美希「美希のかわいい海鮮丼、誕生秘話なの!」 (13)


P「駅ビルとのコラボイベント、ですか」

高木「大型商業施設との一大コラボイベントだ。ターミナル駅一帯を765プロのアイドル達がジャックするぞ!」

P「それで各アイドルのプロデュースメニューを展開することになったんですね」

P「ちょっと珍しい組み合わせが多いな。貴音はカレー、あずささんは珈琲」

P「それで美希は……お寿司屋さん、か」

高木「先方からのご指名だ。ぜひ、美希君に考えてほしいと」



P「―――と、いうわけで。今回のお仕事はコラボメニューの監修です」

美希「や」

P「早い早い」

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美希「このお仕事は絶対ムリなの。ミキにはできないのー!」

P「内容を聞く前から拒否するんじゃありません!」

美希「じゃ、教えて」

P「美希には駅テナントに入ってるお寿司屋さんのメニューを考えてもらいます」

美希「できません」

P「やる前から無理と決めつけるんじゃない!」

美希「やらなくてもわかるよ。だってミキ、ナマっぽいの苦手だもん」

美希「苦手な人、嫌いな人にメニューを考えてもらうの、すっごい大変って思うな」

美希「ケーキのメニューはケーキ屋さん、ネイルアートのデザインはネイリストさん」

美希「わざわざ苦手な人に任せることはないよね?適材適所ってやつなの」

P「至極ごもっともです」

美希「そもそも!なんでプロデューサーさんはこのお仕事、ミキに持ってきたの?」

美希「ミキがダメなの、わかってたよね?ちゃんとお話ししたよね??」

美希「わけわかんないの。ありえねぇの」

P「ぐうの音も出ねえ」

美希「とにかく!ミキ、このお仕事は、や!」

P「……まあ、確かに美希にはかなりキツイ仕事だとは思うよ」

P「けどやれないことはないと思うけどな」

美希「……………我慢しろ、ってコト?」

P「そうじゃない。今回のお仕事はあくまで『監修』だ」

P「どんなメニューにするか、どんな見た目にするか……。味以外の部分にも美希の考えを反映させたいと思ってる」

P「お寿司屋さんのお手伝いをするわけだからな。必ずしも食べる必要はないさ」

美希「ミキが言うのもなんだけど…………いいの?それ、すっごいヘンなカンジ」

P「携わっていることには変わりないさ。美希は美希が出来る範囲でやってくれればいい」

美希「プロデューサーさん、ズルいね」

P「したたかと言ってくれ。少なくとも嘘は言ってない」

P「ただ、どうしても美希がやりたくないなら無理しなくてもいいよ。先方には俺から断っておく」

美希「―――やる」

美希「プロデューサーさんがミキになら出来る、って持ってきたお仕事だもん。だったら、ミキもやってみる」

P「そっか。ありがとう」

美希「でも……やっぱりミキ、どうしてもナマっぽいのは……。見るのも、ちょっと苦手っていうか」

P「じゃ、ナマっぽくない見た目にすればいいんじゃないか?」

美希「え。……………あ!」


美希「お魚たくさん入れると美味しいけど、その分見た目や色味はごちゃってしちゃうでしょ?」

美希「だから今回はパステルカラーをメインにした、かわいい系のコーデでまとめてみようかなって」

美希「パーツは一つ一つ大きめにしてシンプルに、色味が濃いのは散らしてアクセントにして―――」

美希「―――はいっ! これがミキのスペシャルメニュー! 名付けて、『美希のかわいい海鮮丼』!」

インタビュアー「とてもおしゃれなメニューですね。美希さんの並々ならぬこだわりが感じられます」

美希「海鮮丼もオシャレする時代なの。この夏は、かわいいコーデで決まり☆」


インタビュアー「味にも相当なこだわりがあるのではないですか?」

美希「んー……わかんない」

インタビュアー「え?」

美希「だってミキ、ナマっぽいの苦手だもん。食べてないから味は知らないよ?」

インタビュアー「………え、ええ?監修メニューですよね……?」

美希「うん。だからミキの担当はメニューのデザインで、味担当はプロデューサーさん!」

インタビュアー「そ、そうなんですか」


美希「でもね。ミキの考えたメニュー、美味しくなるよう一緒に頑張ってくれたの」

美希「アイデア全部形にしてくれて、それ全部食べて、そのたびに一緒に考えて」

美希「そのプロデューサーさんが美味しいって言ってくれたメニューだもん。だから味は間違いないって思うな!」

インタビュアー「……そうですか。美希さんイチオシの海鮮丼、ぜひ皆さんに喜んでいただけるといいですね」

美希「ファンのみんなー!海鮮丼のオシャレも味も、どっちも楽しんでねー!」


美希「ただいま、プロデューサーさん!」

P「おかえり。ホントに正直に答えるやつがいるかよ」

美希「えー。でもリハーサルでは『聞かれたら答えてもいい』って」

P「その通り。なんにせよお疲れさま、よく頑張ったな」

美希「えへへー」

高木「美希君のスペシャルメニュー、なかなか好評だよ」

P「うまく転んでくれてよかったです」

高木「先方も理解の上だ。その辺は安心してくれたまえ」

P「けど向こう半年くらい海鮮丼は遠慮したいです。食べ過ぎました……」

高木「早速監修メニューの問い合わせが殺到しているよ。目を通しておいてほしい」

P「次は美希が食べられるものにしてください……」


高木「ところで…………『プロデューサーさんって誰だ』という問い合わせも殺到しているのだが」

P「…………それは知りません」

おわり

以上でおしまいです。

最初美希のコラボメニューを見たときはそのチョイスにびっくりしましたが、
伊織のメニューがお刺身たっぷりのチラシ丼なのに対して、
美希の海鮮丼はハートのネギトロに星形の卵焼きで、なんというか、めちゃくちゃ美希っぽいなーと。
美希が考えたらこうなるだろうって、凄く納得できるデザインでした。
令和最新版の美希もとてもかわいかったです。

そんなこんなで、ここまで読んでくださいましてありがとうございました。

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