モバP「後悔先に立たず、とはよく言ったもので」
モバP「まさしくその通りだ、反論の余地もない」
モバP「俺は愚か者だ。」
モバP「人の助言に耳を傾けず」
モバP「目先の欲にくらみ、ただ目の前の灯りに釣られてしまう」
モバP「得られるものなど、何もないと知っていたのに」
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モバP「俺は蒙昧な豚だ」
モバP「喰われる運命にありながら、ただ日々を無意味に重ねる家畜のように」
モバP「浅はかで、汚らしく、快楽のみを追い求め享受する醜い生き物だ」
モバP「与えられた餌に疑いなど持たず」
モバP「意味など考えず、目の前の物事こそが真実だと盲目に信じ」
モバP「そして、勝手に裏切られる」
モバP「全てが終わったあとでようやく気付き、裏切られたと騒ぎ立てる」
モバP「無知は罪である、とはよく言ったものだ」
モバP「実際のところ、騙される方が悪いのだ」
モバP「そういうものだと知っていたのに」
モバP「世界は悪意に満ち溢れているのだと、幼い頃から母に聞かされながら寝かしつけられていたのに」
モバP「それなのに、人間は騙される」
モバP「他人を信じ、真実から目をそらす」
モバP「それは優しさではなく、自らの愚劣さからのものだということにすら気付けずに」
二宮飛鳥「…………」
千川ちひろ「…………」カタカタ
飛鳥「…彼…どうしたんだい?」
ちひろ「どうもこうもありませんよ」ツ-ン
飛鳥「ちひろさん、何か怒ってないか?」
ちひろ「怒ってなんていませんっ」プイッ
飛鳥「…?」
モバP「時々、身体の奥底から沸々と黒い何かが溢れそうになる」
モバP「これを心と云うのなら、それは心臓よりも雄弁に自身に語りかけてくる」
モバP「『お前は失敗した』『失った物は帰ってこない』」
モバP「昨日の自分と、今日の自分、果たして何がち構うのだろう」
モバP「何も変わらない」
モバP「例え毛髪が数百、数千と生えかわろうと、古い皮膚が剥げ、全て新たな角質に身体の表面が包まれようと」
モバP「何も変わらず、自分は自分のままだ」
モバP「昨日の自分になく、今日の自分にあるものがある」
モバP「足枷だ」
モバP「失敗したと云う事実が、四肢の動きを、思考を、未来を、妨げる」
モバP「まさしく囚人の足に括り付けられた鉄球のように、ただ冷たく、鈍重に自分自身をその場に縫い付ける」
モバP「人間は失敗から学ぶ生き物だ」
モバP「一度失敗したなら、もう一度挑戦すればいい。二度目で駄目なら三度目、三度目で駄目なら四度目。」
モバP「努力をすれば夢は叶う。諦めなければ必ず実る。」
モバP「美しい言葉だ。世界が真にそうであることを、俺はただ祈る。」
モバP「ただ、人間は弱い」
モバP「努力を続けることは容易ではなく」
モバP「好きなものを好きで居続けることすら、出来ない事もある」
モバP「自身のプライドが。周囲の期待が。怠惰な甘い誘惑が。権利が、義務が」
モバP「いつの間にか、蜘蛛の糸のように自身を蝕む」
モバP「いずれ臆病になり、挑戦することを恐れるようになる」
モバP「その先に、成功が待っていると口先だけで信じ続けながら」
飛鳥「随分と…参っているようだね」
モバP「飛鳥…」
飛鳥「ボクに翼を与えたキミが…そんなことを言う姿なんて、正直なところ、見たくなかったよ」
モバP「…すまないとは思う。お前達には、こんな姿見せてはいけないんだ。導く者として、強かな背中を見せる責任が俺にはある」
飛鳥「P…」
モバP「それでも…俺は弱かった。結局俺は誰より孤独で、愚かで、お前達を導く権利なんてない弱い人間だったんだ」
飛鳥「……それは…」
モバP「…………」
飛鳥「それは…………違う」
モバP「…飛鳥…?」
飛鳥「キミはいつだって、ボクたちのことを第一に考えてた。下げたくない頭を下げて…ボクたちを安心させようと笑顔を作って」
モバP「………」
飛鳥「知ってるんだよ。キミが無理してることも…ボクたちが、無理をさせていることも…」
モバP「……飛鳥…」
ちひろ「飛鳥ちゃん…」
飛鳥「だからさ…せめてさ…言ってくれよ…辛いことがあったなら…打ち明けてくれよ…」
飛鳥「ボクたちは…仲間だろ…?」
モバP「…ありがとう。その一言だけで…随分と救われる」
飛鳥「キミは決して独りぼっちなんかじゃないさ…たとえ世界中が敵になっても…ボクは味方だ」
モバP「………」
飛鳥「だから…話してくれないか…?一体何があったのか…何が一体キミを…そんなに苦しめているのか…」
モバP「…あぁ…分かった。話すよ…」
ちひろ「Pさん…でも…」
モバP「いいんです…これは、俺の業(カルマ)だから…」
飛鳥「…………」
モバP「……実は昨日の夜…」
モバP「歌舞伎町で一人で飲み歩いてて何となく入ったガールズバーがぼったくりで8万ぐらい取られた」
飛鳥「は?」
モバP「え?」
ちひろ「…ハァ…」
飛鳥「ガールズバーって?」
モバP「女の子とお話ししながら呑むお店」
飛鳥「は?」
モバP「え?」
飛鳥「………」
モバP「………」
飛鳥「……し」
モバP「し?」
飛鳥「死ねッ!!!!!」ガツッ!
モバP「いっっった!?!?!?」
飛鳥「バーカバーカ!!!死ねクソP!!!!!」ガチャッバタン!!
モバP「ちょっ待っ…脛…え、えぇ…?」
ちひろ「………」カタカタ...
モバP「……ちひろさん…?」
ちひろ「…ふーんだ」ツ-ン
モバP「…えぇ…?」
ちひろ「あの調子じゃ1週間くらいは無視されるでしょうね」
モバP「…人間と云うのは…あまりに愚かで…」
モバP「失敗を取り返すというのは、成功することよりも難しい…哉…」
ちひろ「いいからとっとと仕事して下さい」
終わり
歌舞伎町なんてもう絶対行かない
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