【ガルパン】エリカ「ビデオ通話で画面を飛び越えて移動できる能力を身に着けたわ」 (47)


小梅「えっ」

エリカ「だからちょっと実験相手になってもらえる?」

小梅「どういうことなのかさっぱりわからないんだけど」

エリカ「だから、スカイプとかでビデオ通話してる相手のところに移動できるってことよ」

小梅「貞子みたいにってこと?」

エリカ「まあビジュアル的にはそんな感じね」

小梅「一ミリも信じられないんだけど、なんでそんな能力をいきなり……」

エリカ「ドイツに行った隊長と通話してたら寂しくなって、会いたくなったから鍛えたのよ」

小梅「いや、そんな気持ちだけで鍛えられる能力じゃないでしょ!?」

エリカ「とにかく、いきなりドイツはたぶんしんどいから小梅の部屋に移動してみるわね」

小梅「この状況がしんどいんだけど」

エリカ「いいから部屋でスカイプ開いて待ってなさい!」



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小梅の部屋

エリカ『通話が繋がったわね。行くわよ』

小梅「はい。じゃあ満足したらとっとと寝てね」

エリカ『まだ信じてないの?ほら』

ウニョーン

小梅「うあぁーーー!!!??!?私のPCの画面からエリカさんの頭が!?!?」

エリカ「ううん、よいしょっ」

ギュッギュ 

エリカ「くっ、やっぱり15インチのノートだと狭いわね……よいしょっと」

スポン スタッ

エリカ「はい、到着。成功ね」

小梅「あわ、あわ、あわ」ガタガタ



エリカ「いつまで驚いてるの?」

小梅「驚くに決まってるでしょ!?物理の法則とか常識とか全部無視してるし!」

エリカ「隊長への尊敬がなせる技ね」

小梅「もうどうでもいいわ……」

エリカ「さて、同じ寮内なら移動は余裕として、次でいきなりドイツに行くのも違うかなって気はする」

小梅「距離とか関係あるの?なんかもうそういう次元を超越してない?」

エリカ「うーん、回線の問題なのか、やっぱり遠いほうがキツさが高いのよ。最初は熊本の実家に移動してみたんだけど今よりもしんどかったし」

小梅「じゃあ大洗のみほさんあたりはどうかな?他にエリカさんが他校で親しい人いないでしょうし」

エリカ「失礼ね!それに親しくなんか……ま、いいわ。それで試してみましょう」

小梅「みほさんショック死しないと良いけど」


エリカの部屋

エリカ「もう小梅は休んでていいのよ?」

小梅「ううん。あまりにもみほさんが心配だから私もいる」

エリカ「そう?あ、繋がったわね」

みほ『エリカさん?いきなりどうしたの?ビデオ通話で話したいなんて』

エリカ「ちょっと今からそっちに行くから」

みほ『……へ?』


エリカ「さっきは頭から行って体勢がキツかったから今度は手から行ってみるわ。よっ」

ウニョーン

みほ『!!!!!!』

エリカ「まずは右手っと」

みほ『いやぁーー!??!?!』

ブツッ

フッ

小梅「あっ画面が」

エリカ「あっ」


みほの部屋

みほ「はあ、はあ、何今の……?」

みほ「一瞬モニターから腕が飛び出してきた気がしてびっくりして消しちゃったけど」

みほ「き、気のせいだよね……」

ゴトッ

みほ「?」

エリカの右腕「」バタバタバタバタ

みほ「ーーーーーーーーっ」


エリカの部屋

エリカ「うぎゃあああ!!!腕があああああ!」

小梅「エリカさん落ち着いて!!!」

エリカ「ぎゃあああ!!!痛いいいいい!!……あれ?痛くないわ」

小梅「右腕が持ってかれたのに全然出血してない!」

エリカ「そういえば消えてるのに感覚もあるわ。動かしてる感じがする」

小梅「……右腕はみほさんの部屋にあって遠距離でもエリカさん本体とのリンク?みたいなのは切れてないってことなのかな」

エリカ「小梅、ちょっと電話してみてよ」

小梅「うん」

プルルルル

小梅「だめ、出ない。気絶してるんだと思う」

今日はここまで


エリカ「どうすんのよ!私の右手!」

小梅「この上なく自業自得じゃないかな……とにかくみほさんを起こしてみよう。手の近くにいるはずだから」

エリカ「手の感覚だけで探すのは結構大変よ……今も動かしまくってるけど」

小梅「そうだ!ちょっと動かすのやめて静かにしてみて。手がどの場所にあるのかわかる?」

エリカ「たぶん床ね」

小梅「じゃあ床に手のひらをピタッとつけてみればわずかな振動とかでみほさんの居場所がわかるかも!」

エリカ「なるほど!冴えてるじゃない!」

エリカ「……!」

小梅「わかった?」

エリカ「何か小刻みな振動がちょっとずつ大きくなって……遠くから人が近づいてくる感じがするわ!」

小梅「みほさんが起きた!?」

エリカ「どうかしらこれ……なんかもっと遠く、部屋の外から歩いてくるような振動なんだけど」


みほの部屋

ピンポーン

ガチャ

沙織「みぽりーん、呼んでも出ないから入っちゃったけど、いるー?」

優花里「お邪魔します!」

華「久々の鍋パーティ、楽しみです!」

麻子「チャイムに無反応なのは妙だな」

沙織「みぽりーん?」

みほ「……」シーン

優花里「西住殿!?大丈夫ですか!?」

みほ「うーん……みんな、いらっしゃい。あれ……私、何してたっけ」

華「床で倒れてましたけど……何かありましたか?」


みほ「えっと、確かエリカさんと通話してて……どうしたんだっけ」

麻子「うわぁっ!!!」

沙織「麻子どうしたの!?大きな声だし……きゃぁ!?」

エリカの右腕「」シーン

みほ「あ、思い出した……エリカさんの手が取れちゃったんだった」

華「バラバラ殺人でしょうか」

沙織「なんで冷静なの!?」


エリカの部屋

エリカ「なんかすごい床揺れてる感じがするわ!これ絶対何人かに囲まれてる!」

小梅「ええっ!じゃあもう騒ぎになってるよエリカさん絶対手を動かさないでね」

エリカ「わかってるわよ。動かしたら大変なことになるものね」

小梅「すでに極限まで大変なことにはなってるけどそうだね!少しでも目撃者の衝撃は抑えよう!」


みほの部屋

優花里「確かに、これは黒森峰の制服の袖ですよね」

ヒョイッ

沙織「ゆかりん!?持っちゃまずいって!」

優花里「大丈夫ですよ武部殿。おそらく映画などに使われる腕のレプリカです」

ツンツン

エリカの右腕「」ビクンビクンッ!

優花里「うわぁあああ動いたぁああ!?」

ポイッ


エリカの部屋

エリカ「あひゃっ!?くすぐったいっ!」

小梅「え、くすぐられてるの!?」

エリカ「わからないけど浮遊感があって誰かに触られた!痛いっ!あ、今投げ捨てられたわ!」

小梅「誰だかわからないけどパニックになってるんだろうな……でもみほさんの部屋に来たってことはみほさんの友達の可能性が濃厚ね。きっと気絶したみほさんも助かったはず」

エリカ「あとはなんとか意志を伝達して、通話を再開させないと」

小梅「再開しても腕が戻るかっていう疑問は残るけどね」

エリカ「画面を通して頑張ってくっつければなんとかなるわ!」


みほの部屋

エリカの右腕「」モゾモゾ

優花里「ど、どうしましょうこれ」

華「本物みたいですね。微かな香りが逸見さんと同じです」クンクン

みほ「さすが華さん」

沙織「そういえば麻子は」

優花里「冷泉殿なら『お化けだ!』って叫びながら外に飛び出して行きました……」


華「あら、また動き始めましたよ」

エリカの右腕「」グッ パッ ピッ

沙織「気持ち悪っ!手を閉じたり開いたり指を動かしたりしてるけど……」

優花里「しかし先程と違って動きに法則性があるように見えます……は!西住殿これはもしや」

みほ「うん。これ、黒森峰が試合で使う指揮官のハンドサインだね」

エリカの右腕「」グッ パッ ピッ

みほ「このサインの意味は『通信開始』……!わかりました!」

今日はここまででござる


エリカの部屋

ピロリン♪

エリカ「来た!」

小梅「やっぱりみほさんは洞察力が違うなぁ」

みほ『エリカさん?』

エリカ「私の腕はそっちにあるのよね!?」

みほ『うん、やっぱりこれエリカさんの腕なんだ……どういうことになってるの?』

エリカ「とにかく腕をこっちに返して!」

小梅「ちょっと待った!画面が消えて腕が切れたんだから、同じように画面を境目にちょうどピッタリ腕の断面を合わせるようにしないとくっつかないんじゃ?」

エリカ「た、確かに……!よし、上手いこと合わせるわよ!」

みほ『要求される難易度がやたらと上がってきたけどやってみます』


ググググ

みほ『……』

エリカ「……よーし、そのまま、そのままゆっくり近づけて」

みほ『うん……』

華『もう少し上では?』

優花里『速度は少し下げないとちょうど画面の境目に断面が行かないですよ!』

沙織『みんなで口出ししたら集中できないんじゃないの?』


エリカ「もう3cmくらい右!」

みほ『えっと、こっち?』オロオロ

エリカ「っ違う逆!私から見て右!」

みほ『ご、ごめんなさ』

優花里『西住殿!もう少し上です!』

みほ『優花里さんから見て上?』

優花里『西住殿から見て上です!』

エリカ「あなた達は同じ側にいるんだから関係ないでしょ!」

華『そもそも上は上です』

ワーワー ギャーギャー!

小梅「ちょっとストップ!一旦ストップ!」


エリカ「何よ」ハアハア

小梅「こんな状態でくっつけようとしたら変にずれて悲惨なことになるから。
やっぱり手をこっちに持ってきてくっつくかどうか試そうよ。それでくっつけばOKだし、駄目なら改めて方法を考えれば良いんだから」

エリカ「それもそうね。聞こえた?」

みほ『うん。じゃあそっちに投げるね』

エリカ「慎重に投げてよ」

みほ『ちょっと自信ないな』

優花里『でしたら私が投げます!肩の力には自身があります!』

みほ『ありがとう優花里さん。お願いします』

優花里『行きますよ!とりゃっ!』

ブンッ

ピロロン♪

みほ(あ、お姉ちゃんから着信だ)

カチッ

フッ

エリカ「えっ??」

小梅「いきなり画面が消えた!?」


まほの部屋

まほ「久々にみほに電話してみよう。そうだ、この前エリカにスカイプのやり方を教わったからやってみるか」

ピロロン♪

フッ

まほ「ものすごい速さで出たな。みほ、ひさしぶっ!!?」

ベキッイッ!! 

みほ『お姉ちゃん!大丈夫!?』

優花里『西住殿!いきなり別のビデオ通話を開いてしまっては……』

みほ『ごめんなさい。つい反射的に応答しちゃって』

まほ「なっ?顔に何か当たった……?」

エリカの右腕「」ゴロン

まほ「うーん」ドサッ

華『やはり気絶しましたね』

みほ『お姉ちゃーん!!』


エリカの部屋

小梅「もしもし、みほさん?うん、うん、わかった」

小梅「カクカクシカジカで、エリカさんの右腕は西住元隊長のところに行っちゃったって」

エリカ「なんでそうなっちゃうの!?会いたいとは思ったけど腕だけは駄目!」

小梅「で、西住元隊長も気絶しちゃってどうにもならないみたい」

エリカ「隊長!隊長起きてください!うーん」

小梅「何してるの?」

エリカ「腕をすごくジタバタさせてるんだけど手応えが無いわね……ん!?」

エリカ「なっあっ……ひゃっ!?なにこれっ!?」

小梅「変な声出してどうしたの!?」


エリカ「まさかこれっ!?なめられてるっ!?///舌でなめられてる感じがするっ!」

小梅「ええー!?まさかそんな」

エリカ「でもこの感覚間違いないっ!しばらく会ってないからって大胆ですね隊長///」

小梅「もしもしみほさん、そっちの画面から西住元隊長の部屋の様子見えてるよね?状況どうなってますか?」


みほの部屋

犬『ハッハッハッハ』ペロペロペロ

みほ「お姉ちゃんが一緒にドイツに連れて行った犬がエリカさんの腕をなめてる」

小梅「あ、はい」


みほ「お姉ちゃんを起こして、エリカさんの体を復元しないと。その為にはエリカさんにこっちに来てもらわなきゃいけません」

小梅『でもみほさんのパソコン画面は元隊長との通話に使ってるから……』

みほ「優花里さん、お家にパソコンあったよね?借りて良いかな?」

優花里「はい!もちろんです!」

みほ「まずエリカさんは優花里さんの実家に移動して、そこから私の部屋に来てお姉ちゃんのところに移動してもらいます」

小梅『了解!』


30分後 

優花里の部屋

優花里「さあ準備万端であります!いつでも来てください!」

エリカ『実家なのに悪いわね。行くわよ』

優花里「はい!」

エリカ『よいしょっと』

ニューン

ガチャッ

好子「優花里~?お友達来てるの~?」

優花里「あっ!ううん!電話!」カチカチッ

好子「あら、そうだったのね」

バタン

エリカの上半身「……何が起こったの」

優花里「……すいません、親が入ってきていつもの癖で画面消しちゃいました」


エリカの部屋

エリカの下半身「」ピクッピクッ

小梅「どうすんだこれ」


みほの部屋

ガチャッ

優花里「西住殿!逸見殿を連れてきました!よいしょっ」

エリカの上半身「隊長は無事!?」

みほ「まずエリカさんが無事なの!?」

エリカの上半身「ここまで背負ってきてもらったわ!」

沙織「もう絵面が完全にホラーだね」

華「元に戻すのが大変そうです」

エリカの上半身「そんなことは後で考えるから今はとにかく隊長のところに送って!」

みほ「うん。じゃあ私はこっち持つから画面に押し込みましょう」

エリカの上半身「頭から頼むわ」


まほの部屋

犬「ハッハッハッハ」

まほ「ん?なんだ……寝てたのか私は」

エリカ『隊長ーー!!』

まほ「エリカ!?」

エリカ『今行きます!待っててください隊長!』

ニョキッ

まほ「うわぁ!!!!」

バキィッ!! 

まほ「お、驚いてとっさにPCを破壊してしまったが、今のは幻覚かな?」

ゴロン

まほ「?」

エリカの頭「こ、こんにちは」

まほ「うーん」バタン


その後、まほのPC修理に時間がかかり1ヶ月間エリカの頭とまほは一緒に行動した。

現地では西住まほがデュラハンなのではないかと噂になり、とんでもない大学デビューを飾った。

エリカはまほと過ごし美味しいドイツ料理も味わえて大満足だったが、下半身の世話をする小梅は本当に大変な目にあった。



おわり

明けましておめでとうございました
読んでくれてありがとうございました

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