小鳥「!」ピヨー
社長の口から「結婚の予定はないのかね?」とサラリと出た言葉に、小鳥さんと俺、美咲さんはピタリと動きが止まった。
はたして、誰に言ったのか。
社長「どうかね、おと、いや、君?」
美咲・P(あっ、避けた)
小鳥さんを見るとニッコリ笑っていた。社長も察したのだろう。2X(ちょめちょめ)歳には軽々しく触れていい話題ではない、と。
P「俺はまだ予定はないですけど…」
他の二人は聞き耳を立てながらも業務に戻っていた。
社長「実は見合い話が来ていてね。決まった相手がいなければ、いかがだろう?」
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翌朝、劇場のエントランスを抜けたところで、美希に後ろから飛びつかれた。
美希「ハニー、おはようなの!」
P「うわっ、おはよう。美希は元気だな。今日の『マリオネットは眠らない』の舞台、大丈夫そうだな」
美希「絶対見に来てね! トクベツセキ?を用意してもらうから!」
P「そんな心配はしなくていいぞ。必ず観に行くから」
美希は満足げに頷いて「約束だよ! 」と言って離れていった。
とりあえず、美希には話が及んでいないようだ。
もしかしたら、黙っていてくれたのかもしれない。
良心を疑って悪かったと思い、杞憂に終わったと安堵した。
伊織「ふふん、おはよ。ぼーっとしてないで早く準備しなさいよね♪」
P「おはよう、伊織。ずいぶんな挨拶だな」
伊織「にひひっ。そういえば、アンタ、結婚するんですって? 水くさいわねー。私に言ってくれれば、ってな、に」
これ以上喋らせて周りに聞かせてはまずい、と思い、咄嗟に壁際に抑え付けてしまった。
伊織「キャー! この変態、ド変態、変態大人っ!」
よりまずい状況になった気がするが、仕方ない。聞き出すのが最優先だ。
P「そのこと、誰から聞いたんだ?」
伊織「ハァ? アンタが亜美に言ったんじゃないの? 真美と一緒に『兄??が結婚するんだって→! ビックリだよね!』って話していたわよ」
P「よりによって亜美真美に伝わったのか…。他に知っていそうな人は?」
伊織「昨日は私の目の前でコソコソ喋って、どこかに行ったから、誰が知っているかはわからないわね。って、早くどきなさいよ! 」
P「悪い悪い! 結婚の話は今のところ嘘だから、広めないでくれよ?」
伊織「もー、わかったわよ!」
しっしっ、と伊織に追い払われて、亜美真美を探すことにした。今日はこれから忙しくなりそうだ。
時計を見ると、美希の公演までまだ余裕がある。
亜美と真美が今劇場にいるかわからないため、とりあえず事務室に行くと、小鳥さんと翼が話をしているようだった。
P「おはようございます。翼、どうかしたか?」
二人に近寄ると、小鳥さんがふい、と顔を背けた。
翼「どうかした? じゃないよ! プロデューサーさんが結婚しちゃうって聞いてビックリしたんだから!」
P「あぁ、翼のところにまで伝わっていたか」
気まずそうにしていた小鳥さんだったが、こちらに向き直り弁解した。
小鳥「プロデューサーさん、違うんですよ? 真美ちゃんが何か面白い話がないかっていうから、プロデューサーさんに見合い話があったのよ、と教えただけで」
P「見合い話を結婚だと伝えたのは真美で、小鳥さんはありのままを伝えただけ、と」
小鳥「はい」
P「いや、十分アウトですよ!」
小鳥「ピヨー!」
小鳥さんは翼の後ろに隠れた。
P「というわけだ。翼、わかっただろう?」
しかし、翼は難しい顔をしている。
翼「でも、お見合いはするんでしょ?」
P「お見合いするかどうかはまだ、決めていない」
翼「そうなんだ」
翼の表情から険しさが消えたようだった。
関係ない、とはぐらかすことも考えたが、翼を子供扱いしたくはなかった。
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