中年「……はい?」
少女「娘は欲しくないかと言っている」
中年「えっと……迷子ですか?」
少女「馬鹿か。あたしみたいな可憐な娘は欲しくないかと聞いているんだ」
中年「……ごめん、おじさん話がよく見えない」
少女「わかれよ。無駄に年食ってるだけか」
中年(……く、口の悪い子だなあ)
中年「えっと、つまりこの店で働きたい、と?住み込みで?」
少女「それでもいい。でも労働は未経験なので、娘を希望する」
中年「えっと、でもお嬢さん、どう見ても中学生くらいですよね?」
少女「おっさんは四十前後だろ?ちょうど良いじゃないか」
中年「いや、この場合、私の年齢は問題ではないと思います」
少女「ある。最低限の年の差がなければ親子になれないから」
中年「まず、そこの話が見えないわけですが……」
参考画像キボンヌ
少女「ママが新しい男を作って出て行った。だからママはもういらない。パパが欲しい」
中年「えっと、お父さんはいないのですか?」
少女「いない。ママは未婚の母とかいう流行のビッチだったらしい」
中年「はやってはいないと思いますが、うーん」
少女「とにかく、おじさんの娘にしてほしい。この店、前から気になっていた」
中年「ああ、娘の話はともかく、それはありがとうございます
脱サラして開いた喫茶店なんです」
少女「学校の帰りに、いつも寄りたいと思ってた。でも、お金がなかった
ママはお小遣いなんてくれなかったし、中学生じゃバイトもできない」
中年「あー……」
>>3
ごめんなさい、絵は描けないんです……
好きな萌えキャラのグラを連想してもらえれば幸いです
中年「どうぞ、オリジナルブレンドです
ブラックのままで苦かったら砂糖とミルクをお好みで入れてあげてください」
少女「いいのか?お金はないぞ?」
中年「いいですよ、店を気に入ってくれたお礼です
営業時間も過ぎましたし、貸しきり状態ですから気にしないでください」
少女「……ありがとう」
ぐ~きゅるる~
少女「ぁぅ……」
中年「ふむ、お腹が空いているのですか?」
少女「ママが出て行ったせいで、お金がない
冷蔵庫も空になってここ三日ほど、何も食べていない
電気と水道はまだ生きているけど、家賃を払えないから
もうすぐアパートを追い出される」
中年「あー……」
少女「……凄い」
中年「足りなかったら言ってくださいね?
トーストもハムエッグもパスタもまだできますから」
少女「いいのか?食べていいのか?お金はないぞ?」
中年「はい、遠慮しないでください」
少女「……(パクパクパクパク」
中年(なんだか小動物みたいですね。子供の頃に飼っていたハムスターを思い出します)
少女「……ぅ」
中年「ん、喉に詰まりましたか?」
少女「……うぇぇぇぇぇぇ」
中年「え?」
少女「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん……」
中年「えっと、あー……」
少女「……ん、美味しかった。おっさん、ヒゲのくせにやるな」
中年「ヒゲは関係ないと思いますが、ありがとう。足りましたか?」
少女「ん、久しぶりに美味しいものを食べた。コーヒーも美味しかった
硬くなった食パンとか、水道水はもう嫌だ」
中年「ところで、お嬢さんは頼れる親戚とかはいないのでしょうか?」
少女「いたら困ってない。ママは兄弟いないし、ママの両親はもう死んでる」
中年(さて、どうするか……)
少女「すー……すー……」
中年「さて、店のソファーで眠ってしまったわけですが、困りましたね」
少女「……ぅぅ……」
中年「……」
少女「……うぅ……」
中年「とりあえず、店も閉めましたし、私は二階の自室で寝ますか……
もう夜も遅いですし、明日決めましょう」
チュンチュン
中年「ん……朝ですか……そういえばあの子は起きたでしょうか?」
――店内
中年「ふむ、いませんね。帰ったのでしょうか……?」
上司「でさー、マスター。部下がそこで受付のお姉ちゃんに言ったんだよ
『僕の家庭の受付になってください!』って。意味わからないだろ?」
部下「ちょっと上司さん!大声でそんなことばらさないでくださいよ!」
中年「まあまあ、いい話じゃないですか。人を好きになるのは素敵なことです」
部下「うう……」
カランカラン
中年「いらっしゃ……」
少女「ただいま帰ったぞおっさん」
客達「!?」
中年「あー……」
上司「へー、親戚の子ねえ」
中年「はい、ちょっと妹夫婦に事情がありまして、しばらくこちらで預かることになりました」
部下「でも、男手一つだと大変じゃないですか?」
上司「ばっか、お前と違ってマスターは炊事完璧じゃないか」
部下「ああ、確かに。でも上司さんも料理できないですよね?俺と一緒じゃないですか」
上司「ばーか、俺はかみさんがいるからいいんだよ、独身のお前と一緒にすんな」
部下「お、俺だってあの子と……」
上司「ぶぅわーか、思いっきり苦笑いされてたじゃないか」
部下「ま、まだまだです!これからですよ!」
中年「ははは……はぁ……」
中年「ありがとうございましたー」
上司「またな、マスター」
カランカラン
中年「……さて」
――二階
少女「ん、終わったか。お疲れおっさん」
中年「えっと、はい。ところでその荷物は?」
少女「学校終った後、アパートに帰って身の回りの物を持ってきた」
中年「ふむ」
少女「そろそろパパって呼んでいいか?」
中年「待ちましょう。その前に解決すべき問題が山ほどあるわけですが」
少女「でも、大家さんに家賃払えないから出て行くって言って鍵を返してしまった」
中年「あ、あー……」
ドンドン!
少女「ぬ?」
??「開けてー!マスター入れてえええ!!」
少女「なんだ、豪快な泥棒か?」
中年「あー、この困難な状況が余計ややこしく……」
??「お水ちょうだあああああああい!!」
??「ふぃー!水うめえ!ミネラル最高ね!」
少女「水道水にもミネラルってあるのか?」
??「マスタ~、この子なに?買ったの?」
中年「あー、いや、ちょっと事情がありまして、話せば長いのですが」
少女「おっさんおっさん、ところでこの酔っ払った駄目女は誰だ?愛人か?」
中年「違います。同じ商店街の花屋さんの娘さんです」
花屋「花屋どえっす!あは~」
少女「……人間こうはなりたくないな」
中年「ノ、ノーコメントで」
花屋「へえ~、リアルに家無き子なのねえ」
少女「同情はいい、パパをくれ」
花屋「あれ?お金じゃないの?」
少女「パパがいればお金も貰える。だからパパの方がいい」
中年「と、そんな事情でこんなわけでして……」
花屋「ふーん、そっか。良かったじゃん、パパ見つかって」
少女「でもこのおっさん、娘が欲しくないみたいだ」
中年「欲しいとか欲しくないとか、そういう問題じゃ……」
花屋「いいじゃんマスター、これも何かの縁よ!」
少女「ねーちゃん馬鹿っぽいけどいいこと言うな。もっと言ってやってくれ」
花屋「そうよ!縁がないだけなのよ!お見合い二十回失敗したくらいで何よ!
この世には花屋に婿入りしても良いっていう、いい男が絶対いるわよ!」
少女「そうか、ねーちゃん美人だけど馬鹿っぽいからな」
中年「さて、明日も店があるので私はそろそろ寝たいわけですが」
花屋「何よ!私だって明日もお店開くわよ!パパがいるから私は午後まで寝るけど」
少女「やっぱ駄目人間だな、ねーちゃん」
中年「とりあえず、この部屋を使ってください
手狭ですが、ドアを開けばリビングのエアコンは届きます」
少女「エアコン使っていいのか?電気代が高いとか言って殴ったりしないか?」
中年「……あー、そんなことはしません」
少女「そうか、おっさんは心広いな」
中年「と、とにかく私は寝ます……あなたも学校があるでしょう?」
少女「ああ、学校は好きだ。誰も私を殴らない」
中年「そうですね、殴られて嬉しい人なんていませんよね」
少女「でも、ママは時々男連れ込んで『もっと!もっとぶって!』とか言ってたぞ」
中年「あー……」
中年「ふーむ」
少女「どうしたおっさん、食わないのか?遠慮するな」
中年「はい、私が自分で作った朝食ですから遠慮はしません」
少女「そうか、あたしは遠慮した方がいいのか?」
中年「いえ、育ち盛りですから、ちゃんと食べてください。朝食を抜くのはよくないです」
少女「そうか、ありがたいな」
中年(うーん、本当にどうしましょう)
カランカラン
花屋「ちわっす、マスター昨晩はごめんね~」
中年「あー、こんにちは。いえ、結構ですよ。いつものことですから慣れました」
花屋「あははは……そうか、そんなに私ってば飲みの帰りに押しかけてるのね……」
中年「いつもので良いんですか?」
花屋「あー、そろそろ暑いからアイスで頼みまっす」
中年「はい」
花屋「ところでマスター、あの子は?結局どうするの?」
中年「とりあえず空いている部屋を使わせてますが、どうしましょう」
花屋「いいじゃん、娘にして欲しいって言ってるんだから、娘にしちゃいなよ」
中年「いや、簡単に言いますけどね……」
花屋「でも、行くとこないんでしょ?どうするの?」
中年「あー……」
少女「ただいま帰ったぞおっさん」
中年「おかえりなさい」
花屋「やっほー」
少女「飲んだくれのねーちゃん。今日は酔ってないのか。普通に見えるぞ」
花屋「お酒飲まなきゃ普通よ、普通」
少女「うん、でもなんかやっぱり馬鹿っぽい。喋り方とか」
花屋「なっ」
中年「お客さんに毒を吐いてないで、二階に行きましょうね」
中年「というわけで、娘にはしませんが、とりあえずここに居ていいです」
少女「ほんとか?」
花屋「良かったねー、少女ちゃん」
中年「はい、ここで放り出すわけにもいきません。何かの縁だと思うことにしましょう」
少女「おっさん心広いな。やっぱり」
花屋「マスターいい人だからねー」
少女「なんだ、ねーちゃんはおっさんに惚れてるのか?」
花屋「え、いや、そういうわけじゃないけど……」
中年「子供の冗談に困らないでください。誤解されます」
花屋「あ、あはは、そうだよね、そうですよね……」
少女「おっさんも今日は休みなのか?客商売で日曜に休んでいいのか?」
中年「ええ、この辺の人達は日曜日には遠出しちゃいますからね
商店街が賑わうのはむしろ平日なんです」
少女「ふーん、そのうち寂れそうだな」
中年「……それを絶対商店街の人達に言ってはいけませんよ?」
少女「ん、なんでだ?」
中年「夕方、商店街の皆さんに挨拶回りに行きます」
少女「おお、社会性ってやつか、さすがだな」
中年「あなたは私の妹夫婦の娘ということになっています。そのつもりで頼みます」
少女「でも花屋のねーちゃんは事情知ってるぞ?平気なのか?」
中年「大丈夫です。花屋さんの弱みは私の方が沢山握っていますので」
少女「あのねーちゃん、隙だらけだもんな」
中年「そういうわけでして、よろしくお願いします」
少女「します」
魚屋「はっはっは、礼儀正しい子じゃねーか!
昨日の売れ残りでよければタコ持ってくか?」
少女「デビルフィッシュ?」
魚屋「なんだ?デビルマンがどうしたって?随分と古い漫画知ってるんだな」
中年「あ、あはははは、ま、漫画が好きみたいでして……」
少女「そうなのか?」
魚屋「まあ、タコ持ってきなよ!ちゃんと火を通してな!」
少女「茹蛸か。魚屋のおっちゃんも風呂に入ったらきっと……
中年「ありがとうございます!美味しく夕飯に使わせてもらいます!」
魚屋「そうかい!お嬢ちゃんも食べてくれよ!」
少女「モガー」
――帰宅
少女「なあ、魚屋のおっちゃん、ハゲに捻りハチマキは何かを狙ってるのか?」
中年「お願いします、私の社会関係を壊さないでください」
花屋「でさー、そしたらママが後ろにいて、パパ真っ青になっちゃったのよ~」
中年「まあ、口は災いの元ですからねえ」
少女「なあ、時におっさんや?」
中年「なんですか?」
少女「なんで花屋のねーちゃんは当たり前のようにここでタコ食べてるんだ?」
中年「よくわかりませんが、花屋さんは店を閉めた後、平気で二階に上がってきます」
花屋「でさー、やっぱ夫婦って許し合いの精神が肝心だと思うのよー」
少女「ねーちゃんは周囲に許されてばかりな気がする。あたしが言うのもなんだけど」
中年「言ってません。私は何も言ってません」
花屋「え?なんか言った?でさー」
少女「おい、おっさん。このねーちゃん人の話聞かないのな」
中年「いつものことです」
少女「おっさん、大変だ」
中年「どうしました?」
少女「生理用品が切れた」
中年「……」
少女「どうしよう。ティッシュ突っ込めばいいのか?」
中年「すいません、お小遣いのことを考えていませんでしたね
毎月決まった額をあげますから、その中でやりくりしてください
何か特別な出費が必要な時は、言ってくれればその都度考えましょう」
少女「そうか、じゃあとりあえず生理用品買ってくれ。タンポンよりナプキンがいい」
中年「すいません、花屋さんに電話してみます」
少女「おっさん、大変だ」
中年「今度はなんですか?」
少女「ブラがきつくなってきた。どういうの買えばいいかな?」
中年「わかりました、あなたに携帯を買ってあげます
そういうことは花屋さんに頼んでください。お金は私が出しますから」
少女「そうか、助かる。ところでスポーツタイプが好きなんだが、どうだ?」
中年「すいません、また花屋さんに来てもらいます。今すぐ」
中年「というわけで、やはり色々と問題だと思うのですが」
花屋「うーん」
少女「あれか?おっさん、あたしに欲情するのか?」
中年「そういうことではないのですが、やはり倫理的にまずい気がするのです」
花屋「まあ、その手のことは学校で保健の先生に聞くか、あたしに相談してくれればいいじゃない」
中年「あー、まあ、できるだけそうしてもらえると助かります。すいません」
少女「おっさんって腰低いよな」
中年「……はい」
少女「さて、夏休み入ったわけだが、おっさんは店休まないのか?」
中年「休もうと思えば数日締めても平気ですが、休む予定はあまりないです
夏場は商店街の皆さんの寄り合い所的に活用されますので」
少女「そうか、身内で金を回しあってるんだな」
中年「まあ、そういう部分はあります。私も食材や日用品はこの辺で済ませますし」
少女「あれ?でもそれじゃ仕入れに使ったり税金で商店街の金って目減りしていかないか?」
中年「商店街の中だけで回してたらそうなりますが、普通のお客さんもいますから大丈夫です」
少女「そうか、金の流れってよくわからないな」
中年「経済に目覚めましたか」
少女「金があれば嫌な想いをしないで済むみたいだから」
中年「……まあ、悪いことじゃないですね」
魚屋「だからよ、やっぱりDNAが入ってる魚の方が偉いってんだよ!」
少女「……DNA?」
中年「DHAのことでしょう」
肉屋「ふん、魚なんか寄生虫の溜まり場じゃねーか!
サバなんかアニサキスが怖くて食えるかってんだ!」
少女「おおう、それは怖いな」
魚屋「なんでい!豚肉に比べりゃ生で食える魚の方が新鮮だってんだ!
質の悪い豚肉にコーラかけてみやがれ!ウジみたいなのが湧いてくらあ!」
少女「なあ、おっさん?」
中年「なんですか?」
少女「こういうの、営業妨害って言わないか?あたし食欲なくなってきたぞ」
中年「……大事なご近所様ですから」
少女「大人って大変なんだな」
花屋「じゃっじゃじゃーん!」
少女「なんだ?そのヒラヒラした服は」
花屋「メイド服よ、メイド服」
少女「おお、旬はとうに過ぎた感があるが、あの噂の」
中年「……時に伺いますが、それをどうする気ですか?」
花屋「ほら、少女ちゃん学校休みだし、これ着せてウェイトレスやらせたらお客倍増よ!」
少女「おお、大儲けか?金になるのか?」
花屋「そうよー、この店が儲かれば少女ちゃんのお小遣いも増えるし、マスターの結婚資金だって!」
少女「おっさん結婚するのか?誰とするんだ?あたしか?あたしは娘がいいぞ?」
花屋「え、いや、それはやっぱり……」
中年「妄想を楽しんでいるところ申し訳ないのですが、メイド服とか、そういうのは要りません」
花屋「そうですよね、すいません、わかってました……」
少女「強く生きろよ」
花屋「花火をしましょう!」
中年「唐突ですね」
少女「花火ってあれだろ?ヒューンって飛んでいって、人に当てるやつだろ?」
中年「違います」
花屋「そうよー、花火っていうのは部屋の電気を消してバケツの中で……」
中年「それも違います」
少女「難しいんだな」
中年「いえ、そういうわけではないのですが……」
少女「なあ、おっさん」
中年「なんですか?」
少女「やっぱり、あたし手伝う」
中年「ふむ」
少女「メイド服を着ればおっさんが儲かるなら、着る」
中年「それは色々な意味でやめましょう」
少女「でも……」
中年「……ありがとう。その気持ちだけで嬉しいですよ」
少女「でも、おっさんはおっさんで、パパじゃないだろ?」
中年「そうですね、私はもう人の親にはなりません。そんな資格はないんです」
少女「?」
中年「でも、あなたのことは責任を持ってなんとかします
だから変な気は使わないでください」
少女「……ううむ」
少女「と、おっさんは言うのだが」
花屋「うーん、メイド服の話はあたしにも責任があるけど
マスターがそういうなら、それでいいんだと思うわよ?」
少女「うーむ」
花屋「……ねえ、少女ちゃんはマスターのことが好きなの?」
少女「好きだ。おっさんが本当のパパだったら良かったのにと毎日思って生きてる」
花屋「そうよねー、マスター優しいし、渋いもんねー」
少女「でも、もう人の親にならないって言ってた」
花屋「え゛」
少女「そんな資格はないって。親の資格ってどこで取るんだ?教習所とかあるのか?」
花屋「……」
花屋「ちょっとマスターどういうことなの!?わたしとのことは遊びなの!?」
中年「……は?」
花屋「少女ちゃんが言ってたの!『もう人の親にならない』って何!?前は人の親だったの!?」
中年「あー……」
少女「……すまん、ねーちゃんがおかしくなった」
中年「ふーむ」
花屋「わたしと結婚してくれると思ってたのに!酷いわ!よよよよよよ……」
中年「えっと花屋さん、事情はお話しますから、落ち着いてください
というか、遊びとか結婚とか、なんのことでしょうか?」
花屋「ごめんなさい、ちょっと夢見たかったんです……」
少女「難儀なねーちゃんだな」
中年「というわけで、サラリーマン時代に妻と子供がいたのです」
花屋「えっと、いたってことは、今は……」
中年「ええ、仕事仕事で家を省みなかったせいでしょう
妻は愛想を尽かして出て行きました。息子を連れて」
少女「おっさん悪い奴だったんだな」
中年「……」
少女「あ、すまん。凹ませるつもりじゃなかったんだ」
中年「いえ、いいんです。実際、息子にも言われました
母さんを泣かす父さんは悪い奴だと」
少女「殴ったりしたのか?」
中年「いえ、暴力は嫌いですから、そういうことはないです
ただ、仕事が面白くて、家族というものが邪魔に感じていたんです、あの頃は」
少女「ワーカーホリックか」
花屋「時々変な言葉知ってるのね少女ちゃん」
花屋「それで、今はご家族とは?」
中年「もう家族じゃないんですけどね、離婚しましたし」
花屋「……」
中年「妻はもう再婚してましてね、息子の養育費すら受け取ってもらえません」
花屋「……それで会社勤めを辞めて、このお店を?」
中年「はい。息子の私を見る目を通して、自分を見てしまったんです
そうしたらそれまで私の全てだった仕事になんの意味も見出せなくなりました」
少女「何が見えたんだ?」
中年「……少なくとも、そこに父親はいませんでした」
少女「ぬう」
中年「だから私はあなたの父親にはなれません。そういう人間ではないんですよ」
少女「……でも」
中年「え?」
少女「おっさん、反省してるんだろ?今は変わったんじゃないのか?」
中年「……そうでしょうか?変わった振りをしているだけかもしれません
私は今も息子の言った悪い人のままだと感じられてならないのです」
少女「そんなことないっ!」
中年「!?」
少女「おっさん言ったじゃないか!あたしのことは責任持ってなんとかしてくれるって!
おっさんは悪い人なんかじゃない!少なくともあたしにとっては違う!」
花屋「少女ちゃん……」
少女「あたし……ママがビッチで……これまで最悪の人生だったけど……
パパがいないから、もし自分にパパがいたら……て自分を慰めてた……」
中年「……」
少女「理想のパパを想像して……自分を慰めて……
でも現実にいるわけがないって気付いて……諦めそうだった時に……
……おっさんに出会ったの」
中年「少女……」
少女「初めは、学校帰りに見かけて、なんだか小洒落たおっさんだなーと思ってて……
植え込みに水をあげてるところとか……店の中でカップを磨いてるところとか……
すごく……すごく優しそうで……お店が温かく見えるのってこの人がいるからだって……」
花屋「少女ちゃん……」
少女「だから……だから、おっさんがあたしのパパだったらって……あたし……」
中年「……」
少女「だからおっさんは悪い奴なんかじゃない!
そんな風にあたしの……あたしのパパを言わないでよ!」
中年「……済まない」
少女「うぅ……ひっく……」
弁護士「はい、じゃあ書類はこれで結構です
元の親の同意は得ていますから、裁判所の許可は問題なく下りるでしょう」
中年「はい、よろしくお願いします」
弁護士「はい、それでは」
カランカラン
花屋「……良かったけど、なんだかねえ」
少女「すんなり許してくれて良かったじゃないか
あたしはママのことだから、絶対に金を要求されると思ってたぞ」
中年「まあ、扶養責任を放棄してますからねえ。逆に訴えられても困るのでしょう」
花屋「ふーん、二人とも割り切ってるのねえ」
少女「だってパパだぞ?もうすぐおっさんがパパになるんだぞ?」
中年「うーん……」
少女「なんだ?おっさん嬉しくないのか?やっぱり迷惑なのか……?」
中年「いえいえ、そういうことではなくて、なんと言うか、その……」
花屋「照れくさいのよね?パパって呼ばれるのが」
中年「あー……」
少女「なんだ、パパって呼ばれるの嫌なのか?とーちゃんとかの方がいいのか?」
中年「いえ、それはあなたの口調もあって、色々と問題です。やめましょう」
少女「??」
中年「いいですよ、あなたの呼びたいように呼んでください。もう逃げないですから」
少女「そうか!じゃあやっぱりおっさんはパパになるんだな!」
中年「……はい、そうですよ」
少女「そうか!やったな!」
花屋「ところでお喜びの少女ちゃんに提案があるんだけど~」
少女「?」
花屋「わたしのことを、ママって呼ぶ気はないかしら?」
中年「ぶっ」
少女「なんでだ?ママはもういらないぞ?」
花屋「いやいや、これまでのママじゃなくて、新しいママは欲しくない?」
少女「うーん……」
花屋「……(ドキドキ」
中年「……(違う意味でドキドキ」
少女「そうだなー……」
中年「ストップ」
少女「ぴっ」
花屋「ええええええええ!ちょっとマスター!酷い!」
中年「いえいえ、ほら、花屋さんには花屋を継いでくれるお婿さんが必要ですから!
私にはこの店がありますから!無理ですから!」
花屋「いいです、パパとママの代で潰すます!」
中年「駄目です!お父さんとお母さんが悲しみます!」
花屋「二人ともわたしの幸せが一番だってわかってくれるわよ!」
中年「そんな無茶な……」
花屋「いいじゃない!わたしも幸せになりたい!ママって呼んで少女ちゃん!」
少女「なあパパ?やっぱり難儀だな、このねーちゃん」
中年「はい……」
花屋「いき遅れとか言うなー!」
中年「落ち着いてください!誰もそんなこと言ってませんから!幻聴です!」
花屋「二人ばっかりずるいいいいい!!!!」
∧_∧
ry ´・ω・`ヽっ第一部、少女編が終わったよ!
`! i 都合が良すぎたね!山もなかったし!
ゝ c_c_,.ノ
(
)
.∧ ∧.(
(´・ω・∩仕方がないから第二部の花屋編で地獄を見てもらおうね!
o ,ノ いじめは良くないけどね!
O_ .ノ
━━
花屋「うう……二人の裏切り者……幸せのお裾分けはないのかしら……」
服屋「よくわからんが、多分お前が悪い」
花屋「何よ!なんであたしが悪いのよ!」
服屋「お前とは幼稚園からの腐れ縁なわけだが
基本的にたいていのことはお前が悪かっただろう」
花屋「何よ!眼鏡にポニーテールとかどんなセンスよ!」
服屋「なんだ、私のファッションセンスに文句があるのか?」
花屋「二十歳すぎてポニーテール(笑)とか。フレーム眼鏡(笑)」
服屋「いいだろう、挑戦と受け取った」
飲み屋のオヤジ「おいおい、勘弁してくれよ二人とも」
花屋「だって!ずるいいいいい!私も幸せになりたい……いき遅れとか言われたくない……」
服屋(ピクッ)
花屋「あんたも言われてんのよ、商店街の寄り合いとかで」
服屋「二十代前半でいき送れと言われる筋合いはないな」
花屋「でも実際に言われてるんだもん!ママが笑いながら教えてくれたの!」
服屋「しかしそんな目的で男を漁る気にはならないな」
花屋「わたしもお見合い懲りた……」
服屋「二十回か」
花屋「回数のことは言わないで……凹む……」
服屋「しかし今は喫茶店のマスターを狙っているんだろう?」
花屋「一応……」
服屋「私は挨拶くらいしかしないが、お前の話によればバツイチな上に養子がいるんだろ?」
花屋「そうよ、なんか文句あるの?」
服屋「文句はないが……ふむ、そうか、そんなに良い男なのか?」
花屋「ふん、あんた見たいな二十歳すぎて生娘のままな奴にはあの渋さはわからないかもね」
服屋「待て、お前だって年齢=彼氏いない歴だろう。なんだその上から目線は」
花屋「伊達にお見合い二十回なんてしてないもん!
マザコンとかオレサマ野郎はすぐわかるもん!」
服屋「ふむ、それであの店のマスターに行き着いたのか」
花屋「そうよ……余裕があって……包容力があって……優しくて……冷静で……ちょっと影があって」
服屋「……ふむ」
カランカラン
中年「いらっしゃい」
服屋「……どうも」
中年「おや服屋の娘さん、珍しいですね」
服屋「ええ、ちょっと美味しい珈琲が飲みたくなりまして」
中年「そうですか、今日も暑いですし、アイスにしますか?」
服屋「いえ、ホットで。コロンビアをお願いします」
中年「わかりました、少々お待ちください」
服屋「……(ジー」
少女「じー」
服屋「うわああああ!?な、なんだ!?」
少女「パパ、この眼鏡ねーちゃんリアクションいいな」
服屋「パパ?」
中年「ああ、すいませんすいません……今度養子縁組をした娘なんです」
服屋「なるほど」
カランカラン
花屋「うー、マスター……って、おい!」
服屋「よう、ここの珈琲はなかなか美味しいな」
中年「いらっしゃい花屋さん」
花屋「えっと、なんで和やかな雰囲気醸し出してるの?」
少女「おっすねーちゃん、この眼鏡ねーちゃん結構面白いぞ」
服屋「そうか?少女、君もなかなかだぞ」
花屋(ちょっと!なんであんたがここにいるのよ!)
服屋(お前があまりに褒めるものだから見てみたくなってな)
花屋(やめてよね!ここはあたしのサンクチュアリなんだから!)
服屋(なかなかいい男じゃないか、多少年があれだが)
花屋(くそっ……こいつに話すんじゃなかった)
少女「なあパパ?なんか今日ねーちゃん怖くなかったか?」
中年「ああ、花屋さん機嫌悪そうでしたね。どうしたんでしょう?」
少女「やっぱりママって呼んであげないと駄目なのか?」
中年「いやいや、それは呼ぶほうが駄目です。色々な意味で」
少女「ふむ、あれか?パパはねーちゃん嫌いなのか?」
中年「嫌いというわけではないですが、事情というものが」
少女「あれか?やっぱり店終わってからも押しかけてくるところとかが駄目なのか?」
中年「まあ、時と場合によっては正直ちょっと迷惑に感じることはありますが
君のことで色々お世話になりましたし」
少女「義理と人情ってやつだな。義理が重いんだな」
中年「ええ、そうです。義理はとても大事です」
花屋(ガクガクブルブル)
花屋「もう駄目だ……生きる気力が湧きません……」
花母「何言ってんだい、沸いているのはあんたの頭でしょう」
花父「まあまあ母さん、娘だってアンニュイな気持になることはあるさ、そっとしておいてやろう」
花母「まったく……あ、そうね、じゃあ娘には留守番しててもらいましょうか
今晩はお寿司食べに行きましょう!たまには夫婦水入らずで!」
花父「おお、たまにはいいな母さん!」
花屋「……少女ちゃんとはレベルが違うけど、あたしはあたしで親に恵まれてないと思う」
服屋「へえ、マスターは東京で証券会社にお勤めだったんですか」
中年「ええ、今はこうしてしがない喫茶店の主人ですが」
少女「でもパパこっちの方が性にあってるんだろ?」
中年「そうですね、おかげで娘もできましたし、これで良かったと思っています」
服屋「お優しいんですね」
中年「うーん、自分ではあまり……」
少女「パパ優しいぞ!迷惑な人間でも、近所づきあいとかで我慢できるくらい!」
中年「こら、そういうことは……」
服屋「ああ、東京に比べればこのへんは近所付き合いが濃いですからね」
少女「そうなのか?やっぱり東京の人間は冷たいのか?でもパパ優しいぞ?」
服屋「そうだね、マスターは優しそうだ」
中年「う、う~ん……」
花屋(店に入れない……色々な意味で入る勇気が持てない……)
花屋「……しょぼん」
少女「おお?どうした迷惑なねーちゃん」
花屋「ぐはっ!」
少女「おおう。なんか爆発した」
花屋「少女ちゃん、わ、わざと言ってるわけじゃないのよね?」
少女「何がだ?よくパパに『君は毒舌だから言葉には注意しなさい』って怒られるけど、そのことか?」
花屋「悪意がなければないで、かえって辛いものが……」
花屋「……居場所がない……家には居づらいし、喫茶店にも行きにくし……」
飲屋のオヤジ(以下、飲屋)「だからって酒ばっか飲んでると身体に悪いぞ花ちゃん!」
花屋「うっさいわね……飲み屋なんだから黙って客に酒出しなさいよ……」
飲屋「まったく、嫁入り前の娘がどうなってんのかね?最近の若いもんは……」
花屋「いき遅れじゃないもん!まだ若いもん!」
飲屋「だああ!だから若いもんって言ってんじゃねえか!」
花屋「幸せになりたいよう……」
服屋「そうですか、そんなことがあったんですか……」
中年「ええ、お恥ずかしい……」
服屋「いえ、そんな!とても素晴らしいことだと思います!」
少女「そうだぞ?パパの娘になれて、あたし幸せだぞ?」
中年「二人とも……」
花屋「ちょぉぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
服屋「どうした、そんなに飲んだくれて」
花屋「どうしたじゃないわよ!あんた、何さらっとあたしのポジション奪ってんのよ!」
服屋「なんの話だ?私はここの珈琲が美味しいし、
マスターや少女と話すのが楽しくて常連化しているだけだが?」
花屋「それが私のポジションでしょ!しかもあんた、私の気持ちをわかってて!」
服屋「人間というものは常に様々な面で競争を強いられる生き物だろう?
囚人のジレンマって知ってるか?競合は協調に対して優位なんだよ」
花屋「きー!眼鏡してるからって薀蓄語って上から目線で喋ってるんじゃないわよ!」
服屋「ふん、専門学校卒のお前と違って私は大卒だからな」
花屋「大学っていったって美大じゃない!就職には専門学校の方が強いんだから!」
服屋「お前の場合、最初から実家を継ぐ予定だったろうが。私もそうだ」
花屋「口ばっかりの眼鏡女!」
服屋「ふん、教養ゼロのアーパー女よりマシだな」
少女「パパ、なんだこいつら?馬鹿か?」
中年「それが真実だとしても、口に出さない方がよいことがあるのです」
花屋&服屋「「なっ」」
少女「なあパパ?あの二人ってパパのこと好きなのか?
どっちか選んでママって呼ばなきゃ駄目か?」
中年「いえ、どっちも呼ばなくていいです。私は彼女達の家業を継げませんから」
少女「うーん、そっか」
中年「そうです、君は何も心配しないでいいんですよ。何があっても私の大切な娘です」
少女「パパ……」
花屋「うう……マスターの裏切り者……」
服屋「何も裏切ってないだろう、お前の勝手な思い込みと願望だ」
花屋「あんたも裏切り者だ……みんな嫌いよ……」
服屋「しかし確かにあれはいい男だな、最近では珍しい本当の紳士だ」
花屋「でしょ……そうなのよ……ジェントルメンなのよ……」
服屋「なんで複数形なんだ」
花屋「複数形ならあたしのところに一人くらい回ってくるのに……」
服屋「深いな、おい」
大丈夫かどうかは怪しいよ!しかし今はSSを書くしかできないんだ!病気だね!
服屋「大変だ」
花屋「なによ……」
服屋「喫茶店に新たな常連が」
花屋「なに?」
本屋「そうなんです~。だからヘミングウェイよりも、
フィッツジェラルドの方が好きなんです~」
中年「なるほど、確かに情緒の繊細さ、時代の移り変わりに翻弄された作家の人生史が
あなたにとって重要な要素になるわけですね?」
本屋「そうなんです~。最近はインターネットとかの発達が凄いですよね~?」
中年「そうですね、様々なことが大きく移り変わろうとしています。過渡期ですね」
本屋「だからこそ、サリンジャーやフィッツジェラルドが再評価されるべきだと思うんです~」
――店外
花屋(ちょっと何よあれ!)
服屋(知らん、東京から帰ってきた本屋の婆さんの孫娘らしい。後を継ぐんだそうだ)
花屋(だからってなんであんなに和気藹々と談笑してんのよ!)
服屋(英米文学は私の専門外なんだよ!
マスターがそっち方面好きだったとは……)
花屋(なんなのよもう……)
本屋「だからカズオ・イシグロなんかはもっと直接的な時代への郷愁だと思うんです」
中年「確かに、描き出される情景そのものは日本人の私にとっては馴染みはありませんが
郷愁や懐古という感情そのものは理解できます」
本屋「そうなんです~。うふふ~マスターさんみたいな話せる人がいて、
とっても嬉しいです~。帰ってきて正解でした~」
花屋(ちょっとあいつ何さらっと媚びたこと言ってんのよ!)
服屋(うーむ、ジャンル的に勝てそうにない……)
少女「なにしてんだねーちゃん達?」
花屋&服屋「「うわああ!!」」
カランカラン
花屋&服屋「「あ」」
中年「おや、いらっしゃい。ん、娘もおかえりなさい」
少女「ただいま帰ったぞー」
本屋「??」
本屋「そういうわけでこれからよろしくです~」
花屋&服屋「「はあ……よろしく……」」
少女「でかい乳だな、これ」
ボインボイン
本屋「あんっ」
中年「ちょっ、こら!すいません……」
本屋「あら、ごめんなさい、はしたない声を……」
中年「い、いえ……」
花屋「か、形なら負けてないもん!サイズだって手頃だもん!」
服屋「落ち着け、意味不明な張り合い方をするな」
少女「眼鏡ねーちゃんは、あたしと一緒であんまないのな」
ふにゃ
眼鏡「あぁんっ!」
中年「こら!」
花屋「もうやだ……」
少女「なあパパ?パパはオッパイはおっきー方が好きか?」
中年「いや、そういうのはあんまり気にしていません」
少女「ふーん、そういうもんか」
中年「ええ、女性の価値は胸で決まるわけではないのです」
少女「でも、あの本屋のねーちゃんの胸すごかったな」
中年「……ま、まあ」
花屋(ちょっと!マスターなに顔を赤らめてるのよ!)
服屋(待て、それ以前にこういうのは盗み聞きというか、不法侵入のレベルじゃないのか?)
花屋(わたしだって結構サイズあるのに!)
服屋(……感度なら私だって(ボソッ)
本屋「いらっしゃ~い、って、あら?少女ちゃん~?」
少女「あ、乳ねーちゃん」
本屋「あらあら……(ポッ」
少女「うーむ、ほんとにでかいな。何食ったらこうなるんだ?」
本屋「えっと……ぎゅ、牛乳かしら~?」
少女「牛乳か。あたしも毎日飲んでるぞ?でもちょっとしか大きくならないんだ」
本屋「うふふ~少女ちゃんはまだこれからよ~」
少女「若いからか。じゃあ、若くない眼鏡ねーちゃんは絶望的なのか?」
本屋「えっと……(汗」
少女「そうだ、パパにお使い頼まれてたんだ」
本屋「そ、そうよね~用事があるのよね~(ホッ」
――喫茶店
服屋「なんだろう……何か物凄い悪口をどこかで言われている気がする」
花屋「はあ?被害妄想じゃないの?」
中年「……」
少女「パパ!あたし大きくなったらパパの嫁さんにクラスチェンジできるのか?」
花屋&服屋「「ぶっ」」
本屋「あらあら~」
中年「……それは無理です。色々な意味で」
少女「そうなのか?じゃあ、やっぱりこの三人の誰かがあたしのママになるのか?」
中年「こら!すいません、娘が……って、あれ、なぜ皆さんそんな真剣な顔を?」
花屋「……そろそろ決着をつける時だと思うんだわ、わたしとしては」
服屋「同感だな」
本屋「??」
少女「乳ねーちゃんは空気読めないって通信簿に書かれるだろ」
服屋「私の利点は知性だ。そしてマスターとも少女とも和やかに話せる協調性と適応力だな」
花屋「でも、話なら本屋さんの方が合ってるじゃん」
服屋「ぐっ!で、ではお前は私に勝っている部分はあるのか?」
花屋「ふふん、あんたの貧弱な胸に負ける女を探す方が難しいんじゃないの?」
服屋「む、胸のことは言うな!それに胸のことで言ったらお前より本屋さんが上だろ!」
花屋「ぐっ!恐るべし本屋さん……」
少女「なあパパ?やっぱりこの二人、馬鹿だと思うぞ?」
中年「……ノ、ノーコメントで」
本屋「??」
中年「……いっそ、引っ越しますか」
少女「なんだ?突然どうした?借金か?夜逃げか?」
中年「いや、最近あの三人……というか、実質二人なのですが
彼女達が連日店で騒ぐので、他のお客さんが寄り付かなくて……」
少女「あー、なるほど。ねーちゃん達ってやっぱり迷惑な馬鹿なのか」
中年「いや、そこまではいいませんが、赤字が続くとちょっと……
解決策もないので慢性化されると非常に困るわけで……」
少女「パパが誰かを選べばいいんじゃないのか?」
中年「う、う~ん……」
花屋(ガクガクブルブル)
服屋(……反省)
本屋(??)
花「……しょぼん」
服「反省だな……」
本「あの~なんで私ここにいるんですか?」
飲「おっ、ねえちゃん新顔だね?」
本「あ、先日この町に帰ってきました、本屋の娘です~よろしくお願いします~」
飲「ああ、母ちゃんが言ってた子だな!なるほど、美人さんだねえ!」
本「あらあら~(ポッ」
花「こいつ、どこでもフェロモンばらまいてるのな」
服「……私は降りた」
花「え?」
服「もともと、お前に対する嫌がらせみたいなものだったしな、私はもう降りる」
花「服屋……」
服「だから、あとはお前達の問題だな」
本「??」
花「よし!じゃあ本屋さん!あんたはどうなの!?」
本「えっ?」
花「あたしは好き!マスターのことが大好き!あんた達よりもずっと前から好きなんだから!」
本「えっと……なんの話をしているんですか?」
花「とぼけないでっ!あんたもマスターのことが好きなんでしょ!?」
本「……私が?」
花「そう!あんたが!」
本「マスターを……好き?」
花「そうなんでしょ!」
本「えっと……私、レズビアンなので、男の人はちょっと……」
花&服「「はっ?」」
本「どちらかというと、服屋さんみたいな細身でスタイリッシュで知的な女性の方が…・…(ポッ」
服「へ?」
飲「安心しろ、飲み屋には守秘気味というものがある。俺はここでは何も聴いちゃいねえ」
――郊外のホテル
服屋「あぁんっ!駄目っ、駄目よ本屋さん!そんなとこ舐めちゃぁぁぁぁ……あぁんっ!」
本屋「うふふ~服屋さんは感じやすいんですね~可愛い……」
服屋「あっ、いやっ、クリトリスを吸っちゃいやぁぁぁぁっ!おかしくなっちゃう!」
本屋「いいんですよ~。気持ちよくなってください、いってください~」
――飲み屋
花屋「……ねえ、オヤジさん」
飲屋「なんだい、花ちゃん」
花屋「人間って怖い」
飲屋「……そうだな」
花屋「というわけでごめんなさい……」
中年「いえ、わかってくれればいいんです、花屋さんも大事なお客さんですから……」
少女「おお、じゃあ引越しはなしか?」
中年「そうですね、もともと決めていたわけではないですし」
花屋「でも……」
中年「?」
花屋「わたし……マスターのお客さんじゃ嫌……ご近所さんもやだ……」
中年「花屋さん……」
少女「ねーちゃん……」
花屋「……マスターはそんなにあたしのことが嫌ですか?」
中年「いえ、そういうわけでは……」
花屋「馬鹿だからですか?鬱陶しいからですか?迷惑かけるからですか?」
中年「いえ、ですから嫌いではないです
むしろ娘のことで色々とお世話になりましたから、感謝しています」
花屋「でも、引越しを考えさせるくらい迷惑かけてたんですよね……あたし」
中年「あー……」
少女「修羅場だな」
花屋「……どうしてもあたしのことを好きになってくれないんですか?」
中年「う、う~ん……好きか嫌いかで言えばもちろん好きなのですが……」
花屋「じゃあ抱いてよ!娶ってよ!」
少女「剛速球だな」
中年「ちょっ、落ち着いてください花屋さん!子供の前ですから!」
花屋「駄目!もうあたし我慢できないの!」
少女「ちなみにパパ、あたしは別に構わないぞ。ママがよく隣の部屋アンアン言ってたから」
中年「いや、そうかもしれないですが……」
花屋「何が駄目なんですか?花屋を継ぐのは私が一人でやりますから!」
中年「……わかりました、本当のことをお話します」
少女「おお、なんか秘密があったのか」
花屋「……(ゴクリ」
中年「正直に言えば、私は花屋さんのことが好きです
花屋さんと少女さんさえよければ再婚したいとすら思っています」
花屋「え!」
少女「そうか、あたしはねーちゃんがママでも構わないというか、結構嬉しいぞ」
花屋「少女ちゃん!」
少女「あぐぐ、抱きしめるな苦しい……」
中年「ですが、そういう問題ではないのです」
花屋「な、なんでですかっ!何が問題なんですかっ!」
中年「恥ずかしながら、私は勃たないんです、もう」
花屋「へ?」
少女「そうか、パパはインポだったのか」
少女「でもパパ、今はバイブとかあるから、ねーちゃんさえよければ平気だぞ?」
中年「いえ、お見合いの失敗後の愚痴を散々聞かされていたので
花屋さんの結婚願望は重々承知しています」
少女「おお、満たされない期間が長いほど、期待もでかくなるんだな」
中年「だからこそ、EDの私には花屋さんの新婚生活を充実したものにはできません
ですから……駄目なのです」
花屋(ポカーン)
少女「おお、かたまっとる」
中年「……」
花屋「そんな、マスターがインポだったなんて……」
中年「黙っていてすいません。しかし、どうしても言えませんでした……」
花屋「そんな……そんな、わたし……ごめんなさいっ!」
ダッ!
少女「あっ、ねーちゃん!?」
中年「……」
少女「なあパパ、生の肉棒ってそんな大事なもんなのか?」
中年「私の口からは上手く言えないが、そこはわかってあげなさい」
少女「ふーん、エロイんだな、大人って」
中年「すまん……花屋さん……不甲斐ない私ですまない……」
少女「まあ、困ったらあたしがパパの嫁になってやるから平気だぞ?
あたしは勃起不全でも平気だから」
中年「……その気持ちだけはありがたく貰っておくよ」
少女「えへ!パパ大好きなんだぜ!」
――夜行列車
ガタンゴトン ガタンゴトン
花屋「もう……あの街には帰ることもないのね……
さようなら……皆……私は東京でビッグコックを持ったダンディな人を探します……」
――郊外のホテル
服屋「あぁん!もうダメェェェェェェ!!お尻の穴はらめぇぇぇぇ」
本屋「うふふ~二穴責めはどうですか~?」
服屋「い、いくっ!また言っちゃう~!!」
本屋「うふふ~、これで服屋さんは私のものですわ~」
服屋「うん……女もいいもんだな……」
∧
∧ ミ゚、。`フ 地獄と呼ぶには生温かったねEND
(゚、。`ルvvハ, 第二部は終わったけど、続き書くの?
(uu ,,ミuu ,,,キo ……終わりでいい気がするんだEND
深夜から朝っぱらにかけて色々と申し訳ありませんでした
けれど読んでくれてありがとうございます
二部は地獄と呼ぶにはあまりにも生温い終わり方だったので
やはり眼球レイプとか芋虫エンドとか全殺しENDくらいやった方が
限りなく誰得なので、ハッピーENDに価値が出るのではないかとか
超絶に無駄なことを考えてます。俺馬鹿だから!馬鹿だからごめんね!
少女「なあパパ、夏休みの宿題がもうすぐ終わるんだが」
中年「どうしました?何かわからないことでも?」
少女「いや、自由研究なるものが残ってしまった」
中年「ふむ」
少女「何を研究しよう?やっぱりパパの生態か?
それとも眼鏡ねーちゃんと乳ねーちゃんの怪しい関係についてレポするか?」
中年「後者はやめましょう。触れてはいけないものが世の中にはあるのです」
少女「そか。んじゃパパの生態調査にする」
中年「う、う~ん……まあ、いいですよ。お手柔らかに」
少女「でも硬くならないから花屋のねーちゃんは街を出て行っちゃったんだろ?」
中年「ぐはっ」
少女「なあパパ?やっぱり勃起不全だとオナニーもできないのか?」
中年「待ちましょう。そんなものを学校に提出させるわけにはいきません」
少女「そなのか?やっぱ駄目か?企画倒れか?」
中年「せめて私の個人的な秘密については触れるのをやめてください」
少女「そか。じゃあパパの調査は打ち切る」
中年「そうしてください」
少女「うーむ。でも何を研究すればいいんだ、いったい?」
中年「ふむ……そうですね、旅行にでも行きましょうか」
少女「おお?」
中年「海でも山でも良いです、何か君が観察したり調べたりしたいものがあるところに行きましょう」
少女「東京!東京がいい!」
中年「……ふむ」
少女「あれだろ?東京って時間通りに動かないと捕まるんだろ?禁煙区域で煙草吸うと射殺されるんだろ?
道を聞かれたら殴り倒さないとこっちが殴られるんだろ?街の人間の半分がロボットなんだろ?」
中年「どこでそんな嘘を吹き込まれたんですか……」
ID変わっただけで1っす
節電でコンセント抜いてく場合があるので、そういう日は帰宅後にID変わるっす
本当は終わりのつもりだったのですが、新スレ立てようと思ったら保守してくれた方がいたので
展開を考えないまま最終コーナーを回って第三部へ
中年「東京ですか……」
少女「なんだ?行きたくないか?」
中年「いえ、以前の家族が東京に住んでいるので、うっかり会うとあれかなと……」
少女「そうか。大人の事情か」
中年「ええ、ですからできれば他の場所が……というか、君の期待するものは東京にはないかと」
少女「そか、服屋のねーちゃん嘘ついたんだな
じゃあ、池袋には土人の群れが埼玉から押し寄せてくるってのも嘘か?」
中年「それは本当ですが、いささか古い情報ですね
そうですか、服屋の娘さんですか、君にそんなことを吹き込んだのは」
服屋「いやー、すいません。少女ちゃんの反応がおもしろくて」
少女「東京に戦慄したぞ」
中年「まあ、この子は色々と信じやすいところがあるので、ほどほどにお願いします」
服屋「わかりました、次からはレズビアンの世界を」
本屋「あらあら~。私は3Pでもオッケーですよ~」
少女「パパ、なんだかわからないけど、あたし身の危険を感じるぞ」
中年「お二人の関係に口を出す気はありませんが、娘を巻き込まないでください」
服屋「いや、すいません、これも冗談なわけですが」
本屋「あらあら残念です……」
少女「パパ、諸悪の根源がここにいるぞ。乳ねーちゃん倒せばクリアか?」
中年「……頭が痛いですね」
服屋「ところで花屋のやつはどこに行ったんだろうな?」
本屋「そうですね~。家には『旅に出ます。心配しないでください』
って書置きがあったみたいですけど~」
服屋「ふーむ、なあマスター、何か花屋のやつから聞いてないですか?」
中年「……さあ」
服屋「そうですか……マスターにもわからないとなると迷宮入りか……」
少女(なあパパ?あのこと言っちゃ駄目なのか?)
中年(……すいません、駄目です)
少女(でも、EDのことを言わなければいいんだろ?)
中年(しかしそれを言わなければ、事情が説明できません。駄目です)
少女(そか、難しいんだな)
中年(すいません……不甲斐ない男で……)
少女「よしパパ、海に行こう!」
中年「ん、海に決めましたか」
少女「うん、眼鏡ねーちゃんと乳ねーちゃんも一緒に頼む」
中年「ふむ?」
少女「乳の大きさと形について研究することにした」
中年「すいません、それも駄目です」
少女「……駄目か?もしかしてエロいのは駄目なのか?」
中年「そういうことです」
少女「そうか、難しいな」
中年(……頭痛い)
少女「わかった海辺の生き物について生態調査する。だから海がいい」
中年「わかりました、それなら良いでしょう」
少女「やったか?許可が下りたのか?」
中年「はい、では色々と準備をしないといけませんね。私は水着なんて持っていないですし」
少女「あたしはどうするんだ?学校の水着でいいのか?」
中年「あー……いや、せっかくです、一緒に新しいのを買いに行きましょう」
少女「そうか。悩殺的なのを選べばいいんだな?」
中年「……そういうのも服屋さんの影響ですか?」
少女「いや、前にママがそんなことゆってた」
中年「なるほど」
服屋「なるほど、それで水着ですか」
中年「はい、私は持っていませんし、娘もさすがにスクール水着というのは色々な意味で……」
少女「パパ!これカッコいい」
中年「そうですね、格好が良いですね。でもそれ水着じゃなくてスーツですよね」
少女「フォーマルは駄目か?オフィスレディっぽく攻めようと思ったんだが駄目か?」
中年「水着を選びましょうね」
少女「そうか。やっぱり肌が露出してないと駄目なんだな」
中年「あー、そういうことではなくて……」
少女「??」
服屋(……少女ちゃん、時々物凄く偏った知識と言うか、間違った解釈しますよね?)
中年(以前の母親の影響みたいです)
服屋(なるほど)
中年(ですから、娘にこれ以上変な知識や影響を与えないでくださいね
でないと……私は自分の中に眠る凶暴性を抑えられなくなるかもしれません)
服屋(き、肝に銘じます……)
中年「さて、これから出発なわけですが……」
服屋「ああ、大きな荷物は後ろのトランクに入れてください」
少女「これ眼鏡ねーちゃんの車か!赤いな!三倍速なのか?」
服屋「そんなチートな機能はついていない」
本屋「うふふ~海なんて久しぶりですね~」
中年(……なんで当然のようにこの二人が同行するのでしょうか)
少女(あたしが誘ったんだが駄目だったか?)
中年(あー……まあ、エッチな自由研究の対象じゃなければ平気ですかね)
服屋「あぁんっ!」
本屋「うふふ~」
中年「運転中には絶対それやらないでくださいね」
少女「おお!海広いな。魚屋のおっちゃんのデコといい勝負だ」
服屋「どんだけ広いんだそのデコは」
少女「オデコと頭部の境目があたしには判別つかないけど広いぞ」
服屋「知ってるよ、ご近所だ」
少女「やっぱりねじりハチマキしてるとこおrが国境なのかな?」
中年「すいません、せっかく遠出したんですから、近所の話題で盛り上がるのはやめませんか?」
本屋「あらあらあら~」
ボインボインボインボイン
少女「大変だパパ!乳ねーちゃんが乳を凄まじく揺らしながら波にさらわれた!」
中年「あー……」
服屋「やんっ!波がっ、あぁん!砂がっ、足の裏は駄目っ!」
少女「大変だパパ!眼鏡ねーちゃんが自然に辱められている!」
中年「あー……」
服屋「ハァ……ハァ……おのれ、海を侮っていたか……」
中年「大丈夫ですか?色んな意味で」
服屋「ふ、不覚です……」
少女「なあ、乳ねーちゃん、その胸って浮き輪にならないのか?」
本屋「えっと、さすがにそれは無理です~」
少女「そうか、便利そうだけど不便なんだな」
本屋「そうですよ~、脂肪の塊ですから、性感帯としての機能も薄いですし~」
少女「小さい方が機能的か?」
本屋「そうですね~でも私は責めですから~」
少女「??」
少女「パパ、浴衣って渋いな」
中年「そうですね、和の装いですよね」
少女「露天風呂良かったぞ!パパも一緒ならもっと良かったのに!」
中年「さすがに混浴は問題がありますからね。でも服屋さんと本屋さんが一緒だったでしょう?」
少女「そうなんだけど、眼鏡ねーちゃんが眼鏡ねーちゃんがなくなったから、ややこしかった」
中年「ああ、お風呂に入る時は眼鏡を外すのが普通ですからね」
少女「眼鏡ねーちゃんから眼鏡とったら何も残らないのにな」
服屋「待て、眼鏡はあたしの全てなのか」
少女「乳ねーちゃんの乳と同じだな」
本屋「あらあら~」
中年「失礼なことは言わないでください」
少女「すまん。でもパパもヒゲ剃ったらマスターとしての自分を失うのか?」
中年「ヒゲのないマスターなどマスターではないのです」
服屋「新事実だな」
少女「魚美味いな!」
中年「そうですね、獲れたてで新鮮なんでしょうね」
服屋「くっ、おのれっ」
少女「眼鏡ねーちゃんは魚食うの下手なのな。不器用なのか?」
服屋「刺身はいいんだが、焼き魚の骨が……」
ボリボリボリボリ
中年「……」
服屋「……」
本屋「あら?どうしたんですかお二人とも?」
少女「乳ねーちゃん凄いな。骨ごと食うのか」
本屋「カルシウムの塊ですから~エビのからとかも美味しいですよ?」
少女「そうか、意外にワイルドなんだな」
中年「真似しちゃ駄目ですよ」
少女「楽しかった!また明日も海に行っていいのか?」
中年「ええ、二泊の予定ですから大丈夫ですよ」
少女「そうか、じゃあ明日は磯に巣食う生き物を観察するぞ」
中年「そうですね、自由研究がそもそもの目的ですからね」
少女「ゴマフアザラシとかいるかな?」
中年「……おそらくいないと思います」
少女「じゃあ、シロクマに襲われる危険性もないのか?」
中年「今日泳いだ場所と同じだって理解してますか?」
少女「自然の天気は変わりやすいって何かで読んだ」
中年「一般的には山を指していう言葉ですし、そもそも生態は天気の範疇ではないのです」
少女「おお、複雑系ってやつか」
中年「う、う~ん……」
すいません、猿に連れ去られてました。蟻の行列より怖いです
少女「……なんか気色悪い生き物ばっかだぞパパ」
服屋「あたしもこういうのはあんまり……」
中年「まあ、海の生き物は魚以外はだいたい変ですよね」
本屋「ウミウシ~ヒトデ~フナムシ~ヤドカリ~」
少女「乳ねーちゃんは楽しそうだな」
本屋「うふふ~ナマコを最初に食べた人の気持ちがわかるわ~」
服屋「待て、海辺の生き物って毒持ってるのが結構いるだろ」
本屋「あう~残念です~」
少女「パパ、人間って奥が深いな」
中年「本屋さんは特別の部類に入れたいところです」
少女「よし!自由研究終わった!後は帰ってから適当に図鑑の文章写す!」
中年「あー……まあ良いでしょう。せっかく海に来たんですからね」
少女「そうか、パパは心広いな」
本屋「うふふ~少女ちゃん、愛されてますね~」
中年「えっと、いや、まあ……」
少女「相思相愛だぞ!乳ねーちゃんと眼鏡ねーちゃんにも負けない!」
服屋「それはどうかな?」
少女「だってねーちゃん達は肉欲だけのただれた関係だろ?
あたしとパパはプラトニックだ」
中年「やめなさい」
今更支援の意味を知りました。猿回避という意味での支援なのですね
少女の前に私が知らなければならないことが沢山あるらしい
服屋「しかし、マスターが一緒だと、ナンパがなくていいですね」
中年「ああ、やはり女性だけだとそういうのがありますか」
服屋「そうですね、花屋と二人で海に行ったりすると、見た目だけはあれですからどうしても」
少女「眼鏡ねーちゃんは自覚はあるんだな」
服屋「待て、私じゃない、あいつの話だ」
少女「遠慮しなくていいんだぞ?眼鏡ねーちゃんの中身はだいぶ変だ」
中年「失礼なことはやめなさいって」
支援ありがとうございます。花屋の存在は書いてる自分も忘れそうになります
少女「なあパパ?」
中年「なんですか?眠れませんか?」
少女「明日には帰るんだろ?」
中年「そうですね、物足りませんでしたか?」
少女「いや、楽しかったぞ。パパとで旅行なんて初めてだったし、大満足だ」
中年「……そうですね、私も楽しかったです」
少女「でもな、花屋のねーちゃんがいればもっと良かったと思っちゃ駄目か?欲深か?」
中年「それは……」
少女「……ごめん、パパを責めてるんじゃないんだ。ただ、今頃どうしてるのかなーって」
中年「そうですね……良い人と巡り会えていると良いのですか……」
少女「なあ、パパはそれでいいのか?ねーちゃんのこと好きなんだろ?」
中年「それはそうですが、でも私では与えられないものがあるでしょう?
だからいいんです。二十回もお見合いを失敗したんです
花屋さんの完璧な夫婦生活を送りたい気持ちは痛いほどわかります」
少女「パパ……」
>>420
そして俺がメガネねーちゃん想像しながら必死にチンコいじってるのも知っておくべき
――東京
花屋「青年くん大好き!」
青年「花屋さん……僕もです!」
花屋「ラブラブ?ラブラブラブラブ?」
青年「ラブラブです!二人の間にはなんの障害もありません!」
花屋「じゃあプロポーズしてくれる?結婚してくれる?」
青年「はい、僕は長男ですが幸い弟妹がいます!花屋さんの家業を継ぐことは可能です!」
花屋「やった!わたし嬉しい!幸せよ!」
青年「僕もです!」
花屋「ところで……」
青年「??」
花屋「青年さん、色々な意味でノーマルよね?正常よね?」
青年「……?はい、そうだと思いますが」
花屋「オールオッケー!完璧じゃない!」
>>424
私は一向に構わんッッ!!生殺しを味わうがいい!!
服屋「……なるほど、そんな事情があったのか」
本屋「あらあら~二人とも大変だったんですね~」
少女「そうなんだ。パパには秘密だって言われたんだが、時々凄く辛そうな顔をしてるんだ……」
服屋「ふむ、つまりあれだろ?要するにマスターのアレが元気になれば問題解決なんだろ?」
少女「たぶん、そういうことだと思う。バイブじゃ駄目らしい」
本屋「まあ~バイブは良いものなのに残念です~」
服屋「ま、まあ花屋は結婚に理想を持ってたからな。わからなくもない」
本屋「あらあら~じゃあ服屋さんもいつか私を捨てるのかしら~」
服屋「いや、私はもともと結婚願望そんなに強くないから。お見合いもしてないし」
少女「なあ、痴話喧嘩は犬も食わないからどうでもいいんだ。解決策を考えてくれ」
服屋「そういうわけでマスター、あなたの性癖について赤裸々に語って頂こう」
中年「はい?」
本屋「いいんですよ~恥ずかしがらないでください~私はエッチな本も取り扱ってますから~」
中年「は、はあ……?」
少女「すまんパパ、あたしがお願いしたんだ」
中年「……なるほど」
少女「秘密を話したことは謝る、ごめんなさい……でもパパ辛そうで、なんとかしなくちゃって……」
服屋「少女ちゃんを怒らないであげてください。この子は本当にマスターを想って……」
本屋「それに秘密なら私達の関係をマスターは知っているんです、これでおあいこですよ~」
中年「……わかりました」
少女「パパ!」
中年「ああ、私もまだ頑張らなければいけないらしい」
中年「しかし性癖と言われても、特殊なものは別にないと思うのですが……」
少女「ぶったりぶたれたりは駄目か?前のママはぶたれて喜んでたぞ?」
中年「暴力はあまり……」
服屋「では、コスチュームにこだわりは?」
中年「それも特に……普通に裸でよくないですか?」
本屋「じゃあじゃあ~お尻の穴に強い興味があるとか~口淫に強く惹かれるとか~」
中年「う、う~ん……そういうのも特には……」
少女「パパ、性には無個性なんだな。もしかしてあたしより知識なかったりするのか?」
中年「あー……」
服屋「ふむ、何かとっかかりとなる性癖があればそこから責めようと思ったのですが……」
中年「すいません……謝るべきことではない気もしますが、無個性ですいません……」
本屋「精神的なものなんですか~?それとも器質的な~?」
中年「医者の話によれば、何か精神的なものらしいのですが
当時は特に困らなかったので、治療とかはまったく……」
服屋「いつ頃からなんでしょう?」
中年「妻とはある時期からセックスレスでしたし、仕事に忙しくて性欲どころではなかったので
はっきりと気がついたのは離婚して、仕事を辞めてからでしょうか」
本屋「失礼ですが、射精もなしですか~?」
中年「はい……」
少女「蛋白質に再分解されるのか?」
服屋「ほんと、お前の知識は時々意味不明な方面に伸びてるのな」
服屋「まあ医者ではないのであれですが、神経やホルモンの問題でないのであれば
克復は可能だと思います。性に対する価値観や意識を改善していきましょう」
本屋「強力は惜しみませんよ~頑張りましょうね~」
中年「は、はい……ありがとうございます、本当に……」
少女「でも、具体的にどうするんだ?フェラチオとかしても駄目なんだろ?」
中年「いや、特に試してないので……っていうか今更ですけど、
娘はこの場にいて良いのか疑問なわけですが」
少女「前のママが若干変態入ってたから、知識は豊富だぞ?」
中年「それはそうなのでしょうが、そういう意味じゃなくて……」
服屋「ふむ、フェラチオか……」
本屋「あら~?興味津々って感じですね~」
服屋「い、いや、いつもバイブを咥えているだけだから、生の感触はどうなのかと……」
少女「ママは『熱い』とか『びくびく動く』とか『しょっぱい時がある』とかゆってた」
中年「時々お前のママに殺意を覚えるよ、私は」
服屋「……(ゴクリ」
服屋「じゃ、じゃあもし本屋がよければ私が……」
本屋「本気にならないなら別に構いませんよ~
服屋さんがマスターの肉棒をはしたなく咥えているところを見るのも楽しみです~」
少女「パパ、この二人は馬鹿というより変態なんだな」
中年「否定はしない。あと服屋さん落ち着いて、色々な意味でそれはまずいです」
服屋「そ、そうですよね。すいません、何か動転していたようです……」
本屋「あらあら~残念です~」
少女「やっぱ乳ねーちゃんが悪の枢軸だと思うぞ」
服屋「そんなわけで町の男衆の筆卸しを務めてきたお婆の知恵を借りたいんだ」
お婆「ふぇっふぇっふぇ、なるほどのう。マスター、あんたインポだったんじゃな」
中年「は、はい……お恥ずかしい……(なんか話がどんどんでかくなってる気が)」
お婆「そうじゃのう。心の問題ならあと三十年、
いや二十年若ければワシがなんとかしてやったんじゃが」
本屋「もう駄目なんですか~?」
お婆「とっくに生理もあがっとるしのう。身体もついていかんのじゃよ」
少女「ところでおばば、眼鏡ねーちゃんや乳ねーちゃんの親父の筆卸しもしたのか?」
お婆「ふぇっふぇっふぇ。それは……」
服屋「やめましょう。知りたくないです」
本屋「わくわくドキドキ」
少女「反応が両極端だな」
お婆「だが安心せい、そういうことなら今はワシの孫がおる」
服屋「む、夜這いの習慣は廃れたと聞いているのですが?」
お婆「そりゃそうじゃ、ありゃ古き良き昔の習慣じゃからな
今やったらレイプ扱いじゃ。断わる自由があってこその夜這いじゃからのう
まあ、ワシは平等に愛してやったがな、くけけけけけけ」
服屋「ならばお孫さんというのは?」
お婆「ワシの一人息子の、これまた一人娘なんじゃが、ワシに似て淫乱でのう」
本屋「あらあら~なんだかシンパシーを感じます~」
少女「パパ、こいつらやっぱり変態だと思う」
中年「ああ、私も全力でそう思う」
孫娘「なるほど、お話は理解できました
夜這いとは違う気もしますが人助けです、協力しましょう」
少女「ふむ、あたしがいうのもなんだが若いな」
孫娘「はい、十七です」
中年「犯罪のレベルだと思うんですが」
服屋「なあに、売春じゃないから問題ない。自由恋愛だ」
お婆「ワシの家は娘がおれば父親の種はどうでも良いという習いでな
孫は好きに夜這いを受け入れて孕み、好きな男と結婚すればええ
無論、男がそれでええってことならばじゃがな」
本屋「へえ~まだそういう習慣の家が残っていたんですね~」
少女「なあパパ、この町は底が見えないな」
中年「そうですね、何年も住んでるけど私もまったく知りませんでした」
孫娘「ではさっそく、あちらの部屋で……」
中年「ちょ、ちょっと待ってください。やっぱりこういうのは駄目だと思うんです」
お婆「ふむ」
中年「夜這いの習慣を否定するわけではありません
性に対する考え方は個人の自由です
ですから代々受け継がれてきたこの家の慣習は尊重します」
お婆「そりゃそうじゃな、誰もが合意の上でやっとることじゃ」
中年「はい。ですが例え私のEDが治ったとしても、孫娘さんと関係を持ってしまったら
きっと花屋さんは傷つくと思うんです……」
服屋「マスター……」
中年「すいません、皆さんのお気持ちは本当にありがたく思います
ですが、私のEDを治そうとするのは、私のためだけではなく、花屋さんの為もあると思うんです」
本屋「あらあら~確かにそうですね~」
中年「ですから、本当に申し訳ありません」
お婆「ふっ、なかなか良い男じゃのう、お前さん。ワシが後二十年、いや十年わかかったら惚れてたぞい」
孫娘「ええ、本当に。残念ですわ……でも、だからこそ頑張ってください」
少女「パパはモテるけどある意味地獄見てるんだな」
中年「そんなわけですいません、振り出しに戻ってしまいました……」
本屋「いえいえ~私達こそ本来の目的を見失っていました~」
服屋「ふ、不覚だ……申し訳ない……」
少女「んで、結局どうすんだ?パパのチ○コは勃たないままなのか?」
一同「う~ん……」
カランカラン
肉屋「お、なんだか揃ってるな」
中年「ああ肉屋さんいらっしゃい」
肉屋「おうマスター、聞いたかい?花屋のところの娘さん帰ってきたってよ」
一同「え!?」
肉屋「それも、婚約者の若い男を連れて」
一同「ええええええええええ!?」
花母「あらあら、じゃあこの家に婿入りしてくれるの?」
青年「はい、お父さんとお母さんさえよろしければ、是非」
花父「いやいやいやいや、こいつはありがたい!
いき遅れの娘を貰ってくれる上に、家まで継いでくれるたぁ、願ってもない!」
花屋「でしょ!だからいいよね?結婚して」
花父「ああ、お前にしちゃよくやった!いい男じゃねえか!」
青年「あ、ありがとうございます!」
服屋(ちょっと!これはどういうことだ!?)
本屋(あらあら~まさかこんなことになるとは~)
少女(パパ……)
中年(えっと……あれ、息子なんですが)
服屋&本屋&少女「「「ええええええええええええええええええ!?」」」
青年「ん?なんだか外が騒がしいですね?」
中年「……」
キュッキュッキュッキュッ
少女「パパ、あんまりカップ磨き過ぎると磨耗しちゃうぞ?」
本屋「少女ちゃん~今はそっとしておいてあげましょう?」
服屋「うーむ、しかし花屋のやつ、なんだってこんなことを……」
本屋「結婚を焦ったんでしょうね~あとはマスターとのことがショックで~」
服屋「しかも相手がパパの息子とはなあ」
少女「じゃあなんだ、あれはあたしのアニキになるのか?」
服屋「いや、どうなんだ。離婚してるから、ならないんじゃないか?」
本屋「ともかく~なんとかしないとマスターが壊れてしまいます~」
中年「……いや、すいません、ご心配をおかけしましたが、大丈夫です」
少女「パパ!」
中年「私のマイサンが勃たないなら、もう一方のマイサンのサンでいいじゃないですか!
見事に補填しています!人類補完計画もびっくりの補いかたです!神は実在するんです!」
少女「あ、あー……」
少女「とりあえず落ち着いたみたいだ。二階で少し寝かせとこう」
本屋「ふう~マスター大丈夫でしょうか~」
服屋「しかし花屋はこのことを知っているのか?」
本屋「どうでしょう~?名字が違いますし、気付かない気もするんですが~」
少女「なあ、パパどうなっちゃうんだ?このまま壊れちゃうのか?」
本屋「少女ちゃん……」
少女「よくわからないけど、あたしじゃやっぱり駄目なのか?
本当の……本当の娘じゃないから……やっぱり駄目なの……?」
服屋「そんなことはない!お前はマスターの娘だ!娘に本当とか嘘とかないだろ!」
少女「でも……パパ……花屋さんと息子とのことであんなに……」
本屋「少女ちゃん~泣かないで~大丈夫よ~?」
少女「でも……・ひっく……パパが……」
服屋「わかった、まずは私が花屋に聞いてくる。何か、何か解決する方法があるはずだ」
花屋「えええええええええええええええええええええ!?」
服屋「やっぱり知らなかったか……」
花屋「え、ちょっと、え?マジで?わたしの婚約に嫉妬して嘘ついてるとかじゃなくて?」
服屋「私には本屋さんがいる。嫉妬する理由がない」
花屋「えっと……じゃあ……」
服屋「ああ、お前の婚約者はマスターの息子だ」
花屋「……そ、それでマスターは?」
服屋「一瞬錯乱したが、今は寝てる。大丈夫だとは思うが……」
花屋「そんな……何をどう受け止めたらいいのよ……」
服屋「正直なところ、私にもわからん
お前が連れて帰ってきたのが普通の男だったなら問題は小さかったと思うが」
花屋「……」
服屋「なあ、マスターはお前がいなくなった後、EDを克復しようとしてたんだ」
花屋「えっ?」
花屋「そっか、話、聞いたんだ……」
服屋「ああ、だから及ばずながら手伝わせてもらった。結局失敗だったが」
花屋「でも、それって……」
服屋「ああ、マスターは自分のEDが治ったら、お前を幸せにしてやれると思ったんだろう」
花屋「そんな!もう遅いよ!だったらなんで今まで……」
服屋「お前にそういうことを言う資格はないな
マスターは正直にEDのことを話した
最後の最後で受け入れなかったのはお前だ」
花屋「あ……」
服屋「だが、マスターはお前を責めていないよ
自分でなくとも、お前を幸せにしてくれる人が見つかったならば
自分の気持ちを抑えてお前の幸せを祝福してくれる。そういう人だ」
花屋「……」
服屋「正直、何をどうすればいいのかわからん
ただ、何も知らないで何かが起きるのはお前も納得できないだろう
だから話した。あとはお前の問題だ」
花屋「……ね、ねえ青年くん?」
青年「なんですか花屋さん?」
花屋「えっと、私の両親を見て、どう思った」
青年「明け透けですよね。良い意味で」
花屋「そっか……」
青年「どうしたんですか?」
花屋「えっと、いや、あんな両親だから、印象心配で!あははは……」
青年「?」
花屋(言えない……言ってどうなるのかも、どうしたいのかもわからないよ……)
中年「……あれ、ここは?」
少女「パパ!大丈夫か!?」
中年「娘……ああ、そうか。すみません、ちょっと混乱してしまったんですね……」
本屋「もう大丈夫なんですか~?」
中年「はい、ご心配をおかけしました」
少女「パパ……」
中年「すみせんでした、でも大丈夫ですよ。本屋さんもすいません、こんな時間に」
本屋「いえいえ~ではまた明日様子を見に来ますよ~」
少女「乳ねーちゃん、ありがとな?」
本屋「ええ~お気になさらずに~」
少女「パパ!」
ぎゅっ
中年「おっと……」
少女「パパ、本当にもう大丈夫か?壊れたりしないか?」
中年「ええ、大丈夫です。もう壊れたりしませんよ」
少女「ほんとか?やっぱりあたしじゃ駄目だとか言わないか?」
中年「そんなことはありません。君は私の娘です」
少女「……本当の娘じゃないけどいいのか?」
中年「娘に本当も嘘もありませんよ。あなたは私の大切な娘です。それだけが本当です」
少女「……眼鏡ねーちゃんも同じことゆってた」
中年「でしょう?だから自分のことを疑うのはやめなさい。私のことも信じてください」
少女「うん……うん……ごめんパパ……」
中年「はい、大丈夫ですよ、もう大丈夫です……」
少女「でも、パパどうするんだ?」
中年「そうなんですよねえ。花屋さんが幸せになれたのなら、それ自体は良いことなのですが……」
少女「でも、パパは花屋のねーちゃんのことが好きなんだろ?本当にいいのか?」
中年「私の想いは諦められる程度のものですよ。私には娘、君がいますから」
少女「パパ……」
中年「ですから花屋さんが幸せならそれで問題はないのですが
しかし息子と会うわけにはいかないですね、花屋さんにも迷惑がかかるでしょう」
少女「じゃあ……」
中年「そうですねえ、やっぱり引越しでしょうか」
少女「そか……」
中年「ごめんなさい、私の都合で……」
少女「ううん……いいんだ、眼鏡ねーちゃんも、乳ねーちゃんも
花屋のねーちゃんも、学校や商店街の皆も大好きだけど
あたしはパパと一緒ならどこでも大丈夫だぞ?」
中年「娘……」
中年「そんなわけで、お世話になりっぱなしで心苦しいのですが
明後日には引っ越すことになりました」
本屋「あらあら~」
服屋「そうですか……」
少女「ねーちゃん達に会えなくなるのは悲しいけど、パパと一緒だから平気だ
ねーちゃん達も愛し合ってるんだろ?だから平気だ」
本屋「しょ、少女ちゃん……」
服屋「……」
中年「本当は商店街の皆さんに挨拶してから行きたいのですが……」
本屋「はい~事情はわかります。急な事情で仕方なくと皆さんに行っておきますわ~」
中年「何から何まで本当にすいません……」
少女「乳ねーちゃん、如才ないな!」
服屋「……」
花屋「そんな引っ越すなんて……」
服屋「仕方がないだろう。誰が悪いわけでもない」
花屋「……」
服屋「だから私はお前に何をしろとか、そういうことは言えない
私にも何が正しいことかわからないからな」
花屋「わたしだってわからないよ……」
服屋「そうだな。それも仕方がないと思う」
花屋「……」
服屋「だから今回も教えるだけだ。後で知って文句を言われたくないからな」
花屋「あんた……」
服屋「明後日だ。明後日の朝にはマスターも少女もいなくなる
それまでに後悔しない方法を考えておくんだな」
花屋「……」
本屋「それでは極々内輪ですが~密やかに送別会を始めま~す」
少女「おお!これが噂の送別会か」
服屋「秘密だから学校でもやってもらえなかったんだろう?
私達だけしかいないけど、こういうのはちゃんとやらないのとな」
中年「すいません、夜逃げ同然なので……」
少女「大丈夫だぞパパ、学校の皆には後で手紙を出すから」
本屋「ああ~少女ちゃんいい子ね~」
少女「モガー!」
服屋「おい、胸で窒息してるぞ」
本屋「あらあら~ごめんなさい~感極まってつい~」
少女「この殺人乳も当分見納めだなー」
ボイン
本屋「やんっ」
中年「こ、こら!」
服屋「揺れないけど、感度なら負けないもん!」
少女「こいつら酔うの早いなー」
本屋「うふふ~それではお元気で~」
中年「はい、本当に色々とありがとうございました、お二人もお元気で……」
少女「乳ねーちゃんありがとな!あと、眼鏡ねーちゃん死にかけだけど、よろしくな」
服屋「うぅ……ひっく……二人とも……元気で……うぅ~……」
少女「酔い潰れてるのか泣いてるのかはっきりしないな」
本屋「私がちゃんと家まで連れて行くから大丈夫ですよ~」
中年「はい、よろしくお願いします……」
少女「じゃあねーちゃん達、またな!」
本屋「はい~それでは~」
少女「行っちゃった……」
中年「賑やかな人達でしたね」
少女「うん……」
中年「色々迷惑もかけられましたが、沢山お世話にもなりましたね……」
少女「……うん」
中年「さあ、もう寝ましょう。引越しのトラックは早朝には来ます
店の物は後で業者さんに別注で頼むで荷物は少ないですけれど」
少女「……うん」
中年「……泣きたい時は、泣いていいんですよ?」
少女「……ううん……泣かない。またいつか会えるから……これで最後じゃないから」
中年「……そうですね。君は強い子だ」
少女「パパが……いてくれるから」
中年「私もですよ。君のおかげで強く在ろうという気持ちになれるんです」
少女「うん……一緒だ」
中年「そうです、一緒です。親子ですから」
ガンガンガン!
少女「な、なんだ!?」
中年「はて?」
花屋「マスターあけてええええええ!!」
中年「……なるほど」
少女「最近なかったから忘れたな、これ」
花屋「ううう……み、みず……」
少女「ミミズか?とってくるか?」
中年「古典的なボケはやめなさいって。はいどうぞ、水道水ですが」
ングングッングッングッ
花屋「ぷはー!ミネラルうめえ!」
少女「ところで前も同じこと聞いたんだが、水道水にミネラルってあるのか?」
中年「ミネラルは広範な概念ですから、入ってなくはないと思います」
花屋「うぅ~……」
少女「ところでねーちゃんどうしたんだ?こんな酔っ払って」
中年「……」
花屋「うぅ~!うううぅ~!」
少女「泣き出したか。眼鏡ねーちゃんと一緒だな」
花屋「……ごめんなさい」
少女「これも適用できる範囲が広すぎて何について謝ってるのかわからないな」
中年「う、う~ん……たぶん、酔っ払って押しかけてきて泣き出したことじゃないでしょうか
花屋「それもあるけど、そうじゃなくて……その……」
中年「はて?」
花屋「あの……わたし、全部聞いたの……服屋が後悔しないようにって……」
少女「眼鏡ねーちゃん喋ったのか。マフィアなら殺されてるな」
中年「幸いこの商店街に鉄の掟はありませんから大丈夫です」
花屋「マスター……ごめんなさい……わたし、わたし知らなくて……」
中年「いいんですよ、誰も、何も悪くないんです」
花屋「でもっ!」
中年「あえて言うならば、私のせいです。私が過去にしてしまったことが帰ってきただけです
花屋さんや娘にまで迷惑をかけてしまって、謝るのは私の方です」
花屋「そんな……」
中年「もう息子と呼んではいけないのかもしれませんが、彼は優しいですか?」
花屋「……はい」
中年「幸せになれそうですか?」
花屋「……はい、でも……」
中年「私のことはいいんです。花屋さんが幸せなら、これ以上望むべくもない
それなのに、私が幸せにできなかった息子の分まで花屋さんが幸せにしてくれたんです
感謝こそすれ、何も不満はありません。安心して幸せになってください」
花屋「マスター……」
中年「だから謝らないでください。謝るなら私の方です。幸せにできなくてごめんなさい」
花屋「そんな……」
少女「あたしもねーちゃんに謝る……ママって呼べなくてごめんな?」
花屋「少女ちゃん……!」
少女「あたし、あの時ねーちゃんのことをママって呼べたら素敵だと思った」
花屋「……うん」
少女「あの時はパパがまだパパじゃなくて、おっさんで、色々と不安もあった
でも、ねーちゃんと三人で楽しかった。本当のママよりもずっと好きだった」
花屋「うん……うん……」
少女「だから、ねーちゃんをママって呼ぶことはできないけど
ねーちゃんが幸せになれたら、あたしは嬉しい」
花屋「……ひっく……うん……」
少女「あたしとパパは幸せだぞ?」
中年「そうです、花屋さん、だからあなたも幸せになってください
そして、私が幸せにしてあげられなかった息子を、息子の幸せをよろしくお願いします」
花屋「……うぅ……うぇぇぇぇぇぇん……」
服屋「後悔はしてないのか?」
花屋「うん、してない。しちゃいけない」
服屋「……そうか」
花屋「わたしは幸せになる。青年くんも幸せにする」
服屋「そうだな、あの人達もそれを願ってるだろ」
花屋「でも、それだけじゃない」
服屋「え?」
本屋「あらあら~奇麗ですね~」
花屋「そ、そう?似合ってる?ウェディングドレス変じゃない?」
服屋「馬鹿にも衣装ってやつだな」
花屋「馬鹿じゃない。断じて馬鹿じゃない」
青年「えっと……」
服屋「そうだよな、ここは『馬鹿じゃなくて馬子だろ!つか誰が馬子だ!』が正しいよな
それができないから馬鹿で充分だ」
花屋「ぐぬぬぬぬ」
青年「まあまあ……」
花母「これでやって商店街の寄り合いでいき送れって言われなくなるわねえ」
花父「そうだなあ。店の跡継ぎもできたし、良かった良かった」
服屋「……」
少女「なあパパ、ねーちゃん達、元気にやってるかな?」
中年「そうですねえ、電話や手紙では幸せそうですねえ」
少女「眼鏡ねーちゃんと乳ねーちゃんは相変わらずみたいだしなあ」
中年「あの町であの関係を保つのはなかなか大変みたいですけどねー」
少女「夜這いが極一部に残ってるようなところだからな」
中年「あれは驚きでしたね」
少女「六部殺しの習慣はなくてよかったな」
中年「なんですか、それは」
少女「知らないならいい。危ない」
中年「??」
カランカラン
中年「あ、いらっしゃ……!?」
青年「……」
少女「おお?兄のようで兄でない人?」
青年「……」
中年「……どうしてここに?」
青年「……花屋ちゃんに聞きました」
中年「……そうですか」
少女「なんだ?復讐か?何かあたしの知らない掟があったりするのか?」
青年「えっと、君が少女ちゃんだね?と……父さんの娘さんの」
中年「!?」
少女「そうだぞ。パパはパパで、あたしは娘だ」
青年「そうか、パパは優しいかい?」
少女「ああ、優しいぞ
この前あたしが学校でムカつく男子を泣かせたら怒られたけど、基本的に優しい」
青年「そう、じゃあ、幸せなんだ?」
少女「ああ!幸せだ!前半生の借りを返してお釣りが来るくらいに幸せだ!」
中年「……」
青年「……珈琲をください」
中年「……ブレンドで?」
青年「そうですね、それで」
中年「わかりました」
少女「なんか緊迫感あるなお前ら」
中年「君がなさすぎるだけだと思います」
中年「……どうぞ」
青年「……ども」
少女「……」
青年「……」
中年「……どうですか?」
青年「……うん、美味しい」
中年「そうですか……」
少女「……なあ?点々いっぱい打つの疲れるんだが、普通に喋っちゃだめなのか?」
中年「すいません君は普通でいいです。無理に空気読まなくていいです。だってそれが君の個性だから」
青年「珈琲ご馳走様、美味しかったです」
中年「お代はいりません」
青年「いえ、そういう細かいところで何かを返そうとしないでください」
中年「そういうつもりじゃ……」
少女「パパをいじめると泣かすぞ」
青年「えっと……」
中年「いいんですよ、娘。そもそも泣いたりしませんし」
少女「そうか、パパは強いな」
中年「えっと、まあ……あー……」
青年「……今日はこれで帰ります」
少女「今日は?じゃあ明日があるのか?明日は誰の許にも平等に来るのか?」
青年「えっと、うん、死ななければきっと」
少女「そうか、明日って凄いな!」
青年「……うん、そうだね。明日って凄いね」
中年「……いいのですか?」
青年「……特に」
中年「?」
青年「特に何かを言いたかったわけじゃないんです
ただ、話を聞いて……許したわけじゃないけど……顔が見たくなって」
中年「……」
青年「父さんが父さんだった時のことは絶対に許せないんだけど……」
少女「めんどくさいっつーか、難儀な奴だな、さすがねーちゃんの旦那だ」
中年「ごめんなさい、やっぱり少しだけ静かにしててください
言うことがぶれまくる弱い父親で本当に済まないとは思うけど」
少女「でも、お前らに任せてたら話が進まないじゃないか」
中年&青年「「あー……ま、まあ……」」
少女「これまで時間が止まってたんだから戸惑うのはわかる
わかるけど、兄じゃない兄の人が帰りに交通事故で死んで明日が来なかったり
パパが隕石にぶつかって死んだら……死んだら……パパ死なないで!死んじゃやだ!」
中年「落ち着きましょう、途中で思いっきりコースアウトしています」
青年「……でも、そうだね。後悔はしちゃいけないね」
少女「そうだ、それが言いたかった。ねーちゃんと違って賢いな」
中年「……」
少女「だから、殴りあったっていい。罵りあったっていいから、言いたいことは言える時に言え」
青年「そうだね、それはそうだと思う。でも、何ていうか、自分でもよくわからないんだ、本当に」
少女「ふむ」
青年「だから、今はこれだけ」
少女「なんだ、言ってみろ」
青年「僕の父さんだった人は許せないし、今も恨んでいるけれど
君のパパは嫌いじゃない。むしろ感謝している」
中年「!?」
中年「……」
少女「なあ、あれで帰しちゃってよかったのか?」
中年「……はい」
少女「パパ泣いてるのか?」
中年「……はい」
少女「そうか、あたしの膨らみかけの胸で泣くか?」
中年「いや、そういうのはいいです」
少女「いきなり立ち直るな、意気地なしめ」
中年「そういう問題ではありません」
少女「……でも、良かった?」
中年「そうですね……良かった……本当に……」
少女「もー、ちょっとだけだぞ?」
ぎゅっ
中年「だからそういうのはいらないですってば!」
少女「手ごわいな本当に」
少女『でなー、いきなり来たから殺されるかと思ったぞ』
花屋『あたしの旦那はそんなことしませんって』
少女『でも、良い奴だったぞ。兄じゃないけど兄みたいだった』
花屋『うん』
少女『ところでねーちゃんそろそろ産むのか?ナメック星人産むのか?』
花屋『卵は産みませんって。まだまだ先よ、半年以上も先』
少女『そっかー、産まれたら見にいっていいか?』
花屋『そうね、旦那もきっと喜ぶから是非おいでー』
少女『……パパも連れてっていいか?』
花屋『もちろん。ただ、旦那のお母さんとバッティングしないようにしないとね』
少女『そっかー、そっちはやっぱり駄目か……』
花屋『今は駄目ね。絶対に駄目』
少女『そっか……でも、明日の明日の明日の……』
花屋『言いたいことはわかるから。無理にその言い方で表現しようとしなくていいから』
少女『あー……』
少女「だってさー」
中年「そうですか、順調に生まれるとと良いですね」
少女「……あれ?」
中年「どうしました?」
少女「ねーちゃんの子供って、パパの孫になるのか?」
中年「えっと、血縁的には、まあ」
少女「すると、あたしの子供になるのか?」
中年「いや、それは違います。せいぜいが甥か姪です」
少女「んじゃ、あたしは叔母さんになるのか?困るな、この年で叔母ちゃんとは……」
中年「……大丈夫ですよ、例え叔母ちゃんになっても、誰かの奥さんになっても、母親になっても……」
少女「そうだな、あたしはパパの娘だ!」
中年「はい、良くできました」
少女「うひゃー!なんか急に恥ずかしいけど嬉しくなってきた!
パパすげえな!超好きだぞ!」
中年「はい、私もですよ」
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_)
',||i }i | ;,〃,, _) 一応ハッピーENDの部類だ~END
.}.|||| | ! l-'~、ミ `)
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
珍しい結果的な三部構成の長いのを読んでくれてありがとうでした
花屋の不人気さに同情しつつも、一部の終わりでくっつかせて終わりだと
さすがになんの山もなかったのでこういうことになりました
中年のEDについては書いてませんが、息子を不幸にしたことで子作りに抵抗ができた
心因性なものなので、書きませんがこの後の展開として
花屋と青年の間に子供が生まれる→一年後に子供が立つ→中年の息子も勃つ
とかになるのではないでしょうか。蛇足でしたか。すいません。ではでは
すいません、コテはトリップのつけ方すら把握してないので、ちょっと……
あと、ただでさえSS嫌いな人もいるので、コテまでつけちゃうと……
書いた話は完遂できたのだけで10個くらいでしょうか?
短期間で狂ってますね。書ける時は一日1~3くらい書くようです。病気です
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません