上条「常盤台中学に行くことになったんだ」(103)

吹寄「常盤台中学ってあのお嬢様学校よね」

上条「ああ、ちょっと知り合いの母親に頼まれてな」

ある日の昼休み、上条当麻はクラス委員である吹寄制理と話をていた。
普段は土御門や青髪ピアスらと一緒にいる上条なのだが、何も四六時中一緒にいるわけではない。

上条「授業参観に代わりに行ってくれって話なんだけどさ」

吹寄「へえ、常盤台中学には授業参観があるのね」

今日の朝に御坂美鈴から電話がかかってきて直々に頼まれたのだった。
美鈴の笑い混じりのしゃべり方に若干の疑問を覚えた上条だったが、丁度開校記念日だったこともありそのまま押し切られてしまったのだ。

上条「まあ、特に予定もない日だしお嬢様学校ってのもちょっと興味があるしな……」

土御門「ちょーっと待ったぁ!」

上条「おわぁっ!?」

突然横から割り込まれた上条がその場から少し押される。
どうやら席をはずしていた土御門たちが帰ってきたようだ。

美琴「あの馬鹿が授業参観に?」

美琴「はあああああああああああああ??」

女子寮の一室に、御坂美琴の叫び声が響き渡った。
彼女は電話を耳に当てて、実の母である御坂美鈴と連絡をしている。

美鈴「だってー。美琴ちゃんいつになっても進展してないみたいだしー。ここは私が一肌脱ごうかなって。」

美琴「進展も何も、私は別にあんな奴のことなんて……!」

美鈴「あんな奴のことなんてー?」

美琴「全っ然!何とも!思ったりなんかしてないんだからっ!」

美鈴「本当なのかなー?あのツンツン頭の男の子が気になって夜も眠れないんじゃないのーん?」

美琴「ちがっ、違うわよそんなわけ……」

美琴「ちがっ、違うわよそんなわけ……」

美鈴「まあもう頼んじゃったし、それに、快く引き受けてくれたわよ?」

美琴「そんな……」

美鈴「それじゃ私は明日朝から講義があるからそろそろ寝ないと。じゃあまたね、美琴ちゃん♪」

ガチャリ
通話が切られるが、美琴は未だに電話を耳に押し当てて立ちつくしている。

美琴(そんな、快くって……いやいやあの馬鹿のことだし何も考えてないに決まってるわ)

美琴「というか、授業参観って明日よね!?いくらなんでも急すぎるんじゃ……」

美琴「そもそも学園都市内の学校なのにわざわざ授業参観って……」

黒子「お姉さまー?どうかしましたの?」

風呂に入っていた白井が、御坂に声をかける。
実は全裸で御坂に飛びかかる気満々の白井であったが、顔を真っ赤にして静電気をまき散らす御坂を見て流石に心配になったようだ。

美琴「な、なんでもないわ!」

黒子「なんでも無いようには見えないのですが……なにか悩みごとがあるなら遠慮なくこの黒子に相談してくださいませ」

美琴「うー……」

超能力者の苦悩は、その日一晩続いた。

翌日。
上条当麻は困っていた。

上条「んー……授業参観って、何を着ていけばいいんだろうな」

上条「スーツなんて持ってねえし、流石に学生服の保護者ってのもな」

上条「これは、下手をしたら社会の常識レベルのミスをしてしまいかねないぞ……」

自分の持っている洋服を引っ張り出し唸る上条。
彼は授業参観に生徒の兄弟が来る可能性に、未だ気づいていない。

上条「結局いつも通りの服装できたけど、良かったみたいだな」

常盤台中学の正門の前、ちらほらと保護者らしき人がいるが
スーツだったり私服だったりと割と自由にそれぞれ思い思いの服装をしている。

上条「お嬢様学校なだけに、みんなセレブな方ばかりだと思ってたから助かったぜ……」

御坂曰く、本当のお嬢様も中には結構いるらしいのだが。
隣に立って携帯電話を操作しているラフな格好のおじさんが、世界的企業の社長だという事には気づかない上条さんであった。

吹寄「見つけたわ、上条当麻」

土御門「お世辞にもお嬢様の身内にはみえないにゃー」

青髪「あれが常盤台中学!お嬢様の禁断の花園!」

吹寄「ちょっと黙ってなさい」

上条から少し離れたところに、3人の影があった。
普段上条、土御門、青髪ピアスをひとまとめにしてクラスの三バカ(デルタフォース)と呼んでいる吹寄制理であったが
今この場を見る限りでは、彼女は十分に上条の代役をこなしていた。

土御門「さて、かみやん病のまん延を阻止するには内部に潜入しなければならないぜよ」

吹寄「どうやって中に入ったものかね……常盤台中学のセキュリティは甘くないわよ」

頭を抱える二人。
吹寄一人ならまだ何とかなりそうだが、男である土御門や青髪ピアスはその外見とも相まって簡単にいきそうにはなかった。

青髪「あ、それならボクにいいアイデアが」

吹寄「アイデア?」

青髪「じゃーん!大精霊チラメイドぶげぁっ!?」

すかさず吹寄の拳が飛ぶ。

吹寄「貴様まさかこの私にそんなものを着ろっていうんじゃ」

青髪「ち、違う誤解や!この意匠の無駄な装飾を外せばちょっとは女っぽい服になるやろ!?」

土御門「そうか!これを俺らが着れば警備員の警戒心を少しでもそぐことが……」

吹寄「できるかぁぁぁ!怪しさ三割増しだ!」

今度はヘッドロックが炸裂する。

土御門「ぐぅぅ……しかし、これを使ってどうにかできないかにゃー?」

吹寄「やっぱり、ここは王道で攻めましょう」

土御門「王道?」




青髪「警備員さーん!僕を中に入れてくださーい!」

数分後、そこには大精霊チラメイドがいた。

土御門「作戦成功!警備の目はチラメイドにくぎ付けだぜよ」

吹寄「さあ、今のうちに行くわよ!」

一人の馬鹿を犠牲に、土御門と吹寄が常盤台中学への潜入を成功した。

上条「あ、靴ひもが切れた」

上条「これは、不幸な予感がしますよー」

壮絶な戦いが今、始まる。

と、ここまでが書きためです。

一応最後まで展開は決めてあるのですが、ちょっと用事が出来たので少し席をはずします。
できるだけ早く戻ってきます。

チョットだけ時間が空いたので少しでもトウカします

美琴(いよいよ授業参観ね……あの馬鹿、本当にくるのかしら)

あの後、結局なかなか寝付けなかったため御坂美琴は机に突っ伏していた。
決して親しい友達がいないというわけではない。
本当に眠いから、突っ伏しているのだ。

美琴(なんだか無性に腹が立ってきたわ……)

生徒「御坂さん」

美琴「ん?」

クラスメイトの一人に話しかけられた。
御坂美琴は決して一人ではないのだ。

生徒「御坂さんのご家族の方は来られるのですか?」

美琴「あ、あー授業参観ね。家は誰も来ないわよ。」

ご家族の方はね、と心の中で付け加える。

生徒「あら?さっき御坂さんの名前を呼び名がら歩いている殿方を見たのですけれど」

美琴「!?」

生徒「人違いなんでしょうか……あ、そろそろホームルームが始まりますので失礼します」


一方そのころ、上条当麻は道に迷っていた。

上条「おかしい、おかしいぞこの学校」

上条「敷地面積家の学校の何倍あるんだ……どこに何があるのかさっぱりだ」

辺りに地図らしきものは見当たらない。
入場するときに来校者用のパンフレットを配っていたはずなのだが、なんでも不審者が現れたとかでもらいそびれていた。

上条「不幸だ……」

土御門「目標、変化なしだにゃー」

吹寄「よし、ばれないようにこっそり監視を続けるわよ」

二人に減ったデルタフォースが上条の後を追う。
ギリギリ見つからないが、何かが起きたらすぐさま対応できる絶妙な距離を保っている。
しかし、上条当麻の前にそんな監視など意味がないに等しかった。

上条「とりあえず歩くしかないな……」

上条が保健室と書かれた扉に差し掛かった、その時である。
勢いよく、その扉が開いた。

生徒「きゃっ」

出てきた女子生徒は、そのまま上条にぶつかり倒れてしまう。

上条「だ、大丈夫ですか?」

生徒「は、はい……」

手を差し伸べる上条。
その手に一瞬戸惑いを見せた女子生徒だが、すぐに手をとり立ちあがった。

生徒「こちらこそごめんなさい、急いでいたもので」

上条「いや、俺は大丈夫です。怪我はないですか?」

生徒「は、はい。大丈夫みたいです」

上条は胸をなでおろす。
どこぞのビリビリと違って、こんなか弱そうなお嬢様に怪我なんてさせてしまったら色々と社会的に終わってしまうような気がしたのだ。

上条「あの、つかぬことをお聞きしますが」

生徒「はい、何でしょうか」

上条「御坂美琴って人の教室はどこか教えていただけますか?」

生徒「御坂さんのお知り合いなのですか?」

上条「へ?」

生徒「あ、あの、私湾内絹保といって、昔御坂さんに助けていただいたことがあって」

上条「そうなんですか……俺は御坂の親御さんに頼まれて授業参観に来たんです」

上条「え?何で知ってるの?」

突然名前を呼ばれて驚く上条だったが
思わず敬語が取れたことに気づく様子はない。

湾内「御坂さんが時々話してるんです、とても素敵な殿方と聞いていまして」

上条「素敵なって……あいつがそんな事言ったのか?」

湾内「素直になれないんですよ、御坂さんは」

かわいらしい笑顔とともにそんな事を云う湾内だったが、当の上条は全く理解していない。

湾内「でも本当に素敵な人のようですね」

上条「え!?おだてても上条さんからはなにもでませんよ?」

湾内「いえ、お世辞じゃないです。私、昔町で絡まれてから男の人が苦手だったんですけど」





湾内「上条さんと話しているとどうしてでしょう、とても安心できるんです」

土御門・吹寄((早速やりやがった……))

土御門「おい、早速フラグをたてやがったぞ」

吹寄「分かってるわよ!でもあれは妨害のしようが……」

土御門「とりあえずかみやんの目的地は分かった。御坂美琴の教室に先回りするぜよ」

吹寄「応!」

先生「―――で、あるからしてこのCは積分定数になるんですね。だからこのCに……」

美琴(もう授業が始まってるけど、あいつの姿は見えないわね……)

美琴(ってなに考えてるのよ私!別にあんな奴のことなんて)

先生「―さん、御坂さん?」

美琴「え、は、はい!」

先生「この問題の答はなんですか?」

美琴「えーと、2/3x^3+2x^2+3+Cです」

先生「正解です」

ガラッ
扉が開き、問題を答えた御坂から一瞬そちらに視線があつまる。

吹寄「堂々と…堂々と……」

吹寄(って何よこの中学、こんなのまだ私たちも習ってないのに)

土御門と話し合った結果、少しでも目立たない吹寄がクラスの中で待機することになったのだ。
ちなみに補足すると、積分法は普通の学校なら高校2年生の内容である。

美琴(随分若い人ねー……誰かの姉妹かしら)

ちなみに吹寄は、せめてもの変装にと前髪を普段より多めにおでこにかけている。
土御門曰く「だいぶ感じが変わったにゃー」とのことらしいが、どうなんだろうか。
どうなのかさっぱり想像がつかないので、誰か可愛らしく書いてください。


3がでるなんて、珍しい不定積分だな

というわけでまたチョットだけAFKなのです。
もう何日かかろうが完結まで書く勢いなので、吹寄さんは俺の嫁なんだよ!

>>66
うわ、色々悩んでるうちに消してた
3=3xに脳内保管しておいてくださいすみません

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