貴音「白銀のがぁる」 (25)

P×貴音のアイマスSSです

書き溜めありです

あと若干エロありなので悪しからず


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377400890

2012年に世界が変わった
八年後に小惑星が地球に衝突し地球は滅亡する。そう予告された

当然世界中がパニックになった。暴動だったり怪しい宗教などが流行ったりした。でも三年が過ぎたあたりからそういうのは収まってきた。諦めたとかではなくとどのつまり疲れたのだ。暴れたり、騒いだりするのに。

それでも小さな事件なんかはちょくちょくあった。発表から五年後、つまり今から三年前近くのマンションの一室に一家三人を人質に籠城するというのがあった。しかし犯人の二人組は誰も殺さず逃亡。今の今まで逃げ続けてるという


でもあってもそんなものだった。暴動などが落ち着いた世間は地球滅亡が発表される前より平和な気がする。

俺もたまに利用する個人経営のレンタルビデオ店や近くのボクシングジムなんかは何事もなかったかのように平常運転だ

しかし俺たちは平常運転というわけにはいかなかった。テレビは今でもつけても砂嵐ばかりだ。職を失った俺らは各々の道を選んだ。


響は沖縄へ帰ったらしい。
らしいというのは本当に帰ったかどうか俺らにもわからないからだ。ちゃんと辿り着けたと信じてはいる。

あずささんは暴動に巻き込まれた時助けてもらった人と結婚して幸せに暮らしている。

高槻家は伊織が保護した。今も一緒に暮らしているのだろう。

亜美真美は家の手伝いをすると言っていた、現に今も規模が小さくなったとはいえ双海病院は立派に運営している。

春香は普通に家族と暮らしている。

千早は最後まで歌い続けるらしい。
「人類で最初に歌ったのは誰か知りませんが人類で最後に歌を歌うのは私なんです。それってとても素晴らしいことだと思うんです」
などとロマンチックな台詞を残して去って行った。
今も何処かで歌っているのだろう

問題は真、雪歩、美希、律子、音無さんの五人だ。


彼女らとは八年間ずっと一向に連絡が取れないままだ。


連絡する手段がないだけでどこかで元気に暮らしてると願いたいがみんな心のどこかで思っているだろう


もう五人はこの世にはいないんじゃないかと。


しかしくよくよしてても仕方がない、酷い言い方だが当時はいくら大切な仲間とはいえ自分が生きてくだけでも精一杯だったわけだから

貴音と、そして彼女らのプロデューサーだった俺はというと


貴音「あなた様、昼餉が出来上がりました」


地球滅亡が予告された直後から一緒に暮らしていた


P「ああ、今行くよ」


成り行きでそうなったわけではない、予告より前から貴音と俺は付き合っていた


だが仮にもアイドルとプロデューサー、おおっぴらに出来る関係ではない


そう思うとこの混乱は俺たちにとってそう悪いものではないと思える

貴音「ふふっ」


P「なんだ?」


貴音「最後の日だというのに私たちはいつもと変わらない日を過ごすのですね」


P「それはそうだろう、いつもと同じように過ごして明日は何をするかと考えながらいつも通り寝るんだ」


貴音「目が覚めたら天国というわけですか」


P「もし天国があるのなら俺らが行く頃には人でごった返してるだろうな、なんせ世界中の人が一斉に天国へ行くんだから」


貴音「おや、それではすぐに765ぷろの仲間たちに会うのは難しいですね」


P「そうだな、でも八年待ったんだ、あと少しくらい待ったって変わらないさ」


貴音「それもそうですね」

貴音「あなた様、昼餉を食べたら散歩に行きませんか?」


P「散歩?いいな、最後の日に貴音とデートだなんて俺は世界一の幸せ者だ」


貴音「口が上手いですね」


P「なにを言うか、本心だ」


そうこうしているうちに昼ごはんも食べ終わり、俺たちは外に出て一緒に歩いていた、特に行くあてもなくまさに散歩といったところだ

手を繋いでいたのだが急に貴音が腕を組んできた、そうするとあずささんほどではないにしろかなり大きくて柔らかなものが俺の腕に押し付けられる、しかもかなり強く


P「貴音、わざとだろ」


貴音「なんのことですか?あなた様」


P「お前はいけずだな」


貴音「それは私の言葉です」


などとたわいもない話をしながら歩いていると屈強そうな男の人とその人に比べると細めの男が二人で走っていた。


確か近くのボクシングジムに通ってる人だったな。屈強そうなほうはチャンピオンだとか聞いたな。最後の日まで変わらずトレーニングか。


と考えたところで俺たちも最後の日でもなんら変わらないことに気付いて笑ってしまう

初SSだから支援あるとすごい嬉しいです





それから俺と貴音は色んなところに行った


かつて765プロだった場所


765プロからそう遠くない場所にある俺と貴音がはじめて出会った場所


あの時泣いてた貴音に話しかけたのがすべての始まりだったんだななんて思いながら

ーーーー

地球最後の日だって時間は過ぎる、あたりはもう暗くなっている


貴音「あなた様、一つお願いがございます」


P「なんだ?なんだって聞いてやる」


貴音「大層な願いではございません、本日の夕餉を私の望むところで食べたいのです」


P「外食ってことか?勿論構わないがいまあいてる店なんてあるのか?」


貴音「一つ、あてがございます」

そう言った貴音に連れて来られたのは


P「ここは…なるほどそういうことか」


貴音「やはり最後はここでなくてはですね」ガラッ


「へいらっしゃい!」


貴音に連れて来られたのはらぁめん二十郎だった。貴音がここに連れてきたことよりも二十郎がやっていることに驚く


親方「貴音ちゃん!久しぶりだな!あんたなら来ると思ってたよ!」


貴音「ふふっ私も最後の日あなたが店をあけると思っておりましたよ」


親方「貴音ちゃんが来たとなっちゃあもう今日は店仕舞いかな?」


貴音「いえ、本日は一杯しか食べぬつもりですから、安心なさってください」


貴音「ほら、あなた様席につきましょう」


若干惚けてる俺を引っ張り貴音は厨房の目の前のカウンター席につく


貴音「いつのもをお願いします」


親方「あいよ!プロデューサーさんはなんにする?」


P「あ、俺も同じものを」


親方「あいよ!」

貴音は軽く、俺はやっとといった感じでラーメンを食べ終え家に帰ってきた


貴音が先に入り俺があとに続く


そして俺は


貴音「あ、あなた様?」


P「貴音…最後はいつも通り、いつも通り愛し合おう」


後ろから貴音に抱きついて言った


貴音「………はい、ならばまずお風呂に入らねば」


P「そうだな、どうせなら一緒に入ろう」

結局風呂で一回、ベッドに行って何回もした、夜も更け二人ともぐったりしている


午前二時、草木も眠る丑三つ時だっけか


P「今日で、最後なんだな」


貴音「そう…ですね」


P「このまま寝て朝目が覚めたら天国の目の前か、その時は貴音は一緒なのかな」


貴音「ええ…きっと一緒でしょう、いえ一緒でなければなりません、でないと私は寂しくて泣いてしまいます」


P「男として自分の女を泣かせるのは重罪だな」


貴音「もしかしたら愛想を尽かしてしまうかも」


P「そいつは笑えないな、こいつは意地でも貴音と一緒じゃなきゃな」

そうこうしていると貴音が起き上がってきた


P「どうした貴音、まだしたりないか?」


貴音「はい、まだ…まだ私はあなた様の愛が足りません、あなた様は私を愛してくださいますか?」


P「当たり前だ、お前を愛さずして誰を愛すんだ、そういうことなら朝まで、この世界の終わりまで愛し合おうじゃないか、千早じゃないが…人類で最初に愛し合ったのはどこのどいつか知らんが人類で最後に…最後まで愛し合うのは俺たちだ。それはすごくいいことじゃないか?」


貴音「とても、ろまんちっくでございますね」


P「似合わないか?」


貴音「いえ、とてもかっこいいですよ」


P「それじゃ」


貴音「その前に一言、よいでしょうか」


そう言うと貴音は俺に寄り添ってきた


P「なんだ?」


そして…貴音は言った












「三千世界の鴉は殺し尽くしてきました」











P「……………ぷっあははははははははははははは!!!!」


そういうことなら俺は


貴音「あなた様?」


俺のすべてで持ってお前を愛そう


P「貴音」


やめろと言っても


貴音「はい」


いらぬと言っても


P「愛してる、世界の誰よりもお前を愛してる」


やめてはやらない


貴音「私もあなた様のことを世界の誰よりも愛しています」


二人で永遠に覚めぬ夜を目一杯愛し合おうじゃないか




THE END

支援ありがとうございました

おわかりの通り伊坂幸太郎著の終末のフールのパロディみたいなものです

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