緋村剣心「問おう。そなたが拙者の主(マスター)でござるか?」 (129)

緋村剣心「問おう。そなたが拙者の主(マスター)でござるか?」

士郎「え…?」

剣心「聖杯の盟約により、主のもとに馳せ参じたでござる」

???「まさか、こうしてお前と再び相見えようとはな…」

剣心「お主…斎藤一…」

斎藤「久しぶりだな抜刀斎。いや、緋村剣心か」

剣心「あぁ、久しいな」

斎藤「貴様との決着はとっくの昔に付いているが…厄介なマスターに当たってな…」

士郎「う、うあ」

剣心「主、さがっているでござる」

ガギィン!

斎藤「腕は鈍っていないようだな」

剣心「おおおお!飛天御剣流!龍巻閃!」

斎藤「ふん…。久しいな、その技も」

士郎(首筋を狙った剣を逆手で…!)

斎藤「だが、そんな刀では…今も昔も俺は倒せん。いい加減逆刃を返したらどうだ?」

剣心「これは拙者の信念の写身。もう二度と逆刃を返すことはござらん」

斎藤「ふん…阿呆が…」

剣心「その台詞も…久しぶりでござるな」

斎藤「…。呼び戻しか。抜刀斎。この勝負預けるぞ」

剣心「行ったでござるか…。主、大丈夫でござるか?」

士郎「あ、あぁ…。助かったよ。君は一体…?」

剣心「自己紹介が遅れたでござるな。拙者は剣のサーヴァントセイバー、真名は緋村剣心でござる」

士郎「あ、あぁ。俺は衛宮士郎。緋村剣心って…聞いたことあるな…。確か幕末の…」

剣心「どうやら士郎殿は聖杯戦争について何もしらないようでござるな」

凛「それは私から説明するわ」

士郎「遠坂?なんでここに?」




凛「じゃあ、私は荷物取りに一旦帰るわね」

士郎「あぁ、悪いな遠坂」

士郎「7人の魔術師による殺し合いか…」

剣心「…」

士郎「あの、緋村さん?すいません…。勝手に遠坂と手を組むなんて話しちゃって…」

剣心「構わないでござるよ。拙者は士郎殿に付き従うのみ。それがサーヴァントでござるからな。それと…」

士郎「?」

剣心「普段は剣心と呼んでもらって構わないでござる。無論、他のマスターの前ではセイバーでかまわぬ」

士郎「あ、あぁ。わかったよ。剣心」

剣心「ありがとうでござる。士郎殿。さて、しばらくしたら凛殿が来るのでござろう。それまで夕餉の仕度でもするでござるか」

士郎「え?いやいや、そんなこと俺が」

剣心「いや、拙者家事全般は好きでござる。主は主らしく、ここで茶でも飲んでいてくだされ」

士郎「あ、あぁ…なんか調子狂うなぁ」

剣心「士郎殿」

士郎「な、なんだ?」

剣心「お茶が切れていたでござる。このこーひーとやらでいいでござるか?」

士郎「あ、あぁ」

剣心「うぅ…。苦いでござるなこれは。お茶請けは甘いモノがいいようでござる。ではおはぎでも作るでござるか」

士郎(俺が作りてぇ…)

言峰「まさか、衛宮切嗣の息子がセイバーのマスターとはな…。前回同様セイバーを従えているようだが…アーサー王ではないようだ」

ギルガメッシュ「つまらんな。セイバーがいつ現界するかと楽しみにしていたのだが…。興が削がれた」

言峰「まぁそういうなギルガメッシュ。あれはあれで面白いマスターとサーヴァントだ。誰も殺さないなどと戯言を抜かすサーヴァントにマスター…。その信念を壊してみたくはないか?」

ギルガメッシュ「それも一興…だな。面白い」

斎藤「…」

ギルガメッシュ「貴様も異論あるまい、ランサー。生前の奴とは因縁があるのだろう?」

斎藤「抜刀斎との決着はついた。あいつが殺さずの道を選んだ時点で…勝負は俺の勝ちだ」

言峰「では…その抜刀斎を蘇らせてやろう」

ギルガメッシュ「おやおや…言峰がまた何か良からぬことを思いついたようだ…。クックック…まったく面白い男よな…」

斎藤「…チッ」

言峰「頭の良いお前ならわかるだろう。しっかり働いてもらうぞ…ランサー」

斎藤「…」

剣心「しかし素晴らしいでござるな。こんな簡単に火を起こせるとは。水も好きなだけ使える。皆がこのような平和を享受できている…。良い国になったでござるな、日本は」

士郎「なんか意外だな」

剣心「おろ?何がでござる?」

士郎「緋村抜刀斎って言えば伝説の人斬りでさ、どんな厳つい男なのかなって思ってたらこんな優しそうな兄さんで」

剣心「抜刀斎…。その名で呼ばれるのは久しぶりでござるな…」

士郎「あ、悪い…。別に悪意があって言ったわけじゃないんだ…」

剣心「いや、かまわないでござるよ。その名は拙者の決して消せぬ過去。拙者が犯してきた罪を歴史に残しておく大切な名でござる…」

士郎「剣心…。あんた、斎藤…だっけ?あいつと戦った時さ、人は斬らないって言ったよな?人斬り抜刀斎とまで呼ばれたあんたがなんでそんなことを?」

剣心「…。『剣は凶器。剣術は殺人術。どんな綺麗事やお題目を立ててもそれが真実』かつて拙者の師匠に言われた言葉でござる。士郎殿はどう思うでござるか?」

士郎「俺は…。間違っていると思う。どんな力だって使う人によって形は変わる…はずだ…」

剣心「甘っちょろい戯言でござるなぁ」

士郎「な、なんだと!?」

剣心「と師匠なら言ったでござろうな。けど、拙者はそんな甘っちょろい戯言の方が好きでござるよ」

士郎「!」

剣心「人を斬らぬと誓ったのはその甘っちょろい戯言のため。この剣で人を殺すのではなく、
人々の営む小さな幸せを守っていきたい。そう誓ったからでござる。士郎殿が主でよかったでござるよ」


士郎「剣心…」


凛「甘いわねぇ。マスターもサーヴァントも二人揃って甘々だわ」

士郎「遠坂、来たのか」

剣心「これは凛殿。よくいらした。アーチャー殿の姿が見えぬが」

凛「アーチャーは周囲の警戒に出したわ」

剣心「それはご苦労でござる。ではアーチャー殿の分は冷蔵庫に入れておくでござる。
    この時代は電子レンジなるものがあって便利でござるなぁ。ささ、凛殿。腹が空いたでござろう。どうぞ」

凛「そ、そう?じゃあ頂くわ。…。お、美味しいわね…」

剣心「ありがとうでござる。この時代は食材が豊富で助かるでござるよ」

士郎「本当にうまいなけ…セイバー。この煮物なんか特に」

剣心「それは拙者の自信作でござる」

凛「へー、サムライってなんでも出来るのねー…じゃなくって!」

剣心「おろ?」

士郎「なんだよ遠坂、食事中に」

凛「さっきの2人の会話よ。2人ともご立派な信念をお持ちのようですけど、そんな心構えじゃ…十中八九死ぬわよ」

士郎「なんでさ」

凛「人は殺さない?じゃあどうやってサーヴァントとマスターを脱落させるの?マスターの令呪を使い切らせるか、殺す、そしてサーヴァント自体を殺す
この3つの方法以外に勝つ方法は無いの。わかる?」

士郎「そ、それは…」

凛「セイバー、あなたはシロウ以上に知ってるでしょう?これは殺し合いなの。殺さないとか言ってると、あなた、もしくはマスターが真っ先に殺られるわよ」

剣心「わかっているでござる。要はマスターもサーヴァントも殺さず、脱落させればよいのでござろう?」

凛「な!?それがどれだけ大変なことかわかってるの!?」

剣心「拙者も願いのため、引くわけにはいかぬ。しかし拙者の信念を曲げることも決してできぬ。だから誰も殺さずに、拙者はこの戦いを勝ち抜くでござるよ」

士郎「セイバー…!」

遠坂「頑固なサーヴァントね…。組む相手間違えたかしら…」

士郎「そんなことない!セイバーと俺で必ずこの聖杯戦争勝ち抜いてやるさ!」

~学校~
凛「衛宮君?セイバーは?」

士郎「家で留守番してる。なぜか霊体化出来ないって言うからさ」

~衛宮邸~
剣心「おぉ…。この洗濯機というのは凄いでござるな…。汚れがここまで落ちるとは…。この掃除機というのも素晴らしい…。
知識はあってもやはり使ってみないことには実感が沸かないでござるからな。これは掃除のしがいがあるというものでござる」

~学校~
凛「呆れた…。学校にマスターの1人がいるってのに…」

士郎「なんだって!?もう見つけたのか!?」

凛「えぇ、シンジよ。あいつ、学校中に結界張ってるみたい。ま、解除しといたけどね」

士郎「な、なんだって?!シンジが!?それ本当かよ」

凛「えぇ。本人が仲間になれって言ってきた時に聞いてもないことペラペラペラペラと」

士郎「なんだって?どう答えたんだ?」

凛「もちろん突っぱねたわよ。あんなのと組むならまだ衛宮君の方がマシ」

士郎「なんか引っかかるが…ありがとう遠坂」

凛「えぇ。どういたしまして。ただカモフラージュも何もしてないのがあいつらしいわね。逆に罠かって思うくらい」

士郎「あいつらしいな…」

凛「先手必勝といきたいけど、見たところあいつの知識なんて素人の付け焼刃。おそらくサーヴァントの力を借りてるんでしょうね。
このまま自滅するならよし、手を出してくるなら迎撃する。この作戦で行きましょ」

士郎「あぁ、わかった。…って!遠坂!これって!」

凛「な、何これ!?あんな結界作るような奴にこんな術式展開できないはず…。まさかサーヴァントが直接?!」

士郎「な、なぁ…!なんかこれやばくないか…!軽くだるいんだが…」

凛「人間の魂を吸い取る魔術が展開されてるわ…。これ…まずいわね…。魔力をちょっと奪うって感じじゃないわ…。
学校中の人間の生命力を根こそぎぶんどる気よ…」

慎二「あれぇ?なんでお前等平気なわけ?」

士郎「慎二か!おい!今すぐこの結界を解け!みんなを殺す気か!」

慎二「あぁ、お前らもマスターだったんだな?魔術師か。通りで結界がきかないはずだ」

凛「慎二、今すぐ結界を解きなさい…。怪我じゃすまないわよ」

慎二「は!嫌だね!目の前に大量のご馳走があるんだ。なんでこの僕がお預け食らわなくちゃいけないわけ?こい!ライダー!」

慎二「は!嫌だね!目の前に大量のご馳走があるんだ。なんでこの僕がお預け食らわなくちゃいけないわけ?こい!ライダー!」

ライダー「…」

士郎「こいつ…サーヴァント!!」

凛「まずったわね…。アーチャーは街に偵察に出してるの….。もったいないけど令呪を使うしか…」

慎二「あれぇ?二人共マスターの癖にサーヴァント連れてきてないの!?ハハハハハハ!間抜けなマスターもいたもんだね!!!ライダー!その二人をやっちまえ!!」

ライダー「はい、マスター」

凛「きゃっ!!」

士郎「遠坂!クソおおおお!来い!!!!セイバアアアアアアアアアアアア!」

ガギィン!

ライダー「!?」

剣心「只今参上したでござる、主、凛殿。怪我はないでござるか?」

士郎「あぁ、セイバー、ライダーを。遠坂、この結界って解除出来るのか?」

凛「え、えぇ。時間はかかるかもしれないけどなんとか…」

士郎「ここは俺とセイバーで抑える!解除を頼む!」

凛「わ、わかったわ!」

剣心「ライダーのサーヴァントでござるか。女子供と戦う趣味は無いでござる。おとなしく手を引いてはくれぬか」

ライダー「何を甘いことを!!」

剣心「致し方ないでござるか」シュンッ!

ライダー「消えた!?」

飛天御剣流 龍槌閃!!

慎二「あぁ!ライダー!何してんだよこの役立たず!!」

士郎「いいぞ!セイバー!」

慎二「ちっ…おい!衛宮。わかってんだろうな?この学校の生徒の命は僕の手の中にあるんだ…。
遠坂なんかに見つけられるもんか。ま!全校生徒の命と引き換えに僕を倒すっていうなら止めないけど?」

士郎「く…汚いぞ慎二!!」

慎二「汚い?何いってんだ?これは殺し合いなんだよ!汚いもクソもあるか!!やれ!ライダー!!」

士郎「はい、マスター」

剣心「くっ…!」

士郎「セイバー!」

剣心「拙者は大丈夫でござる…。士郎殿、凛殿を信じるでござるよ…。彼女ならきっとやってくれるでござる」

凛「校舎中探しまわったけどそれらしい魔法円が全然無い…。なんで…」

凛(これだけ大きな結界を張るなら、魔法円もそれ相応の大きさのはず。
  でも広い校庭や屋上、体育館にもそれらしいものは見つからなかった――)

アーチャー「まったく…。遠坂は常に優雅たれ。いつもそう言ってなかったか?凛」

凛「アーチャー!あんた今までどこいたのよ!」

アーチャー「街を探れといったのは君だろう。それより、ひとつ見落としている場所があるんじゃないか?」

凛「見落としている場所…?」

アーチャー「奴が自由に管理できる場所が一つあるだろう」

凛「弓道場ね!?確かに放課後以外ならあそこは誰も近づかない…。この強力な術式の魔法円を誰にもみつからず描くにはピッタリの場所…」

アーチャー「少し頭を働かせて間桐慎二の性格を考えればすぐわかったろうに…。まったく…君は頭に血が上ると正常な判断が…」クドクドクド

凛「うっさいわね!!私は魔法円の解除に行くわ!!アーチャーは士郎達の加勢に!」

慎二「ハハハ!もう虫の息だなぁ!!」

士郎「剣心…!」

剣心「大丈夫でござるよ…。拙者は凛殿を信じているでござる…」

慎二「やっちまえ!!ライダー!」

ライダー「…!」

士郎「くっ…!」

剣心「士郎殿!!なんという無茶を!!」

士郎「こ、これくらい大丈夫だ…。俺も…俺も遠坂を信じてる…!だから…!だから耐えようセイバー!」

剣心「士郎殿…」

慎二「バッカじゃないの!?遠坂に見つけられるわけ無いっての!マスターがサーヴァントの戦いに割り込むなんてさぁ、衛宮ってホントバカだな!!」

アーチャー「見上げた根性だな。セイバー、衛宮士郎」

士郎「あ、アーチャー。お前どこ言ってたんだよ…」

アーチャー「結界は凛が見つけた。すぐに解除されるだろう」

士郎「ホントか!?セイバー!」

剣心「承知した!」

慎二「く、くっそおおお!!なんなんだよお前等!!!僕の計画を無茶苦茶にしやがって!!ライダー!!二人まとめて殺しちまえ!!宝具だ!宝具使え!


ライダー「了解…。騎英の手綱(ベルレフォーン)!!」

士郎「じ、自分の首を…!」

剣心「士郎殿。こちらも宝具を使うでござる。下がっているでござる」

ライダー「この騎英の手綱の手綱に正面からぶつかるつもりですか?愚かですね」

剣心「それはやってみないとわからんでござろう」

飛天御剣流  九頭龍閃!!!

ライダー「は、速…!ガハァ!」

アーチャー(驚いたな。9箇所に全て「同時」に斬撃を叩きこむとは…。最早魔法の域だ)

慎二「あぁ…ライダー!クッソックッソックッソ!なんだよこの役立たずが!全ッ然使えねえ!」

剣心「暫くは目を覚まさぬであろう。さぁ、令呪を放棄するでござる」

慎二「だ、誰が放棄するか…!こ、これがあれば僕は最強なんだ…!これで僕は聖杯を手に入れて…」

剣心「拙者、殺さずの誓は立てているでござるが、これだけの外道を働いたお主には少々憤りを感じているでござる…。少々斬り刻んでも死にはすまい…」

慎二「ヒッ!?」

剣心「さて、どうするでござる?」

慎二「クッソ…。クソクソクソクソオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

凛「さて、これで1人脱落ね。けど驚いたわ…。まさか本当にどっちも殺さないで勝つなんて…」

剣心「何、凛殿のおかげでござるよ」

士郎「あぁ。遠坂が結界を解除してくれたからあいつらを倒すことが出来た。本当にありがとう、遠坂」

凛「ま、まったく、二人共ホントお人好しね!!バッカ見たい!」

アーチャー「凛、素直に喜んだらどうだ?褒められているんだぞ」

凛「うっさいわね!!大体あんたがこの場にいればこんなことにはならなかったのよ!!」

アーチャー「だからそれは君が…」

凛「サーヴァントがマスターに口答えすんな!!」

士郎「ふぅ…。やっぱり強いな」

剣心「なに、士郎殿も中々見込みがあるでござるよ。筋がいい」

士郎「ヘヘ…。伝説の剣豪に褒められるなんて悪い気はしないな」

凛「3時間もぶっ続けで飽きないわねぇ…」

士郎「遠坂、いたのか?」

凛「いたわよ!最初っから!!あんたらが気づかなかっただけ!」

剣心「すまぬでござる凛殿。拙者は気づいていたのでござるが士郎殿があまりに真剣なもので…。稽古を切り上げにくかったでござるよ」

凛「まったく…。せっかくいい情報持ってきてあげたのに」

士郎「なんだ?特売か?」

凛「違うわよ!!サーヴァントの寝床がわかったわ。柳洞寺よ」

士郎「柳洞寺って一成の?まさか…一成がマスター!?」

凛「探りを入れてみたけど彼は違うわ。おそらく柳洞寺の僧侶の誰かってとこかしらね…。あそこの下には強大な龍脈が通ってるの。拠点としては最高の場所ね」

士郎「そうか…。どうする?」

剣心「本来敵陣に攻め込む場合、それ相応の準備が必要でござるな。相手がどのサーヴァントかわからぬならば尚更でござる」

凛「それが常道よね。けど、聖杯戦争が始まってまだ日が浅い。おそらく拠点はまだ未完成…叩くなら今だと私は思うわ」

剣心「夜襲でござるか」

凛「そう。私達が同盟を組んでいるということは他のマスターは気づいてないはず…。これは大きな利点よ。あなたと士郎が敵を引きつけている隙を突いて…」

士郎「敵を撃つ…か」

剣心「だが凛殿」

凛「わかってるわよ。殺しはしない。あなた達が頑固なのはよーくわかったからね。サーヴァントを無効化した後は、マスターふんじばって令呪を放棄させるわよ」

剣心「かたじけないでござる」

士郎「よし!それじゃ行くぜ!柳洞寺へ!」

刃衛「んーふふふふ。いらっしゃーい…」

剣心「鵜堂…刃衛」

士郎「知り合いなのか…?剣心」

剣心「生前に少し…。気をつけるでござる士郎殿。奴は生粋の殺人鬼。何をするかわからん」

刃衛「数日前から感じていたぞ…。貴様の気配を…。こうして遥か未来で再び剣を交わすことが出来るとはな…。神に感謝だ…」

士郎「マスターはどこだ!」

刃衛「なんだマスターに用があるのか?どうしたかなぁ…。多分そこら辺に転がってると思うんだが…んーふふふふ」

剣心「自分のマスターを…」


刃衛「ギャーギャーうるさい雌狐だったんでなぁ。準備運動ついでに…な。そんな怖い目で見るな抜刀斎。安心しろ。しっかり恋人も一緒に
   送ってやったさ」

士郎「マスターなしに何故現界を…」

刃衛「俺には単独行動スキルがあってね。もとより聖杯戦争なんてものに興味はない…。俺はな抜刀斎…。貴様と再び相まみえること
   だけを願い…英霊になったのさ!!」

剣心「貴様という男は…」

刃衛「怒れ怒れ!!そして再び抜刀斎に舞い戻り俺を殺してみろ!!」

刃衛「さてどうするかなぁ…。まずは昔の方法を試すとするか…」

剣心「いかん!士郎殿!奴の目を見ては…!」

刃衛「!!!」

士郎「か…ハッ…!」

剣心「士郎殿!!」

刃衛「まーた同じ手に引っかかる…んふふふ。どうする抜刀斎?以前のように逆刃を返すか?」

凛「衛宮君!」

士郎「と…おさか…」

凛「暗示の魔術…。何これ…。こんな強い暗示掛けれるなんて…」

刃衛「二階堂兵法心の一方。放っておけば心不全で死ぬぞ。まぁ、そこいらの魔術に解除できるとは思えんがね」

剣心「総何度も同じ手が拙者に通じると思うでござるか?刃衛」

刃衛「なにぃ…?」

剣心「おおおおお!!」

刃衛「んぐっ…!!んふふぅ…。その剣だ…抜刀斎。驚いたぞ…。その『状態』ですでに抜刀斎以上の力ではないか…」

剣心「拙者はもう二度と人斬りに戻らぬと誓ったでござる。貴様の安い挑発に乗るきはない。それに…」

刃衛「んん~…?なんだ?」

剣心「士郎殿はお主の心の一方に負けるほど弱くはないでござる。なぁ、士郎殿」

士郎「ハァ…ハァ…」

凛「ちょっと衛宮君!無理しちゃだめよ!本当に死…」

士郎「うおおおおおおおおおおお!」

凛「う、うそ…」

士郎「ハァハァハァ…。悪かったな剣心…。足手まといになっちまって…」

剣心「大丈夫。拙者は信じていたでござる」

刃衛「んふふふふ…。ふ、ふはははははは!!面白い!緋村剣心!今のお前はどうやら抜刀斎を超えているようだ!いいぞ!
   こうでなくてはな!もう小細工はなしだ!!全身全霊でゆくぞ!!」

刃衛「こおおおおおおおおおおお!!我!不敗!也!我!無敵!也!!」

凛「あれは…自身に強力な暗示をかけてるのね…。しかしなんて暗示…。ヘタしたら廃人になるわよアレ…」

アーチャー「やるなら今だが、どうする?凛」

剣心「待って欲しいでござる。ここは拙者に任せて欲しいでござるよ」

アーチャー「何?まったく侍という人種はわからぬな。せっかくの好機をムダにするのか?正々堂々一対一というやつか」

剣心「そんなものではないでござるが…。奴に生前『人斬りは死ぬまで人斬り』と言われたでござる。それが本当かどうか
   奴に見せておきたいでござるよ」

アーチャー「ほう。人斬りとしての実力をか?」

剣心「違うでござる。拙者が進んできた道。殺さずの流浪人。緋村剣心の強さでござる」

アーチャー「だそうだ。凛」

凛「えぇっと…」

士郎「頼む遠坂。剣心の言うとおりにしてやってくれ」

凛「わ、わかったわよ。まったく…」

剣心「ありがとうでござる、凛殿」

刃衛「我…。最強なり…」

剣心「準備は出来たようでござるな」

刃衛「懐かしいなぁ…。この感覚!」

剣心「それも今日で終わりでござる。拙者との因縁。ここで断ち切るでござるよ」

刃衛「あいも変わらず抜刀術の構えか!んふふ!いいだろう!再び受けて立つ!!」

剣心「行くでござる!!」

刃衛「来い!!緋村剣心!!」

剣心「おおおおおおおおおおおおお!!飛天御剣流奥義!!!」


           ――――天翔龍閃!!――――

刃衛「!!!」

士郎「なんだあれ…。速すぎて見えなかったぞ…!けど!」

アーチャー「避けられたな。まずいぞ」

刃衛「いい抜刀術だ!!!しかし残念だったなぁ!!どうする?また鞘で来るか…こ、これは!!」

士郎「なんだ?剣心と刃衛の間・・・おかしくないか?削り取られたっていうか…」

アーチャー「文字通り削り取られたんだろう。ヤツの神速の抜刀術でな」

凛「空間を削りとるって…魔法の域じゃない…」

士郎「なんか景色が歪んで…」

アーチャー「奴に削り取られた空間が戻ろうと、周囲の空間を引き寄せているんだ」

剣心「おおおおおおおおおおおおおおお!!」

                      ――――天翔龍閃!!――――

刃衛「があああああああああああああああああ!!」

剣心「これが殺さず…。緋村剣心の力でござる」

刃衛「んふふふふ…。まいったな。指一本動かせん…」

剣心「…」

刃衛「その顔…。その目…。まいったな。以前お前に負けた時に見たお前の顔は…情けなくて笑えたものだが…
   そんな目をするな。俺を殺すと言った時よりいい目じゃないか」

剣心「もう拙者に迷いはない。お主はつまらんかもしれんがな」

刃衛「そんなことはない。昔以上の最高の抜刀術を食らって逝ける…。んふふ…。いいじゃないかこの感覚…。やはり戦いはいい…」

剣心「安らかに眠るでござるよ。鵜堂刃衛」

刃衛「お前もな…。英霊として一生殺さずの流浪人とやらを貫くといい…。運が良ければまた別の世界で会えることもあるだろう。
   それを楽しみにしているぞ…。緋村剣心…」

凛「ふー…。なんだかんだ馴染んじゃったわね…。この家に」

剣心「凛殿、お茶請けでござる。拙者が現界してから漬けたぬか漬けでござる。士郎殿は?」

凛「ありがと。あ、おいしい。これだけでご飯2杯はいけそうね。士郎なら土蔵で魔術の訓練中よ。まったく…休むってこと知らないのかしら。
なんか柳洞寺以来『剣心にふさわしいマスターになる!]』って張り切りまくりでね。土蔵がトレース品でいっぱいになっちゃうわよ」

剣心「士郎殿は努力家でござるからな」

凛「ズズ―…。しかし、なんか変な状況ね。別のサーヴァントと別のマスターが居間でお茶飲んでるなんて…」

剣心「平和が一番でござるよ。本当に今の日本は素晴らしいでござる」

凛「剣心、あなた優しいわね。いつかは殺し合いする仲なのよ?私達」

剣心「時が来れば拙者は剣をとるでござる。しかし今は紛れもなく凛殿達は仲間。それでよいではござらぬか」

凛「信用されてるわね」

剣心「してなかったら初めてあった時に一戦交えているでござるよ。それに、凛殿は永人殿の子孫でござるからな」

凛「永人って…。うちの初代当主…。な、なんで剣心がその名を…」

剣心「!!凛殿!士郎殿の寝室へ!」

凛「これは…」

剣心「士郎殿が何者かに連れ去られたでござる…」

凛「この屋敷の結界を避けようともせず堂々と…。やられたわね」


凛「よりにもよってアインツベルンか…」

アーチャー「あぁ。私を偵察に出していて助かったな」

剣心「聖杯御三家の1つでござるな。拙者がこうして現界している以上無事であることは間違いないでござるが…」

凛「行くしか無いわね…」

アーチャー「最大の敵が1人消えるかもしれんのに…。君もセイバーや衛宮士郎に感化されたのか?」

凛「うるさい!!助けに行くったら行くの!わかった?」

アーチャー「ふぅ…。わかっているよ。マスターの命令は絶対だからな」

イリヤ「ねーシロウ、イリヤのものになってよー」

士郎「いや、それはできない」

イリヤ「どうしても?」

士郎「どうしても」

イリヤ「イリヤのお願いでも?」

士郎「駄目だ」

イリヤ「イリヤ、シロウがイリヤのものになってくれるなら、なんでもするよ?」

士郎「……それでも駄目だ」

イリヤ「えー」

イリヤ「……シロウもイリヤの事嫌いなんだ」

士郎「いや、イリヤの事は嫌いじゃないぞ」

イリヤ「じゃあ好き!?」グッ

士郎「か、かなり……」

イリヤ「じーっ」

士郎「す、すっごく好きだよ?」

イリヤ「ホント!?」

士郎「ホントホント」

イリヤ「わーい!」ギュー

士郎「うう……」

イリヤ「じゃあ、イリヤのものになってくれる?」

士郎「それは無理だ」

イリヤ「えー……」

イリヤ「もういい! シロウのバカ! あの女殺す!」

士郎「ま、まて! あの女って……」

士郎(あの女って……遠坂!)

凛「へー、衛宮君ってああいう子がいいんだ」

士郎「おわっ!?」ガタンッ

凛「あ、コケた」

剣心「無事でよかったでござる。とにかく、あの娘が戻ってくる前に逃げるでござるよ」

イリヤ「誰が戻ってくるって?」

凛「もしかしてバレてた…?」

士郎「イリヤ、殺し合いなんてやめるんだ!」

イリヤ「どうしてそんな事言うの? こうなったのはシロウの所為なんだよ?」

士郎「俺の……?」

イリヤ「シロウが私のものになってくれれば見逃してあげようと思ったけど」

イリヤ「けど、もう駄目。イリヤの言うこと聞いてくれないシロウもいらない」

バーサーカー「…」

士郎「あれは…」

アーチャー「バーサーカー…。まいったな。おそらく今回の聖杯戦争最強のサーヴァントだ」

剣心「縁!!」

縁「隙だらけだ抜刀斎…」

剣心「くっ…」

士郎「剣心!」

アーチャー「全く…世話の焼ける…!」

縁「おっト…。危ない危ない。さすが抜刀斎…。直前で鞘を前に出し掌破刀勢の威力を殺したカ…。そっちのアーチャーも中々やるネ。踏み込んでたら死んでたカナ?」

凛「うそ…。あいつ…狂化してないわ…。バーサーカーなのにどうして!?」

縁「俺は特別でネ。生前は常に狂ってた時期があったからなァ。そのせいかも」

イリヤ「何喋ってるのバーサーカー!はやく殺っちゃって!」

縁「ハイハイ。人使いの荒いマスターだネ、マッタク」

剣心「縁…久しいな…」

士郎「大丈夫なのか?剣心」

剣心「あぁ、傷は浅いでござる…」

士郎「どこがだ!ひどい傷じゃないか!」

剣心「ここで引くわけには…」

縁「まったく…変わらないな抜刀斎」

士郎「また知り合いなのか…?」

剣心「あぁ、拙者の弟でござる…義理のな」

縁「あぁ、勘違いしているようだから言っておくゾ?抜刀斎。俺はもうあんたのことは恨んじゃいない」

剣心「…」

縁「姉さんの日記も見た。まったく…受け入れるのに人生の殆どを使っちまったヨ」

剣心「そうか…」

縁「だが、サーヴァントとして召喚されてしまった以上、戦いは避けられないネ」

剣心「それは拙者も同じ事」

縁「まぁ待て。その傷じゃ動くのも辛いだろ?どうだ。朝までまってやろう。それだけ休めばある程度回復するだロ?」

イリヤ「ちょっと!バーサーカー!何言ってるのよ!」

縁「まぁまぁ、お姫サマ。俺が簡単に負けると思うカイ?さっきも言ったけどこいつとは結構な因縁があってね。ハンデは無しで戦いたいんだ。さっきは勢いで斬っちゃったけど。俺の最初で最後のワガママさ。お願いだよ」

イリヤ「まったく!勝手なんだからぁ!」

縁「というわけだ抜刀斎。お前とは全力で戦いたいんだヨ。本当の意味で姉さんとケリを付けるためにね」

剣心「承知したでござる…。かたじけない…」

縁「じゃ、明朝またこのホールでネ」

士郎「魔術刻印の移植?」

凛「えぇ。セイバーっていうか緋村剣心を朝までに全快させるには、今のあなたの魔術量じゃ絶対に足りない」

士郎「けど、いいのか?魔術刻印ってのはその家が代々受け継いできた大切なモノなんだろ?それに刻印をなくすってことは魔術師として…」

凛「これ以外に方法ないでしょ!!!」

士郎「わ、悪い…。遠坂の気持ちも考えずに…」

凛「アーチャー!わかるでしょ!悪いけど剣心と外出てて!」

アーチャー「はいはい。わかっているよ」


アーチャー「こうしてゆったり話をするのは初めてだな。セイバー」

剣心「そうでござるな。凛殿には助けられっぱなしでござる。感謝するでござるよ」

アーチャー「甘い甘いとそちらに言っておきながら、一番お人好しなのはあいつだからな。まったく…こまったマスターだ」

剣心「時にアーチャー殿…。いや、士郎殿」

アーチャー「…。バレていたか」

アーチャー「そして俺は…やっと気づいたよ。正義の味方になんてなるべきじゃなかった…。俺は…」

剣心「…」

アーチャー「今回の聖杯戦争は俺が戦った聖杯戦争ではないようだ。アーサー王ではなく君が召喚され、

        アサシンもランサーもバーサーカーも違う英霊だ。衛宮士郎を殺しても…俺は消えれないかもしれない。
        だがそれでも…。俺は…消えるべきなんだよ…俺が犯した罪と共にね…。フ…。殺そうとしている相手のサーヴァントにこんなことを話すとは…私も焼きが回ったかな…」

剣心「拙者はお主が士郎殿を殺すとは思っていないでござる」

アーチャー「…」

剣心「死や罰は恐ろしくない。だが死ぬことで自分の罪が償えるとはどうしても思えない。ましてや自分殺しの自害という命の投げ捨てなどでは尚更思えない」

アーチャー「簡単に言うな…。俺は…」

剣心「拙者もかつて、お主と同じ生き地獄に堕ちたでござる。この目に写る人々を守りたい、苦しんでいる人、悲しんでいる人の力になりたい、
けれどそのために…多くの命を斬ってきた。斬られた者もまた、拙者と同じ思いで必死に戦っていたであろうことも知らずに…」

アーチャー「…」

剣心「それでも拙者が未だに刀を振るっているのは理想のため、生きてより1人でも多くの笑顔とより1つでも多くの幸せをこの世に灯すため。この刀振るえなくなるまで必ず戦い抜く。『剣と心をとしてこの戦いの人生を完遂する』それが拙者の見出した答えでござる」

アーチャー「…」

剣心「酷だとは思うでござる。お主は拙者以上の生き地獄を味わってきたのでござろう。拙者自身、この先に待つのが地獄なのかそれ以外の何かなのかはわからぬ。だが、まだ剣を振るえるうちに諦めることだけは絶対にしないでござる」

アーチャー「俺は…」

剣心「お主がその気になればいつでも士郎殿を殺すことは出来たはずでござる。だがしなかった。その両手に剣を持ち続けてる意味をもう一度考えてみてはどうでござる?それでも士郎殿を殺すというならば拙者が相手になろう」

アーチャー「剣を持つ意味…か」

凛「終わったわ。ん?どうしたの?」

アーチャー「いや…」

凛「ホントに大丈夫?」

アーチャー「衛宮士郎」

士郎「な、なんだよ」

アーチャー「お前は自分の信念を貫く覚悟があるか。例え何百回その思いが裏切られようとも」

士郎「…。あるさ。俺は正義の味方になる。絶対にだ」

アーチャー「お前は作るものだ。戦うものではない。新に戦うの相手は前自身だ」

士郎「は?どういう意味だよ」

アーチャー「衛宮士郎は勝てる相手がいない。ならばせめて幻想の中では最強の自分をイメージしろ。イメージするのは最強の自分。その事を忘れるな」

士郎「あ、あぁ」

アーチャー「ではついてこい。凛とバイパスが繋がったなら容量の問題は解決だろう。先輩として俺が稽古をつけてやる」

凛「いったいどうしたのあいつ?剣心、なんかした?」

剣心「いや、ほんの少し話しただけでござる。友としてな」

凛「ますますわかんないわ…」

士郎「傷は万全か?剣心」

剣心「あぁ、大丈夫でござる。今まで以上に魔力が溢れてくるでござるよ」

凛「私の魔力もいってるんだから当然よ。完全復活ね」

士郎「よし…じゃあ行くぜ!」


イリヤ「よく来たわね!!今日こそ殺してあげるんだから!覚悟しなさい!」

縁「まったく殺す殺すと品がないナ。うちのお姫様は」

凛「本当ね、品性を疑うわ」

イリヤ「遠坂の年増は黙っててよ!」

凛「だ、誰が年増よ!!!」

剣心「縁。昨夜はありがとうでござる」

縁「気にするナ。これで本気で戦えるな」

士郎「剣心!頼むぞ!昨日話してわかった。イリヤは純粋なだけなんだ。なんとかこの聖杯戦争から救い出してやりたい」

剣心「承知したでござる」

縁「よく見てるね、抜刀斎のマスター。その通りサ。うちのお姫様は俺と同じなんだヨ」

剣心「どういうことでござる?」

縁「幼くして母親を亡くし、父親は家を裏切って蒸発…。アインツベルン家では人ではなく、聖杯戦争を勝ち抜くための道具として扱われてきた。今じゃああして感情豊かだけど、俺が召喚された頃はひどかったんだゼ?何しても無表情でさ」

剣心「…」

縁「サーヴァントの俺じゃあできることは少ないが…少しでも力になってやろうと思ってネ。イリヤのためにも…負ける訳にはいかないよ」

剣心「それは拙者とて同じ事。縁。戦う前に聞いておきたいことがあるでござる」

縁「なんだイ?」

剣心「お主の中の巴は…笑っているでござるか?」

縁「…。お前と一緒サ。今は影すら見てないよ。ただ、死ぬ間際…。姉さんは笑ってくれたよ。『あの人を許してくれてありがとう』ってね…」

剣心「そうか…。縁…。ありがとう…。そしてすまなかったでござる」

縁「フ…。どういたしまして。ニーサン。さて、もう言葉はいらないな…。後は…ただ全力を…!」

剣心「尽くすのみ!!」

縁「ハァァァァァ!!!」

――――狂経脈――――

アーチャー「あれは!」

凛「気をつけて!狂化したわ!自在に狂化できるの!?」

士郎「剣心!」

剣心「ゆくぞ!!!」

―――飛天御剣流奥義―――
    天翔龍閃!!

縁「!!!」

士郎「避けられた!!」

凛「大丈夫よ。剣心の宝具の本質は二撃目…」

アーチャー「いや、まずいな」

士郎「え?」

縁「終わりだ!」

士郎「なんだ…!?あの構え…」

アーチャー「あの地に深く沈む構え。おそらくカウンター技だ。あの体制ならば二撃目に来る空間を引き寄せる力を交差法として利用すれば丸々一回転する二撃目より軌跡半回転ですむ。つまり…」

士郎「剣心より速く宝具を叩き込めるってのか…?」

アーチャー「そういうことだ」

士郎「剣心!!!」


剣心(死闘という極限の狭間で…紙一重の生死を見極めこの奥義を放つ…)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
士郎「どんな剣術や力だって使う人によって形は変わる…はずだ…」

凛「セイバー、あなた優しいわね」

アーチャー「剣を持つ意味…か」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
剣心(だから…あとは拙者の心ひとつ…。恐れるものは何もない!!)

剣心「おおおおおおおおおおおおおお!!」

     ――――――――天翔龍閃!―――――――

縁「…ガ…ハッ…!」

剣心「縁。強くなったでござるな」

縁「まったく…今度は刀だけじゃすまなかったね…」

イリヤ「そんな…。バーサーカーが負けちゃうなんて…」

縁「悪いねイリヤ…。負けちゃったヨ…。ちょっと動けないナ…」

イリヤ「バーサーカー!!」

縁「イリヤ…。昨日のワガママ…。最初で最後って言ったけど、もう一つ聞いてもらってもいいかナ?」

イリヤ「え?」

縁「令呪を放棄してくれないか?」

イリヤ「な、何言ってるのよ!そんなことしたらあなた消えちゃうのよ!私嫌だよ!バーサーカーと離れたくないよ!!」

縁「俺も嫌さ…。けど、俺というサーヴァントと契約してる限り…お前はアインツベルンの人形のままだ…」

イリヤ「縁…ウッ…」

縁「やっと名前で呼んでくれたね…。大丈夫サ…。これからは、あいつらがイリヤを守ってくれるよ」

イリヤ「うん…うん…」

???「ハッハッハッハ!ここまでベタな三文芝居だと見ていて逆に楽しいものだな!だが!!そこまでだ!!!」

縁「イリヤ!!!」


イリヤ「…あ…え、縁…?」

縁「ガハッ…」

剣心「縁!!」

士郎「イリヤ!」

凛「何今の!?あんなに大量の刀剣どこから!?」

アーチャー「どうやら…最低最悪の奴が来たようだ…。奴はギルガメッシュ。バビロニアの王にして最古の英雄…。英雄王だ」

凛「何?!知り合いのなの!?」

アーチャー「昔ちょっとな」

ギルガメッシュ「チッ…。下賎なサーヴァントが…しゃしゃり出てきおって」

剣心「縁!しっかりしろ!」

縁「イリヤを頼んだゾ…。ニイサン…」

剣心「縁!!!」

士郎「貴様ァァァァ!!」

ギルガメッシュ「…」

士郎「降りてこい!!なんてことすんだ!!」

ギルガメッシュ「雑種の分際で我を見上げるとは…。身の程を知れ!!下郎が!!」

アーチャー「下がれ馬鹿者!!」

 ――――――熾天覆う七つの円環――――――
     ―――ロー・アイアス!―――

ギルガメッシュ「余の宝具に耐えるとはなぁ。ククク…中々いい宝具だ」

剣心「士郎殿!!下がるでござる!!」

斎藤「身近なものに危険が迫ると周りが見えなくなるのが…今も昔もお前の命取りだ」

剣心「!!」

――――――牙突――――――

剣心「ぐっ…!」

士郎「け、剣心!!」

斎藤「また躰をひねって串刺しだけは避けたか…」

イリヤ「きゃあ!」

士郎「イリヤ!?」

言峰「アインツベルンの聖杯を取りに来てみれば…お前たちまでいるとはな。まったく、運がいいのか悪いのか」

凛「綺礼!!」

斎藤「どうするマスター。このまま殺していいのか?」

凛「あんたがランサーのマスターだったのね…。そんなこと一言も言わなかったじゃないの。監督役がマスターなんて聞いたことないわ」

綺礼「聞かれなかったからな」

凛「こいつ…!」

綺礼「予定変更だ。そのまま連れてこい。先に聖杯本体を貰おうと思ったが…これはこれで面白い」

斎藤「フン…」

士郎「まて!イリヤと剣心をどうする気だ!!」

綺礼「別にとって食いはせんさ。ライダー、アサシン、キャスター、そしてバーサーカー。まだ4体だが…。十分機能はするだろう」

綺礼「衛宮士郎、凛、そしてアーチャー。セイバーとアインツベルンの娘を助けたければ柳洞寺にこい。聖杯の真実を教えてやろう」

凛「聖杯の…真実…?」

綺礼「お前はどうするギルガメッシュ?」

ギルガメッシュ「先に行っていろ綺礼。我はこの無礼な雑種共を片付けてから行く」

綺礼「承知した。あまり遊びすぎるなよ。行くぞ、ランサー」

斎藤「…ッチ」

イリヤ「シローーーーーーーーウ!!」

士郎「イリヤアアアアアアアアア!」


ギルガメッシュ「さて、こうして残ってやったんだ。少しは楽しませてくれるのだろうな?雑種共」

士郎「…け」

ギルガメッシュ「ん?なんだ。聞こえんな」

士郎「どけって言ってんだよ!!」

ギルガメッシュ「これはこれは。差し詰め姫を守るナイト様といったところか?猛々しいものだ」

アーチャー「落ち着け衛宮士郎!」

凛「ちょ、ちょっとアーチャー!」

ギルガメッシュ「味方を殴りつけるとはなぁ。雑種の考えることは我にはよくわからん」

士郎「くっ…」

アーチャー「イリヤと剣心を助けるのだろう。冷静で無ければ勝てる相手にも勝てんぞ」

士郎「アーチャー…。あぁ、ありがとう。おかげで落ち着いた」

ギルガメッシュ「ほぉ、我を倒すとな?雑種にしては冗談が旨いな。しかし…その冗談は笑えんなぁ…!」

アーチャー「奴は人類最古の王にして英雄。王の宝物庫という宝具に底知れない数の宝具を保管している。最強のサーヴァントだ…俺達以外にはな。ゆくぞ衛宮士郎。昨夜の稽古を思いだせ。いいか。イメージするのは…常に最強の自分だ」

士郎「…あぁ!!」

アーチャー「I am the bone of my sword.
Steel is my body, and fire is my blood.
I have created over a thousand blades.
Unknown to Death.
Nor known to Life.
Have withstood pain to create many weapons.
Yet, those hands will never hold anything.
So as I pray,」

士郎「この体は剣で出来ている
血潮は鉄で 心は硝子
幾度の戦場を越えてなお 不敗
ただ一度の敗走もなく
ただ一度の勝利もない
担い手はここに一人
剣の丘で鉄を打つ
ならばこの生涯に意味はいらず
この体はきっと無限の剣で出来ていた」

アーチャー&士郎「UNLIMITED BLADE WORKS!!!」

ギルガメッシュ「これは…!」

凛「こ、固有結界!?」

アーチャー「ゆくぞ、英雄王…」

士郎「武器の貯蔵は充分か!?」

ギルガメッシュ「贋作師が二人か…。いいだろう!とくと味わうがいい!我が宝具を!」

士郎「おおおおおおお!トレース…オン!!飛天御剣流!龍槌翔閃!!」

ギルガメッシュ「クッ…!なんだと!?」

士郎「龍巻閃凩!!旋!!嵐!!」

ギルガメッシュ「この雑種が…」

士郎「九頭龍閃!!!」

ギルガメッシュ「があああああああああああ!!」

アーチャー「よし…決めるぞ衛宮士郎!」

ギルガメッシュ「雑種共がぁ…!いいだろう…そこまで死にたいなら死なせてやる…!!乖離剣エアを使う!!」

士郎「トレース…」

アーチャー「オン!!」

ギルガメッシュ「死して償え!!エヌマ!!」

士郎「おおおおおおおおおおおおお!!飛天御剣流奥義!!!」
アーチャー「おおおおおおおおおお!エクス…!!」

―――――――――――――天翔龍閃!!―――――――――――

―――――――――――――約束された勝利の剣!!―――――――――――

凛「まったく同じ固有結界…。確かに英霊はこっちの時間軸とは無関係に召喚されるわけだけど…。驚いたわね、アーチャー」

アーチャー「フ…。聞かれなかったからな」

凛「随分キャラも変わっちゃって…。衛宮君?どうしたの?」

士郎「令呪が…消えた…」

アーチャー「…。どうする衛宮士郎。最早お前はマスターではない。それでも戦うか」

士郎「あぁ…当然だ。イリヤを助けに行こう」

綺礼「よく来たな。ここに来たということは…ギルガメッシュを倒したか、切嗣の息子。そして凛」

凛「何この瘴気…。これが聖杯なの…?こんなのまるで…」

綺礼「そうだ。これが貴様達が求めていた聖杯の真実だ。これはただの願望機ではない。使用者の願望を悪意によって叶える。世界から争いを無くしたいと願えば人類全てを消し去るだろう。世界一の大金持ちになりたいと願えばこの世のすべての金持ちを殺す。
歪んだ形でしか願いを叶えることはできん。この泥は世の悪意を集めたようなものだ」

士郎「遠坂…。聖杯を壊そう。こんなものこの世にあっちゃダメだ」

凛「えぇ…。当然よ」

綺礼「では、そんなお前たちにとっておきのプレゼントをやろう。こい、セイバー」

剣心「…」

士郎「剣心!無事だったのか!」

アーチャー「待て。様子がおかしい」

士郎「その刀は…峰も全部刃…!?」

剣心「…」

綺礼「その通り。それは貴様らの知っているセイバーではない。伝説の人斬り。緋村抜刀斎だ」

士郎「なんだと…?剣心に何をした!!」

綺礼「聖杯の泥をくれてやっただけだ。本来の姿に戻してやったのだから感謝して欲しいくらいだが?」

ちょっとまってくれ。人いたらだけど。パソコン落ちた

剣心「…!!」

士郎「は、速い!!」

アーチャー「衛宮士郎!!」

斎藤「チッ…」

士郎「お前は…ランサー!なんで…」

斎藤「もうやめだ。貴様のようなマスターには反吐が出る。ここまで阿呆だとは思わなんだ」

綺礼「ほう…。いいのか?ランサー。私はまだ令呪をひとつ残しているが。聖杯と繋がっている私の魔力に抗えると思っているのか?」

斎藤「勘違いするな。俺が従うのはただひとつ。悪・即・斬という…俺自身の信念だけだ」

綺礼「では…試してやろう。令呪の名において言峰綺礼が命ずる」

アーチャー「…衛宮士郎。ここは任せろ」

綺礼「自害せよ。ランサー」

アーチャー「トレース…オン!」

―――――――――――破戒すべき全ての符―――――――――
―――――――――――ルールブレーカー――――――――――

綺礼「これは…」

斎藤「ゆくぞ…!!」

――――――-牙突弐式!――――――

剣心「…!」

斎藤「最後に貴様(抜刀斎)と戦ったのは鳥羽伏見だったか…。再び相まみえることができるとは思いもしなかったが…」

剣心「…」

斎藤「今の貴様を倒した所で何の感慨も湧きはせん。聖杯の泥などに飲まれるとはな。今の貴様は殺さずの流浪人以下だ。せめて俺の手で葬ってやろう…!!」

士郎「今の宝具は…」

アーチャー「ルールブレイカー。機能は魔術効果の無効化だ。それが令呪の契約であったとしてもな」

凛「なんでランサーを助けたの?綺礼のサーヴァントよ?」

アーチャー「何、どこぞの正義の味方の影響さ。それよりも凛、衛宮士郎。言峰綺礼を任せても大丈夫か?」

凛「アーチャー?」

アーチャー「隙を突いて剣心の理もルールブレイカーで破壊する。そうすれば聖杯の毒は除去されるはずだ」

士郎「本当か!?それなら俺が」

アーチャー「貴様は己がやるべきことをやれ。イリヤスフィールを助けるのだろう。現界した聖杯さえ破壊すればイリヤスフィールは元に戻るはずだ」

士郎「けど…剣心だって俺の大事な…」

凛「ホンット頑固よね!士郎?もう一人の自分がこう言ってるんだから、少しは信用してあげなさいよ!」

士郎「遠坂…。そうだな。頼めるか?アーチャー。必ず…必ず剣心を救ってくれ…」

アーチャー「承知した。凛」

凛「何?」

アーチャー「私を頼む。見ての通りこういう奴だからな。側でしっかり支えてやってくれ」

凛「えぇ…。任せといて!」

剣心「…」

斎藤「チッ…」

アーチャー「疲れてきてるようだな、ランサー。単独行動のスキルのみで戦うのは辛いだろう。手を貸そうか?」

斎藤「先ほどのサーヴァントか。礼は言っておこう。贋作師のようだが…なんでも作れるのか?」

アーチャー「主に刀剣専門なのだがな。何故そんなことを聞く」

斎藤「マッチが切れた」

アーチャー「フ…。これでいいか?」

斎藤「フゥ・・・。さて、何か考えがあるようだが…俺は抜刀斎を殺す気でいくぞ。それでもいいのか」

アーチャー「好きにしろ。こちらも勝手にやらせてもらう」

斎藤「どうも俺の周りには阿呆ばかりが集まるな…。フゥ・・・。ゆくぞ!!」

アーチャー「あぁ!!」

綺礼「まったく…。切嗣といい貴様といい…。衛宮の家系は思い通りに動いてくれんな」

士郎「お前の目的は一体何なんだ!?こんなことして何になる!」

綺礼「目的…?ふむ…。そうだな…。強いて言えば愉しいからかな」

凛「はぁ?」

綺礼「これだけの悪意の塊だ。これが世界にばら撒かれればどうなると思う?世界中が冬木大災害と同じになるのだ。実に愉しくはないか?」

士郎「お前…本気でそう思ってるのか!?」

綺礼「無論だ。私は特に聖杯に願いなどはない。ただ聖杯が世にもたらす『悪意』それを見届けたいのだ」

凛「前々から思ってたけど…あんた歪んでるわ。もうどうしようもないくらいね」

綺礼「褒め言葉と受け取っておこう。さて、どうする?言っておくが先の聖杯戦争で私の心臓と聖杯の泥は一体化している。聖杯を壊さない限り私は死なんぞ」

士郎「なら…お前も倒して聖杯も壊す!それだけだ!トレース…オン!!いくぞ!遠坂!」

凛「えぇ!!」

アーチャー「おおおおお!!」

斎藤「…!!」

剣心「…」

アーチャー「敵にするとここまで恐ろしいとはな…。ルールブレイカーを突き刺すどころか、攻撃を当てることも出来んとは…」

剣心「飛天御剣流…」

―――龍巣閃・咬―――

斎藤「チッ…」

アーチャー「ランサー!」

斎藤「喚くな阿呆が。かすり傷…!?」

剣心「…!」

アーチャー「いかん…。あの構え…先の宝具か!」

斎藤「今の抜刀斎は聖杯と直に繋がっている。魔力は無限大とも言っていい。普通の天翔龍閃ではないぞ。…。おい、貴様。数秒でいい。奴の奥義を堪えろ」

アーチャー「あの威力をか…。無茶を言ってくれる」

斎藤「協力してやると言ってるんだ。おとなしく言うことを聞け」

アーチャー「フ…了解だ」

剣心「飛天御剣流奥義…」

――――天翔龍閃・斬――――

アーチャー「トレース…オン!!」

―――――熾天覆う七つの円環――――
――――――ロー・アイアス―――――

アーチャー「くっ…!この威力は…!だめだ!砕けるぞ!」

斎藤「1秒も持たせたか…上出来だ」

―――――牙突・零式―――――

剣心「…ガハッ!!!」

斎藤「今だ!!」

アーチャー「あぁ!!」

――――破戒すべき全ての符――――
 ―――ルールブレイカー――――

剣心「…!!ガハッ!!」

アーチャー「剣心!大丈夫か!」

剣心「あ、あぁ…。助かったでござるアーチャー殿…」

アーチャー「礼ならランサーに言ってくれ。まさかロー・アイアスを内側から突き崩すとはな…」

斎藤「牙突にはいくつか種類がある。通常の壱式。斜め上から振り落とす弐式。対空撃用の参式。そして今のが奥の手、俺の宝具。間合いの無い密着状態からくりだす零式。対抜刀斎用のとっておきだ。結局生前はこいつ相手には使わなかったがな…」

剣心「また串刺しにされたでござるよ…。これで3度めでござる」

斎藤「命があるだけ感謝しろ。そいつに免じて急所は外しておいた。…。チッ…」

アーチャー「ランサー!貴様、今の攻撃で…」

斎藤「かすり傷だと言っているだろう阿呆が。それよりも急がんとあのクソ神父に貴様らのマスターは殺されるぞ」

アーチャー「しかし、その傷は…」

剣心「行くでござるよアーチャー殿」

アーチャー「…。わかった。ランサー、礼を言うぞ」

剣心「お主には世話になりっぱなしでござるな。感謝する、斎藤」

斎藤「何度も言わせるな。行け。貴様らとは潜った修羅場の数が違うんだよ…」

アーチャー「先程のでタバコは最後だろう。贋作で悪いが、これで我慢するんだな」

斎藤「チッ…。どいつこもいつも…。フゥ…。阿呆が…」

士郎「うおおおおおおおおおおおおおおお!!飛天御剣流!龍槌閃!!」

凛「Neun(九番),Acht(八番),Sieben(七番)――――!
 Stil,sciest(全財投入),Beschiesen(敵影一片)、ErscieSsung――一(塵も残さず……!)――!」

綺礼「ふむ、二人共良い攻撃だ。だが…」

士郎「また黒鍵か!」

凛「まさか…全部撃ち落とされるなんてね…。私のとっておきの宝石が…。まいったわね」

士郎「奴の操る泥を掻い潜って攻撃しても全部あの黒鍵と聖杯の泥で弾かれちまう…」

凛「多分、聖杯の魔力で黒鍵を生成してるんだわ。あれだけの魔力だもの。おそらく無限に生成できるはず…」

士郎「くそ…。打つ手なしなのか…?!」

綺礼「どうした衛宮士郎、凛。それでは私は倒せんぞ。それとも諦めるか?特に凛。一応兄妹弟子の間柄だ。貴様らが私の邪魔をしないというなら…」

凛「そんなの死んでもお断りよ」

綺礼「だろうな。そう言うと思ったよ。しかしいつまでも君たちの相手をしているわけにもいかん。そろそろ終わりにしようか」

士郎「遠坂、来るぞ…」

凛「衛宮くん、お願いがあるの」

士郎「なんだ?」

凛「ボソボソ」

士郎「…わかった。俺の命…遠坂に預けるぞ。必ず決めてくれ。いくぞ…。言峰綺礼!」

綺礼「フフフ…。来るがいい切嗣の息子。もっと私を楽しませてくれ」

士郎「飛天御剣流奥義…!!」


アーチャー「いたぞ!!」

剣心「士郎殿!!」

綺礼「これが伝説の飛天御剣流の奥義か?少々拍子抜けだな」

アーチャー「あの天翔龍閃を避けたのか…?!言峰綺礼は?」

剣心「いや…あれは!」

士郎「あぁ、こんなもんさ。これは奥義じゃないからな!!」

綺礼「!?」

士郎「うおおおおおおおおおおおお!!飛天御剣流!!」

―――――龍鳴閃!!―――――

綺礼「クッ!?」

アーチャー「あれは?!」

剣心「飛天御剣流龍鳴閃…。天翔龍閃が神速の抜刀術ならば、龍鳴閃は神速の納刀術。納刀時の衝撃音で相手の感覚を一時的に麻痺させる技でござる」

士郎「遠坂!!!!」

凛「えぇ!!!」

綺礼「ガハッ…!!この剣は…」

凛「あなたがくれたものよ。そして父の形見…!」

綺礼「フフフ…。因果応報か…。これもまた…」

凛「“last”――――!」

士郎「遠坂、やったな。大丈夫か…?」

凛「えぇ…。まったく…こいつもバカなんだから…。おとなしく神父やってればいいのに…」

剣心「士郎殿!!」

士郎「剣心!!助かったんだな!!」

剣心「あぁ、アーチャー殿に助けられたでござる」

凛「よくやったわね、アーチャー」

アーチャー「フ…。よしてくれ。君に褒められるとなんだかむず痒い」

剣心「では士郎殿…。最後の仕上げでござる」

士郎「剣心…。本当に…本当にこうするしか…」

剣心「あぁ。それが拙者の…そして我が友、遠坂永人殿の願いでござる」

凛「やっぱり…剣心永人を知ってるのね?」

剣心「戊辰戦争の後、重症を負った拙者を助けてくれたのが永人殿でござった」

永人『魔術師でもない君に禁を犯してまで全てを話したのは、私はもう疲れたからだ…。真理の探求のために始めた聖杯召喚の儀式が…いつの間にか殺し合いの戦争になってしまった…。
ユスティーツァは死に…ゾォルゲンは最早当初の目的も忘れた聖杯を求めるだけの狂人に成り下がってしまった…。そして我が娘も…孫も…聖杯戦争で死んだ…。私はもう長くない。
こんな高齢まで生きることが出来たのは無力な私への皮肉なのか…。君ほどの人間なら死後格の高い英霊になることだろう。もし…もし君が英霊となり…聖杯に召喚された時は…
君の手で聖杯を…この狂った戦争の元凶を破壊してくれぬか…?』

凛「そうだったの…。私のご先祖様がね…」

剣心「あぁ。100を越える老齢であったが、おそらく聖杯への執念だけで生き続けていたのでござろう。友として、彼の願いを叶えてやりたいでござる」

士郎「俺とアーチャーの固有結界でなんとかならないか…?」

アーチャー「やめておけ。凛を殺す気か。ただでさえこれまでの戦いで消耗しているのに、俺と貴様に固有結界を使われたら凛は死ぬぞ。バイパスが繋がっている貴様ならわかることだろう」

士郎「…」

剣心「最初から覚悟はしていたでござるよ。拙者は今誰とも契約していない状態でござる。残った魔力の全てを使い、宝具を使うでござるよ」

士郎「わかった…。剣心。聖杯を…破壊しよう」

剣心「あぁ。承知したでござる。飛天御剣流奥義…!」

――――――――天翔龍閃―――――――――

剣心「これで…本当にお別れでござるな」

士郎「あぁ…」

剣心「凛殿、色々とありがとうでござる。そなたがいなければ、拙者と士郎殿はここまで生き残れなかった」

凛「いいのよ。今だから言うけど、あなた達と組めて良かったわ。こっちこそありがとう」

剣心「アーチャー殿。2人から魔力供給を受けているお主なら現界したままでいることが出来るはずでござる。そなたの果たせなかった夢。この世界で果たすでござるよ」

アーチャー「そうだな…。礼を言おう。緋村剣心」

剣心「そして士郎殿。これを…」

士郎「これは…。逆刃刀じゃないか!こんなの受け取れないよ!」

剣心「短い付き合いでござったが、士郎殿の信念はしかkりと拙者に伝わったでござるよ。この刀を持つのにふさわしい男でござる。
今のお主には重く扱いにくい刀かも知れぬが…後はお主自身の力で自分の思うようにそれを使いこなせるようになるでござる。
そしていつか…拙者を越えるでござるよ」

士郎「…あぁ!約束するよ!」

剣心「それでは…さらばでござ…」

イリヤ「いい雰囲気のところ申し訳ないんだけど…ちょっといいかなー!」

士郎「ふぅ…」

凛「どうしたの急にため息なんかついて?燃え尽き症候群って奴?」

士郎「別にそういうのじゃないけどさ」

凛「衛宮君って時々すごーくジジ臭くなるわよねー」

TV『次のニュースです。最近冬木市を騒がせている謎の正義の味方キャプテン冬木がまた現れました。銀行強盗を捕える瞬間を偶然にも居合わせた我が社のカメラマンが撮影しました!それではどうぞ!』

士郎「……」

凛「あの変な衣装さえどうにかすれば私も文句はないんだけど…『キャプテン冬木?なんのことだ。あんな恥ずかしいスーツを俺が着ると思うか?』とかいって知らんぷりするのよね…、アーチャー」

士郎(正体は俺だってことは後々話そう…)

士郎「おっと、来たみたいだな」

イリヤ「シロー!!来たよー!!」

士郎「おう、よく来たな!」

凛「大荷物ねぇ…。メイド2人も引き連れて…」

イリヤ「どうしてもついてくるっていうんだもん」

セラ「お嬢様をお一人でこんなボロ屋に住まわせるわけには行きません。ましてやお嬢様を虎視眈々と狙う野獣のような男と一つ屋根の下で過ごすなど…。いくら反対しても聞いてくれませんでしたので、我々メイドも今日からご一緒させていただきます」

士郎「野獣って俺のことか…」

リズ「やっほー」

セラ「リーゼリット!衛宮士郎に軽々しく声を掛けてはいけません!」

凛「モテモテね~衛宮くーん?」

士郎「なんでさ…」

イリヤ「ほら!剣心も早くおいでよ!!」

剣心「今行くでござるよ。しかし、洋服というのは少々歩きづらいでござるなぁ」

士郎「剣心!もういいのか?」

イリヤ「当たり前でしょ!私の魔力量を舐めないでよね。剣心1人現界させておくことなんてお茶の子さいさいなんだから!」

剣心「イリヤ殿には感謝してもしたりないでござる」

セラ「しかしイリヤ様。もう一度考えなおしては頂けませんか?こんなボロ屋に住むとなってはアインツベルンの名が…」

イリヤ「うるさいなー!そもそもはシロウがこっちに住めって言ったのよ。ま、私は元から転がり込むつもりだったけどー」

士郎「バーサーカーいや、縁の遺言だからな。イリヤを頼むって。それに、人数が多いほうが楽しいじゃないか」

アーチャー「まったく騒がしいな。表まで声が響いてるぞ」

セラ「そうですわね。そうだ、ご近所様に引っ越しのご挨拶に回らなくては…。セラ、支度しなさい」

リズ「えー、ごはんたべたい」

セラ「何を言ってるのメイドの分際で!!」

アーチャー「わかったわかった、飯なら私が作ってやるからまずは家に入るんだ」

イリヤ「私パフェ食べたーい!」

リズ「たべたーい」

大河「私はチーズケーキ!!!!!!!」

セラ「いけませんお嬢様!昼間からそんな高カロリーなものを…」

凛「ていうかなんでいつの間にか当然のように藤村先生がいるのよ…」

士郎「騒がしくて悪いな」

剣心「いやいや、こっちのほうが拙者は楽しいでござる」

士郎「じゃあ、俺達も入ろうぜ。教えてもらった漬物作ってあるんだよ。味見て欲しいんだ。剣の方も見て欲しいし。結構振れるようになったんだぜ
   いつか真名開放無しでも飛天御剣流を使いこなしてみせるさ」

剣心「それは楽しみでござるな。それではお邪魔するでござる」

士郎「違うだろ」

凛「そうよ、剣心。わかってないわねぇ」

剣心「おろ?」

士郎「おかえり、剣心」

凛「おかえりなさい」

アーチャー「フッ…」

イリヤ「おかえり!」

剣心「あぁ…ただいまでござる」

                            ―――完――――

人ちょこちょこいてくれたんだ。よかったです。駄文に付き合ってくれてありがとうでござる

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月30日 (土) 13:00:39   ID: ECk7Pqrj

きれいにまとまったな

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom