男「ドジ神様は唐突に」(52)
男「……」
ドジ神「あわわ……ど、とうしよ~。また不注意で人を轢いちゃったよ……」
男「……」
ドジ神「息は……やっぱりしてない」
ドジ神「ど、どうしよう、お父様……あ、こんなときのマニュアル本があったっけ?」
ドジ神「えーと、なになに?不注意で人をあやめたときは生き返らせましょう。お詫びに特典などをつけると尚良しです、か」
ドジ神「あっ、そうだった。そうするんだったよね……えっと、生命よ再びこの体に宿りたまえ!」
男「はっ……目に見えない何かに吹き飛ばされたような気が」
ドジ神「よかった~生き返りましたね」
男「えっ、生き返った?いったいどういう事ですか?」
ドジ神「私が不注意であなたをあやめてしまったんです。だから生き返らせました」
男「意味がよく飲み込めませんけど……ところであなたは誰ですか?」
ドジ神「私はドジの神様です」
男「ドジの……そんな神様がいるんですね」
ドジ神「さっきはすみませんでした……あ、そろそろ行かなくては」
男「あっ、ちょっとまだ話は終わってませんよ」
ドジ神「ごめんなさい、急いでるんです……あ、そうそうお詫びにいいものをあげときましたから」
ドジ神「きっと喜んで貰えると思いますよ。それじゃ」ポワン
男「あっ、ちょっと……って消えた?」
男「まったく、なんなんだよ」
ドジ神「あとこの事は他言しないでくださいね。それじゃ」ポワン
男「現れたと思ったら、また消えた……ったくなんなんだ一体」
男「……とりあえず家に帰るか」
部屋
男「まったくあれは一体なんだったんだ」
男「現実だよな……顔に擦り傷も残ってるし。てか一回死んだんだな……俺」
男「そんな感じしねーけどなー。それにあの神様が言ってた、いいものって一体なんだ?」
男「わかんねーことばっかりだよ」ポイッ ポロッ
男「……ゴミも一発で入らない。面倒だな……」
男「念力で動かねーかなー、こんな風にさ……」ヒュー ポイッ
男「あれ?動いた?」
男「嘘だろ……マジで?あの神様の言ってたいいものってこれのこと?」
男「よっしゃー!これはマジで嬉しいぜ……ありがとう神様」
男「長年憧れ続けていた超能力がついに……ついに俺にも……」
男「ふふふ……明日友に自慢してやるか。驚くだろうな……」
男「おっといかんな……その前に練習をしておかなくては」
学校
友「男、おはよう。あれ?なんだか顔色が良くないな」
男「昨日夜遅くまで起きてたからな……」
友「珍しいな、勉強でもしてたのか?」
男「まーある意味そうだな。それよりもさ、俺昨日……」
男(待てよ……他言したらいけないって、もしかしてこの事もか?)
友「昨日どうしたんだよ」
男「い、いやなんでもない。それよりも今日の授業さ……」
女生徒「キャーーーー」
男「な、なんだ?悲鳴が聞こえたけど」
友「廊下の方からだ。男!行ってみよう」
廊下
女生徒「……DQN君!大丈夫?」
DQN「俺は大丈夫だ……お前は早く逃げろ」
女生徒「おいて逃げるなんて私には出来ないよ」
モテナイ男「リア充は全員消えてしまえ……」
DQN「おい!バカ!お前まであいつにやられちまう!」
女生徒「……」グッ
友「……DQNが血だらけになって倒れてる。女生徒さんもいるぞ……どういうことだ」
男「あいつは……モテナイ男?何が起こってるんだ」
モテナイ男「これで終わりだ……滅びの氷よ……氷柱を作りて牙となれ」
友「どういうことだ?あいつの周りに鋭い氷が作られていく」
モテナイ男「噛み砕け……アイスファング」
女生徒「キャ……」
友「ああダメだ……見てられない……」
男「くっ……曲がれ」ボソッ
ザクザクザクザクッッ
モテナイ男「ふっ……他愛ないな……冥土の土産だ受け取っておけ」
友「煙が……晴れていく」
DQN「あ、あれ?助かってる」
女生徒「わたしたち助かってるよー」ギュー
モテナイ男「くっ……なんだと?そんなはずは……もう一度決めてやる」
男「おい!お前、そのキャラやめた方がいいぜ!」
モテナイ男「……なんだと」
友「お、おい!男、やめろ煽るな」
男「大丈夫だって!おい、なんだよアイスファングって?氷の牙でいいじゃんか」
モテナイ男「……私を愚弄するとは愚かなやつ……そんなに死に急ぎたいか」
男「死にたくはないけど……悔しかったら俺を噛みついてみろ!」ダッ
友「おい男!どこにいくんだ?」
男「とにかくあの二人からあいつを引き離す……大丈夫、逃げ切るからさ」
友「おい……ああ、行っちゃた」
モテナイ男「……まずは奴から始末するか……かわいそうなやつよ」
モテナイ男「氷の精霊よ……堅牢を作りて彼らに降りかかれ」
モテナイ男「……閉じ込めよ……永遠の時を……ブリザードケージ」
DQN「お、おい!なんだよこれ?おいお前!ここから出しやがれ!」
女生徒「……冷たい」
モテナイ男「待っていろ……精霊に抗うものよ……必ず葬るぞ」
裏路地
男「はぁはぁ……ここまで来たらひと安心だろ」
男「……ついて来てるよな?来てなかったら意味がないんだが」
男「それよりもあいつの事だよ……なんだよあれ?マジカッケー!」
男「でもなんであんな能力を持ってるんだ?そこが引っ掛かるな……」
男「……俺も名前つけてみようかな」ボソッ
モテナイ男「……ここにいたか……アホなやつめ」
男「くっ……もう来やがったのか……早いじゃないか」
モテナイ男「……私の足元を見てみろ」
男「そ、それは……氷でてきてるスケート靴?」
モテナイ男「……靴をスケート靴に……道をアイスリンクに変えれば訳のない事」
男「ますますかっこいいぜ……」
モテナイ男「ほう……お前も少しはセンスがあるではないか……今なら命乞いをすれば助けるぞ」
男「……口が滑った……いや、命乞いなんかしない!なぜ二人を襲った!」
モテナイ男「……力をてにいれた……そしてこの世を私の思うがままにするために」
男「……あの二人を襲った理由は?」
モテナイ男「この世界の頂点になるための……小手調べ……精霊への供物」
男「……本当の理由は?」
モテナイ男「……何度も問うな……導きの結果……力の証明……」
男「……二人を襲った理由だぞ?」
モテナイ男「……月が満ちるとき……わが願い……灰のように燃え落ちる」
男「やっぱり……女生徒さんにふられたんだな」
モテナイ男「……光に集まる虫……私の氷で息絶やす」
男「……だからと言ってその彼氏を殺すなんて理不尽すぎるぞ」
モテナイ男「……うるさいぞ男……お前らのような者にはわからないのだ……」
モテナイ男「……きっかけは何であれ……私は最強を目指す……地に倒れろ!アイスファング」
男「曲がれ!アイスファング」
ザクザクッ
モテナイ男「なっ……ふふっ……お前も私のような能力を持つものだったとは……」
男「……鉄骨よ……あいつに向かって体当たりだ!」
モテナイ男「……成る程……念力か……ククク、これは面白い」
モテナイ男「……どうだ?二人で組まないか?」
男「遠慮しとくよ……もう一発、くらえっ!」
モテナイ男「フフフ……四方八方から鉄骨で攻撃するなんて……能がないな」
モテナイ男「私のシールドですべて塞ぎきれるというのに……バカなやつめ」
男「……今お前は鉄骨で周りを完全に囲まれてるな」
モテナイ男「こんな攻撃……弱すぎる……」
男「この鉄骨にはボルトがついてる……後はわかるな」
モテナイ男「はっ……まさかこいつ、最初からこれが目的で……」
男「気づくのが一足遅かったな……くらえっ!」
男「TKボルトボンバー!」
ダダダダダダダダッ
モテナイ男「ぐっ……ぐふぅ……み、見事だ……念力の騎士よ……」
男「念力の騎士か……悪くないな……」
男「よし警察に連絡して……後は友に電話で」
男「あ、おい友、お前ってさ神様とか結構詳しいよな?」
友「男、大丈夫か?こっちもなんとか助けてやったけど」
男「ああ、こっちも勝手に滑って、頭うって気絶したよ。それよりもさ、ドジ神さまっていうののさ……」
友「ああそれなら……」
近くの神社
男「友の話だとここの神社の祭神がドジ神様らしいんだが」
男「あのーすみませーん……誰かいませんかー?」
男「……」
男「神主さんとかは居ないみたいだな……あのードジ神様、僕です」
男「昨日、あなたに助けていただいた男というものです」
男「……出てこない」
男「鈴でも鳴らしてみるか……」ガラガラガラガラ
ドジ神「は、は、はいっ!ど、どちら様でしょうか」ポンッ
男「あ、でてきた」
ドジ神「す、すみません!ちょっと昼寝をしてたもので……って人間?」
ドジ神「わわっ、す、姿を消さなきゃ」ポワン
男「あのー、昨日あなたに助けられた男です。もしかして忘れたんですか?」
ドジ神「……本当?」ポンッ
男「そうですよ、顔をしっかりみてください」
ドジ神「むむ……あっ、本当だ!昨日念力の力を授けた子だね」
ドジ神「ささ、狭いけど上がって上がって」
男「は、はあ……わかりました」
ドジ神「人が訪ねてくるなんて本当だ久々だなー。どうしてここがわかったの?」
男「友人に神社とか寺とか好きなやつがいるんですよ」
ドジ神「もしかして私の事も知ってた?いやー照れちゃうなー」
男(天界のトラブルメーカーって言ってたことは黙っていよう……)
ドジ神「それで今日はどうしたのかな?もしかして感謝のお礼をいいに来たのかな?」
男「まあそれもあるんですけど。主な理由はもうひとつですね」
男「実は僕以外にも能力を持ってる人がいて……ドジ神さまは何か知らないかなと思いまして」
ドジ神「ああ、多分それも私だよ。私こうみえてちょっと不注意でね……昨日みたいな事がよくあるの」
男「えっ?」
ドジ神「おっとと……心配しないで!こう見えて私も神さまだから、昨日の君みたいに特別大サービスのおまけ付きで生き返らせるの」
男「あ……あ……あんたか!」
ドジ神「ええっ?……だって嬉しいでしょ?超能力」
男「そりゃ嬉しいですけど……あなたのせいで人が死にそうになったんですよ!」
ドジ神「えっ、そ、それってどういうこと?」
男「氷を操る超能力者がフラれた怨みで、その彼氏をあやめようとしたんですよ」
ドジ神「嘘……本当に?」
男「俺がなんとかそれを止めましたけど……」
ドジ神「……ありがとう」
男「で、ほかにも能力を持つものがいるんですね」
ドジ神「えーと……」
男「目をそらさないでください……その様子じゃいるみたいですね」
ドジ神「はい……」
男「能力をもらった上に生き返らせて貰った俺が言うのもなんですが……」
男「そんなポンポンとあげちゃっていいものなんですか?」
ドジ神「も、もちろん!……そこは任せてよ!……えーと、そうこれこれ」
男「これは一体」
ドジ神「天界マニュアル本だよ!分からないことがあればこれを引けばいいんだよ」
ドジ神「それでここがあなたを生き返らせるときに参考にしたとこ」
男「あれ?ちょっと待ってください……この行に……」
ドジ神「本当は人に見せちゃダメなやつなんだよ?」
男「……人間界に影響を与えすぎる行為は厳禁です」
男「人智を越える力を与えるなどはやめておきましょう……って書いてありますけど」
ドジ神「えっ?」
男「これって思いっきりNGですよね」
ドジ神「あ、わわ……ど、どうしよう……天界を追放されちゃうよ」
ドジ神「あの……厚かましいかもしれないんだけど……助けて!」ガシッ
男「わっ、ちょっとやめてくださいよ」
ドジ神「私が直接手を加えるのはダメなの……だからあなたの力を貸して!」
男「……仕方ないですね……俺が能力者を倒せばいいんですね?」
ドジ神「そう!……それで倒した後に私が能力を元にもどすから!」
ドジ神「あなたしか頼める人が居ないの!お願いっ!」
男「わかりましたよ……よし、じゃあ行きますか!」
男はドジ神様を助けられるのか! 二人の戦いはこれからだ!
-燃える男-
学校
友「男、おはよう。昨日は大変だったな。大丈夫だったか?」
男「おっ、おはよう。俺は大丈夫だったぞ。そっちはどうだったんだ」
友「二人とも軽傷だった、あの氷柱が当たってたらヤバかっただろうな」
男「ま、怪我がなくてよかったよ」
友「そういや、今朝のニュース見たかよ」
男「ニュース?いや、みてないけど」
友「見てないなら……新聞を持ってきたんだ。読んでみろ」
男「えーと、なになに。連続爆破事件……ってなんだこれ」
友「この町に爆弾魔がいるみたいだ」
男「爆発による被害は建物などに限定されており、人への被害は今のところない……か」
友「愉快犯の可能性が高いそうだ。でも不可解な点があるらしい」
男「不可解な点?いったいなんだ」
友「不思議なことに証拠が見つからないらしい。それに怪しい人や物を見た人もいないそうだ」
男「……爆発だけが起きてるって事か」
友「爆発は昨日の夜10時から連続で起きているらしい」
男「たしかに変だな……能力か」
友「能力?」
男「い、いやなんでもない。あ、先生が来たぞ。授業を受けよう」
放課後
友「疲れた……男、ゲーセンでも寄ってかないか?」
男「すまん今日は用事があるんだ」
友「用事?珍しいな。いったい何の用事だ?」
男「なんでもいいだろ。それじゃあな」
友「あっ、おい……行っちゃった」
近くの神社
男「おーいドジ神さまー。いないんですか?」
男「……また寝てるのか?」
男「鈴を鳴らそう」ガラガラ
シーン
男「本当にいないみたいだ……まったく」
男「仕方ないから座って待っとくか……ついでに練習もしておこう」
男が力を込めると、目の前に落ちていた小石が二つ宙に浮きあがる。
石は2秒ほど静止した後に勢いをつけて前方へ飛んで行き、そのままの勢いで木にぶつかった。
男「TKロックボンバー・ストレートフラッシュ……ちょっと長いな」
ドジ神「なにが長いの?」
男「うわっ……い、いつからそこに?」
ドジ神「ん?今さっき……遅れてごめん」
男「遅れたって言っても、少しですから……まあいいでしょう」
ドジ神「それで長いって何が?」
男「いえ、技の名前を考えてたんですけど……いまいちぴんとこなくて」
ドジ神「……名前?さっきの石を飛ばすやつの?」
男「はい、そうです。あの氷男も名前を付けてたんで、俺もつけようと思ってるんですよ」
ドジ神「ふーん……確かに技の名前としたら長いね」
男「そうですよね……何かいい名前はないものか」
ドジ神「石爆弾なんてどう?」
男「単純すぎるような……」
ドジ神「天と地を穿つ石……神殺石とか」
男「おっ、いい感じですね……でも神を殺すってのはちょっと」
男「……って今は名前の事じゃない」
ドジ神「あっ、そうだったね……ささ、中にどうぞ」
男「はい」
今日はここまでです
神社の中
ドジ神「爆弾魔?」
男「ええ、友から朝聞いた話んですけど、少しきな臭いなと思いまして」
ドジ神「えっと爆弾か……うーん、私は分からないなぁ……」
男「それじゃあ爆弾魔は能力ではないってことで」
ドジ神「いや……話を聞く限りだと持ってると思うの」
男「え?でもわからないって……どういう事ですか」
ドジ神「私が与えたのは力だけど個別の一つの力じゃないの」
男「……よくわかりませんね。もう少し詳しく話してもらっていいですか」
ドジ神「例えば君には念力が身についたけど、私が念力を与えた訳じゃないんだよ」
男「えーっともっと詳しくいいですか」
ドジ神「私が与えたのは超自然の力。それが君の願望によって念力という形に変わったって事」
ドジ神「こんな力が使えたらいいなーって願望という容器に私の力の水が注ぎこんだ結果だね」
男「……なるほど。だから俺が一番欲しがってた念力が身についたってわけなんですか」
男「それでその爆弾魔に力を与えたかもしれない……でも能力の内容はわからない」
男「……ってことですね」
ドジ神「うん……そういう事だね」
男「ん?待ってください……それじゃあなんで俺が念力だってわかったんですか」
ドジ神「ああ、それはね。君を生き返らせる前にちょっとだけ君の情報を見たからなの」
男「情報?」
ドジ神「これは神に与えられた能力でね……ちょっと私に心を開いてくれる?」
男「やり方がわからないですけど……こうですか」
ドジ神「うん、そうそう。よしっ……汝の心よ魂よ装丁されよ」
男「お、ドジ神様の手の中に本が現れた。それは一体なんですか」
ドジ神「君の情報だよ……おっページが増えてるね」ペラッ
ドジ神「それで、念力が欲しいってはこのページに書いてにあるよ」
男「なっ、ちょっと見せて下さい」
ドジ神「ああ、ちょっと、乱暴に取り扱わないでね」
男「こ、これは……俺の情報が筒抜けに……危険な本だ」
ドジ神「これで君の欲しい能力は分かったんだよ」
男「そうですか……あれ?こんなことができるなら皆の分も見てるはずなんじゃないですか?」
ドジ神「え、えーと……こういう時いつも急いでてね……皆の分は見てないんだよ」
男「俺の時はたまたまそこまで急いでなかったって事ですね」
ドジ神「うん……あっそれで思い出した」
ドジ神「爆弾じゃないんだけど、火を使う能力が身についた人なら覚えているよ」
男「火……ですか?」
ドジ神「その時もちょっと目を通しただけなんだけどね」
男「その人について教えてください。何かほかに覚えていることは?」
ドジ神「特徴的な顔だから覚えているな」
ドジ神「……ちょっと紙と鉛筆をかして」
男「はい……シャーペンですけど」
ドジ神「えーと」サラサラ
ドジ神「……うん、こんな感じだったな。これがその人の似顔絵」
男「……うまいですね」
ドジ神「そりゃまあ、神様だからね!」
男「ん……この男は」
空手部 部室
男「あのーすみません」コンコン
部員「はいはい……おっ男か。どうした?」ガチャ
男「ああ、お前か。K先輩を捜しているんだけど、部室にいる?」
部員「K先輩を?なんの用事だ?」
男「ちょっと野暮用があるんだよ」
部員「そうか……いや、ここにはいないな。たぶん道場でまだ練習してると思うよ」
男「道場か……うん、わかった。助かった、それじゃあな」
部員「……先輩に一体何の用事だろうな」
道場
男「あいつの話じゃここにいるはずなんだけど……お、いたいた」
K「……」
男「座禅を組んでる……話し掛けづらいけど……よしっ」
男「練習中すみません……ちょっと話がしたいんですけど」
K「……俺になんの用事だ」チラッ
男「えっと、K先輩に質問があって……あ、名前は男です。学年は一つ下です」
K「……男か……接点はないようだが、一応聞いておこう」
男 (……全国レベルの選手だし怖いなぁ)
男「話というのは、連続爆破事件のことなんですけど……」
K「昨日から起こってるあの事件か……しかし何故俺のところに来たんだ?」
男「……先輩が何か知ってるんじゃないかと思いまして」
K「俺が?……いや何も知らないが」
男(……爆破には関係ないのか?……まあいい、能力回収の方から攻めてみるか)
男「それじゃあ、話を変えます。先輩は何か不思議な力を持ってますよね?」
K「……」
男「その能力はズバリ、火に関する能力」
K「む……なぜお前はその事を知ってるんだ」
男「俺も持っているんですよ……そして他の能力を持つ人を倒すように言われてるんです」
男「先輩が爆弾魔であろうとなかろうと、ここで倒さなきゃならないんです」
K「……そうか、仕方ないな……いつでもいいぞ」
男(……隙がない……どう責めるかな……よしっ)
K「……来ないのか?……それならこちらから行くぞ」
男「よし、くらえ!畳返し!」
Kの後方に敷いてある柔道で使う畳が宙に浮き、Kの背中に襲いかかる。
K「畳か……くっ」
男「よ、避けた?……嘘だろ」
今日はここまで
K「なるほど……念力か」
男「もう一度だ!」
K「同じ手はくわないぞ……はっ!」
畳はKの正拳突きではたき落とされる。
男「は……嘘だろ」
K「いくぞ」
男「……こうなったら」
K「……ポケットに小石を隠しておいたか……しかし俺には通用しないぞ」
男「くらえ……」
男「TKロックキャノン!」
K「5つか……拳ではたき落とすのは一苦労だな……しかたない」
K「……炎よ……拳に宿らんや」
そう言葉を言い終えると炎の渦がKの右手に絡みついた。
男「……あれが炎の能力……爆発の能力か?」
男「でもこの攻撃は避けられないはず……」
K「……ハぁッ!」
熱風が巻き起こる。その風が小石を全て男の方へ弾き返した。
男「な、くっ……まずい。起動を逸らさないと……だ、だめだっ」
ダダダダダダダダッ
男「う、ううっ」
K「……勝負あったな……さあその俺を倒せと言った人を教えてもらおう」
男「……や、やっぱりあんたが……K先輩が爆発を……」
K「……俺は」
コロコロコロ
男「……ぐっ……ん、何か転がってきた」
K「ん……何だこれは」
Kの足元に、男の目の前にビー玉程の黒い球体が転がってきた。
男「……これもあんたが」
K「いや……知らんが……」
Kがそう言った直後、その黒い球体はなんの前触れもなく爆発した。
男「……え」
K「くっ、ハぁッ!」
爆発がその後3度起きたが、男はその爆発を防ぐ力が残っていなかった。
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