっくり返したと言う事か。私が目を離した間に何が有ったか語って頂くぞ親父殿!!
やがて親父殿が掃除機をかけ終わり、静かに私の方に振り返り言った。
「京介、ちょっとそこにすわ………」
敢えて言おう。既に私は座っていると。
「正座する必要は無い。ソファに座りなさい」
礼を尽くしたつもりなのだが。私はソファに座ると親父殿と対面した。
親父殿の第一声は次のようなものであった。
「京介、お前は知っていたのか」
「先ほど、お袋殿にも言ったが、見くびらないで頂きたい。当然の事だっ!」
罪人の口を割らすために研ぎ澄まされたこの世界での父の瞳。
なるほど。平凡な学生であれば、この瞳に呑まれてしまうかもしれないな。
だが、生憎私は見ての通り軍人だ。
「そうか。お前が何故知っていたかはきかん。喋るわけにはいかないのだろう?」
「良く息子の事を理解している。私はそれについては断固として答える気は無い」
「………幾多の人間を尋問してきたが……お前のような男は初めてだ」
それは褒め言葉として受け取らせて頂こう。
「俺はこういった物をお前達に買い与えた事はない。何故か判るか?」
親父殿をDVDケースを持ち上げ、アニメも中のR18ゲームも一緒くたにして言った。
「それについて考えた事は無かったと言わせて頂こう」
私自身も父にそれらをねだった事はない。
「こういう物はお前達に悪影響を与えるからだ。ニュース等でもよくやっているだろう。
ゲームをやっていると頭が悪くなる。犯罪者の家からいかがわしい漫画やゲームが見つかったと
――もちろんTVの話を全てを鵜呑みにしているわけではないがな」
どうせ碌でも無いものなのだろう。親父殿の顔はそう言っているように見えた。
「真偽はともかくだ。悪影響があると言われている物をお前達に買ってやるわけにはいかん」
「敢えて言わせて頂こう。あれは桐乃が、桐乃自身の得た報酬により買ったものだ。」
「それはそうだな。だから俺は、アレが自分の金で買った物に関しては、それ程口うるさくいうつもりはない。
化粧品だの派手な服だの、バックだの……本来ならばああいった子供らしからぬ物もどうかと思うがな
母親と一緒になってそれが友達付き合いに必要なのだと言われれば、俺にはもう何も言えん。
勝手にしろと諦めるしか無い」
「1つ問わせて頂きたい。化粧品やバッグとアニメやゲームを同列に扱えない理由を」
「あんな世間で良くないと言われる物を桐乃に持たせておくわけにはいかん。
特にアレは俺が言うのも何だが出来た娘だ。下らん趣味にうつつをぬかしているならば
駄目になる前に道を正してやらねばならん」
親父殿の論旨はこうだ。オタク趣味は桐乃を駄目にする、だからやめさせると。
「論旨は理解した。」
「そういう事だ。」
親父殿は立ち上がり、リビングを出ていこうとした。
「しかし、納得は出来ない。私が納得出来ない以上はその論旨は間違っていると断言するッ!!」
親父殿は振り返り私の方をジロリと睨むと珍しく大声をあげた。
「京介……!これだけ言っても判らんかっ!!」
「理屈は良い。私は感情で喋っているっ!!」
「ここでお前と喋っていても無駄なようだ」
再びリビングを出ようとする親父殿。
私の第六感が告げている。このまま行かせるわけにはいかないと。
「どこへ行くつもりだ親父殿」
「桐乃の部屋を調べる。他に隠している物があるかもしれない」
まずいな。あそこには桐乃のコレクションがある。
親父殿であればものの数分もあればコレクションの隠し場所を探り当てるだろう。
そうなれば……言葉を尽くしても恐らく今の私と親父殿は分かり合う事は出来ないだろう。
しかし、桐乃がいない所で桐乃のコレクションが発見されるのは阻止せねばならない!
「もしも、そこに隠している物があったらどうするつもりだ」
「全て処分する。そうすればアレも眼が覚めるだろう」
「ならば私は、貴方を行かせるわけにはいかない」
私は階段を上がっていく父を追いかけ、その前に回りこむ。
「そこをどけ、京介」
「退くわけにはいかないな」
隙を見せれば、警察官である我が親父殿は私をひねり上げ押し通ろうする可能性もある。
ここは私も隙を見せるわけにはいかない。私も伊達に軍人として生きてきたわけではない。
親父殿の眼と私の眼が真っ直ぐに向かい合う。その状況が数分続いただろうか。
「もう一度言うどけ」
「ならば私ももう一度言おう。退くつもりは無いと」
「………何故だ?」
「どんな事情があろうと、本人の許可無く部屋に押し入り家探しするのは
道理に反すると私は考えているからだっ!」
何故、私がコレほどまでに妹のコレクションを庇うのか。
恐らく理由など無い。私は自分自身の感情で動いている。
「……良いだろう。俺は桐乃の部屋には入らん。」
「その代わり、京介。お前が責任を持って全て捨てるように桐乃に伝えておけ」
「断固辞退しよう」
「お前は……!」
「私は既に桐乃と約束をしている。男の誓いに訂正は無い。
一度言った言葉を曲げないのは、貴方の教えでもあるはずだ」
「…………」
親父殿は難しい顔をして考え込んでいる。
「判った。お前にはもう言わん。
桐乃が帰ってきたらもう一度俺から言おう」
そう言って親父殿は階段を降りて行った。
親父殿も私と同じく自分の言葉を曲げる男では無い。
故に、桐乃の部屋に許可無く立ち入る事は無いだろう。
私と親父殿も似たもの同士と言うことだ。この世界では親子なのだから当然か。
さて、取り敢えずの緊急事態は回避した
そして、現在の状況についても把握する事が出来た。
次は出て行った桐乃を探さなければならないだろう。
どちらにしても、親父殿が桐乃の趣味を認めたわけではない。
これは桐乃の問題だ。彼女が今、どう考えているのか。どうするつもりなのか。どうしたいのか。
それを会って確認しなければならないだろう。
家を飛び出して行った妹の行き先に心当たりはない。
当然ながら『人生相談』が始まるまで、私は妹とそこまで親密だったわけでは無い。
故に、こういう時にどこに行くかなど皆目見当がつかないと言うのが正直なところだ。
ならば!これは戦いの中で培われた勘を信じるのみ!
イノベイターである少年ほどではなくてもな!
やばい。今日戦場(コミケ)に行くのにこんな時間だ。
死ぬかもしれん。つづきは生きて返ってこれたらまた深夜に。
シャカルト・デーマン「知りますよ。イノベイターの実力、行きたいんじゃないんですか。」
京介「楽しい……楽しい話をしよう。妹に人生相談をされた!」
あやせ「あ……あのすごく大きいレンチで、独り言言いながら公園の遊具を分解してる青いツナギの人が桐乃のお兄さん?」
桐乃「……うん……」
デカルト「この、もののふ共めぇぇ!!!」
>>697
ブシドーさんの何倍も変人じゃねーか
通報レベルだぞバッカーノのグラハムは
>>700
ていうかバッカーノから常識人を探す方が大変
マリナ・保守マイール
そういう役回りだから仕方がない
支援しよう!
桐乃が毒されてるw
とんでも支援ですっ!
PS2のマイスターズのハムの台詞、の一部。とフラッグファイター。
100:「百鬼夜行というが、どうやら本当の鬼はこの私のようだ」
200:「この程度の数で、私を止められると思うな!」
300:「私は道を示さねばならん。後に続くフラッグファイターのためにも!」
400:「確信した。翼は羽ばたくためにあると!」
500:「500機!これが私たちの力だ、ガンダム!」
600:ハワード「さすがです隊長!」
700:ダリル「ハワード、俺たちはいつかあの人の高みに行くぞ!」
800:ハワード「なんという力量、これが隊長の真の力なのか!」
900:ダリル「ハワード、俺は震えが止まらんぜ」
1000:「これこそまさに一騎当千!」
1100:「ガンダム、君への想いが私を強くする!」
1200:「何度泥をすすろうと、立ち上がってみせる!」
1300:「素晴らしい調整だ。カタギリ、感謝する!」
1400:「歩みは止めん、止めるものか!」
1500:「私はこのフラッグに与えてみせる。ガンダムを倒したという栄誉を!」
1600:ハワード「ダリル、俺はフラッグファイターであることを誇りに思う」
1700:ダリル「俺は思う、あの人はフラッグの女神に愛されている」
1800:ハワード「強さだ、あれが強さだダリル」
1900:ダリル「隊長……ハワード、お前泣いているのか」
2000:「あえて言わせてもらおう。私がグラハム・エーカーである!」
しかしネタに困らないキャラだなぁハムさんは
ヒトデ祭の岡崎最高さん……は、京介とあまり変わらないか
狙い乙ぜぇ!
了解っ!
最近でもないと思うけど
桐乃「あたしの兄貴が妙に金持ちで政治家志望な筈がない」
京介「日本を私色に染め上げる!」
桐乃「わたしの兄貴達がこんなにキチ外なわけがない」
サーシェス「俺は俺だぁ!」
ティエリア「僕は人間だ!」
刹那「俺がガンダムだ!」
どうでもいいけどラファエル動くとかっこいいな
設定画見た時は糞じゃんって思ったけど
刹那「俺がメルルだ」
桐乃「……」
保守羅すら凌駕する存在だ!
一杯、いかが保守か?
ソルブレイブス隊には痺れたな
アレルヤ・保守ティズム
落ちたら制作速報で続きやるみたいだから落ちても問題ないけど
今夜の投下で終わりみたいだし保守でいいだろ
今夜はあくまでも親父編の完結だろ
「私はこの目で見てきた。桐乃のかけがえの無い物を。
沙織・バジーナに黒い少女。初めて桐乃が出会った、腹を割って話せる友だ。
夢中になって好きな事をする事の何を否定出来る!?」
それは私も同じだった。志を同じとする者の存在は力となる。
カタギリ、ハワード、ダリル、ヴィクトル、イェーガン、アキラ、ネフェル、ルドルフ。
ワンマンアーミーを気取った時でさえ、私の隣には良き理解者が居た。
桐乃はオタクという道において、ようやく理解者を得た。
その事は彼女の人生において、きっと大事な事なのだ。断言しようっ!!
ならば、私は親父殿と云えどもそれを否定させるわけにはいかない。
少し前までは、桐乃は私にとって理解出来ない存在と言っても差し支えなかった。
お互いのバックボーンが違いすぎた。私自身も積極的に彼女とは関わらなかった。
だが、ここ数日間の『人生相談』は良くも悪くも私の運命を変えたのだ。
敢えて言おう……彼女は……この私、グラハム・エーカーの妹であると!!
故に私は彼女を……彼女の得た物を守ろう!!
「だから……許してやれと言うのか?悪影響しか与えない下らん趣味を」
この瞬間を私は待っていた!!
「悪影響のみ……?その見解は却下させて貰おう。これを見て頂きたい!」
私は親父殿の前に桐乃の成績表、トロフィーを表彰状をつきつける。
人呼んで、桐乃スペシャル!!!
「…………」
「これだけの戦果を挙げているのは誰だ!?他ならぬ貴方の娘だッ!!」
「知っている。それがどうした」
「言わずとも判っているはずだ親父殿。貴方の娘はこれだけの人間だ。
そして、その人間が最も大事にしているもの。それが親父殿の否定する趣味だッ!
それが悪影響しかない?それは桐乃の人生を否定するも同じッ!!!」
「………何故、お前がそこまで桐乃を庇う?」
「見てしまったからだ。桐乃の本当の笑顔と言うものを。」
私は更に突きつける。
桐乃の過去から現在までが収められたアルバム。
全て親父殿の手によって撮られたものだ。これだけでも
親父殿が桐乃をどう思っているかなど一目瞭然!!
「それとそのアルバム、どう関係がる」
「慌てずに、次を見て頂こう」
そして更に私は1冊のスクラップブックを取り出した。
「……!!」
「これは親父殿の宝だと伺っている。」
スクラップブックには桐乃のモデルとしての活躍が
大事に切り抜かれ何十ページにも渡り保管されていた。
「貴方は娘の活躍が嬉しかったはずだ。故にこうして何よりも大事に保管している。
口では、下らないと言いながらもッ!」
「バカを言うな。娘の仕事を親が確認せずにどうする」
「フッ、その結果がこれと言うわけだ。判っているはずだ。桐乃の仕事が決して世に憚られるものではないと!」
「……そうだな。憚る必要の無い仕事だ」
「そう。そして、同様に私はこれも憚る必要の無いものと言っている!!」
私は最後の写真を突きつけた。
桐乃の出会ったかけがえの無い友人たち。
桐乃と黒い少女と沙織・バジーナがそこには映っている。
桐乃は仏頂面をしつつも、その口元は笑っている。本当に楽しそうに。
「…………」
「これが悪影響だけのものかどうか。私以上に桐乃を見てきた貴方ならば判るはずだ。」
親父殿は黙って私の突きつけた写真を見ている。
「敢えて言おう……これら全てが高坂桐乃だ。全て揃って高坂桐乃なのだっ!!」
かつて私は恩師と仲間を奪い空を汚したガンダムに対する憎しみを持った。
しかし、それを超越する程にその圧倒的な性能に心奪われた。
私自身矛盾を抱えて生きてきた。桐乃も自分の中で優等生でクラスの中心という自分と
オタクな趣味を持つ自分という矛盾を抱えている。しかし、その矛盾も含めて一人の人間なのだ!
「……お前の話は判った。下らんと言ったのは一先ず取り消してやる。
確かに俺は何も知らん。偏見で言った事は認めよう。お前に免じて、桐乃の趣味を許してやっても良い」
「その旨を良しとする」
どうやら、私は対話を成し遂げる事が出来たようだ。
言葉のみで伝える……戦うだけの存在であったかつての私では出来なかっただろう。
少年……私は少年に近づく事が出来ただろうか?
「だが……一部だけだ」
「あのケースに入っていたような、いかがわしい物を許すわけにはいかん
これは良い悪いの問題でも、俺が偏見を持っている事も関係ない。18禁の意味を考えろ」
くっ!どうやら対話はまだ終っていなかったようだ。
確かに桐乃の年齢は14歳。これに関しては親父殿が正しい。
しかし、私はかつて誓ったはずだ。何か問題が起きた場合は、その問題は私の無理でこじあけると!!
そう……今日の私は……エロゲすら凌駕する存在だっ!!!
「違うな。親父殿」
「何が違うと言うのだ?」
「そのソフトは……【妹と恋しよっ!】はいかがわしい物などでは無いっ!!」
「貴様……この期に及んで……!」
「ならばっ!!今、それを証明しようっっ!!!」
私は最後の切り札……ジョーカーと呼ばせて貰う! それをこの手より解き放つ!!
私はノートパソコンを親父殿の目の前に差し出す。
「何のつもりだ」
「そのゲームの中身。私と共に確認して貰おう!!
私がエスコート役を勤めさせて頂く!」
「む、むぅ……」
私と親父殿は並んでノートパソコンの前に座る。
そして、私はDVDを起動させる。
再び会ったな……しおりッ!!!」
【妹と恋しよっ♪】
グラハム「私は君の心を奪う!!世界などどうでも良い!己の意思でっ!!」
しおり「お兄ちゃんだって世界の一部なのにっ!」
グラハム「ならば!これは世界の声だっ!!」
しおり「違う!お兄ちゃんは、自分の性欲を押し通してるだけっ!
お兄ちゃんのその歪み!あたしが断ち切る!」
グラハム「よく言った!しおりぃぃぃ!!」
しおり「うわぁぁぁぁぁあ!!」
グラハム「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ドカーーーーーーン
fin
桐乃は結局。このエンディングには辿りつけなかった。
そう一切如何わしい描写など無い!これは私と少年……いや、しおりとの愛の物語。
そう、この私、グラハム・エーカーのみに許された特別なエンディング!!
敢えて言おう。システムすら凌駕し、既にこのソフトは私の物であるとっ!!
「このソフトは如何わしいものなどではない。
そして、今見てもらったようにこれは私がプレイしたものだ
それを桐乃に貸し与えていた。余りの美しい物語故にっ!!」
「貴様は……こんな……兄が妹を性欲の対象としているような物を…妹に貸したと言うのか……」
だが、私は見逃していない。
親父殿もこう言ってはいるが、この美しい物語に心動かされていたと言う事を。
「その通りだ。付け加えさせて頂くならば私はこの作品に……いや、アニメやゲームに心奪われた!
かつて……この気持ち……まさしく愛だっっっ!!!!」
「こ、この……この……」
頭部に強烈な一撃を見舞われたかのように親父殿はこめかみを抑えながら言った。
「バカ息子がっ!!勝手にしろ!!俺はもう知らん!!」
かつてないほどの大絶叫。ここまでの気迫、私が戦ってきた敵の中でも多くはない。
はぁはぁ、と肩を上下させていた親父は、私に背を向け足音を立てて去っていこうとする。
「親父殿」
「なんだっ!!!」
「敢えて聞こう。貴方はこの物語をどう思った?」
「……下らんとは言わんっ!!」
それだけ言うと親父殿は今度こそ立ち去った。
そう……今度こそ私は対話を成し遂げた。
フッ――我侭なお姫様もこの結果には恐らく満足して頂けるだろう。
こうして高坂家を賑わせた騒動が一件落着した、翌日の夕方。
私が学校より帰還すると、何時ぞやのようにソファで寝転がりながら妹が電話していた。
「帰宅の挨拶!ただいまという言葉を送らせて貰おう!」
「あーーもう……五月蝿いのが帰ってきた……ちょっと待っててよ……
はいはい、おかえり。」
少しだけ変わった事が有るとすれば、こうして一度の挨拶で妹が返事をするようになった事。そして――
「悪かったわね。待たせて。で…それで………はぁ!?ちゃんと見たのあんた!!
DVD版の方だよ!?それで何でそういう結論になるわけ!?信じらんない、これだから邪気眼女の感性は……
もういい、いい加減あんたは厨二病卒業した方が良いよ。じゃあね」
こうして妹が本気で語り合える友人と憚る事無く電話出来るようになったと言う事だ。
これからも、彼女はかけがえの無い友人と時にぶつかり合いながらも上手くやっていくだろう。
これで桐乃の悩みは解決。だからこそ、私の『人生相談』もこれでお終いだ。
安心感と満足感、そして少しのセンチメンタリズムな気持ちを感じながら、私はその場を後にしようとした。
「ねぇ」
「何かな?」
ドアノブに手をかけた所で呼び止められて私は振り向いた。
「人生相談……まだあるから」
事もなげにそんな事を言う。どうやらもはや運命を超え宿命にまでなってしまったのかもしれないな。
良いだろう。男の言葉に訂正はない。どんな相談だろうと私の無理でこじ開けるだけだ。
「それと……一応……敢えて言うんだけど……」
そんな私に桐乃は口ごもりながら目を合わせたった一言。照れくさそうに微笑み
「ありがとね、兄貴」
それから、ふいっとそっぽを向く。心なしか彼女の顔は赤く見えた。
私は自分の耳を多少疑いながらも、こう想った。
私の妹がこんなに可愛いわけが――否!可愛いわけがあるとっ!!
ED クオリア♪
第3話 完
何とか落ちる前に1巻の最後まで行きつけて良かった。
投下速度が遅い中保守に協力して下さった諸君には感謝の言葉を送らせて頂
地味子は出したかったんだけど、どっかで誰かが言ってたようにハムに幼なじみってのが
上手く想像出来なかったのと、分量が想った以上に多かったから削らせて貰った。
地味子好きな人に謝罪します。
超乙
ところで続きはやんの?
結構製作に行くとgdgdになる人も多いし
そうなると今の区切りの良さがもったいない気もするが
>>870-871
あやせとかコミケ編は書きたいんだよね。
まぁ、やるにせよちょっと書き溜めしてからだな。
書き溜めの分量次第でVIPでやるか制作でやるか決めるわ。
まぁ、普通は1巻って綺麗に終わるから
2巻以降やると4巻くらいまで行かないと綺麗には終わらなそうなのは問題か。
書き溜めたらまたスレ立ててくれよ!
たのしみにしてるぜ!
4巻のアメリカ行き阻止で終わるとちょうどいいかもね
他になにか書いてるの?
そのトリップ、00スレが引っかかるって言われてたけど
あやせ編とか想像するだけでwktkが止まらないんだが
製作速報でやるかここでやるかだけ教えて
>>874
その言葉、しかと受け取った!
>>875
アニメ圧縮で考えても現状の4倍か。
文庫本出せるなw
>>876
それは00の映画イベントに行った時のやつだな。
別に何か00関係の書いてるわけじゃないよ。
すっげー前にベジータと閉じ込められるの書いたからSSは2本目。
>>879
ベジータと閉じ込められるSSkwsk
べジータお前かwwwwwww
>>877
期待しててくれ。
マジ天使なあやせvsグラハム・エーカー最終階級大佐(二階級特進)の死闘に。
>>881-882
べジータと同じ部屋に閉じ込められました(´д`;)
で検索すると出てくると思う。
まぁ、ノリは似たようなもんだ。
ベジータのやつニコ動で読んだぞw
あれも面白かったw
>>878
多分、こっちかなぁ。
書き溜めあんま出来なかったら
製作速報に立てるわ。ちょっと年末年始はあんまり書けそうに無いし。
>>884
あの頃はニートでたっぷり時間があったのに
そんな僕も社会人になり……仕事中にこのSS書いてました^q^
>>888-891
サンクス。
次回も頑張ります。
落ちるまであと20分くらいか?
1000までは厳しいか
>>892
分速5レスは無理だw
明日は最も激しい戦場に出撃しなきゃいけない人も多いだろうしな!
俺妹の同人買いまくってくるわ。
また2時間睡眠でござる。
次回も期待してるぞー
次のスレ立てまでに何個グラハムプラモが組み上がるかな
>>894
オーバーフラッグスとソル・ブレイヴ隊の完成を目指すんだ。
このSSまとめへのコメント
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