魔法使い「魔王の求人ですか……」 (138)

魔法使い「新しい魔王の募集ですか……」


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魔法使い「何故人間の町の酒場にこの貼り紙があるのかは分かりませんが、少し気になりますね」

魔法使い「もしかて魔王が死んだのかもしれませんしね」

魔法使い「勇者ー」

勇者「なんだー?魔法使い」

魔法使い「母が危篤との連絡が入ったので暫くの間パテ抜けます」

勇者「マジで」

魔法使い「マジです」

僧侶「お大事に……」

戦士「お大事にな」

勇者「ま、そーいう事ならしょうがないな」

魔法使い「ありがとうございます」

ー店の外ー

魔法使い「巧く抜けれましたね」

魔法使い「彼らが単純な生き物で助かりました」

魔法使い「この貼り紙の端の方にある魔方陣は移動魔法のやつですね」

魔法使い「行き先は魔王城ですか……」

魔法使い「何ヵ月も旅をするのが阿呆みたいですね」

魔法使い「ま、旅をするのも面倒なのでここは魔方陣を使わせて頂きましょう」

魔法使い「ハァァァァァ!」

シュンッ

ー魔王城入口ゲート前ー

受付嬢「本日はどーいったご用件での入城ですか?」

魔法使い「この時点で人類が圧されてる理由が分かる」

受付嬢「?」

魔法使い「あぁ、すいません。今日はこちらの新魔王募集の貼り紙を見て面接に来ました」

受付嬢「アポは取られてますか?」

魔法使い「すいません……。飛び込みです」

受付嬢「魔王に少しご連絡致しますので、少々お待ちください」

魔法使い(魔王バリバリ生きてますね)

受付嬢「お待たせしました」

受付嬢「ゲートを入りまして右側に真っ直ぐお進み下さい。一番奥のお部屋が面接会場となっております」

魔法使い「分かりました」

受付嬢「門番、ゲートの解放をお願いします」

門番「了解しました」

ゴゴゴゴゴゴゴ

受付嬢「それでは中へお入り下さい」

魔法使い(あっさりと入れちゃいました……)

ー魔王城内ー

魔法使い「なんと言うか、とても予想とはかけ離れて綺麗な白ですね」

魔法使い「全体的にも白などを基調としたカラーリングですし……」

魔法使い「と、ここが面接会場のようですね」

コンコン

???「どなたですか?」

魔法使い「新魔王募集の貼り紙を見て面接に来ました」

???「お入り下さい」

ガチャッ

魔法使い「失礼します」

×綺麗な白ですね→○綺麗な城ですね

???「そこにお掛けになって下さい」

魔法使い「失礼します」ストン

???「魔王はもう後数分で到着予定ですので今暫くお待ちください」

魔法使い(何となくですが……、目の前に立つこの男は相当の実力の持ち主ですね)

???「申し遅れました。私の名は側近と言います。お呼びの際は側近とお呼びになって下さい」

魔法使い(まさかのNo.2でしたか……!これは気を引きしめなければ)

ガチャッ

ケットシー「側近どの、少しお時間を宜しいか?」カツカツ

魔法使い(見た目は戦士のような格好ですが……、凄い魔力を感じますね。幹部クラス程度の方でしょう……)

側近「魔王様が到着しだい今から新魔王の面接をしなければならないのだが……」

ケットシー「その件だが、先程魔王からメールで『もう少し手間がかかりそうだから遅れる』と連絡が入ったので参ったしだいだ」

魔法使い(メール……?)

側近「何故私に直接来ていない……?」

ケットシー「側近どの、ケータイの電源は入れらてますかな?」

ガサゴソ

側近「……面接中に鳴っては失礼なので切ってたのを忘れてた」

魔法使い(あの金属の四角い物が「けいたい」でしょうか?魔力の類いは感じませんが、連絡機具で間違いないでしょう)

側近「連絡を感謝する。因みに予定としては?」

ケットシー「20分程度」

側近「そうですか……」

ケットシー「それでは私はここで失礼致します」

バタン……

側近「すいませんが魔王が来られるまでの間はこの部屋からの退室が出来ません。ですので、この面接会場でお待ちください」

魔法使い「分かりました」

側近「それでは私は少し資料を取ってきます」

ガチャッ

バタン……


魔法使い「暇ですね……」キョロキョロ

魔法使い「おや?先程の「けいたい」と呼ばれてた絵が描かれている冊子がありますね」ヒョイッ

ペラペラ

魔法使い「ッ!!この「けいたい」と呼ばれる物は自分の伝えたいことを文字として相手の「けいたい」に表示する道具なのですか……」

魔法使い「驚くことにどんなに離れていようとも時間的誤差はほとんどなく、生きた情報がやり取り出来るらしいですね……」

魔法使い「勇者に悪いですが、さすがに伝書鳩等を使ってる私たちには勝ち目は無さそうですね」

ペラペラ

魔法使い「……」

ペラペラ

魔法使い「……」

ペラペラ

魔法使い「……表紙を含めてこれらの絵は「しゃしん」と呼ばれる類いの物らしいですね。レンズ越しに見た景色をそのままに絵にするとは……」

ペラペラ

魔法使い「……」

ペラペラ

魔法使い「……」

ペラペラ


ガチャッ

側近「すいません、少し遅くなりました」

ガタガタッ!

側近「おや?その本は……」

魔法使い「す、すいません……。勝手にそこら辺にあったのを取って読んでました」

側近「別に構いませんよ?先程の携帯が気になられたのですね?」

魔法使い「はい。人間界にはこのような物は無かったので……」

側近「先程魔王から連絡がありまして、もう少しで魔王が来るようです」

魔法使い「そうですか。ではこの本は戻しておいて……、」

魔王「それまではここの部屋に置いてある本ならご自由にお読み下さっても結構ですよ」

魔法使い「……ありがとうございます」

ペラペラ

ー10分後ー

ペラペラ

ガチャッ

青年?「……ここが面接会場ですか?」

側近「はい、左様で」

魔法使い(人間……ですね。この人も面接を受けに……。それにしても魔物は何故受けに来ないのでしょうか……?)

側近「それではその本は私がお預かりします」

魔法使い「は、はい……?」スッ

魔法使い(まだ面接は始まらないのでは?)

青年?「遅れてすんません。ちょっとした野暮用で遅れましたが、これより面接始めます」

側近「まずはご自分の自己紹介を」ボソボソ

青年?「何となくお分かりと思いますが魔王です。宜しく」

魔法使い「宜しくお願いします」ペコ

側近「……驚かれないのですね」

魔法使い「ちょっとは驚きましたよ?」

魔王「これは少し予想外だnですね……」

魔法使い「魔王城訪れてから既に色々と驚かされてるので。もう慣れました」

側近「なるほど……」

魔王「逆に僕は貴女の方に少し驚いてます」

側近「何をですか?」

魔王「貴女は確か勇者の仲間の一人、魔法使いさんですよね?」

側近「それは本当ですか?」

魔法使い「はい、先日まで勇者パーティーの一人でした」

魔王「お前、書類チェック甘くね?」ボソボソ

側近「……」ゲシッ

魔王「痛てぇよ!地味に痛てぇよ!」ボソボソ

側近「不審がられてますよ?」ボソボソ

魔法使い「……」ジッ......

魔法使い「もしかして……、私では不味かったのでしょうか?」

魔王「い、いやぁ!そんなことはありませんよ?」

側近「魔王様!?普通に勇者側の人間は不味いでしょう!?」ボソボソッ!

魔王「しょーがねぇーじゃん!」ボソボソッ!

魔法使い(ボソボソがデカ過ぎて会話が丸聞こえですね……)


魔王「そ、それでは面接を続けたいと思います」

側近「魔王様落ち着いて下さい!」ボソボソッ!

魔法使い(このまま続けるのは気まずいですね……。個々は1つ一石投じましょうか)

魔法使い「その前に1ついいですか?」

魔王「どうぞ」

魔法使い「その顔で敬語は気色悪いのでいつも通りで構いませんよ?」

魔王「そうか、では質問させて貰う」

側近「魔王様ぁぁぁぁ!?」ボソボソ

魔王「落ち着け側近。このまま俺のボロが出るよりかはマシだ」ボソボソ

側近「相手に思いっきり気をつかわれてますよ?魔王様」

魔王「そんな奴が今欲しいんだろ?」

側近「まぁ……。さっきの会話も聞かれていたかも知れませんね」

魔法使い(今も聞こえてますけどね……)

魔王「ではまずこっちから質問させて貰う。始めに、何故魔王になろうと思ったんだ?」

すいません誤爆です

魔王が魔法使いに質問している所以外はすべてボソボソ会話です。

魔法使い「自分の頭脳が活かせるのは勇者の元ではなく、この魔王という役職のような気がしたからです」

魔法使い(9割は本当の事ですが……。別に魔王じゃなくてもいいかな、とうい所ぐらいでしょうか)

魔王「何故そう『魔王』という役職なら自分を活かせると思ったんだ?」

魔法使い「実は私、○○国の○○将軍の娘でして……」

魔王「○○将軍?」ボソボソ

側近「○○将軍……、奴は人類の命綱です」ボソボソ

魔王「と、言いますと?」ボソボソ

側近「奴がいなければ1ヶ月で世界が全て支配出来ました」ボソボソ

魔王「あれのせいでか……」ボソボソ

魔法使い(今初めて知りましたがお父さん何気に凄い人なんですね……)

眠いのでもう寝ます。

魔王「続けてどうぞ」

魔法使い「昔、1ヶ月程度大規模な海戦の指揮などをやらせて貰った事がありまして……」

側近「もしかして『第三次フルーレ海戦』事ですか?」

魔法使い「多分そうです……」

魔王「あれって確か魔王軍が……」ボソボソ

側近「出撃した魔王軍が八割がた殺られた海戦です」ボソボソ

魔王「その時は何歳だったの?」

魔法使い「10歳でした」

魔王「10歳の少女に指揮される軍隊にやられる魔王軍……」ボソボソ

側近「過去の事は置いといて、これは欲しかった人材そのものですよ魔王様」ボソボソ

魔王「じゃあ、その高い指揮能力が活かせるのがこの魔王という役職だと思ってるわけだな?」

魔法使い「はい」

魔王「採用してよくね?」ボソボソ

側近「もう少し様子を見ましょう」ボソボソ

昼頃に再開します。

おやすみなさい

魔法使い(今さらですが、ここにはもう用は無いんですよね……。もう魔王の生存も確認しましたし、魔王軍には今の所勝てないということも分かりましたしね……)

魔法使い(ですが……、)

魔王「じゃあさ、魔王になったら何がしたいだ?」

魔法使い「当面の目標とするなら、人間界の占領と人間界に入り込んだ魔物の回収と処分ですね」

側近「ッ!貴女は魔物と我々の違いが分かるのですか?」

魔法使い「はい。魔物は知性の欠片の見られない、人間界でいうなら動物のようなものと認識してます」

魔法使い(勇者パーティーの一員に戻るくらいなら、魔王になる方が絶対面白いですよね♪)


側近「正直な所、何故人間が魔物と魔族を見極めきれないのかが不思議でしょうがなかったのですが……」

魔法使い「そうでもしないと一方的な『悪』として戦えないからです」

魔王「どーいう事だ?」

魔法使い「今の人間界と魔界との戦争の事の発端は、人間が魔界へのゲートを何故かしらの方法で開いた事です」

魔王「ぶっちゃけお前らが先に仕掛けて来た方だよな?」

魔法使い「ですが、人間界では事の発端はこう伝えられてます。『彼方から門が開いて大勢の魔物が責めて来た』、と」

側近「まあ、それぐらいの情報操作は……」

魔法使い「いえ、それ以前に問題が1つ発生したんです」

魔王「ん?情報操作じゃねぇのか?」

魔法使い「実はゲートを開いたその日、ゲートから出てきたの不幸にも魔物の群れでして……」

魔王「あー、それで研究者が全員死んで証人がいないから……」

魔法使い「いえ、数人生き残りました」

魔王「え?」

側近「では何故?」


魔法使い「そのゲート開通の日、王がタイミング悪く視察に来ていたのです」

魔王「そして、ゲートから出てきた魔物に殺されたんだろ?」

魔法使い「はい。ですが、王が死んだだけならこんな事にはならなかったのです」

側近「王の死だけではここまでにはならないと……?」

魔法使い「王が死ぬなんて当たり前です。だって人間だからその内死ぬのは王でも変わりありません」

魔王「なんで王があっさり簡単に死ぬみたいになってるんだよ。王なら普通、民の平均寿命の1.5倍は生きてるもんだろ?」

魔法使い「歴代で公務中に動物に襲われて死んだ王は9人います。それプラスに動物や昆虫の毒で死んだ王が5人います。それ以外ですと流行り病等の病気で死んだ王が22人、馬車からの転落が7人、地震等の災害で3人、戦地では11人、汚職等で処刑が6人、自殺が14人。老衰等で亡くなった王など指で数える程しかいないほど、不幸な死にかたをする王が多いのです」

魔法使い「さらに半分が30歳前後でなくなっており、王の平均寿命は民の0.8倍……。民の平均が50歳ですので、王の平均寿命は40歳程度なのです」

側近「お水をどーぞ」コト

魔法使い「ありがとうございます」ゴックン

魔法使い(面接に来たのに水を出されました……)

魔法使い「ですので、比較的不幸な死が多いので本当なら魔物に殺られるという新たな死にかたの項目を増やすだけの話だったんです」

魔王「何があったんだ?」

魔法使い「ひとまず生き残った家臣たちは王の遺体を急いで城に運び入れました。そして即座に王の死を発布しようとしたのですが……」

魔法使い「その王の遺体を安置していた部屋に何も知らなずに、掃除をしにきたメイドが入ってきたのです」

魔王「それで?」

魔法使い「メイドの情報伝達速度はかなり素早く、王の死は一気に広がりました。『暗殺された』という形で」

魔王「あ?なんだそーなるんだ?」

側近「魔物に殺されたのなら死体はかなり酷い損傷状態であったと思われますが……」

魔法使い「魔王様の遺体には刺し傷1つしかついてなかったようです。恐らく爪などによって刺されてその後は何もされなかったのでしょう」

魔法使い「そして不運にも城内であったことから、メイドは剣による刺し傷と勘違いをしたのです」


魔法使い「その後はまあ、家臣達が自分達に暗殺容疑がかけられたので魔界の魔物が攻めてきて魔物が魔王を暗殺したことにし、流れそのままに魔界との戦争が始まった訳です」

側近「面倒くさくなったからといって説明を省かないで下さい」

魔王「いや、話脱線しかけてたし別にいいだろ」

魔法使い「では話を戻しますね。何が言いたいかと言いますと、戦場に行ったことのない民衆にとって魔物は魔界そのものであり、魔界のイメージなのです」

魔王「わざわざ魔族が人間の街に行くこともないしな」

魔王「たとえ戦場で魔族と戦っても、兵士は命懸けの戦いをしている訳ですから魔族と魔物の違いなんて気付く処かそれどころではないでしょう」

側近「我々からしてみれば魔物と同等扱いなど、貴女方でいう猿と同じと言われているようなものですね」

魔法使い「仮に人間界を支配するにしても、彼らかすれば魔族=醜い魔物。その内クーデターも起こるでしょう」

魔王「ぶっちゃけ支配とかする気ないんだけど……。俺らは勝てばいいだけなんだし」

魔法使い「勝利した側が敗戦した相手をそのまま放置することが、相手にとって一番良い事とお考えならそれは偽善ですよ?」

魔王「……」

魔法使い「支配するときに一番重要なのは、支配される側にとっての苦痛は出来るだけ無い方がいいのです。逆に支配される前よりも良くなっていた方がいろいろと便利なんです」


魔法使い「ぶっちゃけ魔物が邪魔なんです。民衆にはハッキリと支配しているのは魔物ではなく魔族であり、自分達よりも進んだ文明であることを示す必要があるんです」

魔王「支配する前提で話が進んでんな」ボソボソ

側近「既に戦争に勝ったような気分で聴いております」ボソボソ

魔法使い(所詮人間側の戦力は勇者程度ですし、的確な指揮の下で戦えば3日もかかりませんね)

魔法使い「例えば、著名なファッションモデルが新しいタイプの服を着ると民衆はどーすると思います?」

魔王「んー、分かんね」

側近「民衆はその服を着ると思います」

魔法使い「そうですね。多くの民衆は適応機制の働きによって多分皆さんそのファッションモデルと同じ服を着る事になるでしょう」

魔王「適応機制?」

魔法使い「適応機制とは自己の欲求不満による不安や悩み等を誤魔化そうとする心身の働きの事を総称した言葉です」

魔王「待ち合わせに遅れたのはこの悪天候のせいだ!的な感じか?」

魔法使い「今の説明でそれに辿り着くとは……。ある意味流石は魔王ですね」

魔王「俺、流石だってさ」

側近「誉められてはませんよ?」

魔法使い「まぁ、それも自己の正当化、つまり合理化の適応機制ですね」

魔王「当たってたみてーだ!」

側近「続けてどうぞ」

魔法使い「そして、先程のファッションモデルが着た服を皆が着始めうなこと事を適応機制の中の同一化といいます」

魔王「今気付いた。適応機制とか言ってるけどさ、ぶっちゃけ流行て奴を遠回しに言ってるだけだろ?」

魔法使い「その通りですが?」ケロッ

魔王「それなら最初から流行とか言えよ」

魔法使い「その方が間延びしませんか?これはあくまで面接の一貫ですし、私賢いですよアピールがしたいだけです」

側近「そうですか。それならそうと続きをお願いします」

魔法使い「え?」

側近「え?」

魔法使い「まだ私は一応人間側サイドですよ?そう簡単に形式上では敵である貴方に知恵を授けるとでも?」

魔王「側近、なんかこいついきなり手の平返してきたぞ?」ボソボソ

側近「最早面接なのかが分かりませんね」

魔王「追っ帰す?」

側近「いや、しかし彼女の知恵が今後の我々の戦況を大きく変えるかもしれませんし……」




魔法使い(支配戦略の続きを書いたテキストをうっかり削除してしまって、内心この先どうしようとなっているのは黙っておいた方が良さそうね……)

魔法使い「結論から言います。私を魔王として雇用した場合は細部に至る全ての事を完璧に行います。無駄なことは省き、スタイリッシュに戦争に勝てることをお約束します」

魔王「おい、まだ質問の途中なんだが……」

側近「……魔王様」ボソボソ

魔王「なんだ?」ボソボソ

側近「このまま続けても先程のように中途半端に切られる恐れがあります。ここで喋らせるのでは無く、とっとと採用してその知識をフル活用して頂いた方がよろしいかと」ボソボソ

魔王「>>1の構成力の無さがそろそろボロに出そうだったしな」ボソボソ

側近「それはどうだか知りませんが、話を進めるためにもここでもう採用してしまいましょう」ボソボソ

魔法使い(思った以上にチョロかったですね……)

魔王「もうどうにでもなれ。お前を新しい魔王として採用する」

魔法使い「そうですか」

魔王「喜ばないの?」

魔法使い「いえ……。ただ、あまりにも簡単に採用されてしまいそこまで実感が沸かないんです……」

側近「本当は後3倍ほど長くなる予定でしたので」

魔王「ま、取り敢えずあんたを魔王として採用した。また詳しい事を説明するから、明日の昼過ぎぐらいにまたここに来てくれ」

魔法使い「分かりました」

ー門前ー

側近「近隣の宿泊施設は基本魔族専用になっておりますので、取り敢えずこれをお持ち下さい」

魔法使い「キマイラの翼ですか……」

側近「これを使えば、貴女が前回魔法陣に触れた近くに戻ります」

魔法使い「そうですか……」

側近「魔王城に来る場合には、その魔法陣にお触れ下さい。我々が指定した場所に着きますので」

魔法使い「分かりました。それではまた明日」バシュッ

ヒュインッ!

側近「行かれましたか……」

側近「……」

側近「居ますか?」

複数の魔族「御意」ズラズラ

側近「早速明日に備え準備に取り掛かりなさい」

複数の魔族「了解した」ズラズラ












側近「さて、今から忙しくなりますね」

もう1度構成を練り直すので今日はここで切ります。

明日の夜にまたチマチマと再開しますので、宜しくお願いしますm(_ _)m

ー宿ー

魔法使い「ただいま戻りました」

勇者「おかえり」

僧侶「お母様の容態はどうでしたか?」

魔法使い「ま、大丈夫ですよ」

戦士「軽いな」

魔法使い「スライムを喉に詰まらせただけのようでしたし」

戦士「どうやればスライムが喉に詰まるんだ?」

魔法使い「まぁ、なんやかんやで詰まらせてピンチになっただけの話でした」

勇者「よし!明日からはまた4人で魔王退治再開だな」

魔法使い「明日は叔父様がどうやら肋を57本折られたそうなので、そちらに行ってきます」

僧侶「57本!?人間ですか……?」

魔法使い「バリひゅーまんです」

勇者「じゃ、しょうがないな」

戦士「うむ……」

僧侶「お大事にと……」

魔法使い(相変わらずチョロ過ぎですね……)

ー宿の一部屋ー

魔法使い「半年かけて魔王城と今現在の私の戸籍がある国を直線で結んだ時の真ん中あたりに来ましたが……」

魔法使い「この紙切れ1枚で即座に魔王城に行けて、」

魔法使い「気付けば明日には私が魔王ですか……」

魔法使い「なぜこんな便利な紙があるのに、魔族は勝てないのでしょうか……?」

魔法使い「まぁ、未だに魔族の事にについてはまだ把握してないところも多いですしね……」

魔法使い「よく考えてみたら、」

魔法使い「明日からは勇者達とは敵対関係ですか……」

魔法使い「ま、魔王軍うまく使えばあのアホな勇者も倒せますね」

魔法使い「お父様とも一戦交える事も考えないといけませんね……。どうやってあの部隊を突破しましょうか……」

魔法使い「……今考えたところでどうにかなる話ではありませんね。世の中は思考だけではどうにもなりません」

魔法使い「明日、魔王になってから考えても遅くは無いですしね」

魔法使い「さて、明日に備えてもう寝るとしましょうか……」ボフッ

ランタン<オ、オレノヒガキエター

魔法使い「………………Zzz……Zzz……」

魔法使い「……Zzz……Zzz……Zzz……Zzz……」

魔法使い「…………………」












魔法使い「……お、母様……………Zzz……」グスッ

ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー


昼過ぎ


勇者「途中までなら見送ってくぜ」

戦士「うむ……」

僧侶「貴女に神のご加護がありますように……」

魔法使い「ラリホー」ポワッ

勇者達「Zzz……Zzz……」スヤスヤ

魔法使い「なぜ僧侶までもが魔法耐性が低いのでしょうか……」

魔法使い「さて、お次は魔王城でお会いしましょう」ペラッ

バシューン!

ー魔王城門前ー


シュン

魔法使い「ホントに便利ですね、この魔法陣は」

側近「我々の魔術研究の最先端の技術ですので」

魔法使い「……貴方は未来でも見えているのですか」

側近「魔界の行く末なら見届けたいとは思っております」

魔法使い「そうですか……」

側近「ところで、今日は空がとても澄んでいて綺麗とは思いませんか?」

魔法使い「そうですね。これから人類から魔族に寝返る私の行為を正当化させてくれるような……」スッ

側近「ラリホー」

魔法使い「ふえっ?」ポワー

魔法使い「ドサッ」

側近「お前たち、この方を予定していた場所に運び込め」

部下'S「ハッ」スッ

魔法使い「……」スヤスヤ

側近「受付嬢、これを各国に配布しなさい」

受付嬢「ラジャー!」

側近「それでは私も予定ポイントに行きましょうか……」

ー煌びやかな部屋ー

スウ……スウ……

魔法使い「……ぅん」パチッ

魔法使い「はて……、ここはいったい……?」キョロキョロ

バタンッ!

??「お目覚めになられましたか!さあ、急いで会場に向かいましょう!」グイッ

魔法使い「えっ!?」

??「歩いてる暇は御座いませんよ!」

魔法使い「ちょ、ちょっと!あなたは……」

吸血鬼「吸血鬼と申します。新魔王である貴女様の補佐を努めさせて頂きます」

魔法使い「急展開過ぎて……ぇっ!」コテッ

魔法使い「何かを踏んでこけてしまいました」フリフリ

吸血鬼「大丈夫ですか?」

魔法使い「大丈夫……では無いですね」フリフリ

魔法使い「尻尾!?」フリフリ

吸血鬼「立派なトカゲ種の尻尾で御座いますね」

魔法使い「」

吸血鬼「急ぎましょう!就任記念のディナーパーティーに主役が遅れたら大変です!」

魔法使い「何となく昼ではない事は分かっていましたが……」

魔法使い(あの側近に一杯食わされましたね……)

魔法使い(理由は分かりませんが、私が逃げる事の出来ないようにしやがっていますね)フリフリ

吸血鬼「尻尾ばかりを見ておられますがどうかなされましたか?」

魔法使い「いえ……、問題は特に無いです。会場に急ぎましょう」

ー屋上ー


吸血鬼「それではここから会場に飛びましょう」

魔法使い「どうやってですか?」

吸血鬼「勿論翼を使ってです」

魔法使い(もう驚きはしませんが……)

魔法使い「これでですか……」ピコピコ

吸血鬼「す、すいません!まだ魔王様の羽は成熟なされていませんでしたね」

魔法使い「どうしましょうか……」

バサッバサッ!

??「そんな時には俺だな」

魔法使い「1日ぶりですね」

吸血鬼「元魔王様……。新しい魔王様をお連れ致しました」

元魔王「はぁ……、側近の奴また面倒な事しやがって……」

元魔王「後で説明を側近にして貰うとして……。あんた、俺におぶわれろ」

魔法使い「Noは?」

元魔王「ならここでぼっち飯だな」

魔法使い「……おぶわれます」ヒョイッ

元魔王「とにかく俺が今から連れていくついでに今後の予定を話すから、頭に入れておきながら真下の景色を楽しんどけ」

吸血鬼「それでは私めは屋敷の戸締りをして、後を追わせて頂きます」

元魔王「任せた」バサッバサッ!

吸血鬼「左右に気を付けて下さい!」

元魔王「ガキじゃねぇよ!」ビュンッ!

魔法使い「うひゃぁ!?」

元魔王「しっかり捕まっとけよ」

お待たせし過ぎました

今日はここまでですm(_ _)m

明日から出来るだけ2レスずつ程度更新していこうと思いますので、生暖かい目で見守って下さい

舞ってくれた方には本当に感謝です!( ;∀;)

ー上空ー


元魔王「……という訳だ」

魔法使い「面倒だからといって省略しないで下さい」

元魔王「分かった分かった。1から説明し直すから腹筋さするのやめて」

魔法使い「早くしないと会場に着くわよ?」パッ

元魔王「急かすなって……。

その1、取り敢えずパーティー会場に行ったら何らかの形で自分が新魔王である事を証明しろ。

その2、今ちょいと俺をベースにした半魔族になってもらってる。この魔法の効力は持って残り8時間。だからさっさとその3を終わらせろ

その3、『契理』を行って貰う。これは世界へ自らが魔王になるという魂を魔王と言う『鎖』に繋げる儀式だ。

以上の3点をやって欲しい訳だが……。何か質問はあるか?」

魔法使い「貴方は説明が下手ですね」

元魔王「あっ!?」

魔法使い「つまり、流れに合わせて色々とすれば良いんですよね?」

元魔王「まあ、そうだけどさ……、」


魔法使い「……1つ質問しても?」

元魔王「なに?」

魔法使い「この頭に生えてるトナカイレベルで無駄にデカく品の無い角は貴方のセンスですか?」

元魔王「落とすぞ」

魔法使い「羽が結構様になってきたのでそろそろ飛べる気がします」パタパタ

元魔王「その程度じゃすぐ落ちそうだな」

魔法使い「なら私を落とさないようにおぶって下さい」

元魔王「あれっ、なんか立場が逆転裁判してる」

魔法使い「気のせいです。ところで、もう1つ質問しても構いませんか?」

元魔王「どーぞ」

魔法使い「何故今の時期に、ろくに次期魔王も決めずに辞められたのですか?もし私が来なかったらどうするおつもりだったのですか?」

元魔王「あー、そこは今日の事が終わった後で説明してもいいかな?」

魔法使い「別に構いませんが」

元魔王「喰い付いてこないのな」

魔法使い「多分今の私が知るべき事では無いからでしょう」

元魔王「そう思って貰うと有難い」

魔法使い「……」

元魔王「……」バサバサ

魔法使い「……」

元魔王「……」バサバサ

魔法使い「……」

元魔王「……」バサバサ

魔法使い「……まだですかね」

元魔王「もうすぐだから、ない胸を押し付けようとせずじっとしておぶわれとけ」

魔法使い「……」バチバチ

元魔王「ここで雷撃つとあんたも死ぬぜ?」

魔法使い「無駄にデカい塔が見えてきました」

元魔王「驚かないのか?」

魔法使い「普通この手のイベントがある会場は、遠くからは見えないように幻覚魔法を周辺に張るのは当然ですから……」

元魔王「それもそうだな」

魔法使い「あ、前方より強力な電撃が」

元魔王「防御魔法を展開してくれ」

魔法使い「防御魔法『売られた喧嘩は転売します』」

キュイン!

名も無き魔族「グヘッ!?」ヒュー

元魔王「なんか後ろから迫ってた奴に当たったんだが……。スペル的にオリジナル魔法か?」

魔法使い「はい。この魔法は私が作ったもので、投擲物などを好きな方向に受け流す魔法です」

元魔王「ぱねぇな……。と、さっきの電撃はあそこから撃ってきたな……」

魔法使い「私が殺りましょうか?」

元魔王「ここは俺がカッコつけさせて貰おう」キリッ

魔法使い「なら早くしてください。第二波がきますよ?」

元魔王「へいへーい」


元魔王「通常攻撃」スッ

ズドン!

魔法使い「でっかい谷が……」

元魔王「軽く魔力込めて降っただけなのにな……」

魔法使い「他人事みたいに言いますね」

元魔王「誰がどう見てもおかしな破壊力だろ?『魔王』になってからこの力は手に入れてるからなぁ」

魔法使い「まるで『魔王』という肩書きで強くなったというように聞こえますが……」

元魔王「ずばりそれ」

魔法使い「……私でも谷は作れますかね?」

元魔王「豆乳飲めばいつかは出来るんじゃねぇの?」

魔法使い「……」グイッ

元魔王「く……っ、首を……しめる……なっ!」

<ガハッ

魔法使い「下の方から声が聞こえました。まださっき攻撃してきた奴かもしれませんので、さっさと声がした方に降りて下さい」パッ

元魔王「……っ!死ぬかと思ったぜ……」

魔法使い「さっさと行かないとまた絞めますよ」

元魔王「分かりましたよお嬢様」

魔法使い「『魔王』様、でしょ?」

元魔王「わかったよ、『魔王』様」

魔法使い「宜しい」フフン

?緑が深すぎて真っ暗な森?


魔法使い「ここら辺でしょうか……」

元魔王「血の匂いもここら辺からしかしないしな」クンクン

魔法使い「気配は感じませんが……」

バッ!

フード「悪いがその命ここで断たせて貰うッッッッッ!!」バリバリッ!

元魔王「後ろかっ!?」

フード「喰らえ!『颯雷ノ臥剛』!!!」ギュイーン

魔法使い『悪魔の鎖達』

ジャラララッ!

フード「なっ……!体が……」ギチギチ

魔法使い「この鎖は私が鎖に送る魔力を断ち切るか、私の魔力が枯渇するまでは貴女の動きと魔法を止めます」

元魔王「なにそのチート」

魔法使い「あらかじめトラップを仕掛けておいて良かったです……」

フード「……やはり私如きでは、魔王様直々に選ばれた候補には勝てないか……」

元魔王「あー……。お前、魔族の時期魔王候補の中の1人だな?」

フード「それは言えぬ……」

元魔王「だよな。なんせ言ったら反逆罪で一族諸共死刑だからな」

フード「くっ……!」

魔法使い「随分と厳しい処分ですね……」

元魔王「普通なら別に襲ってきても問題無いんだけどな……。今回は少しばかり事情が違うからなぁ……」

フード「早く私を殺してくれ!」

元魔王「死神と契約してるみたいだな。殺された後も顔を見られないようにするためか……。ま、無駄だけどな」

フード「頼む……!これはわたしの独断でやった事で一族は関係無い……!」

元魔王「残念、魔族なら契約を忠実に守れ」バサッ

フード「……」

魔法使い「この角は……」

元魔王「雷角族か……」


雷角娘「そうだ……」

元魔王「もう少し粘れよ」

雷角娘「……一族はわたしを除いたら誰もいないし……、もう、いいのかなぁ……て、」

元魔王「そう言えばこの間の『災害』で雷角族の集落が被害に遭ったと聞いてたが……」

雷角娘「わたし以外は全員死んだ…」

元魔王「そうか……」

魔法使い「そうか、ではないでしょ」ビシッ

元魔王「あで!?」

魔法使い「流石は元魔王様、血も涙もカリスマ性も甲斐性もない」

元魔王「ひどい」

魔法使い「普通このパターンはこの娘を仲間に入れると思いますが」

元魔王「と、言ってもなぁ……」チラッ

雷角娘「殺すならさっさと殺してくれ……」

魔法使い『心変わり』ペカー

雷角娘「貴女の為にこの命がけ賭しましょう」サッ

元魔王「なにこれ怖い」

魔法使い「王というのは敵であろうとも味方に引き込むぐらいの寛大さがないといけません」

元魔王「それとこれは違うと思う」

魔法使い「えっ」

雷角娘「ご命令をマスター!///」ハァハァ

元魔王「飯持ってきて」

雷角娘「……」ツーン

魔法使い「こちらに来なさい」

雷角娘「はい、マスター!」

元魔王「……さて、披露宴会場に向かうとするか」

ガサガサッ

一同「「「!?」」」

グール「WREEEEEE!!」ズバッ

魔法使い「グッ」

元魔王「大丈夫か?」

魔法使い「下手こきましたね……。幸いかすり傷程度ですが」

元魔王「それは何より、服にもダメージは無いようなだし」

魔法使い「ドレスにはちゃんと防御魔法をかけてますので、メガンテを同時に1万回されても大丈夫です」

元魔王「1万人の魂でも貫通出来ないのか……」

魔法使い「そんな事より、このグールの群れをどうにかすることを考えましょう」

元魔王「ざっと20万匹はいそうだな……」

魔法使い「どうやって隠れていたのでしょうか……」

魔法使い「さっきのようにこんな数がいれば洗脳は出来ませんし……」

元魔王「洗脳認めやがった」

魔法使い「やはりちゃっちゃと攻撃魔法で片付けましょうか」

元魔王「それは駄目だ」

魔法使い「何故です?」

元魔王「後の流れで大量にMPを使うことになるから、ここは無駄な消費は避けた方がいい」

魔法使い「かと言って貴方だけではこの数はめんどくさいでしょうに?」

元魔王「それもあるけどさー……」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

元魔王・魔法使い「「!?」」ビクッ

雷角娘「キサマラァァァァァァァア!!その汚らわしい爪で我がマスターに傷をつけたなぁァァァァァァァァァァァァァァア!!」

グール×20万「」カスリキズジャン

雷角娘「我がマスターの肌に貴様らが触れていい面積などμmmも無いィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!!!!」

グール×20万「」スンマセン

雷角娘「謝罪は聞かん!後悔をする暇も与えん、懺悔などは知った事か!死んでから全てを考えろ!!だからこの場は即座に退場しろォォォォォォォォォォォォォォォォォオ!」ゴゴゴゴゴゴゴ

グール×20万「」ヒエー!

雷角娘「しぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!!」ビュッ!

雷角娘『終末黙示録の雷』カッ

ドガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!








元魔王「すげー。雷って木とか燃やすどころか消したりできんのな」

魔法使い「雷が落ちただけで深い谷が出来ることも初めて知りました」

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