咲「ぼっち選手権?」 (92)
IH表彰式終了後 某ホテルにて
恒子「表彰式もつつがなく終了しましたので。これにて閉会といきたいところですが――」
全員「?」
恒子「これよりぼっち選手権を開催しまーす!」
ザワザワ
久「ぼっち選手権?」
菫「なんだそれは?」
恒子「それではルールの説明をしまーす!」
恒子「まずはこちらのテーブルをご覧ください」
小蒔「5人がけの円卓ですね」
怜「いや、なんや某カップル成立番組みたいな装置があるで」
憧「え? ってことはカップルを決めるの?」
恒子「園城寺さんがいいところに気がつきましたね。まさにその装置なのです」
恒子「しかし今回はカップル決めるのではありません。ぼっちを決めるのです」
白望「なんかダルそうな企画だなぁ……」
照「ぼっち……」
恒子「引き続きルールの説明ですが、もうやりながらの方がわかりやすいと思うので、とりあえず清澄高校のみなさん。テーブルの方へどうぞ」
咲「え? 私たち?」
優希「結局何をするんだじょ?」
まこ「まぁ、とりあえずやってみるかの」
和「某カップル成立番組ってなんですか? そこからわからないのですが……」
久「高校単位で座らされるのか……なんとなく内容が読めてきたわ」
恒子「それでは着席いただけたところで、改めてルールを説明します」
恒子「まず、みなさんにはお手元のボタンで一番仲がいいと思うチームメイトを1人選んでいただきます」
恒子「そして、誰にも選ばれなかった人がそのチームのぼっちです」
恒子「当たり前ですが自分自身に投票したり、誰にも投票しないというのはルール違反ですからねー」
恒子「それでは投票スタート! 制限時間は10秒です!」
咲「え? ちょっとまだルールが……」
優希「つまりどういうことだじょ?」
和「とりあえず、一番仲がいいと思う人を選べばいいんですね。簡単です」
恒子「相談は認めていませんよ。私語は厳禁ですからねー」
和(わざわざ考えるまでもありませんね)
咲(えっと……誰か1人っていわれると和ちゃんかなぁ……)
久(とりあえずまこかなぁ……消去法で)
まこ(どうかぼっちとして晒しものになりませんよーに……)
優希(のどちゃんとは中学からの付き合いだじょ!)
恒子「それでは結果を発表しまーす!」
ドーン!
竹井久 → 染谷まこ
染谷まこ → 竹井久
原村和 → 宮永咲
片岡優希 → 原村和
宮永咲 → 原村和
恒子「というわけで、清澄高校のぼっちは片岡優希選手に決まりましたー!」
優希「じょ……」
実況席
えり「これは意外な結果と言うべきでしょうか?」
健夜「確かに片岡選手はどちらちらかと言えばコミュニケーション能力の高い方ですね」
咏「必ずしもコミュ力の低い子や不人気な子が選出されるわけじゃないってところが、このぼっち選手権の醍醐味なんだよねー」
健夜「清澄は3人の1年生がどうのような投票をするかが見どころでしたが、宮永選手と原村選手結びつきが強いことを考えればある程度予想できた結果と言えますね」
咏「でもあの子と原村は中学時代からの付き合いだったわけだから、ある程度精神的にくるものはあるんじゃね? 知らんけど」
優希「…………」ズーン
久(これは……思ったよりも過酷な企画ね)
まこ(わしじゃなくて本当によかった……)
和(すいません優希……でも全く迷いはありませんでした)
咲(優希ちゃん……)
恒子「さぁ、空気も暖まったところで、次は白糸台高校でーす!」
菫「いや、全く暖まってないが」
照「…………」
淡「なんか面白そー」
誠子(嫌な企画だなぁ……)
尭深(晒しものはいやだ……)
恒子「それでは投票スタート!」
菫(一番付き合いの長い奴に入れるのが普通だよな……)
照(う~ん……こっちかな)
誠子(ホントはそこまで仲がいいわけでもないんだけど、頼むから空気読んでくれよな~)
尭深(弘瀬先輩は宮永先輩に入れる。宮永先輩もたぶん私には入れない。となると私がすべきことは……)
淡(テル~♪)
恒子「それでは結果を発表します!」
宮永照 → 弘世菫
弘世菫 → 宮永照
大星淡 → 宮永照
渋谷尭深 → 亦野誠子
亦野誠子 → 渋谷尭深
恒子「白糸台高校のぼっちは大星淡選手でーす!」
淡「え~……」
実況席
えり「片岡選手に引き続いて、またもコミュ力の高い選手が選ばれましたね」
咏「まぁそれが面白いとこなんだけどね~」
健夜「白糸台高校は3年生2人、2年生2人、1年生1人という布陣でしたから、ある程度仕方のないこと言えるかもしれません」
咏「まぁそういう言い訳がきくって意味では、さっきの子よりも精神的ダメージは小さいかもね~知らんけど」
淡「も~酷いよテルー!」ポカポカ
照「ごめんごめん……いや迷ったんだけどね」
菫(迷ったのかよ……でもよかった。部長なのにぼっちとか酷い晒しものだからな…本当によかった……)
誠子(渋谷……ちゃんと空気を読んでくれたんだな。ホントはあんまり会話続かないけど)
尭深(よかった……亦野さんも同じこと考えてたのかなぁ。ホントは会話ないけど)
恒子「さぁどんどんいきますよー! 次は宮守女子高校でーす!」
塞「えっ!? 私たち?」
胡桃「来たね」
エイスリン「サラシモノハイヤダ」
豊音「ぼっちはやだよー」
白望(なんかかつてないほどダルいことになりそうだなぁ……)
実況席
えり「宮守女子は5人とも3年生ですね」
咏「しかも3人は幼馴染だからね~もしかしたらこの選手権一番の注目校なんじゃね? 知らんけど」
健夜「そうですね。先の2校はある程度結果が予測できましたが、宮守はだれがぼっちなのか全く予想できませんね」
恒子「それでは投票スタート!」
豊音(シロに入れたいけど、やっぱり幼馴染3人に割って入れる気はしないんだよー)
エイスリン(ホントはシロだけど、付き合いの長さで到底敵わないよ……)
塞(う~ん……胡桃には悪いけど、うん、ホントごめん!)
胡桃(シロ……信じてるからね)
豊音(先に2校の結果を見れたのはよかったよー)
エイスリン(5人のうち3人が固いとき、残りの2人がどうすればいいかはさっきの2校が教えてくれたよ)
白望(う~ん……ホントにまいったなぁ……)
恒子「それでは結果を発表しまーす!」
小瀬川 白望 → 鹿倉 胡桃
エイスリン ウィッシュアート → 姉帯 豊音
鹿倉 胡桃 → 小瀬川 白望
臼沢 塞 → 小瀬川 白望
姉帯 豊音 → エイスリン ウィッシュアート
恒子「宮守女子高校のぼっちは臼沢塞選手でーす!」
塞「え……?」
実況席
えり「幼馴染3人の中からぼっちが出ましたね。この結果はいかがですか?」
咏「正直言ってこの高校からはぼっちが複数出ることも十分ありそうかな~って思ってたんだけどね」
健夜「姉帯選手とウィッシュアート選手は非常にうまく立ち回りましたね。先の2校の結果をよく分析していたようです」
咏「でもさ~女の子って仲良しグループでも、必ずその中でペアができるもんなんだよね」
健夜「そうですね。この選手権でも必ずしも2組のペア+1人のぼっちになるわけではないのですが、それでも女子のクループですから大部分がそうなってしまうでしょうね」
咏「仲良し3人組だと思ってたものが実は2人+1人だと知ったはつらいだろうね~知らんけど」
健夜「ぼっちなのに実は部長という点も見逃せませんね。ポイント高いです」
咏「なんてゆーか、さっきの2人と違って言い訳できる要素が皆無なんだよね。まだ3校目だけど、もうこの子優勝でよくね? 知らんけど」
塞「うっ…ぐすっ」ポロポロ
エイスリン「サエッ、シッカリ……」
胡桃「塞……」
豊音(やばいよー、空気がやばいよー、ガチ泣きだよー、さっきの2校と比較にならないよー)
胡桃「シロ! なんとかする!」
白望「えっ……そんなこと言われても……」
塞「ぐすっ……」ポロポロ
白望「えーと…塞……ほら、あれだよ……ね…?」
エイスリン(ダメダッタカー、ヤッパリ!)
恒子「なんだか大切な何かが崩れてもう戻らない気もしますが、次いきますよー! 永水女子高校のみなさん、どうぞー!」
小蒔「私たちですね」
霞「これは思った以上に過酷なゲームね」
巴「大丈夫です私たちがなんとかします」
初美「ですよー」
春「うん」
恒子「それでは投票スタート!」
小蒔(みなさん大好きなので迷いますが……でも1番は……)
霞(小蒔ちゃんに入れないわけにはいかないわね)
巴(私が入れるまでもないと思いますが、万が一にも姫様をぼっちとして晒すわけにはいきません)
初美(わかってるですよー)
春(迷いなし)
恒子「それでは結果を発表しまーす!」
神代 小蒔 → 石戸 霞
石戸 霞 → 神代 小蒔
薄墨 初美 → 神代 小蒔
狩宿 巴 → 神代 小蒔
滝見 春 → 神代 小蒔
恒子「というわけで、永水女子のぼっちは薄墨初美選手、狩宿巴選手、滝見春選手の3人です!」
実況席
えり「初めて複数名のぼっちが出ましたね。この結果はいかがですか?」
健夜「5人の関係がよくわかる結果ですね。4人が結託して神代選手を守ったのは明らかです」
咏「でもさ~こういうのって本当に仲がいいって言えるのかな~? 私には神代がぼっちで他の4人の絆の方が固いように見えるんだよね~知らんけど」
健夜「ここにはいませんが、きっと龍門渕高校なんかも似たようなことになるのでしょうね。じっさい似ていますよ永水と龍門渕は」
小蒔「みなさんありがとうございます。なんだかすいません……」
霞「謝らなくていいのよ。私たちは普通に投票しただけよ」
小蒔「はい……」
初美(あれ? なんだか気まずいですよー)
巴(ちょっとあからさま過ぎたかしら……)
春「…………」ポリポリ
恒子「次いきますよー! 千里山女子高校どうぞー!」
竜華「ついにうちらの番かー」
怜「なんや気が進まんなぁ……」
セーラ「もう腹くくるしかないやろ!」
恒子「それでは投票スタート!」
竜華(うちに迷いはないで!)
怜(まぁ…竜華に入れんと後でどうなるかわからんしな)
セーラ(竜華と怜とは中学からの付き合いやけど……)
浩子(先に他の高校の結果見れたのは助かりましたわ。千里山は上の3人が固いパターンやから、うちの選択はこうや)
泉(まいったわ。1人だけ1年生の私はめっちゃ不利やん)
セーラ(あんまり言いたないけど、3人のうちであぶれるのはオレや。だったらここは……)
泉(正直この中で誰が一番って言われても困るわ。でも失点した後声かけてくれたし強いてあげるなら……)
恒子「それでは結果を発表しまーす!」
園城寺 怜 → 清水谷 竜華
清水谷 竜華 → 園城寺 怜
江口 セーラ → 船久保 浩子
二条 泉 → 江口 セーラ
船久保 浩子 → 二条 泉
恒子「というわけで、千里山女子高校のぼっちは……いませんでした!」
えり「初めてのぼっちなしという結果になりました。どう見ますか?」
健夜「千里山も3年生3人が固いパターンでしたから、意外といえば意外ですね」
咏「自分があぶれてるってことを認められるのもまた強さなんだよね~」
健夜「江口選手は決断をしましたね」
咏「この子ならたとえ自分がぼっちになってても笑ってるんだろうね~知らんけど」
すいません。今日はもう寝ます。
明日の夜頃に続き書けたら書こうと思います。
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