目の前の人が、どんな痛みを抱えているかも知らずに。 (5)

女「幸せそうな人が幸せだって決めつけるのは、あまりに失礼な話じゃありゃしやせんか?」

男「なんで急に変な語尾になった」

女「容姿が整っていて、肌も色白で、いつも携帯でSNSの画面を開いているからって、その女の子が自分よりも苦しみの少ない日常を送っていると思ったら大間違いかもしれませんよ」

男「でもそういう女の子は得ている喜びもそれなりに大きいだろうよ」

女「例えば何でしょうか」

男「異性にモテる。ついでに同性にも」

女「そうですね」

男「承認欲求って言葉が流行ってるだろ。認められるためにみんな生きてるってことだよ」

女「生きがいは流行に左右されるのですか」

男「世界に認められたくて生きるんだ。多くの人に認めてもらうか、優れた人に認めてもらうか。どちらかを目標にして人は生きる」

女「あなたはどちら?」

男「自分で自分を認めてあげたい」

女「それはさっきの二択にはないような」

男「自分が優れた人になれば、自分で自分を認めれば承認欲求は満たされる」

女「自分が優れた人であるという基準は何でしょう?」

男「多くの人に認めてもらっているか、優れた人に認めてもらっているかだな」

女「結局他人に認められなくちゃ駄目なんですね」

男「だからさ、俺のことを認めてくれよ」

女「どんな風に?」

男「身体を許して欲しい」

女「駄目ですよ。何言ってるんですか」

男「ほら、死にたくなった。生きがいを失ったからだ」

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