モバP「楓さんって免許は持ってるんですか?」 (24)


高垣楓「免許、ですか?」

モバP「ええ。そういえば楓さんって車は運転できるのかな、と思いまして」

高垣楓「なるほど……運転免許は持っていませんね」

モバP「楓さんぐらいになると周りの誰かしらが運転してくれそうですもんね」

高垣楓「そんな私を毎週末酔いどれてる女みたいに」

モバP「みたいに……?」

高垣楓「プロデューサーは持ってらっしゃる訳ですよね、免許」

モバP「ははは。流石に無免許で楓さんを送迎したりしませんよ」

高垣楓「いえ、運転免許ではなく高垣楓プロデュース免許の方です」

モバP「ああ、そっちでしたか」

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モバP「高垣楓プロデュース免許」

高垣楓「はい」

モバP「……」



モバP「……?」

高垣楓「……?」


高垣楓「えっ……まさかプロデューサー、持ってらっしゃらないんですか……?」

モバP「持っていないというか……その、初耳……ですかね……」

高垣楓「そんな……プロデューサーが無免許なんて……」

ちひろ「お二人とも、どうかされました?」



モバP「どうか……ええ、まぁ……どうかはしていますね……」

高垣楓「それが、プロデューサー……高垣楓プロデュース免許を持ってないみたいで」

ちひろ「えっ」

モバP「えっ?」

ちひろ「……プロデューサーさん、本当ですか?」

モバP「えっまぁ」

ちひろ「あちゃー……こういうの、業界的にもいま厳しくなってるんですよね」

モバP「この業界来たの間違いだったかな」


モバP「というか、そもそも高垣楓プロデュース免許とは……?」

高垣楓「そこからですか」

モバP「いやここ以外から始めようが無くて……」

ちひろ「ええと、特定プロデュースアイドルについてはご存知ですよね?」

モバP「存じ上げていないですね……」

ちひろ「事務所内の一部アイドルは特に扱いに注意が必要と指定されてまして」



モバP「えぇ……」

ちひろ「他にはまゆちゃん、アーニャちゃん、美優さん、茄子さん、夕美ちゃん辺りがそうですね」

モバP「妙に納得しそうになるラインナップ並べるのやめましょうよ」


ちひろ「ともかく、このまま無免許プロデュースを続けさせる訳にはいきませんね」

モバP「ちなみに無免許のままだとどうなるんですか」

高垣楓「本当にそんな恐ろしい事を訊きたいんですか?」

モバP「えっ」



ちひろ「取り急ぎ免許を取得しましょう。一時間程度の講習と簡単な試験で取れますから」

モバP「はぁ」

ちひろ「講師の方を至急手配してきますね」

モバP「講師」

高垣楓「頑張ってくださいね、プロデューサー」

モバP「ところで何を頑張ればいいんですか?」


 ◇ ◇ ◆


モバP「……」

モバP「…………」



モバP(……何やってんだろ、俺)



モバP(いや、まぁ……今は急ぎの仕事とか入ってないし別にいいんだけど)

モバP(一人で会議室に居ると急に冷静になってきてしまう)

モバP(そもそも講師って何なんだ。楓さんの扱いに長けた人類とか地上に居たのか)

モバP(……マストレさん、か? さっきの流れだと三船さんとか鷹富士さんとか出てくるかも)



高垣楓「お待たせしました。講師を務める高垣と申します。本日はよろしくお願いします」

モバP「えぇ……………………」


高垣楓「む。私ではご不満ですか?」

モバP「ご不満というか、その……全部おかしいだけなんですけどね……」

高垣楓「文句は後ほど至近距離でよく聞きますから、まずは早く免許を取得しましょう」

モバP「はぁ」

高垣楓「眼鏡、掛けましょうか?」

モバP「それ俺に聞く事なんですか?」

高垣楓「掛けましょうか?」

モバP「……じゃあ、お願いします」

高垣楓「はい。ん……どうでしょう」

モバP「……大変よくお似合いです」

高垣楓「ふふ」



高垣楓「それでは只今より、高垣楓プロデュース免許の講習を始めます」

モバP(誤魔化しきれなかった……)


高垣楓「高垣楓ガチ恋勢のプロデューサーはご存知でしょうけど、基本からおさらいしますね」

モバP「枕詞の質量が凄くないですか?」

高垣楓「パートナーのことをよく知っておくのは良好な関係を保つのに大切ですから」

モバP「はぁ」

高垣楓「高垣楓のスリーサイズはご存知ですか?」



モバP「……」

高垣楓「ご存知ですか?」

モバP「……」

高垣楓「ご存知ですよね?」

モバP「…………まぁ、はい」

高垣楓「えっちですね」

モバP「楓さんから滅茶苦茶よく言われますが別にえっちではないと思います」


高垣楓「さて。高垣楓の趣味をお酒パカパカだと思い込んでいる方も多いようですが」

モバP「あながち間違ってもいない気がするんですよね」

高垣楓「温泉めぐりが趣味なんですよ。プロデューサーは付き合ってくれませんけど」



モバP「……」

高垣楓「どうして付き合ってくれないんでしょうね?」

モバP「続きいいですか?」

高垣楓「じゃあ好きなものの話でもしましょうか」

モバP「なんか飲み会中盤の雰囲気になってきてませんか?」

高垣楓「焼き鳥が食べたくなってきますね」

モバP「すみません、続きいいですか?」


高垣楓「それでは高垣楓の取り扱いについての注意に移りましょうか」

モバP「はいって言うのもちょっと釈然としないんですけど、はい」

高垣楓「まず、構ってほしい時にはプロデューサーの方を見ますので、必ず構ってください」



モバP「……」

高垣楓「頭を差し出す、またはぶつけるのは撫でてほしい合図なので、必ず撫でてください」

モバP「…………」

高垣楓「最近はお魚が好きなので、食べるときは必ず私を呼んでください」

モバP「……………………」

高垣楓「ブラッシングもしてあげると喜びますよ」



モバP「猫か何かなんですか?」

高垣楓「ヒミツですにゃん」

モバP「あッ」

高垣楓「ふふ」


 ◇ ◇ ◆


高垣楓「――つまり同衾とは……あら。そろそろ試験の開始時刻ですね」



モバP(家帰ったら講習の意味を辞書で引こう)

高垣楓「それでは解答用紙と問題用紙を配ります。まだ伏せたままですよ」

モバP「はい」

高垣楓「試験時間は45分間です。お手洗いやデートのお誘いの際は挙手してください」

モバP「……」

高垣楓「挙手してくださいね」

モバP「……」

高垣楓「挙式でも構いませんよ」

モバP「……」

高垣楓「では始め」



モバP「えっ  あ、いや、はい」


 【高垣楓プロデュース免許 本試験】 回答時間:45分間


 ■正誤問題(配点 各5点)

 問1 高垣楓が猫になっている場合、プロデューサーは必ず構わなければならない。
    ① ○  ② ?

 問2 高垣楓が疲れを訴えている場合、神崎蘭子を与えてもよい。
    ① ○  ② ?

 問3 やけに肩を出した衣装が多いのは偶然の結果に過ぎない。
    ① ○  ② ?


 ■選択問題(配点 各5点)

 問4 高垣楓との新婚旅行先として最も適当なものを選べ。
    ①ハワイ ②和歌山県 ③熊本県 ④ミュンヘン

 問5 高垣楓にまだ着せていない衣装のうち、最も着せたい衣装を選べ。
    ①バニースーツ ②ブレザー ③袴ブーツ ④赤バニースーツ

 問6 高垣楓がライブのアンコールで唄ったことのない曲を選べ。
    ①Nation Blue ②恋が咲く季節 ③Blessing ④輝く世界の魔法

 問7 高垣楓が最近気に入っている肴を選べ。
    ①たこわさ ②揚げ出し豆腐 ③炙り明太子 ④鯵の南蛮漬け 

 問8 高垣楓がプロデューサーから貰ったことのないプレゼントを選べ。
    ①清酒 ②焼き菓子 ③髪留め ④指輪 ⑤指輪


 ■記述問題(配点 160点)

 問9 女性の社会進出は時代を経るごとに活発化している。政治的自立は特に近世
    以降顕著であり、イギリスに端を発する産業革命や二度の大戦において重要
    な役割を果たした女性は段階的に参政権を獲得してきた。社会的自立は近代
    以降に目立ち、ココ・シャネルやマーガレット・サッチャー等のように「モ
    ノ言う女性」がマスメディアを介して支持を広める構図は今日でも一般的で
    ある。一方で経済的な視点から見れば、まだまだ男女の隔たりは大きいのが
    実情である。例えば女性アイドルは人気さえあれば充分な収入を得られるも
    のの、年齢を代償としている側面は否定できず、引退後のキャリアに漠然と
    した不安を抱く女性は多い。高垣楓の担当として彼女と長期的にどう向き合
    っていくべきか、六百字以上八百字以内で書け。ただし、以下の三つの語句
    を文中で必ず用いること。

    ( 責任 ・ 永久就職 ・ 適齢期 )


モバP「……」

高垣楓「もちろん満点は目指してほしいところですが」

モバP「……」

高垣楓「170点以上取れれば合格なので安心してくださいね」

モバP「……」



モバP「えっ」

高垣楓「私語は慎んでください」

モバP「あっはい  えっ?」

高垣楓「こらっ」

モバP「あッ」


 ◇ ◇ ◆

高垣楓「――終了です。筆記用具を置いてください」



モバP「……」

高垣楓「それでは採点に入ります。結果は1名だけなのですぐに出ますからね」

モバP「……あの」

高垣楓「はい」

モバP「回答用紙って記念に持ち帰れたりしませんかね?」

高垣楓「いえ、一切認められません。責任を持ってお預かりしますので」



モバP「……」

高垣楓「まぁ、責任を持つのは私だけの話ではありませんけれど」

モバP「……」

高垣楓「ずっとお預かりしてますからね。忘れないでください」

モバP「……」

高垣楓「それでは後ほど」


モバP「……」



高垣楓「――お待たせしました」

モバP「あ、はい」

高垣楓「それでは合否の発表に移ります」

モバP「はい」

高垣楓「合格です。得点は195点……たいへんよくできました」

モバP「あ、はい」

高垣楓「この前揚げ出し豆腐の美味しいお店を見つけたんですよ」

モバP「なるほど……」

高垣楓「特に記述問題はよく書けていましたよ。忘れませんからね」



モバP「……」

高垣楓「では免許証を発行してきますので少々お待ちください」

モバP「…………」


 ◇ ◇ ◆


高垣楓「お待たせしました。こちらがプロデューサーの高垣楓プロデュース免許です」

モバP「状況がややこしい」

高垣楓「再発行には私との食事が必要となりますので充分に失くすよう注意してください」

モバP「ややこしい説明重ねないで」



モバP「……しかし」

高垣楓「?」

モバP「毎回毎回こういうの妙にしっかり作り過ぎじゃないですか」

高垣楓「そうでしょうか」

モバP「今回とかICチップまで埋め込まれてるし」

高垣楓「偽造されると大変ですからね」

モバP「偽造……?」


モバP「まぁ、貰った以上は一応持っておきますけど……あ」

高垣楓「どうかされました?」

モバP「いや、財布のカード入れる所が一杯で」

高垣楓「普段使わないものは抜いておいた方がいいですよ」

モバP「いえ楓さんポイントカードとか高垣楓定期券でパンパンなんですよ」

高垣楓「ぎゅっとすれば何とか入りませんか?」

モバP「やってみますか……」

高垣楓「では。ぎゅっ」

モバP「あッ」



モバP「なんで?」

高垣楓「ぎゅっ」

モバP「あッ」


 ◇ ◇ ◆


高垣楓「あ、そうだ……プロデューサー、急ですみませんが再来週お休みを頂きたくて」

モバP「珍しいですね。もちろん調整しますが……急用でも?」

高垣楓「いえ、免許の更新に行かなくちゃいけないのを今回の事まですっかり忘れてて」



モバP「えっ」

高垣楓「えっ?」

モバP「いや、楓さん運転免許持ってないって今朝言ってませんでした?」

高垣楓「いえ、運転免許じゃなくて、わな猟免許の方です」

モバP「ああ、そっちでしたか」




モバP「わな猟免許」

高垣楓「はい」


おしまい。


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前作とか
モバP「広い家に住んでみたいなぁ……」 高垣楓「分かりました」 ( http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1655207925 )
高垣楓「本日から楓さんポイントの運用が始まりました」 ( http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1623674798 )
モバP「Uber Kaede……?」 ( http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1590312353 )


そろそろモバPって表記が出来なくなるの結構寂しい

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