「今日はあなた自身、とても良いことがあるでしょう」
朝の情報番組の占いコーナー、牡羊座の運勢はそんな感じだった。
良いこと?
それが何かは分からない、ものすごーく曖昧なことだけど、
あんまり占いとか信じないタイプだけど、なんか気になったりはする。
うん。
敢えて言うなら、今日は中間テストの最終日ってとこかしらね。
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「難しかったよぉ」
数学のテストが終わった時、花陽が弱々しく自信なさげそうな声を上げた。
なんでも最後の問題が解けなかったみたいで、他の問題も正解してるか分からないそうだ。
まっ、私は余裕で解けたわね。
この真姫ちゃんに解けない問題なんて何もないわ。
ちなみに凛は魂が抜けたかの如く、口を開けて虚ろな目をしていた。
補習確定ね……
「帰りにゲーセン寄るにゃ!」
昼食も済ませ家に帰ろうとしたら、凛が私にそう言った。
テスト期間中だから部活の練習はなし、
そしてテストは今日で終了という、束の間の何もない午後の時間――
午後の予定、何にもなし、
家でゴロゴロするくらいなら「まぁいいか」って感じで凛の誘いを受けることにした。
もちろん、花陽もいるわよ。
「リズムゲームで勝負だよ!」
ゲーセンに到着するなり凛が私に勝負を挑んできた。
いや、食べてすぐにそんなことしたら、確実に吐いちゃうから、ってやんわり断った。
結局、凛は花陽と勝負をすることとなった。
結果?
言うまでもなく凛の圧勝だった。
「真姫ちゃんアレやろうよ」
花陽が指差したのは格闘ゲームの筐体。
ああいうタイプのゲームって私やったことないのよねぇ、
なんでか?
そーいうことが好きな友達とか居なかったのよ。
友達がいないってワケじゃないわよ。
やるかどうか悩んだけど、とりあえず、やるだけやってみますか!
結果?
花陽と後から参戦した凛にボロボロに負けたわよ!
いつかやり返してやる!!
「クレーンゲームはどうかな?」
やったことあるわよ。
なんたって、クレーンゲームは得意中の得意なんだから!
…………
ごめん嘘ですやったことありません。
真姫ちゃんは見栄を張りたいお年頃、でもそれを口にしたらなんか痛い娘にみえそうだから、そこは自重しないとね。
うん、うん。
「結構、難しいわね」
何回目のチャレンジかしら?
コツは掴んだとは思うけど、一向に景品は取れない。
私が狙ってるのはトマトをモチーフにしたぬいぐるみ。
トマトが大好きだから狙ってる?
単に取りやすそうだから狙ってるだけなんだけど……
結局のところは取れず仕舞い……
凛と花陽はそれなりに取ってたりはしている。
トホホ……悔しいわね。
「さて、帰ろっか」
ゲーセンを出ると空は夕焼け真っ赤か、大好きトマトも真っ赤か♪
何考えてるのだろう?
それなりに遊んで楽しかったわ。
ゲームの戦績はボロボロだけど……
はぁー、今日の晩御飯は何かしら?
「真姫ちゃん、これあげる」
別れ際、凛と花陽からあるものを貰った。
それはクレーンゲームで取れそうで取れなかった、あのトマトのぬいぐるみ。
私が取れなくて苦戦してたのを見て、わざわざ取ってくれたのかしら?
だとしたらとても嬉しいわね。
ありがとう!
そしたら「別に持ってても仕方ないからあげる」って言われた。
しくしく……
「結局、いいことってあったのかしら?」
今朝の情報番組の占いコーナーで言ってたことを思い出した。
うーん……
このトマトのぬいぐるみを友達である凛と花陽から貰ったことかしら?
それとも……
ふぅー
深く考えたら余計に分からなくなるから、浅く考えましょ。
そうしましょ♪
おウチに帰ればトマトが待ってるぞ♪
こういう考えが出来るようになったことがいいことなのかもしれない、私はそう思った。
まっ、どう思うかは個人の自由だし、お腹が空いたから帰りましょう!
おしまい
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