果穂の授業参観にプロデューサーが行く話 (17)
pixivにも同じ話を投稿してます。
よりみちサンセットの歌詞や小宮果穂役の河野ひよりさんの最後の挨拶なんかもちょろっと引用しています。
よかったらどうぞ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1565249535
果穂「プロデューサーさん。今日もお仕事お疲れ様でした!」
P「うん。お疲れ様、果穂。今日も元気いっぱいで、スタッフさん達も元気付けられてたぞ」
果穂「本当ですか! えへへ、人を元気にできるなんて、ヒーローみたいで嬉しいですっ!」
P(俺の言葉がよっぽど嬉しいのか、果穂はぴょんぴょん飛び跳ねている)
P(本当に可愛いな、果穂は)
P「ははっ。そうだな。これからもアイドルを頑張ってたくさんの人を元気に、笑顔にしていこう、果穂」
果穂「はいっ!」
P「うん、それじゃあ今日はもうお仕事ないから、また次の仕事の為に、家に帰ってゆっくりと休んで、パワーを補充だっ」
果穂「パワーを補充……! わかりましたっ! それじゃあプロデューサーさん、また明日……あっ」
P(そのまま笑顔で事務所を後にしようとした果穂だったが、急に表情が曇った)
P「どうした、果穂?」
果穂「いえ、その……明日、授業参観があるんですけど、お父さんもお母さんも仕事で来れなくて、寂しいなって……」
P「……そうか」
果穂「プロデューサーさんと離れ離れになるって思ったら、急に寂しくなって、思い出しちゃって……すみません。プロデューサーさんに言ってもしょうがないのに」
P(……)
P「……果穂」
果穂「はい?」
P「やっぱり送っていくよ。今日はお仕事頑張ってくれたからな、途中コンビニで、アイスも買ってあげるぞ」
果穂「ええ! わーい! ……あ、でもプロデューサーさんは、まだお仕事あるのに……いいんですか?」
P「果穂の家はここから近いし、それくらいなら大丈夫だよ……それに」
P「いくら体にパワーを補充しても、心にパワーが無かったら意味がないんだ。何となく分かるだろう?」
果穂「……はい、分かります。でも逆に心にパワーさえあればきっと、どんなピンチだって乗り越えられますっ! ヒーローだって怪人にやられても、みんなの声援っていう心のパワーで復活しますからっ!」
P「うん、そういう事だ。よし、じゃあ行こうか。アイスも高い奴でもいいからな」
果穂「やったー! ありがとうございます、プロデューサーさんっ!」
P(そんなこんなで、家まで送り届けたが……)
P(別れ際には、果穂はやっぱり寂しそうな顔をしていた)
P(まだまだ親に甘えたい年頃――というか、甘えるのが普通の年頃だし)
P(俺も、授業参観に親が来てくれなかった事もあったが、なんだか寂しかったのも覚えている)
P(……)
P(……よし、こうなったら……)
P「――あ、もしもし、はづきさんですか。確認なんですけど、確かあの書類と案件を今日中にまとめちゃえば、明日の午後はフリーで大丈夫なんですよね?」
P(というわけで、果穂を送ったあとに、ほぼ徹夜でなんとか仕事を終わらせた。リカバリーソーダMAXを3本飲んだら、なんとか終わらせる事が出来た)
P(そして、今に至るという訳だ)
P(さて……確かこの辺りに……お、あったぞ。これが果穂の教室だ……それで、果穂は……お、居た居た。背筋がびっと伸びてて、姿勢良く聞いてる。流石だな、果穂)
P(……なんか急に教室入るの緊張してきたな。なんせ十数年振りだしな……それに親御さんもきちんとした格好の人ばかりだけど、流石にスーツはいないし……)
P(まぁいい。俺がグズっててもしょうがない、行こう)
ざわざわ……
P(う、親御さん達にざわつかれた……まぁしょうがないよな。いきなりスーツだし、しかも俺だけちょっとまだ若造で、親って年齢ではないし)
P(あ、でもそのざわつきのおかげで、果穂がこっちに振り向いてくれたぞ)
果穂「? ……! ……!!」
P(お、おお……果穂が俺を見た瞬間、寂しそうにしてたのが、びっくりした顔になって、次の瞬間には、笑顔になって瞳が輝き出した……!)
P(いつもの、仕事で楽しそうにしてる果穂になったぞ……ちょっと手を振ってみるか)
果穂「っ……! ……っ!!」ぶんぶん!←元気よく手を振り返す果穂
P(はは、すっごく嬉しそうだ……来てよかったな)
P(その後、ちらちらと俺の方を見て笑うとかはあったけど、それ以外は果穂はすごく真面目に授業を受けていた。自分から手を上げて積極的に問題に答えてもいたし、偉いなあ)
P(そして授業が終わって親御さんと一緒に帰りましょうとなると、果穂はすぐさま俺の所に駆け寄ってきた)
果穂「プロデューサーさんっ! 来てくれたんですね! あたし、すっごく嬉しいです!」
P「ああ、果穂が昨日寂しそうにしてたからな、果穂のお父さんやお母さんに頼んで、なんとか許可して貰ったんだ。ちゃんと真面目に授業受けてて、偉いな、果穂」
果穂「えへへっ、ありがとうございます、プロデューサーさん!」
果穂のクラスメイト1「果穂ちゃん、その人って、果穂ちゃんのお父さんじゃなくて、プロデューサーさん?」
果穂のクラスメイト2「すっごく格好いいね! 大人って感じ!」
果穂「えへへっ……そうなの! プロデューサーさんはなんでもできるすごい人なのっ! ねっ、プロデューサーさん!?」
P(……なんかすごい褒めちぎられてる……学校でも果穂は人気者なのだろう、クラスのみんなが俺と果穂を見ている。特に俺を尊敬の眼差しで……なんだか照れるな)
P「お、おう……まぁ、そうかな?」
果穂「あたしにヒーローのお仕事をたくさんくれるし、宿題だって一緒に答えを考えてくれるし、寂しい時はこうやって会いに来てくれる……プロデューサーさんは、あたしにとってのヒーローなんだ!」
クラスメイト1「わー、果穂ちゃんいいなあ!」
クラスメイト2「あたしもプロデューサーさん欲しい!」
果穂「だ、駄目だよ! プロデューサーさんはあたしのプロデューサーさんなんだから! ね、プロデューサーさんっ!?」
P(なんか果穂にしては珍しく必死だな?)
P「うん、そうだね。俺は今は果穂のプロデューサーだから。君たちのプロデューサーにはなれないかな」
クラスメイト2「なーんだ、残念」
クラスメイト1「こんな格好いい大人の男の人がいつも側に居てくれるなんて、本当に果穂ちゃんが羨ましいなあ」
果穂「えへへっ……さ、それじゃあ一緒に帰りましょう、プロデューサーさんっ!」
果穂「プロデューサーさんっ! 今日は来てくれて本当にありがとうございました!」
P「どういたしまして。俺も果穂がそんなに喜んでくれて、本当に嬉しいよ」
P(夕方、学校からの帰り道を果穂と二人並んで歩く。喜びを抑えきれないのか、俺の周りをぴょんぴょん跳ねたりしている)
P「果穂。そんなに飛び跳ねたら疲れちゃうぞ。ちょっとは落ち着こう、な?」
果穂「だってだって、プロデューサーさんが来てくれて本当に嬉しかったんですっ! 寂しくて心がピンチになってましたけど、そのピンチをプロデューサーさんが助けてくれたんですから!」
果穂「だからやっぱり、あたしにとっての一番大好きで、一番格好いいヒーローはプロデューサーさんですっ!」
P「果穂……」
P(……果穂の純粋な憧れだけで出来た無垢な目線を向けられると、なんだか仕事を頑張らなくちゃな、って心から思える。いや、仕事はどんな時でも真面目にやらなきゃだけど)
P(果穂が居るから、俺も仕事を頑張れるのかもな)
果穂「あ、プロデューサーさん、お父さんやお母さんと歩く時みたいに手を繋いでもいいですか?」
P「ん? ああ、いいよ」
ぎゅうう
果穂「えへへ、プロデューサーさんの手はおっきくて、繋ぐ度に、なんだか安心しちゃいます……」
P「俺の手くらいだったら、いくらでも繋いであげるさ」
果穂「……プロデューサーさん……」
P(果穂は俺の言葉に静かに笑った。なんか、今までとはちょっと違う笑い方だ……嬉しいとも楽しいとも違う……喜んでる事はわかるんだか)
P(なんだろうな? 頬もちょっと赤いのは、夕日のせいなんだろうけど)
果穂「……あの、プロデューサーさんは、今日もまた遅くまで仕事ですか……?」
P「いや、今日は、あとちょっと書類整理すれば仕事は終わるよ、だから気にしないで大丈夫だ」
果穂「あ、それじゃあ、もうちょっと一緒に居られますか?」
P「ああ。何かしたい事があれば言ってくれ」
果穂「やったー! えへへ、それじゃあ一緒に公園で遊びましょう! ブランコ一緒に漕いだり、ジャングルジムの上でヒーローポーズを決めたり、かくれんぼしたり、それからそれからっ」
P「はは、やりたい事がいっぱいだな。よし、いっぱい遊ぶぞ! 果穂!」
果穂「はい!」
それから一時間後。
P「はー……いっぱい遊んだな。楽しかったか? 果穂」
果穂「はいっ! すっごく楽しかったです! プロデューサーさんはどうですか!?」
P(俺と果穂は公園のベンチに座っていた。俺も果穂につられて、なんだか一生懸命遊んでしまったな。)
P「俺もすっごく楽しかったよ。遊んでくれてありがとな、果穂」
果穂「いえ、プロデューサーさんが遊んでくれたから私も楽しかったんです! お礼を言うのは私の方です!」
P「いやいや、果穂が楽しそうにしてくれたから、俺も楽しかったんだし、お礼をいうのは俺だよ」
果穂「いいえ! 私です!」
P「いや、俺の方が」
果穂「いくらプロデューサーさんでも、これは譲れません! お礼を言うのは絶対私です!」
P「いや……って、ははっ。これじゃあ堂々巡りだな。お互い様って事にしよう、果穂」
果穂「えへへ、そうですね。プロデューサーさんがそう言うならっ」
P「うん……それじゃあ、そろそろ帰ろうか? 時間も時間だしな」
P(俺が公園の時計を指差しながらそう言うと……)
果穂「……プロデューサーさん、あの時計、実はズレてるんです」
P「え? そうなのか? だってもう結構……ってそれ、最近歌った曲の歌詞じゃないか」
果穂「……うう、ごめんなさい。プロデューサーさんともっと一緒に居たくて、嘘ついちゃいました……」
P(果穂はバツが悪そうな、照れくさそうな顔をしていた……俺はそんな果穂の頭を、そっと優しく撫でた)
P「……果穂、素直に言ってくれてありがとう。俺もまだまだ果穂と遊びたいけど、そろそろ帰らなくちゃな」
果穂「はい……あの、プロデューサーさん」
P「ん?」
果穂「また、こうやって遊んでくれますか?」
P「ああ、いつでも……とは言えないけど、また遊ぼう。最近は一つユニット増えたし、ちょっと時間は掛かっちゃうかも知れないけどな」
果穂「……そうですよね。イルミネーションスターズやアンティーカやアルストロメリアやストレイライトのみなさん、そして私達放課後クライマックスガールズ……これだけ沢山の女の子を輝かせるなんて、やっぱりプロデューサーさんはすごいですっ!」
P「あはは、ありがとう。果穂に褒められると、俺も頑張れるよ」
果穂「はい、私もプロデューサーさんに負けないくらいがんばります!」
P「ああ、その意気だ。よし、じゃあ行こうか」
P(俺はそう言うと手を差し出す。すると果穂は嬉しそうに手を繋いでくる)
P(二人で手を繋いで歩きながら、何となく空を見れば、夕方から夕暮れに差し掛かっていた。後ろを振り返ると、俺と果穂の長い影が出来ていた)
果穂「そう言えばプロデューサーさん。さっき私が歌った新曲、よりみちサンセットのサンセットって、夕暮れって意味なんですよね?」
P「ああ、そうだよ……俺は、あの曲、大好きだなあ」
果穂「えへへ、私も大好きです。それと意味を教えてくれて、ありがとうございます! ……えっと、それじゃあプロデューサーさん、一つ約束して欲しいです」
P「うん? なんだ?」
果穂「これからは夕暮れを見たら、放課後クライマックスガールズを思い出して欲しいですっ! 私も夕暮れを見たらプロデューサーさんを思い出しますっ!」
果穂「そうしたら、私達とプロデューサーさんは繋がってるって思えて、寂しくありません!」
P「……果穂……」
P「……うん、わかった。夕暮れを見たら、放課後クライマックスガールズのみんなを思い出すよ」
果穂「本当ですかっ!? 約束っ、約束ですよっ!」
P「ああ」
果穂「それじゃあプロデューサーさんっ! 約束の指切りしましょう!」
P(果穂はそう言うと、一旦俺の手を離して、小指を差し出してきた)
P(果穂の小指に、俺の小指を絡めると、果穂は嬉しそうに笑った)
果穂&P「「ゆーびきーりげーんまーん、うそつーいたらはりせんぼんのーます、ゆびきった!」」
果穂「……えへへ、プロデューサーさんと約束しちゃいました♪」
P「ああ、俺も針千本飲まされちゃたまらないからな、絶対思い出すよ」
果穂「はい! ……あ、それとプロデューサーさん……ワガママ言ってもいいですか……?」
P「うん、なんだ?」
果穂「えっと……放課後クライマックスガールズを思い出す時……なんていうか……できれば……一番最初に私の事を思い出して欲しいです……」
P(……果穂は照れているのか、いつもの大きな声ではなく、小さな、よく注意しなければ聞き取れないくらいの声でそう言った。目線をあちらこちらに向けながら)
P(……)
P「果穂、こっちを向いて」
果穂「……」
P(果穂はまだ恥ずかしそうではあるが、俺の目を見てくれた。その果穂の手をぎゅっと握る)
P「果穂、それは全然ワガママなんかじゃないさ。果穂は放課後クライマックスガールズのリーダーだけど、まだ事務所の中でも最年少だ。全然甘えてくれていいんだ。それが普通の事なんだ」
果穂「プロデューサーさん……」
P「だから、夕暮れを見て、放課後クライマックスガールズの事を思い出す時は、必ず果穂の事を一番に思い出す。絶対にそうする。約束するよ」
果穂「……! はい、ありがとうございます! えへへ!」
ぎゅうう(Pに抱きつく果穂)
P「こ、こら果穂、めぐるじゃないんだから……」
P(……いや、今日は果穂を徹底的に甘やかしてあげるか)
P「……ふぅ、しょうがないな。このままおんぶして、家まで送っていくよ」
果穂「本当ですかっ! えへへ……えへへ♪ プロデューサーさん! 大好きです! 明日も明後日も一年後もその先も、ずっとずっと大好きですっ!!」
P(果穂がそう言いながらぎゅううと、俺の背中に痛いくらいに力強く抱きついてきた)
P(俺はそれに苦笑しながら、夕暮れの中、果穂を背負ってゆっくりと歩き始めた)
P(いつもはどこか寂しく思える夕暮れが、今日はなぜだか、ちっとも寂しくなかった)
これで終わりです。ありがとうございました。
夕暮れの中、小宮果穂ちゃんと一緒に無邪気に笑いたいだけの人生だった。
それと果穂の授業参観にPが見に行くというのは、他の方のアイデアで、
それを勝手に僕が膨らませて書いた話でもあります。元ネタを思いついた方には心からの感謝です。では、これで本当に終わりです。
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