高森藍子「あなたと歩んだ日々は」 (50)
こんにちは。あなたもお散歩ですか?
デレマスssです。
ちょくちょくコミュを引用しています。
n番煎じだったらすみません。
私も、この公園でよくお散歩してるんです。
こうやって、ゆっくりお散歩するのが好きで。
途中で見つけたもの...お花とか、ねこさんなんかをカメラで撮ってみたり...。
あっ、すいません。
初めて会う人に、いきなりこんなことをお話して...。
また、お会いするかもしれませんね。それではっ。
あっ、あなたはこの前の...。
こんにちは。今日もお散歩ですか?
ふふっ。私もそうなんです。
またここで会えるなんて...もしかして、ここのことを気に入ってくれたんですか?
なんだか嬉しいなぁ...えへへっ。
...えっ?本当は散歩じゃなくて...?
私に、会いに来た?
私を、アイドルに?
こ、声をかけてくれたのは嬉しいですけど...。
私にはつとまりませんよっ。
目立つことは、得意ではありませんし...。
それに、他の子にはない特技なんて、なにもありませんから...。
私の、優しさが特技...?
そんなものが特技になるんですか?
優しいのは、誰でも普通のことだと思いますけど...。
でも...。
私が誰かを優しい気持ちにさせてあげられるなら、それってきっと、すてきなことですよねっ。
お話、詳しく聞かせてくださいっ。
お話する場所は...そうだっ。
ここから少し路地裏に入ると、私のお気に入りのカフェがあるんです。
藍子お散歩コースのオススメスポットなんですよ?
...あっ。自己紹介、まだでしたね。
私は、高森藍子といいます。
これから、よろしくお願いします。
ねぇ、プロデューサーさん。お散歩に行きませんか?
こうやって2人きりでお散歩するって、久しぶりですねっ。
アイドルとして芽が出てきて、お仕事もたくさんいただけるようになって。
それは素直に嬉しいことですけど、ゆっくりお散歩する時間が減っちゃって、少しさびしかったんです。
あっ、今の生活に文句があるわけじゃないですよ?
私、元々お散歩中にすれ違うみなさんと色々なお話をするのが好きだったんです。
それが、アイドルを始めてからはファンのみなさんともっと色々なお話ができて。
たくさんの人とお話できて、仲良くなれて、それに応援までしてもらえて...とっても幸せです。
それに、未央ちゃんや茜ちゃん、その他にも新しいお友達がいっぱいできて。
みんなが、のんびり屋でこれといった特技もない私を引っ張ってくれるから、アイドルとしてやっていけてるんだなって思います。
...それでも、やっぱり疲れちゃうときもあるんです。
私、いつもゆっくり、自分のペースで暮らしていましたから。
忙しいアイドル生活が始まって...まだそれに慣れてなくて、体がびっくりしちゃってるのかも。
でも...。
プロデューサーさんは、そんな私のゆっくりな歩みに合わせてくれて。
いつもすぐ隣を歩んでくれて、私のことを支えてくれますよね。
事務所のみんなが引っ張ってくれて...。
プロデューサーさんが支えてくれるから。
私は、ゆっくりだけどアイドルの道を歩んでいけるんです。
実は、ですね。
私、歩くペースはゆっくりなんですけど、自分で決めた道を最後まで歩ききれなかったことってないんですよ?
そこで、お願いがあります。
私、アイドルの道も最後まで歩きます。
でも、ときどき迷ったり、立ち止まったりしちゃうこともあると思うんです。
だから、そんなときは、プロデューサーさんにそばにいてほしいんです。
どうか最後まで、私と一緒に歩んでくださいっ。
...約束、ですからね?
あの...それで、ですね。
今日、ちょっと肌寒いじゃないですか?
だから、手が冷たくて...。
も、もしよかったら、なんですけど。
今日は、手を繋いでお散歩...しませんか?
...ありがとうございますっ。
では、失礼して...。
...苦労と、優しさがにじんでます。
大きくて、あったかい手。
なんだか、ドキドキしますね、えへへっ。
へっ?私の手もあったかい...熱い、ですか?
そ、それはプロデューサーさんの手があったかいからそうなっただけで...。
か、顔も赤い?
いえ、熱なんてないですからっ!
これは、そういうのじゃなくて...その...。
...こういうのは、察してください。もう...。
あっ、手は繋いだままでお願いしますっ!
今日だけでいいので...本当はよくないけど...とりあえず、今日だけでも!
ねぇ、プロデューサーさん。お散歩に行きませんか?
あっ、プロデューサーさんっ。
このベンチ、覚えてますか?
そうです。ここ、私たちが最初に会った場所です。
この公園は、あのときから全然変わってない...。
なんてことは、ないですね。
ほら、ここは塗装がちょっと剥がれちゃってて。
あの木も、ずいぶん大きくなって。
遊んでる子たちも、あのときとは違う子たちですよね。
こうやってあの日と同じ道を歩んでいても、過ぎた時間のぶんだけ確かに変化をしてて。
それは、私にも...いえ、私たちにも言えることじゃないかなって思います。
例えばほら、昔は照れてたのに、今はこうやって自然に手を繋げてるじゃないですか。
少しずつ、小さな変化でしたけど。
それを積み重ねて、今の私たちがいるんだって...そう、思うんです。
でも、ふふっ。
プロデューサーさんの手のあったかさは、変わりませんね。
プロデューサーさん。
今まで、本当にありがとうございました。
今日の引退ライブ、あんなに大きな会場で、あんなに多くのファンのみなさんが来てくれて、事務所のみんなも来てくれて。
...みんな、私のために泣いて、笑ってくれてた。
きっと、プロデューサーさんには聞こえなかったでしょうけど...。
ライブ中にファンの方が、今までありがとう!って言ってくれたんです。
それで、私泣いちゃって...。
ありがとうを伝えるべきなのは、ずっと応援してもらってきた私のほうなのに、って。
最後は笑顔でありがとうって言おうと思ってたんだけどなあ。上手くいきませんでした。
...いま、胸を張って言えます。
私は、最後までアイドルの道を歩み終わりました。
でも、私が1人で歩いてきたわけじゃなくて。
ファンの皆さん、事務所のみんな...そして、プロデューサーさんがいてくれたから歩めた道でした。
ところで、プロデューサーさん。
あの日のお話、覚えていますか?
あ、いえ、出会った日のことじゃなくて、もう少し後の...そう、その日のことですっ。
私、あの日にお願いしたじゃないですか。
「アイドルの道を、最後までいっしょに歩いてほしい」って。
でも、でもですよ。
人だって変わるものですから。
人やその周りの環境が変わったなら、その人たちの約束だって変わってもおかしくないと思うんです。
...なんて、さすがに無理がありますよね。えへへっ。
約束が変わってしまったら、困りますよね。
誤魔化すのはよくないですね。
不器用でも、ゆっくりでも。
まっすぐ、私の声で伝えます。
私は、今日限りでアイドルではなくなってしまいますから。
「あなた」も、もう明日からは私のプロデューサーではなくなってしまいますけど...まだ今日は、「プロデューサーさん」ですよね?
だから、最後に1つだけ。
お願いを聞いてください、プロデューサーさん。
プロデューサーさんと一緒に歩んできたこの日々は、私にとってかけがえのない宝物です。
色々なところで、色々なお仕事をさせてもらって。
たくさんのファンのみなさんとお話できて。
事務所のみんなとお友達になれて。
お仕事が上手くいった日も、失敗した日でさえ。
キラキラで、ドキドキで、楽しい毎日でした。
でも、そんな毎日は、のんびり屋で普通の女の子だった私では過ごせなかった日々で。
プロデューサーさんと出会って、アイドルになれたからつくれた宝物です。
そう、この宝物は、プロデューサーさんが...あなたがくれたものなんですよ?
あなたと歩んだ日々は、私の大切な宝物なんです。
だから。
私は、次の道も、その次の道も...これから先歩く道を、ぜんぶあなたと歩みたいんです。
たとえ私たちの関係が、アイドルとそのプロデューサーではないとしても。
明日からの毎日も、あなたとならきっと輝く宝物になるから。
...あなたの人生という道を、この先もいっしょに歩ませてくれませんか?
ねぇ、あなた。お散歩に行きませんか?
あっ、急に走ったら危ないよー!
...もう、すっかりお転婆になっちゃって。
あの娘、ぜったいあなたに似たんですよっ。
ふんっ、別に羨ましくなんてないんですから。
見た目は私に似てるんですからねっ。
...私に似たから世界一かわいいだなんて。
そんな恥ずかしいこと、お昼の公園で言わないでくださいよ...もうっ。
あっ、ほらっ。急がないとっ。
お散歩はゆっくりがいいけど、走らないとあの娘を見失っちゃうからっ!
ねぇ、あなた。お散歩に行きませんか?
2人きりでお散歩するのも、久しぶりですね。
あの娘が産まれてからは、お散歩もずっと3人でしてましたから。
...だから、かな?
最近、少しさびしいです。
誰に似たのか、手のかかる元気な娘だったけど...いざ一人暮らしを始めて家を出ていかれると、とても大きな日常のピースが消えてしまったような気がして。
やっぱり、変わっていくんですよね。なんでも。
あっ、そういえば。
あの娘が家を離れてからつくり始めたネックレス、形になってきたんですよ。
これ、その写真です。
こっちのビーズはあの時のイメージで、このビーズはあのライブのイメージで...。
それで、最初のこのビーズは、あなたとの出会いのイメージです。
時が過ぎて、色々なものが変わってきたけど...。
私の思い出は、変わることはありませんから。
そんな思い出を、形あるものにしてみたいなって。
でも、これは当分完成しそうにないんです。
だって、一生ぶんの思い出を形にするネックレスだから。
ビーズの数も、まだまだ足りなくって...。
そこで、ですね。
このネックレスを完成させるの、手伝ってほしいんです。
それは、あなたにしかできないことだから。
だって、私のキラキラの思い出は今までも、そしてこれからも、ぜんぶあなたがくれるものだから。
だから、これからも私と一緒に歩んでほしいな。
どうか、この道が終わるまで。
以上です。
高森藍子さんと添い遂げたい、そんな思いから勢いで書きました。
お読みくださった方、もしいらっしゃればありがとうございました。
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