工藤忍「雪だね」モバP「雪だな」 (32)
「ありがとうございましたー」
ガサ
忍「しょっと」
P「おお。手際がいいな」
忍「へ?」
P「袋に詰めるの苦手なんだ。大抵もたもたやってると、横に来たおばちゃんにものすごい剣幕で睨まれる」
忍「こ、このくらいで大げさだなぁ…」
忍「でもそれ想像つくや。ふふ。プロデューサーさんって、いつもは鈍臭いよね」
P「すいません…」
忍「へへっ。ほらーしょんぼりしてる暇があったら袋を持ちなさいっ」
P「あ、はい」
忍「ちゃんとそっちに飲み物とか、重いもの、入れてあるんだよ♪」
P(…手際がいいな)ガサ
・工藤忍(16)
http://i.imgur.com/LytBkiT.jpg
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冬の話だけど気にしないで
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P「それにしても」
忍「なに?」
P「俺、忍の家に林檎を食いに来たんだったような」
忍「合ってる合ってる。大正解だよ」
忍「ぱぱーん。見事正解したプロデューサーさんにはチャンスタイムです」ゴソゴソ
P「なんだそれ」
忍「はい。これ」パッ
P「なんだこれ」
忍「お昼に買ったジュースのおまけ。不思議なお人形と名付けました」
P(そのネーミングセンスはどうだろうか…)
忍「いらないからあげる」
P(いらないのかよ)
P「どうもありがとう」
忍「礼には及ばないよ!ふふーそれ、ケータイにつけておくときっと、」
P「災いを招きそうだな」
忍「いいことあるよ。選んでくれたの茄子さんだし」
P「よしいますぐつけよう」ゴソ
忍「……」バシ
P「いたい」
P「な、なんだよ」
忍「なんでもないけどー」フン
P「なんだよー」
P「…ん、どうするかな…」
忍「??どうかした?」
P「スマホだから付けられないかもしれない」
忍「あーそっか…」
忍「じゃあ…これ」ハイ
P「これは?」
忍「べつのおまけの、……えい。はい、イヤホンジャックのとこだけ、使っちゃおう」
P「あ、なるほど…」カチ
P「おお。忍はかしこいな」
忍「その褒められ方はあんま嬉しくない……ま、まあいいけど」テレ
プラン
P「……茄子さんの御利益はともかく、魔除けにでもなりそうだ。ありがとう」
忍「どういたしまして。あ、近いうちにプロデューサーさんになにか不幸があっても、当工藤は一切責任を負いかねますから!」
P「当工藤ってなんだ。というか洒落にならん」
忍(魔除けなんかじゃなくて…赤い糸になってくれると嬉しいなっ…なんて…)ゴソ
P「忍も同じように、スマホになにか付けたりしてるのか?」
忍「ふふっ」バシッ
P「いて」
忍「付けてないよ♪」
P「??そ、そうか。…機嫌よさそうなのに叩かれたのはなんでかな…」
忍「♪」フフー
P「しかしこうするとおまけもばかにしたもんじゃないな」プラン
忍「だよね。プロデューサーさんも一緒にどうかなーおまけ集め。楽しいよ」
P「……いやでも…ほら、だいぶ前にさ…」
忍「へ?…ああ、そっか、そうだったね…」
P「二人してチョコ菓子のおまけ集めるのにはまってな」
忍「あんまおいしくないのにね。買ってはだれかにあげてたっけ」
P「俺の机は食玩まみれ」
忍「うちの事務所はちょこまみれ」
P「……ぷ」
忍「あはは」
P「なにやってんだろうな、俺たち」
忍「ばかやってるねー」
忍「あのとき集めたのって、まだとってあるの?」
P「ああ。家の押し入れに仕舞ってあるよ。今度見に来るか?」
忍「へへ、そうしよーかな。またそのうちね」
P「おう」
忍「……」ヘヘー
P「…」
P「?」
P(そういえばなにか話を逸らされたんだったような?)
忍「…んしょ」ガサ
P「そっちも持つよ」
忍「あ…ありがと。助かったかも…ふふ」
P「それはよかった」
忍「…へへ」ニコ
P「…」
P(まあ…いいか)
ハー…
忍「うう…ビニール袋を持つと、この季節は手がいたくなっちゃうよね」
P「重いと尚更な。手袋はどうしたんだ?」
忍「な、失くしちゃった」
P「そうだったのか。また買っておくんだぞ。手だって大切な忍の一部だ」
忍「はーい」
忍「でも…プロデューサーさんこそ」
P「ん?」
忍「手袋してないね。手、いたくない?大丈夫?」
P「こんなに冷えるとは思ってなかったからなー」
忍「えい」パシ
P「っと」
忍「えへ…これでちょっとくらい、暖かくなる、かな」
忍「ほ、ほら。アタシも…手袋ないし…そ、それに手先は器用なんだ!」
P「手を繋ぐのに手先の器用さは関係ないと思うが」
忍「……あ、あはは…。そ、そーだね」
P「でも、たしかに暖かいな」
忍「……ね」
P「うん」
P「…まあさっさと屋内に入った方が暖かいだろうけどな。ちょっと急ぐか」
忍「……」バシバシ
P「さっきから無言で叩くのはやめてくれ」
忍「ばーか」バシ
P「…、やっぱ無言でいいです…」
忍「……」ゲシゲシ
P「ちょ、足は、いた、ちょ」
忍「……」
忍「手袋さ」
P「?」イテテ…
忍「ま、まだこっちで、買い物するの慣れてないから。今度一緒に買いに行ってくれる?」
P「おう。いいぞ。ついでに俺も新しいのにしようかな」
忍「!」パアア
忍「ありがと!じゃあアタシがプロデューサーさんの、選んであげるね」ゲシゲシ
P「お、おう。じゃあもう蹴らなくてもいいんじゃないかな…ってっ…」イデデデ
・
・
・
P「着いた」ゼェ
忍「お疲れさま。重かったよね。ごめんね、全部持たせちゃって」
P「気にしないでくれ」
P(それよりもローキックのダメージの方が大きかったからな)
忍「??」
P「なんでもない」
カン カン
忍「早くお鍋で暖まろー」
P「そうだな」
P「……、そうだ思い出した」
忍「うん?」
P「うん」ガサ
P「林檎を食いに来たはずが、なぜか鍋の材料を買って忍の家へ来ていた――なんでだろ」
P「……って…思ったんだった。さっき」
忍「ふむふむ」
忍「ま、いつものことだし、いいんじゃないかなっ」
P「まあそうだけどな」
忍「一人暮らしだからって、心配していつもお節介を焼くのはプロデューサーさんだもんねー」
P「う、……悪いな。いつもじゃまして」
忍「あ……えと…ううん。べつにそんなつもりじゃ…」フルフル
忍「……、でも…気にはなってたんだよね…」
P「なにが?」
忍「うん」
ズイ
P「っ…お、おい。顔が近い」
忍「ふふ、近づけてるから」
忍「…プロデューサーさんって、どーしていつも…こんな風にアタシにやさしくしてくれるのかなって」
P「…………」
忍「……これって…あ、アタシの、自意識過剰とかじゃ、ないよね?」
P「……う、うん。ええと」
P「め、面と向かって言うのは、その…照れ臭いんだが」
忍「う、うん」ドキ
P「俺も一人暮らしだからさ」
忍「はい」
P「ほ、ほら。ご飯は…一人よりも、だれかと一緒に食べた方がおいしいだろ?」
忍「…………」
忍「それだけ?」
P「も、もちろん!なにかやましい気持ちなんてちっとも――」
忍「えいやぁ!」ガツッ
P「いってぇ!?」
P「……ぉぉ……。ず、頭突きで来るとは……」シュウウ…
忍「はあー…はー…。そうだよねー…プロデューサーさんだもんねー…はー…」
P「な、なんだよ」
忍「なんだよはこっちの台詞だよ!」ガゴ
P「お、おう。すいません」
忍「もー…なんだよー……」
忍「はあ…まあいいや。うん」
P「いいですか」
忍「いいです。そうだね。ご飯は二人で食べた方がおいしいよね」
P「そ、そうだよな。よかった……」ホッ
P「その方が忍が楽しいかと思ってたんだ。俺の思い込みじゃなくてよかった」
忍「……、?」
忍「あ、そういう」コクン
P「ん?」
忍「あ、ううん。なんでもないけど」
忍(ふ、不意打ちか。油断してた。もうこの人、いっそ暗殺者にでもなった方がいいんじゃないかなっ)ドキドキ
忍(ま、まったく…いつもは鈍臭いくせにいざってときだけこんなだし…ずるいぞー…もー)
P「??」
P「どうかしたかー」
忍「ど、どうもしないよ。忍は今日も元気です」ハイ
P(お母さんへ送る手紙みたいだな)
忍「はー…もう。これだからプロデューサーさんは…」
P「さ、さっきも言ってたな…それ。なあ、それってどういう――」
コツン
P「ん」
忍「大好きだよ。大好きですよ」
P「…………」
P「……ああ…う、うん。ありがとう。…どういたしまして…?」
忍「なにそれ」アハハ
P「……なんだろう…」ハハ…
忍「うー。冷えて来たね…早く部屋に入ろ」
P「そうだな。階段でなにやってんだか」カン カン
忍「……あっ…ねえ、プロデューサーさん。あれ」クイ
P「ん?…ああ」
忍「雪だね」
P「雪だな」
忍「……ほわー…」
P「…………」
忍「…あれだね」
忍「初雪もだれかと見るとお得感がある感じだね」
P「お得感て」
忍「ちょっと幸せかも」
P「……、そっか」
忍「うんっ。これきっと、不思議なお人形さんのおかげだよ!」
P「それはない」
忍「…えへへ」
忍「それじゃあーお鍋にしよっか!」
P「そうだな」
・・・・おしまい
めでたく>>1の画像で忍ちゃんの足の裏がよく見えるようになりまして
これはその記念SSです。べつに足裏の話してないけど
深夜にお疲れさまでした。楽しかったです。ありがとうございました
>>2
劇場67話だと忍ちゃんは茄子さんのことを「茄子ちゃん」と呼んでいるので、訂正させてください
大変失礼しました
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