【ミリマス】プロデューサー「結婚、ですか?」 (13)

小鳥「!」ピヨー

社長の口から「結婚の予定はないのかね?」とサラリと出た言葉に、小鳥さんと俺、美咲さんはピタリと動きが止まった。
はたして、誰に言ったのか。

社長「どうかね、おと、いや、君?」

美咲・P(あっ、避けた)

小鳥さんを見るとニッコリ笑っていた。社長も察したのだろう。2X(ちょめちょめ)歳には軽々しく触れていい話題ではない、と。

P「俺はまだ予定はないですけど…」

他の二人は聞き耳を立てながらも業務に戻っていた。

社長「実は見合い話が来ていてね。決まった相手がいなければ、いかがだろう?」

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翌朝、劇場のエントランスを抜けたところで、美希に後ろから飛びつかれた。

美希「ハニー、おはようなの!」

P「うわっ、おはよう。美希は元気だな。今日の『マリオネットは眠らない』の舞台、大丈夫そうだな」

美希「絶対見に来てね! トクベツセキ?を用意してもらうから!」

P「そんな心配はしなくていいぞ。必ず観に行くから」

美希は満足げに頷いて「約束だよ! 」と言って離れていった。
とりあえず、美希には話が及んでいないようだ。

もしかしたら、黙っていてくれたのかもしれない。
良心を疑って悪かったと思い、杞憂に終わったと安堵した。

伊織「ふふん、おはよ。ぼーっとしてないで早く準備しなさいよね♪」

P「おはよう、伊織。ずいぶんな挨拶だな」

伊織「にひひっ。そういえば、アンタ、結婚するんですって? 水くさいわねー。私に言ってくれれば、ってな、に」

これ以上喋らせて周りに聞かせてはまずい、と思い、咄嗟に壁際に抑え付けてしまった。

伊織「キャー! この変態、ド変態、変態大人っ!」

よりまずい状況になった気がするが、仕方ない。聞き出すのが最優先だ。

P「そのこと、誰から聞いたんだ?」

伊織「ハァ? アンタが亜美に言ったんじゃないの? 真美と一緒に『兄??が結婚するんだって→! ビックリだよね!』って話していたわよ」

P「よりによって亜美真美に伝わったのか…。他に知っていそうな人は?」

伊織「昨日は私の目の前でコソコソ喋って、どこかに行ったから、誰が知っているかはわからないわね。って、早くどきなさいよ! 」

P「悪い悪い! 結婚の話は今のところ嘘だから、広めないでくれよ?」

伊織「もー、わかったわよ!」

しっしっ、と伊織に追い払われて、亜美真美を探すことにした。今日はこれから忙しくなりそうだ。

時計を見ると、美希の公演までまだ余裕がある。

亜美と真美が今劇場にいるかわからないため、とりあえず事務室に行くと、小鳥さんと翼が話をしているようだった。

P「おはようございます。翼、どうかしたか?」

二人に近寄ると、小鳥さんがふい、と顔を背けた。

翼「どうかした? じゃないよ! プロデューサーさんが結婚しちゃうって聞いてビックリしたんだから!」

P「あぁ、翼のところにまで伝わっていたか」

気まずそうにしていた小鳥さんだったが、こちらに向き直り弁解した。

小鳥「プロデューサーさん、違うんですよ? 真美ちゃんが何か面白い話がないかっていうから、プロデューサーさんに見合い話があったのよ、と教えただけで」

P「見合い話を結婚だと伝えたのは真美で、小鳥さんはありのままを伝えただけ、と」

小鳥「はい」

P「いや、十分アウトですよ!」

小鳥「ピヨー!」

小鳥さんは翼の後ろに隠れた。

P「というわけだ。翼、わかっただろう?」

しかし、翼は難しい顔をしている。

翼「でも、お見合いはするんでしょ?」

P「お見合いするかどうかはまだ、決めていない」

翼「そうなんだ」

翼の表情から険しさが消えたようだった。
関係ない、とはぐらかすことも考えたが、翼を子供扱いしたくはなかった。

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