橘ありす「オータムジャンボフレデリカ?」 (39)
~事務所~
ガチャ
橘ありす「お疲れ様です」
宮本フレデリカ「おっ! ちょうどいいところに!」
ありす「……フレデリカさんにとってちょうどいいなら、私にとっては最悪のタイミングで来てしまったんですね」
フレデリカ「最近のありすちゃんはシンラツだね~」ショボン
ありす「はぁ……もともとです。それより、今日は何をするんですか?」
フレデリカ(やっさしー☆)
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フレデリカ「まさに今日! アレが発売されるんだよ!」
ありす「アレ……?」
フレデリカ「そうそう! アレ! みんなが心待ちにしてた……」
ありす「……?」
フレデリカ「ほら! イッカクセンキンも夢じゃないアレ!」
ありす(一攫千金……? 宝くじでしょうか……? いえ、秋の宝くじは今月下旬のはず……)
ありす「すみません、わからないです……」
フレデリカ「しょーがない! それならフレちゃんが教えてしんぜよう!」
ありす「はぁ……」
フレデリカ「今日はなんと!」
ありす「なんと?」
フレデリカ「オータムジャンボフレデリカの発売日なのです!!!」
ありす「お疲れ様でした」トコトコ
フレデリカ「前後賞!!!!!」ガシィ
ありす「ちょ……! 離してください!!!」
フレデリカ「気になる? 気になるよね???」
ありす「どうでもいいです……」
フレデリカ「それではまず、どうしてフレちゃんがこのお仕事を始めたのかを話してあげちゃおう~!」
ありす「興味ないです……」
フレデリカ「フレちゃんはね! ネイマールとロナウジーニョとジダンの生まれ変わりなんだよ!」
ありす「全員もれなくご存命ですが」
フレデリカ「でもその才能を上手く活かせない……! ちゃんとしたコーチを雇わなきゃ……! でもお金がない! ならみんなから集めちゃおー☆」
ありす「なるほど、サッカーのお仕事が入ったけどあまり上手くできなそうで、上手い誰かに教えてもらうための謝礼を集めてる……と」
フレデリカ「ピンポーン! ホントはフットサルだけどね! 誤差だよ誤差! でも1つ、問題があるんだよ……!」
ありす「?」
フレデリカ「フレちゃんはみんなからお金を取るなんてできない……!」グスン
ありす(絶望的に商売に向いていない)
フレデリカ「でも準備はしちゃったから、とりあえずありすちゃんもオータムジャンボフレデリカ、チャレンジしるぶぷれ~?」
ありす「ですから、私は別に……」
フレデリカ「商品は5等まであって、まず5等はお馴染みポケットティッシュ!」
ありす「はぁ……」
フレデリカ「4等はちびフレちゃんキーホルダー(ユニフォーム姿)!」
ありす(あ……ちょっと可愛い……)
フレデリカ「3等はフレちゃんからのハグ!」
ありす「それは別にどうでもいいです。もう帰っていいですか?」
フレデリカ「なんと2等には高級イチゴ詰め合わせも!」
ありす「どうやったら挑戦できるんですか! 早く説明してください!」バンッ!!!!!
フレデリカ「ありすちゃんのそういうとこ好きだよ!」グッ
フレデリカ「と、思ったけど~……」
ありす「え……」シュン
フレデリカ「ありすちゃんには特別に、参加賞として先にイチゴあげちゃう! 2等はまた別のモノを用意しておくね!」
ありす「……!!!」パァァァァァァ
フレデリカ(別にこのままだと2等が当たるまでお話ができなさそうとか思ったわけじゃないよ!!!)
ありす「ふぉふぇへ、ほふふぁっふぁらふぁんふぁふぃ(それで、どうやったら参加に)」モゴモゴ
フレデリカ「あ~先にゴックンしよ! ゴックン!」
ありす「……」ゴックン
ありす「それで、戴いたからには付き合いますが、そのくじはどうすれば」
フレデリカ「あ~口についてるよ!」フキフキ
ありす「子ども扱いしないでください!!!」プンスコ
フレデリカ「怒られちゃった!?」
フレデリカ「ではルールを説明します!」
ありす「イチゴはまだあるんですか?」
フレデリカ「とりあえず聞いててくれると嬉しいな!」
ありす「仕方がないですね……」
フレデリカ「まず、紙とペンを用意します! どうぞ!」
ありす「ありがとうございます」
フレデリカ「カンタンに言うと数字合わせゲームなんだよ!」
ありす「なるほど、この紙に数字を書けばいいんですね?」
フレデリカ「そ! さて! ここで重要なのはー?」
ありす「いくつ数字を書くか。またどの範囲から選ぶかですね」
フレデリカ「さすがありすちゃん! かしこい!」
ありす「べ、別に普通です……」プイッ
フレデリカ「はい3等のハグー!」ギュー
ありす「まだ始まってませんよね!?」
ありす(というか自分で数字を選ぶってこれ宝くじというよりロト……発売開始とか関係ないのでは……)
フレデリカ「数字は00から99まで! 5つ選んでね! 1つ当たれば5等で、5つ当たれば1等だよ! いやー! わくわくするでしょ!」ニコニコ
ありす(まあ……気にしないでおいてあげましょう……)
ありす「じゃあ適当に……12、15、34、41、51でお願いします」カキカキ
フレデリカ「それを、フレちゃんが確認します!」
ありす「どうぞ。正解はどこかに用意してあるんですか? それとも都度ランダムですか? まあ最近ではランダムに数値を抽出してくれるアプリケーションもありますし……」
フレデリカ「そしてフレちゃんが正解を作ります!」
ありす「は?」
フレデリカ「じゃあ……12、15、51、64、99で!」
ありす「は?」
フレデリカ「はいありすちゃん3つ正解! 3等のハグー!」ギュー
ありす「これフレデリカさん次第でどうにもなるのでは!?」
フレデリカ「どうかな!?」
ありす「どうでもありませんけど!?」
フレデリカ「だめかー。やっぱり商品のラインナップ?」
ありす「もっと根本的なシステムの問題ですね」
フレデリカ「きっと、このシステムをくぐり抜けて1等を掴むスーパーマンが現れると信じて!」
ありす「フレデリカさんに賄賂を渡すくらいしか浮かばないですよ」
ありす「こんなの明らかにゲームとして成り立ってません!」
フレデリカ「そうかな~? さっきやった時は何も言われなかったけど……」
ありす「え、私よりも前に誰か挑戦していたんですか?」
フレデリカ「うん! 悠貴ちゃん!」
ありす「反応はどうでした?」
フレデリカ「いい感じだったよ! 確か……」ホワンホワンホワン
~
乙倉悠貴『えっ、それってフレデリカさんによってアタリにもハズレにもなるんじゃないですか……?』
ありす(当然の反応でしょう……)
悠貴『そ、そうなんですか? 提出までの行動である程度正解の数字は変えられる……?』
ありす「いやいやいや」
悠貴『ど、どうすればいいんですかっ? え? ハグ?』
ありす「悠貴さんで遊ばないでください」
悠貴『え、えいっ!』ギュー
悠貴『ど、どうですかっ! え? 2等ですか!? ありがとうございますっ!』ピョンピョン
~
フレデリカ「っていう感じだったね!」
ありす「素直で可愛いですけどもっと疑った方が……」
ありす「ということは、悠貴さんもイチゴを?」
フレデリカ「ううん! 2等は人によって変わるんだよ!」
ありす「なるほど。では悠貴さんの2等は?」
フレデリカ「おしゃれなハイヒール! ほら、いつも悠貴ちゃんってスニーカーでしょ? オシャレしたいお年頃かなーって!」
ありす「こんなゲームを通さなくても、直接渡せばいいじゃないですか……」
フレデリカ「えー? でも、自分で勝ち取った方が嬉しいでしょ?」
ありす「私はフレデリカさんからプレゼントとしてもらった方が……って、なっ、何を言わせるんですか!!!」バシーン!!!
フレデリカ「それはちょっと理不尽じゃないかな!?」
ありす「ともあれ、ゲームとしては全くダメですよ」
フレデリカ「じゃあ、次に部屋に来た人にもチャレンジしてもらおっか! アドバイスもらっちゃお!」
ありす「まぁ……それがいいですね」
ガチャ
フレデリカ「噂をすれば!」
島村卯月「こんにちは! 島村卯月です!」
フレデリカ「あっ」
ありす「あっ」
卯月「?」ニコニコ
ありす「こ、こんにちは」
卯月「はい! おふたりは何をしていたんですか?」
ありす「ち、ちょっと世間話を……」
ありす(ど、どうするんですか!)
フレデリカ(こ、こうなったら……!)
フレデリカ「卯月ちゃん!」
卯月「はい!」
フレデリカ「オータムジャンボフレデリカ、いかがかな!」
卯月「宝くじですか? 楽しそうです!」
フレデリカ「ルールはこの紙に書いてある通り!」
ありす(そんな紙あったんですか……私の時もそれでよかったんじゃ……)
卯月「ふむふむ!」
フレデリカ「さあ! レッツチャレンジ?」
卯月「これ、一度の購入制限ありませんよね?」
フレデリカ「へ?」
ありす「え?」
卯月「00から99までの数値から5つ選ぶ全てのパターンを網羅してチャレンジします! 紙を75287520枚ください!」
フレデリカ「」
ありす「」
フレデリカ「緊急集合!!!」
ありす「どうするんですか!?」
フレデリカ「どうしよう~」ウエーン
ありす「無策!?」
フレデリカ「しょうがないから……」
ありす「しょうがないから……?」
フレデリカ「あやまる!!!」
ありす「無策!!!」
卯月「そうだったんですか……もらえる紙は1枚なんですね」
フレデリカ「ごめんね~? 書き忘れちゃってた♪ それと、自分でいっぱい紙を持って来てもダメだよ! フレちゃんのあげた紙に書いてある数字だけがチャレンジできます! 破ったらレッドカードだよ!」
ありす(必死ですね……)
卯月「わかりました! 島村卯月、頑張ります!」
ありす(まあ、いくら卯月さんでもこのシステムなら当たらないでしょう……)
フレデリカ「紙どーぞ!」
卯月「ありがとうございます! では……まあ考えても仕方ないですよね! 06、32、67、70、91でお願いします!」
ありす(本当にランダムですね……)
フレデリカ「じゃ、フレちゃんチェーック! ふむふむ!」
卯月「……」ニコニコ
フレデリカ「じゃあ今回の正解は……06、25、44、78、98でした! 1個だけ正解だから、ポケットティッシュを」
卯月「あ!」
ありす「?」
フレデリカ「ど、どうしたの?」
卯月「ごめんなさい……提出する紙を間違えちゃってました……」
ありす「……え?」
卯月「それ、私が持って来た紙なんです。ほら、裏に薄くニュージェネのロゴが印刷されてますよね?」
フレデリカ「あ……ほ、ホントだ!」
卯月「フレデリカさんからもらった紙はこっちでした! 大丈夫です! もう数字は書いてあるので!」ペラッ
ありす「ま、まさか……」
『06、25、44、78、98』
フレデリカ「!?!?!?」
ありす「!?!?!?」
ありす「なっ……はい!?」
フレデリカ「だ、だってさっき数字を読み上げながら書いてたよね!?」
卯月「どうやら思ってた数字と書いた数字にズレがあったんですね……お恥ずかしいです」エヘヘ
フレデリカ「で、でも、最初に提出した数字が卯月ちゃんの答えだもん!」
ありす「……フレデリカさん」
フレデリカ「え?」
ありす「……さっき、言いましたよね? 『フレちゃんのあげた紙に書いてある数字だけがチャレンジできます』って」
フレデリカ「……わお!!!」
ありす「逃げ道を塞いだのはフレデリカさん自身です……いえ、もしかしたら卯月さんはこれすら予期して最初の紙のくだりを……」
フレデリカ「ふ、フレちゃんが正解を作ってから書いたカモ!?」
ありす「1枚目の提出時にペンまで回収してますし、そもそもそこからは書くそぶりもありませんでしたよ」
フレデリカ「どうしよう~」ウエーン
ありす(卯月さんが凄すぎてフレデリカさんに落ち度がない……!)
卯月「あ! でも……」
ありす「ま、まだ何かあるんですか」
卯月「私、参加資格を満たしてないかもしれません……!」
フレデリカ「え?」
卯月「例えば、”イチゴを1つ食べなきゃ参加できないけど、それをフレデリカさんが書き忘れていた”んだったら、私は失格になっちゃいます~」
フレデリカ「え? ええ?」
卯月「どうなんですか?」
ありす(う、卯月さん……)
フレデリカ「そ、そうなんだよ~! よくわかったね!」
卯月「やっぱりそうだったんですか~! 一本取られちゃいました!」テヘ
ありす(こっちは100本くらい取られてますよ……)
卯月「では、私は失礼しますね!」
ありす「お、お疲れ様です……」
卯月「とっても楽しかったです! また遊びましょうね!」
フレデリカ「ま、また来てね~」
卯月「~♪」
ガチャ
フレデリカ「……」
ありす「……」
フレデリカ「助かったね……!」
ありす「助かってました?」
フレデリカ「ふー……」
ありす「まあ、そんなに気にしない方が」
フレデリカ「全然大丈夫だよ! フレちゃんは強いからね!」
ありす「それならいいんですが」
フレデリカ「オータムジャンボフレデリカは販売中止になるけど」ショボン
ありす(結構ダメージ食らってるじゃないですか……!)
フレデリカ「というか!!! フレちゃんはもっとこう……『それズルくないか!?』とか『当たるわけないだろ!』とか、そう言って一緒に楽しんでくれる人にチャレンジしてほしいんだけどな!!!」
ありす「卯月さんはルール内で無双してくるタイプですからね」
フレデリカ「もっと素直な人、来てー!!!」
ありす(悠貴さんで完全に味を占めてますね……)
ガチャ
神谷奈緒「うーっす。お、ありすとフレデリカ」
フレデリカ「奈緒ちゃん!!!」ギュー
ありす「奈緒さん!!!」ギュー
奈緒「どわあああああ!? なんだあ!?」
フレデリカ「3等のハグ!!!」
奈緒「何に対する当選!?」
フレデリカ「さてさて奈緒ちゃん! オータムジャンボフレデリカにチャレンジする気はないかい!?」
奈緒「な、なんだそれ?」
ありす「まあまあ、こちらの紙を見てください!」
奈緒「はあ? えーっと……数字を書いて……それを見たフレデリカが正解をその場で作成……いやそれズルくないか!?」
フレデリカ「奈緒ちゃん!!!」ギュー
ありす「奈緒さん!!!」ギュー
奈緒「だああああ!!! 離れろ!!!」
フレデリカ「5つ全部当たったら1等だよ!」
奈緒「当たるわけないだろ!」
フレデリカ「奈緒ちゃん!!!」ギュー
ありす「奈緒さん!!!」ギュー
奈緒「ホントなんなんだコレ!!!!!」
フレデリカ「3等のハグ!!!」
奈緒「まだ挑んでないだろ!!!!!」
フレデリカ「ありすちゃん……フレちゃんは満足だよ……」
ありす「はい……私もです……」
奈緒「結局挑ませてももらえないのか!?」
フレデリカ「ちなみに卯月ちゃんは全部当てたよ!」
奈緒「ありえないだろ!?」
奈緒「というか、これ1等は何がもらえるんだ?」
ありす「あ……確かに聞いてなかったですね」
フレデリカ「知りたい? 知りたい?」
ありす「正直、どうでもいいです」
奈緒「ま、まあそう言わずにな?」
フレデリカ「6億円」
ありす「急に宝くじに!?」
奈緒「いや元から宝くじだけども!!!」
ありす「そもそもそんなお金持ってないでしょう?」
フレデリカ「フレちゃんの人生は6億円以上の価値があるんだよ?」
奈緒「はあ?」
フレデリカ「ありすちゃんに当ててほしいんだけどな~」
ありす「へ?」
奈緒「……!」
フレデリカ「フレちゃんは乙女だから~、これ以上はダメ!」
ありす「いまいち要領を得ないですね……」
奈緒「……まあ、いいか」
フレデリカ「というわけで、オータムジャンボフレデリカはこれにて閉店~」
ありす「短い命でしたね」
奈緒「死んではないからな」
フレデリカ「次は年末ジャンボフレデリカでお会いしよーね!」
ありす「懲りないですね……」
フレデリカ「パワーアップして帰ってくるよ! 商品とかね!」
ありす「根本のシステムを変えないと意味ないですよ」
フレデリカ「大丈夫! 次は0000から9999までの数字を10個にするから!」
ありす「解決方法が頭悪いですね……」
奈緒(卯月はそれでも当ててきそうだけどな)
フレデリカ「さらに次回の1等はありすちゃんからの投げキッス!」
ありす「嫌ですけど!?」
フレデリカ「5等は奈緒ちゃんの眉毛1本!」
奈緒「やらねえよ!?」
フレデリカ「4等にイチゴを置いちゃうよ!」
ありす「早く開催してください!!!!!」バンッ!!!!!
奈緒「ありす!?!?!?」
おわり
フレデリカ「……サッカー上手くなってないよ!?」ガーン
ありす「完全に忘れてましたよね?」
おわり
ありがとうございました。
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このSSまとめへのコメント
乙倉。
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