加蓮「目指せわらしべ長者」 (16)


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~事務所の部屋~

加蓮「あっつー……暑過ぎて無理なんだけど」

まゆ「何が無理なんですかぁ?」

加蓮「えっ?えっと……ほら、あれ、うん、そういう感じの無理って意味」

まゆ「何も説明出来てませんが」

加蓮「うるさい!!」

まゆ「理不尽な怒りですねぇ」

加蓮「まゆには分からないんだ!私の気持ちなんて!!」

まゆ「まぁまゆは加蓮ちゃんではありませんから」

加蓮「私の気持ちくらいわかってよ!!」

まゆ「はいはいどおどお、叫ぶと暑くなりますよぉ」

加蓮「でも実際分かるでしょ?暑過ぎて無理って気持ち」

まゆ「……そうですねぇ……分かりますよぉ……」



加蓮「なんで暑いの?」

まゆ「冷房の温度が高めに設定されているからです」

加蓮「レッスン終わってさ?部屋戻って来てさ?涼しい部屋でさ?休もうと思ってたのにさ?」

まゆ「くどいくどい多いです加蓮ちゃんさが多い」

加蓮「久間まゆ」

まゆ「そこ一つくらいは許しますから」

加蓮「これなら近くのスーパーの方が涼しそうだよね」

まゆ「アイス買ってきて下さい」

加蓮「行かないよ、外暑いし」





加蓮「暑くて暇ってやばくない?」

まゆ「まゆは暇では無いんですけどねぇ」

加蓮「私は暇なの。遊んでよ」

まゆ「スーパーのレジ袋を膨らませて遊ぶと楽しいと思いますよぉ」

加蓮「小学生でも今日日そんな虚無な遊びしないでしょ」

まゆ「え、でも加蓮ちゃんなら……」

加蓮「しないから」





加蓮「動かず寝っ転がってると涼しくなるかなーって思ってたけど普通に暑いね」

まゆ「眠る様でしたらまゆが読み聞かせをしてあげますよぉ」

加蓮「何を?」

まゆ「夢のあるお話です」

加蓮「シンデレラとか?」

まゆ「わらしべ長者」

加蓮「アメリカン・ドリームじゃん」

まゆ「そこまで儲けるお話ではありませんが」



加蓮「あ、わらしべ長者!」

まゆ「騙されませんよぉ?」

加蓮「いや、UFO!みたいなノリじゃなくてさ。わらしべ長者で何か良さげなもの手に入れたいなーって」

まゆ「着地点アバウト過ぎませんかねぇ」

加蓮「って訳で私今ポテトの半額クーポン持ってるんだけど、何かこれより価値のあるものと交換してよ」

まゆ「うふふ、でしたらまゆの一生を」

加蓮「ポテトの半額クーポンのままでいいや」

まゆ「……冗談だったんですが、まゆの一生が高々百円程度のクーポンに負けるとは思ってませんでした」



加蓮「他には無いの?」

まゆ「あ、全額割引のクーポンがありましたよぉ」

加蓮「私、まゆと親友で良かった!」

まゆ「交換で良いですね?」

加蓮「もちろんっ!」

まゆ「うどんチェーン店の大根おろしですが」

加蓮「七十円になったんたけど!」

まゆ「さ、次の標的を探して来て下さいねぇ」

加蓮「こうなったら必ず百円以上の価値にして戻ってくるから!」





~レッスンルーム~


加蓮「って事があってさー。ねえ李衣菜、この大根おろし無料クーポンと何か交換してくれない?」

李衣菜「え、要らない……」

加蓮「私達親友でしょ?何かこれより価値あるものちょうだい?」

李衣菜「なんて現金な親友なんだろ……」

加蓮「別に現金と交換してって言ってる訳じゃないんだから。ほら何か持ってるでしょ?ちょっと跳ねてみてよ」

李衣菜「うん親友に掛けるべき言葉じゃないよね」

加蓮「でも最近暑いし、冷たい大根おろしって美味しいと思うよ?」

李衣菜「まぁ、そこまで言うなら……鞄に手を入れて、最初に掴んだ物で良い?」

加蓮「おっけー、多分七十円よりは価値があるもの引けるでしょ」

李衣菜「あ、捨て忘れての折れちゃったリップ出てきた」

加蓮「もう一回がんばって!」





~廊下~


加蓮「そんな訳で此処に折れたリップがあるんだけど、何かと交換してくれない?」

美穂「い、いらない……」

加蓮「……うん、私もいらない。完全にゴミ押し付けられた」

美穂「なんで交換したんですか……」

加蓮「わらしべ長者に待ったは無しだからね」

美穂「あ、今の加蓮ちゃんにぴったりの物がありますよっ!」

加蓮「おっ、なになに?!」

美穂「じゃじゃーん!スーパーのレジ袋ですっ!ゴミ袋として使って下さいっ!」

加蓮「一枚二円!」

美穂「折れたリップと交換になりますっ!」

加蓮「必要無くなった!!」





~休憩室~


加蓮「そんな感じで、スーパーのビニール袋があるんだけど。何かと交換してくれたりしない?」

智絵里「あ……お茶、十円値上がりしてる……」

加蓮「ねぇ聞いて?お願いだから今は私のわらしべ長者計画に付き合って?」

智絵里「めん……あ、えっと……えへへ、ごめんね加蓮ちゃん。もう一回聞いても良いですか?」

加蓮「……ここにスーパーのレジ袋があるんたけどさ」

智絵里「……そう……」

加蓮「……うん、あるんだ……」

智絵里「そうですか……」

加蓮「うん……」

智絵里「…………」

加蓮「…………」

智絵里「……お茶、飲みますか?」

加蓮「……うん……ありがと……あっつ!!」





~レッスンルーム~


加蓮「ねぇ李衣菜」

李衣菜「まさかわらしべ長者が二回も同じ人にタカリに来るなんて思わなかったんだけど」

加蓮「スーパーのレジ袋ってどう思う?」

李衣菜「……スーパーのレジ袋だなーって思うけど」

加蓮「でもちょっとロックな感じしない?」

李衣菜「しないけど……」

加蓮「ならこれより良い物と交換してっ?!」

李衣菜「ねぇ私の言葉聞いてた?」

加蓮「……スーパーのレジ袋、最近流行ってるらしいよ?」

李衣菜「多分マイバックの方が流行ってるって」




~廊下~


加蓮「スーパーのレジ袋」

美穂「私がプレゼントしたものですね」

加蓮「返品は」

美穂「当店では受け付けておりません」

加蓮「じゃあ折れたリップ返してよ!」

美穂「加蓮ちゃんがそれ捨てといてって言ったんじゃないですか!」





~休憩室~


加蓮「……ねぇ、智絵里……」

智絵里「あ……そろそろ帰らなきゃ」

加蓮「待ってお願い!私を見捨てないで!!」

智絵里「……なんですか?」

加蓮「スーパーの」

智絵里「お疲れ様でした、加蓮ちゃん。また明日も頑張りましょう……!」

加蓮「レジ!れ!れれれ!れーっ!」

智絵里「…………」

加蓮「…………」

智絵里「……お茶、飲みますか?」

加蓮「……うん……あったかい……」





~事務所の部屋~


加蓮「ただいまーまゆ」

まゆ「お帰りなさい、加蓮ちゃん。わらしべ長者計画はどうでしたか?」

加蓮「あったかいお茶飲ませて貰った」

まゆ「色々忘れてません?」

加蓮「あ、まゆー」

まゆ「なんですかぁ?」

加蓮「スーパーのレジ袋いらない?」

まゆ「十分楽しんだみたいじゃないですか」



以上です
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